JP2014181756A - 緩衝器 - Google Patents

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和隆 稲満
Hiroyuki Hasegawa
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Abstract

【課題】伸切時のショックと打音を低減して車両における乗り心地を向上させることができる緩衝器を提供することである。
【解決手段】シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を伸側室R1と圧側室R2に区画するピストン2と、ピストン2に連結されるピストンロッド3と、伸側室R1と圧側室R2とを連通する減衰通路4,5と、ピストンロッド3に設けられて減衰通路4,5を迂回し伸側室R1と圧側室R2とを連通するバイパス路Bと、バイパス路Bに設けられて伸側室R1の圧力を受けて開弁するリリーフ弁6とを備えた緩衝器Dにおいて、ピストンロッド3がシリンダ2に対して伸側室R1を圧縮方向へ所定量変位するとバイパス路Bの流路面積を減じる流路面積制限手段C1を備えた。
【選択図】図1

Description

本発明は、緩衝器の改良に関する。
従来、この種の緩衝器にあっては、シリンダと、上記シリンダ内に摺動自在に挿入され当該シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンと、ピストンに連結されるピストンロッドと、上記伸側室と上記圧側室とを連通する減衰通路と、上記ピストンロッドに設けられて上記減衰通路を迂回し上記伸側室と上記圧側室とを連通するバイパス路と、当該バイパス路に設けられて上記伸側室の圧力を受けて開弁するリリーフ弁とを備えるものがある(たとえば、特許文献1参照)。
このような緩衝器にあっては、伸長行程時において、リリーフ弁が開弁するまでは減衰通路を通過する液体の流れに抵抗を与えるため、リリーフ弁の開弁まではピストン速度に対する減衰力の特性において減衰力勾配が比較的大きくなる特性を示し、リリーフ弁が開弁した後は流路面積が増加するので、減衰力勾配が小さくなる特性を示す。
上記のような減衰力特性を発揮する緩衝器は、ピストン速度が高速領域に達するような伸長作動を呈する際に、リリーフ弁が開弁して伸側室から圧側室へ圧力を逃がすため、減衰力を頭打ちにして減衰力過多を抑制することができ、車両における乗り心地を向上させることができる。
特開2010−007817号公報
このように、従来の緩衝器にあっては、車両における乗り心地を向上することができる点で非常に有用であるが、緩衝器に入力される振動の振幅が大きく、また、伸長速度が高い場合には、リリーフ弁が開弁して減衰力が頭打ちにされた状態で緩衝器が伸び切ってしまうため、緩衝器のピストンロッドに設けたクッションとピストンロッドを軸支するロッドガイドとが勢いよく衝突して、緩衝器の伸切時のショックと打音が大きくなって、車両における乗り心地を悪化させる可能性がある。
そこで、本発明は、上記した不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、伸切時のショックと打音を低減して車両における乗り心地を向上させることができる緩衝器を提供することである。
上記した目的を解決するために、本発明における課題解決手段は、シリンダと、上記シリンダ内に摺動自在に挿入され当該シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンと、当該ピストンに連結されるピストンロッドと、上記伸側室と上記圧側室とを連通する減衰通路と、上記ピストンロッドに設けられて上記減衰通路を迂回し上記伸側室と上記圧側室とを連通するバイパス路と、当該バイパス路に設けられて上記伸側室の圧力を受けて開弁するリリーフ弁とを備えた緩衝器において、上記ピストンロッドが中立位置から上記シリンダに対して上記伸側室を圧縮方向へ所定量変位すると上記バイパス路の流路面積を減じる流路面積制限手段を備えたことを特徴とする。
緩衝器が伸長し、リリーフ弁が開弁状態にあって減衰力が過大となることを抑制している場合にあっても、流路面積制限手段がバイパス路の流路面積を減少させる状況では、伸側の減衰力を増大させることができ、ピストン速度を減少させることができる。
よって、本発明の緩衝器によれば、伸切時のショックと打音を低減して車両における乗り心地を向上させることができる。
一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。 伸切状態にある一実施の形態における緩衝器の縦断面図である。 一実施の形態における緩衝器のピストン速度に対する減衰力の特性を示す図である。 他の実施の形態における緩衝器の縦断面図である。 他の実施の形態における緩衝器の振動周波数に対する減衰力の特性を示す図である。
以下、図に基づいて本発明を説明する。本発明の一実施の形態における緩衝器D1は、図1に示すように、シリンダ1と、シリンダ1内に摺動自在に挿入されシリンダ1内を2つの伸側室R1および圧側室R2に区画するピストン2と、ピストン2に連結されるピストンロッド3と、上記した伸側室R1と圧側室R2とを連通する減衰通路4,5と、ピストンロッド3に設けられて減衰通路4,5を迂回し伸側室R1と圧側室R2とを連通するバイパス路Bと、当該バイパス路Bに設けられて伸側室R1の圧力を受けて開弁するリリーフ弁6と、ピストンロッド3が中立位置からシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する方向へ所定量変位するとバイパス路Bの流路面積を減じる流路面積制限手段C1とを備えて構成され、車両における車体と車軸との間に介装されて減衰力を発生し車体の振動を抑制する。
