JP2014181463A - 水切り部材及び水切り構造の施工方法 - Google Patents

水切り部材及び水切り構造の施工方法 Download PDF

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Abstract

【課題】少ない手間で設置できる水切り部材及び水切り構造の施工方法を提供すること。
【解決手段】
水切り部材1は、天然ゴムで形成され、下側面101aに下方平坦面1aが露出するように床版101に埋め込まれる。下方平坦面1aの幅方向の中央に、矩形断面を有して長手方向に延在する水切り溝2が形成されている。下方平坦面1aの両端縁と、この下方平坦面1aに対向する上方平坦面1bの両端縁との間に、弓状断面を有する2つの湾曲側面1c,1cが連なっている。上方平坦面1bの両端部に形成された係止部3により、水切り部材1が床版101のコンクリートに係止する。下方平坦面1aの両端部に形成された剥離防止部4により、剥離防止部4に隣接するコンクリート部分が鈍角断面に形成され、コンクリート部分の剥離が防止される。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば橋梁の水切りを行うために用いられる水切り部材と、水切り構造の施工方法に関する。
従来より、多くの土木構造物や建築物の表面には、雨水の流下跡による壁面の汚損や、流下先に存在する部材や機器の腐食を防止するため、水の流れを止める水切り構造が設置されている。
図8に示すように、橋梁100においては、高欄102の外側面を矢印R1で示すように流れた雨水が、高欄102の下端に連なる床版101の下側面101aを矢印R2で示すように流れ、床版101の下側面101aに設けられた桁構造103の側面を矢印R3で示すように流れて、桁構造103を支持する支承104に到達する。支承104は、橋脚105の上端面に設置されており、この橋脚105の上端面は雨水が滞留しやすいので、滞留した雨水で支承104が劣化する問題がある。また、床版101の下側面101aや桁構造103の側面に雨水の流下跡が生じ、また、橋脚105の上端面から溢れた雨水の流下跡が橋脚105の側面に生じて、橋梁100の美観を損ねる問題がある。
これらの問題を解決する水切り構造として、従来、図9に示すように、床版101の下側面101aの端部に、L字型のアングル材110をボルト111で固定したものがある。また、図10に示すように、床版101の下側面101aの端部に、床版101を形成するコンクリートを突出させて凸部112を形成してなる一体型の水切り構造がある。また、図11に示すように、床版101の下側面101aの端部に、三角形断面の切欠き溝113を形成してなる切欠き型の水切り構造がある。
しかしながら、上記アングル材110を用いた水切り構造は、床版101の下側面101aとアングル材110との間に雨水が溜まりやすく、溜まった雨水でボルト111が腐食してアングル材110が落下する恐れがある。また、上記一体型の水切り構造は、床版101の下側面101aから突出した凸部112が、鉄筋が配置されていない無筋コンクリートであるので、凸部112が劣化により離脱して落下する恐れがある。また、上記切欠き型の水切り構造は、切欠き溝113によって床版101のコンクリートの下側面101aの表面部分が欠損した状態であり、切欠き溝113の最深部と、床版101内の鉄筋との間の距離が短く、コンクリートのかぶり厚が不足しやすい。したがって、床版101に浸透した雨水が鉄筋に達しやすく、床版101内の鉄筋が腐食する恐れや、その結果、切欠き溝113の周辺のコンクリートが剥離する恐れがある。また、上記一体型及び切欠き型の水切り構造は、床版101を施工する際に、凸部112や切欠き溝113を形成するための型枠が必要であり、型枠の構造が複雑になって、施工の手間とコストが嵩む問題がある。
これらの問題を解決するため、従来、図12に示すような水切りブロック114を用いた水切り構造が提案されている(特許文献1参照)。この水切り構造に用いられる水切りブロック114は、矩形断面を有する長尺のコンクリート製のブロックであり、下側面に長手方向に延在する凹溝115が形成されていると共に、上側面に、複数の結束バンド116が長手方向に所定間隔を置いて固定されている。この水切り構造は、次のようにして施工される。まず、床版101の下側面101aに対応する型枠の表面に、凹溝115が形成された面を接するように上記水切りブロック114を配置する。続いて、型枠内に床版101の鉄筋117を配置し、この鉄筋117に結束バンド116を巻いて固定した後、型枠内にコンクリートを打設する。コンクリートが所定強度に達した後、型枠を撤去し、水切りブロック114と一体化した床版101が完成する。
特開2003−20613号公報
しかしながら、上記水切りブロック114を用いた水切り構造は、水切りブロック114がコンクリート製であるから重量が比較的大きいので、水切りブロック114を型枠に設置する作業に手間がかかる問題がある。また、水切りブロック114の結束バンド116を鉄筋117に巻いて固定する作業に、手間がかかる問題がある。さらに、水切りブロック114が矩形断面を有するので、水切りブロック114の側面に接する床版101のコンクリートの部分が、直角の断面に形成される。床版101が、現場で生コンクリートを型枠内に打設する現場打ちコンクリートである場合、床版101の型枠と水切りブロック114の側面との間にセメントペーストが充填されにくく、上記床版101の直角断面部分にジャンカが生じやすい。ジャンカが生じた場合、上記水切りブロック114の側面と床版101のコンクリートとの接触面から雨水がコンクリート内部に浸入しやすくなる。その結果、床版101のコンクリートの直角断面部分が劣化し、この直角断面部分や周辺部分のコンクリートが剥離する恐れや、ジャンカからクラックが進展して水切りブロック114が離脱して落下する恐れがある。
