JP2014185059A - 水素の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】製油所等からのオフガスのように、水素含有割合が高く、圧力も比較的低い炭化水素含有ガスを原料として、高い生産性で水素を製造することを可能にする水素の製造方法を提供する。
【解決手段】炭化水素及び水素を含有するガスを、不飽和炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1以上を含有する炭化水素油と共に、水素化触媒の存在下、液空間速度が0.5〜5h−1、0.1〜0.6Mpa、100〜250℃で水素化処理する水素化工程、前記水素化工程により得られた水素化処理物を、10容量%以下の水素を含有する炭化水素ガスと炭化水素油とに分離する分離工程、及び前記分離工程により分離された炭化水素ガスを原料として、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造工程、を有することを特徴とする、水素の製造方法を提供する。
【選択図】なし

Description

本発明は、炭化水素及び水素を含有するガスを水素化処理したガスを原料として水素を製造する方法に関する。より詳細には、製油所や石油化学工場に設置されている水蒸気改質反応による水素製造装置において、その施設内から発生するいわゆるオフガスを原料として、高い生産性で水素を製造することをも可能にする水素の製造方法に関する。
製油所や石油化学工場等では、各種の生産工程で多量の水素を必要とする場合が多い。そこで、多くの製油所等では、水蒸気改質反応を活用した水素製造装置を設け、この装置で製造された水素を使用している。
ここで、水蒸気改質反応とは、炭化水素源と水蒸気とを混合して、圧力2〜3MPa程度、温度800〜1,000℃に加熱して、水蒸気による炭化水素の改質反応を生じさせ、水素と一酸化炭素と二酸化炭素に変換する反応である。当該反応後、一酸化炭素と二酸化炭素を除去する変性工程などを経ることにより、水素純度が95%程度の高純度の水素を得ることができる。水蒸気改質反応においては、原料である炭化水素源として、LNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)はもとより、軽質ナフサなどの炭化水素油も用いることができる。
炭化水素源を水素製造装置に導入した場合の物質収支を考えると、水蒸気改質反応により、炭化水素1モルから水素数モルが生成される。つまり、水素を水素製造装置に導入しても水蒸気改質反応は起こらず、導入された水素はそのまま反応産物に持ち込まれるにすぎない。このため、水素の生産量を向上させるためには、水素を含まず、炭化水素のみからなる原料が好ましいことになる。
一方で、石油精製プロセスにおいては、常圧蒸留装置、脱硫装置、接触改質装置などからは、メタンやエタンなどの軽質な飽和炭化水素や水素などを含むガス成分が、オフガスとして副生される。これらのオフガスは、ボイラーや加熱炉の燃料として利用される場合が多いが、石油精製プロセスにおける脱硫工程や水素化分解工程で必要な水素を製造するための原料として利用されることもある。
ただし、オフガス中には、その発生する装置にもよるが、水素を20〜60容量%程度含有している場合が多い。このため、このオフガスをそのまま水素製造装置の原料として用いた場合、水素を製造することはできるものの、その生産効率は低いという問題がある。この問題を解決し、オフガスから効率的に水素を製造するためには、オフガスから水素を除去して炭化水素のみにする必要がある。
炭化水素ガスから水素ガスを除去する方法としては、PSA(圧力スイング吸着)による方法(例えば、特許文献1参照。)や、水素分離膜を用いる方法(例えば、特許文献2参照。)が挙げられる。しかしながら、PSAによる方法では、加圧減圧用のコンプレッサーが必要であり、その稼働によるエネルギー消費が大きい。また、水素分離膜による方法では、オフガスの圧力が低いため、加圧用コンプレッサーが必要であり、その稼働によるエネルギー消費が大きい。このように、オフガスから水素を除去するためには多くのエネルギーを要するため、実際には、製油所等からのオフガスは、水素製造装置の原料としてではなく、燃料ガスとして利用されるのが一般的であった。
特開2006−282460号公報 特開2000−189772号公報
本発明は、製油所等からのオフガスのように、水素含有割合が高く、圧力も比較的低い炭化水素含有ガスを原料として、高い生産性で水素を製造することを可能にする水素の製造方法に関する。
このような状況下、本発明者らは鋭意研究した結果、炭化水素と水素を主成分とするオフガスを、炭化水素油と共に水素化処理した後に炭化水素油を分離することによって、当該オフガス中の水素を選択的に除去することができ、こうして得られた炭化水素ガスを原料とすることにより、水蒸気改質反応による水素製造量を向上させ得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の水素製造方法に関するものである。
(1) 炭化水素及び水素を含有するガスを、脂肪族不飽和炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1以上を含有する炭化水素油と共に、水素化触媒の存在下、液空間速度が0.5〜5h−1、0.1〜0.6Mpa、100〜250℃で水素化処理する水素化工程、前記水素化工程により得られた水素化処理物を、10容量%以下の水素を含有する炭化水素ガスと炭化水素油とに分離する分離工程、及び前記分離工程により分離された炭化水素ガスを原料として、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造工程、を有することを特徴とする、水素の製造方法。
