JP2014174229A - 投射光学系およびプロジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】屈折光学系と、自由曲面による2面の反射面を有し、設計上の光学的な位置関係を容易に実現できる投射光学系を実現する。
【解決手段】投射光学系は、画像表示素子10に表示される画像を拡大投影するための投射光学系であって、屈折光学系21と、第1ミラー23と、第2ミラー25と、を有し、第1および第2ミラーのミラー面形状は共に自由曲面であり、第1ミラー23は、画像表示素子側からミラー面23Aへ入射する結像光束の入射領域外に識別表示23Bを有することを特徴とする。
【選択図】図6
【解決手段】投射光学系は、画像表示素子10に表示される画像を拡大投影するための投射光学系であって、屈折光学系21と、第1ミラー23と、第2ミラー25と、を有し、第1および第2ミラーのミラー面形状は共に自由曲面であり、第1ミラー23は、画像表示素子側からミラー面23Aへ入射する結像光束の入射領域外に識別表示23Bを有することを特徴とする。
【選択図】図6
Description
この発明は、投射光学系及びプロジェクタ装置に関する。
会議等におけるプレゼンテーション用や教育用、コンピュータのデータ表示用にプロジェクタ装置が広く用いられるようになった。
プロジェクタ装置に用いられる投射光学系は、画像表示素子に表示される画像を拡大投影するための光学系である。
投射光学系として、屈折光学系と反射光学系を組み合わせたものが知られている。
「屈折光学系」は、レンズ等により結像光線を屈折させる光学系で、「反射光学系」は、結像光線を反射曲面により反射させて投射画像の結像に寄与する光学系である。
反射曲面を用いる投射光学系は、プロジェクタ装置の小型化と、近距離投射の実現の可能性を秘めて居る。
「屈折光学系」は、レンズ等により結像光線を屈折させる光学系で、「反射光学系」は、結像光線を反射曲面により反射させて投射画像の結像に寄与する光学系である。
反射曲面を用いる投射光学系は、プロジェクタ装置の小型化と、近距離投射の実現の可能性を秘めて居る。
「反射光学系」として、面形状の自由度の大きい「自由曲面」により反射面を形成することが提案されている(特許文献1〜5)。
自由曲面による反射面により反射光学系を構成することにより、被投射面上の投射画像の大画面化や高像質、近距離投射を実現できる。
特許文献2〜5は、自由曲面による反射面を2面用いた投射光学系を開示している。
特許文献2〜5は、自由曲面による反射面を2面用いた投射光学系を開示している。
投射光学系中に、自由曲面による反射面を2面用いると、1面の反射面を用いる場合に比して、反射光学系の果たすべき機能を2面の反射面に配分することができる。
このため、1面の反射面を用いる場合に比して、2面の反射面の個々の形成が容易になるなどの利点がある。
また、反射光学系の機能を2面の反射面に配分することにより「より像側に配置される反射面」の誤差感度を下げたり、光学性能を上げたりできる。
しかし反面、反射光学系に「自由曲面による2面の反射面」を用いた場合、反射面が1面である場合よりも、各反射面に要求される「位置精度」が格段に高くなる。
自由曲面による反射面が1面の場合は、屈折光学系からの結像光束を反射面で反射させ、スクリーン等の被投射面に拡大投影した状態で反射面の位置を調整できる。
投射画像の良否を決定するのは、最も目立ちやすい「投射画像の歪み」である。
拡大投影された投射画像を目視しながら反射面の位置を調整し、投射画像が最も良くなる位置(歪みが最小となる位置)として「反射面の設計上の位置」を実現するのである。
自由曲面による反射面が2面になると、このような方法を用いることができない。
即ち、投射画像は、屈折光学系と2面の反射面とにより結像するので、反射面を1面用いたのみでは投射画像を結像させることはできない。
従って、投射画像を目視しつつ調整を行うには、屈折光学系と2面の反射面の位置関係を「投射画像が結像される状態」に設定し、その上で、各反射面の位置を調整する。