そこで、本発明の課題は、少ない手間で設置できる水切り部材及び水切り構造の施工方法を提供することにある。また、設置位置の周辺部分の劣化を防止できる水切り部材及び水切り構造の施工方法を提供することにある。また、コンクリート部材からの落下を防止できる水切り部材及び水切り構造の施工方法を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の水切り部材は、コンクリート部材に埋め込まれ、上記コンクリート部材の表面における水の流下を止める水切り部材であって、
上記コンクリート部材から露出する水切り手段と、
上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられてコンクリートに係止する係止手段と
を備え、樹脂で形成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、コンクリート部材に埋め込まれた水切り部材の水切り手段により、コンクリート部材の表面における水の流下が止められる。ここで、水切り手段は、水切り部材の上方に位置するコンクリート部材の表面から流れて来た水を、水切り手段から離脱させて落下させることにより、コンクリート部材の表面に沿って水切り部材の下方に水が流れることを止めてもよい。或いは、水切り部材の上方に位置するコンクリート部材の表面から流れて来た水を、水切り手段の延在方向に沿って流して排水することにより、コンクリート部材の表面に沿って水切り部材の下方に水が流下することを止めてもよい。上記水切り部材は、上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられた係止手段がコンクリートに係止するので、従来の水切りブロック114のように結束バンド116を床版101の鉄筋117に巻いて固定する必要が無い。したがって、水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、コンクリート部材の型枠に水切り部材を設置してコンクリートを打設するのみにより、コンクリート部材に水切り部材を係止させて固定することができる。したがって、水切り構造の施工の手間とコストを効果的に削減することができる。また、上記水切り部材は、樹脂で形成されているので、従来のコンクリート製の水切りブロック114よりも軽量であるから、取り扱いが従来よりも容易であり、水切り構造の施工の手間を効果的に削減できる。ここで、上記係止手段は、水切り部材の幅方向に突出して矩形断面や三角形断面を有すると共に長手方向に延在する線状体であるのが好ましい。また、上記係止手段は、水切り部材の高さ方向に延在する接続部と、当該接続部に関し、水切り部材が設けられた側と反対側に設けられて接続部よりも幅広の例えば円形断面や逆三角形断面の拡径部又は拡幅部とを有して長手方向に延在する線状体であるのが好ましい。これらの係止手段により、水切り部材をコンクリート部材に強固に係止させることができる。
一実施形態の水切り部材は、上記水切り手段が、上記コンクリート部材から露出する面に形成された溝である。
上記実施形態によれば、水切り部材の上方に位置するコンクリート部材の表面から流れて来た水を、コンクリート部材から露出する面に形成された溝により、水切り部材から離脱させて落下させ、或いは、溝の延在方向に沿って流して排水する。これにより、コンクリート部材の表面に沿って水切り部材の下方に水が流下することを効果的に防止できる。上記水切り手段が、コンクリート部材から露出する面から突出しない溝で形成されるので、水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、コンクリート部材の型枠の表面に、溝が形成された面を接するように設置できる。したがって、水切り部材が埋め込まれたコンクリート部材を、容易かつ確実に作成できる。したがって、水切り構造の施工の手間を効果的に削減できる。
一実施形態の水切り部材は、上記水切り手段が、上記コンクリート部材の表面から突出する線状の突起物である。
上記実施形態によれば、水切り部材の上方に位置するコンクリート部材の表面から流れて来た水を、上記コンクリート部材の表面から突出する線状の突起物によって離脱させて落下させ、或いは、上記線状の突起物の延在方向に沿って流して排水する。これにより、コンクリート部材の表面に沿って水切り部材の下方に水が流下することを効果的に止めることができる。ここで、突起物は、幅方向又は高さ方向に向かって尖った尖端部を有するのが好ましい。
ここで、上記突起物は、水切り部材の本体に対して着脱可能に形成してもよい。これにより、水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、突起物を離脱させた水切り部材の本体を、コンクリート部材の型枠に容易かつ確実に設置することができる。上記水切り部材の本体を設置した型枠の内側にコンクリートを打設した後、型枠を除去して水切り部材の本体を露出させ、この本体の露出した部分に突起物を装着することにより、水切り手段を構成できる。
一実施形態の水切り部材は、上記水切り手段が、上記係止手段に対して遠近方向に変形可能に形成されている。
上記実施形態によれば、水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、水切り手段を係止手段に近づけた状態の水切り部材をコンクリート部材の型枠の内側面に設置する。ここで、水切り手段をコンクリート部材の表面から露出させるため、型枠の内側面に水切り手段の少なくとも一部が接するように、水切り部材を設置する。この後、コンクリートを打設し、型枠を除去して水切り手段の少なくとも一部を露出させ、この露出した水切り手段の少なくとも一部に引き出し力を与えて水切り手段を引き出すことにより、コンクリート部材の表面から水切り手段が突出した水切り手段を構成できる。このコンクリート部材の表面から突出した水切り手段により、水切り部材の上方に位置するコンクリート部材の表面から流れて来た水を離脱させて落下させ、或いは、水切り手段の延在方向に沿って流して排水する。これにより、コンクリート部材の表面に沿って水切り部材の下方に水が流下することを効果的に止めることができる。
