JP2014175187A - 導電パターン形成用基材、透明導電基材、導電パターン形成用基材の製造方法および透明導電基材の製造方法 - Google Patents

導電パターン形成用基材、透明導電基材、導電パターン形成用基材の製造方法および透明導電基材の製造方法 Download PDF

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浩次 新井
Kensuke Otsuka
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Abstract

【課題】金属ナノワイヤを用いた導電パターンを容易に形成可能な導電パターン形成用基材および透明導電基材ならびにそれらの製造方法を提供する。
【解決手段】表面に凹凸パターン20を有する透明樹脂基材2と、上記凹凸パターン20の凹部21に充填された透明樹脂層3とを有する導電パターン形成用基材1であって、前記透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする導電パターン形成用基材1。前記透明樹脂層3の表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部11と、前記透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に形成された非導電部12を有する透明導電基材2。
【選択図】図1

Description

本発明は、金属ナノワイヤを用いた導電パターンの形成に用いられる導電パターン形成用基材およびその導電パターンを有する透明導電基材ならびにそれらの製造方法に関するものである。
透明基材上に透明電極が形成された透明導電基材は、例えば、タッチパネルセンサ、カラーフィルタ、液晶表示素子、有機EL素子、太陽電池等の各種デバイス等、様々な分野で用いられている。
従来、透明電極には、導電性や透明性に優れることから、ITOと称される酸化インジウム錫が主に使用されている。しかしながら、ITO電極は、表面抵抗率が比較的大きいため、例えば、タッチパネルセンサでは感度が低下する、液晶表示素子では輝度ムラや色ムラが発生する、有機EL素子では発光効率が低下し輝度ムラが発生する、太陽電池では発電効率が低下する等の問題がある。この問題は、デバイスの面積が大きくなるにつれて顕著に現れる。
そこで、近年では、ITOの代替として、表面抵抗率が低く、透明性が高く、導電性が良好な金属ナノワイヤを用いることが提案されている。
金属ナノワイヤを用いた透明電極の形成方法としては、例えば、特許文献1には透明基材上に金属ナノワイヤを含有する透明導電層を形成し、透明導電層上にバインダー樹脂を含有する塗工液を塗布して、金属ナノワイヤを固定化する方法が開示され、特許文献2、3には透明基材上に金属ナノワイヤと透明基材を膨潤させる溶媒とを含有する塗工液を塗布して、透明基材表面に金属ナノワイヤを埋め込む方法が開示されている。
各種デバイスにおいて、透明電極はパターン状に形成されるのが一般的である。上記の金属ナノワイヤを用いた透明電極のパターニング方法としては、例えばフォトリソグラフィ法が提案されている。しかしながら、フォトリソグラフィ法は工程が繁雑でありコストが高いという問題がある。
国際公開第2010/106899号パンフレット 米国特許出願公開第2011/0281070号明細書 特表2012−500865号公報
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、金属ナノワイヤを用いた導電パターンを容易に形成可能な導電パターン形成用基材および透明導電基材およびそれらの製造方法を提供することを主目的とする。
本発明は、上記目的を達成するために、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層とを有する導電パターン形成用基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする導電パターン形成用基材を提供する。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、透明樹脂基材および透明樹脂層の膨潤用溶媒による膨潤の程度の相違を利用して、本発明の導電パターン形成用基材上に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することで、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成することができる。したがって、本発明の導電パターン形成用基材を用いることにより導電パターンを容易に形成することが可能である。
また本発明は、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、上記透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に形成された非導電部とを有する透明導電基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材を提供する。
さらに本発明は、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、上記透明樹脂層表面に形成された非導電部とを有する透明導電基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材を提供する。
本発明の透明導電基材は上述の導電パターン形成用基材を用いたものであるため、透明導電部および非導電部を容易に形成可能なものとすることができる。
また本発明は、透明樹脂基材の表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、上記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程とを有する導電パターン形成用基材の製造方法であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする導電パターン形成用基材の製造方法を提供する。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、上述したように導電パターンを容易に形成可能な導電パターン形成用基材を得ることができる。
上記発明においては、上記導電パターン形成用基材が、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布に供するものであり、上記透明樹脂層表面および上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に上記金属繊維が埋め込まれた透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の上記膨潤用溶媒との親和性と、上記透明樹脂層の厚みとを調整することが好ましい。これにより、導電パターンを容易に形成可能な導電パターン形成用基材を得ることができる。
また本発明は、透明樹脂基材表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、上記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程と、上記透明樹脂基材および上記透明樹脂層上に、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布し、焼成して、上記透明樹脂層表面および上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に上記金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成する導電パターン形成工程とを有する透明導電基材の製造方法であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の上記膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材の製造方法を提供する。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、上述したように簡易な工程で導電パターンを形成することが可能である。
上記発明においては、上記透明樹脂層表面および上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に上記透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の上記膨潤用溶媒との親和性と、上記透明樹脂層の厚みとを調整することが好ましい。これにより、導電パターンを容易に形成することが可能である。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、導電パターン形成用基材上に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することで導電パターンを容易に形成することが可能であるという効果を奏する。
本発明の透明導電基材の製造方法の一例を示す工程図である。 本発明の透明導電基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電基材の他の例を示す概略断面図である。 本発明の導電パターン形成用基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の透明導電基材の製造方法の他の例を示す工程図である。 本発明の導電パターン形成用基材の製造方法の一例を示す工程図である。
以下、本発明の導電パターン形成用基材、透明導電基材、導電パターン形成用基材の製造方法および透明導電基材の製造方法について詳細に説明する。
A.導電パターン形成用基材
本発明の導電パターン形成用基材は、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層とを有する導電パターン形成用基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とするものである。
本発明の導電パターン形成用基材について、図面を参照しながら説明する。
図1(a)は本発明の導電パターン形成用基材の一例を示す概略断面図である。図1(a)に例示するように、導電パターン形成用基材1は、表面に凹凸パターン20を有する透明樹脂基材2と、凹凸パターン20の凹部21に充填された透明樹脂層3とを有するものである。また、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性は異なっている。導電パターン形成用基材1は、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布に供するものであり、この例においては図1(b)に示すように、金属繊維および膨潤用溶媒を含有する透明導電部用塗工液4の塗布に供する。
図1(a)〜(d)は、本発明の導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成する方法の一例を示す工程図である。まず、図1(b)に例示するように、導電パターン形成用基材1上に金属繊維および膨潤用溶媒を含有する透明導電部用塗工液4を塗布し、図1(c)に示すように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3を膨潤用溶媒により膨潤させる。この際、膨潤した透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3の内部に透明導電部用塗工液4に含まれる金属繊維が取り込まれる。次に、図1(d)に示すように、焼成することで、溶媒を乾燥させ、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3の内部に金属繊維を固定する。これにより、透明導電部11および非導電部12を形成し、透明導電基材10が得られる。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の上記任意の膨潤用溶媒との親和性とが異なる。そのため、本発明の導電パターン形成用基材を金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布に供する場合、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とが異なる。
図2〜図6は、上記の図1(a)〜(d)に例示する方法により本発明の導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成した場合の透明導電基材の一例を示す概略断面図である。なお、図2は図1(d)の破線部分の拡大図である。
まず、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合について、図2〜図4を用いて説明する。
透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良い場合、図2に例示するように、透明樹脂基材2および透明樹脂層3はいずれも膨潤用溶媒で膨潤し、透明樹脂層3が透明樹脂基材2よりも膨潤用溶媒で膨潤する。そのため、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3の内部にいずれも金属繊維13が取り込まれ、透明樹脂層3では透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22よりも深くまで金属繊維13が取り込まれる。その結果、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22では金属繊維13が密に存在し金属繊維13間で接点が形成され導電性が発現するのに対し、透明樹脂層3では金属繊維13が疎に存在し金属繊維13間で接点が形成されず導電性が発現しない。したがって、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22は透明導電部11になるのに対し、透明樹脂層3は非導電部12になる。
