JP2014174322A - 静電荷現像用トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は耐オフセット性、定着部材(加熱部材および/または加圧部材)と記録シートとの分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性が十分に優れたオイルレス定着用の静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
【解決手段】少なくとも、結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷現像用トナーであって、該トナーは少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中で湿式造粒法により造粒され、前記界面活性剤が親水基にスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤あり、かつ前記離型剤はエステルワックスである事を特徴とする静電荷現像用トナー。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真や静電記録などにおいて、感光体表面に形成された静電荷像を顕像化する静電荷像現像用トナー及びその製造方法に関する。
近年、市場では画像の高品質化のための小粒径化や、省エネルギーのための低温定着が要求されている。しかしながら、通常の混練粉砕法により得られるトナーは、小粒径化が困難であり、その形状は不定形で、粒径分布はブロードとなり、定着エネルギーが高いなど様々な問題点があった。
これら混練粉砕法による前述の問題点を克服するために、湿式造粒法によるトナーの製造方法が提案され、実施されている。湿式造粒法によれば、従来の粉砕工程、練り工程を省くことができ、省エネルギー、生産時間の短縮、工程収率の向上等、コスト削減の寄与が大きく、さらに、トナー粒子を小粒径にすると同時に粒度分布も粉砕法に較べてシャープな分布にすることが容易で、高画質化への寄与も大きい。公知技術としては、例えば懸濁重合法、乳化重合法、溶解懸濁法などが知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
トナー組成物については、バインダー樹脂、着色剤等数多くの物が挙げられるが、代表的な物として、離型剤がある。一般的にトナーの定着方式としては、熱ロール定着方式等の接触加熱定着方式が広く採用されている。熱ロール定着方式に使用される定着装置は、加熱ロールと加圧ロールとを備えており、トナー像を担持した記録シートを、加熱ロールと加圧ロールとの圧接部(ニップ部)を通過させることにより、トナー像を溶融させて記録シートに定着させる。このように熱ロール定着方式に代表される接触加熱定着方式では、記録シート上のトナー像に接触加熱定着装置の加熱部材(例えば加熱ロール)の表面を接触させて定着を行うため、加熱部材にトナー像の一部が付着し、それが次の記録シートに転移して汚してしまうオフセット現象を防止する必要がある。オフセット現象を防止するために定着装置の加熱ロールや加圧ロールにシリコーンオイル等の定着オイルを塗布あるいは含浸させる技術が知られているが、定着装置の小型化や低コスト化の観点から、定着オイル付与機構を省略したオイルレス定着装置や定着オイルの塗布量を低減させたタイプの定着装置が採用されている。このような定着装置を採用する場合には、オフセット防止剤としての離型剤をトナーに内包させる必要がある。
しかしながら、離型剤はそのオフセット防止剤としての機能を発現させるため、バインダー樹脂との相性が悪い事が多く、湿式造粒法でトナー造粒を行った場合、離型剤が水系媒体中に抜け出てしまい、離型剤を全く含有しないトナー粒子や、離型剤の含有量が極端に少ないトナー粒子が併せて生成し、不均質なトナーとなりやすい。その結果、トナー粒子の分布がブロード化したり、その特性、特に、耐オフセット性を低く、更には、現像ブレードや感光体へのフィルミングを発生させやすく、定着性、現像性及び耐久性の変動あるいは劣化をもたらすことになる。
前述のような問題を解決するため、離型剤を均一にトナーに内包させる必要があり、様々な検討がされている。例えば特許文献3には水系媒体中において、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、離型剤分散液とを混合凝集し、加熱処理により凝集会合粒子を形成することにより得られるトナーの製造方法が開示されている。しかしながら、上記の方法では離型剤のトナーへの内包が十分でなく、一定の改善効果は確認できるが問題が残る状態である。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、離型剤のトナーへの内包性を向上させ、離型剤の添加によるトナー特性の向上効果を十分に発揮できる、優れたオイルレス定着用の静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。すなわち、本発明は耐オフセット性、定着部材(加熱部材および/または加圧部材)と記録シートとの分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性が十分に優れたオイルレス定着用の静電荷現像用トナーを提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、湿式造粒法でトナーを造粒する際に、水系媒体に特定の界面活性剤を添加し、離型剤としてエステルワックスを用いることにより上記課題が解決されることを見出し本発明に至った。即ち、上記課題は
少なくとも、結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷現像用トナーであって、該トナーは少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中で湿式造粒法により造粒され、前記界面活性剤が親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤であり、かつ前記離型剤はエステルワックスである事を特徴とする静電荷現像用トナー
により達成される。
本発明の静電荷現像用トナーにより、耐オフセット性、定着部材(加熱部材および/または加圧部材)と記録シートとの分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性に関して、十分な性能が達成される。
実施例の評価に用いた定着装置の概略断面図である。
本発明の静電荷現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂及び離型剤を含有するトナーであって、該トナーは少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中で湿式造粒法により造粒され、前記界面活性剤が親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤あり、かつ前記離型剤はエステルワックスである。
以上説明したように、本発明の静電荷現像用トナーによって、耐オフセット性、定着部材(加熱部材および/または加圧部材)と記録シートとの分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性に関して、十分な性能が達成される。本発明により離型剤のトナーへの内包性を向上させ、耐オフセット性、定着部材(加熱部材および/または加圧部材)と記録シートとの分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性に関して、十分な性能が達成される優れた特性を見つけたことはおどろくべきことである。
界面活性剤を含む水系媒体中で湿式造粒するトナーにおいて、親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤と、エステルワックスである離型剤を用いる事によりこのような効果をもたらす理由は、定かでは無いが、該界面活性剤の乳化・分散能力が高く、水系媒体中で、トナー粒子形状、界面の状態を保持させる能力が高い事と、エステルワックスの様に極性を有する離型剤は、結着樹脂との相性が良く、それらの特性の組合せにより、よりトナーへの内包性が高くなるためであると推測される。
次に、本発明のトナーに用いられる材料について詳細に説明する。
(結着樹脂)
本発明において結着樹脂としては、公知のものならば何如なるものでも使用することができる。具体的には、熱可塑性樹脂、例えば、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等の不飽和結合を有するエステル類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和結合を有するニトリル類、ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類、エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン類等の単量体を用いた重合体または共重合体、またはこれらの混合物等があげられ、さらにはエポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂等の非ビニル系縮合樹脂、これら縮合樹脂に前記ビニル系樹脂を混合したもの、これら重合体の存在下でビニル系単量体を重合することによって得られるグラフト重合体等を使用することができる。これらのうち、低温定着性、色再現性等に優れる点でポリエステル樹脂を用いることが好ましい。
ポリエステル樹脂は、多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)との重縮合により得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。
2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、30℃〜80℃が好ましく、40℃〜65℃がより好ましい。前記ガラス転移温度が、30℃以上であると、耐熱保存性に優れ、80℃以下であると、低温定着性に優れる。
ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)測定において、重量平均分子量(Mw)2,000〜90,000が好ましく、2,500〜30,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、2,000以上であると、耐熱保存性に優れ、90,000以下であると、低温定着性に優れる。
また、本発明のトナーは、結着樹脂として、結晶性ポリエステル樹脂を含有することができる。
