JP2014177559A - 熱伝導性樹脂組成物、及びそれを用いた積層体 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、熱伝導性と接着性に優れた熱伝導性樹脂組成物、及びそれを用いた積層体に関する。
近年の電気・電子機器における急速な高性能化、高密度化にともない、搭載される電子部品からの発熱が大きくなっており、特に、高電流、高電圧で使用する電子部品において発熱が顕著である。そのため、このような高発熱性の電子部品を搭載する回路基板に用いる樹脂材料には高い耐熱性と放熱性が要求されるようになっている。
樹脂材料に熱伝導性を付与する方法として、高い熱伝導率を有する無機フィラーを添加することが知られている。例えば、特許文献1には、ポリイミド成分および熱伝導性フィラー成分から得られる熱伝導性ポリイミドフィルム複合材料が記載されている。また、特許文献2には、特定のポリイミド樹脂と無機フィラーとを含む熱伝導性接着樹脂組成物が記載されている。
本発明は、良好な熱伝導性、接着性、及び電気絶縁性を有し、耐熱性にも優れた、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとを含む樹脂組成物を提供することを目的とする。また、前記樹脂組成物を絶縁接着材料として用いた、放熱性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明は以下の項に関する。
1. 下記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、熱伝導性無機フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物。
(一般式(1)中のR1は炭素数4〜16の直鎖状又は分岐した脂肪族炭化水素残基である。)
2. 熱伝導性無機フィラーが、アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素からなる群から選択されることを特徴とする前記項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
3. 熱硬化性樹脂をさらに含有することを特徴とする前記項1〜2のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
4. 前記項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物と、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)及び無機化合物からなる群から選択される材料で構成された基材とを含む積層体。
1. 下記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、熱伝導性無機フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物。
2. 熱伝導性無機フィラーが、アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素からなる群から選択されることを特徴とする前記項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
3. 熱硬化性樹脂をさらに含有することを特徴とする前記項1〜2のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
4. 前記項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物と、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)及び無機化合物からなる群から選択される材料で構成された基材とを含む積層体。
本発明により、良好な熱伝導性、接着性、及び電気絶縁性を有し、耐熱性にも優れた、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物が得られる。本発明の熱伝導性樹脂組成物は、例えば、銅張積層板、メタルベース基板、セラミック基板、半導体パッケージにおけるパワーデバイスの封止、放熱フィンや放熱板の積層などにおける熱伝導性の絶縁接着材料として好適に使用することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、下記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、熱伝導性無機フィラーとを含む熱伝導性樹脂組成物である。
(一般式(1)中のR1は炭素数4〜16の直鎖状又は分岐した脂肪族炭化水素残基である。)
本発明で用いるポリイミド樹脂は、一般式(1)で表される構造単位を主成分とする。すなわち、一般式(1)で表される構造単位を80モル%以上、好ましくは、90モル%以上含むポリイミド樹脂である。特に限定されないが、本発明で用いるポリイミド樹脂は、製造時にモノマー比(テトラカルボン酸成分/ジアミン成分のモル比)をテトラカルボン酸成分過剰とし、理論的に末端基がカルボキシル基であるものが好ましい。カルボン酸末端とジアミン末端の存在比は、1H−NMRなどの公知の分析方法により測定することができる。
一般式(1)中のR1は炭素数4〜16の直鎖状又は分岐した脂肪族炭化水素残基であれば、特に限定されないが、ポリイミド樹脂溶液の保存安定性が優れるため、炭素数6〜12の脂肪族炭化水素残基が好ましく、炭素数8〜10の脂肪族炭化水素残基がより好ましく、炭素数10の脂肪族炭化水素残基が特に好ましい。また、ポリイミド樹脂に耐熱性が要求される場合には、直鎖状の脂肪族炭化水素残基が好ましい。一方、ポリイミド樹脂に溶媒への溶解性が要求される場合には、分岐状の脂肪族炭化水素残基が好ましい。さらに、ジアミンが安価に製造できることから、炭素数が偶数の脂肪族炭化水素残基が好ましい。
