JP2014185051A - コア−シェル型シリカ複合粒子及びその製造方法 - Google Patents

コア−シェル型シリカ複合粒子及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミンをシェル層においてシリカと複合化させてなる平均粒径が30nm以上のコア−シェル型シリカ複合粒子を提供すること、および当該粒子の簡便且つ効率的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)の溶液を水性媒体と混合することにより、該共重合体(A)を主成分とするコア層と前記脂肪族ポリアミン鎖(a1)を主成分とするシェル層からなる会合体を得ることができ、それをテンプレートとしてシリカソースのゾル−ゲル反応を行うことにより提供できるコア−シェル型シリカ複合粒子、およびその簡便な製造方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は、有機成分をコア部として有し、シェル層にシリカと有機成分とを含む、コア−シェル型シリカ複合粒子とその簡便な製法に関する。
近年、機能性ナノ構造材料の研究開発が盛んに行われ、さまさまの産業分野において、材料となる物質のナノ構造化、有機無機複合化、階層構造化などが研究されている。特に、コア−シェル構造を有するナノ粒子、例えばポリマーをコアとするコア−シェル型シリカナノ粒子は除放性化粧品、診断材料、光学材料、中空材料形成などとしての利用が可能である。このようなコア−シェル構造を有するシリカナノ粒子は各種用途において求められる特性に応じて、機能性有機成分の導入や粒径又は構造の制御などの検討が様々行われている。
ポリマーをコアとするコア−シェル型シリカナノ粒子の合成方法はエマルジョン重合法とテンプレート法に大別できる。エマルジョン重合法はシリカナノ粒子(ゾル)の存在下で疎水性モノマーを重合させて、シリカナノ粒子が、形成したポリマー粒子の表面に付着し、シリカシェルを形成する方法である(例えば、非特許文献1参照)。このようにして得られたシリカシェルは、シリカナノ粒子が物理的に集合し形成した層であるため、構造的に不安定であり、例えば、コアであるポリマーを除去した後、シェル層が崩れてしまう場合がある。エマルジョン重合法で合成したポリマーをコアとするコア−シェル型シリカナノ粒子は有機無機複合塗料またはフィルムとして応用可能であるが、コア−シェル型ナノ粒子としての応用は困難である。
一方、テンプレート法は、合成したポリマー粒子をテンプレートとして用いて、その粒子の表面にシリカのゾル−ゲル反応を行う事で、シリカシェルを形成する方法である。このテンプレート法の多くは、シリカナノ粒子の一般的な製造する法であるストーバー法に基づいて、アンモニアの存在下でシリカをポリマーラテックス粒子の表面に析出する(例えば、特許文献1〜2参照)。しかしながら、これらの方法はゾルゲル反応を行う際に高アンモニア濃度が要求されるなど、環境負荷が大きく、且つ生産性も低いものであった。
近年、バイオシリカを模倣したナノシリカの合成が盛んでなされており、ポリアミン類をテンプレートとして用いる事で、水性媒体中、温和条件下でのシリカナノ粒子合成が検討されている。例えば、バイオシリカから抽出されたポリアミンを有するポリペプチド、合成ポリアリルアミン、カチオン性ポリマー、或いはブロックコポリマーなどを使用して、水性媒体中で球状シリカを合成することが検討されている(例えば、特許文献3〜4、非特許文献2〜6参照)。
例えば、前記特許文献3では、アミノ系アクリレートからなるジブロックコポリマーミセルをテンプレートとして用いて、そのミセルのシェル層でシリカのゾル−ゲル反応を行う事で、カチオン性ポリマーをコアとし、粒径が35nmのコア−シェル型シリカナノ粒子が開示されている。また、前記非特許文献4では芳香族ポリアミンを含むトリブロックコポリマーミセルをテンプレートとして用いた方法が記載されている。ここでは、芳香族ポリアミン層でシリカのゾルゲル反応を行うことでコア−シェル型シリカナノ粒子が得られており、これを焼成することにより粒径が30nmの中空構造をもつシリカ粒子が得られている。これらは、ストーバー方法に基づいたシリカ析出とは異なり、ポリアミン類をテンプレートとすることでシリカ層を形成しており、シリカのマトリックスにアクリレート系の三級ポリアミンや芳香族ポリアミンが導入された有機無機複合体である。
しかしながら、他の化合物との複合化が容易である、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖をシェル層として含有しているコア−シェル型粒子については今まで報告されておらず、更に平均粒径が比較的大きな粒子を安定的に得ることは、平均粒径30nm未満のものを得るよりも困難であり、30nm以上の粒子表面に、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有するポリアミン層を形成する簡便な方法が必要とされていた。
特表2009−504632号公報 特開2011−042527号公報 特表2010−502795号公報 特開2006−306711号公報
A.Schmide et al.,Macromolecules,2009,42,3721. D.Morse,Nature,2000,403,289. N.Kroger,et al.,Science,2002,298,584 A.Khanal,et al.,J.Am.Chem.Soc.,2007,129,1534. J.Yang,et al.,Chem.Mater.,2008,20,2875. M.Pi,et al.,Colloids and Surfaces B Biointerfaces,2010,78,193.
