JP2014177853A - 車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置 - Google Patents

車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置 Download PDF

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Abstract

【課題】機械式クラッチを用いても、ドアの不意な作動をより確実に防止することができる車両用ドア開閉装置(制御装置)を提供する。
【解決手段】スライドドアの自動開閉作動中の停止指令によりドアを停止させる際、クラッチがドア側の負荷荷重と同等のモータの駆動力を発生させた際に駆動軸と従動軸とが連結状態となる第1作動領域となる状況では、負荷荷重と釣合うモータの駆動力を発生させてクラッチの連結を通じてドアの停止を図る(第1ドア停止制御)。クラッチが負荷荷重と同等のモータの駆動力では駆動軸と従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域となる状況では、モータの駆動力を以て駆動軸と従動軸との連結を図りつつモータの逆転駆動を繰り返してドアの微小な開閉作動を行ってドアの見かけ上の停止を図る(第2ドア停止制御)。
【選択図】図16

Description

本発明は、手動開閉とモータによる自動開閉とを選択可能にする機械式クラッチを備える車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置に関する。
車両用ドア開閉装置としては、例えばスライドドアを開閉させるパワースライドドア(PSD)装置が知られている。パワースライドドア装置は、モータの駆動にてスライドドアを自動的に開閉させるが、手動でもスライドドアを開閉させる必要があるため、クラッチを装備したものが提案されている。
先のクラッチとして、例えば特許文献1のように電磁クラッチを用いるものでは、電磁クラッチを駆動するために電力を消費し、また電磁クラッチを駆動するための駆動回路、給電用配線等が必要となる。そういう意味では、電磁クラッチよりも機械式クラッチが好まれる。
機械式クラッチの一例としては、例えば特許文献2のように遠心力を利用する構成のものが提案されている。この機械式クラッチは、モータの回転軸と、その回転軸の回転力により回転しスライドドアを開閉する出力軸との間に設けられている。そして、モータを駆動して自動でスライドドアを開閉させる場合は、回転軸の回転による遠心力にて、機械式クラッチのコロ部材が外側に移動して回転軸と出力軸とを連結し、回転軸の回転力を出力軸に伝達し、スライドドアがモータの駆動にて自動開閉する。
手動でスライドドアを開閉させる場合は、モータが駆動していないため、回転軸の回転による遠心力が発生しないことから、機械式クラッチのコロ部材は外側に移動せず回転軸と出力軸とを断絶した状態にする。つまり、駆動伝達経路上においてドア側から見た時の負荷となるモータの回転軸が出力軸から切り離されることから、スライドドアが手動にて開閉することができるようになる。
特開2002−327576号公報 特開2008−133951号公報
ところで、スライドドアの自動開閉作動中にドアの作動を停止せざるを得ない状況となった場合にモータの駆動を停止すると、上記した機械式クラッチの作動状態としては、スライドドアの手動開閉時と同じ状態となる。そのため、傾斜地への車両停車によりスライドドアの作動方向に自重が作用する場合等、ドアの作動方向に外力が作用する状況ではドアが不意に作動し得るため、ドアが不意に作動しないようにする配慮が必要である。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであって、その目的は、機械式クラッチを用いても、ドアの不意な作動をより確実に防止することができる車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置を提供することにある。
上記課題を解決する車両用ドア開閉装置の制御装置は、モータの駆動力に基づいて駆動軸と従動軸とを連結し前記モータの駆動力を前記駆動軸から前記従動軸側に伝達して車両ドアを自動開閉作動させる一方、前記モータの駆動停止時には前記従動軸を前記駆動軸から断絶して前記ドアの手動開閉時の作動負荷を軽減する機械式のクラッチを有する車両用ドア開閉装置において、前記クラッチは、前記ドア側の負荷荷重と同等の前記モータの駆動力を発生させた際に前記駆動軸と前記従動軸とが連結状態となる第1作動領域と、前記負荷荷重と同等の前記モータの駆動力では前記駆動軸と前記従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域とを有する構成のものが用いられる車両用ドア開閉装置の制御装置であって、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第1作動領域となる状況においては前記負荷荷重と釣合う前記モータの駆動力を発生させて前記クラッチの連結を通じて前記ドアの停止を図る第1ドア停止制御と、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第2作動領域となる状況においては前記モータの駆動力を以て前記駆動軸と前記従動軸との連結を図りつつ前記モータの逆転駆動を繰り返して前記ドアの微小な開閉作動を行って前記ドアの見かけ上の停止を図る第2ドア停止制御とを実施する。
この構成によれば、ドアの自動開閉作動中の停止指令によりドアを停止させる際、クラッチがドア側の負荷荷重と同等のモータの駆動力を発生させた際に駆動軸と従動軸とが連結状態となる第1作動領域となる状況では、負荷荷重と釣合うモータの駆動力を発生させてクラッチの連結を通じてドアの停止が図られる(第1ドア停止制御)。また、クラッチが負荷荷重と同等のモータの駆動力では駆動軸と従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域となる状況では、モータの駆動力を以て駆動軸と従動軸との連結を図りつつモータの逆転駆動を繰り返してドアの微小な開閉作動を行ってドアの見かけ上の停止が図られる(第2ドア停止制御)。つまり、クラッチの各作動領域(負荷荷重との関係)に応じて制御を切り替えることで、ドアの停止(保持)がより確実に行われる。
上記の車両用ドア開閉装置の制御装置において、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると一先ず前記第1ドア停止制御を試み、前記第1ドア停止制御による前記ドアの停止が見込めない場合には前記第2ドア停止制御を実施するようにするのが好ましい。
この構成によれば、モータの逆転駆動の度にモータの駆動力を以てクラッチの連結が図られる第2ドア停止制御よりも、負荷荷重とモータの駆動力との釣合いでクラッチの連結状態が維持される第1ドア停止制御の方がクラッチへの負担が小さいため、ドアの自動開閉作動中の停止指令によりドアを停止させる際、一先ず第1ドア停止制御によるドアの停止制御を実施するようにすれば、クラッチにかかる負担を極力軽減することが可能である。
上記の車両用ドア開閉装置の制御装置において、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記クラッチが前記第1作動領域と前記第2作動領域のいずれの状態となるかを前記負荷荷重に基づいて判断し、前記クラッチが前記第2作動領域となると判断した場合には、前記第1ドア停止制御を実施せずに前記第2ドア停止制御を実施するのが好ましい。
この構成によれば、クラッチが第2作動領域となる(即ち、第1ドア停止制御によるドアの停止が見込めない)と判断するまでの時間を短くすることができるため、ドアの自動開閉作動中の停止指令から、第2ドア停止制御によるドアの停止(見かけ上の停止)までの時間を短くすることができる。
上記の車両用ドア開閉装置の制御装置において、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が必要か否かを前記負荷荷重に基づいて判断し、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が不要と判断した場合には、前記第1及び第2ドア停止制御を実施せずに前記モータを駆動停止状態とするのが好ましい。
この構成によれば、平地での車両停車時に第1及び第2ドア停止制御を実施することによるドアの無駄な作動を防止することができる。
上記課題を解決する車両用ドア開閉装置は、モータの駆動力に基づいて駆動軸と従動軸とを連結し前記モータの駆動力を前記駆動軸から前記従動軸側に伝達して車両ドアを自動開閉作動させる一方、前記モータの駆動停止時には前記従動軸を前記駆動軸から断絶して前記ドアの手動開閉時の作動負荷を軽減する機械式のクラッチを有する車両用ドア開閉装置において、前記クラッチは、前記ドア側の負荷荷重と同等の前記モータの駆動力を発生させた際に前記駆動軸と前記従動軸とが連結状態となる第1作動領域と、前記負荷荷重と同等の前記モータの駆動力では前記駆動軸と前記従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域とを有する構成のものが用いられる車両用ドア開閉装置であって、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第1作動領域となる状況においては前記負荷荷重と釣合う前記モータの駆動力を発生させて前記クラッチの連結を通じて前記ドアの停止を図る第1ドア停止制御と、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第2作動領域となる状況においては前記モータの駆動力を以て前記駆動軸と前記従動軸との連結を図りつつ前記モータの逆転駆動を繰り返して前記ドアの微小な開閉作動を行って前記ドアの見かけ上の停止を図る第2ドア停止制御とを実施する制御装置を備える。
この構成によれば、上記した車両用ドア開閉装置の制御装置の作用効果と同様に、クラッチの各作動領域(負荷荷重との関係)に応じて制御を切り替えることで、ドアの停止(保持)をより確実に行うことが可能な車両用ドア開閉装置として提供できる。
上記の車両用ドア開閉装置において、前記負荷荷重を測定する負荷荷重測定部を備え、前記制御装置は、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記クラッチが前記第1作動領域と前記第2作動領域のいずれの状態となるかを前記負荷荷重測定部の測定結果に基づいて判断し、前記クラッチが前記第2作動領域となると判断した場合には、前記第1ドア停止制御を実施せずに前記第2ドア停止制御を実施するのが好ましい。
この構成によれば、クラッチが第2作動領域となる(即ち、第1ドア停止制御によるドアの停止が見込めない)と判断するまでの時間を短くすることができるため、ドアの自動開閉作動中の停止指令から、第2ドア停止制御によるドアの停止(見かけ上の停止)までの時間を短くすることができる。