本発明で用いるポリイミド樹脂は、テトラカルボン酸成分として2,3,3’,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物を、ジアミン成分として炭素数4〜16の直鎖状又は分岐した脂肪族ジアミンを主な成分として使用し、これらを重合することにより製造することができる。
前記のジアミン成分として、例えば、1,1−ジアミノブタン、1,2−ジアミノブタン、1,3−ジアミノブタン、1,4−ジアミノブタン、2,2−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、1,1−ジアミノペンタン、1,2−ジアミノペンタン、1,3−ジアミノペンタン、1,4−ジアミノペンタン、1,5−ジアミノペンタン、2,2−ジアミノペンタン、2,3−ジアミノペンタン、2,4−ジアミノペンタン、3,3−ジアミノペンタン、1,1−ジアミノヘキサン、1,2−ジアミノヘキサン、1,3−ジアミノヘキサン、1,4−ジアミノヘキサン、1,5−ジアミノヘキサン、1,6−ジアミノヘキサン、2,2−ジアミノヘキサン、2,3−ジアミノヘキサン、2,4−ジアミノヘキサン、2,5−ジアミノヘキサン、3,3−ジアミノヘキサン、3,4−ジアミノヘキサン、1,1−ジアミノヘプタン、1,2−ジアミノヘプタン、1,3−ジアミノヘプタン、1,4−ジアミノヘプタン、1,5−ジアミノヘプタン、1,6−ジアミノヘプタン、1,7−ジアミノヘプタン、2,2−ジアミノヘプタン、2,3−ジアミノヘプタン、2,4−ジアミノヘプタン、2,5−ジアミノヘプタン、2,6−ジアミノヘプタン、3,3−ジアミノヘプタン、3,4−ジアミノヘプタン、3,5−ジアミノヘプタン、4,4−ジアミノヘプタン、1,1−ジアミノオクタン、1,2−ジアミノオクタン、1,3−ジアミノオクタン、1,4−ジアミノオクタン、1,5−ジアミノオクタン、1,6−ジアミノオクタン、1,7−ジアミノオクタン、1,8−ジアミノオクタン、2,2−ジアミノオクタン、2,3−ジアミノオクタン、2,4−ジアミノオクタン、2,5−ジアミノオクタン、2,6−ジアミノオクタン、2,7−ジアミノオクタン、3,3−ジアミノオクタン、3,4−ジアミノオクタン、3,5−ジアミノオクタン、3,6−ジアミノオクタン、4,4−ジアミノオクタン、4,5−ジアミノオクタン、1,1−ジアミノノナン、1,2−ジアミノノナン、1,3−ジアミノノナン、1,4−ジアミノノナン、1,5−ジアミノノナン、1,6−ジアミノノナン、1,7−ジアミノノナン、1,8−ジアミノノナン、1,9−ジアミノノナン、2,2−ジアミノノナン、2,3−ジアミノノナン、2,4−ジアミノノナン、2,5−ジアミノノナン、2,6−ジアミノノナン、2,7−ジアミノノナン、2,8−ジアミノノナン、3,3−ジアミノノナン、3,4−ジアミノノナン、3,5−ジアミノノナン、3,6−ジアミノノナン、3,7−ジアミノノナン、4,4−ジアミノノナン、4,5−ジアミノノナン、4,6−ジアミノノナン、5,5−ジアミノノナン、1,1−ジアミノデカン、1,2−ジアミノデカン、1,3−ジアミノデカン、1,4−ジアミノデカン、1,5−ジアミノデカン、1,6−ジアミノデカン、1,7−ジアミノデカン、1,8−ジアミノデカン、1,9−ジアミノデカン、1,10−ジアミノデカン、2,2−ジアミノデカン、2,3−ジアミノデカン、2,4−ジアミノデカン、2,5−ジアミノデカン、2,6−ジアミノデカン、2,7−ジアミノデカン、2,8−ジアミノデカン、2,9−ジアミノデカン、3,3−ジアミノデカン、3,4−ジアミノデカン、3,5−ジアミノデカン、3,6−ジアミノデカン、3,7−ジアミノデカン、3,8−ジアミノデカン、4,4−ジアミノデカン、4,5−ジアミノデカン、4,6−ジアミノデカン、4,7−ジアミノデカン、5,5−ジアミノデカン、5,6−ジアミノデカン、1,1−ジアミノウンデカン、1,2−ジアミノウンデカン、1,3−ジアミノウンデカン、1,4−ジアミノウンデカン、1,5−ジアミノウンデカン、1,6−ジアミノウンデカン、1,7−ジアミノウンデカン、1,8−ジアミノウンデカン、1,9−ジアミノウンデカン、1,10−ジアミノウンデカン、1,11−ジアミノウンデカン、2,2−ジアミノウンデカン、2,3−ジアミノウンデカン、2,4−ジアミノウンデカン、2,5−ジアミノウンデカン、2,6−ジアミノウンデカン、2,7−ジアミノウンデカン、2,8−ジアミノウンデカン、2,9−ジアミノウンデカン、2,10−ジアミノウンデカン、3,3−ジアミノウンデカン、3,4−ジアミノウンデカン、3,5−ジアミノウンデカン、3,6−ジアミノウンデカン、3,7−ジアミノウンデカン、3,8−ジアミノウンデカン、3,9−ジアミノウンデカン、4,4−ジアミノウンデカン、4,5−ジアミノウンデカン、4,6−ジアミノウンデカン、4,7−ジアミノウンデカン、4,8−ジアミノウンデカン、5,5−ジアミノウンデカン、5,6−ジアミノウンデカン、5,7−ジアミノウンデカン、6,6−ジアミノウンデカン、1,1−ジアミノドデカン、1,2−ジアミノドデカン、1,3−ジアミノドデカン、1,4−ジアミノドデカン、1,5−ジアミノドデカン、1,6−ジアミノドデカン、1,7−ジアミノドデカン、1,8−ジアミノドデカン、1,9−ジアミノドデカン、1,10−ジアミノドデカン、1,11−ジアミノドデカン、1,12−ジアミノドデカン、2,2−ジアミノドデカン、2,3−ジアミノドデカン、2,4−ジアミノドデカン、2,5−ジアミノドデカン、2,6−ジアミノドデカン、2,7−ジアミノドデカン、2,8−ジアミノドデカン、2,9−ジアミノドデカン、2,10−ジアミノドデカン、2,11−ジアミノドデカン、3,3−ジアミノドデカン、3,4−ジアミノドデカン、3,5−ジアミノドデカン、3,6−ジアミノドデカン、3,7−ジアミノドデカン、3,8−ジアミノドデカン、3,9−ジアミノドデカン、3,10−ジアミノドデカン、4,4−ジアミノドデカン、4,5−ジアミノドデカン、4,6−ジアミノドデカン、4,7−ジアミノドデカン、4,8−ジアミノドデカン、4,9−ジアミノドデカン、5,5−ジアミノドデカン、5,6−ジアミノドデカン、5,7−ジアミノドデカン、5,8−ジアミノドデカン、6,6−ジアミノドデカン、6,7−ジアミノドデカンなどが挙げられる。