上記実情を鑑み、本発明が解決しようとする課題は、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミンをシェル層においてシリカと複合化させてなる平均粒径が30nm以上のコア−シェル型シリカ複合粒子を提供すること、および当該粒子の簡便且つ効率的な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミンと疎水性有機セグメントとを有する共重合体を溶解した溶液を水性媒体と混合することで、容易に粒径の比較的大きなコア−シェル構造を有する会合体が得られること、その会合体をシリカ析出に触媒機能するテンプレートとし、シリカソースのゾル−ゲル反応を会合体のシェル層で選択的に進行させることによって、当該共重合体を主成分とするコア層と脂肪族ポリアミン部分とシリカとが複合されてなるシェル層とを有する平均粒径が30nm以上のコア−シェル型シリカ複合粒子が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)の、該共重合体(A)を主成分とするコア層と、前記脂肪族ポリアミン鎖(a1)とシリカ(B)とを主成分とする複合体からなるシェル層と、を有し、平均粒径が30〜500nmであることを特徴とするコア−シェル型シリカ複合粒子、およびその製造方法を提供するものである。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、脂肪族ポリアミンと疎水性有機セグメントとを有するポリマーの自己組織化を設計することで、平均粒径30nm〜500nmで、特に50〜200nmの粒子を簡便な方法で得ることができ、多分散性であることを特徴とするシリカ複合粒子である。また、従来のコア−シェル型シリカ微粒子とは異なり、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子のシェル層はシリカが形成するマトリックスに均質的に脂肪族ポリアミンが複合化された、分子レベルなハイブリッド構造を有する。また、該コア−シェル型シリカ複合粒子は、ポリアミン由来の化学的、または物理的な機能を備える。例えば、ポリアミンは強い配位子であるので、金属イオンをシリカ中に濃縮することが出来る。またポリアミンは還元剤であるので、濃縮された貴金属イオンを金属原子に還元して、シリカ/貴金属複合ナノ粒子を合成することもできる。また、ポリアミンはカチオン性ポリマーであることから、滅菌、耐ウイルスなどの機能を有するため、該ナノ粒子はそれらの機能を発見させることも出来る。従って、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は除放性化粧品、診断材料、光学材料、樹脂フィラー、研磨剤充填物、金属イオン/ナノ金属/金属酸化物のキャリアー、触媒、防菌剤など多くの領域での応用展開が可能である。
また、本発明の製造方法では、生体系でのシリカ合成を模倣した反応法を用いることで、低温、中性などの温和な反応条件下で、コア−シェル型シリカ複合粒子を短時間で生産することが出来る。該製造方法は環境負荷が少なく、生産プロセスも簡便であり、且つ、各種用途に応じた構造設計が可能である。
実施例1で得た共重合体(A)の会合体の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例1で得たコア−シェル型シリカ複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例4で得たコア−シェル型シリカ複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例7で得たコア−シェル型シリカ複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例9で得たコア−シェル型シリカ複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。 実施例12で得たコア−シェル型シリカ複合粒子の透過型電子顕微鏡写真である。
水存在下でのゾル−ゲル反応から、シリカ(酸化ケイ素)を、設計されたナノ構造/形状に作り上げるためには、三つの重要な条件が不可欠である。それは、(1)形状/構造を誘導するテンプレート、(2)ゾル−ゲル反応を行う足場、(3)シリカソースの加水分解、重合の条件である。
本発明においては、上記三つの要素を満たすために、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)を使用することを特徴とする。共重合体(A)を含む溶液を水性溶媒と混合することで、分子自己組織化によって媒体中で会合体を容易に形成することができる。その会合体はコア−シェル構造を有し、コア層は疎水性有機セグメント(a2)の部分を多く含む共重合体(A)であり、シェル層はポリアミン鎖(a1)であると考えられる。