結晶性ポリエステル樹脂は、高い結晶性をもつために、定着開始温度付近において急激な粘度低下を示す熱溶融特性を示す。このような特性を有する前記結晶性ポリエステル樹脂を前記トナーに用いることで、溶融開始温度直前までは結晶性による耐熱保存性がよく、溶融開始温度では急激な粘度低下(シャープメルト性)を起こし定着することから、良好な耐熱保存性と低温定着性とを兼ね備えたトナーが得られる。また、定着可能な温度範囲(定着下限温度と定着上限温度との差)についても、良好な結果を示す。
結晶性ポリエステル樹脂は、多価アルコール成分と、多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、多価カルボン酸エステルなどの多価カルボン酸成分とを用いて得られる。
−多価アルコール成分−
前記多価アルコール成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ジオール、3価以上のアルコールが挙げられる。
前記ジオールとしては、例えば、飽和脂肪族ジオールが挙げられる。前記飽和脂肪族ジオールとしては、直鎖型飽和脂肪族ジオール、分岐型飽和脂肪族ジオールが挙げられるが、これらの中でも、直鎖型飽和脂肪族ジオールが好ましく、炭素数が4〜12である直鎖型飽和脂肪族ジオールがより好ましい。前記飽和脂肪族ジオールが分岐型であると、結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が低下し、融点が低下してしまうことがある。また、主鎖部分の炭素数が4未満であると、芳香族ジカルボン酸と縮重合させる場合に、融解温度が高くなり、低温定着が困難となることがある。一方、炭素数が12を超えると、実用上の材料の入手が困難となる。炭素数としては12以下であることがより好ましい。
前記飽和脂肪族ジオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,14−エイコサンデカンジオールなどが挙げられる。これらの中でも、前記結晶性ポリエステル樹脂の結晶性が高く、シャープメルト性に優れる点で、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオールが好ましい。
前記3価以上のアルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどが挙げられる。
これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
−多価カルボン酸成分−
前記多価カルボン酸成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、2価のカルボン酸、3価以上のカルボン酸が挙げられる。
前記2価のカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スペリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸等の飽和脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、マロン酸、メサコニン酸等の二塩基酸等の芳香族ジカルボン酸;などが挙げられ、さらに、これらの無水物やこれらの低級アルキルエステルも挙げられる。
前記3価以上のカルボン酸としては、例えば、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸等、及びこれらの無水物やこれらの低級アルキルエステルなどが挙げられる。
また、多価カルボン酸成分としては、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、スルホン酸基を持つジカルボン酸成分が含まれていてもよい。さらに、前記飽和脂肪族ジカルボン酸や芳香族ジカルボン酸の他に、2重結合を持つジカルボン酸成分を含有してもよい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の融点としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、50℃〜150℃が好ましく、60℃〜130℃がより好ましい。前記融点が、50℃以上であると、耐熱保存性に優れ、現像装置内部の温度でブロッキングが発生しにくくなり、150℃以下であると、定着下限温度が低くなるため、低温定着性が得られる。
前記融点は、示差走査熱量計(DSC)測定におけるDSCチャートの吸熱ピーク値により測定することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、分子量分布がシャープで低分子量のものが低温定着性に優れ、かつ分子量が低い成分が多いと耐熱保存性が悪化するという観点から、前記結晶性ポリエステル樹脂のオルトジクロロベンゼンの可溶分が、GPC測定において、重量平均分子量(Mw)1,000〜30,000が好ましく、1,200〜20,000がより好ましい。前記重量平均分子量が、1,000以上であると、低温定着性に優れ、30,000以下であると、シャープメルト性に優れる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、500〜6,000が好ましく、700〜5,500がより好ましい。前記数平均分子量が、500以上であると、低温定着性に優れ、6,000以下であると、シャープメルト性に優れる。
前記重量平均分子量(Mw)と前記数平均分子量(Mn)との比で表される分子量分布(Mw/Mn)としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2〜8が好ましい。前記分子量分布(Mw/Mn)が、2以上であると、製造が容易で、コストがかからず、8以下であると、シャープメルト性に優れる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、紙と樹脂との親和性の観点から、所望の低温定着性を達成するためには、5mgKOH/g以上が好ましく、10mgKOH/g以上がより好ましい。一方、耐高温オフセット性を向上させるには、45mgKOH/g以下が好ましい。
前記結晶性ポリエステル樹脂の酸価は、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶解させ滴定することにより、測定することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、所望の温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成するためには、0mgKOH/g〜50mgKOH/gが好ましく、5mgKOH/g〜50mgKOH/gがより好ましい。前記水酸基価が、50mgKOH/g以下であると、所定の低温定着性を達成し、かつ良好な帯電特性を達成することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の水酸基価は、例えば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールに溶解させ滴定することにより、測定することができる。
前記結晶性ポリエステル樹脂の分子構造は、溶液や固体によるNMR測定の他、示差走査熱量計(DSC)測定、X線回折、GC/MS測定、LC/MS測定、赤外線吸収(IR)測定などにより確認することができる。簡便には赤外線吸収スペクトルにおいて、965±10cm-1又は990±10cm-1にオレフィンのδCH(面外変角振動)に基づく吸収を有するものを結晶性ポリエステル樹脂として検出する方法が挙げられる。
(離型剤)
本実施形態のトナーに用いる離型剤は、エステルワックスであり、特にモノエステルワックスである事がより好ましい。
一般的なエステルワックスとして、高級アルコール成分と高級カルボン酸成分から合成されるエステルワックスを用いる。これら高級アルコールや高級カルボン酸成分は、通常天然物から得られることが多く一般的には、偶数の炭素数を有する混合物から構成されている。具体的な例としては、カルナバワックス、ライスワックス、サンフラワーワックス等が挙げられる。しかしながら、これら混合物をそのままエステル化したワックスの場合、目的とするエステル化合物の他に各種の類似構造物を持つ副生成物を副生するために、トナーの各特性に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため原材料や生成物を溶剤抽出や減圧蒸留操作を用いて精製することで、本発明で使用するモノエステルワックスを得ることができ、それらの悪影響を起こす事を無くす事できるため、より好ましい。
前記高級アルコール成分としては、べへニルアルコール、アラキジルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、ミリスチルアルコール等が挙げられ、高級カルボン酸成分としては、リグノセリン酸、ベヘニン酸、アラキジン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
エステルワックスは、示差走査熱量計で測定した吸熱開始温度が30℃以上であり、35℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましい。前記吸熱開始温度が、30℃以上であると、耐熱保存性に優れる。前記吸熱開始温度の上限値としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、70℃以下が好ましく、55℃以下がより好ましい。
前記吸熱開始温度は、測定開始温度を25℃とし、昇温速度10℃/分間で、150℃まで昇温させた(昇温1回目)後、10分保持した後、降温速度10℃/分間で25℃まで降温させた後、10分保持した後、再び、昇温速度10℃/分間で、150℃まで昇温させた(昇温2回目)時の、前記昇温2回目の吸熱開始温度である。前記吸熱開始温度は、DSC曲線における吸熱の開始温度であり、例えば、TG−DSCシステムTAS−100(理学電機社製)を用いた場合には、TG−DSCシステムTAS−100システム中の解析システムを用いて求めることができる。
前記エステルワックスの含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記結着樹脂100質量部に対して、2質量部〜40質量部が好ましく、3質量部〜30質量部がより好ましく、4質量部〜25質量部が特に好ましい。前記含有量が、2質量部以上であると、耐高温オフセット性に優れ、更に両面画像の定着時(両面定着方法)において裏面の画像がオフセット現象を起こすことを防止する。前記含有量が、40質量部以下であると、トナーの重合法による製造においては造粒時にトナー粒子同士が合一するのを防ぎ、粒度分布の狭いトナーを得ることができる。