本発明で用いるポリイミド樹脂は、炭素数8、10、及び12の直鎖状又は分岐した脂肪族ジアミン、特に、炭素数10の直鎖状又は分岐した脂肪族ジアミンを主な成分として使用して製造するのが好ましい。これらの脂肪族ジアミン成分は、単独あるいは二種以上混合して用いることができる。
さらに、本発明で用いるポリイミド樹脂は、耐熱性や接着性などの特性を損なわない範囲で、他のテトラカルボン酸成分を用いて製造することができる。テトラカルボン酸二無水物としては、エチレンテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4−(p−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、4,4−(m−フェニレンジオキシ)ジフタル酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンジカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンジカルボン酸二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,6,6’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物などが挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独あるいは二種以上混合して用いることができる。また、これらのテトラカルボン酸二無水物は、テトラカルボン酸成分中20モル%未満、特に10モル%未満の範囲で用いることが好ましい。
さらに、本発明で用いるポリイミド樹脂は、耐熱性や接着性などの特性を損なわない範囲で、他のジアミン成分を用いて製造することもできる。ジアミンとしては、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジメチルベンジジン、3,3’−ジメトキシベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテルなどが挙げられる。これらのジアミンは、単独あるいは二種以上混合して用いることができる。また、これらのジアミンは、ジアミン成分中20モル%未満、特に10モル%未満の範囲で用いることが好ましい。
ポリイミド樹脂は、公知の方法により製造することができる。例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒中で反応させてポリアミック酸(ポリイミド樹脂前駆体)とし、これを加熱脱水イミド化する方法、又は縮合触媒存在下で化学閉環イミド化する方法により、ポリイミド樹脂溶液が得られる。ポリアミック酸の生成とイミド化は2段階の反応で行ってもよいし、同時に反応が進行する条件で行ってもよい。このようにして得られたポリイミド樹脂溶液は、そのまま樹脂組成物の製造に使用することができる。また、ポリイミド樹脂溶液を貧溶媒中に投じてポリイミド樹脂を析出させて単離することもできる。
ポリイミド樹脂の製造で用いられる有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン、スルホラン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、o−クロロフェノール、m−クロロフェノール、p−クロロフェノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グライム、ジグライム、トリグライムなどが挙げられる。これらの溶媒は単独あるいは二種以上混合して用いることができる。
加熱によるイミド化は、通常80〜300℃程度の温度で行う。テトラカルボン酸成分と脂肪族のジアミン成分との間で塩が生成するため、150〜300℃、好ましくは180〜250℃の温度で反応させることが望ましい。化学閉環によるイミド化は室温〜200℃で行い、縮合触媒としてピリジン、ピコリン、イミダゾール、キノリン、トリエチルアミン、などを添加して反応させる。イミド化は通常常圧で行うが、加圧下もしくは減圧下で行うこともできる。反応時間は1〜200時間である。
本発明で用いるポリイミド樹脂(ポリイミド樹脂前駆体も含む)の対数粘度は、特に限定されないが、0.1〜2.0、好ましくは0.2〜1.5、より好ましくは0.3〜1.0の範囲であることが好適である。対数粘度は実施例記載の方法で求めることができる。ポリイミド樹脂の対数粘度がこの範囲であると、樹脂組成物の加工性に優れ、機械的強度にも優れる。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で求められる重量平均分子量は、1,000〜1,000,000、特に、5,000〜500,000であることが好ましい。これら対数粘度および分子量は、用いるテトラカルボン酸成分とジアミン成分のモル比を調整することで任意に設定できる。