一実施形態の水切り部材は、上記コンクリート部材から露出する露出面と、この露出面に連なってコンクリート部材に埋め込まれる埋設面との間の部分の断面が、鋭角に形成されている。
上記実施形態によれば、水切り部材がコンクリート部材に埋め込まれたとき、コンクリート部材は、上記水切り部材の露出面に隣接する面と、上記水切り部材の埋設面に接する面との間の部分が鈍角に形成される。したがって、この水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、コンクリート部材の型枠の内側面と、水切り部材の埋設部分の表面との間の部分の断面が鈍角になるので、この型枠の内側面と埋設部分の表面との間にコンクリート材料を隙間無く充填することができて、いわゆるジャンカが生じる不都合を防止できる。その結果、水切り部材とコンクリート部材との接触面から雨水が浸透しにくく、コンクリート部材の水切り部材に接する部分の劣化を防止でき、当該コンクリート部材の水切り部材に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。ここで、露出面と埋設面のいずれかが曲面であってもよい。この場合、水切り部材の断面において、露出面と埋設面との接続部におけるいずれかの曲面の接線と、他の面との角度が鋭角に形成されればよい。また、露出面と埋設面の両方が曲面であってもよい。この場合、断面において、露出面と埋設面との接続部における両方の曲面の接線の間の角度が、鋭角に形成されればよい。
一実施形態の水切り部材は、上記コンクリート部材の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚以下の高さに形成されている。
上記実施形態によれば、水切り部材を用いて水切り構造を施工する際に、水切り部材をコンクリート部材の型枠に設置した後、この水切り部材に干渉されることなく、型枠の内側にコンクリート部材の鉄筋を配置することができる。したがって、水切り構造を有するコンクリート部材を、容易に施工することができる。
本発明の水切り構造の施工方法は、コンクリート部材を形成する型枠の内側面に、上記コンクリート部材から露出する水切り手段と、上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられてコンクリートに係止する係止手段とを有して樹脂で形成された水切り部材を、上記水切り手段が型枠の内側面に接するように設置する型枠設置工程と、
上記型枠の内側にコンクリートを打設する打設工程と、
上記型枠をコンクリート部材から除去する脱型工程と
を備える。
上記構成によれば、型枠設置工程において、コンクリート部材の型枠の内側面に、水切り手段と係止手段を有して樹脂で形成された水切り部材を、水切り手段が型枠の内側面に接するように設置される。上記型枠設置工程の後、打設工程において、上記型枠の内側にコンクリートが打設される。この後、脱型工程において、上記型枠がコンクリート部材から除去される。上記水切り部材は、上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられてコンクリートに係止する係止手段を有するので、型枠設置工程において、従来の水切りブロック114のように結束バンド116を床版101の鉄筋117に巻いて固定する必要が無い。したがって、型枠設置工程の手間を従来よりも少なくできる。また、上記水切り部材は、樹脂で形成されているので、従来のコンクリート製の水切りブロック114よりも軽量であるから、取り扱いが従来よりも容易であり、型枠設置工程の手間を従来よりも少なくできる。また、型枠設置工程では、コンクリート部材の型枠に水切り部材を設置すればよいので、床版101のコンクリートで凸部112や切欠き溝113を形成した従来の水切り構造のように、凸部112や切欠き溝113のための型枠が不要であるから、従来よりも型枠設置工程の手間とコストを削減できる。
本発明の第1実施形態の水切り部材を示す断面図である。 第1実施形態の水切り部材を示す斜視図である。 第1実施形態の水切り部材を用いた水切り構造の施工方法を示す断面図である。 第2実施形態の水切り部材を示す断面図である。 第3実施形態の水切り部材と、これを用いた水切り構造の施工方法を示す断面図である。 第4実施形態の水切り部材と、これを用いた水切り構造の施工方法を示す断面図である。 第5実施形態の水切り部材と、これを用いた水切り構造の施工方法を示す断面図である。 一般的な橋梁の構造を示す断面図である。 従来の水切り構造を示す断面図である。 従来の水切り構造を示す断面図である。 従来の水切り構造を示す断面図である。 従来の水切り構造を示す断面図である。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の第1実施形態の水切り部材を示す断面図であり、図2は第1実施形態の水切り部材を示す斜視図である。この水切り部材1は、図8に示す橋梁100のコンクリート部材としての床版101の下側面101aに埋め込まれて、水切り構造を形成するものである。この水切り部材は、床版101の下側面101aの縁端の近傍において、橋軸方向に延在するように埋め込まれる。