また、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良い場合、図3および図4に例示するように、透明樹脂基材2は膨潤用溶媒でほとんど膨潤せず、透明樹脂層3は膨潤用溶媒で膨潤する。そのため、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22の内部には金属繊維13がほとんど取り込まれず、透明樹脂層3の内部には金属繊維13が取り込まれる。その結果、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22では金属繊維13がほとんど存在せず導電性が発現しないのに対して、透明樹脂層3では金属繊維13が密に存在し金属繊維13間で接点が形成され導電性が発現する。したがって、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22は非導電部12になるのに対し、透明樹脂層3は透明導電部11になる。
次に、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合について、図5〜図6を用いて説明する。
透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良い場合、図5に例示するように、透明樹脂基材2および透明樹脂層3はいずれも膨潤用溶媒で膨潤し、透明樹脂基材2が透明樹脂層3よりも膨潤用溶媒で膨潤する。そのため、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3の内部にいずれも金属繊維13が取り込まれ、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22では透明樹脂層3よりも深くまで金属繊維13が取り込まれる。その結果、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22では金属繊維13が疎に存在し金属繊維13間で接点が形成されず導電性が発現しないのに対して、透明樹脂層3では金属繊維13が密に存在し金属繊維13間で接点が形成され導電性が発現する。したがって、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22は非導電部12になるのに対し、透明樹脂層3は透明導電部11になる。
また、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪い場合、図6に例示するように、透明樹脂基材2は膨潤用溶媒で膨潤し、透明樹脂層3は膨潤用溶媒でほとんど膨潤しない。そのため、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22の内部には金属繊維13が取り込まれるのに対し、透明樹脂層3の内部には金属繊維13がほとんど取り込まれない。その結果、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22では金属繊維13が密に存在し金属繊維13間で接点が形成され導電性が発現するのに対し、透明樹脂層3では金属繊維13がほとんど存在せず導電性が発現しない。したがって、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22は透明導電部11になるのに対し、透明樹脂層3は非導電部12になる。
ここで、樹脂の溶媒との親和性とは、樹脂の溶媒による膨潤性をいい、樹脂および溶媒の親和性が良いほど樹脂は溶媒で膨潤しやすくなり、樹脂および溶媒の親和性が悪いほど樹脂は溶媒で膨潤しにくくなるということができる。
また、樹脂の溶媒による膨潤の程度と金属繊維の取り込み程度とには相関があり、樹脂が溶媒で膨潤しやすいと金属繊維が取り込まれやすく、樹脂が溶媒で膨潤しにくいと金属繊維が取り込まれにくいということができる。
したがって本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、透明樹脂基材および透明樹脂層の膨潤用溶媒による膨潤の程度の相違を利用して、本発明の導電性パターン形成用基材上に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することで、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成することができる。
よって、本発明の導電パターン形成用基材を用いることにより導電パターンを容易に形成することが可能であり、従来のフォトリソグラフィ法のような繁雑な工程を経ることなく導電パターンを形成することができ、工程数を削減することができる。
また、従来の方法では透明樹脂基材を膨潤用溶媒で膨潤させて透明樹脂基材の内部に金属繊維を取り込んでいたため、使用可能な透明樹脂基材は制限されていたが、本発明においては透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層が充填されており、透明樹脂層は透明導電部にもなり非導電部にもなるため、透明樹脂基材の選択肢の幅を広げることができる。
また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良好である場合には、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部および透明樹脂層の内部にいずれも金属繊維が取り込まれ、透明導電部だけでなく非導電部にも金属繊維が含有されることから、視認されにくい導電パターンを形成することができる。また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性のいずれかが悪い場合であっても、金属繊維はわずかながら取り込まれ、非導電部には金属繊維がわずかには存在すると考えられることから、同様に導電パターンのパターン見えを軽減することができる。したがって、導電パターンを各種デバイスに用いた場合には、視認性を向上させることが可能である。
また本発明においては、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層が充填されていることにより、導電パターン形成用基材の表面を平坦化することができる。そのため、本発明の導電パターン形成用基材を各種デバイスに用いた場合には、視認角度に応じて視認性が低下するのを抑制することができる。また、本発明の導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成し各種デバイスを製造するに際して、導電パターン上に任意の層や部材を貼り合わせる場合には、導電パターン形成用基材の表面が平坦であることにより、貼り合わせ時の気泡等の泡かみの発生を抑制することができる。したがって、高品質なデバイスを得ることが可能である。
以下、本発明の導電パターン形成用基材における各構成について説明する。
1.透明樹脂基材および透明樹脂層
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なる。これにより、本発明の導電性パターン形成用基材上に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することで、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成することができる。
まず、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合については、上述したように図2〜図4に例示することができる。
透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良い場合、図2に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に透明導電部11を形成し、透明樹脂層3表面に非導電部12を形成することができる。
また、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良い場合、図3および図4に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に非導電部12を形成し、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
次に、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合については、上述したように図5〜図6に例示することができる。
透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良い場合、図5に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に非導電部12を形成し、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
また、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪い場合、図6に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に透明導電部11を形成し、透明樹脂層3表面に非導電部12を形成することができる。
本発明においては、中でも、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なり、さらに透明樹脂層が所定の厚みを有することが好ましい。すなわち、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂層の厚みとが調整されていることが好ましい。
本発明の導電パターン形成用基材の表面は平坦であることから、透明樹脂層の厚みは透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部の深さである。そのため、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部の深さとが調整されていることが好ましい。
例えば、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合には、透明樹脂層の深くまで膨潤用溶媒が浸透し金属繊維を取り込むことができる。そのため、図2に例示するように透明樹脂層3の厚みtを厚くすることにより、透明樹脂層3での金属繊維13の密度を低くし、透明樹脂層3表面に非導電部12を形成することができる。一方、図3に例示するように透明樹脂層3の厚みtを薄くすることにより、透明樹脂層3での金属繊維13の密度を高くし、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
そのため、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高く、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合であって、透明樹脂層3の厚みtが厚い場合には、図2に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に透明導電部11を形成し、透明樹脂層3表面に非導電部12を形成することができる。
また、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高く、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合であって、透明樹脂層3の厚みtが薄い場合には、図3に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に非導電部12を形成し、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
また例えば、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合には、透明樹脂基材の深くまで膨潤用溶媒が浸透し金属繊維が取り込まれる。そのため、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良く、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合には、透明樹脂層の厚みが薄いと、透明樹脂層および透明樹脂基材の界面において透明樹脂基材まで金属繊維が取り込まれ、透明樹脂層での金属繊維の密度が低くなり、透明樹脂層表面に透明導電部を形成することが困難になる。したがって、図5に例示するように透明樹脂層3の厚みtを厚くすることにより、透明樹脂層3および透明樹脂基材2の界面において透明樹脂基材2まで金属繊維13が取り込まれるのを抑制し、透明樹脂層3での金属繊維13の密度を高くし、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