(プレポリマー)
本発明のトナーは、トナー材料として結着樹脂の前駆体(プレポリマー)を用い、前記前駆体を水系媒体中で反応させ、トナーを得ることが好ましい。結着樹脂の前駆体としては、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体が好ましい。
本発明で用いる、活性水素基を有する化合物と反応可能な部位を有する重合体としてのプレポリマーは、反応性変性ポリエステル系樹脂などを用いることができる。反応性変性ポリエステル系樹脂としては、例えば、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーなどが挙げられる。
上述のポリエステルプレポリマーとしては、ポリオールとポリカルボン酸との重縮合物で、且つ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネートと反応させたものなどが挙げられる。
上述のポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水素基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、及びメルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
上述の反応性変性ポリエステル系樹脂に対する架橋剤としては、アミン類が用いられ、伸長剤としてはジイソシアネート化合物(ジフェニルメタンジイソシアネートなど)が用いられる。
詳しく下述するアミン類は、活性水素基と反応可能な変性ポリエステルに対する架橋剤や伸長剤として作用する。
上述のイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーにアミン類を反応させて得られるウレア変性ポリエステルなどの変性ポリエステルは、その高分子成分の分子量を調整しやすく、乾式トナー、特に、オイルレス低温定着特性(定着用加熱媒体への離型オイル塗布機構のない広範な離型性及び定着性)を確保するのに好都合である。特に、ポリエステルプレポリマーの末端をウレア変性したものは未変性のポリエステル樹脂自体の定着温度域での高流動性、透明性を維持したまま、定着用加熱媒体への接着性を抑制することができる。
本発明で用いるのに好ましいポリエステルプレポリマーは、末端に酸性基や水酸基などの活性水素基を有するポリエステルに、その活性水素基と反応するイソシアネート基などの官能基を導入したものである。このプレポリマーからウレア変性ポリエステルなどの変性ポリエステルを誘導することができるが、本発明において、トナーバインダーとして用いる好ましい変性ポリエステルは、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーに対して、架橋剤及び/又は伸長剤としてアミン類を反応させて得られるウレア変性ポリエステルである。イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマーは、ポリオール及びポリカルボン酸の重縮合物で、且つ活性水素基を有するポリエステルをさらにポリイソシアネートと反応させることによって得ることができる。上述のポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基及びフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、及びメルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
ポリオールとしては、ジオール及び3価以上のポリオールが挙げられ、ジオール単独、又はジオール及び少量のポリオールの混合物が好ましい。ジオールとしては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールなどのアルキレングリコール、並びに、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びポリテトラメチレンエーテルグリコールなどのアルキレンエーテルグリコール、並びに、1,4−シクロヘキサンジメタノール、及び水素添加ビスフェノールAなどの脂環式ジオール、並びに、ビスフェノールA、ビスフェノールF、及びビスフェノールSなどのビスフェノール類、並びに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイドなどの上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド付加物、並びに、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、及びブチレンオキサイドなどの上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらのうち好ましい化合物は、炭素数2以上12以下のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましい化合物は、ビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及びアルキレンオキサイド付加物と炭素数2以上12以下のアルキレングリコールとの併用である。3価以上のポリオールとしては、3価以上8価以下又はそれ以上のグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びソルビトールなどの多価脂肪族アルコール、並びに、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、及びクレゾールノボラックなどの3価以上のフェノール類、並びに、上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
ポリカルボン酸としては、ジカルボン酸及び3価以上のポリカルボン酸が挙げられ、持カルボン酸単独、並びにジカルボン酸と少量の3価以上のポリカルボン酸との混合物が好ましい。ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、及びセバシン酸などのアルキレンジカルボン酸、並びに、マレイン酸及びフマール酸などのアルケニレンジカルボン酸、並びに、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、及びナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4以上20以下のアルケニレンジカルボン酸、及び炭素数8以上20以下の芳香族ジカルボン酸である。3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9以上20以下のトリメリット酸及びピロメリット酸などの芳香族ポリカルボン酸などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述の化合物の酸無水物、並びに、メチルエステル、エチルエステル、及びイソプロピルエステルなど低級アルキルエステルを用いてポリオールと反応させてもよい。ポリオールとポリカルボン酸との比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]との当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1以上1/1以下、好ましくは、1.5/1以上1/1以下、さらに好ましくは、1.3/1以上1.02/1以下である。
ポリイソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、及び2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなどの脂肪族ポリイソシアネート、並びに、イソホロンジイソシアネート及びシクロヘキシルメタンジイソシアネートなどの脂環式ポリイソシアネート、並びに、トリレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート、並びに、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなどの芳香脂肪族ジイソシアネート、並びに、イソシアヌレート類、上述のポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、及びカプロラクタムなどでブロックしたもの、並びに、これら2種以上の併用が挙げられる。
ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基とを有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1以上1/1以下、好ましくは、4/1以上1.2/1以下、さらに好ましくは、2.5/1以上1.5/1以下である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー中のポリイソシアネート構成成分の含有量は、通常0.5質量%以上40質量%以下、好ましくは、1質量%以上30質量%以下、さらに好ましくは、2質量%以上20質量%以下である。0.5質量%以上であると、耐ホットオフセット性に優れるとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立が可能となる。また、40質量%以下であると低温定着性に優れる。
イソシアネート基を有するプレポリマー中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5個以上3個以下、さらに好ましくは、平均1.8個以上2.5個以下である。1分子当たり1個以上により、ウレア変性ポリエステルの分子量が高くなり、耐ホットオフセット性が良くなる。