(2) 前記水素化工程に供されるガスが、製油所又は石油化学工場からのオフガスである、前記(1)の水素の製造方法。
(3) 前記水素化触媒が、ニッケル(Ni)及びモリブデン(Mo)を含むものである、前記(1)又は(2)の水素の製造方法。
本発明に係る水素の製造方法においては、炭化水素及び水素を含有する原料ガスから、比較的簡便かつ低エネルギーで水素を選択的に除去し、その除去した体積分の炭化水素ガスをも原料として供給できるため、水蒸気改質反応による水素製造量を向上させることができる。つまり、本発明に係る水素の製造方法を用いることにより、製油所や石油化学プラント等からのオフガスのような、水素分圧が高く、かつ圧力が比較的低いガスを、従来の燃料としての利用よりも付加価値の高い水素原料として利用することができる。
実施例及び比較例で用いた水素製造装置の概略構成を示すフロー図である。
本発明に係る水素の製造方法は、炭化水素及び水素を含有するガスを、不飽和炭化水素を含有する炭化水素油と共に水素化処理する水素化工程、前記水素化工程により得られた水素化処理物を、10容量%以下の水素を含有する炭化水素ガスと炭化水素油とに分離する分離工程、及び前記分離工程により分離された炭化水素ガスを原料として、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造工程、を有することを特徴とする。
<原料ガス>
本発明に係る水素の製造方法においては、炭化水素及び水素を含有するガスを原料ガスとして用いる。この原料ガスにおける水素含量は、ガス組成物に対する水素含量として10〜70容量%、好ましくは20〜70容量%、より好ましくは30〜60容量%である。また、この原料ガスにおける炭化水素含量は、ガス組成物に対する炭化水素含量として30〜90容量%、好ましくは30〜80容量%、より好ましくは30〜70容量%である。
原料ガス中の炭化水素は、飽和炭化水素であることが好ましいが、不飽和炭化水素を含有していてもよい。この不飽和炭化水素は、脂肪族不飽和炭化水素であってもよく、芳香族炭化水素であってもよい。原料ガスにおける不飽和炭化水素含量は、ガス組成物に対する不飽和炭化水素含量として0〜40容量%、好ましくは0〜30容量%である。
原料ガス中には、炭化水素と水素以外の成分を含んでいてもよいが、その含有量は、炭化水素や水素の含有量よりも充分に少ないことが好ましい。例えば、原料ガス中に不純物として硫化水素が含まれている場合、硫化水素含量は、以降に用いる触媒の性能等を考慮して、100質量ppm未満であることが好ましい。
原料ガスとしては、製油所又は石油化学工場からのオフガスであることが好ましい。これらのオフガスは、炭素数4以下の飽和炭化水素と水素を多く含む。具体的には、含有される炭化水素の大半がメタンであり、その他、少量のエタン、エチレン、プロパン、プロピレン、ブタン等を含有する。
<炭化水素油>
本発明に係る水素の製造方法においては、原料ガスと共に、不飽和炭化水素を含有する炭化水素油を水素化処理する。液状の不飽和炭化水素を原料ガスと共に水素化処理に供することにより、原料ガス中の水素が、当該不飽和炭化水素の水素化に消費される結果、原料ガスから水素が選択的に除去される。
当該炭化水素油は、脂肪族不飽和炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1種以上を含有し、水素化処理の工程において、少なくとも一部が液状油であれば特に限定されるものではない。当該炭化水素油は、1種類の不飽和炭化水素からなるものであってもよく、2種類以上の不飽和炭化水素を含む組成物であってもよい。また、1種類又は2種類以上の飽和炭化水素を含むものであってもよい。
本発明に係る水素の製造方法において用いられる炭化水素油としては、液体の流動性の点から、沸点範囲が30〜400℃、好ましくは30〜380℃、より好ましくは30〜350℃であるものが好ましい。
当該炭化水素油に脂肪族不飽和炭化水素(オレフィン)が含まれている場合、炭素数6〜14の脂肪族不飽和炭化水素が、実質的な水素化対象となる。また、当該炭化水素油に芳香族炭化水素が含まれている場合、1環、2環、又は3環の芳香族化合物が、実質的な水素化対象となる。具体的には、テトラリン、メチルテトラリン、ジメチルテトラリン、ナフタレン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、アントラセン、メチルアントラセン、ジメチルアントラセン、トリメチルアントラセン、フェナントレン、メチルフェナントレン、ジメチルフェナントレン、トリメチルフェナントレン等が挙げられる。
当該炭化水素油は、不純物として硫黄分、窒素分が含有されていてもよい。炭化水素油中の硫黄分含量は、0〜5,000質量ppmが好ましい。また、炭化水素油中の窒素分含量は、0〜1,000質量ppmが好ましい。
本発明に係る水素の製造方法において、原料ガスとして製油所又は石油化学工場からのオフガスを用いる場合には、炭化水素油も、製油所又は石油化学工場から得られるものを用いることが好ましい。具体的には、本発明において用いられる炭化水素油としては、FCC(流動接触分解)ガソリン(FCC装置から、重質油を分解して得ることができるガソリン留分。)、LCO(FCC装置から、重質油を分解して得ることができる灯軽油留分。)等を用いることが好ましい。