そのため、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高く、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性と透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性とがいずれも良く、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合であって、透明樹脂層3の厚みtが厚い場合には、図5に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に非導電部12を形成し、透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。
ここで、樹脂の溶媒との親和性とは、樹脂の溶媒による膨潤性をいい、例えばSP値と称される溶解度パラメータや、樹脂の結晶性等を指標とすることができる。
具体的には、SP値の場合、樹脂および溶媒のSP値の差が小さいほど樹脂の溶媒との親和性が良く樹脂は溶媒で膨潤しやすく、樹脂および溶媒のSP値の差が大きいほど樹脂の溶媒との親和性が悪く樹脂は溶媒で膨潤しにくいということができる。
したがって、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性は、例えば透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差ならびに透明樹脂層に含まれる第2樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差を指標とすることができる。
具体的には、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良く、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面を膨潤用溶媒で膨潤させて金属繊維を取り込む場合、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差の絶対値は、1.3(cal/cm0.5以下であることが好ましい。同様に、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良く、透明樹脂層表面を膨潤用溶媒で膨潤させて金属繊維を取り込む場合、透明樹脂層に含まれる第2樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差の絶対値は、1.3(cal/cm0.5以下であることが好ましい。
一方、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面が膨潤用溶媒で膨潤せず金属繊維が取り込まれない場合、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差の絶対値は、1.3(cal/cm0.5超であることが好ましい。同様に、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層表面が膨潤用溶媒で膨潤せず金属繊維が取り込まれない場合、透明樹脂層に含まれる第2樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差の絶対値は、1.3(cal/cm0.5超であることが好ましい。
ここで、SP値は、ヒルデブラントの溶液理論により定義される値である。
ただし、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性は、SP値だけでなく、透明樹脂基材および透明樹脂層の結晶性等によっても異なるため、上記範囲に限定されるものではない。
透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差ならびに透明樹脂層に含まれる第2樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差としては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂がそれぞれ膨潤用溶媒に対して所望の親和性を有するように適宜調整される。
また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂のSP値および透明樹脂層に含まれる第2樹脂のSP値としては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差ならびに透明樹脂層に含まれる第2樹脂および膨潤用溶媒のSP値の差が所定の関係を満たしていればよく、適宜調整される。
親和性が良い樹脂および溶媒としては、具体的には下記の組み合わせが挙げられる。
アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂)の場合、親和性が良い溶媒としては、例えば、アセトン、ジクロロメタン、ジクロロメタン/石油スピリット(80/20体積%)、酢酸メチル、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、乳酸エチル、シクロヘキサノン、トルエン、テトラフルオロプロパノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
ポリカーボネートの場合、親和性が良い溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、ジクロロメタン、酢酸メチル/酢酸エチル/シクロヘキサノン(60/20/20体積%)、テトラヒドロフラン、トルエン、テトラフルオロプロパノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、メチルエチルケトン、アセトン、ケトンが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート(PMMA)のようなアクリル樹脂の場合、親和性が良い溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、テトラフルオロプロパノール、トリフルオロエタノール、ヘキサフルオロイソプロパノール、テルピネオール、1−ブタノール、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、トリフルオロエタノール/イソプロパノール、フッ素化アルコールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
ポリスチレンの場合、親和性が良い溶媒としては、例えば、アセトン、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトン/テトラヒドロフラン(50/50体積%)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
ポリ塩化ビニル(PVC)の場合、親和性が良い溶媒としては、例えば、テトラヒドロフラン、アセトン/テトラヒドロフラン(50/50体積%)が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
また、熱可塑性樹脂は、溶媒の種類にもよるが、一般的には溶媒との親和性が良く、溶媒で膨潤しやすくなると考えられる。
一方、親和性が悪い樹脂および溶媒としては、具体的には下記の組み合わせが挙げられる。
ポリカーボネートの場合、親和性が悪い溶媒としては、例えば、メタノール、エタノールが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合してもよい。
また、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂は、溶媒の種類にもよるが、一般的に溶媒との親和性が悪く、溶媒で膨潤しにくくなると考えられる。また、一般的に樹脂の架橋密度が高くなるにつれて樹脂は溶媒との親和性が悪くなり、溶媒で膨潤しにくくなると考えられる。
さらに、透明樹脂基材表面または透明樹脂層表面が膨潤用溶媒をはじく場合には結果的に膨潤用溶媒で膨潤しにくくなり、金属繊維が取り込まれにくくなる傾向がある。例えば、透明樹脂基材表面または透明樹脂層表面の膨潤用溶媒に対する濡れ性が低いと、また透明樹脂基材または透明樹脂層の表面自由エネルギーが低いと、膨潤用溶媒がはじかれる。具体的には、透明樹脂基材表面または透明樹脂層表面の膨潤用溶媒に対する接触角が大きくなるにつれて、膨潤用溶媒がはじかれやすくなる。
また、溶媒との親和性が悪い樹脂としては、溶媒の種類にもよるが、例えば、ポリエチレンテレフタレートが挙げられる。
透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂は、膨潤用溶媒との親和性に応じて上記の中から適宜選択することができる。
例えば、図2に示すように、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性がいずれも良い場合には、具体的には、膨潤用溶媒をメチルエチルケトンとする場合、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂にはシクロオレフィンポリマー(COP)、透明樹脂層に含まれる第2樹脂にはポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることができる。また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂には多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPTA)、透明樹脂層に含まれる第2樹脂にはアクリルモノマーであるポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることもできる。
また、図3および図4に示すように、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良い場合には、具体的には、膨潤用溶媒をメチルエチルケトンとする場合、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂にはポリエチレンテレフタレート、透明樹脂層に含まれる第2樹脂にはポリメチルメタクリレート(PMMA)を用いることができる。また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂にはポリエチレンテレフタレート、透明樹脂層に含まれる第2樹脂には熱可塑性樹脂を用いることもできる。
一方、図5に示すように、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性がいずれも良い場合には、具体的には、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂にはアクリルモノマーであるポリメチルメタクリレート(PMMA)、透明樹脂層に含まれる第2樹脂には多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPTA)を用いることができる。
また、図6に示すように、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高い場合であって、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪い場合には、具体的には、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂には熱可塑性樹脂、透明樹脂層に含まれる第2樹脂には熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いることができる。
透明樹脂層の厚みとしては、上述のように、透明樹脂層表面に透明導電部および非導電部のいずれが形成されるのか、また透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性に応じて適宜調整される。
例えば、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合には、図2に例示するように透明樹脂層3の厚みtを厚くすることにより透明樹脂層3表面に非導電部12を形成することができ、一方で図3に例示するように透明樹脂層3の厚みtを薄くすることにより透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。具体的には、透明樹脂層に含まれる第2樹脂がポリメチルメタクリレート(PMMA)であり、膨潤用溶媒がメチルエチルケトンである場合、透明樹脂層表面に非導電部を形成する場合には透明樹脂層の厚みは1μm以上であることが好ましく、透明樹脂層表面に透明導電部を形成する場合には透明樹脂層の厚みは100nm以下であることが好ましい。
また例えば、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性よりも高く、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性がいずれも良く、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が非常に良好である場合には、図5に例示するように透明樹脂層3の厚みtを厚くすることにより透明樹脂層3表面に透明導電部11を形成することができる。具体的には、透明樹脂層に含まれる第2樹脂がジペンタエリスリトールテトラアクリレート(DPTA)である場合、透明樹脂層の厚みは1μm以上であることが好ましい。この場合、透明樹脂層の厚みが薄いと、透明樹脂層および透明樹脂基材の界面において透明樹脂基材まで金属繊維が取り込まれ、透明樹脂層での金属繊維の密度が低くなり、透明樹脂層表面に透明導電部を形成することが困難になる。