アミン類としては、ジアミン、3価以上のポリアミン、アミノアルコール、アミノメルカプタン、アミノ酸、及び上述の化合物のアミノ基をブロックした化合物などが挙げられる。ジアミンとしては、フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、及び4,4'ジアミノジフェニルメタンなどの芳香族ジアミン、並びに、4,4'−ジアミノ−3,3'ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、及びイソホロンジアミンなどの脂環式ジアミン、並びに、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、及びヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミンなどが挙げられる。3価以上のポリアミンとしては、ジエチレントリアミン及びトリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコールとしては、エタノールアミン及びヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタンとしては、アミノエチルメルカプタン及びアミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸としては、アミノプロピオン酸及びアミノカプロン酸などが挙げられる。これらの化合物のアミノ基をブロックしたものとしては、上述のアミン類、及びケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物及びオキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類のうち好ましいものは、ジアミン、並びに、ジアミン及び少量の3価以上のポリアミンの混合物である。
さらに、必要により伸長停止剤を用いてポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、及びラウリルアミンなどモノアミン、並びに、上述のモノアミンをブロックしたケチミン化合物などの化合物が挙げられる。
アミン類の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2以上2/1以下、好ましくは1.5/1以上1/1.5以下、さらに好ましくは1.2/1以上1/1.2以下である。[NCO]/[NHx]が1/2以上2/1以下とすることにより、ポリエステルの分子量が高くなり、耐ホットオフセット性が良くなる。
ウレア変性ポリエステルなどの変性ポリエステルの重量平均分子量は、3000以上20000以下が好ましい。すなわち、重量平均分子量が3000以上では反応速度の制御がし易くなり、製造が安定する。また、重量平均分子量が20000以下の場合には十分な変性ポリエステルが得られ、耐オフセット性に優れる。
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが使用でき、例えば、ニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、リンの単体、リンの化合物、タングステンの単体、タングステンの化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩などである。具体的には、ニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージ NEG VP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、及び、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩などの官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
本発明における帯電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは、バインダー樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下の範囲で用いられる。好ましくは、0.2質量部以上5質量部以下の範囲がよい。10質量部を越える場合には、トナーの帯電性が大きすぎるために主帯電制御剤の効果が減退し、現像ローラとの静電的吸引力が増大することがある。この結果として、現像剤の流動性低下及び画像濃度の低下を招く恐れがある。
(着色剤)
本発明で用いる着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン、及び上述の着色剤の混合物が使用できる。着色剤の含有量は、トナーに対して通常1質量%以上15質量%以下、好ましくは3質量%以上10質量%以下である。
本発明で用いる着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造又はマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、上述の変性及び未変性ポリエステル樹脂の他に、ポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、及びポリビニルトルエンなどのスチレン又はスチレン置換体の重合体、並びに、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、及びスチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体、並びに、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、及びパラフィンワックスなどが挙げられ、単独又は混合物して使用することができる。
上述のマスターバッチは、マスターバッチ用の樹脂及び着色剤を、3本ロールミルなどのせん断分散装置によって混合及び混練することにより得ることができる。この際、着色剤及び樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いることができる。また、いわゆるフラッシング法は、着色剤を含んだ水性ペーストを樹脂及び有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法である。このフラッシング法では、着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため、乾燥する工程が必要なく、本発明において好ましく用いられる。
(ワックス分散剤)
本発明のトナーにおいては、ワックスと共に、ワックス分散剤を含有させることが好ましい。前記ワックス分散剤を含有させることで、結着樹脂中のワックスの分散性が向上し、また、ワックスとワックス分散剤の含有量で、容易にワックスの分散状態を制御できる。
前記ワックス分散剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、以下に記載する樹脂(D)を主鎖とし、側鎖として後述する樹脂(E)がグラフトした構造を有するグラフト重合体が好適である。
前記樹脂(D)としては、樹脂(E)をグラフト可能なものであればよく、公知のワックスを用いることができ、例えば、ポリオレフィン樹脂、熱減成型ポリオレフィン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、熱減成型ポリオレフィン樹脂が好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂を構成するオレフィン類としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンなどが挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂としては、例えば、オレフィン類の重合体、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物、オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物などが挙げられる。
また、前記オレフィン類の重合体としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体などが挙げられる。
前記オレフィン類の重合体の酸化物としては、前記オレフィン類の重合体の酸化物などが挙げられる。
前記オレフィン類の重合体の変性物としては、前記オレフィン類の重合体のマレイン酸誘導体(例えば、無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジメチル等)付加物などが挙げられる。
前記オレフィン類と共重合可能な他の単量体との共重合物としては、不飽和カルボン酸[例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等]、不飽和カルボン酸アルキルエステル[例えば、(メタ)アクリル酸アルキル(C1〜C18)エステル、マレイン酸アルキル(C1〜C18)エステル等]等の単量体とオレフィン類との共重合体などが挙げられる。
また、本発明においては、ポリマー構造がポリオレフィンの構造を有していればよく、モノマーが必ずしもオレフィン構造を有している必要はない。例えば、ポリメチレン(サゾールワックス等)などを使用することができる。
これら前記ポリオレフィン樹脂のうち、オレフィン類の重合体、オレフィン類の重合体の酸化物、オレフィン類の重合体の変性物が好ましく、ポリエチレン、ポリメチレン、ポリプロピレン、エチレン/プロピレン重合体、酸化型ポリエチレン、酸化型ポリプロピレン、マレイン化ポリプロピレンがより好ましく、ポリエチレン及びポリプロピレンが特に好ましい。
前記樹脂(E)を構成するモノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸のアルキル(炭素数1〜5)エステル[例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等]、ビニルエステル系モノマー[例えば、酢酸ビニル等]などが挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸アルキルが好ましく、アルキル鎖の炭素数が1〜5である(メタ)アクリル酸アルキル(E1)がより好ましい。
前記樹脂(E)を構成するモノマーとして(E1)と共に併用される芳香族ビニルモノマー(E2)としては、スチレン系モノマー[例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−アセトキシスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、フェニルスチレン、ベンジルスチレン等]が挙げられる。これらの中でも、スチレンが特に好ましい。
前記ワックス分散剤のガラス転移温度は、55℃〜80℃が好ましく、55℃〜70℃がより好ましい。前記ワックス分散剤のガラス転移温度が、80℃以下であると、低温定着性に優れ、55℃以上であると、耐ホットオフセット性に優れる。
(トナーの製造方法)
次に、本発明におけるトナーの製造方法について説明する。
本発明のトナーは、以下の方法で製造することができるが、この製造方法は、湿式造粒法の一例であり、本発明のトナーの製造方法は、これに限定されることはなく、他の湿式製造法によっても製造することができる。