本発明は、上記によって得られるコア−シェル構造を有する会合体をテンプレートとして用い、溶媒中で、脂肪族ポリアミン鎖(a1)の効果によって、シリカソースのゾル−ゲル反応を、会合体のシェル層で選択的に行い、シリカのマトリックスに脂肪族ポリアミン鎖(a1)が複合化されたコア−シェル型シリカ複合粒子を製造できることを見出したものである。
[一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)]
本発明において、共重合体(A)中の一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)は、当該共重合体(A)の溶液を水性溶媒と混合した際に、疎水性有機セグメント(a2)を主成分とし、更に当該脂肪族ポリアミン鎖(a1)を含むものからなる、コアを有する会合体を形成できれば特に限定されず、例えば、分岐状ポリエチレンイミン鎖、直鎖状ポリエチレンイミン鎖、ポリアリルアミン鎖などが使用できる。用いる脂肪族ポリアミン鎖(a1)としては、目的とするシリカナノ粒子を効率的に製造できる観点により、分岐状ポリエチレンイミン鎖を用いることが望ましい。
ポリアミン鎖(a1)部分の分子量としては、疎水性有機セグメント(a2)とのバランスを取って、会合体を形成できる範囲であれば特に制限されないが、好適に会合体を形成できる観点から、ポリアミン鎖部分の重合単位の繰り返し単位数が5−10,000の範囲であることが好ましく、特に50−8,000の範囲であることが好ましい。
又脂肪族ポリアミン鎖(a1)部分の分子構造も特に限定されず、例えば、直鎖状、分岐状、デンドリマー状、星状、又は櫛状などが好適に使用できる。シリカ析出にテンプレートとする会合体を効率的に形成でき、製造コストなどの観点から、分岐状ポリエチレンイミン鎖を用いることが好ましい。
一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)の骨格には一種アミン重合単位のみからなるものであっても、二種類以上のアミン単位の共重合からなるポリアミン鎖(共重合体)であっても良い。また、脂肪族ポリアミン鎖(a1)の骨格には、水性媒体中で会合体を形成できる範囲であれば、アミン以外の重合単位が存在していてもよい。好適に会合体を形成できる点からは、脂肪族ポリアミン鎖(a1)のアミン骨格の中に、他の重合単位の割合が50モル%以下で含まれていることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましく、15モル%以下であることが最も好ましい。
共重合体(A)中の疎水性有機セグメント(a2)は、当該共重合体(A)の溶液を水性溶媒と混合した際に疎水性有機セグメント(a2)の疎水作用によって、疎水性有機セグメント(a2)を多く含む共重合体(A)からなるコアを形成して安定な会合体が形成できれば、特に制限されず、例えば、ポリスチレン、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステルなどの疎水性ポリマーからなるセグメントを挙げることが出来る。ポリアクリル酸エステル又はポリメタクリル酸エステルの場合は、エステル部位の炭素数が1以上のアルキレン鎖を有する化合物であることが好ましく、疎水性の強さから特に炭素数4以上のアルキレン鎖を有する化合物であることがより好ましい。疎水性ポリマー鎖の長さとしては、会合体をナノサイズで安定化できる範囲であれば特に制限されないが、好適に会合体を形成できる点から、ポリマー鎖の重合単位の繰り返し単位数が5−10,000の範囲であることが好ましく、特に40−1000の範囲であることが好ましい。また、疎水性有機セグメント(a2)部分の分子量としては、1,000〜100,000の範囲であることが、共重合体(A)を主成分とするコアを有する会合体を容易に形成できる点から好ましい。
脂肪族ポリアミン(a1)に疎水性有機セグメント(a2)を結合させるその方法としては、安定な化学結合であれば特に制限されず、例えば、ポリアミンの末端にカップリングすることによって結合したもの、又はポリアミンの骨格の上にグラフト化によって結合したものであってもよい。一個のポリアミン鎖(a1)に一個の疎水性有機セグメント(a2)が結合してなるものであっても、複数の疎水性有機セグメント(a2)が結合してなるものであっても良い。
共重合体(A)中の脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)との割合は、水性媒体中で安定な会合体を形成できる範囲であれば特に制限されない。容易に会合体を形成できる点からは、ポリアミン鎖の割合が10−90質量%の範囲であることが好ましく、30−70質量%の範囲であることがより好ましく、40−60質量%の範囲であることが最も好ましい。