上記の車両用ドア開閉装置において、前記負荷荷重を測定する負荷荷重測定部を備え、前記制御装置は、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が必要か否かを前記負荷荷重測定部の測定結果に基づいて判断し、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が不要と判断した場合には、前記第1及び第2ドア停止制御を実施せずに前記モータを駆動停止状態とするのが好ましい。
この構成によれば、平地での車両停車時に第1及び第2ドア停止制御を実施することによるドアの無駄な作動を防止することができる。
本発明の車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置によれば、機械式クラッチを用いても、ドアの不意な作動をより確実に防止することができる。
一実施形態におけるクラッチ付きモータの断面図。 スライドドア開閉装置の概略構成図。 クラッチの軸方向断面図(図6におけるC−C断面図)。 クラッチの分解斜視図。 クラッチの分解斜視図。 クラッチの軸直交方向断面図(図3におけるA−A断面図)。 クラッチの軸直交方向断面図(図3におけるB−B断面図)。 クラッチの動作を説明するための断面図。 クラッチの動作を説明するための断面図。 クラッチの動作を説明するための断面図。 (a)(b)はクラッチの動作を説明するための断面図。 (a)(b)はクラッチの動作を説明するための断面図。 (a)(b)はクラッチの動作を説明するための断面図。 (a)(b)はクラッチの動作を説明するための断面図。 スライドドア開閉装置の電気的構成図。 スライドドア開閉装置の異常検出時の動作を示すフロー図。 異常検出時のクラッチの状態を説明するための図。 制御モード1の動作を説明するための図。 制御モード2の動作を説明するための図。 別例におけるスライドドア開閉装置の異常検出時の動作を示すフロー図。 別例におけるスライドドア開閉装置の異常検出時の動作を示すフロー図。
以下、車両用ドア開閉装置の制御装置及び車両用ドア開閉装置の一実施形態について説明する。
図1に示す本実施形態のモータ11は、図2に示すように、自動車に搭載されるスライドドア開閉装置1の駆動源として用いられるものである。スライドドア開閉装置1は、車両ボディ2の側面に沿ってスライド開閉可能に配設されたスライドドア3内に配設されている。スライドドア3は、車両ボディ2に設けられたガイドレール4に連結された連結具5にて支持されている。連結具5は、モータ11の駆動によるワイヤケーブル6の巻き取り及び送り出しが行われることによりガイドレール4に沿って移動する。そして、この連結具5の移動によりスライドドア3が車両ボディ2に形成された乗降口2aを開閉するようになっている。
図1に示すように、モータ11は、モータ本体12と減速部13とからなる所謂ギヤードモータである。モータ本体12は、ヨークハウジング14、一対のマグネット15、電機子16、ブラシホルダ17及び一対のブラシ18を備えている。
ヨークハウジング14は、有底筒状をなすとともに、その内周面には一対のマグネット15が固着されている。そして、ヨークハウジング14の底部中央には軸受19が設けられるとともに、該軸受19は、ヨークハウジング14の内部に配置された電機子16の回転軸20(駆動軸)の基端部を軸支している。
ヨークハウジング14の開口部14aには、径方向外側に延設されたフランジ部14bが形成されるとともに、該フランジ部14bは、後述する減速部13のギヤハウジング31に連結固定されている。尚、この固定の際には、フランジ部14bは、ギヤハウジング31の開口部31aとの間にブラシホルダ17が介在された状態で同ギヤハウジング31に螺子21にて固定される。
ブラシホルダ17は、ヨークハウジング14内において、前記回転軸20の先端側の部位を軸支する軸受22と、同回転軸20に固着された整流子23に摺接する一対のブラシ18とを保持している。また、ブラシホルダ17において、ヨークハウジング14及びギヤハウジング31の外部に突出する部位は、車体側から延びる車体側コネクタ(図示略)が接続されるコネクタ部17aであるとともに、該コネクタ部17aの接続凹部17b内には複数本のターミナル24が露出している。これらターミナル24は、ブラシホルダ17にインサートされるとともに、モータ11内に備えられる回転センサ(後述のホール素子42)及び前記ブラシ18等と電気的に接続されている。そして、コネクタ部17aに車体側コネクタが接続されると、車体側に備えられるコントローラ100とモータ11とが電気的に接続される。これにより、モータ11とコントローラ100との間で、電源供給やセンサ信号等の出力が可能となる。
前記減速部13は、ギヤハウジング31と、ウォーム軸32(従動軸)及びウォームホイール33から構成される減速機構34と、出力軸35と、クラッチ50とを有する。
ギヤハウジング31は、前記ヨークハウジング14の開口部14aと対向する開口部31aを備え、両開口部14a,31a間に前記ブラシホルダ17が介装されている。また、ギヤハウジング31には、該ギヤハウジング31の開口部31aから軸方向に凹設されたクラッチ収容部31bが形成されている。更に、同ギヤハウジング31には、クラッチ収容部31bの底部から軸方向に延びウォーム軸32を収容する略円筒状の軸収容筒部31cと、該軸収容筒部31cと繋がりウォームホイール33を収容する略円形状のホイール収容部31dとが形成されている。
軸収容筒部31cの軸方向の両端部には、軸受36,37がそれぞれ配置されている。そして、前記ウォーム軸32は、その先端部が軸受37にて軸支され、また軸受36にて軸支されるクラッチ50の従動側軸連結部56bとウォーム軸32の基端部が連結されることで、前記回転軸20と同軸上となるように(即ち回転軸20とウォーム軸32との中心軸線が一致するように)軸収容筒部31c内に配置されている。このウォーム軸32の軸方向の略中央部には、螺子歯状をなすウォーム部32aが形成されている。また、軸収容筒部31cにおけるウォーム軸32の先端側の端部には、該ウォーム軸32のスラスト荷重を受けるためのスラスト受けボール38及びスラスト受けプレート39が配置されている。
ウォーム軸32においてウォーム部32aと軸受37にて軸支される部位との間には、周方向に多極着磁されたリング状のセンサマグネット41が同ウォーム軸32と一体回転するように着装されている。そして、軸収容筒部31cにおいてセンサマグネット41の外周面と対向する部位には、該センサマグネット41の回転に伴う磁界の変化を検出するホール素子42が配設されている。ホール素子42は、ウォーム軸32の回転数や回転速度等の回転情報を検出するための信号であって、センサマグネット41の回転に伴う磁界の変化に応じた信号である回転検出信号をコントローラ100に出力する。そして、コントローラ100では、この回転検出信号に基づいてスライドドア3の開閉位置や開閉速度が検出される。
前記ホイール収容部31dには、ウォーム軸32のウォーム部32aと噛合する円板状のウォームホイール33が回転可能に収容されている。このウォームホイール33の径方向の中央部には、該ウォームホイール33と一体回転するように出力軸35が固定されている。出力軸35には、図2に示すように、スライドドア3を開閉作動させるための前記ワイヤケーブル6が掛装される駆動プーリ(図示略)が一体回転するように連結されている。
図1に示すように、前記クラッチ収容部31bには、ウォーム軸32と回転軸20との間に配置されてウォーム軸32と回転軸20との連結・断絶を行う機械式のクラッチ50が収容されている。
図4及び図5に示すように、クラッチ50は、駆動側回転体51、2つのコロ部材52、2つの復帰スプリング53、保持ケース54、2つの案内部材55及び従動側回転体56を備えている。
駆動側回転体51は、第1駆動プレート61と、該第1駆動プレート61に重ねて配置される第2駆動プレート62と、2つの連結スプリング63とから構成されている。
第1駆動プレート61は、略円板状をなすとともに、その径方向の中央部に軸方向に突出した円柱状の駆動側軸連結部61aを有する。駆動側軸連結部61aの径方向の中央部(即ち第1駆動プレート61の径方向の中央部)には、軸連結凹部61bが形成されている。軸連結凹部61bは、駆動側軸連結部61aにおける第2駆動プレート62側の軸方向の端面から、第1駆動プレート61における従動側回転体56側の軸方向の端面に向かって軸方向に沿って凹設されるとともに、軸方向から見た形状が二面幅形状をなしている。そして、図3に示すように、回転軸20の先端部20aが軸連結凹部61bに対応した二面幅形状をなしており、回転軸20の先端部20aが軸連結凹部61bに挿入されると、第1駆動プレート61は回転軸20の先端部20aに回転方向に係合され、該回転軸20と一体回転可能となる。尚、連結された回転軸20及び第1駆動プレート61は、同軸上となる(互いの中心軸線が一致する)。また、軸連結凹部61bの底部には、ボール収容孔61cが形成されている。このボール収容孔61cには、回転軸20と従動側回転体56との間のスラスト荷重を受ける球体状のスラスト受けボール71が収容されている。
図4及び図6に示すように、第1駆動プレート61の外周縁部には、2つの制御溝61dが形成されている。2つの制御溝61dは、第1駆動プレート61において、周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所に形成されている。各制御溝61dは、第1駆動プレート61の外周縁から径方向内側に向かって凹設されることにより、径方向外側に開口している。また、各制御溝61dは、第1駆動プレート61を軸方向に貫通しており、軸方向の両側に開口している。
各制御溝61dの周方向の中央部は、径方向に深く凹設された非係合凹部61eとなっている。この非係合凹部61eの内周面は、軸方向と平行をなすとともに、円弧状に湾曲している。そして、この非係合凹部61eが形成されることにより、各制御溝61dにおける非係合凹部61eの周方向の両側には、該非係合凹部61eよりも径方向に浅い一対の係合凹部61fが形成されている。各係合凹部61fの内周面は、軸方向と平行をなすとともに円弧状に湾曲した楔面61gとなっている。各楔面61gの曲率は、非係合凹部61eの内周面の曲率と略等しいとともに、各楔面61gの曲率中心は、非係合凹部61eの内周面の曲率中心よりも第1駆動プレート61の径方向外側に位置する。また、各制御溝61dは、第1駆動プレート61の軸方向から見ると、各制御溝61dの周方向の中央を通り径方向に延びる直線(図示略)を対称軸として線対称となっている。