湿式造粒法としては、少なくとも、結着樹脂及び/又は結着樹脂の前駆体、及び離型剤を含むトナー材料を有機溶剤中に溶解又は分散させる事により得たトナー材料溶液を、少なくとも界面活性剤を含有する水系媒体中に分散させる事によって懸濁液を得、該懸濁液から有機溶剤を除去する事によりトナーを造粒することが好ましい。
即ち、本発明の静電荷像現像用トナーは、少なくとも、結着樹脂及び/又は結着樹脂の前駆体、及び離型剤を含有するトナー材料を有機溶剤中に溶解又は分散させる事により得たトナー材料溶液を、少なくとも界面活性剤を含有する水系媒体中に分散させる事によって懸濁液を得、該懸濁液から有機溶剤を除去する事により得られ、前記界面活性剤が親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤であり、かつ前記離型剤はエステルワックスである事が好ましい。
本発明におけるトナーの製造方法においては、前記トナー材料(トナー組成物)を有機溶媒中で混合・分散し、トナー材料溶液(油相)を得る。混合方法としては、通常の混合、撹拌装置を使用して行う。具体的には、トナー組成物を溶解撹拌タンク等で通常の攪拌羽、例えばU字型羽、V字型羽、アンカー型羽、ヘリカルリボン型羽等を用い、均一に攪拌し混合した油相を得る。さらに分散をよくするために、この混合した油相をホモミキサー(TKロボミックスf model、特殊機化工業社製)、エバラマイルダー(MDN304、太平洋機工社製)等の分散装置を用いて分散させることが好ましい。特に、その分散性能からエバラマイルダーを用いることが好ましい。
前記有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、除去が容易である点で、沸点が150℃未満の有機溶媒が好ましい。
前記沸点が150℃未満の有機溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、酢酸エチル、トルエン、キシレン、ベンゼン、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等が好ましく、酢酸エチルがより好ましい。
上記の方法で得られた油相を、水系媒体中に乳化分散させて、トナー母体粒子を形成させる。
水系媒体中での油相の分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、及び超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2μm以上20μm以下にするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000rpm以上30000rpm以下、好ましくは5000rpm以上20000rpm以下である。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1分以上5分以下である。分散時の温度としては、通常、0℃以上150℃以下(加圧下)、好ましくは40℃以上98℃以下である。
油相に含まれる固形成分100質量部に対する水系媒体の使用量は、通常、50質量部以上2000質量部以下、好ましくは、100質量部以上1000質量部以下である。50質量部未満では、トナー組成物の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000質量部を超えると経済的でない。
また、本発明におけるトナーの製造方法では、水系媒体に親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤を用いる。前記以外の界面活性剤を用いた場合、前記の離型剤との組合せにて、トナーに内包される離型剤が減少し、定着性等に問題を生じる。
水系媒体に添加する界面活性剤の濃度としては、前記水系媒体に対して0.1〜3.0質量%の範囲であることが好ましく、0.8〜2.2質量%の範囲である事がより好ましい。界面活性剤の濃度が前記の範囲を上回る場合、トナーに内包される離型剤が減少する傾向がみられ、好ましく無く、界面活性剤の濃度が前記の範囲を下回る場合、理由は定かではないが、トナーの耐熱保存性が悪化する傾向があり好ましく無い。特により好ましい範囲では、離型剤の内包性、トナーの耐熱保存性のバランスが良くなっており、最適な範囲である。
親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤としては、下記一般式(1)又は一般式(2)で表される界面活性剤、及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム等を用いることができる。
水系媒体に添加する親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤としては、下記一般式(1)で表される界面活性剤を用いる事により、トナーの耐熱保存性が良化する傾向が見られ好ましい。これは、該界面活性剤は、油相と水系媒体中に乳化分散させる能力が高く、離型剤のトナーへの内包性を向上させるため、であると推測される。
Figure 2014174322
(R1はC6〜C18のアルキル基を示す。)
一般式(1)で表される界面活性剤としては、下記一般式(1−1)に示す構造が好ましく、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましく用いることができる。
Figure 2014174322
また、水系媒体に添加する親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤としては、下記一般式(2)で表される界面活性剤である事も好ましく、特にR2がC14〜17が主成分である物である事がより好ましい。なお、主成分であるとの表現は、界面活性剤中の組成において、一般式(2)で表される界面活性剤のうち、最も多い割合を示す物を主成分と表現している。該界面活性剤を用いる事により、トナーへの離型剤の内包性、トナーの耐熱保存性のバランスをより良化する事が可能となる。
2−SO3Na ・・・(2)
(R2はC6〜C20のアルキル基を示す)
一般式(2)で表される界面活性剤としては、ラウリルスルホン酸ナトリウム、1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム等が挙げられ、好ましく用いることができる。
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。このとき、系内を層流の攪拌状態とし、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子を作製することができる。また、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができる。また、表面のモルフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
また、得られたトナー粒子は、必要に応じて分級操作を行い、所望の粒度分布に整えることができる。分級操作は液中でサイクロン、デカンター、及び遠心分離などにより、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子及び粗粒子は、再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。そのとき、微粒子及び粗粒子は、湿潤状態でも構わない。
得られた乾燥後のトナーの粉体、離型剤の微粒子、帯電制御剤の微粒子、及び着色剤の微粒子などの異種粒子とともに混合を行ったり、混合粉体に機械的衝撃力を与えたりすることによって、トナー表面に上述の異種粒子を固定化又は融合化させる。このように固定化又は融合化を行うことによって、トナーを核とした複合体粒子の表面から、異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)及びI式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して粉砕エアー圧カを下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、及び自動乳鉢などが挙げられる。
(外添剤)
本製造方法で得られたトナー粒子の流動性、現像性、及び帯電性を補助するために外添剤が用いられるが、この外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。
この無機微粒子の一次粒子径は、5nm以上2μm以下であることが好ましく、特に5nm以上500nm以下であることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20m2/g以上500m2/g以下であることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01質量%以上5質量%以下であることが好ましく、特に0.01質量%以上2.0質量%以下であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、及び窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に、両微粒子の平均粒径が50mμ以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力及びファンデルワールス力は格段に向上する。これにより、所望の帯電レベルを得るために行なわれる現像機内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、良好な画像品質が得ることができるようになる。さらに、転写残トナーの低減が図ることができる。
上述の外添剤として添加される酸化チタン微粒子は、環境安定性及び画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向を示すという負の面も持っている。酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、上述の副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が、0.3質量%以上1.5質量%以下の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望な帯電立ち上がり特性が得られる。すなわち、トナーによる印刷を繰り返し行っても、安定した画像品質が得ることができる。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
下記実施例において、結晶性ポリエステル樹脂、非結晶ポリエステル樹脂、ポリエステルプレポリマー等の樹脂における、酸価、水酸基価、融点、ガラス転移温度、並びに重量平均分子量及び個数平均分子量は、以下のようにして測定した。