2.透明樹脂基材
本発明に用いられる透明樹脂基材は、表面に凹凸パターンを有するものであり、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂が任意の膨潤用溶媒に対して所定の親和性を有するものである。
透明樹脂基材に含まれる第1樹脂としては、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、エラストマー、コポリマー、アイオノマー、紫外線硬化性樹脂や電子線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂等を用いることができる。具体的には、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロプレン、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリビニル、フッ素化ポリマー、ポリカーボネート、ポリ乳酸、ポリアリルジグリコールカーボネート、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンオキサイド、ポリアセタール、芳香族ポリアミド、ポリアミド−イミド、ポリアリールエーテル、ポリエーテルイミド、ポリアリールスルホン、ポリブチレン、ポリケトン、ポリメチルペンテン、ポリフェニレン、ポリスチレン、ポリビスマレイミド、ポリアリルフタレート、熱可塑性ポリウレタン、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、コポリエステル、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレートグリコール、ポリエチレンテレフタレート、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ビニル樹脂、フェノール樹脂、セルロース誘導体、エチレンメチルアクリレート、エチレンビニルアセテート、エチレンビニルアルコール、フッ素化エチレンプロピレン、パーフルオロカーボン、ナイロン、パーフルオロアルコキシ樹脂(PFA)、パーフルオロスルホン酸、フェノキシ樹脂、ポリパラフェニレンテレフタルアミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルピロリドン、ポリプロピレンフマレート、ポリアクリルアミド、ポリアリルフタレート、ポリアンヒドリド、ポリアリレート、ポリベンズイミダゾールポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリクロロトリフルオロエチレン、パーフルオロポリエーテル、ポリジメチルシロキサン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテトラフルオロエチレン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリイソブテン、ポリイソプレン、ポリオキシメチレン、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、スチレンアクリロニトリル共重合体、スチレンイソプレンスチレン共重合体、スチレン無水マレイン酸共重合体、フッ素樹脂、尿素樹脂、フッ化ビニリデン等が挙げられる。また、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマー等も挙げられる。
また、透明樹脂基材に含まれる樹脂および透明樹脂層に含まれる樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすのであれば、透明樹脂基材には1種のみ樹脂が含まれていてもよく2種以上の樹脂が含まれていてもよい。2種以上の樹脂の膨潤用溶媒との親和性が近ければ、透明樹脂基材に含まれる樹脂および透明樹脂層に含まれる樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすようにすることができる。
透明樹脂基材には、必要に応じて添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、第1樹脂の種類等に応じて適宜選択されるものであり、例えば第1樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には重合開始剤が挙げられる。
透明樹脂基材は表面に凹凸パターンを有している。本発明の導電パターン形成用基材の表面は平坦であることから、凹凸パターンの凹部の深さは、透明樹脂層の厚みである。凹部の深さとしては、上述のように、透明樹脂層表面に透明導電部および非導電部のいずれが形成されるのか、また透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性に応じて適宜調整される。具体的には、凹部の深さは15nm〜5μm程度で設定することができる。
また、凹凸パターンの凹部および凸部の幅としては、本発明の導電パターン形成用基材の用途等に応じて適宜選択されるものであり、本発明の導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成する場合に透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のいずれに透明導電部を形成するのかに応じて異なるものである。例えば、凹部および凸部の幅は数十μm〜数百μm程度とすることができる。具体的に、透明樹脂層表面に透明導電部を形成する場合には、透明導電部になる凹部の幅は数百μm程度、非導電部になる凸部の幅は数十μm程度とすることができる。一方、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に透明導電部を形成する場合には、非導電部になる凹部の幅は数十μm程度、透明導電部になる凸部の幅は数百μm程度とすることができる。
透明樹脂基材は、表面に凹凸パターンを有する単一の層であってもよく、基体と基体上にパターン状に形成された凸部とを有するものであってもよく、第1基材と第1基材上に形成され、表面に凹凸パターンを有する第2基材とを有するものであってもよい。
図7(a)に例示するように、透明樹脂基材2が基体2aと基体2a上にパターン状に形成された凸部2bとを有する場合には、凸部2bに含まれる第1樹脂が任意の膨潤用溶媒に対して所定の親和性を有していればよい。この場合、基体2aには、例えば、樹脂、ガラス等を用いることができる。
また、図7(b)に例示するように、透明樹脂基材2が第1基材2cと第1基材2c上に形成され、表面に凹凸パターン20を有する第2基材2dとを有する場合には、第2基材2dに含まれる第1樹脂が任意の膨潤用溶媒に対して所定の親和性を有していればよい。この場合、第1基材2cには、例えば、樹脂、ガラス等を用いることができる。
透明樹脂基材は、可撓性を有していてもよく剛性を有していてもよい。
透明樹脂基材の厚みとしては、透明樹脂基材上に形成される任意の層を支持できる厚みであればよく、本発明の導電パターン形成用基材の用途に応じて適宜選択される。例えば、本発明の導電パターン形成用基材をタッチパネルセンサに用いる場合には、透明樹脂基材の厚みは20μm〜1500μm程度で設定することができる。
透明樹脂基材は透明性を有するものであり、透明樹脂基材の透明性は本発明の導電パターン形成用基材の用途等に応じて適宜決定される。
ここで、「透明」「透明性」とは、特段の断りがない限り、本発明の導電パターン形成用基材が用いられた製品の使用者が、画面または操作面からの視認を妨げない程度の透明性をいう。したがって、透明は、無色透明および視認性を妨げない程度の有色透明を含み、また厳密な透過率で規定されず、本発明の導電パターン形成用基材の用途等に応じて適宜決定することができる。
なお、透明樹脂基材の表面に凹凸パターンを形成する方法については、後述の「C.導電パターン形成用基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
3.透明樹脂層
本発明に用いられる透明樹脂層は、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に充填されるものであり、透明樹脂層に含まれる第2樹脂が任意の膨潤用溶媒に対して所定の親和性を有するものである。
なお、透明樹脂層に含まれる第2樹脂については、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂と同様とすることができるので、ここでの説明は省略する。
また、透明樹脂基材に含まれる樹脂および透明樹脂層に含まれる樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすのであれば、透明樹脂層には1種のみ樹脂が含まれていてもよく2種以上の樹脂が含まれていてもよい。2種以上の樹脂の膨潤用溶媒との親和性が近ければ、透明樹脂基材に含まれる樹脂および透明樹脂層に含まれる樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすようにすることができる。
透明樹脂層には、必要に応じて添加剤が含有されていてもよい。添加剤としては、第2樹脂の種類等に応じて適宜選択されるものであり、例えば第2樹脂が紫外線硬化性樹脂である場合には重合開始剤が挙げられる。
透明樹脂層は透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に充填されている。そのため、透明樹脂層の厚みおよび幅は、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部の深さおよび幅と同一である。なお、凹部の深さおよび幅については、上記透明樹脂基材の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
透明樹脂層は透明性を有するものであり、透明樹脂層の透明性は本発明の導電パターン形成用基材の用途等に応じて適宜決定される。
なお、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する方法については、後述の「C.導電パターン形成用基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
4.膨潤用溶媒
本発明に用いられる膨潤用溶媒は、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂に対して所定の親和性を有し、透明樹脂基材および透明樹脂層の少なくともいずれか一方を膨潤するものである。
膨潤用溶媒としては、透明樹脂基材および透明樹脂層、ならびに本発明の導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成する場合に用いられる透明導電部用塗工液に含有される金属繊維に対して不活性であれば特に限定されるものではなく、例えば、水、イオン性液体、非極性溶媒、極性溶媒、非プロトン性溶媒、プロトン性溶媒等の有機溶媒、無機溶媒等が挙げられる。
具体的には、2−メチルテトラヒドロフラン、クロロ−炭化水素、フルオロ−炭化水素、ケトン、パラフィン、アセトアルデヒド、酢酸、酢酸無水物、アセトン、アセトニトリル、アルキン、オレフィン、アニリン、ベンゼン、ベンゾニトリル、ベンジルアルコール、ベンジルエーテル、ブタノール、ブタノン、酢酸ブチル、ブチルエーテル、ギ酸ブチル、ブチルアルデヒド、酪酸、ブチロニトリル、二硫化炭素、四塩化炭素、クロロベンゼン、クロロブタン、クロロホルム、シクロ脂肪族炭化水素、シクロヘキサン、シクロヘキサノール、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、シクロペンチルメチルエーテル、ジアセトンアルコール、ジクロロエタン、ジクロロメタン、炭酸ジエチル、ジエチルエーテル、ジエチレングリコール、ジグライム、ジ−イソプロピルアミン、ジメトキシエタン、ジエチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアミン、ジメチルブタン、ジメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、ジメチルペンタン、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、ドデカフルオロ−1−ヘプタノール、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、プロピオン酸エチル、二塩化エチレン、エチレングリコール、ホルムアミド、ギ酸、グリセリン、ヘプタン、ヘキサフルオロイソプロパノール、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルリントリアミド、ヘキサン、ヘキサノン、過酸化水素、次亜塩素酸塩、酢酸i−ブチル、i−ブチルアルコール、ギ酸i−ブチル、i−ブチルアミン、i−オクタン、酢酸i−プロピル、i−プロピルエーテル、イソプロパノール、イソプロピルアミン、ケトンペルオキシド、メタノールおよび塩化カルシウム溶液、メタノール、メトキシエタノール、酢酸メチル、メチルエチルケトン、ギ酸メチル、n−酪酸メチル、メチルn−プロピルケトン、メチルt−ブチルエーテル、塩化メチレン、メチレン、メチルヘキサン、メチルペンタン、鉱油、m−キシレン、n−ブタノール、n−デカン、n−ヘキサン、ニトロベンゼン、ニトロエタン、ニトロメタン、ニトロプロパン、2−,N−メチル−2−ピロリジノン、n−プロパノール、オクタフルオロ−1−ペンタノール、オクタン、ペンタン、ペンタノン、石油エーテル、フェノール、プロパノール、プロピオンアルデヒド、プロピオン酸、プロピオニトリル、酢酸プロピル、プロピルエーテル、ギ酸プロピル、プロピルアミン、p−キシレン、ピリジン、ピロリジン、水酸化ナトリウム、ナトリウム、t−ブタノール、t−ブチルアルコール、t−ブチルメチルエーテル、テトラクロロエタン、テトラフルオロプロパノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロナフタレン、トルエン、トリエチルアミン、トリフルオロ酢酸、トリフルオロエタノール、トリフルオロプロパノール、トリメチルブタン、トリメチルヘキサン、トリメチルペンタン、バレロニトリル、水、キシレン、キシレノール等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