また、第1駆動プレート61における第2駆動プレート62側の軸方向の端面には、2対(4つ)の復帰凸部61hが突出形成されている。対をなす復帰凸部61hは、第1駆動プレート61において、周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所であって、周方向に隣り合う制御溝61d間となる位置にそれぞれ形成されている。対をなす復帰凸部61hは、第1駆動プレート61の周方向に間隔を空けて形成されるとともに、軸方向に突出する略直方体形状をなしている。
図3及び図5に示すように、前記第2駆動プレート62は円板状をなしている。第2駆動プレート62は、円板状の案内部62aと、該案内部62aから軸方向に沿って第1駆動プレート61側に突出した略円板状の収容部62bとから構成されている。これらの案内部62a及び収容部62bは同軸上に形成されている。また、案内部62aの外径は、第1駆動プレート61の外径よりも大きく形成されるとともに、収容部62bの外径は、第1駆動プレート61の外径と略等しく形成されている。この第2駆動プレート62の径方向の中央部には、軸方向に貫通した挿通孔62cが形成されている。挿通孔62cは、軸方向から見た形状が円形状をなすとともに、その内径は、駆動側軸連結部61aの外径と略等しい値とされている。
図5及び図6に示すように、収容部62bにおける挿通孔62cの外周側には、一対のばね収容凹部62dが形成されている。2つのばね収容凹部62dは、収容部62bにおける第1駆動プレート61側の軸方向の端面から該収容部62bを軸方向に凹設して形成されている。そして、2つのばね収容凹部62dは、挿通孔62cを囲繞するような円弧状をなすとともに、挿通孔62cを挟んで対称な形状をなしている。これらばね収容凹部62dには、連結スプリング63がそれぞれ収容されている。各連結スプリング63は、圧縮コイルばねである。
また、各ばね収容凹部62dの周方向の両側には、対をなす復帰凹部62eがそれぞれ形成されている。即ち、収容部62bには、2対の復帰凹部62eが形成されている。各ばね収容凹部62dの周方向の両側で対をなす復帰凹部62eは、収容部62bにおける第1駆動プレート61側の軸方向の端面から該収容部62bを軸方向に凹設して形成されている。そして、各復帰凹部62eの径方向の幅は、ばね収容凹部62dの径方向の幅よりも狭く、且つ、前記復帰凸部61hの径方向の幅と略等しく形成されている。また、各復帰凹部62eの周方向の幅は、前記復帰凸部61hの周方向の幅よりも長く形成されている。更に、各復帰凹部62eの軸方向の深さは、ばね収容凹部62dの軸方向の深さと略等しく、且つ、前記復帰凸部61hの軸方向の長さと略等しく形成されている。また、ばね収容凹部62dの内部空間とその周方向の両側の復帰凹部62eの内部空間とは繋がっている。
収容部62bには、周方向に隣り合う復帰凹部62eの間となる2箇所であって、同収容部62bにおいて周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所に、案内凹部62fがそれぞれ形成されている。各案内凹部62fは、収容部62bの外周縁から同収容部62bを径方向に沿って凹設して形成されている。そして、各案内凹部62fは、径方向外側に開口するとともに、収容部62bを軸方向に貫通している。本実施形態では、各案内凹部62fは、軸方向から見た形状が径方向外側に開口するU字状をなしている。また、各案内凹部62fの周方向の幅は、前記非係合凹部61eの周方向の幅と略等しく形成されている。
前記案内部62aには、2つの案内凹部62fとそれぞれ軸方向に隣り合う2箇所に、挿通係合部62gが形成されている。2つの挿通係合部62gは、周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)に形成されている。そして、各挿通係合部62gは、案内部62aを軸方向に貫通しており、案内凹部62fと連通している。また、図3及び図6に示すように、各挿通係合部62gは、案内凹部62fの径方向内側の端と軸方向に隣り合う位置から、案内凹部62fよりも径方向外側(収容部62bの外周縁よりも径方向外側)となる位置まで径方向に沿って延びる溝状をなしている。そして、各挿通係合部62gの周方向の幅は、前記案内凹部62fの周方向の幅よりも狭く形成されている。尚、各挿通係合部62gにおける案内凹部62fよりも径方向外側の部位は、案内部62aを軸方向に貫通せず凹部状になっている。
上記のような第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、対をなす復帰凹部62e内に対をなす復帰凸部61hがそれぞれ挿入されるとともに、駆動側軸連結部61aが挿通孔62cに挿入されるように軸方向に重ね合わされている。そして、駆動側回転体51においては、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、同軸上に(互いの中心軸線が一致するように)配置されている。また、対をなす復帰凸部61hの間にそれぞれ連結スプリング63が配置されることにより、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、連結スプリング63を介して回転方向に連結されている。つまり、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、互いの中心軸線を回転中心として連結スプリング63の付勢力に抗しつつ相対回転可能である。また、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、連結スプリング63の付勢力によって、所定の相対回転位置に保持されている。本実施形態では、連結スプリング63は、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62との相対回転位置を、制御溝61d(非係合凹部61e)の周方向位置と、案内凹部62fの周方向位置とが一致する中立位置に保持するように、第1駆動プレート61(復帰凸部61h)を付勢している。従って、図6に示すように、回転軸20の非駆動時には、駆動側回転体51を軸方向から見ると、2つの制御溝61dの周方向の中央と、2つの案内凹部62fの周方向の中央とが一致している。
図3、図5及び図6に示すように、各前記コロ部材52は、連結部52aと、該連結部52aに一体に形成された動力伝達部52bと、同じく連結部52aに一体に形成されたカム係合部52cとから構成されている。
連結部52aは、軸方向から見た形状が長円の板状をなしている。連結部52aの短手方向の幅は、前記案内凹部62fの周方向の幅と略等しく形成されている。また、連結部52aの長手方向の幅は、前記案内凹部62fの径方向の長さと略等しく形成されている。そして、連結部52aの長手方向の両端面は、前記非係合凹部61eの内周面と同じ曲率の円弧状をなしている。更に、連結部52aの厚さは、前記案内凹部62fの軸方向の幅(即ち収容部62bの軸方向の厚さ)と略等しく形成されている。
前記動力伝達部52bは、連結部52aの厚さ方向(軸方向)の一端面において、連結部52aの長手方向の一端部(クラッチ50として組み付けられたときの径方向外側の端部)となる部位から連結部52aの厚さ方向(軸方向)に沿って延びている。動力伝達部52bは、円柱状をなすとともに、その軸方向の長さは、前記制御溝61dの軸方向の長さと略等しく形成されている。また、動力伝達部52bの円筒状の外周面の曲率は、前記非係合凹部61eの内周面及び前記楔面61gの曲率と略等しくなっている。
前記カム係合部52cは、連結部52aの厚さ方向(軸方向)の他端面において、連結部52aの長手方向の他端部(クラッチ50として組み付けられたときの径方向内側の端部)となる部位から連結部52aの厚さ方向(軸方向)に沿って延びている。カム係合部52cは、動力伝達部52bよりも小径の円柱状をなすとともに、その軸方向の長さは、前記案内部62aの軸方向の厚さよりも長く形成されている。またカム係合部52cの基端部には、平面状の付勢面52dが形成されている。付勢面52dは、軸方向と平行をなすとともに、連結部52aの長手方向の一端側(即ち、連結部52aにおける動力伝達部52bが形成された側の長手方向の端部側)を向いている。
そして、上記のような2つのコロ部材52は、前記第1駆動プレート61の2つの制御溝61dに動力伝達部52bがそれぞれ挿入されるとともに、前記第2駆動プレート62の2つの案内凹部62fに連結部52aがそれぞれ挿入されるように、駆動側回転体51に対して組付けられている。更に、2つのコロ部材52は、前記第2駆動プレート62の2つの挿通係合部62gにカム係合部52cがそれぞれ挿通されるように、駆動側回転体51に対して配置されている。尚、案内凹部62fに挿入された連結部52aは、その長手方向が径方向と一致するとともに、その厚さ方向が軸方向と一致している。更に、各コロ部材52においては、動力伝達部52bよりも径方向内側にカム係合部52cが位置し、付勢面52dが径方向外側を向いている。そして、各コロ部材52は、案内凹部62fの内周面に連結部52aの外周面を摺接させると同時に、挿通係合部62gの内周面にカム係合部52cの外周面を摺接させつつ、駆動側回転体51に対して径方向に移動可能である。そのため、コロ部材52は、案内凹部62f及び挿通係合部62gによって径方向の移動が案内される一方、これら案内凹部62f及び挿通係合部62gによって第2駆動プレート62に対する周方向の移動が規制される。更に、コロ部材52は、案内凹部62f内に連結部52aが配置されるとともに挿通係合部62gにカム係合部52cが挿通されたことにより、第2駆動プレート62と回転方向に係合し同第2駆動プレート62と一体回転可能である。
また、各挿通係合部62gには、カム係合部52cの径方向外側となる位置に復帰スプリング53が収容されている。本実施形態の復帰スプリング53は、圧縮コイルばねである。各復帰スプリング53は、カム係合部52cに形成された付勢面52dに当接し、コロ部材52を径方向に沿って径方向内側に付勢している。
図3、図5及び図7に示すように、保持ケース54は、円板状のカバー部54aと、該カバー部54aと一体に形成された挿通部54bと、該カバー部54a及び挿通部54bと一体に形成された一対の案内保持部54cとから構成されている。
カバー部54aは、第2駆動プレート62の案内部62aの外径と略等しい外径を有する。そして、このカバー部54aの径方向の中央部に、円筒状の挿通部54bが形成されている。挿通部54bは、カバー部54aにおける第2駆動プレート62側の軸方向の端面から軸方向に沿って延びるとともに、カバー部54aと同軸上に形成されている。そして、挿通部54bの外径は、前記駆動側軸連結部61aの外径と略等しく形成されている。また、挿通部54bの径方向の中央部に形成された挿通孔54dは、挿通部54b及びカバー部54aを軸方向に貫通するとともに、該挿通孔54dの内径は、回転軸20の外径と略等しく形成されている。そして、保持ケース54は、挿通部54bの先端部が案内部62a側から第2駆動プレート62の挿通孔62cに挿入されることにより、駆動側回転体51に対して互いの中心軸線を回転中心として相対回転可能に組付けられている。また、保持ケース54は、駆動側回転体51と同軸上となっている(互いの中心軸線が一致している)。尚、前記回転軸20は、保持ケース54の挿通孔54dを通って第1駆動プレート61の軸連結凹部61bに挿入されている。
