JP2014185263A - エポキシ基含有シリコーン樹脂、エポキシ基含有シリコーン樹脂組成物、及びその硬化物 - Google Patents

エポキシ基含有シリコーン樹脂、エポキシ基含有シリコーン樹脂組成物、及びその硬化物 Download PDF

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Abstract

【課題】透明性、耐光性に優れ、且つ優れた耐熱性を有し、光半導体プリント配線基板として極めて有用なブロック型シロキサン化合物を含有する硬化性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】反応性官能基含有するシロキサンのシルセスキオキサンセグメントと下記シリコーンレジンセグメント(SR):
Figure 2014185263

を有するブロック型のシロキサンオリゴマーであって、シルセスキオキサンセグメント中に少なくとも1つのエポキシ基を有する反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物。
【選択図】なし

Description

本発明は、反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物、その製造方法及びその組成物に関する。さらに詳しくは、透明性、耐光性、耐熱性に優れた光半導体用硬化性樹脂組成物、及びその硬化物で構成される光半導体プリント配線基板用硬化性樹脂組成物に関する。
従来からLEDなどの光半導体材料として、エポキシ樹脂が性能と経済性のバランスの点で採用されてきた。特に耐熱性、透明性、機械特性のバランスに優れたビスフェノールA型エポキシ樹脂や脂環エポキシ樹脂などが広く使用されてきた。
近年、LED発光波長の短波長化(360nm〜480nm)と発光強度の向上が進んだ結果、光の影響で前記封止材料が着色し最終的にはLEDとしての特性を低下させるという指摘がされている。
そこで、光半導体材料の耐光着色を避ける目的で、シリコーン樹脂の検討が進められて来た。しかし、シリコーン樹脂は、エポキシ樹脂に比べ機械特性、接着性が劣ることからゲルという状態でのみの利用に限定されてきた。そのため成形後に表面のタックや変形が発生するという課題が市場で指摘されていた。
前記エポキシ樹脂の耐久性、さらに前記シリコーン樹脂のタック性などを改良するために、特許文献1では、エポキシ基、または各種反応性官能基を有する2官能と3官能アルコキシシラン化合物から合成された樹脂の検討がされている。
前記アルコキシシラン化合物の加水分解縮合物は、耐光性という観点では、従来エポキシ樹脂より向上している。また、2官能アルコキシシラン化合物に対して、3官能アルコキシシラン化合物の導入量を多くすることで、タックと硬度の改善がなされている。
しかしながら、本製造法で架橋密度を向上することで耐熱性が向上する一方で、硬化物が脆くなる傾向が有り、製造工程において歩留まりが悪くなる恐れがある。
特許文献2では、骨格中に鎖状シリコーンセグメントとシルセスキオキサンセグメントを含有させることで、硬化物に硬さと柔軟性のバランスを付与し、脆さを改善した光半導体用硬化性樹脂組成物を開発しているが、鎖状シリコーンセグメントの影響により、耐熱性が十分ではない。この点においては、光半導体プリント配線基板として使用できる最適なシロキサン化合物、及びその組成物の検討が十分に成されているとは言えないのが現状である。
国際公開第2005/100445号 国際公開第2010/026714号
本発明は、光半導体プリント配線基板として耐光性に優れ、かつ優れた耐熱性を有する反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物と、これを用いる硬化性樹脂組成物、及び該硬化性樹脂組成物を光半導体プリント配線基板として使用した光半導体素子を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究の結果、特定の構造を有する反応性基としてエポキシ基を含有する反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物が有用であることを見出し、また好適な製造方法を開発した。さらに本発明のブロック型シロキサン化合物を含有する硬化性樹脂組成物が、上記課題を満足するものであることを見出し、本発明を完成させるに至った。即ち、本発明は次の(1)〜(19)に関するものである。
(1)下記シルセスキオキサンセグメント(SO)
Figure 2014185263
(上記式中、Yは水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を表し、lは2以上の整数を表す。尚、*は反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物中のケイ素原子への結合を表す。但し、Yが全てエポキシ基を有する反応性官能基以外の基からなることはない。)
と下記シリコーンレジンセグメント(SR):
Figure 2014185263
(式中、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、R’は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状のアルキル基を示し、a〜dは0または正数であり、a+b+c+d≧2であり、tは0〜2の整数であり、kは0〜3の整数である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。さらに、式中に複数存在するOR’基である水酸基、アルコキシ基のうち少なくとも2つは脱離しており、ケイ素原子が上記シルセスキオキサンセグメントの酸素原子に結合している。また、c=d=0となること、或いはa=b=0、d=t=k=2かつ全てのRがメチル基及び/またはフェニル基であることはない。)
を有するブロック型のシロキサンオリゴマーであって、シルセスキオキサンセグメント中に少なくとも1つのエポキシ基を有する反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(2)下記シルセスキオキサンオリゴマー(a1)と、下記シリコーンレジン(a2)を、縮合、または水を添加して加水分解・縮合させて得られる事を特徴とする(1)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
シルセスキオキサンオリゴマー(a1):
下記一般式(1)
Figure 2014185263
(式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基同士、または上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基及び下記一般式(3)
SiR(OR (3)
(式中、Rは、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基を、
塩基性条件下、水を添加して加水分解・縮合させて得られるシルセスキオキサンオリゴマー
シリコーンレジン(a2):
下記一般式(2)
Figure 2014185263
(式中、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状のアルキル基を示し、a〜dは0または正数であり、a+b+c+d≧2である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。また、c=d=0となることはない。t、kは上記と同じ意味を表す。)で表されるシリコーンレジン及び/または下記一般式(2a)で表されるシリコーンレジン
Figure 2014185263
(式中、Rは上記と同じものを示す。)
(3)前記反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物において、前記シリコーンレジンセグメント(SR)がa=b=0であって、t=k=2であり、かつ複数存在するRの少なくとも一つがシクロへキシル基であることを特徴とする(1)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物。
(4)一般式(2)のRがメチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を示し、一般式(1)のRがメチル基および/又はエチル基を示し、一般式(3)のRがメチル基および/又はエチル基を示す、(2)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(5)一般式(1)のXが、エポキシシクロヘキシルエチル基である(2)、(4)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(6)シリコーンレジン(a2)において、前記一般式(2)の重量平均分子量(Mw)が200〜18,000であるシリコーンレジンを含有する、(2)、(4)〜(5)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(7)シリコーンレジン(a2)において、前記一般式(2)の重量平均分子量(Mw)が500〜20,000であるシリコーンレジンを含有する、(2)、(4)〜(6)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(8)上記シリコーンレジンセグメント(SR)において、複数存在するRの少なくとも一つがメチル基および/又はフェニル基を有する(1)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(9)上記シルセスキオキサンセグメント(SO)の複数存在するYの少なくとも一つが、エポキシシクロヘキサン構造であることを特徴とする(1)または(8)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
(10)シラノール基及び/またはアルコキシ基を有する上記式(2)のシリコーンレジンと、アルコキシ基を有する上記シルセスキオキサンオリゴマーを縮合させて得られる事を特徴とする(1),(8)〜(9)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
(11)以下の(i)、(ii)で示される二段階の製造工程を必須とする(1)、(8)〜(9)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
製造工程(i):水を添加しアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基同士の加水分解縮合を行なう工程
製造工程(ii):シラノール基を有するシリコーンレジンのシラノール基とアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基で脱アルコール縮合を行なう工程