テトラカルボン酸成分とジアミン成分の使用量は、ジアミン酸成分に対するテトラカルボン酸成分の使用量として、モル比で1.01〜1.20、好ましくは1.01〜1.10、より好ましくは1.02〜1.05、特に好ましくは1.02〜1.04の範囲内とするのが好ましい。この範囲内でポリイミド樹脂を製造すると、理論的に末端がカルボン酸となり、組成物の保存安定性、低黄変、耐熱性に優れる。モル比が1.00のときは、溶液粘度が上がりすぎ、作業性に問題が生じる。一方、モル比を1.00未満とするとアミン末端となり、溶液がゲル化し易くなる傾向がある。ゲル化すると塗工性が悪くなり、濃度を下げても大きく糸引きを生じる液体となるため作業性も悪くなる。また、モル比を1.20より大きくすると、分子量が十分に大きくならず、物性が劣る。
本発明の熱伝導性樹脂組成物に用いる熱伝導性無機フィラーは、熱伝導性に優れることから、アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム及び窒化ホウ素からなる群から選択されることが好ましい。これら無機フィラーの粒子径(レーザー回折粒度分布計より求められる平均粒径)は、0.001〜50μmが好ましく、0.01〜10μmがより好ましく、0.1〜5μmが特に好ましい。これら熱伝導性無機フィラーは、1種のみ使用しても良く、または2種以上を混合して用いても良い。また、分散性を向上させる目的で、これら熱伝導性無機フィラーに種々の表面処理をすることも可能である。
熱伝導性無機フィラーの含有量は、ポリイミド樹脂100質量部に対して、30〜500質量部が好ましく、50〜400質量部がより好ましく、100〜300質量%が特に好ましい。熱伝導性無機フィラーの含有量が少なすぎると熱伝導性が十分でない場合があり、含有量が多すぎると接着性に劣る場合があり、加工性も低下することがある。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、前記の熱伝導性無機フィラーとを含むものであり、例えば、ポリイミド樹脂溶液と熱伝導性無機フィラーとを混合した溶液組成物を経由する方法で製造することができる。この溶液組成物は、ポリイミド樹脂溶液に、熱伝導性無機フィラーを添加して均一に混合することにより調製することができる。得られた溶液組成物を加熱して溶媒を除去することにより、本発明の熱伝導性樹脂組成物が得られる。ポリイミド樹脂溶液は、ポリイミド樹脂の製造時に得られたものをそのまま、又は希釈あるいは濃縮したものを用いることができる。また、単離したポリイミド樹脂を有機溶媒に溶解してポリイミド樹脂溶液を調製することもできる。有機溶媒は、ポリイミド樹脂の製造で用いられる前記の有機溶媒を用いることができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体(ポリアミック酸)溶液と熱伝導性無機フィラーとを混合した溶液組成物を経由する方法でも製造することができる。このポリイミド樹脂前駆体は、イミド化することにより前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂となる。
(一般式(2)中、ビフェニル構造は2,3,3’,4’置換体であり、R2は炭素数4〜16の直鎖状又は分岐した脂肪族炭化水素残基である。)
前記の溶液組成物はポリイミド樹脂前駆体溶液に、熱伝導性無機フィラーを添加して均一に混合することにより調製することができる。得られた溶液組成物を加熱して溶媒を除去すると同時に、加熱脱水によるイミド化、又は縮合触媒存在下での化学閉環イミド化を行うことにより、本発明の熱伝導性樹脂組成物が得られる。ポリイミド樹脂前駆体溶液は、公知の方法、例えば、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを有機溶媒中で反応させることにより調製することができる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物には、耐熱性や接着性を向上させるため、さらに熱硬化性樹脂を含有することもできる。熱硬化性樹脂としては、特に限定されるわけではないが、末端のカルボン酸と反応性を有するものが好ましく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、ウレア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、イソシアネート、シアネートエステル、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、BTレジンなどが挙げられる。環境負荷が少ないことから、分子構造中に塩素原子及び臭素原子を含まない熱硬化性樹脂が好ましく、耐熱性に優れることから、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、BTレジンが好ましく、さらに接着性に優れることから、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂が好ましく、特に樹脂組成物の保存安定性に優れることから、エポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、N−グリシジル型エポキシ樹脂、ビスフェノールAのノボラック型エポキシ樹脂、キレート型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂、ゴム変性エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノリック型エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、ε−カプロラクトン変性エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエンなどの、一分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物などを好適に用いることができる。