しかし、「投射画像が結像される状態」で2面の反射面を独立に位置調整して「設計上の光学配置」を実現することは極めて難しい。
この発明は上述した事情に鑑み、屈折光学系と、自由曲面による2面の反射面を有し、光学的な位置関係を高い精度で容易に実現できる投射光学系の実現を課題とする。
この発明の投射光学系は、画像表示素子に表示される画像を拡大投影するための投射光学系であって、屈折光学系と、第1ミラーと、第2ミラーと、を有し、第1および第2ミラーのミラー面形状は共に自由曲面であり、前記第1ミラーは、前記画像表示素子側からミラー面へ入射する結像光束の入射領域外に識別表示を有することを特徴とする。
この発明の投射光学系は、第1ミラーが「画像表示素子側からミラー面へ入射する結像光束の入射領域外」に識別表示を有する。
従って、画像表示素子側からミラー面へ結像光束を入射させつつ、入射領域外の識別表示を目印として入射状態を調整でき、第1ミラーの設置を高い精度で実現できる。
このように第1ミラーが位置調整されたら、第1ミラーに対して第2ミラーの位置を調整して第2ミラーの設置を高い精度で実現できる。
図1に、投射光学系の実施の1形態を概念的に示す。
図1に示す投射光学系は、画像表示素子10に表示される画像を拡大投影するための投射光学系であって、屈折光学系21と、第1ミラー23と、第2ミラー25を有する。
画像表示素子10は、所謂ライトバルブで、従来から公知のCDパネルやLCOSパネル、DMD(Digital Micromirror Device)等の任意のものを用いることができる。
以下では説明の具体性のため、画像表示素子10はDMDであるとする。
画像表示素子10がDMDであるので、画像表示素子10は照明光により画像表示面を照明される。照明部の構成については後述する。
以下の説明においては、画像表示素子10の照明形態については簡略化して図示する。
投射されるべき画像は、画像表示素子10であるDMDの画像表示面に表示され、照明光により照明される。
画像表示面により反射された光束は、表示された画像に従って強度変調されている。
上記光束は、屈折光学系21、第1ミラー23、第2ミラー25により結像光束として導光され、スクリーン27上に、投射画像として拡大投射される。
「結像光束」は、画像表示素子10からスクリーン27に向かって投射光学系により導光され、投射画像の結像に寄与する光束である。
第1ミラー23、第2ミラー25はそのミラー面(以下、「反射面」とも言う。)の形状が、共に自由曲面である。
自由な形状が定義できる面の総称として自由曲面と呼ばれている。特には回転非対称な面である。
自由な形状が定義できる面の総称として自由曲面と呼ばれている。特には回転非対称な面である。
この実施の形態において、第1ミラー23は、画像表示素子10側からミラー面へ入射する結像光束の入射領域外に「識別表示」を有している。
図2は、図1における「画像表示素子10から第2ミラー25までの光路部分」を説明図として拡大して示している。
画像表示素子10は光学ハウジング30に設けられ、この光学ハウジング30に鏡胴40が設けられている。鏡胴40には屈折光学系が収納されている。
光学ハウジング30は、図示を簡略化して描いてあり、実際には後述する照明部の構成を有している。
光学ハウジング30には、第1ミラー保持部材230が固定されている。第1ミラー保持部材230は第1ミラー23を保持している。
第2ミラー25は、第2ミラー保持部材250により保持されている。
第2ミラー保持部材250は、連結部材231、233により、第1ミラー保持部材230に連結されて固定されている。
第2ミラー保持部材250は、連結部材231、233により、第1ミラー保持部材230に連結されて固定されている。
上記各部の組み付けは、以下の如くに行われる。
即ち、画像表示素子10を保持する光学ハウジング30に対して、先ず、屈折光学系を保持する鏡胴40を位置決めして固定する。
即ち、画像表示素子10を保持する光学ハウジング30に対して、先ず、屈折光学系を保持する鏡胴40を位置決めして固定する。