また、シリンダ1内の図中下方には、図示はしないがベースバルブが設けられ、シリンダ1の外周を覆う外筒19とシリンダ1との間にリザーバRが設けられている。そして、シリンダ1内には、作動油等の液体が充填され、リザーバR内には液体と気体とが充填されている。なお、液体は、作動油以外にも、たとえば、水、水溶液といった液体を使用することもできる。
以下、各部について詳細に説明する。まず、ピストンロッド3は、その図1中下端側に小径部3aが形成されるとともに、小径部3aの先端側には螺子部3bが形成されている。また、ピストンロッド3の図1中上端側は、シリンダ1の図1中上端内周に装着された環状のロッドガイド7内に通して外方へ突出されている。ロッドガイド7は、内周に筒状のブッシュ8を備えており、ブッシュ8内に挿通されるピストンロッド3を軸支して、当該ピストンロッド3の図1中上下方向である軸方向の移動を案内する。また、ロッドガイド7の図1中上方には、シリンダ1とピストンロッド3との間をシールするシール部材Uが積層されており、シリンダ1内が液密に保たれている。
そして、ピストンロッド3の小径部3aよりも上方側の外周には、鍔状のリバウンドストッパ9が装着されており、このリバウンドストッパ9の図1中上端には、ピストンロッド3の外周に装着される環状のリバウンドクッション10が積層される。さらに、ピストンロッド3には、図1中下端である先端から軸方向へ伸びる縦孔3cと、リバウンドクッション10の図1中上方近傍から開口して伸側室R1を縦孔3cへ連通する伸側室側孔3dと、小径部3aであって螺子部3bよりも図1中上方から開口して縦孔3cへ通じる横孔3eとを備えている。なお、縦孔3cのピストンロッド3の先端側の開口端にボールFを打ち込んであって閉塞されている。
そして、図2に示すように、緩衝器D1が最伸長すると、伸側室側孔3dがロッドガイド7におけるブッシュ8内に侵入し、当該ブッシュ8の内周面に対向して、当該伸側室側孔3dが閉塞されるようになっている。この伸側室側孔3dは、バイパス路Bの伸側室側の開口を構成しており、ロッドガイド7が流路面積制限手段C1として機能して、伸側室側孔3dを閉塞することによってバイパス路Bの流路面積を減じるようになっている。なお、流路面積制限手段C1は、ピストンロッド3が中立位置からシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する方向へ所定量変位すると、バイパス路Bの流路面積を減少し始めるようになっているが、上記所定量変位は任意に設定することができる。また、ピストンロッド3のシリンダ1に対する中立位置は、緩衝器D1を車両に取り付けた際のストローク中心の位置であり、必ずしもピストンロッド3の先端に取り付けたピストン2がシリンダ1の中央に来る位置を中立位置に設定せずともよい。
ピストン2は、環状に形成されるとともに、その内周側にピストンロッド3の小径部3aが挿入されている。詳しくは、ピストン2は、伸側室R1と圧側室R2とを連通する伸側ポート2bおよび圧側ポート2cを備えたディスク部2aと、ディスク部2aの外周から図1中下方に向かって立ち上がりシリンダ1の内周面に摺接する筒状のスカート2dとを備えて構成されている。
また、ピストン2のディスク部2aの図1中下端には、リーフバルブV1が積層されており、このリーフバルブV1は、内周側がピストンロッド3に固定されていて、伸側ポート2bの図1中下端の開口を開閉するようになっている。
リーフバルブV1は、環状板を複数枚積層して形成した積層リーフバルブであって、伸側室R1の圧力で撓むと伸側ポート2bを開いて伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与えるが、その反対の向きの液体の流れに対しては伸側ポート2bを閉塞して当該流れを阻止するようになっていて、伸側ポート2bを一方通行に設定している。そして、これら伸側ポート2bおよびリーフバルブV1で減衰通路4を構成している。なお、リーフバルブV1を形成する環状板の枚数は、緩衝器D1に要求される減衰力特性に応じて任意に設定することができる。
他方、ピストン2のディスク部2aの図1中上端には、リーフバルブV2が積層されており、このリーフバルブV2は、内周側がピストンロッド3に固定されていて、圧側ポート2cの図1中上端の開口を開閉するようになっている。
リーフバルブV2は、環状板を複数枚積層して形成した積層リーフバルブであって、圧側室R2の圧力で撓むと圧側ポート2bを開いて圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れのみを許容しつつ当該流れに抵抗を与えるが、その反対の向きの液体の流れに対しては圧側ポート2cを閉塞して当該流れを阻止するようになっていて、圧側ポート2cを一方通行に設定している。そして、これら圧側ポート2cおよびリーフバルブV2で減衰通路5を構成している。なお、リーフバルブV2を形成する環状板の枚数は、緩衝器D1に要求される減衰力特性に応じて任意に設定することができる。
リーフバルブV1は、緩衝器D1の伸長時における伸側減衰力を発生する減衰バルブであり、他方のリーフバルブV2は、緩衝器D1の収縮時における圧側減衰力を発生する減衰バルブである。なお、リーフバルブV1,V2で伸側ポート2bおよび圧側ポート2cを閉じた状態にあっても、図示はしない周知のオリフィスによって伸側室R1と圧側室R2とが連通されるようになっており、オリフィスは、たとえば、リーフバルブV1,V2の外周に切欠を設けたり、リーフバルブV1,V2が着座する弁座に凹部を設けたりするなどして形成される。また、減衰バルブは、オリフィスとリーフバルブV1,V2を併存させる構成以外にも、リーフバルブV1,V2にチョークを併存させる構成、チョークやオリフィスのみ、或いはリーフバルブのみの構成を採用することできるし、ポペット弁を採用することもできる。