一対の前記案内保持部54cは、カバー部54aにおける第2駆動プレート62側の軸方向の端面上で、挿通孔54dの外周面における周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所からそれぞれ径方向に沿って径方向外側に延びた後に、カバー部54aの外周縁に沿ってそれぞれ周方向の両側に延びている。そして、各案内保持部54cは、軸方向から見た形状が略T字状をなしている。このような案内保持部54cが形成されることにより、保持ケース54には、2つの案内保持部54c間であって挿通部54bの直径方向の両側となる2箇所にそれぞれ保持凹部54eが形成されている。各保持凹部54eは、径方向外側及び軸方向の一方側(第2駆動プレート62側)に開口している。
各保持凹部54eの径方向外側に開口する開口部54fには、一対の規制凸部54gが形成されている。各保持凹部54eにおいて、対をなす規制凸部54gは、保持凹部54eの周方向の幅(開口幅)を狭めるように互いに突出している。そして、対をなす規制凸部54gの先端面は、周方向に互いに対向するとともに、互いに平行をなす案内面54hとなっている。各案内面54hは、軸方向と平行をなすとともに、保持ケース54の中央を通り且つ保持凹部54eの周方向の中央を通る直線(図示略)と平行に形成されている。
2つの保持凹部54eには、それぞれ前記案内部材55が収容されている。各案内部材55は、慣性力が作用する重量を有するウェイトである。各案内部材55の軸方向の厚さは、保持凹部54eの軸方向の幅と略等しく形成されている。そして、各案内部材55の径方向内側の端面は、保持凹部54eの径方向内側の底面54k(即ち、挿通部54bの外周面及び案内保持部54cの側面から構成される面)に対応した形状をなしている。また、各案内部材55の周方向の両端面には、それぞれ係止凸部55aが突出形成されている。各係止凸部55aは、各案内部材55の周方向の両端面における保持凹部54eの底面54k側の端部に形成されるとともに、前記規制凸部54gと対向している。また、各案内部材55の周方向の両端面であって、係止凸部55aよりも径方向外側(保持凹部54eの開口部54f側)の部位は、平面状の被案内面55bとなっている。各案内部材55に形成された2つずつの被案内面55bは、軸方向と平行をなすとともに、互いに平行をなしている。また、各案内部材55においては、2つの被案内面55b間の間隔が各保持凹部54eにおける対をなす前記案内面54h間の間隔と略等しく形成されている。また、各案内部材55の径方向外側の端面55cは、カバー部54aの外周面と同じ曲率の円弧状をなしている。
このような案内部材55は、保持凹部54e内で、対をなす案内面54h間に配置され、保持ケース54にて保持されている。そして、各案内部材55は、被案内面55bを案内面54hに摺接させながら径方向に移動可能である。従って、案内部材55は、案内面54hによって径方向の移動が案内される一方、該案内面54hによって保持ケース54に対する周方向の移動が規制される。更に、案内部材55は、保持ケース54と共に保持ケース54の中心軸線を中心として一体回転可能である。また、各案内部材55は、径方向内側の端面が保持凹部54eの底面54kに当接した状態のときに、案内部材55の移動範囲内で最も径方向内側に配置される。そして、各案内部材55は、係止凸部55aが規制凸部54gに当接するまで径方向外側に移動可能である。各案内部材55は、係止凸部55aが規制凸部54gに当接した状態のときに、その移動範囲内で最も径方向外側に配置される。尚、各案内部材55は、係止凸部55aが規制凸部54gに当接したときに、その径方向外側の端面55cの曲率中心が保持ケース54の中心と一致する。
また、各案内部材55には、カム溝55dが形成されている。図7に示すように、カム溝55dは、保持ケース54(若しくは第2駆動プレート62)の周方向に略沿うように延びる溝状をなすとともに、各案内部材55を軸方向に貫通している。更に、カム溝55dは、周方向(カム溝55dの長手方向に略同じ)の中央部から周方向の両端部に向かうに連れて径方向外側に向かうように延びている、また、カム溝55dの幅(短手方向の幅)は、前記コロ部材52のカム係合部52cの外径と略等しく形成されている。そして、各案内部材55のカム溝55dにおいて、周方向(長手方向)の中央が第1案内部P1とされるとともに、周方向(長手方向)の両端部が第2案内部P2とされている。尚、第1案内部P1は、案内部材55の周方向の中央に位置している。そして、各案内部材55が保持凹部54eに収容された状態では、第1案内部P1はカム溝55dにおいて最も径方向内側に位置する一方、第2案内部P2はカム溝55dにおいて最も径方向外側に位置する。
また、本実施形態のカム溝55dは、軸方向から見ると、第1案内部P1を通り径方向に延びる直線(図示略)を対称軸として線対称に形成されている。また、各カム溝55dにおいては、第1案内部P1から第2案内部P2にかけて径方向外側に若干膨らむ緩やかな円弧状をなし、全体は径方向外側が拡開する略V字状をなしている。更に、各カム溝55dは、径方向(カム溝55dの短手方向)に対向する一対のカム面Sを備えている。このカム面Sは、カム溝55dの内周面であって、第1案内部P1から周方向(長手方向)の両側の第2案内部P2まで延びている。
図3及び図7に示すように、2つの保持凹部54eにそれぞれ収容された2つの案内部材55のカム溝55dには、2つのコロ部材52のカム係合部52cの先端側の部位がそれぞれ挿入されている。カム係合部52cがカム溝55d内に挿入されることにより、コロ部材52は、カム溝55dに係合され、案内部材55に対するカム溝55dの長手方向に沿った移動が案内される一方、カム溝55dの幅方向の移動が規制される。そして、保持ケース54にて保持された案内部材55と駆動側回転体51とが駆動側回転体51の中心軸線を回転中心として相対回転されると、コロ部材52と案内部材55(カム溝55d)とが相対回転される。すると、カム溝55dとカム係合部52cとからなるカム機構によって、コロ部材52は、案内部材55の径方向位置に応じて挿通係合部62gに案内されながら駆動側回転体51の径方向に沿って移動される。このとき、コロ部材52は、カム係合部52cの外周面がカム面Sに摺接することにより、径方向の移動が案内される。
このように、クラッチ50は、案内部材55に形成されたカム溝55dと該カム溝55dに係合するコロ部材52とから構成されて案内部材55と駆動側回転体51との相対回転に伴ってカム溝55dによりコロ部材52の径方向の移動を案内するカム機構を備えている。図6及び図7に示すように、案内部材55がその径方向の移動範囲内で最も径方向内側に配置された状態で、駆動側回転体51と案内部材55との相対回転によってカム係合部52cがカム溝55dの第1案内部P1に配置された場合には、動力伝達部52bは、非係合凹部61e内に配置されるとともに、その径方向の移動範囲内で最も径方向内側に配置される。この時のコロ部材52の配置位置は、駆動側回転体51と後述の従動側回転体56とを回転方向に係合しない非係合位置に該当する。そして、カム機構においては、このように、最も径方向内側に配置された案内部材55のカム溝55dの第1案内部P1にカム係合部52cを配置することにより、コロ部材52を非係合位置に配置した状態が回転軸20とウォーム軸32とを断絶する初期状態である。
一方、図8に示すように、案内部材55がその径方向の移動範囲内で最も径方向内側に配置された状態で、駆動側回転体51と案内部材55との相対回転によってカム係合部52cがカム溝55dの第2案内部P2に配置されると、図11(a)に示すように、動力伝達部52bは、その径方向の移動範囲内で最も径方向外側に配置される。このとき、動力伝達部52bは、その一部が第1駆動プレート61の外周面よりも径方向外側に突出するとともに、この時のコロ部材52の配置位置は、駆動側回転体51と後述の従動側回転体56とを回転方向に係合する係合位置に該当する。尚、カム係合部52cは、第1案内部P1から第2案内部P2へと移動するときには、径方向外側へ移動することになる。従って、カム係合部52cは、復帰スプリング53の付勢力に抗して同復帰スプリング53を径方向に縮めながら、第1案内部P1から第2案内部P2へと移動する。そして、カム機構においては、このように、最も径方向内側に配置された案内部材55のカム溝55dの第2案内部P2にカム係合部52cを配置することにより、コロ部材52を係合位置に配置した状態が回転軸20とウォーム軸32とを連結する連結状態である。
また、クラッチ50は、コロ部材52が係合された案内部材55から構成されて駆動側回転体51に伴って回転することにより生じた遠心力により径方向外側に移動した案内部材55によってコロ部材52を係合位置に保持する保持機構を備えている。この保持機構においては、図8に示すように、案内部材55がその移動範囲内で最も径方向内側に配置された状態が回転軸20とウォーム軸32とを断絶する初期状態である。そして、カム機構によってコロ部材52が第2案内部P2に移動されることにより係合位置に配置された後に、案内部材55が遠心力によって径方向外側に移動されつつ駆動側回転体51と案内部材55とが相対回転されると、コロ部材52に対して案内部材55が周方向に回転される。このとき、カム係合部52cが第2案内部P2から第1案内部P1へ移動するものの案内部材55の径方向外側への移動に伴ってカム溝55dが径方向外側へ移動されるため、コロ部材52は、係合位置に配置された状態に維持される。そして、保持機構においては、図9に示すように、案内部材55をその移動範囲内で最も径方向外側に配置することにより、カム係合部52cをカム溝55dの第1案内部P1に配置しつつ案内部材55によってコロ部材52を係合位置に保持した状態が回転軸20とウォーム軸32とを連結する連結状態である。
図3に示すように、前記従動側回転体56は、有底円筒状の従動円筒部56aと、該従動円筒部56aと一体に形成された従動側軸連結部56bとから構成されている。図1に示すように、従動側回転体56は、従動円筒部56aの開口部がモータ本体12側を向くようにクラッチ収容部31bに収容されている。