<水素化触媒>
本発明において用いられる水素化触媒は、不飽和炭化水素を水素化還元処理可能な触媒であれば特に限定されず、例えば、周期表における第3族〜第14族の金属を用いることができる。具体的には、チタン、ジルコニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、アルミニウム、珪素、スズ、セリウム、及びランタンから1種類以上選択して使用することができる。
中でも、活性金属としてニッケルやコバルトを用いた水素化触媒が好ましい。触媒中のニッケルやコバルトの含有割合に制限はないが、触媒調製の操作性等を考慮すると、触媒基準、酸化物(NiO、CoO)換算にて5〜50質量%が一般的である。
原料ガスや炭化水素油に、硫黄分や窒素分等の不純物が含まれている場合には、水素化触媒の成分に、ニッケル又はコバルトに加えて、モリブデンが入っているものが好ましい。触媒中のモリブデンの含有割合に制限はないが、触媒基準、酸化物(MoO)換算にて0.5〜25質量%が好ましい。
また、水素化反応を低温低圧で行う場合は、反応を進み易くするために、モリブデンの他にさらにルテニウムも入っている触媒がより好ましい。触媒中のルテニウムの含有割合は、触媒基準、酸化物(RuO)換算にて0〜3質量%が好ましい。
本発明において用いられる水素化触媒は、担体に担持されたものが好ましい。担体の種類に特に制限はないが、無機酸化物が好ましい。無機酸化物を用いると、それに水素化活性金属が分散付着しその分散性がよくなり、水素化活性が向上し、触媒寿命の延長が期待される。また、触媒の成型性や強度も向上するため、無機酸化物を用いることは高活性かつ高耐久性の触媒を得る上で望ましい。
無機酸化物の種類は特に限定されないが、Si、Al、B、Mg、Ce、Zr、P、Ti、W、Mnからなる群から選ばれるいずれか1種の元素の酸化物もしくはこれらの混合物、又は2種以上の元素の複合酸化物が好ましい。これらの無機酸化物は結晶構造が無定形であっても結晶性であっても構わない。例えば、SiO、Al、TiO、B、MgO、SiO−Al、Al−B、SiO−MgO、ゼオライトなどが挙げられる。各種無機酸化物の中でも、比較的高い比表面積を有し、成形性、圧壊強度、磨耗性に優れる、SiO、Al、及びSiO−Alが特に好ましい。このSiO−Alは、通常、後述する触媒の焼成工程において珪素(Si)原料及びアルミニウム(Al)原料の両者を含む混合物を焼成する過程で生成することができる。
無機酸化物成分含有量については、特に制限はなく、各種条件において適宜選定すればよいが、通常は触媒全体に対して好ましくは0.5〜49.4質量%、より好ましくは0.5〜40質量%、さらに好ましくは0.5〜30質量%の範囲であればよい。含有量が0.5質量%以上であれば、無機酸化物成分としての効果が十分に発揮され、また49.4質量%以下であれば、水素化活性成分の低下による脱硫性能の低下が防ぐことができ、好ましい。
本発明において用いられる水素化触媒の形状については特に規定されず、成型体(押出し円柱、タブレット円柱、球など)、メッシュで篩い分けられた粒状体、粉末などいずれの状態でもかまわないが、取り扱いの簡便さを考えると、成型体又はメッシュで篩い分けられた粒状体が好ましい。触媒の形状を成型体あるいはメッシュで篩い分けられた粒状体にするためには、無機酸化物を用いることが望ましい。また、触媒の大きさは、成型体、メッシュで篩い分けられた粒状体に関らず特に限定されないが、通常直径、あるいは長さが0.1〜10mm、より好ましくは0.1〜5mmであることが好ましい。
(NiMo含有触媒)
本発明においては、ニッケルとモリブデンを含む水素化触媒を用いることが好ましく、特に、ニッケル、モリブデン、及び無機酸化物を含有し、NiOの結晶子径が3nm以下であり、かつ比表面積が150〜600m/gである水素化触媒(以下、「NiMo含有触媒」という。)を用いることが好ましい。当該NiMo含有触媒は、さらに、ルテニウムを含有するものであってもよい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒におけるニッケルの含有量は、酸化物(NiO)換算で好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、更に好ましくは70〜90質量%である。ニッケル酸化物量が50質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、95質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、またNi同士の凝集による水素化活性の低下が生じにくいため好ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒におけるモリブデンの含有量は、酸化物(MoO)換算で好ましくは0.5〜25質量%、より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。モリブデン酸化物量が0.5質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、25質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、また水素化活性の低下が生じにくいため好ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒がさらに、ルテニウムを含有するものである場合、ルテニウムの含有量は、酸化物(RuO)換算で好ましくは0.1〜12質量%、より好ましくは0.1〜10質量%である。ルテニウム酸化物量が0.1質量%以上であれば所望の水素化活性が発現されるため好ましく、12質量%以下であれば、水素化活性が飽和せず、また経済的にも望ましい。