本発明において使用する共重合体(A)としては、様々な機能性を有する分子を適宜選択して、共重合体(A)を修飾することが可能である。修飾については、脂肪族ポリアミン(a1)への修飾であっても、疎水性有機セグメント(a2)への修飾であってもよい。共重合体(A)への修飾は、水性溶媒中で安定な会合体を形成できれば、どのような機能性分子を導入してもよく、修飾された共重合体(A)の会合体をテンプレートとしてシリカを析出することによって、任意の機能性分子が導入されたコア−シェル型シリカ複合粒子を得ることができる。このような観点から、特に蛍光性化合物で修飾することが好ましく、該蛍光性化合物を用いた場合には、得られるコア−シェル型シリカ複合粒子も蛍光性を発現し、種々の応用分野で好適に用いることが可能となる。
[コア−シェル型シリカ複合粒子]
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、疎水性有機セグメント(a2)部分を多く含む共重合体(A)を主成分とするコア層と、脂肪族ポリアミン鎖(a1)とシリカ(B)とを主成分とする複合体からなるシェル層とを有するコア−シェル型シリカ複合粒子である。ここで、主成分とするとは、意図的に第三成分を導入しない限りにおいて、コア層の構成要素の大部分が共重合体(A)であり、シェル層の構成要素の大部分が脂肪族ポリアミン鎖(a1)とシリカ(B)であることをいう。共重合体(A)の会合体形成において、例えば、コア部に少量の溶剤が入っていたり、シェル層部分に疎水性有機セグメント(a2)が一部入っていたりすることがあってもよい。特に粒子におけるシェル層は、シリカが形成するマトリックスに脂肪族ポリアミン鎖(a1)が複合化されてなる有機無機複合体である。また、共重合体(A)の脂肪族ポリアミン鎖(a1)部分がシェル層を形成している分子では、それに結合している疎水性有機セグメント(a2)部分は疎水相互作用によりコア層に存在するため、コア層は必然的に共重合体(A)の脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)の比率よりも疎水性有機セグメント(a2)部分を多く含むことになる。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、その粒径は30〜500nmの範囲のものであり、特に50−200nmの範囲のコア−シェル型シリカ複合粒子を好適に得ることができる。該コア−シェル型シリカ複合粒子の粒径は会合体の調製〔例えば、用いる共重合体(A)の種類、組成、分子量など〕や、シリカソースの種類及びゾルゲル反応条件等により調整できる。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子中のシリカの含有量は、反応条件などにより一定の幅で変化させることが可能であり、一般的にはコア−シェル型シリカ複合粒子全体の10〜95質量%、好ましくは20〜50質量%の範囲とすることができる。シリカの含有量はゾルゲル反応の際に用いた共重合体(A)中の脂肪族ポリアミン鎖(a1)の含有量、会合体の量、シリカソースの種類及び量、ゾルゲル反応時間や温度などを変えることで変化させることができる。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、シリカ析出後に、有機シランを用いてゾル−ゲル反応を行う事で、コア−シェル型シリカ複合粒子にポリシルセスキオキサンを含有させることができる。このような、ポリシルセスキオキサンを含有するコア−シェル型シリカ複合粒子は、優れた分散性を示し、溶媒中高いゾル安定性を持つことが出来る。また、乾燥しても、再び媒体中に再分散することができる。これは、従来シリカナノ粒子分散液を一旦乾燥すると、粒子状への再分散が困難であることと大きく異なる特性である。従来のストーバー法などで得られるシリカ微粒子の場合、得られた微粒子の表面を界面活性剤のような物質で化学修飾しない限り、媒体中での再分散性は困難であり、又、乾燥によって、二次凝集などが生じるため、ナノレベルの超微小粒子を得るための粉砕処理等が必要である場合が多い。
また、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、シェル層のシリカのマトリックスに存在する脂肪族ポリアミン鎖(a1)により、金属イオンを高度に濃縮して吸着させることができる。また、該脂肪族ポリアミン鎖(a1)はカチオン性であるため、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、アニオン性の生体材料などの各種イオン性物質の吸着や固定化も可能である。さらに共重合体(A)中の疎水性有機セグメント(a2)部分は機能性に応じて種々選択でき、またその構造制御も容易であることから、各種機能を付与することが可能である。
例えば、機能の付与としては、蛍光性物質の固定化などが挙げられる。例えば、脂肪族ポリアミン鎖(a1)の塩基に酸性基、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基を有するポルフィリン類、フタロシアニン類、ピレン類など蛍光性染料を少量混合させたものを使用することでシリカ複合粒子中のシェル層に、これらの蛍光性物質を取り込むことができる。また、同じように機能性物質を選択的に疎水性有機セグメント(a2)に固定し、会合体を形成して、シリカを析出させることで、機能性物質をシリカ複合粒子のコア層に選択的取り込ませることも出来る。