特に、N−グリシジル型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂は、反応性に優れ、一方、脂環式エポキシ樹脂や、エポキシ化ポリブタジエンは、低黄変であり、塩素不純物が少なく絶縁性に優れ、また、ノボラック型エポキシ樹脂は耐熱性に優れるため、好適に用いることができる。また、難燃性付与のために、塩素、臭素等のハロゲンや燐等の原子がその構造中に導入されたエポキシ化合物を使用することもできる。
本発明の熱伝導性樹脂組成物には、必要に応じて、その他添加剤として、触媒(例えば、アミン化合物、イミダゾール化合物)、化学イミド化剤(例えば、無水酢酸などの酸無水物や、ピリジン、イソキノリンなどのアミン化合物)、酸化防止剤(フェノール系、リン系酸化防止剤)、光安定剤(例えば、ヒンダードアミン系安定剤)、帯電防止剤(例えば、界面活性剤、カーボン、金属酸化物)、可塑剤(例えば、エステル系可塑剤、エポキシ化植物油)、油溶性溶媒(例えば、1−アセトナフトン、アセトフェノン、ベンジルアセトン、メチルアセトフェノン、ジメチルアセトフェノン、プロピオフェノン、バレロフェノン、アニソール、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル)、防錆剤(例えば、亜鉛化合物,鉛化合物、ジフェニルアミンなど、アジピン酸、エタノールアミンおよびモノエタノールアミン、エチレングリコールモノエチルエーテル,トリメチルアミン、ノニルフェノール、ヘキサメチレンジアミン,ペンタエリスリトールなど、ジシクロヘキシルアンモニュームナイトライト、ジイソプロピルアンモニュームナイトライトおよびこれらの混合物など、ジシクロヘキシルアンモニュームのカプレート、ラウレート、カーボネートなど、ベンゾトリアゾールおよびアルキルベンゾトリアゾールなど、アミン塩類,低級脂肪酸およびこれらの塩類など。)、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、難燃材(例えば、臭素系難燃剤、リン系難燃剤、酸化アンチモン、水酸化アルミニウム。)、消泡剤(例えば、シリコーン系消泡剤、アクリル系消泡剤、フッ素系消泡材)、レベリング剤(例えば、シリコーン系レベリング剤、アクリル系レベリング剤)、平滑化剤(例えば、ベンジルアルコール、2−フェニルエチルアルコール、4−メチルベンジルアルコール、4−メトキシベンジルアルコール、4−クロルベンジルアルコール、4−ニトロベンジルアルコール、フェノキシ−2−エタノール、シンナミルアルコール、フルフリルアルコールおよびナフチルカルビノールポリエチレングリコール、クマリン、2−ブチン−1,4−ジオール、2−プロピン−1−オール、3−フェニルプロピオン酸)、レオロジーコントロール剤(流動制御目的の添加剤)、剥離剤、界面活性剤(例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤)、金属石鹸(例えば、ステアリン酸、ラウリン酸、リシノール酸、オクチル酸などの脂肪酸と、リチウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛などの金属との塩)、支持電解質(例えば、アルカリ金属のハロゲン化物や硝酸塩など、テトラアルキルアンモニウムの過塩素酸塩やテトラフルオロホウ酸など強酸との塩)などを添加することができる。
本発明の積層体は、前記の熱伝導性樹脂組成物と、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)及び無機化合物からなる群から選択された材料で構成された基材とを含むものである。
本発明の積層体で用いる基材を構成する材料は、特に限定されないが、金属としては、例えば、銅、銀、金、マンガン、モリブデン、タングステン、バナジウム、ニオブ、タンタル、鉄、コバルト、ニッケル、チタン、ジルコニウム、スズ、鉛、アルミニウム、ガリウム、インジウム、ベリリウム、マグネシウムなど挙げることができる。無機化合物としては、例えば、ガラス、シリコン、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化ホウ素、窒化ガリウムガリウム砒素、炭化ケイ素、ムライト、ベリリア、ダイヤモンド、グラファイト、低温焼結セラミック基板(LTCC)などを挙げることができる。樹脂(樹脂複合体を含む)としては、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、フッ素樹脂、エポキシ、フェノール、ポリエステル(PET,PEN)、液晶ポリエステル、ポリカーボネート、BTレジンおよびこれらのガラスクロス複合体、紙複合体などを挙げることができる。
本発明の積層体は、例えば、以下のa)〜c)の方法で製造することができる。
a) 第1の基材の表面に、本発明の樹脂組成物からなる接着層を形成し、この接着層に、第2の基材を重ねて加熱圧着する方法。
b) 予め本発明の樹脂組成物からなる接着シートを形成し、この接着シートの上下に、基材を重ねて加熱圧着する方法。
c) 第1の基材の表面に、前記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む組成物からなる接着層を形成し、この接着層に、第2の基材を重ねてイミド化及び加熱圧着を同時にする方法。