(12)製造工程(i)、(ii)を逐次的にワンポットで行なうことを特徴とする(11)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
(13)アルコキシ基を有するケイ素化合物が、トリアルコキシシラン化合物および/又はそれらの縮合物である(11)〜(12)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
(14)トリアルコキシシラン化合物が、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、並びにβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及び、フェニルトリメトキシシラン及び/またはメチルトリメトキシシランである(13)に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
(15)シラノール基に対し当量値として1.5〜200のアルコキシ基存在下で脱アルコール縮合重合により両末端にシラノール基を有するシリコーンオイルとトリアルコキシシラン化合物の縮合(製造工程i)を行ない、次いで水を添加し、トリアルコキシシラン化合物同士の縮合工程、および製造工程iにおいて得られた末端がアルコキシシリル変性されたシリコーンオイルとアルコキシ基を有するケイ素化合物の縮合工程(製造工程ii)を行なう、(10)〜(14)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
(16)(1)〜(9)のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)、及び硬化剤(B)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
(17)硬化促進剤(C)を含有することを特徴とする(16)に記載の硬化性樹脂組成物。
(18)(16)または(17)のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を熱硬化して得られる光半導体用硬化物。
(19)(18)に記載の光半導体用硬化物によって構成される光半導体装置。
本発明のブロック型シロキサン化合物を含有する硬化性樹脂組成物を硬化したものは、透明性、耐光性に優れ、且つ優れた耐熱性を有するという特徴を持つ。よって、本発明の硬化性樹脂組成物は光半導体プリント配線基板として極めて有用である。
本発明の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)は、シリコーンレジンセグメント(SR)と、反応性官能基としてエポキシ基を有するシルセスキオキサンセグメント(SO)を1分子中に有する。
本発明におけるブロック型シロキサン化合物(A)はシリコーンレジンセグメントの周囲に反応性官能基としてエポキシ基を効果的に配置させることで、架橋密度を低減しつつ、耐熱性を発揮でき、柔軟性と耐熱性のバランスを与える。
本発明のブロック型シロキサン化合物(A)は、例えば、一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物(a)と一般式(2)で表されるシリコーンレジン(b)を原料として製造することができ、必要に応じて一般式(3)で表されるアルコキシシラン化合物(c)を原料として用いることができる。以下、各原料について詳細に説明する。
アルコキシシラン化合物(a)は下記式(1)で表される。
Figure 2014185263
一般式(1)中のXとしては、エポキシ基を有する有機基であれば特に制限はない。例えば、β−グリシドキシエチル、γ−グリシドキシプロピル、γ−グリシドキシブチル等のグリシドキシ炭素数1〜4アルキル基、グリシジル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘプチル)エチル基、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)プロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ペンチル基等のオキシラン基を持った炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜5のアルキル基が挙げられる。これらの中で、グリシドオキシ基で置換された炭素数1〜3のアルキル基、エポキシ基を有する炭素数5〜8のシクロアルキル基で置換された炭素数1〜3のアルキル基、例えば、β−グリシドキシエチル基、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましく、特にβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基が好ましい。
一般式(1)中のRとしては、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を示す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらRは、相溶性、反応性等の反応条件の観点から、メチル基又はエチル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。
アルコキシシラン化合物(a)として好ましい具体例としては、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等が挙げられ、耐熱・耐光着色の観点から特にβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが好ましい。これらアルコキシシラン化合物(a)は、単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよく、後述するアルコキシシラン化合物(c)と併用することもできる。
そして、上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物を、必要により後述する上記一般式(3)で表されるアルコキシシラン化合物と加水分解・縮合させることでシルセスキオキサンオリゴマーを得ることができる。かかるシルセスキオキサンオリゴマーは下記シルセスキオキサンセグメント(SO)を有している。
Figure 2014185263
(上記式中、Yは水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を表し、lは2以上の整数を表す。尚、*は反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物中のケイ素原子への結合を表す。但し、Yが全てエポキシ基を有する反応性官能基以外の基からなることはない。)
シリコーンレジン(b)は下記式(2)
Figure 2014185263
及び/または下記一般式(2a)
Figure 2014185263
で表される構造を有するシリコーンレジンである。これらシリコーンレジン(b)の製造方法としては一般的に特許文献3(特開平08−143675)、特許文献4(特開平06−234857)等に記載の製法が挙げられる。合成の一例を後述する。
一般式(2)中、複数存在するRとしては、互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状のアルキル基を示し、a〜dは0または正数であり、a+b+c+d≧2である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。また、c=d=0となることはない。t、kは上記と同じ意味を表す。
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、i−ペンチル基、アミル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等を挙げることができる。これらの中で、耐光性を考慮すると、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基が好ましい。
炭素数6〜14のアリール基としては、例えば、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基等を挙げることができる。
炭素数2〜10のアルケニル基としては、ビニル基、1−メチルビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基等を挙げることができる。
炭素数2〜9のアミノアルキル基としては、3−アミノプロピル基、3−フェニルアミノプロピル基、3−(2−アミノエチル)アミノプロピル基等を挙げることができる。
2は耐光性、耐熱性の観点から、メチル基、n−プロピル基、シクロヘキシル基、フェニル基が好ましく、更に溶解性の観点からn−プロピル基、シクロヘキシル基等炭素数2以上のものを含有するものが特に好ましい。
また、Rにおいて、シクロへキシル基は好適に使用することができる。
一般式(2)の化合物のa〜dの合計は平均値で2〜200を示し、好ましくは2〜100、より好ましくは2〜50である。a〜dの合計の平均値が3を下回ると硬化物が硬くなりすぎ、硬化物が脆くなる。a〜dの合計の平均値が200を上回ると硬化物の耐熱性が悪化する傾向にあり好ましくない。
シリコーンレジン(b)の重量平均分子量(Mw)は200〜18,000(GPC測定値)の範囲のものが好ましい。これらの中で、低温での弾性率を考慮すると分子量が200〜10,000のものが好ましく、さらに組成物化時の相溶性を考慮すると200〜5,000のものがより好ましく、特に300〜3,000のものが好ましい。重量平均分子量が200を下回る場合、特性セグメントのシリコーンレジンセグメントの特性が出にくく、ブロック型としての特性が損なわれる恐れがあり、18,000を超えると激しい層分離構造を持つ事となり、光学材料に使用するには透過性が悪くなり、使用することが困難となる。本発明においてシリコーンオイル(b)の分子量としては、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、下記条件下測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量(Mw)を算出した。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
シリコーンレジン(b)の動粘度は1〜200mm/sの範囲のものが好ましく、より好ましくは1〜100mm/sのものである。1mm/sを下回る場合にはブロック型シロキサン化合物(A)の粘度が低くなりすぎて、光半導体プリント配線基板作成時に十分に塗布されない可能性があり、また200mm/sを上回る場合にはブロック型シロキサン化合物(A)の粘度が上昇し、光半導体プリント配線基板作成時の作業性に弊害が生じる傾向にあり好ましくない。