また、本発明のシリカ複合粒子は乾燥して粉体としての使用が可能であり、その他の樹脂等の化合物へのフィラーとして用いることもできる。乾燥後の粉体を溶媒に再分散させてなる分散体、又はゾルとして、その他の化合物へ配合することも可能である。
[コア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法]
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法は、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)を水と溶剤との混合媒体中で会合体を形成させた後、溶剤の全部または一部を除去してから、シリカ(B)を析出させる工程を特徴とする。さらに、前記工程でシリカを形成させた後、有機シランのゾルゲル反応を行う工程を有すると、ポリシルセスキオキサンを導入することもできる。
本発明の製造方法においては、まず、一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)を、水と溶剤との混合媒体である水性溶媒に溶解する。共重合体(A)が水性溶媒に直接溶解しない場合、良溶媒に溶解させた溶液を調整するか、もしくは合成した反応溶液をそのまま用いて、その溶液に水性溶媒を滴下するか、もしくはその溶液を水性媒体に滴下する方法を用いてもよい。これにより、コア−シェル構造を有する会合体を自己組織化によって形成させることができる。該会合体のコアは共重合体(A)を主成分とするものであり、シェル層は脂肪族ポリアミン鎖(a1)を主成分とするものであって、疎水性有機セグメント(a2)の疎水相互作用とそれを囲むシェル層による分散安定化効果によって、媒体中に安定な会合体を形成すると考えられる。
また、該会合体を形成する際、共重合体(A)が水に対して溶解しない場合、共重合体(A)が溶解する溶剤に一度溶解させてもよい。共重合体(A)を溶解させる溶剤は、脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)ともに溶解し、且つ水と混合できる極性溶媒が好ましい。例えば、プロピレングリコールなどのグリコール系溶媒、ブチルセロソルブ、ブチルカルビトールなどのエーテル系溶媒、N,N―ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N―ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N’―ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン(NMP)、N−エチルピロリドン(NEP)、N−ビニルピロリドンなどのアミド系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系溶媒などが好ましい。
調整した共重合体(A)溶液は、その溶液に水を滴下するか、もしくはその溶液を水に滴下することで、会合体を形成することができる。その溶液に水を滴下する場合、その溶液を撹拌した状態で少量ずつ滴下していくことが望ましい。その溶液の濃度は低い方が好ましいが、生産性を考慮すれば、0.1〜5質量%程度が好ましい。また、滴下する水の量は、共重合体(A)の濃度により異なるが、溶液の量の0.01〜0.2倍であることが好ましい。
また、調整した共重合体(A)溶液を水に滴下する場合、水を撹拌した状態で共重合体(A)溶液を滴下していくことが望ましい。その溶液の濃度には特に制限はなく、20〜25質量%の溶液でも少量ずつ滴下すれば問題はないが、粒径や分散性を制御する場合にはできるだけ低い方が好ましく、生産性を考慮すれば、0.1〜5質量%程度が好ましい。また、水の量は、共重合体(A)が溶解している水性溶媒にもよるが、共重合体(A)溶液の1〜10倍量であることが好ましく、生産性を考慮すれば、1〜2倍量であることが特に好ましい。
該会合体を形成する際の水は単独で用いてもよいが、安定な会合体を形成できるものであれば、他の水溶性溶媒を併用してもよい。この時、水と水溶性溶媒の混合溶液中の水の量は、体積比として水/水溶性溶媒が0.5/9.5〜3/7の範囲であればよく、0.1/9.9〜5/5の範囲であればより好ましい。生産性、環境やコストなどの観点から、水とアルコールの混合溶液を用いてもよいが、水のみを用いることが好ましい。
共重合体(A)の濃度は、基本的に会合体同士の融合が起こらない範囲であれば良いが、通常、濃度範囲としては、0.05〜15質量%であり、好ましい濃度範囲は0.1〜10質量%であり、最も好ましい濃度範囲は0.2〜5質量%である。
