JP2014181517A - 高架橋の騒音低減装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】床開口部の排雪機能を維持しつつ簡単な構造によってこの床開口部からの騒音を低減することができる高架橋の騒音低減装置を提供する。
【解決手段】(A)に示す排雪時以外には、復元力作用部9の復元力によって床開口部4dを開閉部7が閉鎖し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。(B)に示す排雪時には、開閉部7上の積雪量が比較的多くなると、復元力作用部9による復元力に抗して、開閉部7に作用する積雪荷重によって開閉部7が下方に回転し、開閉部7が床開口部4dを開放する。その結果、表面7a上の積雪Sがこの表面7a上から滑り、高架橋4の下方にこの積雪Sが落下する。開閉部7から積雪Sが落下してこの開閉部7に作用する積雪荷重が低下すると、復元力作用部9による復元力によって、開閉部7が上方に回転して、開閉部7が床開口部4dを閉鎖する。
【選択図】図4
【解決手段】(A)に示す排雪時以外には、復元力作用部9の復元力によって床開口部4dを開閉部7が閉鎖し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。(B)に示す排雪時には、開閉部7上の積雪量が比較的多くなると、復元力作用部9による復元力に抗して、開閉部7に作用する積雪荷重によって開閉部7が下方に回転し、開閉部7が床開口部4dを開放する。その結果、表面7a上の積雪Sがこの表面7a上から滑り、高架橋4の下方にこの積雪Sが落下する。開閉部7から積雪Sが落下してこの開閉部7に作用する積雪荷重が低下すると、復元力作用部9による復元力によって、開閉部7が上方に回転して、開閉部7が床開口部4dを閉鎖する。
【選択図】図4
Description
この発明は、排雪用の床開口部から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置に関する。
降雪地帯では、鉄道車両が走行する高架橋上の雪を排出するためにこの高架橋の床面に開口部を有する開床式高架橋が建設されている。このような開床式高架橋では、鉄道車両が走行する軌道の両側にこの軌道に沿って床開口部を設け、この床開口部から降雪を下方に落とすとともに、軌道上を走行する除雪車による排雪をこの床開口部から下方に落としている。しかし、開床式高架橋では、鉄道車両が軌道上を走行するときに発生する騒音が床開口部から外部に放射する。このため、従来の高架橋の高架橋低減装置は、高架橋の床開口部から外部に放射する騒音を低減する下側防音壁を備えている(例えば、非特許文献1参照)。このような従来の高架橋の騒音低減装置では、高架橋の床開口部から下方に向かって傾斜するように下側防音壁を設置して、床開口部から放射する騒音を低減するとともに、この床開口部から排出される雪を下方に誘導している。
近藤 正二、他1名、"開床式高架橋における雪害対策を考慮した下側防音壁に関する基礎研究"土木学会第59回年次学術講演会、平成16年9月、第297頁〜第298頁
従来の高架橋の騒音低減装置では、高架橋の床開口部に下側防音壁を構築するために、大規模な工事が必要になりコストが高くなってしまう問題点がある。また、従来の高架橋の騒音低減装置では、下側防音壁の傾斜角度が一定であるため、この下側防音壁の滑雪性能が低下するとこの下側防音壁の表面に雪が付着して床開口部を雪が塞ぎ、床開口部の排雪機能が低下してしまう問題点がある。
この発明の課題は、床開口部の排雪機能を維持しつつ簡単な構造によってこの床開口部からの騒音を低減することができる高架橋の騒音低減装置を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4〜図6に示すように、排雪用の床開口部(4d)から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置であって、排雪時には前記床開口部が開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部が閉鎖状態になるように、この床開口部を開閉する開閉部(7)を備え、前記開閉部は、排雪時には積雪荷重によって前記床開口部を開放状態にし、排雪後には復元力によって前記床開口部を閉鎖状態にすることを特徴とする高架橋の騒音低減装置(6)である。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図4〜図6に示すように、排雪用の床開口部(4d)から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置であって、排雪時には前記床開口部が開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部が閉鎖状態になるように、この床開口部を開閉する開閉部(7)を備え、前記開閉部は、排雪時には積雪荷重によって前記床開口部を開放状態にし、排雪後には復元力によって前記床開口部を閉鎖状態にすることを特徴とする高架橋の騒音低減装置(6)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の高架橋の騒音低減装置において、図4及び図5に示すように、前記床開口部が閉鎖状態になるように、前記開閉部に前記復元力を作用させる復元力作用部(9)を備え、前記開閉部は、排雪時には前記復元力作用部の復元力に抗して前記積雪荷重によって前記床開口部を開放することを特徴とする高架橋の騒音低減装置である。
請求項3の発明は、請求項2に記載の高架橋の騒音低減装置において、図4及び図5に示すように、前記復元力作用部は、前記床開口部が閉鎖状態になるように、前記開閉部に前記復元力として付勢力を作用させる弾性部材(9a)を備えることを特徴とする高架橋の騒音低減装置である。
請求項4の発明は、請求項1に記載の高架橋の騒音低減装置において、図6に示すように、前記開閉部は、排雪時には前記積雪荷重を受けて前記床開口部が閉鎖状態から開放状態になるように撓み、排雪後にはこの床開口部が開放状態から閉鎖状態になるように復元することを特徴とする高架橋の騒音低減装置である。
請求項5の発明は、図7及び図9に示すように、排雪用の床開口部(4d)から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置であって、排雪時には前記床開口部が開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部が閉鎖状態になるように、この床開口部を開閉する開閉部(7)と、前記床開口部を前記開閉部が開閉するようにこの開閉部を駆動する駆動部(11)と、積雪(S)を検出する積雪検出部(12)の検出結果に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部(14)とを備える高架橋の騒音低減装置(6)である。
請求項6の発明は、請求項5に記載の高架橋の騒音低減装置において、前記積雪検出部は、積雪深さ及び/又は積雪荷重を検出することを特徴とする高架橋の騒音低減装置である。