シリコーンレジン(b)の具体例としては、以下の製品名を挙げることができる。例えば、東レダウコーニングシリコーン社製としては、3037 INTERMEDIATE、3074 INTERMEDIATE、Z−6018、217 FLAKE、220 FLAKE、233 FLAKE、249 FLAKE、QP8−5314、SR2402、AY42−161、AY42−162、AY42−163、AY42−182、AZ−6101などが挙げられるが、これらに限定されるものではなく、東レダウコーニングシリコーン社製のZ−6187、Z−6210、信越シリコーン社製のLS−3130、LS−5258、LS−5300などの各種シラン化合物から合成したものを用いてもよい。上記の中でも、分子量、動粘度の観点から3037 INTERMEDIATE、Z−6018、SR2402が好ましい。これらシリコーンレジン(b)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。
シリコーンレジンのシラノール基またはアルコキシ基が脱アルコール縮合または加水分解縮合することにより、上記シルセスキオキサンオリゴマーと反応することとなる。そして、かかるシルセスキオキサンオリゴマーと反応して取り込まれることで、得られる反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物に、下記シリコーンレジンセグメントを有することとなる。
そして、このようなシリコーンレジンセグメント構造、シルセスキオキサンセグメント構造を有する反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物の末端は水酸基か炭素数1〜10のアルコキシ基となっている。
Figure 2014185263
(式中、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、R’は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくはアルキル基を示し、a〜dは0または正数であり、a+b+c+d≧2である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。但し、式中に複数存在するOR’基である水酸基、アルコキシ基のうち少なくとも2つは脱離しており、ケイ素原子が上記シルセスキオキサンセグメントの酸素原子に結合している。さらに、c=d=0となることはない。t、kは上記と同じ意味を表す。)
ここで、好ましい例として、a=b=0、d=t=k=2かつ全てのRがメチル基及び/またはフェニル基でないことが好ましい。
次にアルコキシシラン化合物(c)ついて詳細に述べる。アルコキシシラン化合物(c)は下記式(3)の構造を有する。
Figure 2014185263
一般式(3)中のRとしては、水素基、メチル基、フェニル基などを示すが、これらに限定されるものではない。
一般式(3)中のRとしては、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基を示す。例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。これらRは、相溶性、反応性等の反応条件の観点から、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
アルコキシシラン化合物(c)として好ましい具体例としては、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン等が挙げられる。上記の中でもメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
本発明において、アルコキシシラン化合物(c)はブロック型シロキサン化合物(A)の分子量、組成物とした際の相溶性や硬化物の耐熱性、耐光性、低透湿性、低ガス透過性等を調節するために、アルコキシシラン化合物(a)と併用して用いることができる。
アルコキシシラン化合物(c)をアルコキシシラン化合物(a)と併用する場合、アルコキシシラン化合物(a)(c)の合計の5〜70モル%の範囲で用いることが好ましく、5〜50モル%が更に好ましく、10〜40モル%が特に好ましい。70モル%より大きいと、硬化物の架橋密度が下がりすぎて、機械強度が低下するため、好ましくない。
アルコキシシラン化合物(a)、シリコーンレジン(b)、アルコキシシラン化合物(c)の反応比率としては、シリコーンレジン(b)のシラノール基または/およびアルコキシ基1当量に対して、アルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c)を併用)中のアルコキシ基を当量値として1.5〜200、好ましくは2〜200、特に好ましくは2〜100の間で反応を行うことが好ましい。シリコーンレジン(b)の反応基がアルコキシ基である場合、反応系に水を添加することが好ましい。
当量値が200を超えるとブロック型シロキサン化合物(A)を用いた硬化物において柔軟性が損なわれ、脆くなる傾向がある。
以下、本発明の製造方法について具体的に言及する。
特許文献1(国際公開第2005/100445号)の実施例に記載の通り、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどのアルコキシシランモノマーを原料とするポリオルガノシロキサン類の製造方法としては、本来、原料を投入後、触媒及び水の存在下で、一括で加水分解・縮合反応を実施するのが通常である。しかし、本発明のように、アルコキシシランモノマーであるアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))に加えて、シリコーンレジン(b)を使用する場合は、一括で触媒及び水の存在下で加水分解・縮合反応を実施すると、アルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))のアルコキシ基同士の反応が一方的に加速され、形成されたシルセスキオキサン化合物と未反応のシリコーンレジン(b)が取り残され、相溶せず、場合により不均一な白濁した化合物が生じる傾向にあり、光学用途としてはより好ましくない。また、透明性に影響がでない場合でも、合成された化合物の分子量が低くなる傾向にあり、耐熱性の低下や、「べたつき」などを発生する原因となり、好ましくない。
本発明の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法としては以下の(i)、(ii−a)、(ii−b)で示される製造工程を経ることが好ましい。
製造工程(i):水を添加しアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基同士の加水分解縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマーを得る工程
製造工程(ii−a):シラノール基を有するシリコーンレジンのシラノール基とアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基で脱アルコール縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジンを結合させる工程
製造工程(ii−b):アルコキシ基を有するシリコーンレジンに水を添加してシラノール基を生成させ、アルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基と脱アルコール縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジンを結合させる工程
製造工程(i)と(ii−a)および/または(ii−b)の各工程を経由すれば、どのような順に反応を行ってもかまわない。
好ましい製造方法として、具体的には、以下の二種類の製造方法が挙げられる。
<製造方法(イ)>
まず、製造工程(i)として水を添加しアルコキシ基を有するケイ素化合物であるアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))のアルコキシ基同士の加水分解縮合を行うことにより、エポキシ架橋基を有するシルセスキオキサンオリゴマーを得る工程を行う。
次いで製造工程(ii−a)として製造工程(i)で得られたシルセスキオキサンオリゴマーのアルコキシ基とシリコーンレジン(b)のシラノール基を反応させ脱アルコール縮合を行う工程、および/または製造工程(ii−b)として製造工程(i)で得られたシルセスキオキサンのアルコキシ基とシリコーンレジン(b)のアルコキシ基について水を添加することでシラノール基を生成させ、アルコキシ基を有するケイ素化合物と脱アルコール縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジンを結合させる工程を経ることにより本発明のブロック型シロキサン化合物(A)を製造する方法。
<製造方法(ロ)>
最初に製造工程(ii−a)としてアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))のアルコキシ基とシリコーンレジン(b)のシラノール基を反応させ脱アルコール縮合を行ない、シリコーンレジン(b)と官能基を有するアルコキシシラン化合物(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))を結合させる工程。その後、水を添加し、アルコキシ基同士を加水分解縮合させることでシルセスキオキサンセグメントを形成すると共に(製造工程i)、残存しているアルコキシ基をシラノール基へと変換して、アルコキシ基を有するケイ素化合物と脱アルコール縮合を行なうことで、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジンを結合させる工程、および/または最初に製造工程(ii−b)としてアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))に水を添加して、シリコーンレジン(b)のアルコキシ基をシラノール基へと変換し、アルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))のアルコキシ基とシリコーンレジン(b)のシラノール基を反応させ脱アルコール縮合を行ない、シリコーンレジンと官能基を有するアルコキシシランを結合させると共に、添加した水の影響により生じた加水分解縮合によりシルセスキオキサンセグメントを形成させる(製造工程i)方法。尚、必要により、その後水を添加し、残存しているアルコキシ基をシラノール基へと変換して、アルコキシ基を有するケイ素化合物と脱アルコール縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジンを結合させる工程により、本発明のブロック型シロキサン化合物(A)を製造する方法を採用することができる。