該会合体を含む水性媒体は、通常シェル層にある脂肪族ポリアミン鎖(a1)により塩基性を示すが、酸の滴下によるpHの調整を行ってもよい。用いる酸は、例えば、塩酸、硝酸等の一価の無機酸、もしくは酢酸、酒石酸等のカルボン酸が挙げられる。硫酸やリン酸等の多価の無機酸、クエン酸やシュウ酸等の多価のカルボン酸の場合には、会合体が凝集してしまうため、粒子の分散性を求める場合には使用しないほうが好ましい。
本発明での水性媒体中における、共重合体(A)の自己組織化による会合体形成は、プロセス的には簡便であるが、官能基を2以上持つ有機化合物を用いて、その会合体のシェル層のポリアミン鎖(a1)を架橋することも可能であり、会合体類似のものを得ることもできる。例えば、官能基を2個以上持つアルデヒド類化合物、エポキシ化合物、不飽和二重結合含有化合物、カルボキシル基含有化合物などを使用してもよい。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法においては、前記会合体形成の工程に引き続き、用いた溶剤の全部または一部を除去する工程を有する。当該除去の工程は、上記で得られた会合体の形状を維持できるものであれば、いずれの方法を用いてもよい。特に溶剤の除去が容易である観点から、減圧留去による除去または透析膜や限外濾過による除去が好ましい。
上記工程の後、シリカ形成の工程、即ち水の存在下で、前記会合体をテンプレートとし、シリカソースのゾルゲル反応を行う。シリカ析出後に、有機シランを用いてさらにゾルゲル反応を行う事で、コア−シェル型シリカ複合粒子にポリシルセスキオキサンを含有させることもできる。
ゾルゲル反応を行う方法としては、会合体の溶液とシリカソースとを混合することで、コア−シェル型シリカ複合粒子を容易に得ることができる。シリカソースとしては、水ガラス、テトラアルコキシシラン類、テトラアルコキシシランのオリゴマー類などが挙げられる。
テトラアルコキシシラン類としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシランなどを挙げられる。
又、テトラメトキシシランの4量体、テトラメトキシシランの7量体、テトラエトキシシラン5量体、テトラエトキシシラン10量体などが挙げられる。
コア−シェル型シリカ複合粒子を与える上記ゾルゲル反応は、溶媒の連続相では起こらず、会合体ドメインだけで選択的に進行する。従って、会合体が解体することがなければ、反応条件は任意である。
ゾルゲル反応においては、会合体の量に対するシリカソースの量は特に制限されない。目的とするコア−シェル型シリカ複合粒子の組成に応じて、会合体とシリカソースとの割合は適宜に設定することが出来る。また、シリカ析出後に、有機シランを用いて、コア−シェル型シリカ複合粒子にポリシルセスキオキサンの構造を導入する場合は、有機シランの量としては、シリカソースの量に対して、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。
ポリシルセスキオキサンを複合粒子に導入する場合に用いることができる有機シランとしては、アルキルトリアルコキシシラン類、ジアルキルアルコキシシラン類、トリアルキルアルコキシシラン類などが挙げられる。
アルキルトリアルコキシシラン類としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピルトリエトキシシラン、iso−プロピルトリメトキシシラン、iso−プロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシトキシプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトメトキシシラン、3−メルカプトトリエトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフロロプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリメトキシシラン、p−クロロメチルフェニルトリエトキシシランなどが挙げられる。
ジアルキルアルコキシシラン類としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシランなどが挙げられる。
トリアルキルアルコキシシラン類としては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシランなどが挙げられる。
ゾルゲル反応の温度は特に制限されず、例えば、0〜90℃の範囲であることが好ましく、10〜40℃の範囲であることがより好ましい。効率的にコア−シェル型シリカ複合粒子を製造するために、反応温度を15〜30℃の範囲に設定すればさらに好適である。
ゾルゲル反応の時間は1分から数週間まで様々であり任意で選択できるが、水ガラスやアルコキシシランの反応活性の高いメトキシシラン類の場合は、反応時間は1分〜24時間でよく、反応効率を上げることから、反応時間を30分〜5時間に設定すればさらに好適である。また、反応活性が低い、エトキシシラン類、ブトキシシラン類の場合は、ゾルゲル反応時間は5時間以上であることが好ましく、その時間を一週間程度とすることも好ましい。有機シランでのゾルゲル反応の時間としては、反応の温度によって、3時間〜1週間の範囲にあることが望ましい。