図3に示すように、従動円筒部56aの外径は、前記第2駆動プレート62及び前記保持ケース54の外径と略等しい。また、従動側回転体56の内側の深さは、前記第1駆動プレート61の軸方向の長さと略等しい。図6に示すように、従動円筒部56aの円筒状の側壁部56cの内周面には、周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)となる2箇所に、径方向内側に突出した制御凸部56dが形成されている。従動側回転体56において、制御凸部56dが形成された部位の内径は第1駆動プレート61の外径よりも若干大きい。そして、図3に示すように、従動円筒部56aの内部には、第1駆動プレート61及び収容部62bが収容されている。従動円筒部56aの内部に収容された第1駆動プレート61は、その外周縁が制御凸部56dと径方向に対向する。更に、コロ部材52の動力伝達部52bは、径方向に対向する第1駆動プレート61と従動側回転体56の側壁部56cとの間に配置されている。そして、駆動側回転体51及び保持ケース54は、同軸上に(中心軸線が一致するように)配置されている。また、側壁部56cにおける従動円筒部56aの開口部側の端部が第2駆動プレート62の案内部62aの外周縁部と軸方向に対向する。
図6に示すように、側壁部56cの内周面に制御凸部56dが形成されることにより、従動側回転体56の内部には周方向に隣り合う制御凸部56d間に制御凹部56eが形成されている。2つの制御凹部56eは、周方向に等角度間隔(本実施形態では180°間隔)に形成されている(制御凹部56eの周方向の幅は、前記動力伝達部52bの外径よりも十分に広い)。そして、制御凹部56eの周方向の両側の内側面(制御凸部56dの周方向の端面)は、径方向内側に向かうに連れて周方向の間隔が広くなる一対の伝達面56fを形成している。各伝達面56fは、軸方向と平行をなすとともに、動力伝達部52bの外周面の曲率と略等しい曲率の円弧状をなしている。
また、図3に示すように、従動円筒部56aの底部中央には、該従動円筒部56aの内側に開口するプレート凹部56gが凹設されるとともに、該プレート凹部56gには、円板状のスラスト受けプレート72が収容されている。このスラスト受けプレート72には、前記第1駆動プレート61のボール収容孔61c内に収容された前記スラスト受けボール71が当接する。そして、スラスト受けプレート72は、スラスト受けボール71と共に回転軸20のスラスト荷重を受ける。
前記従動側軸連結部56bは、従動円筒部56aの底部中央から軸方向に沿って延びるとともに、従動円筒部56aの外側に突出している。また、図1に示すように、従動側軸連結部56bは、円柱状をなすとともに、その外径は、ウォーム軸32の基端部に設けられたウォーム側軸連結部32bの外径と略等しい大きさとされている。尚、ウォーム側軸連結部32bの基端面(図1において上側の端面)には、周方向に等角度間隔(120°間隔)となる3箇所に軸連結凹部32cが形成されている。図1には、軸連結凹部32cのうち1つのみを図示している。各軸連結凹部32cは、ウォーム側軸連結部32bの基端面からウォーム軸32の軸方向に沿って凹設されるとともに、ウォーム軸32の基端側(図1において上側)及び径方向外側に開口している。
図5に示すように、従動側軸連結部56bの先端には、前記軸連結凹部32c(図1参照)に対応した軸連結凸部56hが突出形成されている。軸連結凸部56hは、従動側軸連結部56bの先端の外周縁であって、周方向に等角度間隔(本実施形態では120°間隔)となる3箇所から軸方向に突出している。また、各軸連結凸部56hは、周方向の幅、径方向の幅及び軸方向の長さが前記軸連結凹部32c(図1参照)の周方向の幅、径方向の幅及び軸方向の深さとそれぞれ略等しく形成されている。そして、図1及び図5に示すように、各軸連結凸部56hがウォーム軸32の各軸連結凹部32c内にそれぞれ挿入されることにより、従動側回転体56とウォーム軸32とが回転方向に係合されて一体回転可能となる。尚、従動側軸連結部56bは、クラッチ収容部31bの底部から軸収容筒部31c内に突出するとともに、軸収容筒部31cの一端側に配置された軸受36によって軸支されている。
また、従動側回転体56は、駆動側回転体51と共に、係合位置に配置されたコロ部材52を挟持する挟持機構を構成している。この挟持機構においては、図6若しくは図11(a)に示すように、駆動側回転体51の楔面61gと、従動側回転体56の伝達面56fとによってコロ部材52の動力伝達部52bを挟持していない状態(即ち挟持が解除された状態)が回転軸20とウォーム軸32とを断絶する初期状態となっている。一方、図10に示すように、挟持機構においては、係合位置に配置されたコロ部材52の動力伝達部52bを楔面61gと伝達面56fとによって挟持した状態が回転軸20とウォーム軸32とを連結する連結状態となっている。この連結状態においては、第1駆動プレート61が連結スプリング63の付勢力に抗して該連結スプリング63を縮めながら第2駆動プレート62に対して相対回転される。
このように構成されたクラッチ50においては、カム機構の連結状態から初期状態への復帰、並びに、保持機構の連結状態から初期状態への復帰は、コロ部材52を付勢する復帰スプリング53の付勢力によって行われる。
図8に示す連結状態にあるカム機構は、復帰スプリング53がコロ部材52のカム係合部52cを介して径方向内側のカム面Sを径方向に沿って径方向内側に付勢することにより、初期状態に復帰される。ここで、復帰スプリング53の付勢力をF1、この付勢力F1の分力をF1a,F1bとする。復帰スプリング53の付勢力F1は、コロ部材52を径方向に沿って径方向内側に付勢する力である。また、分力F1aは、第2案内部P2に配置されたカム係合部52cとカム面Sとの接点における接線Lと平行な方向の付勢力F1の分力であるとともに、分力F1bは、該接線Lと垂直な方向の付勢力F1の分力であって第2案内部P2に配置されたカム係合部52cがカム面Sを垂直に付勢する力である。分力F1bは、第2案内部P2に配置されたカム係合部52cを介してカム溝55dの内周面を付勢する。そして、分力F1bの作用によってカム係合部52cがカム溝55dの内周面を付勢することにより、保持ケース54と共に案内部材55がカム係合部52cを第2案内部P2から第1案内部P1に移動させる方向に回転される。その結果、カム機構は、カム係合部52cを第1案内部P1に配置する初期状態に復帰される。尚、分力F1aは、カム係合部52cを、カム溝55dの長手方向に略沿って第1案内部P1の方へ付勢する。
また、図9に示す連結状態にある保持機構は、復帰スプリング53の付勢力が第1案内部P1に配置されたカム係合部52cからカム溝55dの内周面に伝達されることにより、初期状態に復帰される。詳述すると、復帰スプリング53の付勢力F1の作用によって、カム溝55dの第1案内部P1に配置されたカム係合部52cがカム溝55dの内周面を径方向内側に向けて付勢する。その結果、案内部材55が径方向内側に移動され、保持機構は初期状態に復帰する。保持機構の初期状態への復帰に伴って、コロ部材52も径方向内側の非係合位置に復帰する。
また、図10に示す連結状態にある挟持機構は、連結スプリング63の付勢力によって初期状態に復帰される。詳述すると、復帰凸部61hを付勢する連結スプリング63の付勢力によって第1駆動プレート61が第2駆動プレート62に対して相対回転されて(図10において矢印α参照)、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とが中立位置に復帰される。すると、伝達面56fに対して楔面61gが離間して、楔面61gと伝達面56fとによる挟持が解除される。即ち、挟持機構が初期状態に復帰される。
次に、このように構成されたクラッチ50の動作を中心にモータ11及びスライドドア3の動作を説明する。
モータ本体12の停止時のように回転軸20が回転駆動されていない場合には、図6及び図7に示すように、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62との相対回転位置は、復帰凸部61hを付勢する連結スプリング63の付勢力によって、2つの制御溝61dの周方向位置と2つの案内凹部62fの周方向位置とが一致する中立位置に維持されている。また、各案内部材55は、遠心力が作用していないため、カム係合部52cを介して伝達される復帰スプリング53の付勢力によって該案内部材55の径方向の移動範囲内で最も径方向内側に配置されている。更に、カム係合部52cは、復帰スプリング53の付勢力によって第1案内部P1に配置された状態に維持されるとともに、動力伝達部52bは、復帰スプリング53の付勢力によって非係合凹部61e内に配置された状態に維持されている。従って、コロ部材52は、その径方向の移動範囲内において最も径方向内側となる位置であって、従動側回転体56と回転方向に係合しない非係合位置に配置されている。そのため、カム機構、保持機構及び挟持機構は初期状態となっており、クラッチ50は回転軸20とウォーム軸32とを断絶している。
<手動開閉作動>
クラッチ50の上記状態においては、手動によりスライドドア3を開作動又は閉作動させるべく、スライドドア3側から出力軸35が回転されると、該出力軸35の回転に伴ってウォーム軸32が回転される。そして、図6に示すように、回転軸20が回転駆動されない場合は、コロ部材52は非係合位置に配置されているため、従動側回転体56は、コロ部材52と回転方向に係合せず、回転軸20とウォーム軸32とは断絶状態にある。従って、従動側回転体56は、ウォーム軸32の回転に伴って、駆動側回転体51に対して空転する。よって、出力軸35側からの回転が容易となる。従って、大きな操作力を必要としない容易なスライドドア3の手動による開閉動作が可能となっている。
<自動開閉作動>
スライドドア3を自動で開作動又は閉作動する旨の指令が生じると、コントローラ100によってモータ本体12が駆動され、回転軸20が回転駆動されて該回転軸20に連結された駆動側回転体51の回転駆動が開始される。図6に示すように、駆動側回転体51の回転駆動の開始時には、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、ほぼ一体的に(殆ど相対回転することなく)回転する。そして、コロ部材52も、挿通係合部62gの内周面からカム係合部52cに第2駆動プレート62の回転駆動力が伝達されるため、駆動側回転体51の中心軸線を回転中心として同駆動側回転体51と一体回転する。一方、案内部材55及び該案内部材55を保持した保持ケース54は、駆動側回転体51の回転駆動の開始時には、案内部材55に作用する慣性力によってその回転位置が維持される。その結果、図11(a)及び図11(b)に示すように、駆動側回転体51は、その回転駆動の開始時には、案内部材55及び保持ケース54に対して相対回転する。そして、駆動側回転体51と保持ケース54にて保持された案内部材55との間に回転角度の差が生じる。すると、カム溝55dに対してカム係合部52cが保持ケース54の周方向に回転されるため、カム機構が作動して、カム係合部52cは、カム溝55dのカム面Sに案内されながら第1案内部P1から駆動側回転体51の回転方向の前方側の第2案内部P2に向かって移動される。このとき、カム係合部52cは、復帰スプリング53の付勢力に抗して該復帰スプリング53を径方向に縮めながら、第1案内部P1から第2案内部P2へと移動される。そして、カム溝55dの作用により、コロ部材52は、径方向内側の非係合位置から、径方向外側の係合位置に移動される。尚、駆動側回転体51の回転駆動の開始時には、保持ケース54にて保持された案内部材55は、慣性力によってその回転位置が維持されているため、同案内部材55には遠心力が作用していない。従って、駆動側回転体51の回転駆動の開始時にカム係合部52cが第1案内部P1から第2案内部P2に相対的に移動する際には、案内部材55は、その径方向の移動範囲内で最も径方向内側に配置されている。
