JP2014179463A - パワーモジュール用基板、及びヒートシンク付パワーモジュール用基板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属層13は、絶縁層11の他方の面に形成されたAl層13Aと、このAl層のうち前記絶縁層が形成された面と反対側の面に形成された金属部材層と、を有し、前記Al層と前記金属部材層との接合部には、前記金属部材層側に位置するTi層15と、前記Ti層と前記Al層との間に位置し、Al3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層と、が形成されており、前記Al−Ti−Si層は、前記Ti層側に形成された第一Al−Ti−Si層と、前記Al層側に形成され前記第一Al−Ti−Si層よりもSi濃度が低い第二Al−Ti−Si層と、を備えていることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
風力発電、電気自動車等の電気車両などを制御するために用いられる大電力制御用のパワー半導体素子においては、発熱量が多いことから、これを搭載する基板としては、例えばAlN(窒化アルミニウム)などからなるセラミックス基板(絶縁層)の一方の面及び他方の面に導電性の優れた金属板を回路層及び金属層として接合したパワーモジュール用基板が、従来から広く用いられている。
そこで、従来、例えば特許文献2に開示されているように、金属層の表面に無電解めっき等によってNiめっき膜を形成した上で、はんだ材で接合している。
また、特許文献3には、はんだ材の代替として、酸化銀粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化銀ペーストを用いて金属層とヒートシンクとを接合する技術が提案されている。
なお、特許文献4に記載されたパワーモジュールにおいては、金属層として、Al層とCu層とがTi層を介して接合された接合体が用いられている。ここで、Al層とTi層との間には、拡散層が形成されており、この拡散層は、Al層側から順に、Al−Ti層、Al−Ti−Si層、Al−Ti−Cu層と、を有している。
さらには、Al層にTi箔を介してCu板等を積層し、Al層とTi箔との界面が溶融する温度にまで加熱する場合、接合界面に液相が生じてコブが生じたり、厚さが変動したりするため、接合信頼性が低下する問題があった。
しかしながら、特許文献4に記載された方法で、Ni層やAg層を形成すると、Cu層を形成した場合と同様に、Al層とTi層との接合界面に、Al−Ti層、Al−Ti−Ni層、Al−Ti−Ag層等の硬い層が形成されたり、接合界面にコブが生じたりすること等によって、接合信頼性が低下するおそれがあった。
以上のように、従来は、Al層と、Cu、Ni、Agのいずれかからなる金属部材層とを良好に接合することができず、接合信頼性に優れた金属層を有するパワーモジュール用基板を得ることはできなかった。
なお、本発明において、アルミニウムは純アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたものとし、銅は純銅又は銅合金、ニッケルは純ニッケル又はニッケル合金、銀は純銀又は銀合金で構成されたものとしている。
さらに、Ti層側に形成された第一Al−Ti−Si層のSi濃度が、Al層側に形成された第二Al−Ti−Si層のSi濃度よりも高いので、Ti原子がAl層側に拡散することが抑制され、第一Al−Ti−Si層、及び第二Al−Ti−Si層の厚さを薄くすることができる。
さらに、Al層のうち絶縁層が形成された面と反対側の面に、銅又は銅合金からなるCu層が形成されている場合、Cu層はAl層に比べて変形抵抗が大きいことから、ヒートサイクルが負荷された際に金属層の変形が抑制され、ヒートシンクと金属層を接合する接合層の変形を抑制し、接合信頼性を向上できる。
また、Al層のうち絶縁層が形成された面と反対側の面に、ニッケル又はニッケル合金からなるNi層が形成されている場合、はんだ付け性が良好となり、ヒートシンクとの接合信頼性が向上する。
また、Al層のうち絶縁層が形成された面と反対側の面に、銀又は銀合金からなるAg層が形成されている場合、例えば酸化銀粒子と有機物からなる還元剤とを含む酸化銀ペーストを用いてヒートシンクを接合する際に、酸化銀が還元された銀とAg層とが同種の金属同士の接合となるため、接合信頼性を向上させることができる。
この場合、Al層側に形成された第二Al−Ti−Si層が十分なSi濃度を有しているので、Al層を構成するAl原子がTi層側に過剰に拡散することが抑制され、第一Al−Ti−Si層、及び第二Al−Ti−Si層の厚さを薄くすることができる。
本発明のヒートシンク付パワーモジュール用基板によれば、パワーモジュール用基板とヒートシンクとが接合されているので、ヒートシンクを介してパワーモジュール用基板側からの熱を効率的に放散することができる。
この場合、金属層のうちヒートシンク側に形成された銅、ニッケル、又は銀からなる金属部材層と、ヒートシンクとがはんだ層を介して接合されているので、金属部材層とはんだ層を良好に接合することができ、金属層とヒートシンクとの接合信頼性を向上させることができる。
さらに、Al層の一方の面にCu層又はAg層が形成されている場合、熱伝導率の良好なCu層又はAg層が回路層の一方側に形成されているので、半導体素子からの熱を拡げて効率的にパワーモジュール用基板側に伝達することができる。