<酸価の測定>
JIS K0070−1992に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行った。
まず、試料0.5g(酢酸エチル可溶分では0.3g)をトルエン120mLに添加して、室温(23℃)で約10時間撹拌して溶解した。
更に、エタノール30mLを添加して試料溶液とした。
電位差自動滴定装置(DL−53 Titrator、メトラー・トレド社製)及び電極DG113−SC(メトラー・トレド社製)を用いて、23℃で酸価を測定し、解析ソフトLabX Light Version 1.00.000を用いて解析した。
なお、装置には、トルエン120mLとエタノール30mLの混合溶媒を用いた。
水酸基の場合も同様の条件で測定した。
測定は、上記記載の測定方法にて計算することができるが、具体的には次のように計算した。予め、標定された0.1N水酸化カリウム/アルコール溶液で滴定し、滴定量から、式
酸価[KOHmg/g]
=滴定量[mL]×N×56.1[mg/mL]/試料質量[g]
(ただし、Nは、0.1N水酸化カリウム/アルコール溶液のファクター)
により酸価を求めた。
<水酸基価の測定>
JIS K0070−1966に記載の測定方法に準拠して以下の条件で測定を行った。
まず、試料0.5gを100mlのメスフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬5mLを正確に加えた。
その後、100℃±5℃の浴中に浸して加熱した。
1〜2時間後フラスコを浴から取り出し、放冷後水を加えて振り動かして無水酢酸を分解した。次いで、分解を完全にするため、再びフラスコを浴中で10分間以上加熱し放冷後、有機溶媒でフラスコの壁をよく洗浄した。
この液を前記電極を用いてN/2水酸化カリウムエチルアルコール溶液で電位差滴定を行い、水酸基価を求めた。
<融点及びガラス転移温度の測定>
樹脂の融点及びガラス転移温度は、DSCシステム(示差走査熱量計)(DSC−60、島津製作所製)を用いて以下のように測定した。まず、試料約5.0mgをアルミニウム製の試料容器に入れ、その試料容器をホルダーユニットに載せ、電気炉中にセットした。
次いで、窒素雰囲気下、0℃から昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱した。
その後、150℃から降温速度10℃/minにて0℃まで冷却させ、更に昇温速度10℃/minにて150℃まで加熱し、示差走査熱量計(DSC−60、島津製作所製)を用いてDSC曲線を計測した。
得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、解析プログラム中の『吸熱ショルダー温度』を用いて、昇温1回目における試料のガラス転移温度Tg1stを求め、次に、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、『吸熱ショルダー温度』を用いて、昇温2回目における試料のガラス転移温度Tg2ndを求めた。
得られたDSC曲線から、DSC−60システム中の解析プログラムを用いて、解析プログラム中の『吸熱ピーク温度』を用いて、1回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、昇温1回目における試料の融点を、2回目の昇温時におけるDSC曲線を選択し、解析プログラム中の『吸熱ピーク温度』を用いて、昇温2回目における試料の融点を求めた。
<重量平均分子量及び個数平均分子量の測定>
結晶性ポリエステルの重量平均分子量、及び個数平均分子量は次の様に測定する。
(o−ジクロロベンゼンを溶媒として用いたGPCによる分子量の測定)
145℃のヒートチャンバー中でカラムを安定させ、この温度におけるカラムに、溶離液として0.3質量%BHT入りのo−ジクロロベンゼンを毎分1mLの流速で流し、試料濃度として0.3質量%に調製した樹脂の140℃のo−ジクロロベンゼン溶解液を50μL〜200μL注入して測定した。
測定機としてWaters社製150CV型、カラムとしてShodex AT−G+AT−806MS(2本)を用いる。
試料(トナー)の分子量測定に当っては、試料の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
スライス幅は0.05秒であった。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料は、東ソー株式会社製TSK−GEL標準物質「PS−高分子キット」を用いた。
また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
<重量平均分子量及び個数平均分子量の測定>
ポリエステルの重量平均分子量、及び個数平均分子量は次の様に測定する。
重量平均分子量及び個数平均分子量は、以下の方法で測定した。ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)測定装置:GPC−8220GPC(東ソー株式会社製)カラム:TSKgel SuperHZM−H 15cm 3連(東ソー株式会社製)温度:40℃溶媒:テトラヒドロフラン(THF)流速:0.35mL/min 試料:0.15質量%の試料を0.4mL注入試料の前処理:試料をテトラヒドロフラン(THF、安定剤含有、和光純薬工業株式会社製)に0.15質量%で溶解後0.2μmフィルターで濾過し、その濾過を試料として用いた。
テトラヒドロフラン試料溶液を100μL注入して測定した。
結晶性ポリエステル樹脂の重量平均分子量Mw、個数平均分子量Mnの測定に当たっては、試料の有する分子量分布を数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の対数値とカウント数との関係から算出した。
検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、昭和電工株式会社製ShowdexSTANDARDのStd.No S−7300、S−210、S−390、S−875、S−1980、S−10.9、S−629、S−3.0、S−0.580、トルエンを用いた。
検出器にはRI(屈折率)検出器を用いた。
<結晶性ポリエステル樹脂の合成例>
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコに1,12−デカンジオール2,500g、1,8−オクタン二酸2,330g、及びハイドロキノン4.9gを入れ、180℃で20時間反応させた後、200℃に昇温して6時間反応させ、更に8.3kPaにて10時間反応させて、結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られた結晶性ポリエステル樹脂(1)の融点は64℃、重量平均分子量は5720、酸価28mgKOH/g、及び水酸基価3.5mgKOH/gであった。
(ワックス分散剤の合成例)
温度計、及び攪拌機の付いたオートクレーブ反応槽中に、キシレン600質量部、低分子量ポリエチレン(サンワックスLEL−400、軟化点128℃、三洋化成工業株式会社製)300質量部を入れ、充分溶解し、窒素置換後、スチレン2,310質量部、アクリロニトリル270質量部、アクリル酸ブチル150質量部、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート78質量部、及びキシレン455質量部の混合溶液を175℃で3時間かけて滴下して重合し、更にこの温度で30分間保持した。
次いで、脱溶媒を行い、ワックス分散剤(1)を合成した。
(非結晶性ポリエステル(低分子ポリエステル)樹脂の合成例)
窒素導入管、脱水管、攪拌器、及び熱伝対を装備した5リットルの四つ口フラスコ内に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物229質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物529質量部、イソフタル酸100質量部、テレフタル酸108質量部、アジピン酸46質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で10時間反応させた。
更に10mmHg〜15mmHgの減圧下、5時間反応させた後、反応容器に無水トリメリット酸30質量部を入れ、常圧下、180℃で3時間反応させて、非結晶性ポリエステル樹脂(1)を合成した。
得られた非結晶性ポリエステル樹脂(1)は、数平均分子量Mnが1,800、重量平均分子量Mwが5,500、ガラス転移温度が50℃、酸価が20mgKOH/gであった。
(ポリエステルプレポリマーの合成例)
冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物質量81部、テレフタル酸283質量部、無水トリメリット酸22質量部、及びジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下、230℃で8時間反応させた。
更に、10mmHg〜15mmHgの減圧下、5時間反応させて中間体ポリエステルを合成した。
得られた中間体ポリエステルは、数平均分子量Mnが2,100、重量平均分子量Mwが9,500、ガラス転移温度が55℃、酸価が0.5mgKOH/g、水酸基価が51mgKOH/gであった。
次に、冷却管、撹拌機、及び窒素導入管の付いた反応容器中に、前記合成した中間体ポリエステル410質量部、イソホロンジイソシアネート89質量部、及び酢酸エチル500質量部を入れ、100℃で5時間反応させて、ポリエステルプレポリマー(1)を合成させた。
得られたポリエステルプレポリマー(1)の遊離イソシアネート含有量は、1.53質量%であった。
(マスターバッチ(MB)の製造例)
水1,200質量部、DBP吸油量が42mL/100mg、pHが9.5のカーボンブラック(Printex35、デクサ社製)540質量部、及び前記合成した非結晶性ポリエステル樹脂(1)1,200質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合した。
次いで、2本ロールを用いて、得られた混合物を150℃で30分間混練した後、圧延冷却し、パルペライザー(ホソカワミクロン株式会社製)で粉砕して、マスターバッチ(1)を作製した。
(実施例1)
<トナーの作製>
−顔料・ワックス分散液の作製−
撹拌棒、及び温度計をセットした容器に、前記合成した非結晶性ポリエステル樹脂(1)378質量部、カルナウバワックス(WA−05 セラリカ野田社製)110質量部、前記合成したワックス分散剤(1)77質量部(ワックス分散剤の含有量はワックスに対し70質量%)、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。