本発明においては溶剤溶解性の良好な低分子量分布の製品を得るという観点から、シリセスキオキサンオリゴマー同士を縮合させる、前述の製造方法(イ)を用いることが好ましい。
以下、さらに具体的に製造方法(イ)について述べる。
予めアルコキシシラン化合物(a)(必要により、アルコキシシラン化合物(c))を反応させシルセスキオキサンオリゴマーを合成した場合、前述の製造方法(ロ)と比較し、残存するアルコキシ基の量論が少ないため、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジン(b)とのオリゴマー同士の縮合反応が起こりにくく、分子量分布の低い製品を得ることができる。一方で、製造方法(ロ)のように製造工程(ii)にようにワンポットで製造を行なう方法を用いれば、シリコーンレジン(b)がアルコキシシラン化合物(a)や(c)と結合し、残存するアルコキシ基の量論が増加するために、シリコーンレジン(b)同士がアルコキシシラン化合物(a)や(c)を介して縮合してしまい、分子量分布が高くなることから、溶剤に溶けなくなる、という問題が起こり得る。
さらには未反応の低分子アルコキシシランが多量に存在することになるため、反応性の観点からも好ましい。
ワンポットで行なう場合の製造工程(i)を第1段階反応、製造工程(ii)を第2段階反応とすると、まず第1段階反応(製造工程(i))において、アルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))に水を添加して脱アルコール縮合を行ない、シルセスキオキサンオリゴマー(d)を得る。水の仕込み量を、用いたアルコキシ基1当量に対して1/2当量以上用いて反応させた場合、シルセスキオキサンオリゴマー(d)は下記式(4)で示されるような構造で存在していると考えられる。
Figure 2014185263
及び/または
Figure 2014185263
ないし
Figure 2014185263
式(4)中、R、R、R、X、t、kは前記と同じ意味を示し、a´は正数であり、b´、c´、d´、e´、f´、g´、h´は0または正数である。
第1段階反応において、水の添加量はアルコキシ基に対して0.1〜5当量の間で反応させることが好ましく、より好ましくは0.2〜0.5当量である。反応を完全に行ききらせないことで、相溶性と透明性のバランスの優れた樹脂が得られることから、0.25〜0.49当量がさらに好ましい。0.1当量より少ないと、アルコキシシラン化合物(a)および/またはアルコキシシラン化合物(c)の脱アルコール縮合の進行が悪く、モノマー成分が多いため、組成物として硬化させる際、反応をキャップし、良好な硬化物が得られない。また5当量より多いと第1段反応終了時に高分子になりすぎてゲル化がおきてしまう。
第1段階反応終了後、シリコーンレジン(c)がシラノール基を含む場合、そのまま前述のシルセスキオキサノリゴマー(d)にシリコーンレジン(b)を添加し、脱アルコール縮合を行なう第2段反応(製造工程(ii))を行なう。および/またはシリコーンレジン(b)がアルコキシ基を含む場合、水とシリコーンレジン(b)に加え、脱アルコール反応を行なう第2段階反応(製造工程(ii))を行なう。第2段階反応では、下記に示す(I)〜(IV)の反応が起きている。
(I)系中に残存しているアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))のアルコキシ基同士の縮合反応。
(II)第1段階反応で得られたシルセスキオキサンオリゴマー(d)のアルコキシ基同士の縮合反応。
(III)第1段階反応で得られたシルセスキオキサンオリゴマー(d)とシリコーンレジン(b)のアルコキシ基同士、シラノール基同士、またはアルコキシ基とシラノール基の縮合反応。
(IV)シリコーンレジン(b)のアルコキシ基同士、シラノール基同士、またはアルコキシ基とシラノール基の縮合反応。
第2段階反応においては上記反応が複合して起こり、シルセスキオキサンオリゴマーの形成と、さらにシリコーンレジン由来のシリコーンレジンセグメントとの縮合が同時に行なわれる。
第2段階反応において、シリコーンレジン(b)がアルコキシ基を含む場合、水を添加して前述の(I)〜(IV)の脱アルコール縮合を進行させることが好ましい。水の添加量はアルコキシ基に対して0.1〜5当量が好ましく、より好ましくは0.2〜0.5当量である。アルコキシ基同士の加水分解縮合反応を完全に行ききらせないことで、相溶性と透明性のバランスの優れた樹脂が得られることから、0.25〜0.49当量がさらに好ましい。0.1当量より少ないと、シルセスキオキサンオリゴマーとシリコーンレジン(b)の反応が悪く、未反応のシリコーンレジン(b)が残存するため、組成物として硬化させる際、良好な硬化物が得られない。また5当量より多いと第2段反応終了時に高分子になりすぎてゲル化がおきてしまう。
上記、第1段階反応、第2段階反応を経て製造された、本発明のブロック型シロキサン化合物(A)は透明性、およびそれを用いた硬化体は耐熱性に優れる。
本発明の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)の製造は無触媒でも行なえるが、無触媒だと反応進行が遅く、反応時間短縮の観点から触媒存在下で行なうことが好ましい。用い得る触媒としては、酸性または塩基性を示す化合物であれば使用する事ができる。酸性触媒の例としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基性触媒の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩等の無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機塩基を使用することができる。これらの中でも、特に生成物からの触媒除去が容易である点で無機塩基が好ましく、特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。触媒の添加量は、反応系中のアルコキシシラン化合物(a)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))の合計重量に対し、通常0.001〜7.5重量%、好ましくは0.01〜5重量%である。
触媒の添加方法は、直接添加するか、可溶性の溶剤等に溶解させた状態で使用する。前述のように縮合反応に水を用いるため、必要量の水に溶解させた状態で添加することで、簡略に製造が行えるため、水溶液の状態で添加することが好ましい。この際、触媒を系内均一に分散させるために、溶剤にメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類を添加しておくことが反応を均一に進行させる点で好ましい。
本発明の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)の製造は、無溶剤または溶剤中で行うことができる。また、製造工程の途中で溶剤を追加することもできる。使用する場合の溶剤としては、アルコキシシラン化合物(a)、シリコーンオイル(b)(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))、シルセスキオキサンオリゴマー(d)を溶解する溶剤であれば特に制限はない。このような溶剤としては、例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランのような非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。本発明においては反応制御の観点からアルコール類中での反応が好ましく、メタノール、エタノールがより好ましい。溶剤の使用量は、反応が円滑に進行する範囲であれば特に制限はないが、アルコキシシラン化合物(a)、シリコーンレジン(b)、(必要に応じてアルコキシシラン化合物(c))の化合物の合計重量100部に対して、通常0〜900重量部程度使用する。反応温度は、触媒量にもよるが、通常20〜160℃、好ましくは40〜140℃、特に好ましくは50〜150℃である。又、反応時間は各製造工程においてそれぞれ通常1〜40時間、好ましくは5〜30時間である。
反応終了後、必要に応じてクエンチ、および/又は水洗によって触媒を除去する。水洗を行う場合、使用している溶剤の種類によっては水と分離可能な溶剤を加えることが好ましい。好ましい溶剤としては例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。
本反応は水洗のみで触媒の除去を行っても構わないが、酸性、塩基性条件、いずれかの条件で反応を行うことから、中和反応によりクエンチを行った後に水洗を行なうか、吸着剤を用いて触媒を吸着した後にろ過により吸着剤を除くことが好ましい。
中和反応には酸性または塩基性を示す化合物であれば使用する事ができる。酸性を示す化合物の例としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸や蟻酸、酢酸、蓚酸等の有機酸が挙げられる。また、塩基性を示す化合物の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化セシウムのようなアルカリ金属水酸化物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムのようなアルカリ金属炭酸塩、燐酸、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸トリナトリウム、ポリ燐酸、トリポリ燐酸ナトリウムのようなリン酸塩類等の無機塩基、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチレントリアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機塩基を使用することができる。これらの中でも、特に生成物からの除去が容易である点で無機塩基もしくは無機酸が好ましく、さらに好ましくは中性付近へのpHの調整がより容易である燐酸塩類などである。
吸着剤としては活性白土、活性炭、ゼオライト、無機・有機系の合成吸着剤、イオン交換樹脂等が例示でき、具体例としては下記の製品が挙げられる。
活性白土としては、例えば、東新化成社製として、活性白土SA35、SA1、T、R−15、E、ニッカナイトG−36、G−153、G−168が、水沢化学工業社製として、ガレオンアース、ミズカエースなどが挙げられる。活性炭としては、例えば、味の素ファインテクノ社製として、CL−H、Y−10S、Y−10SFがフタムラ化学社製として、S、Y、FC、DP、SA1000、K、A、KA、M、CW130BR、CW130AR、GM130Aなどが挙げられる。ゼオライトとしては、例えば、ユニオン昭和社製として、モレキュラーシーブ3A、4A、5A、13Xなどが挙げられる。合成吸着剤としては、例えば、協和化学社製として、キョーワード100、200、300、400、500、600、700、1000、2000や、ローム・アンド・ハース社製として、アンバーリスト15JWET、15DRY、16WET、31WET、A21、アンバーライトIRA400JCl、IRA403BLCl、IRA404JClや、ダウケミカル社製、ダウエックス66、HCR−S、HCR−W2、MAC−3などが挙げられる。