また、Al層の一方の面にニッケル又はニッケル合金からなるNi層が形成されている場合、はんだ付け性が良好となり、半導体素子との接合信頼性が向上する。
図1に、本発明の一実施形態に係るヒートシンク付パワーモジュール1を示す。
ヒートシンク付パワーモジュール1は、ヒートシンク付パワーモジュール用基板30と、このヒートシンク付パワーモジュール用基板30の一方の面(図1において上面)にはんだ層2を介して接合された半導体素子3と、を備えている。
ヒートシンク付パワーモジュール用基板30は、パワーモジュール用基板10と、パワーモジュール用基板10の下側にはんだ層35を介して接合されたヒートシンク31と、を備えている。
Al層13Aは、セラミックス基板11の他方の面に、アルミニウム又はアルミニウム合金からなるアルミニウム板が接合されることにより形成されている。本実施形態においては、Al層13Aは、純度99質量%以上のアルミニウム(いわゆる2Nアルミニウム)の圧延板を接合することで形成されている。前記純度99質量%以上のアルミニウムの圧延板には、0.08質量%以上0.95質量%以下のSiが含有されているとよい。なお、接合されるアルミニウム板の厚さは0.1mm以上3.0mm以下の範囲内に設定されており、本実施形態では、0.6mmに設定されている。
そして、Al層13AとTi層15との接合界面には、図3に示すように、Al3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層16が形成されている。
第一Al−Ti−Si層16AのSi濃度は、10at%以上30at%以下とされており、本実施形態では20at%とされている。第二Al−Ti−Si層16BのSi濃度は、1at%以上10at%以下とされており、本実施形態では3at%とされている。
はんだ層2は、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材(いわゆる鉛フリーはんだ材)とされており、パワーモジュール用基板10と半導体素子3とを接合するものである。
はんだ層35は、はんだ層2と同様に、例えばSn−Ag系、Sn−Cu系、Sn−In系、若しくはSn−Ag−Cu系のはんだ材(いわゆる鉛フリーはんだ材)とされており、パワーモジュール用基板10とヒートシンク31とを接合するものである。
まず、図5に示すように、セラミックス基板11の一方の面に、回路層12となるアルミニウム板22を積層する。一方、セラミックス基板11の他方の面には、Al層13Aとなるアルミニウム板23Aを積層し、さらにその上にチタン箔25を介してCu層13Bとなる銅板23Bを積層する(アルミニウム板及び銅板積層工程S01)。ここで、本実施形態においては、アルミニウム板22、23Aとセラミックス基板11との間には、Al−Si系のろう材箔26を介して積層した。
なお、アルミニウム板23A、チタン箔25、及び銅板23Bの接合されるそれぞれの面は、予め当該面の傷が除去されて平滑にされた後に、固相拡散接合されている。
上記のようにして、本実施形態であるパワーモジュール用基板10が製造される。
このようにして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール用基板30が製造される。
次いで、回路層12の一方の面(表面)に、はんだ材を介して半導体素子3を積層し、還元炉内においてはんだ接合する(半導体素子接合工程S04)。
上記のようにして、本実施形態であるヒートシンク付パワーモジュール1が製造される。
さらには、Ti層15側に形成された第一Al−Ti−Si層16Aに含まれるSi濃度が10at%以上30at%以下とされているので、Ti原子がAl層13A側に過剰に拡散することが抑制され、第一Al−Ti−Si層16Aの厚さを薄くすることができる。
さらに、Al層13Aのうちセラミックス基板11が形成された面と反対側の面には、比較的変形抵抗の大きいCu層13Bが形成されているので、ヒートサイクルが負荷された際に金属層13の変形が抑制され、金属層13とヒートシンク31とを接合するはんだ層35の変形を抑制し、接合信頼性を向上できる。
また、固相拡散接合によってNi層を形成する場合、固相拡散接合は、前記第一実施形態においてCu層を形成した場合と同様の条件で形成することができる。
また、固相拡散接合によってAg層を形成する場合、固相拡散接合は、前記第一実施形態においてCu層を形成した場合と同様の条件で形成することができる。
また、ヒートシンクが銅又は銅合金で構成される場合について説明したが、これに限定されることはなく、ヒートシンクがアルミニウム又はアルミニウム合金で構成されても良い。
また、Cu層に代えてNi層を形成する場合、Ti/Niからなるクラッド材やAl/Ti/Niからなるクラッド材を用いることができる。
さらに、Cu層に代えてAg層を形成する場合、Ti/Agからなるクラッド材やAl/Ti/Agからなるクラッド材を用いることができる。