そして、駆動側回転体51の回転に伴って、係合位置に配置されたコロ部材52の動力伝達部52bが制御凹部56e内で駆動側回転体51の回転方向の前方側の伝達面56fに当接する(図示略)。これにより、回転軸20の回転駆動力は、第1駆動プレート61、連結スプリング63、第2駆動プレート62、コロ部材52の順に伝達され、更に、コロ部材52の動力伝達部52bから従動側回転体56に伝達可能となる。
また、駆動側回転体51の回転駆動の開始時には、従動側回転体56に連結されたスライドドア3は停止されているため、従動側回転体56には大きな負荷荷重が作用している。そのため、係合位置に配置されたコロ部材52の動力伝達部52bが駆動側回転体51の回転方向の前方側の伝達面56fに当接すると、従動側回転体56から受ける反力によってコロ部材52を介して第2駆動プレート62が減速される。一方、第1駆動プレート61は、連結スプリング63の付勢力に抗して該連結スプリング63を縮めながら第2駆動プレート62に対して先行して回転する。即ち、図12(a)に示すように、第1駆動プレート61は、第2駆動プレート62に対して相対回転する。従って、第2駆動プレート62と一体回転するコロ部材52の動力伝達部52bに対して第1駆動プレート61が相対回転し、各制御溝61dの一対の係合凹部61fのうち第1駆動プレート61の回転方向の後方側の係合凹部61f内に動力伝達部52bが配置されるとともに、該係合凹部61fの楔面61gが動力伝達部52bに回転方向において当接する。そして、楔面61gと伝達面56fとによって動力伝達部52bが挟持される。その結果、回転軸20の回転駆動力は、連結スプリング63及び第2駆動プレート62を介することなく、第1駆動プレート61からコロ部材52の動力伝達部52bを介して従動側回転体56に伝達され、従動側回転体56が回転され始める。
また、図12(b)に示すように、カム係合部52cが第2案内部P2に配置された後、回転駆動が開始された駆動側回転体51と共に回転するコロ部材52から復帰スプリング53の付勢力が伝達される案内部材55も、駆動側回転体51に伴って回転し始める。そして、案内部材55の回転速度が上昇すると、その回転速度の上昇に伴って、該案内部材55に作用する慣性力が小さくなる。案内部材55は、該案内部材55に作用する慣性力が小さくなるに連れて、カム係合部52cを介して伝達される復帰スプリング53の付勢力F1の分力F1b(図8参照)の作用により、保持ケース54と共に駆動側回転体51に対して同駆動側回転体51と同方向に相対回転していく。この駆動側回転体51に対する案内部材55の相対回転に伴って、保持ケース54にて保持された案内部材55のカム溝55dがカム係合部52cに対して保持ケース54の周方向に回転されるため、図13(b)に示すように、カム係合部52cは、第2案内部P2から第1案内部P1へ相対的に移動される。このとき同時に、案内部材55の回転速度の増大に伴って、案内部材55に作用する遠心力が徐々に大きくなるため、案内部材55は、案内面54hに案内されながら径方向外側に移動される。従って、カム係合部52cの径方向位置は径方向に変化することなく維持されるため、コロ部材52は案内部材55によって係合位置に保持される(即ち、保持機構が連結状態となる)。
そして、従動側回転体56が回転し始めた後、図13(a)に示すように、従動側回転体56に作用する負荷荷重が連結スプリング63の付勢力よりも大きい場合には、第1駆動プレート61が連結スプリング63の付勢力に抗して該連結スプリング63を縮めた状態で第2駆動プレート62に対して第1駆動プレート61の回転方向に回転される。その結果、各制御溝61dの一対の楔面61gのうち第1駆動プレート61の回転方向の後方側の楔面61gが動力伝達部52bの外周面に回転方向において当接し、該楔面61gと伝達面56fとによって動力伝達部52bが挟持される(即ち、挟持機構が連結状態となる)。そして、回転軸20の回転駆動力は、第1駆動プレート61からコロ部材52を介して従動側回転体56に伝達される。その結果、従動側回転体56が回転されるため、該従動側回転体56に連結されたウォーム軸32が回転される。そして、ウォーム部32aとウォームホイール33とによって減速された回転力が出力軸35から出力され、スライドドア3が自動で開作動又は閉作動される。
また、図14(a)及び図14(b)に示すように、従動側回転体56に作用する負荷荷重が連結スプリング63の付勢力以下となる場合では、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62とは、連結スプリング63の付勢力によって中立位置に保持された状態で一体的に回転する。従って、回転軸20の回転駆動力は、第1駆動プレート61、連結スプリング63、第2駆動プレート62、コロ部材52、従動側回転体56の順に伝達される。その結果、従動側回転体56が回転されるため、該従動側回転体56に連結されたウォーム軸32が回転される。そして、ウォーム部32aとウォームホイール33とによって減速された回転力が出力軸35から出力され、スライドドア3が自動で開作動又は閉作動される。
モータ本体12が停止されると、回転軸20の回転速度が低下する。そして、図13(a)に示すように、モータ本体12が停止された時の状態が、従動側回転体56に作用する負荷荷重が連結スプリング63の付勢力より大きい状態であった場合には、復帰凸部61hを付勢する連結スプリング63が第1駆動プレート61を直前の回転方向と反対方向に回転させる。これにより、第1駆動プレート61が第2駆動プレート62に対して相対回転されるため、伝達面56fと楔面61gとによる動力伝達部52bの挟持が解除される(即ち、挟持機構が初期状態に復帰される)。更に、連結スプリング63の付勢力によって、第1駆動プレート61と第2駆動プレート62との相対回転位置が、2つの制御溝61dの周方向位置と2つの案内凹部62fの周方向位置とが一致する中立位置に復帰される。
また、駆動側回転体51の回転速度が低下すると、駆動側回転体51からコロ部材52を介して回転駆動力が伝達されて回転していた案内部材55及び従動側回転体56の回転速度も低下する。すると、案内部材55に作用する遠心力が小さくなるため、復帰スプリング53の付勢力によって、案内部材55は径方向内側に移動される(即ち、保持機構が初期状態に復帰する)。そして、図6及び図7に示すように、案内部材55のカム溝55dにカム係合部52cが挿入されたコロ部材52は、案内部材55と共に径方向内側に移動される。このとき、カム係合部52cは、カム溝55dにおいて第1案内部P1に位置している。従って、コロ部材52は、係合位置から非係合位置に移動される。その結果、駆動側回転体51と従動側回転体56との回転方向の係合が解除されて、回転軸20とウォーム軸32とが断絶された状態となる。
また、図14(a)及び図14(b)に示すように、モータ本体12が停止された時の状態が、従動側回転体56に作用する負荷荷重が連結スプリング63の付勢力より小さい状態であった場合には、駆動側回転体51の回転速度の低下に伴って案内部材55に作用する遠心力が小さくなると、復帰スプリング53の付勢力によって案内部材55が径方向内側に移動される(即ち、保持機構が初期状態に復帰される)。そして、図6及び図7に示すように、案内部材55と共にコロ部材52が径方向内側に移動される。このとき、カム係合部52cは、カム溝55dにおいて第1案内部P1に位置しているため、コロ部材52は、係合位置から非係合位置に移動される。その結果、駆動側回転体51と従動側回転体56との回転方向の係合が解除されて、回転軸20とウォーム軸32とが断絶された状態となる。
尚、図11(a)〜図14(a)では、駆動側回転体51(回転軸20)が同図において時計方向に回転された場合のクラッチ50を示しているが、駆動側回転体51(回転軸20)が反時計方向に回転された場合も同様にクラッチ50は動作し、回転軸20とウォーム軸32との連結・断絶を行うものである。
次に、本実施形態のスライドドア開閉装置1の電気的構成、及びスライドドア3の開閉制御(モータ11の駆動制御)について説明する。
図15に示すように、スライドドア開閉装置1のモータ11(モータ本体12)を駆動制御するコントローラ100は、制御回路101、オープンリレー102、クローズリレー103、PWM回路(パルス幅変調回路)104、及びリレー駆動回路105を備えている。
制御回路101は、制御部(CPU)、各種メモリ、各種入出力インターフェース等を備えてなる。制御回路101は、メモリに記憶されたプログラムに基づいてスライドドア開閉装置1のモータ11の駆動制御、即ちスライドドア3の開閉制御を行うための演算処理を実行する。
また、制御回路101には、モータ11に内蔵された回転センサ(ホール素子42)からのパルス検出信号SGが入力される。制御回路101は、パルス検出信号SGに基づいてその時々のモータ11のウォーム軸32の回転方向、回転数(回転速度)、回動量及び回動位置を演算し、その演算結果からスライドドア3の作動方向、作動速度、作動量及び作動位置を逐次演算する。
また、制御回路101には、図示しない開閉指令装置から、スライドドア3を「全閉位置」から「全開位置」に作動させるための開信号STo、及びスライドドア3を「全開位置」から「全閉位置」に作動させるための閉信号STcが入力される。制御回路101は、開信号SToを入力したときには、スライドドア3を「全開位置」に作動させるべくモータ11を駆動制御し、閉信号STcを入力したときには、スライドドア3を「全閉位置」に作動させるべくモータ11を駆動制御する。このようなモータ11の駆動制御は、PWM回路104及びリレー駆動回路105を介して行っている。
制御回路101は、PWM回路104に駆動制御信号CT1を出力する。PWM回路104は、制御回路101からの駆動制御信号CT1に基づいて、バッテリーBの電源電圧Vbからモータ11に印加する駆動電圧Vdを生成(デューティ制御にて調整)する。
また、制御回路101は、リレー駆動回路105に駆動制御信号CT2を出力する。リレー駆動回路105は、制御回路101からの駆動制御信号CT2に基づいて、オープンリレー102及びクローズリレー103の切り替え駆動を行う。スライドドア3の開作動時では、制御回路101は、オープンリレー102側を作動させてモータ11に対して開作動側に回転駆動させる電圧の供給を行う。スライドドア3の閉作動時においては、制御回路101は、クローズリレー103側を作動させてモータ11に対して閉作動側に回転駆動させる電圧の供給を行う。各電圧供給時においては、先のPWM回路104の動作にてその電圧値が調整される。尚、スライドドア3にブレーキ力を付与する必要が生じた際には、両リレー102,103を共にオフとして閉ループを形成することで電路短絡によるブレーキ(ショートブレーキ)をモータ11にて発生させ、ドア3にブレーキ力として付与することも可能である。