本発明において用いられるNiMo含有触媒は、無機酸化物からなる担体に担持されていることが好ましい。無機酸化物としては、前述のものを使用できる。
本発明において用いられるNiMo含有触媒の含有成分の一つであるニッケルの酸化物(NiO)状態における結晶子径は、好ましくは3nm以下、より好ましくは2.6nm以下、さらに好ましくは2.4nm以下である。一般に活性点の結晶子サイズが小さいほど表面積が増加し、活性が高くなる。NiOの結晶子径が3nm以下であれば、十分な水素化活性が発揮され好ましい。
NiMo含有触媒の比表面積は、還元処理前の状態で、好ましくは150〜600m/gであり、180〜500m/gであることがより好ましい。比表面積が150m/g以上であれば、水素化のための活性点の数が多くなり、十分な水素化活性が得られて好ましい。また、比表面積が600m/g以下であれば、相対的に平均細孔径が大きくなり、十分な水素化活性が得られて好ましい。
上記のような、ニッケル及びモリブデン(必要に応じて、さらにルテニウム)を特定の組成比で含有し、かつ特定の結晶子径や比表面積であるNiMo含有触媒を用いることにより、原料ガスや炭化水素油中に硫化水素等の不純物が含まれている場合であっても、温和な温度条件かつ圧力条件で効率よく、不飽和炭化水素を水素化し、原料ガス中の水素を除去することができる。
<水素化触媒の調製方法>
本発明において用いられる水素化触媒は、いずれの調製方法により調製されたものであってもよく、適宜、任意の方法で調製することができる。例えば、無機酸化物を用いて、含浸法、混練法、共沈法、ゾルゲル法、平衡吸着法などにより製造することができる。ニッケル、コバルト、モリブデン、ルテニウム等の活性金属を有効的に機能させるためには、水素化触媒は含浸法及び共沈法により調製されることが好ましい。特に、ニッケル成分の添加には、1回の操作による担持量をより多くし得るため、含浸法よりも共沈法がより好ましい。ルテニウム成分を添加する場合には、活性がより長く維持されることから、含浸法がより好ましい。
以下に、前記NiMo含有触媒の好適な調製方法について具体的に説明するが、本発明において使用できる水素化触媒の調製方法はこれに限定されるものではない。
〔NiMo含有触媒の調製方法(A)〕
この方法では、まず、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。無機酸化物原料は、酸性水溶液又は塩基性水溶液のいずれにも添加することができる。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を両方の水溶液に添加してもよい。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。また、無機酸化物としてSiOのみを含む触媒を製造する場合は、例えば、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、モリブデン原料、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料としては特に限定されないが、硝酸ニッケル、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、酢酸ニッケルなどの水溶性ニッケル金属塩及びその水和物が好適に使用できる。モリブデン原料としては特に限定されないが、モリブデン酸アンモニウム、モリブドリン酸などの水溶性モリブデン金属塩及びその水和物が好適に使用できる。これらのニッケル原料やモリブデン原料は、それぞれ単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、アルミニウム原料としては、特に限定されないが、ベーマイト、擬ベーマイト、γアルミナ、βアルミナなどが好ましい。これらは粉体状、あるいはゾルの形態で用いることができ、1種用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。
珪素原料としては、特に限定されないが、シリカや水ガラス、メタケイ酸ソーダ、珪藻土、メソポーラスシリカ(MCM41)などが好ましい。
また、無機塩基としては、アルカリ金属の炭酸塩や水酸化物などが好ましく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられ、特に炭酸ナトリウムが好適である。この無機塩基の使用量は、次の工程において、酸性水溶液と塩基性水溶液との混合液が実質上中性から塩基性になるように選ぶのが有利である。
珪素原料及び無機塩基は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてよい。
なお、アルミニウム原料や珪素原料は、触媒に無機酸化物成分を加えるために用いるものである。これは、後記する方法Bや方法Cでも同様である。
次に、調製した各水溶液を、それぞれ25〜90℃に加温し、各者を混合する。そして、液温を25〜90℃に保持しながら0.5〜3時間程度撹拌し、反応を完結させる。酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは6以上であることが好ましく、6〜11の範囲であることがより好ましく、6.5〜10の範囲であることがさらに好ましい。pHが6以上であれば、ニッケル、モリブデンが効率よく沈殿するため好ましい。また、pHが11以下であることが、無機塩基の使用量を節減することができて、製造コスト面から好ましい。