本発明例1〜5のヒートシンク付パワーモジュールを次のようにして製造した。まず、表1に示すセラミックス基板の一方の面に、回路層となる純度99%以上のAl(2N−Al)板を積層する。また、セラミックス基板の他方の面には、Al層となる純度99%以上のアルミニウム板(Siを0.25質量%含有)を積層し、さらにチタン箔を介して無酸素銅の銅板を積層する。ここで、アルミニウム板とセラミックス基板との間には、Al−Si系のろう材箔を介して積層した。次いで、表1に示す条件で加熱処理を行い、セラミックス基板の一方の面及び他方の面に回路層及びAl層を形成するとともに、Al層、チタン箔、銅板を固相拡散接合して金属層を形成した。そして、パワーモジュール用基板の金属層と表1に示すヒートシンクとをSn−Sb系のはんだ材を用いて接合した。また、回路層の一方の面に、Sn−Sb系のはんだ材を介して半導体素子を接合した。
また、ヒートシンク付パワーモジュールに対して、冷熱サイクル試験を行い、試験後のセラミックス基板と金属層との接合率を評価した。
断面観察、冷熱サイクル試験及び接合率の評価は、以下のようにして行った。
Al層と金属部材層との接合部の断面をクロスセクションポリッシャ(日本電子株式会社製SM−09010)を用いて、イオン加速電圧:5kV、加工時間:14時間、遮蔽板からの突出量:100μmでイオンエッチングした後に、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いてAl層と金属部材層との接合部の観察を行った。そして、EPMA分析装置を用いて、接合部の組成分析を行い、Ti層とAl層との間の接合界面に、Al3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層が形成されているかどうかを確認した。
冷熱サイクル試験は、冷熱衝撃試験機エスペック社製TSB−51を使用し、ヒートシンク付パワーモジュールに対して、液相(フロリナート)で、−40℃×5分←→125℃×5分の3000サイクルを実施した。
ヒートシンク付パワーモジュールに対し、Al層と金属部材層との接合部の接合率について超音波探傷装置を用いて評価し、以下の式から算出した。
ここで、初期接合面積とは、接合前における接合すべき面積、すなわち本実施例ではAl層の面積とした。超音波探傷像において剥離は接合部内の白色部で示されることから、この白色部の面積を剥離面積とした。なお、セラミックス基板及び金属層にクラックが生じた場合、このクラックは超音波探傷像において白色部で示され、クラックも剥離面積として評価されることになる。
(接合率(%))={(初期接合面積)−(剥離面積)}/(初期接合面積)×100
以上の評価の結果を表1に示す。
一方、Al−Ti−Si層が確認されなかった比較例1では、ヒートサイクル試験後の接合率は、本発明例と比べると大幅に低下した。
11 セラミックス基板(絶縁層)
12、112 回路層
13、113 金属層
13A、112A、 Al層
13B、112B Cu層(金属部材層)
15、115、215 Ti層
16 Al−Ti−Si層
16A 第一Al−Ti−Si層
16B 第二Al−Ti−Si層
30、130 ヒートシンク付パワーモジュール用基板
31 ヒートシンク
Claims (5)
- 絶縁層と、この絶縁層の一方の面に形成された回路層と、前記絶縁層の他方の面に形成された金属層と、を備えたパワーモジュール用基板であって、
前記金属層は、前記絶縁層の他方の面に形成されアルミニウムからなるAl層と、このAl層のうち前記絶縁層が形成された面と反対側の面に形成され銅、ニッケル、又は銀からなる金属部材層と、を有し、
前記Al層と前記金属部材層との接合部には、
前記金属部材層側に位置するTi層と、
前記Ti層と前記Al層との間に位置し、Al3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層と、が形成されており、
前記Al−Ti−Si層は、
前記Ti層側に形成された第一Al−Ti−Si層と、
前記Al層側に形成され前記第一Al−Ti−Si層よりもSi濃度が低い第二Al−Ti−Si層と、を備えていることを特徴とするパワーモジュール用基板。 - 前記第二Al−Ti−Si層に含まれるSi濃度が1at%以上であることを特徴とする請求項1に記載のパワーモジュール用基板。
- 請求項1又は請求項2に記載のパワーモジュール用基板と、前記金属層に接合されたヒートシンクと、を備えることを特徴とするヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記金属層と前記ヒートシンクとがはんだ層を介して接合されていることを特徴とする請求項3に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
- 前記回路層は、アルミニウムからなるAl層と、このAl層の一方の面に形成され銅、ニッケル、又は銀からなる金属部材層と、を有し、
前記Al層と前記金属部材層との接合部には、
前記金属部材層側に位置するTi層と、
前記Ti層と前記Al層との間に位置し、Al3TiにSiが固溶したAl−Ti−Si層と、が形成されており、
前記Al−Ti−Si層は、
前記Ti層側に形成された第一Al−Ti−Si層と、
前記Al層側に形成され前記第一Al−Ti−Si層よりもSi濃度が低い第二Al−Ti−Si層と、を備えていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のヒートシンク付パワーモジュール用基板。
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