無機溶媒としては、例えば、アンモニア、二酸化硫黄、塩化スルフリル、塩化フッ化スルフリル、塩化ホスホリル、三臭化リン、四酸化二窒素、三塩化アンチモン、五フッ化臭素、フッ化水素等が挙げられる。
イオン性液体としては、例えば、塩化コリン、尿素、マロン酸、フェノール、グリセロール、1−アルキル−3−メチルイミダゾリウム、1−アルキルピリジニウム、N−メチル−N−アルキルピロリジニウム、ヘキサフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、アンモニウム、コリン、イミダゾリウム、ホスホニウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、スルホニウム、炭酸メチル1−エチル−1−メチルピペリジニウム、および炭酸メチル4−エチル−4−メチルモルホリニウムが挙げられる。また、他のメチルイミダゾリウム溶液も用いることができ、例えば、酢酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ヘキサフルオロリン酸1−n−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、およびビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム等が挙げられる。
さらに、膨潤用溶媒として、例えば、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN−エチル−N,N−ビス(1−メチルエチル)−1−ヘプタンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドエチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドエチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドエチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム等が挙げられる。また、膨潤用溶媒としては、例えば、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドエチルヘプチル−ジ−(1−メチルエチル)アンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸N,N,N−トリブチル−1−オクタンアミニウム;トリブチルオクチルアンモニウムトリフレート、トリフルオロメタンスルホン酸トリブチルオクチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリブチル−1−ヘキサンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドトリブチルヘキシルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリブチルヘキシルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドトリブチルヘキシルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドトリブチルヘキシルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリブチル−1−ヘプタンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドトリブチルヘプチルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリブチルヘプチルアンモニウム;ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドトリブチルヘプチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドトリブチルヘプチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリブチル−1−オクタンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドトリブチルオクチルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリブチルオクチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドトリブチルオクチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドトリブチルオクチルアンモニウム、トリフルオロ酢酸1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド1−メチル−1−プロピルピロリジニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド1−ブチル−1−メチルピロリジニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド1−ブチルピリジニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−ブチルピリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド1−ブチルピリジニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド1−ブチルピリジニウム、ビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドブチルトリメチルアンモニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミド1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、テトラフルオロホウ酸1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリメチル−1−ヘキサンアミニウム;1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドヘキシルトリメチルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドヘキシルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドヘキシルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドヘキシルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリメチル−1−ヘプタンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドヘプチルトリメチルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドヘプチルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドヘプチルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドヘプチルトリメチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドN,N,N−トリメチル−1−オクタンアミニウム、1,1,1−トリフルオロ−N−[(トリフルオロメチル)スルホニル]メタンスルホンアミドトリメチルオクチルアンモニウム、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミドトリメチルオクチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]アミドトリメチルオクチルアンモニウム、ビス[(トリフルオロメチル)スルホニル]イミドトリメチルオクチルアンモニウム、硫酸エチル1−エチル−3−メチルイミダゾリウム等も挙げられる。
また、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすのであれば、膨潤用溶媒は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。例えば2種以上の膨潤用溶媒のSP値が近ければ、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が所定の関係を満たすようにすることができる。
また、膨潤用溶媒は揮発性を有していてもよい。この場合には、導電パターンの形成前または形成中に膨潤用溶媒の少なくとも一部を除去することができる。
B.透明導電基材
本発明の透明導電基材は、透明導電部および非導電部の配置により2つの実施態様に分けることができる。以下、各実施態様について説明する。
1.第1実施態様
本実施態様の透明導電基材は、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、上記透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に形成された非導電部とを有する透明導電基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とするものである。
図8(d)は本実施態様の透明導電基材の一例を示す概略断面図である。図8(d)に示すように、透明導電基材10は、表面に凹凸パターン20を有する透明樹脂基材2と、凹凸パターン20の凹部21に充填された透明樹脂層3と、透明樹脂層3表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部11と、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に形成された非導電部12とを有するものである。また、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性は異なっている。
本実施態様における透明導電部および非導電部は、上述の導電パターン形成用基材を用いて形成することができるものである。したがって、簡易な工程で形成可能であり、視認されにくい導電パターンを有する透明導電基材とすることができる。
また、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層が充填されていることにより、本実施態様の透明導電基材の表面を平坦化することができる。したがって、本実施態様の透明導電基材を用いることにより、高品質なデバイスを得ることができる。
なお、透明樹脂基材および透明樹脂層については、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の透明導電基材における他の構成について説明する。
(1)透明導電部
本実施態様における透明導電部は、透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれたものである。
以下、透明導電部の構成について説明する。
(a)金属繊維
本実施態様に用いられる金属繊維としては、例えば、金属ナノワイヤ、金属マイクロワイヤ、金属ナノチューブ、金属マイクロチューブ等が挙げられる。中でも、透明性および導電性に優れることから、金属ナノワイヤが好ましい。
金属繊維を構成する材料としては、例えば、金属、合金、金属酸化物が挙げられる。具体的には、銀、銅、金、白金、ニッケル、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム、鉄、コバルト、錫、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンタル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛、またはこれらの合金等が挙げられる。また、ZnO等も挙げられる。中でも、金属または合金が好ましい。金属繊維は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
また、金属ナノワイヤおよび金属マイクロワイヤはコアシェル構造を有するものであってもよい。例えば、銀をコア、金または白金をシェルとするものを挙げることができる。この場合、銀が金または白金で覆われているため、銀の酸化を抑制することができ、良好な導電性を得ることができる。