吸着剤を反応液に加え、攪拌、加熱等の処理を行い、触媒を吸着した後に、吸着剤をろ過、さらには残渣を水洗することによって、触媒、吸着剤を除くことができる。
反応終了後またはクエンチ後は水洗、ろ過の他慣用の分離精製手段によって精製することができる。精製手段としては例えば、カラムクロマトグラフィー、減圧濃縮、蒸留、抽出等が挙げられる。これらの精製手段は単独で行なってもよいし、複数を組み合わせて行なってもかまわない。
反応溶媒として水と混合する溶媒を用いて反応した場合には、クエンチ後に蒸留または減圧濃縮によって水と混合する反応溶媒を系中から除いた後に、水と分離可能な溶剤を用いて水洗を行なうことが好ましい。
水洗後は減圧濃縮等により溶剤を除去することで、本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)を得ることができる。溶剤を部分的に除去して、ワニス品としても構わない。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の外観は、通常無色透明である。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の分子量はGPCで測定した重量平均分子量として500〜20,000のものが好ましく、800〜10,000のものがより好ましく、特に1,000〜6,000のものが好ましい。重量平均分子量が500より下回る場合は、系内に未反応のアルコキシシラン化合物(a)および/またはアルコキシシラン化合物(c)が残る可能性が高く、良好な硬化物が得られない。20,000を上回る場合は粘度が上昇し作業性に弊害が生じる。
重量平均分子量はGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて下記条件下測定されたポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)である。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)において、以下に定義するアルキル炭素率を30〜100%の間で任意に調整することができる。
(アルキル炭素率)=(側鎖に占めるアルキル鎖中の炭素原子数)/(側鎖に占める総炭素原子数)
アルキル炭素率は組成物に含まれる芳香環との相溶性を系統立てるパラメーターとなる。組成物中に芳香環が多く含まれる場合、アルキル炭素率は低いものが好ましく、組成物中に芳香環が少ない場合、アルキル炭素率を高めたものが好ましい。ただし、アルキル炭素率が30%を下回ると、芳香環が多く含まれるために、耐光性が悪くなる可能性が有る。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)において、以下に定義する酸素率を3〜30%の間で任意に調整することができる。
(酸素率)=(側鎖に占める酸素原子数)/(側鎖に占める総原子数)
酸素率は組成物中の極性基との相溶性を系統立てるパラメーターとなる。組成物中に極性基が多く含まれる場合、酸素率が高いものが好ましく、組成物中に極性基が少ない場合、酸素率が低いものが好ましい。ただし、酸素率が3%を下回ると、エポキシ基などの反応性官能基が少ないため、耐熱性に劣ることが懸念され、30%を上回ると、吸水率が高くなるため、耐リフロー特性が低くなる可能性が有る。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)のエポキシ当量(JIS
K−7236に記載の方法で測定)は200〜1,600g/eqのものが好ましく、300〜1,000g/eqのものがより好ましく、特に400〜900g/eqのものが好ましい。エポキシ当量が200g/eqを下回る場合は硬化物が硬くなりすぎて、低弾性率性に劣る恐れがあり、1,600g/eqを上回る場合は硬化物の機械特性が悪化する傾向にあり好ましくない。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)中のシルセスキオキサン由来の、3つの酸素に結合しているケイ素原子の全ケイ素原子に対する割合は5〜50モル%が好ましく、8〜30モル%がより好ましく、特に10〜20モル%が好ましい。シルセスキオキサン由来の、3つの酸素に結合しているケイ素原子の全ケイ素原子に対する割合が5モル%を下回ると、良好な硬化物が得られず、硬化物がやわらかくなりすぎる傾向にあり、表面タックや傷つきの懸念がある。また50モル%を上回るとシルセスキオキサンセグメントの特徴として硬化物が硬くなりすぎて低弾性率特性が低下し、ヒートサイクル試験が悪化する傾向にあり好ましくない。
存在するケイ素原子の割合は、ブロック型シロキサン化合物(A)の1H NMR、29Si NMR、元素分析等によって求めることができる。
本発明の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)は硬化性樹脂組成物の成分として用いることができる。
また、本発明の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)を硬化性樹脂組成物の成分として用いる場合は、物性の妨げにならない範囲内で、他のエポキシ樹脂を併用することが出来る。併用する場合、反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)と他のエポキシ樹脂を併せた全体のエポキシ樹脂に占める割合としては、20〜90重量%が好ましく、特に30〜90重量%が好ましい。
更には、本発明の硬化性樹脂組成物において、反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)もしくは他のエポキシ樹脂と併せた全エポキシ樹脂の割合は組成物中に30〜90重量%程度である。
他のエポキシ樹脂の具体例としては、ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂の核水素化物、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
ポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、ジメチル−4,4’−ビフェニルフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン等のポリフェノール化合物のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂が挙げられ、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物である多官能エポキシ樹脂としては、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物が挙げられ、芳香族エポキシ樹脂の核水素化物としてはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等のフェノール化合物のグリシジルエーテル化物、またはフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物の核水素化物が挙げられ、脂環式エポキシ樹脂としては、2,2′−ビス(4−グリシジルオキシシクロヘキシル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカーボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキサイド、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−5,5−スピロ−(3,4−エポキシシクロヘキサン)−1,3−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)アジペート等シクロヘキサン等の脂肪族骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂としては1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、キシリレングリコール誘導体等の多価アルコールのグリシジルエーテル類、複素環式エポキシ樹脂としてはイソシアヌル環、ヒダントイン環等の複素環を有する複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂としてはヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のカルボン酸類からなるエポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂としてはアニリン、トルイジン、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン誘導体、ジアミノメチルベンゼン誘導体等のアミン類をグリシジル化したエポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂としてはブロム化ビスフェノールA、ブロム化ビスフェノールF、ブロム化ビスフェノールS、ブロム化フェノールノボラック、ブロム化クレゾールノボラック、クロル化ビスフェノールS、クロル化ビスフェノールA等のハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂が挙げられる。