以上記載したように、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法では、従来のコア−シェル型シリカ複合粒子とは異なって、シェル層シリカのマトリックスに反応性の高い一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)が導入された、粒径が30〜500nm、特に50〜200nmの範囲の粒子を多く含むコア−シェル型シリカ複合粒子を製造できる。得られたコア−シェル型シリカ複合粒子はポリシルセスキオキサンで修飾することも出来ることから、樹脂フィラーや研磨剤充填物としての応用も期待できる。
また、本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、シェル層のシリカのマトリックスに複合化されて存在する、反応性の高い一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)により、各種物質の固定化や濃縮が可能であり、更にコア層に存在する疎水性有機セグメント(a2)を機能化することも可能である。このように本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子は、ナノサイズの球状中に選択的に金属や生体材料の固定化、濃縮や粒子内部に機能性分子修飾が可能であることから、電子材料分野、バイオ分野、環境対応製品分野などの各種分野において有用な材料である。
本発明のコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法は広範に利用されている既知のストーバー方法等の製造方法に比べて、極めて容易であり、ストーバー法ではできないコア−シェル型シリカ複合粒子を製造できることから、その応用には業種、領域を問わず、大きな期待が寄せられる。シリカ材料の全般応用領域にはもちろんのこと、ポリアミンが応用される領域においても有用な材料である。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断わりがない限り、「%」は「質量%」を表わす。
[共重合体(A)のNMR測定による分析]
共重合体(A)の合成に対して、H−NMR測定(日本電子株式会社製、AL300、300Hz)を行い、化学構造を同定した。
[透過電子顕微鏡による観察]
得られた試料もしくは分散液をエタノールで希釈したものを炭素蒸着された銅グリッドに乗せて、乾燥後、サンプルを日本電子株式会社製、JEM−2200FSにて観察を行った。
[示差走査熱量分析]
単離乾燥した試料を測定パッチにより秤量し、それをSIIナノ技術示差走査熱量分析測定装置(TG−TDA6300)にセットし、昇温速度を10℃/分として、20℃から800℃の温度範囲にて測定を行った。
合成例1
<共重合体(A−1)の合成と会合体の調整>
1.5gの分岐状ポリエチレンイミン(SP200、日本触媒社製、平均分子量10000)と0.9gのメタクリロイル末端ポリスチレン(AS−6、東亜合成社製、平均分子量6000)をDMF中7.6gに溶解させ、60℃にて4時間反応させた。H−NMR測定によってAS−6の5.5〜6.5ppmに見られるメタクリロイル基が消失したことを確認し、反応が完全に進行したことを確認した。
得られた溶液に10gのDMFを加えて撹拌して濃度を調整した後に、その溶液を20gの蒸留水へと30分かけて滴下し、これにより共重合体(A−1)のコア−シェルテンプレートの形成を行った。沈殿物がないことを確認し、この溶液を蒸留水で希釈後、銅グリッドに滴下して乾燥したサンプルを透過電子顕微鏡にて観察したところ、粒径50〜150nmの粒子が存在することを確認した(図1)。
上記に示した方法を用いて、共重合体(以下、A−2〜A−7)の合成を行った。用いた原料の質量割合を表1に示す。SP018,SP200とP1000は分岐状ポリエチレンイミン(日本触媒社製)であり、平均分子量はそれぞれ1800、10,000と70,000である。AS−6、AB−6はそれぞれメタクリロイル末端ポリスチレン、メタクリロイル末端ポリアクリル酸ブチル(東亜合成社製)であり、どれも平均分子量は6000である。ポリアリルアミン(PAA)の平均分子量は15,000である(日東紡社製)。
実施例1
<コア−シェル型シリカ複合粒子の合成>