上記したところから、緩衝器D1は、ピストンロッド3の先端にピストン2が連結される、いわゆる片ロッド型に設定されている。そのため、緩衝器D1の伸縮に伴って、シリンダ1内に進退するピストンロッド3の体積によって伸側室R1と圧側室R2の合計容積が変化するが、この合計容積変化見合いでリザーバR内から液体がシリンダ1へ供給或いはシリンダ1からリザーバRへ排出されることによって、上記合計容積の変化分が補償されるようになっている。このように緩衝器D1は、複筒型に設定されているのでリザーバRを設置することで上記容積変化の補償を行っているが、単筒型に設定される場合にはシリンダ1の下方に摺動隔壁を設けて気室の設置し、上記容積変化の補償を行うようにしてもよい。なお、この場合、緩衝器D1は、片ロッド型ではなく、両ロッド型に設定されてもよい。
ピストンロッド3の小径部3aには、図1中上方から、リーフバルブV2の撓み量を制限するバルブストッパ12、リーフバルブV2、ピストン2、リーフバルブV1が組付けられて、当該小径部3aに固定される。
さらに、上記リーフバルブV1の図1中下方には、順に、環状のスペーサ11、圧側バルブディスク16、環状板を積層して形成した圧側リリーフ弁15、環状のスペーサ14、バルブディスク13、環状板を積層して形成したリリーフ弁6、が積層されて、これら各部材がピストンロッド3の小径部3aの外周に組み付けられる。そして、バルブストッパ12、リーフバルブV2、ピストン2、リーフバルブV1を含め、ピストンロッド3の小径部3aに組み付けられる各部材は、螺子部3bに螺着されるピストンナット17によって、ピストンロッド3に固定されている。なお、縦孔3cのピストンロッド3の先端側の開口端をボールFで閉塞することに代えて、ピストンナット17を袋ナットとしておき縦孔3cの開口部を閉塞するようにしてもよい。
バルブディスク13は、環状であってピストンロッド3の小径部3aの外周であってスペーサ14の図1中下方に積層されて組み付けられており、その図1中下端となる反ピストン側端に形成されて圧側室R2に臨む環状窓13aと、図1中上端となるピストン側端から開口して上記環状窓13aへ連通される通路13bと、内周に設けられた環状溝13cと、環状溝13cと通路13bとを連通する連通溝13dとを備えて構成されている。そして、環状溝13cは、上記のようにバルブディスク13をピストンロッド3の小径部3aに組み付けると、ピストンロッド3に形成した横孔3eに対向して、環状窓13aが通路13b、連通溝13d、環状溝13c、横孔3e、縦孔3cおよび伸側室側孔3dを介して伸側室R1内に連通されるようになっている。
そして、環状窓13aは、バルブディスク13の反ピストン側端に積層されるリリーフ弁6によって、開閉されるようになっている。このリリーフ弁6は、複数の環状板を積層することで構成されており、内周側がピストンロッド3に固定されて外周側の撓みが許容されている。また、リリーフ弁6には、初期撓みが与えられていて、この初期撓みによって環状窓13aを開放する際の開弁圧が設定されている。リリーフ弁6は、環状窓13a側から伸側室R1の圧力を受けて伸側室R1と圧側室R2の差圧が開弁圧に達すると、撓んで通路13bを開放して、伸側室R1を圧側室R2へ連通し、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れを許容する。これに対して、リリーフ弁6は、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れに対しては、環状窓13aを閉塞してこれを遮断するようになっている。上記したところから、この実施の形態にあっては、バイパス路Bは、バルブディスク13に形成の環状窓13a、通路13b、連通溝13dおよび環状溝13cと、ピストンロッド3に形成の横孔3e、縦孔3cおよび伸側室側孔3dによって構成されている。なお、リリーフ弁6を構成する環状板の枚数とリリーフ弁6に与える初期撓みについては、リリーフ弁6に所望される特性と開弁圧に応じて任意に設定することができる。
つづいて、このバルブディスク13のピストン側端である図1中上端には、環状のスペーサ14が積層され、スペーサ14の図1中上方に圧側リリーフ弁15が積層され、圧側リリーフ弁15の図1中上方に圧側バルブディスク16が積層される。
圧側バルブディスク16は、環状であってピストンロッド3の小径部3aの外周であって、その図1中下端となる反ピストン側端に形成された環状窓16aと、図1中上端となるピストン側端から開口して圧側室R2を環状窓16aへ連通する通路16bと、反ピストン側端外周から立ち上がる隔壁筒16cとを備えて構成されている。
上記したように、バルブディスク13をスペーサ14および圧側リリーフ弁15を介して圧側バルブディスク16に積層すると、バルブディスク13が圧側バルブディスク16の外周に設けた隔壁筒16cの内周に嵌合して圧側バルブディスク16と協働して圧側室R2から区画される部屋18を形成する。この部屋18は、上記した連通溝13dに面しており、伸側室R1に連通されている。また、圧側バルブディスク16に設けた環状窓16aが部屋18に臨んでいる。よって、圧側バルブディスク16に設けられた通路16bは、部屋18に通じる環状窓16aを介して伸側室R1に連通されている。圧側バルブディスク16と隔壁筒16cとの間にシール性を完全ならしめるためにシールリングを介装してもよい。なお、隔壁筒16cは、圧側バルブディスク16ではなく、バルブディスク13に一体化してもよいし、バルブディスク13および圧側バルブディスク16とは別体として両者の外周に装着するようにしてもよい。
そして、圧側バルブディスク16における環状窓16aは、圧側バルブディスク16の反ピストン側端に積層される圧側リリーフ弁15によって、開閉されるようになっている。