さらに、金属繊維を構成する金属の種類にもよるが、金属繊維の表面は酸化されていてもよい。
金属繊維の平均直径としては、金属繊維の形態や透明導電基材の用途等に応じて適宜調整され、例えば0.1nm〜1mmの範囲内であり、中でも0.1nm〜100μmの範囲内であることが好ましい。金属ナノワイヤの場合、平均直径は1nm〜100nmの範囲内であることが好ましく、中でも10nm〜80nmの範囲内、特に20nm〜60nmの範囲内、さらには40nm〜60nmの範囲内であることが好ましい。金属繊維の直径が上記範囲内であれば、導電性および透明性を確保することができる。
また、金属繊維の直径の標準偏差は、20%以内であることが好ましく、中でも15%以内、特に10%以内、さらには5%以内であることが好ましい。
また、金属繊維の平均長さとしては、金属繊維の平均直径よりも十分に大きければよく、金属繊維の形態や導電パターン形成用基材の用途等に応じて適宜調整される。金属ナノワイヤの場合、平均長さは50nm〜1000μmの範囲内であることが好ましく、中でも50nm〜500μmの範囲内であることが好ましい。また、この場合、平均長さは100nm以上、500nm以上、5μm以上、20μm以上、25μm以上であることが好ましく、150μm以下、100μm以下、80μm以下、50μm以下、40μm以下、35μm以下であることが好ましい。金属繊維の長さが長ければ、1本の金属繊維で長い導電パスを形成することができる。
また、金属繊維の長さの標準偏差は、20%以内であることが好ましく、中でも15%以内、特に10%以内、さらには5%以内であることが好ましい。
ここで、金属繊維の直径および長さは、例えば透過型電子顕微鏡を用いて測定することができる。
金属繊維の製造方法としては、公知の方法であればよく特に限定されるものではない。
また、金属繊維の純度は、導電性の観点から、50%以上であることが好ましく、中でも75%以上、85%以上、90%以上、95%以上、99%以上、99.9%以上であることが好ましい。
(b)導電剤
本実施態様における透明導電部は、上記金属繊維の他に導電剤を含有していてもよい。導電剤としては、例えば、カーボンナノチューブ、グラフェン、カーボンブラック、導電性高分子、金属や金属酸化物等からなるナノ粒子やマイクロ粒子が挙げられる。
なお、図5に例示するように、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性がいずれも良い場合には、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22および透明樹脂層3の内部のいずれにも金属繊維13が取り込まれるため、上記導電剤が含まれていると透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に形成された非導電部12においても導電パスが形成されてしまうおそれがある。そのため、このような場合には、透明導電部には上記導電剤が含まれていないことが好ましい。
一方、図3および図4に例示するように、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂の膨潤用溶媒との親和性が悪く、透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性が良い場合には、透明導電部には上記導電剤が含まれていてもよい。
(c)添加剤
本実施態様における透明導電部は、種々の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、例えば、界面活性剤、分散剤、湿潤剤、増粘剤、バインダー等が挙げられる。
(d)透明導電部
透明導電部において、金属繊維は透明樹脂層表面に種々の程度まで埋め込むことができる。例えば、金属繊維は金属繊維の直径に対して全部が埋め込まれていてもよく一部が埋め込まれていてもよい。金属繊維の一部が埋め込まれている場合、金属繊維の直径を100%とすると、金属繊維は直径の80%以下が埋め込まれていてもよく、直径の50%以下が埋め込まれていてもよく、直径の25%以下が埋め込まれていてもよい。金属繊維の埋め込みの程度は、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性、ならびにプロセス条件に応じて調整することができる。
透明導電部において、透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、金属繊維の直径以上の厚みであることが好ましい。具体的には、透明導電部において、透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、金属繊維の直径の1倍以上5倍以下の範囲内で設定することができ、1倍以上4倍以下、1倍以上3倍以下、1倍以上2倍以下とすることができる。上記厚みが上記範囲内であれば、透明導電部において金属繊維間で電気的接点が形成されやすく良好な導電性が得られる。
また、金属繊維が金属ナノワイヤの場合、透明導電部において、透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みとしては、具体的に0.0001nm〜100μmの範囲内で設定することができ、0.01nm〜100μmの範囲内、0.1nm〜100μmの範囲内、0.1nm〜5μmの範囲内、0.1nm〜3μmの範囲内、0.1nm〜1μmの範囲内、0.1nm〜500nmの範囲内とすることができる。
また、透明導電部において、金属繊維は透明樹脂層表面から突出していてもよい。この場合、金属繊維が透明樹脂層表面から突出している長さとしては、0.1nm〜1cm程度であり、10nm〜0.5cm程度、100nm〜100μm程度とすることができる。
また、透明導電部において、金属繊維が透明樹脂層表面から突出している場合、突出している金属繊維の量は、金属繊維全体の量100体積%に対して0〜90体積%程度であり、95体積%以下、99体積%以下とすることができる。
透明導電部において、透明導電部の表面に存在する金属繊維の量は、金属繊維全体の量100体積%に対して1%体積以下とすることができ、また5体積%以下、20体積%以下、50体積%以下、75体積%以下、95体積%以下とすることができる。
透明導電部の表面抵抗率は、500Ω/□以下とすることができ、また400Ω/□以下、350Ω/□以下、300Ω/□以下、200Ω/□以下、100Ω/□以下、75Ω/□以下、50Ω/□以下、25Ω/□以下、10Ω/□以下、1Ω/□以下とすることができる。
透明導電部に存在する金属繊維の量は、金属繊維の種類や本実施態様の透明導電基材の用途等に応じて適宜調整されるものであり、例えば0.01質量%〜90質量%の範囲内で設定することができ、中でも0.1質量%〜30質量%の範囲内、特に0.5質量%〜10質量%の範囲内であることが好ましい。金属繊維の量が上記範囲内であれば、良好な導電性および透明性が得られるからである。
なお、透明導電部の形成方法については、後述の「D.透明導電基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)非導電部
本実施態様における非導電部は、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に形成されるものである。
透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面には、導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれていてもよく、金属繊維が埋め込まれていなくてもよい、中でも、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面には、導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれていることが好ましい。導電パターンのパターン見えを改善することができ、本発明の透明導電基材を各種デバイスに用いた場合には視認性を向上させることができるからである。
凸部表面への金属繊維の埋め込みは、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性に応じて適宜選択される。透明樹脂基材に含まれる第1樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が良い場合には、図5に例示するように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に金属繊維13を埋め込むことができ、視認しにくい導電パターンとすることができる。
非導電部において導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれている場合、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、上記透明導電部と同様とすることができる。また、非導電部において、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、透明樹脂基材全体の厚み100%に対して80%以下で設定することができ、50%以下、40%以下、20%以下、10%以下、5%以下とすることができる。
非導電部の抵抗値は、10MΩ以上とすることができる。
なお、非導電部の形成方法については、後述の「D.透明導電基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(3)用途
本実施態様の透明導電基材の用途としては、例えばタッチパネルセンサ、液晶表示装置やEL表示装置等の表示装置、電子ペーパー、太陽電池等の各種デバイスを挙げることができる。
2.第2実施態様
本実施態様の透明導電基材は、表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、上記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、上記透明樹脂層表面に形成された非導電部とを有する透明導電基材であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とするものである。
図1(d)は本実施態様の透明導電基材の一例を示す概略断面図である。図1(d)に示すように、透明導電基材10は、表面に凹凸パターン20を有する透明樹脂基材2と、凹凸パターン20の凹部21に充填された透明樹脂層3と、透明樹脂基材2の凹凸パターン20の凸部22表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部11と、透明樹脂層3表面に形成された非導電部12とを有するものである。また、透明樹脂基材2に含まれる第1樹脂および透明樹脂層3に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性は異なっている。
本実施態様における透明導電部および非導電部は、上述の導電パターン形成用基材を用いて形成することができるものである。したがって、簡易な工程で形成可能であり、視認されにくい導電パターンを有する透明導電基材とすることができる。
また、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層が充填されていることにより、本実施態様の透明導電基材の表面を平坦化することができる。したがって、本実施態様の透明導電基材を用いることにより、高品質なデバイスを得ることができる。
なお、透明樹脂基材および透明樹脂層については上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、また透明導電基材の用途については上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。以下、本実施態様の透明導電基材における他の構成について説明する。
(1)透明導電部
本実施態様における透明導電部は、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれたものである。
以下、透明導電部の構成について説明する。なお、透明導電部を構成する材料については上記第1実施態様と同様であるので、ここでの説明は省略する。
透明導電部において、金属繊維は透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に種々の程度まで埋め込むことができる。なお、金属繊維の埋め込みの程度については、上記第1実施態様と同様である。
透明導電部において、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、上記第1実施態様と同様とすることができる。また、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、透明樹脂基材全体の厚み100%に対して80%以下で設定することができ、50%以下、40%以下、20%以下、10%以下、5%以下とすることができる。
また、透明導電部において、金属繊維は透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面から突出していてもよい。なお、金属繊維の突出の程度については、上記第1実施態様と同様である。
透明導電部における透明導電部の表面に存在する金属繊維の量は、上記第1実施態様と同様とすることができる。
また、透明導電部の表面抵抗率および透明導電部に存在する金属繊維の量は、上記第1実施態様と同様である。