a) 第1の基材の表面に、本発明の樹脂組成物からなる接着層を形成し、この接着層に、第2の基材を重ねて加熱圧着する方法。
b) 予め本発明の樹脂組成物からなる接着シートを形成し、この接着シートの上下に、基材を重ねて加熱圧着する方法。
c) 第1の基材の表面に、前記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む組成物からなる接着層を形成し、この接着層に、第2の基材を重ねてイミド化及び加熱圧着を同時にする方法。
a)の方法について、以下に詳しく説明をする。ただし、以下説明の方法に限定されるわけではない。
まず、前記の金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる第1の基材の表面に、前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させることで、第1の基材の表面に接着層を形成する。接着層の上に第2の基材を重ね、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で圧着することで好適に積層体を製造することができる。
まず、前記の金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる第1の基材の表面に、前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させることで、第1の基材の表面に接着層を形成する。接着層の上に第2の基材を重ね、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で圧着することで好適に積層体を製造することができる。
次に、b)の方法について、以下に詳しく説明をする。ただし、以下説明の方法に限定されるわけではない。
前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂又は前記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、基材(例えば、ガラス板、樹脂シート、金属ベルト又はロールなど)へ、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させた後、基材より剥離することで、本発明の樹脂組成物からなる接着シートを形成する。この接着シートの上下に、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる基材を重ねて、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で加熱圧着することで好適に積層体を得ることができる。
前記一般式(1)で表されるポリイミド樹脂又は前記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、基材(例えば、ガラス板、樹脂シート、金属ベルト又はロールなど)へ、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させた後、基材より剥離することで、本発明の樹脂組成物からなる接着シートを形成する。この接着シートの上下に、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる基材を重ねて、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で加熱圧着することで好適に積層体を得ることができる。
更に、c)の方法について、以下に詳しく説明をする。ただし、以下説明の方法に限定されるわけではない。
金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる第1の基材の表面に、下記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させることで、第1の基材の表面に接着層を形成する。この塗布面に第2の基材を重ねて、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で加熱圧着し、同時にポリイミド樹脂前駆体をイミド化することで好適に積層体を得ることができる。
金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、無機化合物から選ばれる材料からなる第1の基材の表面に、下記一般式(2)で表されるポリイミド樹脂前駆体と、熱硬化性樹脂とを含む溶液組成物を、例えばディップコート、バーコート、スピンコート、ブレードコート、ドクターコート、ダイコート、グラビアコートなどの公知の方法で塗布し、空気もしくは窒素などの不活性ガス雰囲気下、60〜120℃、好ましくは80〜100℃の温度で、10〜60分、好ましくは20〜40分間加熱し乾燥させることで、第1の基材の表面に接着層を形成する。この塗布面に第2の基材を重ねて、熱プレス、真空熱プレス、ラミネーター、真空ラミネーターなどの公知の方法で160〜230℃、好ましくは180〜200℃の温度で、10分〜60分、好ましくは15分〜30分、1.0〜5.0MPa、好ましくは2.5〜3.5MPaの圧力で加熱圧着し、同時にポリイミド樹脂前駆体をイミド化することで好適に積層体を得ることができる。
以下、本発明について具体例に基づいて更に詳しく説明する。なお、本発明は以下の例
に限定されるものではない。
に限定されるものではない。
使用した原材料は以下のとおりである。
<酸無水物>