この圧側リリーフ弁15は、複数の環状板を積層することで構成されており、内周側がピストンロッド3に固定されて外周側の撓みが許容されている。また、圧側リリーフ弁15には、初期撓みが与えられていて、この初期撓みによって環状窓16aを開放する際の開弁圧が設定されている。そして、圧側リリーフ弁15は、環状窓16a側から圧側室R2の圧力を受けて圧側室R2と伸側室R1の差圧が開弁圧に達すると、撓んで通路16bを開放して、部屋18を介して圧側室R2を伸側室R1へ連通し、圧側室R2から伸側室R1へ向かう液体の流れを許容する。これに対して、圧側リリーフ弁15は、伸側室R1から圧側室R2へ向かう液体の流れに対しては、環状窓16aを閉塞してこれを遮断するようになっている。上記したところから、この実施の形態にあっては、バイパス路Bにリリーフ弁6に並列して圧側リリーフ弁15が設けられている。圧側リリーフ弁15は、不要であれば廃止することができる。また、圧側リリーフ弁15を構成する環状板の枚数と圧側リリーフ弁15に与える初期撓みについては、圧側リリーフ弁15に所望される特性と開弁圧に応じて任意に設定することができる。
スペーサ14は、この場合、バルブディスク13に一体化されてもよく、圧側リリーフ弁15の内周を抑えつつ、撓んだ圧側リリーフ弁15がバルブディスク13へ干渉させないようにしている。
上述のように、緩衝器D1は構成されており、以下にその動作について説明する。まず、流路面積制限手段C1がバイパス路Bの流路面積を減少させない範囲内で緩衝器D1が伸縮する場合、つまり、この実施の形態ではロッドガイド7の内周に伸側室側孔3dが対向しない範囲内で緩衝器D1が伸縮する場合について説明する。
緩衝器D1が伸長作動を呈すると、ピストン2がシリンダ1に対して図1中上方へ移動し、伸側室R1が圧縮されるため、伸側室R1内から液体が減衰通路4におけるリーフバルブV1を開いて伸側ポート2bを通過して拡大される圧側室R2へ移動する。リーフバルブV1が液体の流れに抵抗を与えるため、伸側室R1内の圧力が上昇し、伸側室R1と圧側室R2とに差圧が生じてピストン2に作用し、緩衝器D1は伸長作動を抑制する伸側減衰力を発揮する。そして、ピストン速度が速くなり、伸側室R1と圧側室R2とに差圧がリリーフ弁6の開弁圧に達するとリリーフ弁6が開弁してバイパス路Bを介して伸側室R1内の圧力を圧側室R2へ逃がすようになり、緩衝器D1の減衰力はピストン速度の増加に対して頭打ちとなり、リリーフ弁6の開弁後の減衰係数は小さくなる。この伸長作動時には、ピストンロッド3がシリンダ1内から退出するため、伸側室R1と圧側室R2の合計容積の減少によってシリンダ1内で不足する液体がリザーバRから供給され、シリンダ1内で液体不足を生じさせないよう補償する。
緩衝器D1が収縮作動を呈すると、ピストン2がシリンダ1に対して図1中下方へ移動し、圧側室R2が圧縮されるため、圧側室R2内から液体が減衰通路5におけるリーフバルブV2を開いて圧側ポート2cを通過して拡大される伸側室R1へ移動する。リーフバルブV2が液体の流れに抵抗を与えるため、圧側室R2内の圧力が上昇し、圧側室R2と伸側室R1とに差圧が生じてピストン2に作用し、緩衝器D1は収縮作動を抑制する圧側減衰力を発揮する。そして、ピストン速度が速くなり、圧側室R2と伸側室R1とに差圧が圧側リリーフ弁15の開弁圧に達すると圧側リリーフ弁15が開弁してバイパス路Bを介して圧側室R2内の圧力を伸側室R1へ逃がすようになり、緩衝器D1の減衰力はピストン速度の増加に対して頭打ちとなり、圧側リリーフ弁15の開弁後の減衰係数は小さくなる。
よって、この緩衝器D1の伸圧両方の減衰力特性(ピストン速度に対する減衰力の特性)は、図3に示すように、リリーフ弁6、圧側リリーフ弁15が開弁するまでは減衰係数が大きいが、開弁後は減衰係数が小さくなる特性となる。なお、図3中、ピストン速度が低速域において、減衰力が大きく立ち上がる特性になっているが、これは、リーフバルブV1、V2に並列される図示しないオリフィスによる特性であり、リーフバルブV1,V2が開弁するまではオリフィスを通過するので、オリフィスによる特性が現れる。
このように緩衝器D1では、伸長側のピストン速度が速くなってリリーフ弁6の開弁する状態となると、それ以上のピストン速度の増加に対して伸側の減衰力の増加割合を減少させるので、伸長行程時において減衰力過多を抑制することができ、車両における乗り心地を向上させることができる。なお、この実施の形態では、緩衝器D1は、バイパス路Bの途中にリリーフ弁6に並列して圧側リリーフ弁15を設けているので、収縮側のピストン速度が速くなって圧側リリーフ弁15の開弁する状態となると、それ以上のピストン速度の増加に対して圧側の減衰力の増加割合を減少させるので、収縮行程時においても、減衰力過多を抑制することができ、車両における乗り心地を向上させることができる。
つづいて、緩衝器D1が伸長して、図2に示すように、流路面積制限手段C1がバイパス路Bの流路面積を減少させる場合、つまり、この実施の形態ではロッドガイド7の内周に伸側室側孔3dが対向して閉塞される場合について説明する。
緩衝器D1が伸長して、ロッドガイド7におけるブッシュ8に伸側室側孔3dが対向するようになると、ブッシュ8の内周面で伸側室側孔3dが閉塞されはじめ、ブッシュ8の内周面に伸側室側孔3dの全部が対向するとバイパス路Bが完全に遮断される。そうすると、リリーフ弁6が開弁状態にあって減衰力が過大となることを抑制している場合にあっても、流路面積制限手段C1がバイパス路Bの流路面積を減少させる状況では、伸側の減衰力を増大させることができる。すると、緩衝器D1が最伸長するような状況にあっては、リリーフ弁6の開弁による減衰力低減が行われていても、バイパス路Bの流路面積を減少させて伸側減衰力を大きくすることができるため、ロッドガイド7のリバウンドクッション10が衝突する前に減衰力を大きくしてピストン速度を減少させることができ、緩衝器D1の伸切時(最伸長時)のロッドガイド7とリバウンドクッション10の衝突によるショックと打音を低減して車両における乗り心地を向上させることができる。