なお、透明導電部の形成方法については、後述の「D.透明導電基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
(2)非導電部
本実施態様における非導電部は、透明樹脂層表面に形成されるものである。
透明樹脂層表面には、導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれていてもよく、金属繊維が埋め込まれていなくてもよいが、中でも導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれていることが好ましい。導電パターンのパターン見えを改善することができ、本発明の透明導電基材を各種デバイスに用いた場合には視認性を向上させることができるからである。
透明樹脂層表面への金属繊維の埋め込みは、透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性に応じて適宜選択される。透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が良い場合には、図2に例示するように、透明樹脂層3表面に金属繊維13を埋め込むことができ、視認しにくい導電パターンとすることができる。
非導電部において導電性が発現しない程度に金属繊維が埋め込まれている場合、透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた部分の厚みは、上記透明導電部と同様とすることができる。
非導電部の抵抗値は、上記第1実施態様と同様である。
なお、非導電部の形成方法については、後述の「D.透明導電基材の製造方法」の項に記載するので、ここでの説明は省略する。
C.導電パターン形成用基材の製造方法
本発明の導電パターン形成用基材の製造方法は、透明樹脂基材の表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、上記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程とを有する導電パターン形成用基材の製造方法であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする。
図9(a)〜(d)は本発明の導電パターン形成用基材の製造方法の一例を示す工程図である。まず、図9(a)〜(b)に示すように、透明樹脂基材2の表面に、表面に凹凸パターンを有する版31を押し付けて、凹凸パターン20を転写する凹凸パターン形成工程を行う。次に、図9(c)に示すように、透明樹脂基材2の凹凸パターン20上に透明樹脂層用組成物3aを塗布し、図示しないがスキージ、ブレード等で透明樹脂層用組成物3aを掻き取り、図9(d)に示すように凹凸パターン20の凹部21に透明樹脂層22を充填する透明樹脂層形成工程を行う。これにより、導電パターン形成用基材1が得られる。
本発明においては、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることにより、上述したように導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成することができる。したがって、簡易な工程で導電パターンを形成可能であり、さらには視認されにくい導電パターンを形成可能な導電パターン形成用基材を得ることができる。
また、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填することにより、導電性パターン形成用基材の表面を平坦化することができる。したがって、本発明により製造される導電パターン形成用基材を用いて導電パターンを形成することにより、高品質なデバイスを得ることができる。
以下、本発明の導電パターン形成用基材の製造方法における各工程について説明する。
1.凹凸パターン形成工程
本発明における凹凸パターン形成工程は、透明樹脂基材の表面に凹凸パターンを形成する工程である。
凹凸パターンの形成方法としては、微細な凹凸パターンを形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、インプリント法等のような表面に凹凸パターンを有する版を用いて凹凸パターンを転写する方法、基体上に凸部をパターン状に形成する方法等が挙げられる。
基体上に凸部をパターン状に形成する方法としては、凸部に用いられる第1樹脂の種類等に応じて適宜選択され、例えば、スクリーン印刷法、グラビア印刷法、フレキソ印刷法、インクジェット法等の印刷法により透明樹脂層のパターンを直に形成する方法、または感光性樹脂を用いたフォトリソグラフィ法、レーザー描画法等のような樹脂層を全面に形成した後にパターニングする方法を用いることができる。中でも、簡易な方法であることから、印刷法が好ましく用いられる。
これらの中でも、インプリント法等の凹凸パターンを転写する方法は、微細な凹凸パターンを容易に形成できることから好ましい。
なお、透明樹脂基材および凹凸パターンについては、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.透明樹脂層形成工程
本発明における透明樹脂層形成工程は、上記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する工程である。
透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する方法としては、凹部にのみ透明樹脂層を形成可能な方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、透明樹脂基材の全面に透明樹脂層を形成した後、凹部にのみ透明樹脂層が形成されるように凹凸面を平坦化する方法が挙げられる。このような方法としては、具体的に、透明樹脂基材の全面に透明樹脂層用組成物を塗布し、スキージ、ブレード等により透明樹脂層用組成物を掻き取る方法、透明樹脂基材の全面に透明樹脂層用組成物を塗布し、現像により塗膜を膜減りさせる方法、透明樹脂基材の全面に透明樹脂層用組成物を塗布して透明樹脂層を形成し、洗浄により透明樹脂層を膜減りさせる方法等が挙げられる。中でも、凹凸面を容易に平坦化することができることから、透明樹脂基材の全面に透明樹脂層用組成物を塗布し、スキージ、ブレード等により透明樹脂層用組成物を掻き取る方法が好ましく用いられる。
透明樹脂基材の全面に透明樹脂層用組成物を塗布する方法としては、特に限定されるものではなく、各種の塗布法、印刷法を用いることができる。
また、透明樹脂層に熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂を用いる場合には、加熱または光照射により硬化させる。
なお、透明樹脂層については、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
3.透明樹脂基材および透明樹脂層
本発明においては、導電パターン形成用基材が金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布に供するものであり、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂層の厚みとを調整することが好ましい。これにより、導電パターンを容易に形成可能な導電パターン形成用基材を得ることができる。
なお、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性ならびに透明樹脂層の厚みの調整については、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
D.透明導電基材の製造方法
本発明の透明導電基材の製造方法は、透明樹脂基材表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、上記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程と、上記透明樹脂基材および上記透明樹脂層上に、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布し、焼成して、上記透明樹脂層表面および上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に上記金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成する導電パターン形成工程とを有する透明導電基材の製造方法であって、上記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および上記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の上記膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする。
図9(a)〜(d)および図1(a)〜(d)は本発明の透明導電基材の製造方法の一例を示す工程図であり、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に透明導電部を形成し、透明樹脂層表面に非導電部を形成する場合の例である。なお、図1(a)〜(d)および図9(a)〜(d)についてはそれぞれ上記「A.導電パターン形成用基材」、「C.導電パターン形成用基材の製造方法」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
また、図9(a)〜(d)および図8(a)〜(d)は本発明の透明導電基材の製造方法の他の例を示す工程図であり、透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に非導電部を形成し、透明樹脂層表面に透明導電部を形成する場合の例である。なお、図8(a)〜(d)に示す方法は、図1(a)〜(d)に示す方法と同様とすることができる。
本発明においては、上述の導電パターン形成用基材を用いて透明導電部および非導電部を形成することができるため、導電パターンを容易に形成することが可能であり、さらには視認されにくい導電パターンを形成することが可能である。
また、透明樹脂基材の凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填することにより、透明導電基材の表面を平坦化することができる。したがって、本発明により製造される透明導電基材を用いることにより、高品質なデバイスを得ることができる。
なお、凹凸パターン形成工程および透明樹脂層形成工程については、上記「C.導電パターン形成用基材の製造方法」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。以下、本発明の透明導電基材の製造方法における他の工程について説明する。
1.導電パターン形成工程
本発明における導電パターン形成工程は、上記透明樹脂基材および上記透明樹脂層上に、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布し、焼成して、上記透明樹脂層表面および上記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に上記金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成する工程である。
(1)膨潤用溶媒
膨潤用溶媒については、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明においては、後述するように、透明樹脂基材および透明樹脂層上に透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布するに際して、金属繊維および膨潤用溶媒を含有する透明導電部用塗工液を塗布してもよく、膨潤用溶媒と金属繊維および溶媒を含有する透明導電部用塗工液とを別々に塗布してもよい。そのため、膨潤用溶媒は、透明導電部用塗工液に含まれていてもよく含まれていなくてもよい。
(2)透明導電部用塗工液
本発明に用いられる透明導電部用塗工液は、金属繊維および溶媒を含有するものである。以下、透明導電部用塗工液を構成する各成分について説明する。
(a)金属繊維
金属繊維については、上記「B.透明導電基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
透明導電部用塗工液に含まれる金属繊維の含有量としては、金属繊維の分散安定性が良好であれば特に限定されるものではなく、適宜調整される。
(b)溶媒
本発明に用いられる透明導電部用塗工液は溶媒を含有する。
溶媒としては、金属繊維を分散させることができるものであれば特に限定されるものではなく、例えば上記膨潤用溶媒として例示したものを用いることができる。溶媒は、1種単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
本発明においては、後述するように、透明樹脂基材および透明樹脂層上に透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布するに際して、金属繊維および膨潤用溶媒を含有する透明導電部用塗工液を塗布してもよく、膨潤用溶媒と金属繊維および溶媒を含有する透明導電部用塗工液とを別々に塗布してもよい。膨潤用溶媒と金属繊維および溶媒を含有する透明導電部用塗工液とを別々に塗布する場合、透明導電部用塗工液に含まれる溶媒は、上記膨潤用溶媒と同じであってもよく異なっていてもよい。
また、溶媒は、金属繊維を分散させる溶媒と上記膨潤用溶媒とを含んでいてもよい。