また、制御回路101には、図示しない異常検出装置から、作動中のスライドドア3をこれ以上作動させることが問題となる異常状態を示す異常信号SXが入力される。因みに、スライドドア3の作動を継続させることが問題となる異常状態について2、3例示すると、スライドドア3の自動開閉モードと手動モードとに切り替えるスイッチ(図示略)がドア3の自動開閉中に手動モード側に切り替えられたり、自動閉作動しているスライドドア3にて挟み込みが生じたり、車両ボディ2の側面に設けられた給油口の蓋(図示略)が開いており自動開作動中のスライドドア3と干渉し得る場合等がある。制御回路101は、このような旨の異常信号SXを入力したとき、スライドドア3のこれ以上の作動を停止させるべくモータ11に対して所定動作を行う。
次に、異常検出時におけるスライドドア開閉装置1の動作を図16のフローを用いて説明する。
(ステップS1,S2)
制御回路101は、スライドドア3の開作動又は閉作動中に異常信号SXが入力されると、モータ11によるスライドドア3の電動作動の停止制御を実施する。尚、このスライドドア3の開作動又は閉作動中のモータ11の駆動停止は、スライドドア3が全開又は全閉位置になく車体側と非ラッチ状態のため、例えば傾斜地への車両停車によるスライドドア3の自重等の外力が作用すると、モータ11に内蔵のクラッチ50の構造上、スライドドア3が負荷側から不意に作動し得る状況となる。
(ステップS3)
そこで、制御回路101は、先ず停止制御モード1に移行する。
(ステップS4〜S6)
制御回路101は、停止制御モード1において、モータ11に対してスライドドア3からの負荷荷重と釣合うような駆動電圧Vdの印加を行い、スライドドア3の不意な作動を防止する制御を行う。即ち、予め設定された一定時間、クラッチ50より負荷側に設けられるウォーム軸32の回転数が略ゼロ、即ちスライドドア3の作動が略ゼロとなるように、図18に示すように、モータ11への印加電圧(駆動電圧Vd)の電圧調整が行われる。
ここで、本実施形態のクラッチ50はその構造上、図17に示すように、スライドドア3の重量及び車両傾斜状態に係る負荷荷重の大きさによって、クラッチ50の作動状態が異なる。クラッチ50の状態が負荷荷重の比較的大きい第1作動領域A1にある場合、この負荷荷重と釣合う電圧印加がなされたモータ11では、ウォーム軸32と回転軸20とが楔連結、即ち図13(a)のように楔面61gと伝達面56fとで動力伝達部52bが挟持される状態となる。従って、クラッチ50が楔連結可能な負荷大の状態では、クラッチ50にて負荷側からのウォーム軸32の回転を阻止でき、スライドドア3の不意な作動が防止される。
一方、クラッチ50の状態が負荷荷重の比較的小さい第2作動領域A2にある場合、モータ11に電圧印加を行って該モータ11を駆動しても、ウォーム軸32と回転軸20とが楔連結しない、即ち図14(a)のように楔面61gと伝達面56fとで動力伝達部52bが挟持されない状態となる。そのため、クラッチ50にて負荷側からのウォーム軸32の回転が確実に阻止できず、スライドドア3が不意に作動し得る状況である。
従って、クラッチ50の状態が作動領域A2にある状況においては、停止制御モード1によるモータ11への印加電圧の調整を行っても、外力の作用によりスライドドア3が作動し続ける、即ち一定時間経過後もウォーム軸32の回転数が略ゼロとならない。
(ステップS7)
そこで、制御回路101は、停止制御モード1から停止制御モード2に移行する。
(ステップS8〜S11)
制御回路101は、図19に示すように、モータ11によりスライドドア3を通常作動させる駆動電圧Vdの電圧値を用いつつ極性を切り替え、スライドドア3が閉側に作動した場合には開側にドア3が作動するようにモータ11を駆動し、スライドドア3が開側に作動した場合には閉側にドア3が作動するようにモータ11を駆動する。つまり、スライドドア3が作動しようとする方向とは逆方向にモータ11の逆転駆動が行われる。従って、クラッチ50が楔連結できないような負荷小の状態では、微小なスライドドア3の開閉作動が行われ(図19ではドア速度を誇張して図示)、見かけ上、スライドドア3の作動が停止状態とされる。このようにして、異常信号SXの入力後のスライドドア3の保持が行われている。
次に、本実施形態の特徴的な効果を記載する。
(1)スライドドア3の自動開閉作動中の停止指令(異常信号SXの入力)によりドア3を停止させる際、クラッチ50がドア3側の負荷荷重と同等のモータ11(モータ本体12)の駆動力を発生させた際に回転軸20(駆動軸)とウォーム軸32(従動軸)とが連結状態となる第1作動領域A1となる状況では、負荷荷重と釣合うモータ11の駆動力を発生させてクラッチ50の連結を通じてドア3の停止が図られる(第1ドア停止制御)。また、クラッチ50が負荷荷重と同等のモータ11の駆動力では回転軸20とウォーム軸32との連結状態が維持不能な第2作動領域A2となる状況では、モータ11の駆動力を以て回転軸20とウォーム軸32との連結を図りつつモータ11の逆転駆動を繰り返してドア3の微小な開閉作動を行ってドア3の見かけ上の停止が図られる(第2ドア停止制御)。つまり、クラッチ50の各作動領域A1,A2(負荷荷重との関係)に応じて制御を切り替えることで、スライドドア3の停止(保持)をより確実に行うことができる。
(2)スライドドア3の自動開閉作動中の停止指令によりドア3を停止させる際、一先ず第1ドア停止制御によるドア3の停止制御が実施され、第1ドア停止制御によるドア3の停止が見込めない場合には第2ドア停止制御が実施される。つまり、モータ11の逆転駆動の度にモータ11の駆動力を以てクラッチ50の連結が図られる第2ドア停止制御よりも、負荷荷重とモータ11の駆動力との釣合いでクラッチ50の連結状態が維持される第1ドア停止制御の方がクラッチ50への負担が小さいため、先に第1ドア停止制御を行うようにすれば、クラッチ50にかかる負担を極力軽減することができる。
尚、上記実施形態は、以下のように変更してもよい。
・機械式のクラッチ50の構成は一例であり、構成を適宜変更してもよい。
・スライドドア3の停止制御において、モータ11の駆動力と負荷荷重との釣合いを図る第1ドア停止制御を先に実施し、これによりドア3の停止が見込めない場合はモータ11の逆転駆動を繰り返してドア3の微小な開閉作動を行わせる第2ドア停止制御を実施するようにしたが、ドア3の停止制御の手順はこれに限らない。
・スライドドア3の自動開閉中の異常信号SXとしてドア3による挟み込みも含み、異常信号SXの入力に基づき作動中のスライドドア3の停止を図るようにしているが、この挟み込み検出においては、即座に作動中のスライドドア3の停止を図らず、一旦開作動させて挟持物の解放を促した後、スライドドア3の停止を図るようにしてもよい。因みに、この挟み込み検出においては、図16に示す制御フローのステップS1とステップS2との間に、スライドドア3を反転作動させるステップを挿入する。
・スライドドア3の開閉作動を行うドア開閉装置1に適用したが、スライドドア以外の車両ドアの開閉作動を行うドア開閉装置に適用してもよい。
・異常検出時におけるスライドドア開閉装置1の制御フローを、図20や図21のフローのように変更してもよい。尚、上記実施形態の制御フロー(図16参照)と同様のステップについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
尚、以下に示す例では、車体の少なくとも前後方向の傾斜角度を測定する傾斜角度測定センサ110(図15参照)を車両に設け、その傾斜角度測定センサ110は、車体の前後方向の傾斜角度の測定に基づく測定信号SG1を制御回路101に出力する。そして、制御回路101は、測定信号SG1と予め設定されたスライドドア3の重量値とに基づいて、スライドドア3からの負荷荷重の値(負荷荷重値R)を演算するようになっている。
異常検出時における制御フローの一例を図20に従って説明する。
(ステップS1,S2)
制御回路101は、スライドドア3の開作動又は閉作動中に異常信号SXが入力されると、モータ11によるスライドドア3の電動作動の停止制御を実施する。尚、このスライドドア3の開作動又は閉作動中のモータ11の駆動停止は、スライドドア3が全開又は全閉位置になく車体側と非ラッチ状態のため、例えば傾斜地への車両停車によるスライドドア3の自重等の外力が作用すると、モータ11に内蔵のクラッチ50の構造上、スライドドア3が負荷側から不意に作動し得る状況となる。
(ステップS12)
そこで、制御回路101は、演算した負荷荷重値Rと第1閾値T1とを比較し、負荷荷重値Rが第1閾値T1以上である場合に、前記停止制御モード1(ステップS3〜S6)に移行する。ここで、第1閾値T1は、クラッチ50の作動状態が変わる境界(第1作動領域A1と第2作動領域A2の境界)に対応する値に設定されている。つまり、負荷荷重値Rが第1閾値T1以上であれば、クラッチ50が第1作動領域A1の状態となり、前記停止制御モード1によってスライドドア3の不意な作動を防止することが可能となる。
(ステップS13)
一方、制御回路101は、負荷荷重値Rが第1閾値T1未満である場合には、負荷荷重値Rと第2閾値T2とを比較し、負荷荷重値Rが第2閾値T2以上である場合に、前記停止制御モード2(ステップS7〜S11及びステップS14)に移行する。
ここで、負荷荷重値Rが第1閾値T1未満であるとき、クラッチ50が第2作動領域A2の状態となるため、車体の傾斜角度がある程度存在する場合には、スライドドア3の自重による不意な作動を防止するために停止制御モード2の実施が必要である。しかし、車両を平地に停止した場合等、負荷荷重値Rが極めて小さい場合(若しくはゼロの場合)には、スライドドア3が自重によって不意に作動し得ないため、スライドドア3の自重による不意な作動を防止するための制御(停止制御モード2)が不要となる。つまり、前記第2閾値T2は、停止制御モード2の実施が必要か否かの境界値に設定されており、負荷荷重値Rが第2閾値T2以上である場合(即ち、停止制御モード2の実施が必要な場合)に停止制御モード2に移行するようになっている。尚、本例における停止制御モード2では、スライドドア3が作動しようとする方向とは逆方向へのモータ11の逆転駆動が、予め設定された一定時間が経過するまで実施されるようになっている。
そして、制御回路101は、負荷荷重値Rが第2閾値T2未満である場合には、停止制御モード2を実施しない。このとき、負荷荷重値Rが極めて小さいことから、特別な停止制御(停止制御モード1,2)を実施せずにモータ11の駆動が停止されたままの状態(ステップS2の状態)でも、スライドドア3が自重によって不意に作動しないようになっている。