これらエポキシ樹脂の使用にあたっては特に制限はないが、透明性の観点から着色性の少ないものがより好ましい。通常、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール、テトラメチル−4,4’−ビフェノール、1−(4−ヒドロキシフェニル)−2−[4−(1,1−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニル]プロパン、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、2,6−ジtert−ブチルハイドロキノン、ジイソプロピリデン骨格を有するフェノール類、1,1−ジ−4−ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類のグリシジル化物である多官能エポキシ樹脂、フェノール、クレゾール類、ビスフェノールA、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂等の各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、4,4’−ビフェノール等のフェノール化合物のグリシジルエーテル化物、またはフェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ナフトール類等の各種フェノールを原料とするノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物の核水素化物、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル3’,4’−シクロヘキシルカルボキシレート等のシクロヘキサン骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、1,6−ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールのグリシジルエーテル類、トリグリシジルイソシアヌレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステルなどが好ましく用いられ、耐熱透明性、耐光透明性の観点から、シクロヘキサン骨格を有する脂環式エポキシ樹脂が特に好ましい。これらエポキシ樹脂は耐熱性付与等必要に応じ1種又は2種以上の混合物として併用することが出来る。
本発明に用いられる硬化剤(B)及び硬化促進剤(C)についての詳細を述べる。
硬化剤(B)としては、アミン系化合物、酸無水物系化合物、カルボン酸系化合物、アミド系化合物、フェノール系化合物等を特に制限無く使用できる。具体的には、ジアミノジフェニルメタン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン、ジシアンジアミド、テトラエチレンペンタミン、ジメチルベンジルアミン、ケチミン化合物、リノレン酸の2量体とエチレンジアミンより合成されるポリアミド樹脂、フタル酸無水物、トリメリット酸無水物、ピロメリット酸無水物、マレイン酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、水素化ナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、メチルナジック酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,3,4−シクロヘキサントリカルボン酸−3,4−無水物、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、トリメリット酸、シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、ビスフェノール類、フェノール類(フェノール、アルキル置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等)と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類と芳香族ジメチロールとの重縮合物、又はビスメトキシメチルビフェニルとナフトール類若しくはフェノール類との縮合物等、ビフェノール類及びこれらの変性物、イミダゾール、3フッ化硼素−アミン錯体、グアニジン誘導体などが挙げられる。これらの中でも、エポキシ樹脂と混合して樹脂組成物とした際の適度な可使時間、硬化物の透明性の観点から、酸無水物系化合物、カルボン酸系化合物が特に好ましく、ヘキサヒドロフタル酸無水、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、1,3,4−シクロヘキサントリカルボン酸−3,4−無水物、水素化ナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物が特に好ましい。
硬化剤(B)の使用量は、組成物中の反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)もしくは他のエポキシ樹脂と併せた全エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対して0.2〜1.5当量程度が好ましく、0.3〜1.2当量程度が特に好ましい。また、特に硬化剤(B)としてベンジルジメチルアミン等の3級アミンを使用する場合の硬化剤の使用量としては、組成物中のエポキシ基含有化合物に対し、0.3〜20重量%使用することが好ましく、0.5〜10重量%が特に好ましい。
硬化促進剤(C)としては、例えば、2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−ウンデシルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−エチル,4−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6(2'−メチルイミダゾール(1'))エチル−s−トリアジン・イソシアヌル酸付加物、2-メチルイミダゾールイソシアヌル酸の2:3付加物、2−フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2−フェニル−3,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−ヒドロキシメチル−5−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニル−3,5−ジシアノエトキシメチルイミダゾールの各種イミダゾール類、及び、それらイミダゾール類とフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、マレイン酸、蓚酸等の多価カルボン酸との塩類、ジシアンジアミド等のアミド類、1,8−ジアザ−ビシクロ(5.4.0)ウンデセン−7等のジアザ化合物及びそれらのテトラフェニルボレート、フェノールノボラック等の塩類、前記多価カルボン酸類、又はホスフィン酸類との塩類、テトラブチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムブロマイド、セチルトリメチルアンモニュウムハイドロキサイド、トリオクチルメチルアンモニュウムブロマイド等のアンモニュウム塩、トリフェニルホスフィン、トリ(トルイル)ホスフィン、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、メチルトリブチルホスホニウムジメチルホスフェート等のホスフィン類やホスホニウム化合物、2,4,6−トリスアミノメチルフェノール等のフェノール類、アミンアダクト、及びこれら硬化剤をマイクロカプセルにしたマイクロカプセル型硬化促進剤等が挙げられる。これら硬化促進剤のどれを用いるかは、例えば透明性、硬化速度、作業条件といった得られる透明樹脂組成物に要求される特性によって適宜選択される。硬化促進剤は、反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)、もしくは他のエポキシ樹脂と併せた100重量部に対し通常0.001〜15重量部の範囲で使用される。
本発明の硬化性樹脂組成物には、透明性を損なわない範囲で、目的に応じ無機質充填剤、着色剤、シリコーン樹脂、レベリング剤、滑剤、カップリング剤、レベリング剤、滑剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光体等を適宜添加することが出来る。
無機質充填剤としては、特に制限はなく、結晶性あるいは非結晶性シリカ、タルク、窒化ケイ素、ボロンナイトライド、アルミナ、シリカ・チタニア混融体等が挙げられる。
着色剤としては特に制限はなく、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁殻、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料が挙げられる。
シリコーン樹脂としては、ジメチルシリコーン、フェニルメチルシリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、アミン変性シリコーン、ビニル変性シリコーン、シリル変性シリコーンなどが挙げられる。
レベリング剤としてはエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート類からなる分子量4,000〜12,000のオリゴマー類、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、水添ひまし油、チタン系カップリング剤等が挙げられる。
滑剤としてはパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシュウム、カルシュウム、カドニュウム、バリュウム、亜鉛、鉛等の金属塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、密ロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類が挙げられる。
カップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニュウムジルコニュウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニュウム、或いはアルミニュウム系カップリング剤が挙げられる。
光安定剤としては、ヒンダートアミン系の光安定剤、特にHALS等が好適である。HALSとしては特に限定されるものではないが、代表的なものとしては、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’―ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ〔{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}〕、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)〔〔3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドリキシフェニル〕メチル〕ブチルマロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1−オクチロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、等が挙げられる。HALSは1種のみが用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