この水切り部材1は、図1に示すように両側面の中央が狭まるように湾曲した鼓状の断面を有する細長の棒状体であり、樹脂としての天然ゴムで形成されている。水切り部材1は、床版101の下側面101aに露出する露出面としての下方平坦面1aを有し、下方平坦面1aが下側面101aと同一平面を成すように床版101内に埋め込まれる。この下方平坦面1aの図1における幅方向の中央に、矩形断面を有して長手方向に延在する水切り手段としての水切り溝2が、水切り部材1の長手方向に延在するように、下方平坦面1aにおいて直線状に形成されている。ここで、水切り溝2は、水切り機能を発揮する切り欠きであればよく、断面形状は、矩形以外の三角形や半円形等の他の形状であってもよい。また、水切り溝2の下方平坦面1aに表れる平面形状は、直線状以外の波型状や鋸状等の他の形状であってもよい。
水切り部材1は、下方平坦面1aと対向して下方平坦面1aと平行に延在する上方平坦面1bを有し、この上方平坦面1bの両端縁と下方平坦面1aの両端縁との間に、弓状断面を有する2つの湾曲側面1c,1cが夫々連なっている。上方平坦面1bと湾曲側面1c,1cに取り囲まれる部分が、床版101内に埋め込まれる埋設部分に相当する。上方平坦面1bと下方平坦面1aは同じ幅に形成されていると共に、2つの湾曲側面1c,1cは、上方平坦面1bと直角をなす面に関して互いに対称に形成されている。ここで、2つの湾曲側面1c,1cは、上方平坦面1bと直角をなす面に関して非対称に形成されてもよい。上記下方平坦面1aと上方平坦面1bとの間の距離、すなわち、図1の断面図における水切り部材1の高さは、床版101の図示しない鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚以下となるように形成されている。
上方平坦面1bと一方の湾曲側面1cとの間の部分と、上記上方平坦面1bと他方の湾曲側面1cとの間の部分は、図1の断面図に示すように幅方向に突出する鋭角断面に形成され、係止手段としての係止部3になっている。また、下方平坦面1aと一方の湾曲側面1cとの間の部分と、上記下方平坦面1aと他方の湾曲側面1cとの間の部分は、図1の断面図に示すように幅方向に突出する鋭角断面に形成され、この部分に接する床版101のコンクリートの剥離を防止する剥離防止部4になっている。ここで、湾曲側面1cは曲面に形成されているが、この湾曲側面1cと上方平坦面1bとがなす角度とは、水切り部材1の延在方向と直角の断面において、湾曲側面1cと上方平坦面1bとの接続部における湾曲側面1cの接線と、上方平坦面1bとがなす角度をいう。また、上記湾曲側面1cと下方平坦面1aとがなす角度とは、水切り部材1の延在方向と直角の断面において、湾曲側面1cと下方平坦面1aとの接続部における湾曲側面1cの接線と、下方平坦面1aとがなす角度をいう。
図3は、第1実施形態の水切り部材1を用いた床版101の水切り構造の施工方法を示す断面図である。この水切り構造の施工方法は、まず、図3(a)に示すように、型枠6の内側面に、接着テープ7で水切り部材1の下方平坦面1aを固定して水切り部材1を設置する。ここで、接着テープ7以外に、プラスチック製の釘等の固定手段で水切り部材1の下方平坦面1aを型枠6の内側面に固定することにより、水切り部材1を型枠6の内側面に設置してもよい。要は、型枠6の脱型の際に、水切り部材1から容易に離脱可能であれば、固定手段は特に限定されない。この後、型枠6の内側に、床版101の鉄筋を配置する。続いて、図3(b)に示すように、型枠6の内側に、水切り部材1と鉄筋を埋め込むようにコンクリート材料51を投入し、コンクリートの打設を行う。図3(c)に示すように型枠6を設置した状態で所定の養生期間が経過した後、型枠6と接着テープ7を除去し、図1に示すような水切り構造を備えた床版101が完成する。
第1実施形態の水切り部材1を用いた水切り構造は、次のようにして水切りを行う。すなわち、図8の高欄102の外側面を矢印R1で示すように流れた雨水が、高欄102の下端から床版101の縁端に達し、床版101の下側面101aに沿って下方に流れて、水切り部材1の下方平坦面1aに達する。この雨水を、水切り溝2によって下方平坦面1aから離脱させて落下させる。これにより、雨水が床版101の下側面101aに沿って図8の矢印R2で示すように流下し、桁構造103の側面を矢印R3で示すように流れて支承104に到達し、支承104を劣化させる不都合を効果的に防止できる。また、床版101の下側面101aや桁構造103の側面や橋脚105の側面に、雨水の流下跡が生じて美観を損ねる問題を、効果的に防止できる。
また、第1実施形態の水切り部材1は、床版101に埋め込まれる埋設部分に設けられた係止部3が、床版101のコンクリートに係止するので、従来の水切りブロック114のように結束バンド116を床版101の鉄筋117に巻いて固定する必要が無い。したがって、水切り構造を施工する際に、床版101の型枠6に水切り部材1を設置してコンクリートを打設するのみにより、床版101に水切り部材1を係止させて固定することができる。したがって、水切り構造の施工の手間とコストを効果的に削減することができる。また、水切り部材1の水切り手段が、下方平坦面1aに形成された突出部分の無い水切り溝2であるので、水切り構造を施工する際に、床版101の型枠6に下方平坦面1aを容易かつ確実に接着して水切り部材1を固定することができる。したがって、水切り構造の施工の手間を効果的に削減できる。
また、第1実施形態の水切り部材1は、天然ゴムで形成されているので、従来のコンクリート製の水切りブロック114よりも軽量であるから、取り扱いが従来よりも容易である。したがって、床版101の水切り構造を施工する際の手間を、効果的に削減できる。