а‐BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(宇部興産株式会社製)
式会社製)
<ジアミン>
C10:1,10−ジアミノデカン(小倉合成工業株式会社製)
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
<エポキシ樹脂>
CEL2021P:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製)
jER157S70:特殊ノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製)
<フィラー>
BAW−03:球状アルミナ(d50=4.0μm 電気化学工業株式会社)
<酸無水物>
а‐BPDA:2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(宇部興産株式会社製)
式会社製)
<ジアミン>
C10:1,10−ジアミノデカン(小倉合成工業株式会社製)
<溶媒>
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
<エポキシ樹脂>
CEL2021P:3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(株式会社ダイセル製)
jER157S70:特殊ノボラック型エポキシ樹脂(三菱化学株式会社製)
<フィラー>
BAW−03:球状アルミナ(d50=4.0μm 電気化学工業株式会社)
実施例および比較例における評価方法等は以下のとおりである。
[固形分の測定方法]
ポリイミド樹脂溶液の対数粘度測定は、ポリイミド樹脂溶液を200℃で60分間加熱処理し、加熱処理前の試料重量(w1)と加熱処理後の重量(w2)から、次式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度(%)=(w2/w1)×100
ポリイミド樹脂溶液の対数粘度測定は、ポリイミド樹脂溶液を200℃で60分間加熱処理し、加熱処理前の試料重量(w1)と加熱処理後の重量(w2)から、次式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度(%)=(w2/w1)×100
[対数粘度の測定方法]
ポリイミド樹脂溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dlになるように希釈した。この希釈液を、30℃にて、キャノンフェンスケNo.100を用いて流下時間(T1)を測定した。対数粘度は、ブランクの溶媒の流下時間(T0)を用いて、次式から算出した。
対数粘度={ln(T1/T0)}/0.5
ポリイミド樹脂溶液を、固形分濃度に基づいて濃度が0.5g/dlになるように希釈した。この希釈液を、30℃にて、キャノンフェンスケNo.100を用いて流下時間(T1)を測定した。対数粘度は、ブランクの溶媒の流下時間(T0)を用いて、次式から算出した。
対数粘度={ln(T1/T0)}/0.5
[機械物性]
ポリイミドフィルムを幅10mm、長さ100mmに切り出して試験片とし、この試験片について、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を使用して、温度25℃、湿度50%RH、クロスヘッド速度10mm/分、チャック間距離50mmの条件で、引張弾性率を測定した。
ポリイミドフィルムを幅10mm、長さ100mmに切り出して試験片とし、この試験片について、引張試験機(オリエンテック製;テンシロンUCT−5T)を使用して、温度25℃、湿度50%RH、クロスヘッド速度10mm/分、チャック間距離50mmの条件で、引張弾性率を測定した。
[熱分解温度]
TG−DTAを用いて5%重量減少温度を測定した。測定は、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で行った。
TG−DTAを用いて5%重量減少温度を測定した。測定は、窒素雰囲気下、昇温速度10℃/分で行った。
[積層体の剥離強度(接着性試験)]
積層体における第2の銅箔をクロスヘッド速度50mm/分で引っ張る方法で180°ピール試験を実施した。さらに、積層体を熱風オーブン中で260℃、30分追加熱処理し同様に180°ピール試験を実施した。
積層体における第2の銅箔をクロスヘッド速度50mm/分で引っ張る方法で180°ピール試験を実施した。さらに、積層体を熱風オーブン中で260℃、30分追加熱処理し同様に180°ピール試験を実施した。
<参考例1>
容量500mlのガラス製フラスコに、ジアミンとして1,10-ジアミノデカン 51.69gと、酸無水物のа−BPDA 90.03g、溶媒としてNMP196.52gを加え、(モノマーのモル比は、а−BPDA/1,10-ジアミノデカン=1.020)、窒素雰囲気下、120℃で1時間加熱撹拌した後、180℃に昇温し6時間加熱重合を行ってポリイミド樹脂溶液を得た。得られたポリイミド樹脂溶液の固形分濃度は40重量%、ポリイミド樹脂の対数粘度は0.33であり、冷却後も樹脂の溶解性が保たれた安定な溶液であった。
容量500mlのガラス製フラスコに、ジアミンとして1,10-ジアミノデカン 51.69gと、酸無水物のа−BPDA 90.03g、溶媒としてNMP196.52gを加え、(モノマーのモル比は、а−BPDA/1,10-ジアミノデカン=1.020)、窒素雰囲気下、120℃で1時間加熱撹拌した後、180℃に昇温し6時間加熱重合を行ってポリイミド樹脂溶液を得た。得られたポリイミド樹脂溶液の固形分濃度は40重量%、ポリイミド樹脂の対数粘度は0.33であり、冷却後も樹脂の溶解性が保たれた安定な溶液であった。