合成例1で得られた共重合体(A−1)の会合体を含む溶液は、透析膜(MWCO12000〜14000)を用いてDMFを除去したのちに、1.0Mの塩酸を加えてpHを5.0に調整した。そこにMS−51(メトキシシランの4量体、コルコート社製)1.0mLをシリカソースとして加えた。得られた分散溶液を室温にて24時間攪拌した後、遠心分離(10000rpm/20min)にて回収し、蒸留水とエタノールでの洗浄、乾燥を経て、粉体を得た。示差走査熱量分析測定データから見積もることにより、粉体中の有機成分の含有率は77.9%であった。TEM観察により、得られた粉体がコア−シェル構造を有することが確認した(図2)。中心部のコアは比較的電子密度の低い共重合体(A)と考えられ、明るく見える一方で、シェル層は電子密度の高い脂肪族ポリアミンとシリカとの複合体と考えられ、暗く見えていた。
実施例2−9
実施例1に示した会合体の作製方法とシリカソースのゾル−ゲル反応条件を用いて、コア−シェル型シリカ複合粒子の合成を行った。結果を表2に示す。ゾル−ゲル反応は室温で24時間行った。平均サイズおよび形状確認はTEM観察による結果である。実施例4、実施例6と実施例7のコア−シェル型シリカ複合粒子のTEM写真はそれぞれ図3、図4と図5に示す。
比較例1
分岐状ポリエチレンイミン(SP200、日本触媒社製、平均分子量10,000)を用いて、実施例1と同じ方法で会合体形成とシリカ析出を行ったところ、溶液全体がゲル化をした。分岐状ポリエチレンイミンに疎水性セグメントが結合してないことから、シリカソースのゾルゲル反応にテンプレートとなる会合体形成することができなく、コア−シェル型シリカ複合粒子形成が不可能である。
比較例2
特開2010−118168号公報(合成例1)に示された方法に従って、分岐状ポリエチレンイミン(平均分子量10,000)に親水性ポリエチレングリコール(平均分子量5,000)を結合させた(エチレンイミン単位対エチレングリコール単位のモル比は1:3である)。得られたポリマーを用いて、実施例1と同じ方法で会合体形成とシリカ析出を行ったところ、溶液全体がゲル化をした。ポリエチレングリコールが親水性であることから、水中での疎水相互作用で疎水性のコアを有するコア−シェル会合体の形成ができないため、コア−シェル型シリカ複合粒子形成することではなく、溶液全体がゲル化した。
実施例12
<塩基性条件下でコア−シェル型シリカ複合粒子の合成>
共重合体(A−2)会合体の溶液1.0gにおいて、透析膜(MWCO12000〜14000)を用いてDMFを除去したのちに、蒸留水を加えて体積を10mLとした溶液にTEOSの1.0mLをシリカソースとして加えた。該混合溶液を室温にて24時間攪拌した後、遠心分離(10000rpm/20min)で生成物を回収して乾燥させ、2mgの生成物を得た。得られたシリカは、TEM観察を行い、コア−シェル型シリカ複合粒子が得られていることを確認した。(図6)
実施例13
<ポリシルセスキオキサン修飾されたコア−シェル型シリカ複合粒子の合成>
実施例1のシリカ析出の後、分散溶液にトリメチルメトキシシラン0.1mLを加えた。得られた溶液を室温にて24時間攪拌して、エタノールでの洗浄、乾燥を経て、ポリシルセスキオキサン修飾されたコア−シェル型シリカ複合粒子を得た。TEM観察により、コア−シェル型シリカ複合粒子形成を確認した。

Claims (8)

  1. 一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)を主成分とするコア層と、
    前記脂肪族ポリアミン鎖(a1)とシリカ(B)とを主成分とする複合体からなるシェル層と、を有し、平均粒径が30〜500nmであることを特徴とするコア−シェル型シリカ複合粒子。
  2. 更に前記シェル層にポリシルセスキオキサン(C)を含有する請求項1記載のコア−シェル型シリカ複合粒子
  3. 前記シェル層が、シリカ(B)のマトリックスに前記脂肪族ポリアミン鎖(a1)が複合化されてなるものである請求項1又は2記載のコア−シェル型シリカ複合粒子。
  4. 前記脂肪族ポリアミン鎖(a1)が分岐状ポリエチレンイミン鎖又はポリアリルアミン鎖である請求項1〜3の何れか1項記載のコア−シェル型シリカ複合粒子。
  5. 前記疎水性有機セグメント(a2)が、重合度が5以上のポリスチレンセグメント、ポリアクリル酸エステルセグメント、及びポリメタクリル酸エステルセグメントかからなる群から選ばれる1種以上の疎水性有機セグメントである請求項1〜4の何れか1項記載のコア−シェル型シリカ複合粒子。
  6. 平均粒径が50〜200nmの範囲の多分散性である請求項1〜5の何れか1項記載のコア−シェル型シリカ複合粒子。
  7. 一級アミノ基および/または二級アミノ基を有する脂肪族ポリアミン鎖(a1)と疎水性有機セグメント(a2)とを有する共重合体(A)を水と溶剤との混合媒体中で会合体を形成させた後、溶剤の全部または一部を除去し、該会合体をテンプレートとしてシリカソースのゾルゲル反応を行う工程を有することを特徴とするコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法。
  8. 更に、有機シランのゾルゲル反応を行う工程を有する請求項7記載のコア−シェル型シリカ複合粒子の製造方法。
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