また、第1実施形態の水切り部材1は、下方平坦面1aと一方の湾曲側面1cとの間の部分と、上記下方平坦面1aと他方の湾曲側面1cとの間の部分に、断面が鋭角の剥離防止部4が形成されているので、水切り構造の施工時において、床版101の型枠6の内側面と、水切り部材1の剥離防止部4の表面であって湾曲側面1cの下方部分とがなす角度が鈍角になる。したがって、この床版101の型枠6と水切り部材1の湾曲側面1cとの間にコンクリート材料51を隙間無く充填できるので、ジャンカの発生を防止できる。その結果、水切り部材1の湾曲側面1cと床版101のコンクリートとの接触面から雨水が浸透しにくく、床版101のコンクリートの水切り部材1に接する部分の劣化を防止でき、当該床版101のコンクリートの水切り部材1に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。
また、第1実施形態の水切り部材1は、床版101の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚以下の高さに形成されているので、水切り構造を施工する際に、水切り部材1を型枠6に設置した後、この水切り部材1に干渉されることなく、型枠6の内側に床版101の鉄筋を配置することができる。したがって、水切り構造を有する床版101を、容易に施工することができる。
図4は、本発明の第2実施形態の水切り部材を示す断面図である。図4は、水切り部材10を床版101内に埋め込んで水切り構造を形成した様子を示している。第2実施形態において、第1実施形態と同じ構成要素は、同じ参照番号を引用して詳細な説明を省略する。
第2実施形態の水切り部材10は、下方平坦面10aと上方平坦面10bとの間を接続する側面の形状が、第1実施形態の水切り部材1と相違する。第2実施形態の水切り部材10の側面は、図4に示されるように、上方平坦面10b側から下方平坦面10a側に向かうにつれて、幅が狭まるように傾斜した上部縮幅側面10cと、幅が拡大するように傾斜した拡幅側面10dと、幅が狭まるように傾斜した下部縮幅側面10eとで形成されている。上部縮幅側面10cと下部縮幅側面10eとの間を接続する拡幅側面10dにより、段部13を形成している。第2実施形態の水切り部材10は、上方平坦面10bの幅が最も大きく、この上方平坦面10bの両端に係止部3が形成されている。
第2実施形態の水切り部材10によれば、上方平坦面10bの両側に設けられた係止部3と共に、上方平坦面10b側から下方平坦面10a側に向かうにつれて幅が狭まる上部縮幅側面10c及び下部縮幅側面10eがコンクリートと係止する係止手段の機能を発揮する。したがって、水切り部材10を床版101に強固に係合することができ、耐久性の高い水切り構造を構成することができる。
第2実施形態において、水切り部材10の側面に、上部縮幅側面10cと下部縮幅側面10eの2つの縮幅面を設けたが、3つ以上の縮幅面を設けてもよく、或いは、縮幅面は1つでもよい。また、床版101のコンクリートに係止する係止部3を有するのであれば、縮幅面は無くてもよい。また、下部縮幅側面10eの下部に、下方に向かうにつれて拡幅すると共に下端が下方平坦面10aに連なる拡幅面を形成し、この拡幅面と下方平坦面10aとの間の部分の断面を鋭角に形成してもよい。この拡幅面は、平面でも湾曲面でもよい。上記拡幅面と下方平坦面10aとの間の部分の断面を鋭角に形成することにより、水切り構造の施工時において、床版101の型枠の内側面と、水切り部材10の拡幅面とがなす角度が鈍角になる。したがって、この床版101の型枠と水切り部材10の拡幅面との間にコンクリート材料を隙間無く充填できるので、ジャンカの発生を防止できる。その結果、水切り部材10の拡幅面と床版101のコンクリートとの接触面から雨水が浸透しにくく、床版101のコンクリートの水切り部材10に接する部分の劣化を防止でき、当該床版101のコンクリートの水切り部材10に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。
図5(a)は、第3実施形態の水切り部材20を用いて構成された水切り構造を示す断面図である。第3実施形態の水切り部材20は、係止手段としての2つの拡径部23,23及び接続部25と、床版101の下側面101aから突出して長手方向に延在する水切り手段としてのフランジ突起22を有する。図5(a)に示すように、2つの拡径部23は円形断面を有し、床版101の下側面101aから最も遠い位置に所定間隔をおいて埋設されて、床版101のコンクリートに係止している。拡径部23,23は、床版101の下側面101aに対して直角に延在する接続部25,25に接続されている。接続部25の幅は拡径部23の直径よりも小さく形成されている。2つの接続部25,25の下端は、結合部26で結合されている。接続部25,25の下部の互いの間、かつ、結合部26の上方には、水切り部材20の長手方向に沿うように、床版101に空洞52が形成されている。水切り部材20の結合部26の下端に、フランジ突起22が形成されている。フランジ突起22は、結合部26から下方に向かうにつれて急激に拡幅し、両端に尖端部22a,22aを有するフランジ状に形成されている。フランジ突起22は、水切り部材20の長手方向に延在する線状の突起物である。このフランジ突起22の底面は、床版101の下側面101aと平行に形成されている。
第3実施形態の水切り部材20を用いて床版101の水切り構造を施工する際には、水切り部材20は、図5(b)に示すように、接続部25,25が折り畳まれてフランジ突起22の上側面に接した折り畳み形状を成している。すなわち、水切り構造を施工する際、床版101の型枠6の内側面に、フランジ突起22の底面を接着テープ7で固定して、折り畳み形状の水切り部材20を設置する。続いて、型枠6の内側に床版101の鉄筋を配置した後、型枠6の内側に、水切り部材20と鉄筋を埋め込むようにコンクリート材料を投入し、コンクリートの打設を行う。所定の養生期間が経過した後、型枠6を除去すると、床版101の下側面101aからフランジ突起22の底面が露出する。このフランジ突起22の一方の尖端部22aを、図5(c)に示すように、プライヤ8やペンチ等で掴んで矢印Aで示すように下方に引き出すと、折り畳まれた接続部25,25が伸長し、結合部26とフランジ突起22が床版101の下側面101aから突出して露出する。結合部26とフランジ突起22が下側面101aから突出することにより、床版101内に空洞52が形成される。こうして、図5(a)に示すような水切り構造が完成する。