請求項7の発明は、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の高架橋の騒音低減装置において、前記開閉部は、前記積雪荷重を受ける側の表面(7a)が撥水処理されていることを特徴とする高架橋の騒音低減装置である。
この発明によると、床開口部の排雪機能を維持しつつ簡単な構造によってこの床開口部からの騒音を低減することができる。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図3に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である。軌道1は、例えば、道床とまくらぎとが一体化したスラブ軌道である。軌道1は、車両2の車輪を支持して案内する左右一対のレール1aと、これらのレール1aを支持する矩形平板状のプレキャストのコンクリート版からなる軌道スラブ(スラブ版)1bなどを備えている。軌道1は、図1及び図2に示すように、二本の本線で構成された複線であり、上り線1Aと下り線1Bとから構成されている。
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1〜図3に示す軌道1は、車両2が走行する通路(線路)である。軌道1は、例えば、道床とまくらぎとが一体化したスラブ軌道である。軌道1は、車両2の車輪を支持して案内する左右一対のレール1aと、これらのレール1aを支持する矩形平板状のプレキャストのコンクリート版からなる軌道スラブ(スラブ版)1bなどを備えている。軌道1は、図1及び図2に示すように、二本の本線で構成された複線であり、上り線1Aと下り線1Bとから構成されている。
図1〜図3に示す車両2は、軌道1に沿って走行する移動体である。車両2は、電車、機関車、客車又は貨車などの鉄道車両であり、高架橋4上を走行している。図1〜図3に示す車両2は、例えば、高速で走行する新幹線(登録商標)又は在来線の鉄道車両である。車両2は、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である車体2aと、この車体2aを搭載してレール1a上を転動する台車の車輪2bなどを備えている。
図1〜図3に示す防音壁3は、音源から伝搬する音の強さを減衰させる固定構造物である。防音壁3は、音源(軌道1側)と受音点(沿線側)との間に設置されており、音源側の表面を吸音処理することより、この音源から伝搬する音の減衰効果を向上させている。図2に示す防音壁3は、例えば、断面が略L字状の逆L形防音壁である。防音壁3は、図2に示すように、軌道1に対して垂直な壁部3aと、この壁部3aの上縁部を音源側(車両2側)に水平に屈曲した上端部3bなどを備えている。防音壁3は、上端部3bを音源側に屈曲させることによって、二重回折による効果と音響エネルギーを音源側に閉じ込めて遮音効果を高める効果とを付与し、遮音効果を向上させている。
図1〜図3に示す高架橋4は、軌道1を連続的に高架にするための固定構造物である。高架橋4は、例えば、コンクリートが主要材料であり、鉄筋コンクリート構造(RC構造)を主体とするラーメン高架橋などのコンクリート橋(コンクリート高架橋)である。高架橋4は、軌道1の下部に空間を確保するととともに、軌道1を支持する路盤(基盤)としても機能する。高架橋4は、例えば、都市部などで路面交通などと立体化を図るために、鉄道の一定区間を橋梁構造にした構造物であり、都市鉄道又は新幹線などで多用されている。高架橋4は、図1〜図5に示す床版(桁)4aと、図2及び図3に示す橋脚(柱(ピア))4bと、図2に示すフーチング4cと、図2〜図5に示す床開口部(開床部)4dと、図1〜図5に示す溝蓋4eなどを備えている。図1〜図5に示す高架橋4は、例えば、降雪地帯における雪害対策が施されており、図2〜図5に示すように床版4a上の積雪Sを防止するための床開口部4dを有する開床式高架橋である。
図1〜図5に示す床版4aは、高架橋4の床を形成する部分である。床版4aは、図2及び図3に示すように、高架橋4上を通過する車両2を直接支持するための平面状の構造物であり、場所打ちコンクリートによって施工されて水平方向に配置されるPC桁などである。床版4aは、図1〜図5に示す軌道1の軌道スラブ1bを支持する床版上面(床版表面)4fと、図2〜図5に示す騒音低減装置6を支持する床版下面(床版裏面)4gなどを備えている。図2及び図3に示す橋脚4bは、この床版4aを支持する部分である。橋脚4bは、図3に示すように、床版4aの長さ方向に所定の間隔をあけて場所打ちコンクリートによって施工されており、鉛直方向に配置される鉄筋コンクリート柱などである。図2に示すフーチング4cは、橋脚4bから荷重を受ける部分である。フーチング4cは、場所打ちコンクリートによって施工された版状の構造物である。フーチング4cは、杭基礎5の杭頭部に連結されており橋脚4bからの荷重を杭基礎5に伝達する。
図2〜図5に示す床開口部4dは、床版4a上の積雪Sを防ぐために、この床版4a上に降る雪を排出するための排雪用の貫通孔である。床開口部4dは、左右の防音壁3の内側に配置されており、上り線1A側の軌道1と下り線1A側の軌道1との間と、上り線1A側の軌道1と防音壁3との間と、下り線1B側の軌道1と防音壁3との間とに、それぞれ床版4aを貫通して形成されている。床開口部4dは、平面形状が略四角形に形成されており、軌道1に沿って所定の間隔をあけて連続して形成されている。床開口部4dは、高架橋4上に降る雪をこの床開口部4dを通じて自然に落下させる機能を有するとともに、軌道1上の積雪Sを排除する車両2のスノープラウ又は除雪車(ラッセル車)の除雪装置によって排除された積雪Sをこの床開口部4dから下方に落下させる機能とを有する。
図1〜図5に示す溝蓋4eは、床開口部4dを覆う部材である。溝蓋4eは、例えば、鉄又はステンレスなどの金属製の板状部材を溶接又は圧接することによって格子状に形成されており、図1、図4及び図5に示すように格子状の隙間からなる複数の長方形状の排出孔を備えるグレーチングなどである。溝蓋4eは、図1及び図3に示すように、床開口部4dの長さ方向に沿って、この床開口部4dを塞ぐようにこの床開口部4dに着脱自在に複数並べて設置されている。
図2に示す杭基礎5は、高架橋4を支持するための基礎部分である。杭基礎5は、高架橋4の基礎を支える地盤にフーチング4cからの荷重を伝達する。杭基礎5は、例えば、掘削機械によって掘削された所定の深さの穴の中に、鉄筋かごを挿入しコンクリートを打ち込んで構築された場所打ちコンクリート杭である。
図2〜図5に示す騒音低減装置6は、排雪用の床開口部4dから放射する騒音を低減する装置である。騒音低減装置6は、排雪時には、床開口部4dを開放してこの床開口部4dから積雪Sを高架橋4の下方に落とし、排雪時以外には床開口部4dを閉鎖してこの床開口部4dから放射する騒音を低減する。騒音低減装置6は、図2〜図5に示す開閉部7と、図4及び図5に示す回転支持部8と、復元力作用部9などを備えている。