次に、図20に示す制御フローによる特徴的な効果を記載する。
まず、比較対象として、上記実施形態の制御フロー(図16参照)では、スライドドア3の自動開閉作動中の停止指令によりドア3を停止させる際、一先ず停止制御モード1によるドア3の停止制御を試み、その停止制御モード1によるドア3の停止が見込めない場合に停止制御モード2を実施するようになっている。このため、クラッチ50が第2作動領域A2となる状態であっても停止制御モード1によるドア3の停止制御を試みる必要があり、また、停止制御モード1によるドア3の停止が見込めないと判断するためには、停止制御モード1を所定時間に亘って実施する必要がある。
これに対し、図20に示す制御フローでは、スライドドア3の自動開閉作動中の停止指令(異常信号SXの入力)によりドア3を停止させる際、制御回路101は、第1閾値T1と、傾斜角度測定センサ110の測定信号SG1(及び予め設定されたドア重量値)に基づき演算した負荷荷重値Rとから、クラッチ50が第1作動領域A1と第2作動領域A2のいずれの状態となるかを判断する。そして、クラッチ50が第2作動領域A2となると判断した場合(即ち、停止制御モード1ではスライドドア3の自重による不意な作動が防止できない場合)には、停止制御モード1を実施せずに停止制御モード2を実施する。このように、停止制御モード1によるドア3の停止が見込めるか否かを負荷荷重値Rに基づき判断するため、その判断までの時間が短い。このため、スライドドア3の自動開閉作動中の停止指令(異常信号SXの入力)から、停止制御モード2によるドア3の停止(見かけ上の停止)までの時間を短くすることができる。
また、図20に示す制御フローでは、制御回路101は、負荷荷重値Rに基づいて停止制御モード1,2の実施が不要であると判断すると、停止制御モード1,2を実施せずに、モータ11の駆動が停止されたままの状態とする。これにより、平地での車両停車時に停止制御モード1,2を実施することによるスライドドア3の無駄な作動を防止することができる。
尚、図20に示す制御フローを一部変更し、図21に示す制御フローとしてもよい。
図21に示す制御フローでは、制御回路101は、ドア3の自動開閉作動中の停止指令(異常信号SXの入力)によりドア3を停止させた後、前記負荷荷重値Rと前記第2閾値T2とを比較する(ステップS15)。そして、負荷荷重値Rが第2閾値T2以上である場合(即ち、停止制御モード1,2の実施が必要な場合)に、停止制御モード1(ステップS3〜S6)に移行する。一方、負荷荷重値Rが第2閾値T2未満である場合(即ち、停止制御モード1,2の実施が不要な場合)には、いずれの停止制御モード1,2も実施せずに、モータ11の駆動が停止されたままの状態とする。
このような制御フローによっても、平地での車両停車時に停止制御モード1,2を実施することによるスライドドア3の無駄な作動を防止することができる。
また、上記の変更例(図20及び図21の例)では、スライドドア3からの負荷荷重を測定する負荷荷重測定部として傾斜角度測定センサ110を設け、その傾斜角度測定センサ110にて測定される車体の傾斜角度に基づいて負荷荷重値Rを演算したが、これに特に限定されるものではない。例えば、スライドドア3の位置及び速度を検出するドア移動検出装置を設け、ドア移動検出装置の測定結果に基づいてドア3の移動加速度並びに負荷荷重値Rを演算するようにしてもよい。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想を以下に追記する。
(イ) モータの駆動力に基づいて駆動軸と従動軸とを連結し前記モータの駆動力を前記駆動軸から前記従動軸側に伝達して車両ドアを自動開閉作動させる一方、前記モータの駆動停止時には前記従動軸を前記駆動軸から断絶して前記ドアの手動開閉時の作動負荷を軽減する機械式のクラッチを有する車両用ドア開閉装置において、前記クラッチは、前記ドア側の負荷荷重と同等の前記モータの駆動力を発生させた際に前記駆動軸と前記従動軸とが連結状態となる第1作動領域と、前記負荷荷重と同等の前記モータの駆動力では前記駆動軸と前記従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域とを有する構成のものが用いられる車両用ドア開閉装置の制御方法であって、
前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第1作動領域となる状況においては前記負荷荷重と釣合う前記モータの駆動力を発生させて前記クラッチの連結を通じて前記ドアの停止を図る第1ドア停止制御と、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第2作動領域となる状況においては前記モータの駆動力を以て前記駆動軸と前記従動軸との連結を図りつつ前記モータの逆転駆動を繰り返して前記ドアの微小な開閉作動を行って前記ドアの見かけ上の停止を図る第2ドア停止制御とを実施することを特徴とする車両用ドア開閉装置の制御方法。
1…スライドドア開閉装置(車両用ドア開閉装置)、3…スライドドア(ドア)、11…モータ、12…モータ本体(モータ)、20…回転軸(駆動軸)、32…ウォーム軸(従動軸)、50…クラッチ、100…コントローラ(制御装置)、101…制御回路(負荷荷重測定部)、110…傾斜角度測定センサ(負荷荷重測定部)、A1…第1作動領域、A2…第2作動領域、SX…異常信号(停止指令)。

Claims (7)

  1. モータの駆動力に基づいて駆動軸と従動軸とを連結し前記モータの駆動力を前記駆動軸から前記従動軸側に伝達して車両ドアを自動開閉作動させる一方、前記モータの駆動停止時には前記従動軸を前記駆動軸から断絶して前記ドアの手動開閉時の作動負荷を軽減する機械式のクラッチを有する車両用ドア開閉装置において、前記クラッチは、前記ドア側の負荷荷重と同等の前記モータの駆動力を発生させた際に前記駆動軸と前記従動軸とが連結状態となる第1作動領域と、前記負荷荷重と同等の前記モータの駆動力では前記駆動軸と前記従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域とを有する構成のものが用いられる車両用ドア開閉装置の制御装置であって、
    前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第1作動領域となる状況においては前記負荷荷重と釣合う前記モータの駆動力を発生させて前記クラッチの連結を通じて前記ドアの停止を図る第1ドア停止制御と、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第2作動領域となる状況においては前記モータの駆動力を以て前記駆動軸と前記従動軸との連結を図りつつ前記モータの逆転駆動を繰り返して前記ドアの微小な開閉作動を行って前記ドアの見かけ上の停止を図る第2ドア停止制御とを実施することを特徴とする車両用ドア開閉装置の制御装置。
  2. 請求項1に記載の車両用ドア開閉装置の制御装置において、
    前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると一先ず前記第1ドア停止制御を試み、前記第1ドア停止制御による前記ドアの停止が見込めない場合には前記第2ドア停止制御を実施することを特徴とする車両用ドア開閉装置の制御装置。
  3. 請求項1に記載の車両用ドア開閉装置の制御装置において、
    前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記クラッチが前記第1作動領域と前記第2作動領域のいずれの状態となるかを前記負荷荷重に基づいて判断し、
    前記クラッチが前記第2作動領域となると判断した場合には、前記第1ドア停止制御を実施せずに前記第2ドア停止制御を実施することを特徴とする車両用ドア開閉装置の制御装置。
  4. 請求項1又は請求項3に記載の車両用ドア開閉装置の制御装置において、
    前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が必要か否かを前記負荷荷重に基づいて判断し、
    前記第1及び第2ドア停止制御の実施が不要と判断した場合には、前記第1及び第2ドア停止制御を実施せずに前記モータを駆動停止状態とすることを特徴とする車両用ドア開閉装置の制御装置。
  5. モータの駆動力に基づいて駆動軸と従動軸とを連結し前記モータの駆動力を前記駆動軸から前記従動軸側に伝達して車両ドアを自動開閉作動させる一方、前記モータの駆動停止時には前記従動軸を前記駆動軸から断絶して前記ドアの手動開閉時の作動負荷を軽減する機械式のクラッチを有する車両用ドア開閉装置において、前記クラッチは、前記ドア側の負荷荷重と同等の前記モータの駆動力を発生させた際に前記駆動軸と前記従動軸とが連結状態となる第1作動領域と、前記負荷荷重と同等の前記モータの駆動力では前記駆動軸と前記従動軸との連結状態が維持不能な第2作動領域とを有する構成のものが用いられる車両用ドア開閉装置であって、
    前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第1作動領域となる状況においては前記負荷荷重と釣合う前記モータの駆動力を発生させて前記クラッチの連結を通じて前記ドアの停止を図る第1ドア停止制御と、前記負荷荷重との関係で前記クラッチが第2作動領域となる状況においては前記モータの駆動力を以て前記駆動軸と前記従動軸との連結を図りつつ前記モータの逆転駆動を繰り返して前記ドアの微小な開閉作動を行って前記ドアの見かけ上の停止を図る第2ドア停止制御とを実施する制御装置を備えたことを特徴とする車両用ドア開閉装置。
  6. 請求項5に記載の車両用ドア開閉装置において、
    前記負荷荷重を測定する負荷荷重測定部を備え、
    前記制御装置は、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記クラッチが前記第1作動領域と前記第2作動領域のいずれの状態となるかを前記負荷荷重測定部の測定結果に基づいて判断し、前記クラッチが前記第2作動領域となると判断した場合には、前記第1ドア停止制御を実施せずに前記第2ドア停止制御を実施することを特徴とする車両用ドア開閉装置。
  7. 請求項5又は6に記載の車両用ドア開閉装置において、
    前記負荷荷重を測定する負荷荷重測定部を備え、
    前記制御装置は、前記ドアの自動開閉作動中に停止指令が生じると、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が必要か否かを前記負荷荷重測定部の測定結果に基づいて判断し、前記第1及び第2ドア停止制御の実施が不要と判断した場合には、前記第1及び第2ドア停止制御を実施せずに前記モータを駆動停止状態とすることを特徴とする車両用ドア開閉装置。
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