反応させた水溶液の沈殿物をろ過、水洗後、固形物を公知の方法により50〜150℃程度の温度で乾燥処理する。このようにして得られた乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、上記のようにして得られた焼成体に、ルテニウム原料をイオン交換水に溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。
ルテニウム原料としては、特に限定されないが、塩化ルテニウム、硝酸ルテニウムなどの水溶性ルテニウム金属塩及びその水和物が好適に使用できる。また、ルテニウム成分を固定化するのに用いるアルカリ性水溶液としては、特に限定されないが、アンモニア水、炭酸アンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の水溶液を使用できる。
ルテニウム成分の含浸、固定化物を乾燥させる際の温度としては120℃以下であることが好ましい。120℃以下であれば、酸化ルテニウムの生成を抑制でき、後の還元工程を効率化することができる。また、乾燥方法は特に限定されず、常圧での乾燥、減圧での乾燥、空気中での乾燥、不活性ガス雰囲気下での乾燥を任意に選ぶことができる。
〔NiMo含有触媒の調製方法(方法B)〕
この方法では、まず、ニッケル原料及びモリブデン原料を含む酸性水溶液と、無機酸化物原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を酸性水溶液にも添加することができる。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合は、ニッケル原料、モリブデン原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料、モリブデン原料、アルミニウム原料、珪素原料、無機塩基としては、方法Aと同様のものを用いることができる。また、ニッケル原料、モリブデン原料、及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは、方法Aで述べたpHと同様の範囲とすることが好ましい。
調製した酸性水溶液と塩基性水溶液は、方法Aと同様の条件で、混合して反応を完結させ、生成した沈殿物は、ろ過、水洗後、乾燥処理し、乾燥処理物を焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、こうして得られた焼成体に、方法Aと同様に、ルテニウム原料を溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。この際、ルテニウム原料、アルカリ性水溶液としては、方法Aと同様のものを用いることができる。次いで、得られたルテニウム成分の含浸、固定化物を、方法Aと同様に、乾燥させる。
〔NiMo含有触媒の調製方法(方法C)〕
この方法では、まず、ニッケル原料を含む酸性水溶液と、無機酸化物原料を含む塩基性水溶液を別個に調製する。2種以上の無機酸化物原料を使用する場合は、無機酸化物原料を酸性水溶液にも添加することができる。
例えば、無機酸化物としてSiO及びAlを含む触媒を製造する場合は、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液と、珪素原料及び無機塩基を含む塩基性水溶液をそれぞれ調製する。
ニッケル原料、アルミニウム原料、珪素原料、無機塩基としては、方法Aと同様のものを用いることができる。また、ニッケル原料及びアルミニウム原料を含む酸性水溶液は、塩酸、硫酸、硝酸などの酸によって調製することが好ましい。また、酸性水溶液と塩基性水溶液の混合後のpHは、方法Aで述べたpHと同様の範囲とすることが好ましい。
調製した酸性水溶液と塩基性水溶液は、方法Aと同様の条件で、混合して反応を完結させ、生成した沈殿物は、ろ過、水洗後、乾燥処理し、乾燥処理物を焼成する。
得られた焼成物に、モリブデン原料をイオン交換水に溶解した水溶液を含浸担持させる。モリブデン原料がイオン交換水で溶解しない場合は少量のアンモニア水を加えても良い。この際、モリブデン原料としては、方法Aと同様のものを用いることができる。
得られたモリブデン原料水溶液の含浸物を、公知の方法により50〜150℃程度の温度で乾燥処理し、その乾燥処理物を、好ましくは200〜450℃の範囲の温度において1〜5時間焼成する。これにより得られた焼成体が、NiMo含有触媒として機能する。
NiMo含有触媒にさらにルテニウムを配合する場合には、こうして得られた焼成体に、方法Aと同様に、ルテニウム原料を溶解した水溶液を含浸担持し、乾燥後、アルカリ性水溶液でルテニウム成分を不溶・固定化し、ろ過・水洗・乾燥する。この際、ルテニウム原料、アルカリ性水溶液としては、方法Aと同様のものを用いることができる。次いで、得られたルテニウム成分の含浸、固定化物を、方法Aと同様に、乾燥させる。
<水素化触媒の前処理>
上記のようにして製造した水素化触媒は、水素化処理に供される前に、還元処理しておくことが好ましい。これにより、水素化触媒の含有金属が活性化され、不飽和炭化水素を水素化しやすい状態となる。この還元処理方法としては、水素や一酸化炭素等による気相還元、ホルムアルデヒドやエタノール等を用いた液相還元等、公知の方法を用いることが可能であるが、気相による水素化還元による前処理が好ましい。この場合、水素雰囲気で200〜500℃で行うことが好ましく、200〜450℃の温度条件で行うことがより好ましい。