また、リリーフ弁6を設けるにあたって、伸側室側孔3dをピストン2と緩衝器D1のストローク長を決するリバウンドストッパ9との間に設ける必要がなくなるので、つまり、伸側室側孔3dをリバウンドストッパ9よりも図1中上方に設けることができ、リバウンドストッパ9とピストン2との間隔を狭めることができ、緩衝器D1のストローク長を犠牲にすることがない。
なお、流路面積制限手段C1が、この場合、ロッドガイド7で伸側室側孔3dを閉塞するようにしているおり、ピストンロッド3のシリンダ1に対する図1中上方への移動に伴い伸側室側孔3dを徐々に閉塞するので、リリーフ弁6が開弁して伸側の減衰力を低減している場合であっても、伸側室側孔3dが徐々に閉塞されることに伴って緩衝器D1が発生する伸側の減衰力を徐々に大きくしていくことができ、減衰力の急変を緩和することができ、車両の車体に減衰力急変によるショックを与えることも阻止することができる。
流路面積制限手段C1は、ピストンロッド3が中立位置からシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する方向へ所定量変位すると、バイパス路Bの流路面積を減少し始めるようになっていて、上記所定量変位は任意に設定することができるが、少なくとも、緩衝器D1が最伸長する際には、伸側室側孔3dの一部または全部が閉塞されるように設定される。なお、緩衝器D1が最伸長した際に、伸側室側孔3dがシール部材Uを乗り越えてシリンダ1の外へ配置されることがないように配慮されていればよい。
また、伸側室側孔3dのピストンロッド3の外周に臨む開口の縁の角を面取りしておくと、ブッシュ8へ侵入した際に、ブッシュ8の内周面の齧りを防止することができる。さらに、伸側室側孔3dは、この実施の形態の場合、一つのみを設けているが、複数設けるようにしてもよく、たとえば、ピストンロッド3に対して軸方向にずれた位置に一つずつ設けて、ピストンロッド3がシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する図1中上方へ移動することに伴ってバイパス路Bの流路面積が減少する度合いをチューニングすることができる。二つ以上の伸側室側孔3dを軸方向にずらしてピストンロッド3に設ける場合、軸方向にて伸側室側孔3dを完全にずらして設けてもよいし、重なるように設けることもできる。またさらに、伸側室側孔3dをピストンロッド3の外周側から見た開口の形状は、円形以外の形状とされてもよく、軸方向或いは周方向に沿う長孔とされてもよいし、菱形や楔形といった形状なども採用することができ、たとえば、ピストンロッド3の移動に対してバイパス路Bの流路面積が減じられることによる圧力損失が比例するように設定するようにしてもよい。
次に、図4に示した他の実施の形態の緩衝器D2について説明する。一実施の形態の緩衝器D1では流路面積制限手段C1がロッドガイド7で伸側室側孔3dの一部または全部を閉塞することでバイパス路Bの流路面積を減少させていたが、この他の実施の形態の緩衝器D2における流路面積制限手段C2では、ピストンロッド3の外周にシャッタ20を設けて、シャッタ20で伸側室側孔3dの一部または全部を閉塞することでバイパス路Bの流路面積を減少させるようになっている。さらに、上記した緩衝器D1がピストンロッド3の先端に螺着したピストンナット17でピストンロッド3に組み付けられる各部材を固定していたところ、この緩衝器D2では、内部に上記縦孔3cに連通される圧力室Pを備えたハウジング23をピストンロッド3の先端に螺着することで上記各部材を固定するようにしており、縦孔3cを圧力室Pに連通するためボールFを廃止して縦孔3cのピストンロッド3の先端側の開口を閉塞しないようにしている。
以下、他の実施の形態の緩衝器D2が一実施の形態の緩衝器D1と異なる部分について詳しく説明する。なお、他の実施の形態の緩衝器D2を構成する部材のうち、一実施の形態の緩衝器D1を構成する部材と同じ部材については説明が重複するので、同じ符号を付すのみとしてその詳しい説明を省略することとする。
シャッタ20は、筒状であってピストンロッド3の外周に摺動自在に装着されており、ピストンロッド3の外周に摺接するシャッタ部20aと、シャッタ部20aの外周であって図4中上端側に設けたフランジ20bとを備えている。
また、ピストンロッド3の外周には、リバウンドストッパ9の図4中上端に積層されるピストン側スプリングホルダ21が装着されている。ピストン側スプリングホルダ21は、筒状であって、ピストンロッド3の外周に嵌合されてリバウンドストッパ9に着座している。そして、ピストン側スプリングホルダ21とシャッタ20とは、コイルスプリングでなる伸切スプリング22によって連結される。ピストン側スプリングホルダ21は、伸切スプリング22のピストン側端の内周に挿入されて嵌合される筒状の嵌合部21aと、嵌合部21aのピストン側端である図4中下端に設けたフランジ21bとを備えている。
伸切スプリング22は、ピストン側端である図4中下端の内周に、ピストン側スプリングホルダ21の嵌合部21aが嵌合されていて、当該ピストン側スプリングホルダ21に連結されている。また、伸切スプリング22の反ピストン側端である図4中上端の内周には、シャッタ20のシャッタ部20aが挿入されて嵌合されていて、シャッタ20に連結されている。つまり、伸切スプリング22は、シャッタ20とピストン側スプリングホルダ21とを連結している。ピストンロッド3に固定的に装着されるピストン側スプリングホルダ21に対して、シャッタ20はピストンロッド3の外周を摺動してピストンロッド3に対して軸方向に変位することができるので、伸切スプリング22の伸縮に伴ってシャッタ20がピストンロッド3の外周を軸方向へ変位することになる。