図2〜図5に示す開閉部7は、排雪時には床開口部4dが開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉する手段である。開閉部7は、図3及び図5に示すように、床開口部4dの長さ方向に沿って、この床開口部4dを塞ぐように床版下面4g側に配置されている。開閉部7は、図4及び図5に示すように、平面形状が略四角形に形成されており、剛性を有する金属製又は合成樹脂製の板状部材である。開閉部7は、図4に示すように、この開閉部7の一方の縁部が床開口部4dの一方の縁部側に回転自在に支持されており、この開閉部7の他方の縁部がこの床開口部4dの他方の縁部側を開閉する片開き戸に近似した構造である。開閉部7は、図5に示すように、床開口部4dを長さ方向に複数の領域に分割して各領域をそれぞれ開閉する。開閉部7は、図4(B)及び図5(B)に示すように、排雪時には積雪荷重によって床開口部4dを開放状態にし、図4(A)及び図5(A)に示すように排雪後には復元力によって床開口部4dを閉鎖状態にする。開閉部7は、図4(B)及び図5(B)に示すように、排雪時には復元力作用部9の復元力に抗して積雪荷重によって床開口部4dを開放する。開閉部7は、図4(A)及び図5(A)に示すように、溝蓋4eの排出孔を通過する雪が積もる表面(上面)7aなどを備えており、排雪時に雪が滑り易いように、積雪荷重を受ける側の表面7aが撥水処理されている。表面7aは、例えば、平滑に処理又は撥水性塗料などを塗布して撥水処理されている。
図4及び図5に示す回転支持部8は、開閉部7を回転自在に支持する手段である。回転支持部8は、図4に示すように、床開口部4dの一方の縁部寄りの床版下面4g上に配置されており、開閉部7を上下方向に回転自在に支持している。回転支持部8は、開閉部7の一方の縁部を床開口部4dの一方の縁部に回転自在にピン結合(ヒンジ結合)している。回転支持部8は、床版側軸受部8aと、開閉部側軸受部8bと、ピン部8cなどを備えている。
床版側軸受部8aは、床版下面4g側に取り付けられた軸受であり、開閉部側軸受部8bは開閉部7側に取り付けられた軸受である。ピン部8cは、床版側軸受部8aと開閉部側軸受部8bとに着脱自在に挿入される部材である。回転支持部8は、開閉部7を床版下面4gから取り外すときには、床版側軸受部8aと開閉部側軸受部8bとからピン部8cが抜き取られ、開閉部7を床版下面4gに取り付けるときには、床版側軸受部8aと開閉部側軸受部8bとにピン部8cが挿入される。
図4及び図5に示す復元力作用部9は、床開口部4dが閉鎖状態になるように、開閉部7に復元力を作用させる手段である。復元力作用部9は、図5に示すように、開閉部7の長さ方向の一方の端部と他方の端部とにそれぞれ1つ配置されており、床開口部4d及び開閉部7の長さ方向に沿って所定の間隔をあけて配置されている。復元力作用部9は、弾性部材9aと連結部9b,9cなどを備えている。復元力作用部9は、開閉部7が上下方向に回転可能なように、この開閉部7を床版4aに弾性支持している。復元力作用部9は、床版上面4f側から溝蓋4eを通じて点検可能であり、かつ、開閉部7の開閉動作時にこの開閉部7と干渉しないように、床開口部4d内の空間に収容されている。
弾性部材9aは、床開口部4dが閉鎖状態になるように、開閉部7に復元力として付勢力を作用させる部材である。弾性部材9aは、例えば、図4及び図5に示すように、コイルばねのような引張ばねである。弾性部材9aは、一方の端部(上端部)が床開口部4d側に固定されており、他方の端部(下端部)が開閉部7に固定されている。弾性部材9aは、図4(B)及び図5(B)に示すように、排雪時には伸長状態になって開閉部7が開放動作するのを許容する。一方、弾性部材9aは、図4(A)及び図5(A)に示すように、排雪後には伸長状態から縮小状態に変化して弾性力(ばね力)によって開閉部7を閉鎖動作させ、非排雪時(通常時)には縮小状態を維持して開閉部7を閉鎖状態に維持する。連結部9bは、弾性部材9aの上端部を床版4aに連結する部分であり、床開口部4dの内側側面に固定されている。連結部9cは、弾性部材9aの下端部を開閉部7に連結する部分であり、開閉部7の上面に固定されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る高架橋の騒音低減装置の作用を説明する。
図4(B)及び図5(B)に示すように、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、復元力作用部9の弾性部材9aが縮小しており、この弾性部材9aの付勢力によって開閉部7の表面7aが床版下面4gと接触し、この開閉部7が水平姿勢になって床開口部4dを閉鎖状態に維持している。このため、軌道1上を車両2が走行したときに発生する騒音が床開口部4dを通じて高架橋4の下方に放射するのを開閉部7が阻止し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。
図4(B)及び図5(B)に示すように、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、復元力作用部9の弾性部材9aが縮小しており、この弾性部材9aの付勢力によって開閉部7の表面7aが床版下面4gと接触し、この開閉部7が水平姿勢になって床開口部4dを閉鎖状態に維持している。このため、軌道1上を車両2が走行したときに発生する騒音が床開口部4dを通じて高架橋4の下方に放射するのを開閉部7が阻止し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。
降雪時期になっても降雪量が比較的少ない間は、床開口部4dを開閉部7が閉鎖している。降雪量が徐々に多くなると、溝蓋4eの排出孔を通過して開閉部7の表面7a上に雪が降り積もるとともに、軌道1上を走行する車両2のスノープラウや除雪車の除雪装置によってこの軌道1上から排除された雪が溝蓋4eの排出孔を通過して開閉部7の表面7a上に落下して積もる。開閉部7上の積雪量が比較的少ないときには、開閉部7に作用する復元力作用部9による復元力よりもこの開閉部7に作用する積雪荷重のほうが小さい。このため、図4(A)及び図5(A)に示すように、開閉部7によって床開口部4dが閉鎖状態に維持される
一方、図4(B)及び図5(B)に示すように、開閉部7上の積雪量が比較的多いときには、開閉部7に作用する復元力作用部9による復元力よりもこの開閉部7に作用する積雪荷重のほうが大きくなる。このため、開閉部7に作用する積雪荷重によって弾性部材9aが伸長し、復元力作用部9による復元力に抗して、回転支持部8のピン部8cを回転中心として開閉部7が下方に回転する。その結果、開閉部7が水平傾斜から傾斜姿勢に変化して床開口部4dが閉鎖状態から開放状態に切り替わり、積雪荷重の大きさに応じて開閉部7の傾斜角度が変化する。図5(B)に示すように、床開口部4dの長さ方向に沿って複数の開閉部7が配列されているため、積雪量が多い個所の開閉部7については傾斜角度が大きくなり、積雪量が少ない個所の開閉部7については傾斜角度が小さくなる。開閉部7が積雪量に応じて傾斜すると、図4(B)及び図5(B)に示すように表面7a上の積雪Sがこの表面7a上から滑り、高架橋4の下方にこの積雪Sが落下する。
開閉部7から積雪Sが落下してこの開閉部7に作用する積雪荷重が低下すると弾性部材9aが縮小し、開閉部7に作用する復元力作用部9による復元力によって、回転支持部8のピン部8cを回転中心として開閉部7が上方に回転する。その結果、図4(A)及び図5(A)に示すように、弾性部材9aの付勢力によって開閉部7の表面7aが床版下面4gと接触し、この開閉部7が傾斜姿勢から水平姿勢に変化して床開口部4dが開放状態から閉鎖状態に切り替わる。以上の動作を繰り返すことによって、開閉部7上の積雪Sが床開口部4dから排出されるとともに、この床開口部4dから放射する騒音が開閉部7によって低減される。