なお、水素化処理による前処理は、水素化反応の反応器内(オンサイト)で行ってもよく、事前の水素化還元処理装置(オフサイト)で行ってもかまわない。水素化反応の温度よりも還元処理温度の方が高いため、使用する反応器の設計温度が高くなることなどを考慮すると、オフサイト還元が好ましい。さらに、水素化触媒のオフサイト還元処理においては、還元処理後に触媒を空気中に取り出すと還元されたニッケル金属やルテニウム金属の急激な酸化による発熱が起き、ニッケルやルテニウム、その他の含有成分が凝集し、表面積低下の恐れがある。よって、還元処理後、空気中に抜き出す前に、微量の酸素や二酸化炭素などを用いる金属表面の不動態化処理を施すことがさらに好ましい。上記不動態化処理では、金属ニッケルの表層の一部をニッケル酸化物(NiO)に酸化することで、空気中に抜き出した場合でもそれ以上のニッケルの酸化が進まず、安定に取り扱うことが可能となる。なお、このとき生成するNiOの粒子径は不動態化処理の条件によっては粒子径が多少変動する場合があるが、本発明において用いられるNiMo含有触媒としては、還元、不動態化処理前のNiOの粒子径が3nm以下であるものが好ましい。
<水素化処理>
本発明に係る水素の製造方法における水素化処理においては、通常、水素化処理装置の水素化反応器に水素化触媒を充填し、炭化水素と水素を含む原料ガスと、不飽和炭化水素を含む炭化水素油とを当該水素化触媒と接触させる。原料ガス中の水素により、炭化水素油中の不飽和炭化水素が水素化される。この際、原料ガス中に不飽和炭化水素が含まれている場合には、当該不飽和炭化水素も水素化され得る。
原料ガスと炭化水素油と水素化触媒とを接触させる方法は、特に制限されないが、一般的な固定床式反応器内に触媒層を形成して、原料ガスと炭化水素油とを供給する方法が挙げられる。
本発明における水素化処理において、反応圧力は、水素化反応器の入り口圧力として、0.1〜0.6MPa、好ましくは0.2〜0.6MPaである。反応圧力を0.1〜0.6MPaの範囲内とすることにより、効率よく水素化反応を行うことができる。
本発明における水素化処理において、反応温度は、水素化反応器の入り口温度として、100〜250℃、好ましくは100〜200℃である。なお、水素化反応は発熱反応であるため、原料ガスや炭化水素油の温度が50〜100℃であっても、加熱せずに150℃に到達することがある。当該水素化処理を100℃以上で行うことにより、水素化反応を充分な速度で行うことができ、250℃以下とすることにより、水素化触媒中のニッケル成分等の活性金属成分が凝集して活性サイト数が減少することが抑制され、水素化活性を低下させる恐れが小さく、効率よく反応を行うことができる。
本発明における水素化処理において、液空間速度(LHSV)は、水素化反応器の入り口速度として、0.5〜5h−1、好ましくは1〜5h−1である。LHSVを前記範囲内とすることにより、炭化水素油中の不飽和炭化水素を効率よく水素化することができる。
本発明における水素化処理において、ガス空間速度(GHSV)は、水素化反応器の入り口速度として、1,000〜5,000h−1、好ましくは2,000〜5,000h−1である。GHSVを前記範囲内とすることにより、炭化水素油中の不飽和炭化水素を効率よく水素化することができる。
<気液分離処理>
本発明に係る水素の製造方法では、水素化工程の後、分離工程として、水素化工程により得られた水素化処理物を、ガスと炭化水素油とに分離する。前記水素化処理により、原料ガス中の水素が選択的に除去される結果、水素化反応器から排出された水素化処理物中のガスは、水素含有量が通常10容量%以下、好ましくは5容量%以下、より好ましくは2容量%以下にまで低下している。このため、この水素化処理物をガスと、液状の炭化水素油とに分離することにより、10容量%以下の水素を含有する炭化水素ガスを得ることができる。
気液分離処理は、気体と液体を分離可能な処理であれば特に限定されず、例えば、公知の気液分離タンク等を適宜使用することができる。炭化水素油が気体と同伴することを避けるため、使用する炭化水素油の沸点未満の温度で行う必要がある。また、炭化水素油のミストが多く発生する場合は、デミスターを使用することにより、効率よく気液分離できる。
分離処理により回収された炭化水素油は、水素化反応器に導入された炭化水素油よりも、不飽和炭化水素含量が低下し、飽和炭化水素含量がその分増大している。例えば、FCCガソリンを炭化水素油として水素化反応器に導入し、排出された処理物から気液分離して得られたFCCガソリンは、蒸気改質触媒の劣化要因であり、かつ他成分の変質の要因でもあるオレフィンが低減されているため、リフォーメートの原料や、混合キシレンの原料に使用できる。また、LCOを水素化反応器に導入し、排出された処理物から気液分離して得られたLCOは、オレフィンや多環芳香族化合物の水素化によりセタン価が向上しているため、灯油や軽油に転換できる。
<水素の製造>
前記分離工程後、水素製造工程として、分離処理により回収された炭化水素ガスを原料として、水蒸気改質反応を行う。当該反応により、水素が製造される。原料として用いる炭化水素ガスは、水素含量が充分に低減されているため、水素化工程前の原料ガスをそのまま水蒸気改質反応の原料として用いた場合よりも、効率よく炭化水素から水素を製造することができる。