シャッタ20の図4中上方には、リバウンドクッション10が積層されていて、ロッドガイド7とシャッタ20との直接の衝突を防止している。ピストンロッド3がシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する方向である図4中上方へ移動して、ロッドガイド7に対してシャッタ20がリバウンドクッション10を介して衝合すると、それ以上のピストンロッド3の図4中上方側への移動に対して、シャッタ20がロッドガイド7によりピストンロッド3に対して押し下げられ、シャッタ部20aが伸側室側孔3dを閉塞する位置まで押し下げられると、バイパス路Bの流路面積が減じられるようになっている。したがって、この他の実施の形態における流路面積制限手段C2は、シャッタ20を備えており、このシャッタ20がバイパス路Bの伸側室側の開口である伸側室側孔3dを閉塞することで構成されている。また、上記したように、シャッタ20がロッドガイド7によってピストンロッド3に対して図4中下方に押し下げられると、伸切スプリング22が圧縮され、ピストンロッド3のそれ以上のシリンダ1に対する図4中上方側へ移動を抑制するようになっている。このように、シャッタ20は、この実施の形態の場合、流路面積制限手段C2としての機能を発揮しつつ、ロッドガイド側スプリングホルダを兼ねているので、部品点数の増加を招くことがない。また、シャッタ20を設けることで、伸側室側孔3dがロッドガイド7内に侵入させる必要がなくなるので、ブッシュ8を劣化させる心配もない。
ピストンロッド3に装着されるピストン2、リリーフ弁6といった各部材を固定するハウジング23について説明する。ハウジング23は、ピストンロッド3の螺子部3bに螺合される外周に鍔25を備えた環状のナット部24と、ナット部24の外周から垂下される有底筒状の収容筒26とを備えて構成され、収容筒26の図4中上端開口部が上記鍔25の外周へ向けて加締められて鍔25の外周に装着され、収容筒26とナット部24とを一体化し、このナット部24および収容筒26で圧側室R2内に圧力室Pを画成している。なお、ナット部24と収容筒26との一体化に際し、上記加締め加工以外にも溶接等の他の方法を採用することも可能である。また、収容筒26の底部を別体として、ナット部24側に収容筒26の筒部を一体化した構造とすることもでき、ハウジング23の構造については適宜設計変更することができる。
そして、上記のように形成される圧力室P内には、フリーピストン27が摺動自在に挿入されて、圧力室Pは、図4中上方側の伸側圧力室28と下方側の圧側圧力室29に区画されている。
また、ナット部24は、上述のように側方に鍔25を備え、その内周には螺子部24aが形成され、この螺子部24aをピストンロッド3の螺子部3bに螺着することによって、ハウジング23をピストンロッド3の小径部3aに固定することが可能なようになっている。ゆえに、収容筒26の外周の断面形状を真円以外の形状、たとえば、一部を切欠いた形状や、六角形等の形状としておけば、ハウジング23をピストンロッド3の先端に螺着する作業が容易となる。
収容筒26は、有底筒状であって、筒部26aの図4中下方内周が小径とされて内部に段部26bが形成されるとともに、また、その底部26cには、固定オリフィス26dが、筒部26aにはオリフィス孔26eがそれぞれ設けられている。
そして、上記したナット部24および収容筒26で形成される圧力室P内に挿入されるフリーピストン27は、有底筒状に形成されて、収容筒26に摺接する摺接筒27aと、摺接筒27aの一端を閉塞する底27bと、底27bの図4中下端に設けられて収容筒26の底部26cへ向けて突出する凸部27cと、摺接筒27aの外周に形成した環状溝27dと、環状溝27dを圧側圧力室29へ連通する孔27eとを備えて構成され、内側をナット部24に向け筒部27aを収容筒26の内周に摺接させて圧力室P内に挿入されて、圧力室Pを伸側圧力室28と圧側圧力室29とに区画している。
伸側圧力室28は、ピストンロッド3に設けた縦孔3cと伸側室側孔3dを介して伸側室R1に連通されている。また、圧側圧力室29は、固定オリフィス26dを介して圧側室R2に連通されるが、フリーピストン27の環状溝27dがオリフィス孔26eと対向している状態では、オリフィス孔26e、環状溝27dおよび孔27eによっても圧側室R2に連通される。よって、圧力室Pは、伸側室R1と圧側室R2とに連通されている。
また、このフリーピストン27に、フリーピストン27のハウジング23に対する変位量に比例してその変位を抑制する附勢力を作用させるため、伸側圧力室28内であってナット部24の鍔25とフリーピストン27の底部27b内側との間、および、圧側圧力室29内であって収容筒26の底部26cとフリーピストン27の底部27b外側との間に、それぞれ、バネ要素としてコイルバネ30,31を介装してあり、フリーピストン27は、これらコイルバネ30,31のバネ要素によって上下側から挟持されて、圧力室P内の所定位置に位置決められた上で弾性支持されている。
なお、バネ要素としては、フリーピストン27を弾性支持できればよいので、コイルバネ30,31以外のものを採用してもよく、たとえば、皿バネ等の弾性体を用いてフリーピストン27を弾性支持するようにしてもよい。また、一端がフリーピストン27に連結される単一のバネ要素を用いる場合には、ナット部24あるいは収容筒26に他端を固定するようにしてもよい。
コイルバネ30の図中下端は、フリーピストン27の摺接筒27aの最深部内周に嵌合されて半径方向に位置決められ、また、コイルバネ31は、コイルバネ31の内周にフリーピストン27の凸部27cが挿通されることによってセンタリングされて、フリーピストン27に対し位置ずれを防止しており、これによって安定的にフリーピストン27に附勢力を作用させることが可能となっている。