次いで、容器内に、マスターバッチ(1)500質量部、及び酢酸エチル500質量部を仕込み、1時間混合し、原料溶解液を得た。
得られた原料溶解液1,324質量部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック及びワックスの分散を行った。
次いで、前記合成した非結晶性ポリエステル樹脂(1)の65質量%酢酸エチル溶液1,042.3質量部を添加し、上記条件のビーズミルで1パスし、顔料・ワックス分散液を得た。
得られた顔料・ワックス分散液の固形分濃度は50質量%であった。
−結晶性ポリエステル分散液の調製−
金属製2L容器に、結晶性ポリエステル樹脂(1)100g、及び酢酸エチル400gを入れ、75℃で加熱溶解させた後、氷水浴中で27℃/分の速度で急冷した。
これにガラスビーズ(直径3mm)500mLを投入し、バッチ式サンドミル装置(カンペハピオ社製)を用いて10時間粉砕及び分散させて、結晶性ポリエステル分散液を調製した。
−有機微粒子エマルションの合成−
撹拌棒、及び温度計をセットした反応容器内に、水683質量部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業株式会社製)11質量部、スチレン138質量部、メタクリル酸138質量部、及び過硫酸アンモニウム1質量部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。
得られた乳濁液を加熱して、系内温度75℃まで昇温し、5時間反応させた。
更に、1質量%過硫酸アンモニウム水溶液30質量部を添加し、75℃で5時間熟成させてビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液の微粒子分散液(1)を得た。
−水相の調製−
水817.0質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20.0質量%水溶液(ネオゲンS−20F、第一工業製薬株式会社製)210.0質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た。
これを水相とする。
−油相の調製−
前記調製した顔料・ワックス分散液664質量部(ワックスのトナーにおける含有量4質量%)、前記合成したポリエステルプレポリマー(1)73質量部、前記調製した結晶性ポリエステル分散液150質量部(結晶性ポリエステル樹脂のトナーにおける含有量6質量%)、及び5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(シグマアルドリッチジャパン株式会社社製)7.8質量部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5,000rpmで1分間混合し、油相とした。
−乳化及び脱溶媒−
次に、容器内に前記調製した油相850質量部、及び前記調製した水相1,200質量部を入れ、TKホモミキサーを用いて、13,000rpmで20分間混合し、乳化スラリーを得た。
得られた乳化スラリー2,050質量部に対しイオン交換水410質量部を添加したものを、撹拌機、及び温度計をセットした容器に投入し、30℃で8時間脱溶媒した後、45℃で4時間熟成させて、分散スラリーを得た。
−洗浄及び乾燥−
得られた分散スラリー100質量部を減圧濾過した後、濾過ケーキにイオン交換水100質量部を添加し、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。次いで、10質量%水酸化ナトリウム水溶液100質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで30分間混合した後、減圧濾過した。
次いで、10質量%塩酸100質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過した。
次いで、イオン交換水300質量部を添加し、TKホモミキサーを用いて、12,000rpmで10分間混合した後、濾過する操作を2回行い、濾過ケーキを得た。
得られた濾過ケーキを、循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥させ、目開き75μmメッシュで篩い、実施例1のトナー母体粒子1を作製した。
(実施例2)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水955.0質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20.0質量%水溶液(ネオゲンS−20F、第一工業製薬株式会社製)72.0質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2のトナー母体粒子2を作製した。
(実施例3)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水1014.6質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)12.4質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3のトナー母体粒子3を作製した。
(実施例4)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水1002.3質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)24.7質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例4のトナー母体粒子4を作製した。
(実施例5)
実施例1において、水相の調製を水997.0質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ラウリルスルホン酸ナトリウム(Sodium 1-Dodecanesulfonate、東京化成工業株式会社製)30.0質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5のトナー母体粒子5を作製した。
(実施例6)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水1012.6質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ラウリルスルホン酸ナトリウム(Sodium 1-Dodecanesulfonate、東京化成工業株式会社製)14.4質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例6のトナー母体粒子6を作製した。
(実施例7)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水1026.4質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム(Sodium 1-Pentadecanesulfonate、東京化成工業株式会社製)0.6質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例7のトナー母体粒子7を作製した。
(実施例8)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水1012.6質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム(Sodium 1-Pentadecanesulfonate、東京化成工業株式会社製)14.4質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例8のトナー母体粒子8を作製した。
(実施例9)
〈ワックスの合成例〉
(モノエステルワックスの調製)
ジムロート還流器、Dean−Stark水分離器を備えた4つ口フラスコ反応装置にベンゼン1740質量部、アラキジン酸(長鎖アルキルカルボン酸成分)1300質量部、べへニルアルコール(長鎖アルキルアルコール成分)1200質量部、さらにp−トルエンスルホン酸120質量部を加え十分攪拌し溶解後、5時間還流せしめた後、水分離器のバルブを開け、共沸留去を行った。共沸留去後炭酸水素ナトリウムで十分洗浄後、乾燥しベンゼンを留去した。得られた生成物を再結晶後、洗浄し精製してモノエステルワックス(1)を得た。
<トナーの作製>
−顔料・ワックス分散液の作製−
実施例1において、顔料・ワックス分散液の作成を、前記合成した非結晶性ポリエステル樹脂(1)378質量部、前記合成したモノエステルワックス(1)110質量部、前記合成したワックス分散剤(1)77質量部(ワックス分散剤の含有量はワックスに対し70質量%)、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部にした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の顔料・ワックス分散液を得た。
−水相の調製−
実施例1において、水相の調製を水835.0質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、直鎖ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムの20.0質量%水溶液(ネオゲンS−20F、第一工業製薬株式会社製)192.0質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、実施例9の水相を作製した。
−油相の調製−
前記実施例9にて調製した顔料・ワックス分散液664質量部(ワックスのトナーにおける含有量4質量%)、前記合成したポリエステルプレポリマー(1)73質量部、前記調製した結晶性ポリエステル分散液150質量部(結晶性ポリエステル樹脂のトナーにおける含有量6質量%)、及び5−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(シグマアルドリッチジャパン株式会社社製)7.8質量部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、5,000rpmで1分間混合し、油相とした。
−乳化及び脱溶媒−
次に、容器内に前記実施例9で調製した油相850質量部、及び前記実施例9で調製した水相1,200質量部を入れ、TKホモミキサーを用いて、13,000rpmで20分間混合し、乳化スラリーを得、その後は同様の操作を行ない、実施例9のトナー母体粒子9を作製した。
(実施例10)
−トナーの作製−