第3実施形態の水切り部材20を床版101に適用した水切り構造では、床版101の下側面101aに沿って水切り部材20に達した雨水が、連結部26の側面を伝ってフランジ突起22に流れ、このフランジ突起22の尖端部22aから離脱して落下する。これにより、雨水が床版101と桁構造103を流れて支承104に達し、支承104を劣化させる不都合を効果的に防止できる。また、床版101の下側面101aや桁構造103の側面や橋脚105の側面に、雨水の流下跡が生じて美観を損ねる問題を、効果的に防止できる。
また、第3実施形態の水切り部材20によれば、水切り構造を施工する際、折り畳み形状にできるので、水切り部材20を型枠6の内側面に固定してコンクリートを打設することにより、水切り部材20が床版101の下側面101aから突出する水切り手段を有するにもかかわらず、拡径部23と接続部25が床版101内に埋め込まれた水切り構造を容易に施工できる。なお、本実施形態において、拡径部23は、円形断面に形成したが、床版101のコンクリートに係止する機能を有するのであれば、例えば楔形や矩形等の他の形状に形成された拡幅部でもよく、形状は限定されない。また、接続部25は、床版101の下側面101aに対して直角に延在しなくてもよい。また、フランジ突起22の下端の両側に設けた尖端部22a,22aは、水切り部材20が取り付けられる床版101の下側面101aの傾斜角度に対応して、少なくとも、水平面に対して上側に傾斜する尖端部22aの突出量を少なくすることにより、尖端部22aの上面の滞水を防止してもよい。また、水平面に対して上側に傾斜する尖端部22aに、排水用の切欠きを設けて、この尖端部22aの上面の滞水を防止してもよい。また、図5(b)に示した水切り部材20であって、接続部25,25が折り畳まれてフランジ突起22の上側面に接した折り畳み形状の水切り部材20について、水切り部材20の下部を、下方に向かうにつれて拡幅する形状とし、折り畳み形状の水切り部材20の下部に位置する接続部25の下部側面と、この接続部25の下部側面に連なるフランジ突起22の底面との間の部分の断面を鋭角に形成してもよい。この折り畳み形状の水切り部材20の接続部25の下部側面は、平面でも湾曲面でもよい。当該水切り部材20の接続部25の下部側面とフランジ突起22の底面との間の部分の断面を鋭角に形成することにより、水切り構造の施工時において、床版101の型枠の内側面と、接続部25の下部側面とがなす角度が鈍角になる。したがって、この床版101の型枠と水切り部材20の接続部25の下部側面との間にコンクリート材料を隙間無く充填できるので、ジャンカの発生を防止できる。その結果、水切り部材20の接続部25の下部側面と床版101のコンクリートとの接触面から雨水が浸透しにくく、床版101のコンクリートの水切り部材20に接する部分の劣化を防止でき、当該床版101のコンクリートの水切り部材20に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。
図6(a)は、第4実施形態の水切り部材30を用いて構成された水切り構造を示す断面図である。第4実施形態の水切り部材30は、係止手段としての2つの拡径部35,35及び接続部36,36と、床版101の下側面101aから突出して長手方向に延在する水切り手段としての水切り突起32を有する。第4実施形態の水切り部材30は、床版101内に埋め込まれる本体部分31に拡径部35が設けられており、本体部分31の床版101から露出する露出面に水切り突起32が取り付けられている。2つの拡径部35,35は円形断面を有し、床版101の下側面101aから最も遠い位置に所定間隔をおいて埋設されて、床版101のコンクリートに係止している。拡径部35,35は、床版101の下側面101aに対して直角に延在する接続部36,36によって本体部分31に接続されている。接続部36の幅は拡径部35の直径よりも小さく形成されている。本体部分31は矩形断面を有し、露出面に、長手方向に延びる取付溝34が形成されている。取付溝34は、概ね矩形断面を有し、対向する両側面に、水切り突起32の連結部33の嵌合突起33aが嵌合する嵌合溝34aが設けられている。水切り突起32は、床版101の下側面101aを含む面を底辺とする二等辺三角形の断面を有する線状の突起物であり、底辺に対応する面に、本体部分31の取付溝34に挿入されて連結される矩形断面の連結部33を有する。連結部33の先端の両側には、幅方向に拡幅してなる嵌合突起33aが形成されている。
第4実施形態の水切り部材30を用いて床版101の水切り構造を施工する際には、本体部分31のみが型枠6に設置される。すなわち、図6(b)に示すように、床版101の型枠6の内側面に、本体部分31の取付溝34が形成された面を接着テープ7で固定して、本体部分31を設置する。続いて、型枠6の内側に床版101の鉄筋を配置した後、型枠6の内側に、本体部分31と鉄筋を埋め込むようにコンクリート材料を投入してコンクリートの打設を行う。型枠6を設置した状態で所定の養生期間が経過した後、型枠6を除去すると、床版101の下側面から本体部分31の取付溝34が露出する。この取付溝34に、図6(c)に示すように、治具81を用いて水切り突起32の連結部33を挿入し、矢印Bで示すように床版101側に押し込む。これにより、連結部33の嵌合突起33aが取付溝34の嵌合溝34aに嵌合し、水切り突起32が本体部分31に固定され、図6(a)に示すような水切り構造が完成する。