この発明の第1実施形態に係る高架橋の騒音低減装置には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、排雪時には床開口部4dが開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉部7が開閉し、排雪時には積雪荷重によって床開口部4dを開閉部7が開放状態にし、排雪後には復元力によって床開口部4dを開閉部7が閉鎖状態にする。このため、排雪時以外には床開口部4dが開閉部7によって閉鎖状態になって、この床開口部4dから放射する騒音をこの開閉部7によって低減することができる。また、排雪時には床開口部4dが開閉部7によって開放状態になって、この床開口部4dから積雪Sを排出させることができる。
(1) この第1実施形態では、排雪時には床開口部4dが開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉部7が開閉し、排雪時には積雪荷重によって床開口部4dを開閉部7が開放状態にし、排雪後には復元力によって床開口部4dを開閉部7が閉鎖状態にする。このため、排雪時以外には床開口部4dが開閉部7によって閉鎖状態になって、この床開口部4dから放射する騒音をこの開閉部7によって低減することができる。また、排雪時には床開口部4dが開閉部7によって開放状態になって、この床開口部4dから積雪Sを排出させることができる。
(2) この第1実施形態では、床開口部4dが閉鎖状態になるように、復元力作用部9が開閉部7に復元力を作用させ、排雪時にはこの復元力作用部9の復元力に抗して積雪荷重によって床開口部4dを開閉部7が開放する。このため、排雪時には特別な駆動源を必要とせずに、積雪荷重を利用して床開口部4dを開閉部7によって簡単に開放することができる。
(3) この第1実施形態では、床開口部4dが閉鎖状態になるように、開閉部7に復元力として付勢力を作用させる弾性部材9aを復元力作用部9が備えている。このため、簡単な構造で安価な弾性部材9aによって開閉部7に付勢力を作用させることができる。また、積雪量が所定量に達して弾性部材9aの付勢力よりも積雪荷重が大きくなったときに、床開口部4dを開閉部7によって開放することができる。このため、弾性部材9aのばね定数を設定することによって、床開口部4dを開閉部7が開放するタイミングを調整することができる。
(4) この第1実施形態では、積雪荷重を受ける側の開閉部7の表面7aが撥水処理されている。このため、開閉部7の表面7aに雪が付着し難くなり、排雪時にはこの表面7a上の積雪Sを下方に滑らせて落下させることができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図5に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示す騒音低減装置6は、図4及び図5に示す回転支持部8と復元力作用部9とを備えておらず、図6に示す固定部10などをを備えている。開閉部7は、図1〜図4に示す開閉部7とは異なり、可撓性を有する金属製又は合成樹脂製の板状部材である。開閉部7は、図6(B)に示すように、排雪時には積雪荷重を受けて床開口部4dが閉鎖状態から開放状態になるように撓み、図6(A)に示すように排雪後にはこの床開口部4dが開放状態から閉鎖状態になるように復元する。開閉部7は、この開閉部7の一方の縁部が床開口部4dの一方の縁部側に固定される固定端(基部)であり、この開閉部7の他方の縁部がこの床開口部4dの他方の縁部側を開閉する自由端である。開閉部7は、図6(B)に示すように、排雪時には積雪荷重によって弾性変形して床開口部4dを開放状態にし、図6(A)に示すように排雪後には復元して床開口部4dを閉鎖状態にする。
以下では、図1〜図5に示す部分と同一の部分については、同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示す騒音低減装置6は、図4及び図5に示す回転支持部8と復元力作用部9とを備えておらず、図6に示す固定部10などをを備えている。開閉部7は、図1〜図4に示す開閉部7とは異なり、可撓性を有する金属製又は合成樹脂製の板状部材である。開閉部7は、図6(B)に示すように、排雪時には積雪荷重を受けて床開口部4dが閉鎖状態から開放状態になるように撓み、図6(A)に示すように排雪後にはこの床開口部4dが開放状態から閉鎖状態になるように復元する。開閉部7は、この開閉部7の一方の縁部が床開口部4dの一方の縁部側に固定される固定端(基部)であり、この開閉部7の他方の縁部がこの床開口部4dの他方の縁部側を開閉する自由端である。開閉部7は、図6(B)に示すように、排雪時には積雪荷重によって弾性変形して床開口部4dを開放状態にし、図6(A)に示すように排雪後には復元して床開口部4dを閉鎖状態にする。
固定部10は、開閉部7を高架橋4に固定する手段である。固定部10は、例えば、床版下面4gに埋め込まれたボルト10aと、開閉部7の基部側の貫通孔にボルト10aを挿入した状態でこのボルト10aに装着されるナット10bなどを備えている。
次に、この発明の第2実施形態に係る高架橋の騒音低減装置の作用を説明する。
降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、図6(A)に示すように開閉部7の上面が床版下面4gと接触し、この開閉部7が水平姿勢になって床開口部4dを閉鎖状態に維持している。このため、軌道1上を車両2が走行したときに発生する騒音が床開口部4dを通じて高架橋4の下方に放射するのを開閉部7が阻止し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。降雪時期になっても降雪量が比較的少ない間は、床開口部4dを開閉部7が閉鎖しているため、降雪量が徐々に多くなると開閉部7の表面7a上に雪が積もる。開閉部7上の積雪量が比較的少ないときには、開閉部7に作用する積雪荷重が小さいため、床開口部4dの閉鎖状態が開閉部7によって維持される。
降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、図6(A)に示すように開閉部7の上面が床版下面4gと接触し、この開閉部7が水平姿勢になって床開口部4dを閉鎖状態に維持している。このため、軌道1上を車両2が走行したときに発生する騒音が床開口部4dを通じて高架橋4の下方に放射するのを開閉部7が阻止し、床開口部4dから放射する騒音を開閉部7が低減する。降雪時期になっても降雪量が比較的少ない間は、床開口部4dを開閉部7が閉鎖しているため、降雪量が徐々に多くなると開閉部7の表面7a上に雪が積もる。開閉部7上の積雪量が比較的少ないときには、開閉部7に作用する積雪荷重が小さいため、床開口部4dの閉鎖状態が開閉部7によって維持される。