実施例9において、水相の調製を水1012.6質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、1−ペンタデカンスルホン酸ナトリウム(Sodium 1-Pentadecanesulfonate、東京化成工業株式会社製)14.4質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例9と同様にして、実施例10のトナー母体粒子10を作製した。
(実施例11)
−トナーの作製−
実施例9において、水相の調製を水1002.3質量部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5質量%水溶液(エレミノールMON−7、三洋化成工業株式会社製)24.7質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例9と同様にして、実施例11のトナー母体粒子11を作製した。
(実施例12)
−トナーの作製−
−油相の調製−
実施例1において、油相の調製を、ポリエステルプレポリマー(1)73質量部を等質量部数の非結晶性ポリエステル樹脂(1)にした以外は同様の操作を行ない、実施例12のトナー母粒子12を作成した。
(比較例1)
−トナーの作製−
実施例1において、顔料・ワックス分散液の作成を、前記合成した非結晶性ポリエステル樹脂(1)378質量部、パラフィンワックス(HNP−11、日本精鑞社製)110質量部、前記合成したワックス分散剤(1)77質量部(ワックス分散剤の含有量はワックスに対し70質量%)、帯電制御剤(CCA、サリチル酸金属錯体E−84、オリエント化学工業株式会社製)22質量部、及び酢酸エチル947質量部にした以外は、実施例1と同様にして、比較例1のトナー母粒子13を作成した。
(比較例2)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水985.0部、微粒子分散液(1)83.0質量部、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(エマルゲン103、花王株式会社製)42.0質量部、及び酢酸エチル90.0質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、比較例2のトナー母体粒子14を作製した。
(比較例3)
−トナーの作製−
実施例1において、水相の調製を水877.0部、微粒子分散液(1)83質量部、アルケニルコハク酸ジカリウムの28.0質量%水溶液(ラテムルASK、花王株式会社製)150.0質量部、及び酢酸エチル90質量部を混合し、乳白色の液体を得た事とした以外は、実施例1と同様にして、比較例3のトナー母体粒子15を作製した。
−外添処理−
得られた実施例1〜12及び比較例1〜3の各トナー母体粒子1〜15を100質量部に、外添剤として疎水性シリカ(HDK H2000、クラリアントジャパン社製)0.7質量部と、疎水化酸化チタン0.3質量部を、ヘンシェルミキサー(三井鉱山株式会社製)を用いて混合し、外添処理して、トナーを作製した。
上記実施例1〜12および上記比較例1〜3における、製造条件を表1に示す。
<2成分評価手法>
(定着分離性の評価)
外添処理を行ったトナー7部を、IPSIO Color8000用キャリア93部を混合し現像剤とした。
この現像剤をIPSIO Color8000に装填して、A4縦通紙で先端3mmに幅36mmのべた帯画像(付着量9g/m2)を印字した未定着画像を作製した。
この未定着画像を以下の定着装置を用いて、130℃〜190℃の範囲で10℃刻みの定着温度で定着させ、分離可能/非オフセット温度域を求めた。
当該温度域は、加熱ローラからの紙の分離が良好に行われ、オフセット現象が発生せず、かつ容易に画像はがれが起きない定着温度範囲をいう。
使用ペーパー及び通紙方向は、分離性に不利な45g/m2紙のY目の縦通紙で行った。
定着装置周速は120mm/secであった。
定着装置は、図1に示すようなフッ素系表層剤構成のソフトローラタイプのものを適用した。
詳細には、加熱ローラ11は外径40mmで、アルミ芯金13上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層14、及びPFA(四フッ化エチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)表層15を有しており、アルミ芯金内部にヒーター16を備えている。
加圧ローラ12は外径40mmで、アルミ芯金17上にシリコーンゴムからなる厚さ1.5mmの弾性体層18、及びPFA表層19を有している。
なお、未定着画像20が印字されたペーパー21は図中の矢印のように通紙される。
定着分離性の評価基準を下記に示す。
○:分離可能/非オフセット温度域が50℃以上であった。
△:分離可能/非オフセット温度域が30℃以上50℃未満であった。
×:分離可能/非オフセット温度域が30℃未満であった。
(フィルミング評価)
外添処理を行ったトナー7部を、IPSIO Color8000(リコー製商品名)用キャリア93部を混合し現像剤とした。
この現像剤をIPSIOColor8000に装填して、画像面積率12%、文字画像パターンを用いて1000枚の連続プリントを行った。
その後、現像剤の一部を取り出し、続けて10万枚の連続プリント試験を行った。
使用開始前、1000枚プリント後、連続プリント終了時のそれぞれ感光体及び中間転写体ベルト上を目視で観察評価した。
判断基準を下記に示す。
○:感光体上および中間転写体上にはフィルミングの発生がなく、全く問題なかった。
△:感光体上および中間転写体上、どちらか片方でフィルミングの発生が見られたが、
複写画像上には見えず、実用上問題なかった。
×:感光体上および/または中間転写体上にフィルミングの発生があり、画像上でも
確認でき、実用上問題があった。
(耐熱保存性)
トナーを50℃×8時間保管後、42メッシュの篩にて2分間ふるい、金網上の残存率をもって耐熱保存性の指標とした。
耐熱保存性は以下の3段階で評価した。
○:10%未満。全く問題ないレベル。
△:30〜20%。若干保存性が悪いが、実用上問題ないレベル。
×:30%以上。実用上問題のあるレベル。
(総合評価)
下記の基準により総合評価を行った。
総合評価は、定着分離性、フィルミング、耐熱保存性評価の個別評価における○、△、×の個数により決定した。
◎:個別評価にて○が3つある。
○:個別評価にて×が無く、○が2つある。
△:個別評価にて×が無く、○が1つある。
×:個別評価にて×が1つ以上ある。
下記表1の評価結果から明らかなように、実施例1〜12のトナーについて、耐オフセット性、分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性が十分に優れる結果となっており、特に実施例10、11のトナーについては特にその結果が優れる結果となっている。対して、比較例1〜3のトナーに関しては耐オフセット性、分離性、耐熱保管性、耐フィルミング性どれかに実用上問題のある結果となっている。
Figure 2014174322
11 加熱ローラ
12 加圧ローラ
13 アルミ芯金
14 弾性体層
15 PFA表層
16 ヒーター
17 アルミ芯金
18 弾性体層
19 PFA表層
20 未定着画像
21 ペーパー
特開昭63−25664号公報 特許第3393844号公報 WO2005/050328

Claims (8)

  1. 少なくとも、結着樹脂及び離型剤を含有する静電荷現像用トナーであって、該トナーは少なくとも界面活性剤を含む水系媒体中で湿式造粒法により造粒され、前記界面活性剤が親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤であり、かつ前記離型剤はエステルワックスである事を特徴とする静電荷現像用トナー。
  2. 前記水系媒体中の界面活性剤の濃度が、前記水系媒体に対して0.1〜3.0質量%の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷現像用トナー。
  3. 前記界面活性剤が、下記一般式(1)で表される界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷現像用トナー。
    Figure 2014174322
    (R1はC6〜C18のアルキル基を示す。)
  4. 前記界面活性剤が、下記一般式(2)で表される界面活性剤であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷現像用トナー。
    2−SO3Na ・・・(2)
    (R2はC6〜C20のアルキル基を示す。)
  5. 前記一般式(2)で表される界面活性剤が、一般式(2)において、R2がC14〜C17のアルキル基である物が主成分として含まれる界面活性剤である事を特徴とする請求項4に記載の静電荷現像用トナー。
  6. 前記離型剤がモノエステルワックスである事を特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
  7. 前記湿式造粒法による造粒が、少なくとも、結着樹脂及び/又は結着樹脂の前駆体、及び離型剤を含むトナー材料を有機溶剤中に溶解又は分散させる事により得たトナー材料溶液を、少なくとも界面活性剤を含有する水系媒体中に分散させる事によって懸濁液を得、該懸濁液から有機溶剤を除去する事によりトナーを造粒することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の静電荷現像用トナー。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーの製造方法であって、少なくとも、結着樹脂及び/又は結着樹脂の前駆体、及び離型剤を含有するトナー材料を有機溶剤中に溶解又は分散させる事により得たトナー材料溶液を、少なくとも界面活性剤を含有する水系媒体中に分散させる事によって懸濁液を得、該懸濁液から有機溶剤を除去する事により得られ、前記界面活性剤が親水基としてスルホン酸ナトリウムを有するアニオン系界面活性剤であり、かつ前記離型剤はエステルワックスである事を特徴とする静電荷現像用トナーの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2018155945A (ja) * 2017-03-17 2018-10-04 株式会社リコー トナー、現像剤、画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ
JP7492987B2 (ja) 2021-06-18 2024-05-30 三洋化成工業株式会社 樹脂粒子の製造方法

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