酸化防止剤としては、フェノール系、イオウ系、リン系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の具体例として、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−p−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、等のモノフェノール類;2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸エチル)カルシウム等のビスフェノール類;1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、トコフェノール等の高分子型フェノール類が例示される。
イオウ系酸化防止剤の具体例として、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリルル−3,3’−チオジプロピオネート等が例示される。
リン系酸化防止剤の具体例として、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、ビス[2−t−ブチル−6−メチル−4−{2−(オクタデシルオキシカルボニル)エチル}フェニル]ヒドロゲンホスファイト等のホスファイト類;9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド等のオキサホスファフェナントレンオキサイド類などが例示される。
これらの酸化防止剤はそれぞれ単独で使用できるが、2種以上を組み合わせて併用しても構わない。特に本発明においてはリン系の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の使用量は、本発明の硬化性樹脂組成物中の樹脂成分に対して100重量部に対して、通常0.008〜1重量部、好ましくは0.01〜0.5重量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A)、硬化剤(B)及び必要に応じて硬化促進剤(C)、更には必要により無機質充填剤、基材、着色剤、シリコーン樹脂、レベリング剤、滑剤、カップリング剤、光安定剤、酸化防止剤、蛍光体等の配合成分を、配合成分が固形の場合はヘンシェルミキサー、ナウターミキサー等の配合機を用いて混合後、ニーダー、エクストルーダー、加熱ロールを用いて80〜120℃で混練し冷却後、粉砕して粉末状として得ることができる。一方、配合成分が液状の場合はプラネタリーミキサー等を用いて均一に分散して本発明の樹脂組成物とする。
また必要に応じて有機溶剤に溶解しても構わない。溶剤としては各成分を均一に溶解或いは分散できるものであれば制限はないが、シリコーン樹脂への溶解性の観点から、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、テトラヒドロフランのような非プロトン性極性溶媒、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノンのようなケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、ブタン酸イソプロピルなどのエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールのようなアルコール類、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレンのような炭化水素等が例示できる。これらの配合物に公知の処理(撹拌、混合、混練処理など)を施すことで、均一に分散な樹脂組成物を得ることができる。
こうして得られた本発明の組成物は、LED、フォトセンサー、トランシーバー等に用いられる各種光学材料、透明フィルム、プリプレグ、金属箔張積層板などに有効な硬化物を与える。本発明の硬化物を得るには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド、ディスペンス法、印刷法等の従来の成型方法で成形すれば良い。またガラス繊維、無機繊維、有機繊維などの基材と組み合わせ、樹脂組成物を基材に含浸または塗布した後、乾燥機などで溶剤を除去、半硬化(Bステージ化)させてプリプレグとしても構わない。
また、施行後の樹脂組成物を硬化させるための加熱方法としては、特に限定されるものではなく、熱風循環式加熱、赤外線加熱、高周波加熱等の従来公知の方法を採用できる。尚、本発明を金属箔張積層板として用いる場合、上述のプリプレグを少なくとも1枚以上重ね、その片面もしくは両面に銅やアルミニウムなどの金属箔を配し、多段プレス機、多段真空プレス機、連続成形機、オートクレーブなどの公知の方法にて積層成型することにより、得ることができる。硬化条件は、通常、80〜250℃程度で30秒〜15時間の範囲で加熱して行われる。また必要に応じて、2〜100kgf/cmの圧力を加えるが、適宜、条件を変更しても差し支えない
以下、本発明を合成例、実施例により更に詳細に説明する。尚、本発明はこれら合成例、実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は以下の方法で測定した。
(1)分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件下測定されたポリスチレン換算、重量平均分子量を算出した。
GPCの各種条件
メーカー:島津製作所
カラム:ガードカラム SHODEX GPC KF−802.5(2本) KF−802 KF−803
流速:1.0ml/min.
カラム温度:40℃
使用溶剤:THF(テトラヒドロフラン)
検出器:RI(示差屈折検出器)
(2)エポキシ当量:JIS
K−7236に記載の方法で測定。
(3)粘度:東機産業株式会社製E型粘度計(TV−20)を用いて25℃で測定。
以下、合成例、実施例により本発明を更に詳細に説明する。なお、合成例、実施例において「部」は重量部を、「%」は重量%をそれぞれ意味する。
(実施例1)
第1段階反応として、β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン431.1部(アルコキシ基当量82.1)、フェニルトリメトキシシラン198.3部(アルコキシ基当量66.1)、メチルトリメトキシシラン6.8部(アルコキシ基当量45.4)、メチルイソブチルケトン(MIBK)954.4部、メタノール20.0部を反応容器に仕込み、室温で撹拌した。続いて、0.5%水酸化カリウム(KOH)水溶液67.5部(水量:対アルコキシ基0.45倍)を30分かけて滴下し、滴下後に50℃まで昇温し、5時間撹拌することで、理論上アルコキシ基を90%反応させた。
第2段階反応として、第1段階反応後の系内にメチル系シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社:SR2402、本願式(2)に記載のメチル系液状物)450.0部を添加し、さらに水0.8部(対アルコキシ基0.45倍)を30分かけて滴下し、5時間撹拌することで、残存アルコキシ基を90%まで反応させた。反応終了後、10%リン酸2水素ナトリウム水溶液でクエンチし、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、水洗を4回繰り返し精製し、有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより70%MIBKカットの反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A−1)798部を得た。得られたワニス品のエポキシ当量は514g/eq、重量平均分子量は2552、粘度は17.4mPa・s、外観は無色透明であった。
(実施例2)
β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン319.1部(アルコキシ基当量82.1)、フェニルトリメトキシシラン110.1部(アルコキシ基当量66.1)、メチルトリメトキシシラン5.0部(アルコキシ基当量45.4)、MIBK651.2部、メタノール14.8部を反応容器に仕込み、室温で撹拌した。続いて、0.5%水酸化カリウム(KOH)水溶液40.8部(水量:対アルコキシ基0.40倍)を30分かけて滴下し、滴下後に50℃まで昇温し、5時間撹拌することで、理論上アルコキシ基を90%反応させた。
第2段階反応として、第1段階反応後の系内にプロピルフェニル系シリコーンレジン(東レダウコーニングシリコーン社:Z−6018)296.0部を添加し、5時間撹拌することで、残存アルコキシ基を90%まで反応させた。反応終了後、10%リン酸2水素ナトリウム水溶液でクエンチし、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、水洗を4回繰り返し精製し、有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより70%MIBKカットの反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A−1)832部を得た。得られたワニス品のエポキシ当量は464g/eq、重量平均分子量は5428、粘度は260.1mPa・s、外観は無色透明であった。
(実施例3)
β-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン431.2部(アルコキシ基当量82.1)、メチルトリメトキシシラン6.8部(アルコキシ基当量45.4)、MIBK657.0部、メタノール20.0部を反応容器に仕込み、室温で撹拌した。続いて、0.5%水酸化カリウム(KOH)水溶液32.4部(水量:対アルコキシ基0.33倍)を30分かけて滴下し、滴下後に50℃まで昇温し、10時間撹拌することで、理論上アルコキシ基を67%反応させた。
第2段階反応として、第1段階反応後の系内にシクロヘキシルメチルジメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン社:Z−6187)141.1部、MIBK211.6部、メタノール20部を反応容器に仕込み、室温で撹拌した。続いて、0.5%水酸化カリウム(KOH)水溶液10.1部(水量:対アルコキシ基0.5倍)を30分かけて滴下し、10時間撹拌することで、残存アルコキシ基を75%まで反応させた。反応終了後、10%リン酸2水素ナトリウム水溶液でクエンチし、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、水洗を4回繰り返し精製し、有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより70%MIBKカットの反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A−1)430部を得た。得られたワニス品のエポキシ当量は342g/eq、重量平均分子量は1188、粘度は30.2mPa・s、外観は無色透明であった。
(実施例4)
シクロヘキシルメチルジメトキシシラン(東レダウコーニングシリコーン社:Z−6187)141.1部、MIBK211.6部、メタノール20部を反応容器に仕込み、室温で撹拌した。続いて、2.0%水酸化カリウム(KOH)水溶液13.5部(水量:対アルコキシ基0.50倍)を30分かけて滴下し、滴下後に50℃まで昇温し、10時間撹拌することで、理論上すべてのアルコキシ基を反応させた。