一方、図6(B)に示すように、開閉部7の積雪量が比較的多いときには、開閉部7に作用する積雪荷重が大きくなって、開閉部7が弾性変形して下方に撓む。その結果、床開口部4dが閉鎖状態から開放状態に切り替わり、表面7a上の積雪Sがこの表面7a上から滑り、高架橋4の下方にこの積雪Sが落下する。開閉部7から積雪Sが落下してこの開閉部7に作用する積雪荷重が低下するとこの開閉部7が復元して、この開閉部7の表面7aが床版下面4gと接触し、床開口部4dが開放状態から閉鎖状態に切り替わる。以上の動作を繰り返すことによって、開閉部7上の積雪Sが高架橋4から排出されるとともに、床開口部4dから放射する騒音が開閉部7によって低減される。
この発明の第2実施形態に係る高架橋の騒音低減装置には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第2実施形態では、排雪時には積雪荷重を受けて床開口部4dが閉鎖状態から開放状態になるように開閉部7が撓み、排雪後にはこの床開口部4dが開放状態から閉鎖状態になるようにこの開閉部7が復元する。このため、開閉部7の弾性力を利用して床開口部4dを簡単に開閉することができる。
この第2実施形態では、排雪時には積雪荷重を受けて床開口部4dが閉鎖状態から開放状態になるように開閉部7が撓み、排雪後にはこの床開口部4dが開放状態から閉鎖状態になるようにこの開閉部7が復元する。このため、開閉部7の弾性力を利用して床開口部4dを簡単に開閉することができる。
(第3実施形態)
図7に示す騒音低減装置6は、開閉部7と、駆動部11と、積雪検出部12と、開閉状態検出部13と、制御部14などを備えている。開閉部7は、降雪時期で積雪量が比較的多いときには、図中二点鎖線で示すように床開口部4dが開放状態になり、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、図中実線で示すようにこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉する。
図7に示す騒音低減装置6は、開閉部7と、駆動部11と、積雪検出部12と、開閉状態検出部13と、制御部14などを備えている。開閉部7は、降雪時期で積雪量が比較的多いときには、図中二点鎖線で示すように床開口部4dが開放状態になり、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには、図中実線で示すようにこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉する。
駆動部11は、床開口部4dを開閉部7が開閉するようにこの開閉部7を駆動する手段である。駆動部11は、駆動力発生部11aと流体圧回路部11dなどを備えている。駆動力発生部11aは、開閉部7を開閉するための駆動力を発生する部分である。駆動力発生部11aは、油圧又は空気圧などの作動流体の流体圧によって駆動力を発生する油圧シリンダ又は空気圧シリンダなどの流体圧シリンダである。駆動力発生部11aは、作動流体が流入及び流出することによって内部の流体圧が変化するシリンダ部11bと、このシリンダ部11b内の流体圧の変化に応じて進退動作するピストンロッド部11cなどを備えている。駆動力発生部11aは、図4に示す復元力作用部9と同様に、床開口部4d内の空間に収容されており、シリンダ部11b側が連結部9bに回転自在に連結されており、ピストンロッド部11c側が連結部9cに回転自在に連結されている。流体圧回路部11dは、ピストンロッド部11cを作動流体の流体圧によって駆動するための回路である。流体圧回路部11dは、シリンダ部11bに作動流体を送出するポンプ11eと、シリンダ部11bから排出される作動流体を回収するタンク11fと、ピストンロッド部11cの前進、後退及び停止を切り替える方向切替弁11gなどを備えている。流体圧回路部11dは、ピストンロッド部11cを前進させるときには、方向切替弁11gのソレノイドSOL-Aが通電状態(前進切替動作)になって、シリンダ部11b内のヘッド側室S1に作動流体を流入させロッド側室S2から作動流体を流出させる。流体圧回路部11dは、ピストンロッド部11cを後退させるときには、方向切替弁11gのソレノイドSOL-Bが通電状態(後退切替動作)になって、シリンダ部11b内のロッド側室S2に作動流体を流入させヘッド側室S1から作動流体を流出させる。流体圧回路部11dは、ピストンロッド部11cを停止させるときには、方向切替弁11gのソレノイドSOL-A,SOL-Bが非通電状態(停止切替動作)になって、シリンダ部11b内のヘッド側室S1及びロッド側室S2への作動流体の流入及び流出を停止させる。
積雪検出部12は、積雪Sを検出する手段である。積雪検出部12は、例えば、開閉部7上の積雪Sの深さ(積雪深)を検出する積雪深計などである。積雪検出部12は、照射部12aと、受光部12bと、演算部12cなどを備えている。照射部12aは、積雪Sの表面にレーザ光Lを照射する部分である。照射部12aは、開閉部7が床開口部4dを閉鎖した状態であるときの開閉部7の表面7aを基準として所定の高さで配置されている。受光部12bは、積雪Sの表面で反射するレーザ光Lを受光する部分である。受光部12bは、照射部12aと同様に、開閉部7が床開口部4dを閉鎖した状態であるときの開閉部7の表面7aを基準として所定の高さで配置されている。演算部12cは、積雪深さを演算する部分である。演算部12cは、照射部12aから照射するレーザ光Lと受光部12bが受光するレーザ光Lとの位相差に基づいて、照射部12aから受光部12bまでの距離(光路長)を演算する。演算部12cは、非積雪時の光路長から積雪時の光路長を減算して、開閉部7の表面7aと積雪Sの表面との間の垂直距離である積雪深さを演算する。演算部12cは、積雪深さを演算しこの演算結果を積雪深信号(積雪深情報)として制御部14に出力する。
開閉状態検出部13は、開閉部7の開閉状態を検出する手段である。開閉状態検出部13は、例えば、開閉部7の中心軸回りの回転角度を検出するロータエンコーダなどの回転角度検出器である。開閉状態検出部13は、図中実線で示すように、開閉部7が床開口部4dを閉鎖する閉鎖状態と、図中二点鎖線で示すように開閉部7が閉鎖状態から所定角度だけ回転して床開口部4dを開放する開放状態とを検出し、開閉状態検出信号(開閉状態検出情報)を制御部14に出力する。
制御部14は、駆動部11を駆動制御する手段である。制御部14は、図8に示すように、積雪検出部12の検出結果に基づいて駆動部11を駆動制御する。制御部14は、積雪検出部12が出力する積雪深情報に基づいて開閉部7によって床開口部4dを開放するか否かを判断する。制御部14は、積雪深さが所定値を超えるときには、床開口部7dを開閉部7が開放するように駆動部11を駆動制御し、積雪深さが所定値以下であるときには、床開口部4dを開閉部7が閉鎖するように駆動部11を駆動制御する。制御部14は、開閉部7によって床開口部4dを開放状態にするときには、駆動部11のポンプ11eに送出動作開始を指令するとともに方向切替弁11gに前進切替動作を指令する。制御部14は、開閉部7によって床開口部4dを閉鎖状態にするときには、駆動部11のポンプ11eに送出動作開始を指令するとともに方向切替弁11gに後退切替動作を指令する。制御部14は、開閉部7によって床開口部4dを開放状態及び閉鎖状態に維持するときには、駆動部11のポンプ11eに送出動作停止を指令するとともに方向切替弁11gに停止切替動作を指令する。制御部14には、ポンプ11e、方向切替弁11g、積雪検出部12及び開閉状態検出部13が接続されている。