オリフィス孔26eは、フリーピストン27がコイルバネ30,31によって弾性支持されて所定位置にあるときには必ず上記環状溝27dに対向して圧側圧力室29と圧側室R2とを連通するとともに、フリーピストン27がストロークエンドまで変位する、すなわち、ナット部24の図4中下端あるいは収容筒26の段部26bに当接するまで変位するとフリーピストン27の摺接筒27aの外周に完全にオーバーラップされて閉塞されるようになっている。なお、オリフィス孔26eの設置数は任意であり、固定オリフィス24dの設置数についても同様である。
緩衝器D2は以上のように構成され、つづいて、緩衝器D2の動作について説明する。まず、緩衝器D2の伸縮時のピストン速度が低く、リリーフ弁6および圧側リリーフ弁15が開放動作しない場合の動作について説明する。この場合、緩衝器D2がシリンダ1に対してピストン2が図4中上下動する伸縮作動を呈すると、ピストン2によって伸側室R1と圧側室R2の一方が圧縮され、伸側室R1と圧側室R2の他方が拡大されるので、伸側室R1と圧側室R2のうち圧縮される方の圧力が高まると同時に、伸側室R1と圧側室R2のうち容積拡大される方の圧力が低下して両者に差圧が生じて、伸側室R1と圧側室R2のうち圧縮側の液体は減衰通路4,5と圧力室Pを介して伸側室R1と圧側室R2のうち拡大側に移動する。なお、圧力室Pは、フリーピストン27で伸側圧力室28と圧側圧力室29とに仕切られているので、厳密には、伸側室R1(圧側室R2)の液体が圧力室Pを完全に通過して圧側室R2(伸側室R1)へ移動することはないが、フリーピストン27が圧力室P内で変位することにより、見掛け上、圧力室Pを介して伸側室R1から圧側室R2へ或いは圧側室R2から伸側室R1へ液体が移動することになる。
そして、リリーフ弁6および圧側リリーフ弁15が開放動作しない場合を前提として、緩衝器D2に入力される振動の周波数、すなわち、緩衝器D2の伸縮方向の振動の周波数が低周波であっても高周波であっても、緩衝器D2の伸縮行程におけるピストン速度が同じである場合についての動作を説明する。まず、低周波入力時の緩衝器D2の動作を説明すると、この場合、緩衝器D2に入力される振動の振幅が大きいため、伸側室R1と圧側室R2の圧縮側から拡大側へ移動する1周期の流量は大きくなる。この流量に略比例して、フリーピストン27が動く変位も大きくなるが、フリーピストン27はバネ要素としてのコイルバネ30,31で附勢されているため、フリーピストン27の変位が大きくなると、フリーピストン27が受けるバネ要素からの附勢力も大きくなり、その分、圧力室Pの伸側圧力室28と圧側圧力室29のうち、伸側室R1と圧側室R2の拡大側に連通される側の圧力が、伸側室R1と圧側室R2の圧縮側に連通される側の圧力より低くなる。つまり、緩衝器Dが伸長する場合には、伸側圧力室28の圧力が圧側圧力室29の圧力より高くなり、逆に、緩衝器D2が収縮する場合には、圧側圧力室29の圧力が伸側圧力室28の圧力より高くなる。そのため、緩衝器D2が伸長時にあっても、収縮時にあっても、伸側圧力室28と圧側圧力室29との差圧が小さくなり、圧力室Pを見掛け上通過する流量が減少し、減衰通路4,5を通過する流量が増えることになり、減衰力は大きいまま維持される。
逆に、高周波入力時には、緩衝器Dに入力される振動の入力振幅が小さいため、伸側室R1から圧側室R2へ、或いは、圧側室R2から伸側室R1へ移動する1周期の流量は小さく、フリーピストン27の動く変位も小さくなる。すると、フリーピストン27が受けるバネ要素から附勢力も小さくなる。その分、圧力室Pの伸側圧力室28と圧側圧力室29の圧力が略同等となり、伸側圧力室28と伸側室R1との差圧と、圧側圧力室29と圧側室R2との差圧は大きく維持されるため、減衰通路4,5を通過する流量に対する圧力室Pを見掛け上通過する流量の割合が低周波時よりも大きくなり、その分、減衰力が減少する。
入力される振動の周波数に対する緩衝器D2が発生する減衰力の特性は、図5中の実線で示すように、低周波数域の振動に対しては大きな減衰力を発生し、高周波数域の振動に対しては減衰力を小さくすることができ、緩衝器Dの減衰力の変化を入力振動周波数に依存させることができる。
また、フリーピストン27が圧力室P内をストロークエンドまで移動すると、フリーピストン27が同方向へは移動しえなくなるので、液体は減衰通路4,5のみを通過することになり、減衰力低減効果が消失することになる。しかしながら、環状溝27dがオリフィス孔26eを閉塞するため、圧側圧力室29と圧側室R2とを連通する流路の流路面積が減じられてフリーピストン27の移動速度が低減されるので、減衰力低減効果が徐々に消失することになり、減衰力の急変を緩和することができる。
これに対して、緩衝器Dに車両が走行中に路面の凹凸を通過するような急激な大振幅の振動が入力される場面においては、入力振動周波数の如何によらずシリンダ1に対するピストン2の移動速度が高速域に達すると、伸側室R1から圧側室R2へ、圧側室R2から伸側室R2へ向かう液体の流量が大きくなり、固定オリフィス26dの液体の流れに与える抵抗が大きく、減衰通路4,5が液体の流れに与える抵抗よりも非常に大きくなり、液体は減衰通路4,5のみを介して伸側室R1と圧側室R2を行き来するようになる。しかしながら、本実施の形態の緩衝器D2の場合、ピストン速度が高速で図4中上方に移動して伸長作動を呈すると、高圧となった伸側室R1内の圧力がリリーフ弁6に作用し、リリーフ弁6が開弁動作して伸側室R1の圧力を圧側室R2へ逃がすようになるので、伸側減衰力が過多となることが回避され、良好な車両の乗り心地を実現できる。また、ピストン速度が高速で図1中下方に移動して収縮作動を呈すると、高圧となった圧側室R2内の圧力が圧側リリーフ弁15に作用し、圧側リリーフ弁15が開弁動作して圧側室R2の圧力を伸側室R1へ逃がすようになるので、圧側減衰力についても過多となることが回避されて、収縮作動時においても良好なの車両の乗り心地を実現できる。