第2段階反応として、第1段階反応後の系内にβ-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン431.2部(アルコキシ基当量82.1)、メチルトリメトキシシラン6.8部(アルコキシ基当量45.4)、MIBK657.0部を添加し、さらに水0.5部(対アルコキシ基0.37倍)を30分かけて滴下し、5時間撹拌することで、残存アルコキシ基を84%まで反応させた。反応終了後、10%リン酸2水素ナトリウム水溶液でクエンチし、80℃でメタノールの蒸留回収を行った。その後、水洗を4回繰り返し精製し、有機相を減圧下、100℃で溶媒を除去することにより70%MIBKカットの反応性官能基を有するブロック型シロキサン化合物(A−1)452部を得た。得られたワニス品のエポキシ当量は360g/eq、重量平均分子量は1428、粘度は33.6mPa・s、外観は無色透明であった。
実施例1〜4で得られたワニス品A−1〜A−4についての性状を表1にまとめた。
Figure 2014185263

Claims (19)

  1. 下記シルセスキオキサンセグメント(SO)
    Figure 2014185263
    (上記式中、Yは水素原子、エポキシ基を有する反応性官能基、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を表し、lは2以上の整数を表す。尚、*は反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物中のケイ素原子への結合を表す。但し、Yが全てエポキシ基を有する反応性官能基以外の基からなることはない。)
    と下記シリコーンレジンセグメント(SR):
    Figure 2014185263
    (式中、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、R’は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状のアルキル基を示し、a〜eは0または正数であり、a+b+c+d≧2であり、tは0〜2の整数であり、kは0〜3の整数である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。但し、式中に複数存在するOR’基である水酸基、アルコキシ基のうち少なくとも2つは脱離しており、ケイ素原子が上記シルセスキオキサンセグメントの酸素原子に結合している。また、c=d=0となること、或いはa=b=0、d=t=k=2かつ全てのRがメチル基及び/またはフェニル基であることはない。)
    を有するブロック型のシロキサンオリゴマーであって、シルセスキオキサンセグメント中に少なくとも1つのエポキシ基を有する反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  2. 下記シルセスキオキサンオリゴマー(a1)と、下記シリコーンレジン(a2)を、縮合、または水を添加して加水分解・縮合させて得られる事を特徴とする請求項1に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
    シルセスキオキサンオリゴマー(a1):
    下記一般式(1)
    Figure 2014185263
    (式中、Xはエポキシ基を有する反応性官能基、Rは炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基同士、または上記一般式(1)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基及び下記一般式(3)
    Figure 2014185263
    (式中、Rとしては、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基を示し、Rは、炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコキシシラン化合物のアルコキシ基を、
    水を添加して加水分解・縮合させて得られるシルセスキオキサンオリゴマー
    シリコーンレジン(a2):
    下記一般式(2)
    Figure 2014185263
    (式中、複数存在するRは互いに同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、炭素数6〜14のアリール基、炭素数2〜10のアルケニル基、炭素数2〜9のアミノアルキル基、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基又はグリシドキシプロピル基を、Rは水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状のアルキル基を示し、a〜dは0または正数であり、a+b+c+d≧2である。但し、式中全てのRがβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基となることはない。また、c=d=0となることはない。t、kは上記と同じ意味を表す。)で表されるシリコーンレジン及び/または下記一般式(2a)で表されるシリコーンレジン
    Figure 2014185263
    (式中、Rは上記と同じものを示す。)
  3. 前記反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物において、前記シリコーンレジンセグメント(SR)がa=b=0であって、t=k=2であり、かつ複数存在するRの少なくとも一つがシクロへキシル基であることを特徴とする請求項1に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物。
  4. 一般式(2)のRがメチル基、エチル基、プロピル基、またはフェニル基を示し、一般式(1)のRがメチル基および/又はエチル基を示し、一般式(3)のRがメチル基および/又はエチル基を示す、請求項2に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  5. 一般式(1)のXが、エポキシシクロヘキシルエチル基である請求項2、3〜4のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  6. シリコーンレジン(a2)において、前記一般式(2)の重量平均分子量(Mw)が200〜18,000であるシリコーンレジンを含有する、請求項2、4〜5のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  7. シリコーンレジン(a2)において、前記一般式(2)の重量平均分子量(Mw)が500〜20,000であるシリコーンレジンを含有する、請求項2、4〜6のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  8. 上記シリコーンレジンセグメント(SR)において、複数存在するRの少なくとも一つがメチル基および/又はフェニル基を有する請求項1に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  9. 上記シルセスキオキサンセグメント(SO)の複数存在するYの少なくとも一つが、エポキシシクロヘキサン構造であることを特徴とする請求項1または請求項8のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)。
  10. シラノール基及び/またはアルコキシ基を有する上記式(2)のシリコーンレジンと、アルコキシ基を有する上記シルセスキオキサンオリゴマーを縮合させて得られる事を特徴とする請求項1,請求項8〜9のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
  11. 以下の(i)、(ii)で示される二段階の製造工程を必須とする請求項1,請求項8〜9のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
    製造工程(i):水を添加しアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基同士の加水分解縮合を行なう工程
    製造工程(ii):シラノール基を有するシリコーンレジンのシラノール基とアルコキシ基を有するケイ素化合物のアルコキシ基で脱アルコール縮合を行なう工程
  12. 製造工程(i)、(ii)を逐次的にワンポットで行なうことを特徴とする請求項11に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
  13. アルコキシ基を有するケイ素化合物が、トリアルコキシシラン化合物および/又はそれらの縮合物である請求項11または12のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
  14. トリアルコキシシラン化合物が、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、並びにβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン及び、フェニルトリメトキシシラン及び/またはメチルトリメトキシシランである請求項13に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
  15. シラノール基に対し当量値として1.5〜200のアルコキシ基存在下で脱アルコール縮合重合により両末端にシラノール基を有するシリコーンオイルとトリアルコキシシラン化合物の縮合(製造工程i)を行ない、次いで水を添加し、トリアルコキシシラン化合物同士の縮合工程、および製造工程iにおいて得られた末端がアルコキシシリル変性されたシリコーンオイルとアルコキシ基を有するケイ素化合物の縮合工程(製造工程ii)を行なう、請求項10〜14のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)の製造方法。
  16. 請求項1〜9のいずれか一項に記載の反応性官能基含有ブロック型シロキサン化合物(A)、及び硬化剤(B)を含有することを特徴とする硬化性樹脂組成物。
  17. 硬化促進剤(C)を含有することを特徴とする請求項16に記載の硬化性樹脂組成物。
  18. 請求項16または請求項17のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を熱硬化して得られる光半導体用硬化物。
  19. 請求項18に記載の光半導体用硬化物によって構成される光半導体装置。
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