次に、この発明の第3実施形態に係る高架橋の騒音低減装置の作用を説明する。
以下では、制御部14の動作を中心として説明する。
図8に示すステップ(以下、Sという)100において、積雪深さの検出を積雪検出部12に制御部14が指令する。積雪検出部12の照射部12aがレーザ光Lを積雪Sの表面に照射し、この積雪Sの表面から反射するレーザ光Lを受光部12bが受光すると、積雪深さを演算部12cが演算して積雪深情報を制御部14に出力する。
以下では、制御部14の動作を中心として説明する。
図8に示すステップ(以下、Sという)100において、積雪深さの検出を積雪検出部12に制御部14が指令する。積雪検出部12の照射部12aがレーザ光Lを積雪Sの表面に照射し、この積雪Sの表面から反射するレーザ光Lを受光部12bが受光すると、積雪深さを演算部12cが演算して積雪深情報を制御部14に出力する。
S110において、積雪深さが所定値を超えるか否かを制御部14が判断する。積雪検出部12の演算部12cから積雪深情報が制御部14に入力すると、この積雪深情報に基づいて積雪深さが所定値を超えるか否かを制御部14が判断する。積雪深さが所定値を超えていると制御部14が判断したときにはS120に進み、積雪深さが所定値以下であると制御部14が判断したときには一連の処理を終了する。
S120において、開閉部7の開閉状態の検出を開閉状態検出部13に制御部14が指令する。その結果、開閉部7の開閉状態を開閉状態検出部13が検出して、開閉状態検出情報を制御部14に出力する。
S130において、開閉部7の開放を駆動部11に制御部14が指令する。駆動部11のポンプ11eに送出動作開始を制御部14が指令するとともに、方向切替弁11gに前進切替動作を指令する。このため、方向切替弁11gのソレノイドSOL-Aが通電状態になって、シリンダ部11b内のヘッド側室S1にタンク11fからポンプ11eが作動流体を送出して、ロッド側室S2から作動流体がタンク11fに流出する。その結果、駆動力発生部11aのピストンロッド部11cが前進するため、ピン部8cを回転中心として開閉部7が下方に回転し、開閉部7が床開口部4dを開放して開閉部7の表面7a上の積雪Sが下方に落下する。
S140において、開閉部7が開放状態であるか否かを制御部14が判断する。開閉状態検出部13が開閉部7の開放状態を検出すると、この開閉状態検出部13が開閉状態検出情報を制御部14に出力する。開閉部7が開放状態であると制御部14が判断したときにはS150に進み、開閉部7が開放状態ではないと制御部14が判断したときにはS130に戻り、開閉部7の開放の指令を駆動部11に制御部14が継続する。
S150において、開閉部7の閉鎖を駆動部11に制御部14が指令する。駆動部11のポンプ11eに送出動作開始を制御部14が指令するとともに、方向切替弁11gに後退切替動作を指令する。このため、方向切替弁11gのソレノイドSOL-Bが通電状態になって、シリンダ部11b内のロッド側室S2にタンク11fからポンプ11eが作動流体を送出して、ヘッド側室S1から作動流体がタンク11fに流出する。その結果、駆動力発生部11aのピストンロッド部11cが後退するため、ピン部8cを回転中心として開閉部7が上方に回転し、開閉部7が床開口部4dを閉鎖する。
S160において、開閉部7が閉鎖状態であるか否かを制御部14が判断する。開閉状態検出部13が開閉部7の閉鎖状態を検出すると、この開閉状態検出部13が開閉状態検出情報を制御部14に出力する。開閉部7が閉鎖状態であると制御部14が判断したときにはS170に進み、開閉部7が閉鎖状態ではないと制御部14が判断したときにはS150に戻り、開閉部7の閉鎖の指令を駆動部11に制御部14が継続する。
S170において、開閉部7の停止を駆動部11に制御部14が指令する。駆動部11のポンプ11eに送出動作停止を制御部14が指令するとともに、方向切替弁11gに停止切替動作を指令する。このため、方向切替弁11gのソレノイドSOL-A,SOL-Bが非通電状態になって、シリンダ部11b内のヘッド側室S1及びロッド側室S2への作動流体の送出をポンプ11eが停止する。その結果、駆動力発生部11aのピストンロッド部11cが停止するため、ピン部8cを回転中心とする開閉部7の回転が停止し、開閉部7によって床開口部4dが閉鎖状態に維持される。制御部14は、S100からS170までの処理を所定時間間隔で繰り返す。
この発明の第3実施形態に係る高架橋の騒音低減装置には、第1実施形態及び第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、排雪時には床開口部4dが開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉部7が開閉する。また、この第3実施形態では、床開口部4dを開閉部7が開閉するようにこの開閉部7を駆動部11が駆動し、積雪Sを検出する積雪検出部12の検出結果に基づいてこの駆動部11を制御部14が駆動制御する。このため、積雪Sの状態に応じて床開口部4dを開閉部7が自動的に開閉する。その結果、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには床開口部4dが開閉部7によって閉鎖状態になって、この床開口部4dから放射する騒音をこの開閉部7によって低減することができる。また、降雪時期で積雪量が比較的多いときには床開口部4dが開閉部7によって開放状態になって、この床開口部4dから積雪Sを排出させることができる。
(1) この第3実施形態では、排雪時には床開口部4dが開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部4dが閉鎖状態になるように、この床開口部4dを開閉部7が開閉する。また、この第3実施形態では、床開口部4dを開閉部7が開閉するようにこの開閉部7を駆動部11が駆動し、積雪Sを検出する積雪検出部12の検出結果に基づいてこの駆動部11を制御部14が駆動制御する。このため、積雪Sの状態に応じて床開口部4dを開閉部7が自動的に開閉する。その結果、降雪時期以外の通常時又は降雪時期で積雪量が比較的少ないときには床開口部4dが開閉部7によって閉鎖状態になって、この床開口部4dから放射する騒音をこの開閉部7によって低減することができる。また、降雪時期で積雪量が比較的多いときには床開口部4dが開閉部7によって開放状態になって、この床開口部4dから積雪Sを排出させることができる。
(2) この第3実施形態では、積雪検出部12が積雪深さを検出する。このため、このため、積雪Sの深さを検出するだけで開閉部7を自動的に開閉して、積雪Sを簡単に排出させることができる。
(第4実施形態)