つづいて、緩衝器D2が伸長して、流路面積制限手段C2がバイパス路Bの流路面積を減少させる場合、つまり、この実施の形態ではシャッタ20の内周に伸側室側孔3dが対向して閉塞される場合について説明する。
緩衝器D2が伸長して、ロッドガイド7によってシャッタ20がピストンロッド3に対して押し下げられて当該シャッタ20に伸側室側孔3dが対向するようになると、シャッタ20の内周面で伸側室側孔3dが閉塞されはじめ、シャッタ20の内周面に伸側室側孔3dの全部が対向するとバイパス路Bが完全に遮断される。そうすると、リリーフ弁6が開弁状態にあって減衰力が過大となることを抑制している場合にあっても、流路面積制限手段C2がバイパス路Bの流路面積を減少させる状況では、伸側の減衰力を増大させることができる。すると、緩衝器D2が最伸長するような状況にあっては、リリーフ弁6の開弁による減衰力低減が行われていても、バイパス路Bの流路面積を減少させて伸側減衰力を大きくすることができるため、伸切スプリング22が最圧縮される前に減衰力を大きくしてピストン速度を減少させることができ、緩衝器D2の伸切時(最伸長時)のショックと伸切スプリング22が最収縮する際の打音を低減して車両における乗り心地を向上させることができる。
また、リリーフ弁6を設けるにあたって、伸側室側孔3dをピストン2と緩衝器D2のストローク長を決するリバウンドストッパ9との間に設ける必要がなくなるので、つまり、伸側室側孔3dをリバウンドストッパ9よりも図1中上方に設けることができ、リバウンドストッパ9とピストン2との間隔を狭めることができ、緩衝器D2のストローク長を犠牲にすることがない。
なお、流路面積制限手段C2が、この場合、シャッタ20で伸側室側孔3dを閉塞するようにしており、ピストンロッド3のシリンダ1に対する図1中上方への移動に伴い伸側室側孔3dを徐々に閉塞するので、リリーフ弁6が開弁して伸側の減衰力を低減している場合であっても、伸側室側孔3dが徐々に閉塞されることに伴って緩衝器D2が発生する伸側の減衰力を徐々に大きくしていくことができ、減衰力の急変を緩和することができ、車両の車体に減衰力急変によるショックを与えることも阻止することができる。
また、伸側室側孔3dのピストンロッド3の外周に臨む開口の縁の角を面取りしておくと、シャッタ20へ侵入した際に、シャッタ20の内周面の齧りを防止することができる。
流路面積制限手段C2は、ピストンロッド3が中立位置からシリンダ1に対して伸側室R1を圧縮する方向へ所定量変位すると、バイパス路Bの流路面積を減少し始めるようになっているが、上記所定量変位は任意に設定することができ、少なくとも、緩衝器D2が最伸長する際には、伸側室側孔3dの一部または全部がシャッタ20によって閉塞されるように設定される。
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
本発明の緩衝器は、車両の制振用途に利用することができる。
1 シリンダ
2 隔壁部材としてのピストン
3 ピストンロッド
3d 伸側室側孔
4,5 減衰通路
6 リリーフ弁
7 ロッドガイド
20 シャッタ
21 ピストン側スプリングホルダ
22 伸切スプリング
28 伸側圧力室
29 圧側圧力室
27 フリーピストン
30,31 バネ要素としてのコイルバネ
B バイパス路
C1,C2 流路面積制限手段
D1,D2 緩衝器
P 圧力室
R1 伸側室
R2 圧側室

Claims (5)

  1. シリンダと、上記シリンダ内に摺動自在に挿入され当該シリンダ内を伸側室と圧側室に区画するピストンと、当該ピストンに連結されるピストンロッドと、上記伸側室と上記圧側室とを連通する減衰通路と、上記ピストンロッドに設けられて上記減衰通路を迂回し上記伸側室と上記圧側室とを連通するバイパス路と、当該バイパス路に設けられて上記伸側室の圧力を受けて開弁するリリーフ弁とを備えた緩衝器において、上記ピストンロッドが中立位置から上記シリンダに対して上記伸側室を圧縮方向へ所定量変位すると上記バイパス路の流路面積を減じる流路面積制限手段を備えたことを特徴とする緩衝器。
  2. 上記流路面積制限手段は、上記シリンダの端部に設けられて上記ピストンロッドを軸支するロッドガイドを備え、当該ロッドガイドで上記バイパス路の伸側室側の開口を覆って上記バイパス路の流路面積を減じることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  3. 上記流路面積制限手段は、上記ピストンロッドの外周に摺動自在に装着されて、上記シリンダの端部に設けられた上記ピストンロッドを軸支するロッドガイドに対向するシャッタを備え、上記ピストンロッドが中立位置から上記シリンダに対して上記伸側室を圧縮方向へ所定量変位すると、上記シャッタは、上記ロッドガイドに押されて、上記ピストンロッドに対して相対移動し、上記バイパス路の伸側室側の開口を覆って上記バイパス路の流路面積を減じることを特徴とする請求項1に記載の緩衝器。
  4. 上記ピストンロッドの外周に装着されるピストン側スプリングホルダと、ピストン側端が当該スプリングホルダに連結されるとともにロッドガイド側端が上記シャッタに連結される伸切スプリングとを備え、上記シャッタは、ロッドガイド側スプリングホルダを兼ねることを特徴とする請求項3に記載の緩衝器。
  5. 上記伸側室と上記圧側室とに連通される圧力室と、上記圧力室内に摺動自在に挿入されて当該圧力室内を上記伸側室に連通される伸側圧力室と上記圧側室に連通される圧側圧力室とに区画するフリーピストンと、上記フリーピストンの上記圧力室に対する所定位置へ位置決め当該所定位置からの変位を抑制する附勢力を発揮するバネ要素とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の緩衝器。
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