第4実施形態の水切り部材30を床版101に適用した水切り構造では、床版101の下側面101aに沿って水切り部材30に達した雨水が、水切り突起32の表面を流れ、水切り突起32の断面の頂点に対応して長手方向に延在する先端縁から離脱して落下する。これにより、雨水が床版101と桁構造103を流れて支承104に達し、支承104を劣化させる不都合を効果的に防止できる。また、床版101の下側面101aや桁構造103の側面や橋脚105の側面に、雨水の流下跡が生じて美観を損ねる問題を、効果的に防止できる。
また、第4実施形態の水切り部材30によれば、水切り突起32を本体部分31に着脱可能に形成されているので、水切り構造を施工する際、本体部分31を型枠6の内側面に固定してコンクリートを打設することにより、拡径部35,35と接続部36,36と本体部分31を床版101に埋め込むことができる。この後、水切り突起32を本体部分31に連結することにより、水切り構造を容易に施工できる。なお、本実施形態において、拡径部35は、円形断面に形成したが、床版101のコンクリートに係止する機能を有するのであれば、例えば楔形や矩形等の他の形状に形成された拡幅部でもよく、形状は限定されない。また、水切り突起32は、先端の尖った尖端部を有すれば、二等辺三角形以外の他の断面形状であってもよい。また、水切り突起32は、尖端部を複数個有してもよい。また、本体部分31が有する取付溝34を水切り溝として転用し、本体部分31のみによって水切り部材を構成してもよい。また、本体部分31の側面の下部に、下方に向かうにつれて拡幅すると共に下端が底面に連なる拡幅面を形成し、この拡幅面と底面との間の部分の断面を鋭角に形成してもよい。この拡幅面は、平面でも湾曲面でもよい。上記拡幅面と底面との間の部分の断面を鋭角に形成することにより、水切り構造の施工時において、床版101の型枠6の内側面と、本体部分31の拡幅面とがなす角度が鈍角になる。したがって、この床版101の型枠6と本体部分31の拡幅面との間にコンクリート材料を隙間無く充填できるので、ジャンカの発生を防止できる。その結果、本体部分31の拡幅面と床版101のコンクリートとの接触面から雨水が浸透しにくく、床版101のコンクリートの本体部分31に接する部分の劣化を防止でき、当該床版101のコンクリートの本体部分31に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。
図7(a)は、第5実施形態の水切り部材40を用いて構成された水切り構造を示す断面図である。第5実施形態の水切り部材40は、係止手段としての1つの拡径部43及び接続部42と、床版101の下側面101aから突出して長手方向に延在する水切り手段としての三角峰41を有する。第5実施形態の水切り部材40は、拡径部43と三角峰41との間が接続部42で接続されて、一体に形成されている。拡径部43は円形断面を有し、床版101の下側面101aから最も遠い位置に埋設されて、床版101のコンクリートに係止している。接続部42は、床版101の下側面101aと直角をなす面内に延びており、接続部42の幅は拡径部43の直径よりも小さく形成されている。三角峰41は、床版101の下側面101aに位置する接続部42の下端に連なっており、接続部42に連なる傾斜部41bと、この傾斜部41bに連なる当接部41cとで構成されている。三角峰41の傾斜部41bと当接部41cとの間に、床版101の下側面101aから最も遠くに突出する先端縁41aが形成される。第5実施形態の水切り部材40は、床版101に固定される前の状態において、三角峰41を構成する傾斜部41bと当接部41cが平行を成すように折り畳まれて、この三角峰41と接続部42とで概ねL字状の断面形状を有する。当該水切り部材40は、傾斜部41bと当接部41cが折り畳まれた状態において、図7(b)に示すように、三角峰41の側面が下方に向かうにつれて外側に傾斜した傾斜面41dに形成されている。
第5実施形態の水切り部材40を用いて床版101の水切り構造を施工する際には、三角峰41と接続部42が略L字状の状態で、水切り部材40が型枠6に設置される。すなわち、図7(b)に示すように、床版101の型枠6の内側面に、L字状の三角峰41の傾斜部41bの表面を接着テープ7で固定して、水切り部材40を設置する。続いて、型枠6の内側に床版101の鉄筋を配置した後、型枠6の内側に、水切り部材40と鉄筋を埋め込むようにコンクリート材料を投入してコンクリートの打設を行う。所定の養生期間が経過した後、型枠6を除去すると、床版101の下側面101aから三角峰41の傾斜部41bの表面が露出する。この傾斜部41bの当接部41c側の端部を、図7(c)に示すように、ドライバ82等を用いて矢印Cで示すように引き出し、当接部41cの先端を床版101の下側面101aに係止させる。これにより、平行に折り畳まれた傾斜部41bと当接部41cが展開され、図7(a)に示すように、床版101の下側面101aから最も遠くに突出する先端縁41aが形成されて、水切り構造が完成する。
第5実施形態の水切り部材40を床版101に適用した水切り構造では、床版101の下側面101aに沿って水切り部材40に達した雨水が、傾斜部41b又は当接部41cの表面を流れ、先端縁41aから離脱して落下する。これにより、雨水が床版101と桁構造103を流れて支承104に達し、支承104を劣化させる不都合を効果的に防止できる。また、床版101の下側面101aや桁構造103の側面や橋脚105の側面に、雨水の流下跡が生じて美観を損ねる問題を、効果的に防止できる。