図9に示す積雪検出部12は、積雪荷重を検出する。積雪検出部12は、例えば、開閉部7上の積雪Sの重量(積雪荷重)を検出する荷重計などである。積雪検出部12は、歪み検出部12dと演算部12eなどを備えている。歪み検出部12dは、開閉部7の歪みを検出する部分である。歪み検出部12dは、開閉部7の表面7a及び裏面(下面)7bに取り付けられており、開閉部7の歪みを電気信号に変換して歪み検出信号(歪み検出情報)として出力する歪みゲージなどである。演算部12eは、積雪荷重を演算する部分である。演算部12eは、歪み検出部12dが出力する歪み検出情報に基づいて、開閉部7に作用する荷重値を演算する。演算部12eは、積雪時の荷重値から非積雪時の荷重値を減算して積雪荷重を演算する。演算部12eは、積雪荷重を演算しこの演算結果を積雪荷重信号(積雪荷重情報)として制御部14に出力する。
図9に示す積雪検出部12は、積雪荷重を検出する。積雪検出部12は、例えば、開閉部7上の積雪Sの重量(積雪荷重)を検出する荷重計などである。積雪検出部12は、歪み検出部12dと演算部12eなどを備えている。歪み検出部12dは、開閉部7の歪みを検出する部分である。歪み検出部12dは、開閉部7の表面7a及び裏面(下面)7bに取り付けられており、開閉部7の歪みを電気信号に変換して歪み検出信号(歪み検出情報)として出力する歪みゲージなどである。演算部12eは、積雪荷重を演算する部分である。演算部12eは、歪み検出部12dが出力する歪み検出情報に基づいて、開閉部7に作用する荷重値を演算する。演算部12eは、積雪時の荷重値から非積雪時の荷重値を減算して積雪荷重を演算する。演算部12eは、積雪荷重を演算しこの演算結果を積雪荷重信号(積雪荷重情報)として制御部14に出力する。
制御部14は、積雪検出部12が出力する積雪荷重情報に基づいて開閉部7によって床開口部4dを開放するか否かを判断する。制御部14は、積雪Sの重量が所定値を超えるときには、床開口部7dを開閉部7が開放するように駆動部11を駆動制御し、積雪Sの重量が所定値以下であるときには、床開口部4dを開閉部7が閉鎖するように駆動部11を駆動制御する。
次に、この発明の第4実施形態に係る高架橋の騒音低減装置の作用を説明する。
以下では、図8に示すステップと対応するステップについては、対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すS200において、積雪荷重の検出を積雪検出部12に制御部14が指令する。積雪検出部12の歪み検出部12dが開閉部7の歪みを検出すると、積雪荷重を演算部12eが演算して積雪荷重情報を制御部14に出力する。
以下では、図8に示すステップと対応するステップについては、対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図10に示すS200において、積雪荷重の検出を積雪検出部12に制御部14が指令する。積雪検出部12の歪み検出部12dが開閉部7の歪みを検出すると、積雪荷重を演算部12eが演算して積雪荷重情報を制御部14に出力する。
S210において、積雪荷重が所定値を超えるか否かを制御部14が判断する。積雪検出部12の演算部12eから積雪荷重情報が制御部14に入力すると、この積雪荷重情報に基づいて積雪荷重が所定値を超えるか否かを制御部14が判断する。積雪荷重が所定値を超えていると制御部14が判断したときにはS220に進み、積雪荷重が所定値以下であると制御部14が判断したときには一連の処理を終了する。
この発明の第4実施形態に係る高架橋の騒音低減装置には、第1実施形態〜第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第4実施形態では、積雪検出部12が積雪荷重を検出する。このため、積雪Sの重量を検出するだけで開閉部7を自動的に開閉して、積雪Sを簡単に排出させることができる。
この第4実施形態では、積雪検出部12が積雪荷重を検出する。このため、積雪Sの重量を検出するだけで開閉部7を自動的に開閉して、積雪Sを簡単に排出させることができる。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、高架橋4上を鉄道車両が走行する場合を例に挙げて説明したが、自動車などの他の車両が走行する高架橋についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、高架橋4がコンクリート高架橋である場合を例に挙げて説明したが、鋼材を主材料とする鉄桁橋などの鋼橋や、鋼桁と鉄筋コンクリート床版とを結合した合成桁橋などの高架橋についても、この発明を適用することができる。
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、高架橋4上を鉄道車両が走行する場合を例に挙げて説明したが、自動車などの他の車両が走行する高架橋についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、高架橋4がコンクリート高架橋である場合を例に挙げて説明したが、鋼材を主材料とする鉄桁橋などの鋼橋や、鋼桁と鉄筋コンクリート床版とを結合した合成桁橋などの高架橋についても、この発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、左右の防音壁3の内側に床開口部4dを有する高架橋4を例に挙げて説明したが、このような構造の高架橋4に限定するものではない。例えば、除雪車によって投雪された雪が衝突する投雪板を左右の防音壁の外側に配置し、この防音壁と投雪板との間に床開口部を有する高架橋についてもこの発明を適用することができる。この場合には、防音壁と投雪板との間の床開口部を開閉する開閉部を設置することができる。また、この実施形態では、開閉部7が片開き戸に近似した構造である場合を例に挙げて説明したが、開閉部7を両開き戸に近似した構造にすることもできる。
(3) この実施形態では、弾性部材9aがコイルばねである場合を例に挙げて説明したが、弾性部材9aがねじりばねなどの他の構造のばねである場合についても、この発明を適用することができる。また、この実施形態では、積雪荷重を受けて開閉部7が床開口部4dを開放する場合を例に挙げて説明したが、モータ又は流体圧シリンダなどの駆動力発生装置によって開閉部7を自動で開閉したり、作業員が開閉部を手動で開閉したりすることもできる。
(4) この第3実施形態では、積雪検出部12がレーザ光Lを使用する光学式の積雪深計である場合を例に挙げて説明したが、積雪深さの検出方法を限定するものではない。例えば、赤外線などを使用する他の光学式の積雪深計や超音波を使用する超音波式の積雪深計についてもこの発明を適用することができる。また、この第3実施形態では、開閉状態検出部13によって開閉部7の開閉状態を検出しているが、このような検出方法に限定するものではない。例えば、開閉状態検出部13を省略して、積雪検出部12の照射部12aが開閉部7の表面7aにレーザ光Lを照射し、この表面7aから反射するレーザ光Lを受光部12bが受光することによって、開閉部7の開閉状態を検出することもできる。同様に、開閉状態検出部13を省略して、駆動部11のピストンロッド部11cの進退量(ストローク)を一定又は任意に設定して、開閉部7の回転角度を一定又は任意に設定することもできる。