調製したポリイミド樹脂溶液をガラス基板上に塗工し、熱風オーブン中で80℃、30分予備乾燥し、続いて180℃で60分加熱して乾燥させ、厚さがおおよそ60μmのポリイミドフィルムを作製した。得られたポリイミドフィルムの引張弾性率は1.9GPa、5%重量減少温度は472.7℃であった。
調製したポリイミド樹脂溶液を第1の圧延銅箔(粗面)に塗工し、熱風オーブン中で80℃、30分予備乾燥し、塗工厚さ約20μmのポリイミド樹脂溶液の予備乾燥膜を得た。その後、その予備乾燥膜上へ第2の圧延銅箔(粗面)を被せ、プレス機を用いて温度180℃、プレス圧力30kgf/cm2、時間30分で加熱プレスし、銅箔/ポリイミド樹脂/銅箔のように積層された積層体を得た。得られた積層体について、上述の方法により剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
調製したポリイミド樹脂溶液を第1の圧延銅箔(粗面)に塗工し、熱風オーブン中で80℃、30分予備乾燥し、塗工厚さ約20μmのポリイミド樹脂溶液の予備乾燥膜を得た。その後、その予備乾燥膜上へ第2の圧延銅箔(粗面)を被せ、プレス機を用いて温度180℃、プレス圧力30kgf/cm2、時間30分で加熱プレスし、銅箔/ポリイミド樹脂/銅箔のように積層された積層体を得た。得られた積層体について、上述の方法により剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
<実施例1>
参考例1で調製したポリイミド樹脂溶液に、溶液の樹脂固形分100gに対して300gの熱伝導性無機フィラーとしてのアルミナ(BAW−03)を添加し、よく攪拌して均一に分散させ、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとを含む溶液組成物を調製した。
調製した溶液組成物を第1の圧延銅箔(粗面)に塗工し、熱風オーブン中で80℃、30分予備乾燥し、塗工厚さ約20μmの溶液組成物の予備乾燥膜を得た。その後、その予備乾燥膜上へ第2の圧延銅箔(粗面)を被せ、プレス機を用いて温度180℃、プレス圧力30kgf/cm2、時間30分で加熱プレスし、銅箔/熱伝導性樹脂組成物/銅箔のように積層された積層体を得た。得られた積層体について、上述の方法により剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
参考例1で調製したポリイミド樹脂溶液に、溶液の樹脂固形分100gに対して300gの熱伝導性無機フィラーとしてのアルミナ(BAW−03)を添加し、よく攪拌して均一に分散させ、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとを含む溶液組成物を調製した。
調製した溶液組成物を第1の圧延銅箔(粗面)に塗工し、熱風オーブン中で80℃、30分予備乾燥し、塗工厚さ約20μmの溶液組成物の予備乾燥膜を得た。その後、その予備乾燥膜上へ第2の圧延銅箔(粗面)を被せ、プレス機を用いて温度180℃、プレス圧力30kgf/cm2、時間30分で加熱プレスし、銅箔/熱伝導性樹脂組成物/銅箔のように積層された積層体を得た。得られた積層体について、上述の方法により剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
<実施例2>
参考例1で調製したポリイミド樹脂溶液に、溶液の樹脂固形分100gに対して300gの熱伝導性無機フィラーとしてのアルミナ(BAW−03)を添加し、よく攪拌して均一に分散させた。さらに、溶液の樹脂固形分100gに対してCEL2021P 12.86gおよびjER157S70 20.56gを添加し、よく攪拌して完全に溶解させ、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとエポキシ樹脂とを含む溶液組成物を調製した。
調製した溶液組成物を用いて実施例1と同様に接着積層体を作製し、剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
参考例1で調製したポリイミド樹脂溶液に、溶液の樹脂固形分100gに対して300gの熱伝導性無機フィラーとしてのアルミナ(BAW−03)を添加し、よく攪拌して均一に分散させた。さらに、溶液の樹脂固形分100gに対してCEL2021P 12.86gおよびjER157S70 20.56gを添加し、よく攪拌して完全に溶解させ、ポリイミド樹脂と熱伝導性無機フィラーとエポキシ樹脂とを含む溶液組成物を調製した。
調製した溶液組成物を用いて実施例1と同様に接着積層体を作製し、剥離強度を測定した。結果を表1に示した。
本発明の熱伝導性樹脂組成物は、フィラーを75質量%と多く含有しているにもかかわらず、十分な接着性を示した。また、180℃の加工温度でも十分な接着性を示し、260℃での熱処理後も接着強度を保持することが可能であった。
Claims (4)
- 熱伝導性無機フィラーが、アルミナ(酸化アルミニウム)、マグネシア(酸化マグネシウム)、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、及び窒化ホウ素からなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 熱硬化性樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の熱伝導性樹脂組成物と、金属、樹脂(樹脂複合体を含む)、及び無機化合物からなる群から選択される材料で構成された基材とを含む積層体。
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