また、第5実施形態の水切り部材40によれば、三角峰41を構成する傾斜部41bと当接部41cが折り畳まれるように形成されているので、水切り構造を施工する際、折り畳まれた三角峰41を型枠6の内側面に固定してコンクリートを打設することにより、拡径部43と接続部42を床版101に埋め込むことができる。この後、折り畳まれた傾斜部41bと当接部41cを展開することにより、三角峰41を床版101の下側面101aから突出させて、容易に水切り構造を施工できる。また、第5実施形態の水切り部材40によれば、斜部41bと当接部41cが折り畳まれた状態において、三角峰41の側面が下方に向かうにつれて外側に傾斜した傾斜面41dに形成されているので、水切り構造の施工時において、床版101の型枠6の内側面と、三角峰41の傾斜面41dとがなす角度が鈍角になる。したがって、この床版101の型枠6と三角峰41の傾斜面41dとの間にコンクリート材料を隙間無く充填できるので、ジャンカの発生を防止できる。その結果、上記三角峰41の傾斜面41dが接触していたコンクリートの表面から雨水が浸透しにくく、当該三角峰41の傾斜面41dが接触していたコンクリートの部分の劣化を防止でき、当該三角峰41の傾斜面41dが接触していたコンクリートの部分の剥離を、効果的に防止できる。なお、本実施形態において、接続部42の側面の下部に、下方に向かうにつれて外側に傾斜した傾斜面を設けてもよい。これにより、水切り構造の施工時において、床版101の型枠6の内側面と、上記接続部42の傾斜面とがなす角度が鈍角になるので、この床版101の型枠6と接続部42の傾斜面との間にコンクリート材料を隙間無く充填でき、ジャンカの発生を防止できる。その結果、上記接続部42の傾斜面と床版101のコンクリートとの接触面から雨水が浸透しにくく、床版101のコンクリートの接続部42に接する部分の劣化を防止でき、当該床版101のコンクリートの接続部42に接する部分の剥離を、効果的に防止できる。なお、上記三角峰41の傾斜面41d及び接続部42の傾斜面は、平面でも湾曲面でもよい。また、本実施形態において、拡径部43は、円形断面に形成したが、床版101のコンクリートに係止する機能を有するのであれば、例えば楔形や矩形等の他の形状に形成された拡幅部でもよく、形状は限定されない。
上記各実施形態において、水切り部材1,10,20,30,40は天然ゴムで形成されたが、天然ゴム以外に、クロロプレン、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリウレタン等の合成ゴムで形成してもよい。また、天然ゴムや合成ゴム等のエラストマーのほか、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエポキシ樹脂等の他の樹脂で形成してもよい。また、水切り部材1,10,20,30,40を形成する樹脂は、単一材料で構成されてもよく、FRP(繊維強化プラスチック)のような複合材料で構成されてもよい。また、水切り部材1,10,20,30,40を形成する樹脂は、耐水性を有するものが好ましい。
また、上記各実施形態では、水切り部材1,10,20,30,40を橋梁の床版101に適用した水切り構造について説明したが、例えば橋脚や高欄等のように、橋梁の他の部材に水切り部材1,10,20,30,40を適用してもよい。また、橋梁に限られず、ダムやトンネル等の他の土木構造物や、建築物に、水切り部材1,10,20,30,40を適用してもよい。また、本発明の水切り部材は、現場打ちコンクリートのほか、プレキャストコンクリートに用いてもよい。
1 水切り部材
1a 下方平坦面
1b 上方平坦面
1c 湾曲側面
2 水切り溝
3 係止部
4 剥離防止部
6 型枠
7 接着テープ
101 床版

Claims (7)

  1. コンクリート部材に埋め込まれ、上記コンクリート部材の表面における水の流下を止める水切り部材であって、
    上記コンクリート部材から露出する水切り手段と、
    上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられてコンクリートに係止する係止手段と
    を備え、樹脂で形成されたことを特徴とする水切り部材。
  2. 請求項1に記載の水切り部材において、
    上記水切り手段が、上記コンクリート部材から露出する面に形成された溝であることを特徴とする水切り部材。
  3. 請求項1に記載の水切り部材において、
    上記水切り手段が、上記コンクリート部材の表面から突出する線状の突起物であることを特徴とする水切り部材。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1つに記載の水切り部材において、
    上記水切り手段が、上記係止手段に対して遠近方向に変形可能に形成されていることを特徴とする水切り部材。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1つに記載の水切り部材において、
    上記コンクリート部材から露出する露出面と、この露出面に連なってコンクリート部材に埋め込まれる埋設面との間の部分の断面が、鋭角に形成されていることを特徴とする水切り部材。
  6. 請求項1乃至5のいずれか1つに記載の水切り部材において、
    上記コンクリート部材の鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚以下の高さに形成されていることを特徴とする水切り部材。
  7. コンクリート部材を形成する型枠の内側面に、上記コンクリート部材から露出する水切り手段と、上記コンクリート部材に埋め込まれる埋設部分に設けられてコンクリートに係止する係止手段とを有して樹脂で形成された水切り部材を、上記水切り手段が型枠の内側面に接するように設置する型枠設置工程と、
    上記型枠の内側にコンクリートを打設する打設工程と、
    上記型枠をコンクリート部材から除去する脱型工程と
    を備えることを特徴とする水切り構造の施工方法。
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