また、溶媒は、揮発性成分を含んでいてもよい。揮発性成分を含む場合には、導電パターンの形成前または形成中に溶媒の少なくとも一部を除去することができる。
(c)導電剤
本発明に用いられる透明導電部用塗工液は、上記金属繊維の他に導電剤を含有していてもよい。なお、導電剤については、上記「B.透明導電基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(d)添加剤
本発明に用いられる透明導電部用塗工液は、種々の添加剤を含有していてもよい。なお、添加剤については、上記「B.透明導電基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
(3)透明導電部および非導電部の形成方法
金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布方法としては、透明樹脂基材および透明樹脂層上の全面に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することができる方法であれば特に限定されるものではなく、例えば、スプレー、静電スプレー、スピンキャスト、浸漬、ロールコート、カーテンコート、ワイプコート、フローコート、ブラシコート、スタンプ、インクジェット、スロットダイコート、キャピラリーコート、マイヤーロッドコート、カップコート等が挙げられる。
金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布するに際しては、金属繊維および膨潤用溶媒を含有する透明導電部用塗工液を塗布してもよく、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液と膨潤用溶媒とを別々に塗布してもよい。また、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液と膨潤用溶媒とを別々に塗布する場合には、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液と膨潤用溶媒とを同時に塗布してもよく連続して塗布してもよい。また、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液と膨潤用溶媒とを連続して塗布する場合、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布した後に膨潤用溶媒を塗布してもよく、膨潤用溶媒を塗布した後に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布してもよい。
金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布した後に膨潤用溶媒を塗布する場合、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布してから膨潤用溶媒を塗布するまでの時間は、例えば0ナノ秒〜24時間の範囲内で設定することができ、中でも1ナノ秒〜24時間の範囲内、1ナノ秒〜1時間の範囲内、1秒〜1時間の範囲内であることが好ましい。
また、膨潤用溶媒を塗布した後に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布する場合、膨潤用溶媒を塗布してから金属繊維を含有する透明導電部用塗工液を塗布するまでの時間は、上記の場合と同様に、例えば0ナノ秒〜24時間の範囲内で設定することができ、中でも1ナノ秒〜24時間の範囲内、1ナノ秒〜1時間の範囲内、1秒〜1時間の範囲内であることが好ましい。
金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布した後は、溶媒を乾燥させる。乾燥方法としては、加熱、フラッシュ加熱、真空、減圧、気流等が挙げられる。溶媒が揮発性成分を含む場合には、溶媒の少なくとも一部は塗布前または塗布中に除去される場合がある。
本発明においては、透明樹脂基材および透明樹脂層上の全面に金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布することにより、金属繊維が透明樹脂層および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部の少なくともいずれか一方の内部に取り込まれる。
溶媒を乾燥させた後は、透明樹脂層および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部の少なくともいずれか一方の内部に取り込まれた金属繊維を固定するために、焼成を行う。焼成温度としては、金属繊維を固定できる温度であれば特に限定されるものではなく、例えば60℃〜250℃の範囲内で設定することができる。なお、溶媒の乾燥および焼成を同時に行ってもよい。
また、透明樹脂層および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部の少なくともいずれか一方の内部に取り込まれた金属繊維を固定するために、圧力を加えてもよい。
このようにして、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に金属繊維が埋め込まれた透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成される。
なお、透明導電部および非導電部については、上記「B.透明導電基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
2.透明樹脂基材および透明樹脂層
本発明においては、透明樹脂層表面および透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の膨潤用溶媒との親和性と、透明樹脂層の厚みとを調整することが好ましい。
なお、透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性ならびに透明樹脂層の厚みの調整については、上記「A.導電パターン形成用基材」の項に記載したので、ここでの説明は省略する。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
(導電パターン形成用基材の作製)
透明樹脂基材として、厚さ100μmのポリカーボネート基材(バイエル社製Makrolon)、厚さ100μmのシクロオレフィンポリマー(COP)基材(ゼオン社製ZF16)、または厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)基材(東洋紡社製A4100)を準備した。また、透明樹脂層用樹脂組成物として、多官能アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)またはアクリルモノマーであるポリメチルメタクリレート(PMMA)を含む樹脂組成物を準備した。
まず、透明樹脂基材表面に凸版を押し付けて凹部をパターン状に形成した。この際、形成される透明導電部の幅が100μm、非導電部の幅が500μmとなるように、凹部の幅を100μmまたは500μm、凸部の幅を500μmまたは100μmに設定した。すなわち、下記表1において、No.1〜4では凸部の幅を500μm、凹部の幅を100μmとし、No.5,6では凸部の幅を100μm、凹部の幅を500μmとした。
次いで、透明樹脂基材上に透明樹脂層用樹脂組成物を塗布し、スキージで掻き取り、凹部に透明樹脂層用樹脂組成物を充填した。続いて、300mJ/cmの条件で露光し、透明樹脂層を形成した。
透明樹脂基材および透明樹脂層の組み合わせ、ならびに透明樹脂層の厚みを表1に示す。
(透明導電基材の作製)
平均直径50nm、平均長さ15μmの星光PMC社製T−YP808の銀ナノワイヤと、溶媒としてイソプロピルアルコール(IPA)およびメチルエチルケトンとを用いて、下記組成の透明導電部用塗工液を準備した。
・IPA:90質量%
・メチルエチルケトン:9.5質量%
・銀ナノワイヤ:0.5質量%
テスター産業株式会社製のアプリケータを用い、バーギャップ1milにて、上記の導電パターン形成用基材上に透明導電部用塗工液を塗布し、温度26℃、湿度50%RHの環境下で1分間静止した後、120℃、30分の条件で焼成した。
(評価)
得られた透明導電基材において、透明樹脂基材の凸部表面および透明樹脂層表面について、(株)三菱化学アナリテック製の抵抗率計ロレスタAX MCP−T370型を用いて表面抵抗率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2014175187
No.1〜3、5では導電パターンを形成することができたのに対し、No.4、6では導電パターンを形成することができなかった。
また、透明導電部では、銀ナノワイヤの埋め込み深さは100nm程度であり、全光線透過率は90%であった。
1 … 導電パターン形成用基材
2 … 透明樹脂基材
3 … 透明樹脂層
4 … 透明導電部用塗工液
10 … 透明導電基材
11 … 透明導電部
12 … 非導電部
13 … 金属繊維
20 … 凹凸パターン
21 … 凹部
22 … 凸部

Claims (7)

  1. 表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、
    前記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と
    を有する導電パターン形成用基材であって、
    前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする導電パターン形成用基材。
  2. 表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、
    前記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、
    前記透明樹脂層表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、
    前記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に形成された非導電部と
    を有する透明導電基材であって、
    前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材。
  3. 表面に凹凸パターンを有する透明樹脂基材と、
    前記凹凸パターンの凹部に充填された透明樹脂層と、
    前記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面に金属繊維が埋め込まれた透明導電部と、
    前記透明樹脂層表面に形成された非導電部と
    を有する透明導電基材であって、
    前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材。
  4. 透明樹脂基材の表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、
    前記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程と
    を有する導電パターン形成用基材の製造方法であって、
    前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の任意の膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする導電パターン形成用基材の製造方法。
  5. 前記導電パターン形成用基材が、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒の塗布に供するものであり、
    前記透明樹脂層表面および前記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に前記金属繊維が埋め込まれた透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の前記膨潤用溶媒との親和性と、前記透明樹脂層の厚みとを調整することを特徴とする請求項4に記載の導電パターン形成用基材の製造方法。
  6. 透明樹脂基材表面に凹凸パターンを形成する凹凸パターン形成工程と、
    前記凹凸パターンの凹部に透明樹脂層を充填する透明樹脂層形成工程と、
    前記透明樹脂基材および前記透明樹脂層上に、金属繊維を含有する透明導電部用塗工液および膨潤用溶媒を塗布し、焼成して、前記透明樹脂層表面および前記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方の表面に前記金属繊維が埋め込まれた透明導電部を形成し、他方に非導電部を形成する導電パターン形成工程と
    を有する透明導電基材の製造方法であって、
    前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の前記膨潤用溶媒との親和性が異なることを特徴とする透明導電基材の製造方法。
  7. 前記透明樹脂層表面および前記透明樹脂基材の凹凸パターンの凸部表面のうち、一方に前記透明導電部が形成され、他方に非導電部が形成されるように、前記透明樹脂基材に含まれる第1樹脂および前記透明樹脂層に含まれる第2樹脂の前記膨潤用溶媒との親和性と、前記透明樹脂層の厚みとを調整することを特徴とする請求項5に記載の透明導電基材の製造方法。
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