(5) この第3実施形態及び第4実施形態では、駆動部11が流体圧シリンダである場合を例に挙げて説明したが、流体圧モータや電動モータなどの他の駆動部を使用することもできる。また、この第3実施形態及び第4実施形態では、積雪検出部12が積雪深計又は荷重計である場合を例に挙げて説明したが、このような積雪Sの検出方法に限定するものではない。例えば、開閉部7の表面7aを積雪時と非積雪時とに撮影し、両者を比較することによって積雪Sを検出する積雪検出部についてもこの発明を適用することができる。さらに、この第3実施形態及び第4実施形態では、積雪深計又は荷重計のいずれか一方によって積雪Sを検出する場合を例に挙げて説明したが、積雪深計及び荷重計の双方によって積雪Sを検出することもできる。
1 軌道
2 車両
3 防音壁
4 高架橋
4a 床版
4d 床開口部
4e 溝蓋
4f 床版上面
4g 床版下面
6 騒音低減装置
7 開閉部
7a 上面
8 回転支持部
9 復元力作用部
9a 弾性部材
10 固定部
10a ボルト
10b ナット
11 駆動部
12 積雪検出部
13 開閉状態検出部
14 制御部
S 積雪
2 車両
3 防音壁
4 高架橋
4a 床版
4d 床開口部
4e 溝蓋
4f 床版上面
4g 床版下面
6 騒音低減装置
7 開閉部
7a 上面
8 回転支持部
9 復元力作用部
9a 弾性部材
10 固定部
10a ボルト
10b ナット
11 駆動部
12 積雪検出部
13 開閉状態検出部
14 制御部
S 積雪
Claims (7)
- 排雪用の床開口部から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置であって、
排雪時には前記床開口部が開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部が閉鎖状態になるように、この床開口部を開閉する開閉部を備え、
前記開閉部は、排雪時には積雪荷重によって前記床開口部を開放状態にし、排雪後には復元力によって前記床開口部を閉鎖状態にすること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。 - 請求項1に記載の高架橋の騒音低減装置において、
前記床開口部が閉鎖状態になるように、前記開閉部に前記復元力を作用させる復元力作用部を備え、
前記開閉部は、排雪時には前記復元力作用部の復元力に抗して前記積雪荷重によって前記床開口部を開放すること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。 - 請求項2に記載の高架橋の騒音低減装置において、
前記復元力作用部は、前記床開口部が閉鎖状態になるように、前記開閉部に前記復元力として付勢力を作用させる弾性部材を備えること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。 - 請求項1に記載の高架橋の騒音低減装置において、
前記開閉部は、排雪時には前記積雪荷重を受けて前記床開口部が閉鎖状態から開放状態になるように撓み、排雪後にはこの床開口部が開放状態から閉鎖状態になるように復元すること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。 - 排雪用の床開口部から放射する騒音を低減する高架橋の騒音低減装置であって、
排雪時には前記床開口部が開放状態になり、排雪時以外にはこの床開口部が閉鎖状態になるように、この床開口部を開閉する開閉部と、
前記床開口部を前記開閉部が開閉するようにこの開閉部を駆動する駆動部と、
積雪を検出する積雪検出部の検出結果に基づいて前記駆動部を駆動制御する制御部と、
を備える高架橋の騒音低減装置。 - 請求項5に記載の高架橋の騒音低減装置において、
前記積雪検出部は、積雪深さ及び/又は積雪荷重を検出すること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。 - 請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の高架橋の騒音低減装置において、
前記開閉部は、前記積雪荷重を受ける側の表面が撥水処理されていること、
を特徴とする高架橋の騒音低減装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013057549A JP2014181517A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | 高架橋の騒音低減装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013057549A JP2014181517A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | 高架橋の騒音低減装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2014181517A true JP2014181517A (ja) | 2014-09-29 |
Family
ID=51700504
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2013057549A Pending JP2014181517A (ja) | 2013-03-21 | 2013-03-21 | 高架橋の騒音低減装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2014181517A (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2017141564A (ja) * | 2016-02-08 | 2017-08-17 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 橋桁積雪防止構造 |
JP2020012306A (ja) * | 2018-07-18 | 2020-01-23 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 橋梁の騒音低減装置 |
JP2020204254A (ja) * | 2018-07-18 | 2020-12-24 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 高架橋及び騒音低減装置 |
CN114232465A (zh) * | 2022-01-14 | 2022-03-25 | 宁波市高等级公路建设管理中心 | 一种箱梁桥防落梁装置 |
-
2013
- 2013-03-21 JP JP2013057549A patent/JP2014181517A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017141564A (ja) * | 2016-02-08 | 2017-08-17 | 公益財団法人鉄道総合技術研究所 | 橋桁積雪防止構造 |
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CN114232465B (zh) * | 2022-01-14 | 2024-02-02 | 宁波市高等级公路建设管理中心 | 一种箱梁桥防落梁装置 |
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