本発明において、水蒸気改質反応に用いられる水蒸気改質触媒は、ニッケル系触媒やルテニウム系触媒等の、当該技術分野で一般的に用いられている触媒の中から適宜選択して用いることができる。用いられる触媒としては、担体に担持された物が好ましい。当該担体としては、水素化触媒において挙げた無機酸化物が好ましく、中でもアルミナがより好ましい。当該水蒸気改質触媒としては、特に、特開平9−10586号公報に開示されているような、セリウム等の周期表の第2族金属、第3族金属、ランタノイド金属を含むアルミナにルテニウムを担持させた触媒が好ましい。
水蒸気改質反応は、例えば、アルミナを担体としたニッケル系触媒又はルテニウム系触媒の存在下、スチーム/カーボン比(S/C比)が3〜5、温度が800〜1,000℃、圧力が0.8〜3MPaの条件で行うことができる。
S/C比が3未満では炭素析出が著しくなり、差圧が上昇したり、さらには触媒層の閉塞が生じ、長時間の運転ができなくなる虞がある。また、S/C比を高くする場合には特に問題は無いが、5を超えると、水蒸気原単位が上昇し、運転コストが高騰する。
また、反応温度が下がるほど、化学平衡上水素分が減少するため、800℃未満では水素収率が小さくなる。一方、1,000℃を超えると、触媒の熱劣化が懸念され、また高価な耐高温性材料を用いた反応器が必要になる。
水蒸気改質反応後のガスに一酸化炭素が多く含まれる場合は、鉄−クロム系触媒存在下、温度300〜500℃で処理した後、銅−亜鉛系触媒存在下、温度200〜300℃でさらに処理することにより、一酸化炭素を低減させることもできる。また、一酸化炭素を低減したガスをさらにニッケル系触媒存在下、100〜200℃で処理することにより、一酸化炭素濃度をさらに低減させることもできる。
水蒸気改質反応により製造された水素は、ナフサ、軽油、重質油、常圧残油、減圧残油など、様々な油種についての脱硫工程における還元剤として利用することができる。また、この水素は、様々な油種の炭化水素の水素化分解反応における原料ガスとしても利用することができる。
次に、本発明の実施態様及びその効果を実施例等によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
なお、図1は、以下の実施例等において使用した水素製造装置の概略構成を示すフロー図である。本装置は、本発明を実証するための実験室規模のマイクロ装置であって、商業的規模の装置は必ずしも同じ構成にする必要はない。また、必要最低限の機器等が示されており、その他の機器等は省略されている。
<ガス試料の成分分析>
以下の実施例等で用いた原料ガス及び反応産物ガスの成分は、ガスクロマトグラフィー法(GC法)を用いて定量した。
水素とメタンについては、TCD(熱伝導度検出器)を備えたGC分析装置(GC−2010、島津製作所製)により、分析カラムとしてUniBeads C(ジーエルサイエンス製)を充填したものを用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、カラム温度をガス注入後100℃として、10分間分析した。
一酸化炭素については、TCDを備えたGC分析装置(GC−2010、島津製作所製)により、分析カラムとしてHP−Plot Molesieve 19095P−MS6(アジレントテクノロジー製)を用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、カラム温度をガス注入後50℃で5分間、その後25℃/分で200℃まで昇温し、10分間分析した。
二酸化炭素については、TCDを備えたGC分析装置(GC−2010、島津製作所製)により、分析カラムとしてGS−CarbonPLOT(アジレントテクノロジー製)を用い、キャリアガスとしてヘリウムを用い、カラム温度をガス注入後35℃で5分間分析した。
<炭化水素油の成分分析>
炭化水素油中の硫黄分については、硫黄分析装置MEXA−11705X(堀場製作所製)により分析した。
炭化水素油中の窒素分については、全窒素分析装置TN−100(三菱化学アナリテック製)で分析した。
[実施例1]
<水素化触媒1(NiMoRu含有触媒)の調製>
ベーマイトAP−3(触媒化成工業製)1.24g、1N−HNO水溶液40mLをイオン交換水1Lに加え、80℃に加温後、Ni(NO)・6HOを149g加えて調製液Aを得た。別途用意したイオン交換水1LにコロイダルシリカスノーテックスXS(日産化学製)33.9g、炭酸ナトリウム99.4g、(NHMo24・5HOを3.0g加え、80℃に加温し、調製液Bを得た。調製液AとBを80℃に保持しながら、B液をA液に瞬時に加えて、1時間攪拌した。その後、イオン交換水を5L用いて洗浄し、ろ過後に空気中120℃で12時間乾燥させた後、400℃で1時間焼成し、得られた焼成物を破砕し、1.0mmと1.4mmの網目を有する篩で篩い分けた。次いで、RuCl・nHO(小島化学薬品製、Ru含有量:41質量%、n=1〜3)2.3gをイオン交換水11.4gに溶解させた水溶液に、上記メッシュ破砕したもの30gを1時間浸漬し、該メッシュ破砕したものに該水溶液を含浸担持させ、乾燥後、7N−NH水150gに1時間漬け、イオン交換水2Lで洗浄、ろ過し、120℃で乾燥し、触媒1を得た。
この水素化触媒1の5mL(6.3g)を、反応管内径16mmの反応器(図1中、「触媒床1」)に充填した。
<水蒸気改質触媒1(RuCe系触媒)の調製>
酸化セリウム(和光純薬工業製)粉末5.8gと活性アルミナ粉末(メルク社製)94.1gをメノウ乳鉢で充分混合した後、約50mLの純水を加えてさらに混練した。得られたペースト状混合物を、赤外線式ホットプレートにて水分除去した後、105℃に保った定温乾燥器でさらに乾燥した。これを、再びメノウ乳鉢で粉化した後、打錠成型器にて円柱状(ペレット)に成型し、マッフル炉にて900℃で3時間焼成し、担体を調製した。
三塩化ルテニウム一水和物(三津和化学製、純度44〜45%)1gを約30mLの純水に溶解させた水溶液に、上記の担体ペレット25gを1時間浸漬し、残液を除去後、ロータリーエバポレーターを用いて約2.7kPa(20torr)程度の真空下で赤外線式ホットプレートにより40〜45℃に加温しながら水分を除いた。これを、7〜10Nアンモニア水中に移して30〜40℃に保ちつつ、2時間スターラーにてゆっくり撹拌し、ルテニウム塩化物を水酸化物に変換させて、ルテニウムを不溶・固定化した。
触媒の分離にはブフナー漏斗を用いた。また、濾液中に希硝酸銀水溶液を加えても塩化銀の白濁が起こらなくなるまで純水で充分洗浄した。これを、真空乾燥器中40〜45℃で8〜10時間乾燥し、ルテニウム1.4重量%、酸化セリウム5.5重量%、残りアルミナからなる、Ce/Ru原子比:2.24の触媒Aを調製した。
この水蒸気改質触媒1の10mL(8.4g)を、反応管内径16mmの反応器(図1中、「触媒床2」)に充填した。
<水素の製造>
図1に概略構成を示した水素製造装置を用いて、メタン(ボンベ1から供給)200mmol/hと水素(ボンベ2から供給)200mmol/hを混合した混合ガス400mmol/hを、LCOを蒸留して得た炭化水素油と共に、触媒床1に導入し、150℃、0.4MPa、LHSVが2.0h−1の条件で、水素化処理を行った。なお、当該炭化水素油の性状を表1に示す。
Figure 2014185059
得られた水素化処理物を、気液分離タンク1に導入して炭酸水素ガスを炭化水素油から分離し、水蒸気と共に触媒床2に導入し、800℃、0.8MPa、S/C比(モル)が3の条件で、水蒸気改質反応を行った。得られた反応物を気液分離タンク2に導入して、改質反応後のガスを回収した。気液分離タンク1で分離された炭化水素油の組成を液サンプラ1で、炭化水素ガスの組成をガスサンプラ1で、それぞれ測定した。また、気液分離タンク2で分離された炭化水素油の組成を液サンプラ2で、ガスの組成をガスサンプラ2で、それぞれ測定した。さらに、気液分離タンク1で分離された後の炭化水素ガスの流速をガスメータ1で、気液分離タンク2で分離された後のガスの流速をガスメータ2で、それぞれ測定した。
表2に、マスフローコントローラA〜C及びガスメータ1,2におけるガスの組成と流速を示す。マスフローコントローラAは触媒床1に供給されるメタンの流速を、マスフローコントローラBは触媒床1に供給される水素の流速を、マスフローコントローラCは触媒床2に供給される水素化処理後の炭化水素ガスの流速を、それぞれ調整した。
Figure 2014185059
この結果、ガスサンプラ1で得たガス(表2中、「ガスメータ1」で測定されたガス)は、水素が含まれておらず、触媒床1の反応により、ガスの水素含量が50容量%から0容量%にまで低下したことが確認できた。また、ガスメータ1では、触媒床1で処理した後のガスの流速は、処理前の400mmol/hから200mmol/hへ減少していた。
また、触媒床1へ導入する前の炭化水素油の組成と、導入後の組成(液サンプラ1で測定された組成)とを表3に示す。この結果、触媒床1での反応により、炭化水素油中のオレフィン(脂肪族不飽和炭化水素)分とアロマ(芳香族炭化水素)分が減少していたことが確認できた。
Figure 2014185059
また、触媒床2で水蒸気改質した後のガス(表2中、「ガスメータ2」)には、メタンが24mmol/hしか含まれておらず、水素が600mmol/h含まれていた。メタン転化率は97%であった。
[比較例1]
触媒床1に水素化触媒1を詰めず、ガスシリンダからのガス量を実施例と同じにするためにメタン(ボンベ1)を100mmol/hに変更し、水素(ボンベ2)を100mmol/hに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、水素を製造した。
表4に、マスフローコントローラA〜C及びガスメータ1,2におけるガスの組成と流速を示す。この結果、触媒床2による反応によって得られた水素は376mmol/hであり、実施例1よりもはるかに少なかった。なお、メタン転化率は96%であり、実施例1と同程度であった。
Figure 2014185059

Claims (3)

  1. 炭化水素及び水素を含有するガスを、脂肪族不飽和炭化水素及び芳香族炭化水素からなる群より選ばれる1以上を含有する炭化水素油と共に、水素化触媒の存在下、液空間速度が0.5〜5h−1、0.1〜0.6Mpa、100〜250℃で水素化処理する水素化工程、
    前記水素化工程により得られた水素化処理物を、10容量%以下の水素を含有する炭化水素ガスと炭化水素油とに分離する分離工程、及び
    前記分離工程により分離された炭化水素ガスを原料として、水蒸気改質反応により水素を製造する水素製造工程、
    を有することを特徴とする、水素の製造方法。
  2. 前記水素化工程に供されるガスが、製油所又は石油化学工場からのオフガスである、請求項1に記載の水素の製造方法。
  3. 前記水素化触媒が、ニッケル(Ni)及びモリブデン(Mo)を含むものである、請求項1又は2に記載の水素の製造方法。
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