次に、第1ミラー23を保持した第1ミラー保持部材230の組み付けを行い、その後に、第2ミラー25を保持した第2ミラー保持部材250の組み付けを行う。
即ち、第2ミラー25の組付けは、第1ミラー23を「鏡胴40に対して高精度に位置調整」して光学ハウジング30に組付けた後に行なう。
第1ミラー23が組み付けられた状態で、第2ミラー25を保持した第2ミラー保持部材250を、連結部材231、233により第1ミラー保持部材230に組み付ける。
この状態で、第1ミラー23は鏡筒40に保持された屈折光学系に対して高精度に位置調整されている。
第1ミラー保持部材230に、第2ミラー保持部材250を介して組み付けられた第2ミラー25は、この状態で位置調整可能である。
この状態で、屈折光学系から結像光束を射出させ、第1ミラー23の反射面に入射させて反射させる。反射された光束は第2ミラー25に入射して反射される。
第2ミラー25により反射された結像光束はスクリーン上に拡大投影され、投射画像を形成する。勿論、この状態では「投射画像」は未だ適正なものではない。
スクリーン上の投射画像を目視しながら、第2ミラーの位置を調整する。
このとき、第1ミラー23が屈折光学系に対して高精度に位置決めされていないと、第2ミラー25の高精度の位置調整を行うことができない。
第1ミラー23の位置が正しくないと、スクリーンに投射される投射画像の「歪み」を、第2ミラー25の位置調整によっては解消できないからである。
以下、図3〜図8を参照して、第1ミラー23の組み付けを説明する。
説明中の実施の形態において、第1ミラー23は「透明材料である透明樹脂を基体として、その1面に薄い金属膜を反射膜として形成した構成」となっている。
説明中の実施の形態において、第1ミラー23は「透明材料である透明樹脂を基体として、その1面に薄い金属膜を反射膜として形成した構成」となっている。
基体は樹脂であるので、型による面形状の形成が容易であり、所望の自由曲面を反射面形状として成形により形成されている。
「薄い金属膜」は、このように形成された反射面形状を覆うように形成される。
金属膜は膜厚を小さくし、反射面側に入射した光の一部が膜を透過するようにする。
この「透過」の程度は、第1ミラー23の裏面側から「透過光を視認」できる程度であればよい。例えば「0.05%程度の透過率」で十分である。
この程度の透過率であれば、金属の薄い膜の「反射面」としての機能に影響しない。
所謂マジックミラー等で知られたように、極薄く蒸着された金属膜では「反射率は膜厚が厚い場合と変わらず、透過率だけを大きくする」ことが可能である。
アルミなどの金属には、特性値として消衰係数:kがあり、光が金属内を1波長進むごとに光エネルギが4πkの割合で減少することが知られている。
例えば、アルミニウムの消衰係数は500nmの光に対して6.1である。従って、蒸着する金属膜の厚さで透過率を調整できる。
金属膜をアルミニウムにより形成する場合、500nmの光に対して、0.05%の透過率を持たせる膜厚は50nm程度である。
第1ミラー23の反射面をなす薄い金属膜は0.05%の透過率を持つものとする。
第1ミラー23の基体の裏面側は「滑らかな面」に形成されている。
図3は、第1ミラー23の位置調整を説明するための図である。
第1ミラー23は、第1ミラー保持部材230に保持されている。
第1ミラー23は、第1ミラー保持部材230に保持されている。
この状態で、画像表示素子10に照明光を照射して、画像表示素子10による反射光束を鏡胴40に保持された屈折光学系に入射させる。
すると、屈折率光学系から射出した結像光束は、第1ミラー23の反射面に入射する。
第1ミラー23の反射面は薄い金属膜により形成され、金属膜は0.05%程度の透過率を有するから、入射した結像光束の光量の0.05%程度が金属膜を透過する。
第1ミラー23の「金属膜による反射面を形成された基体」は透明樹脂であるので、金属膜を透過した光は基体をも透過し、第1ミラー23の裏面側から視認される。
例えば、投射画像の明るさが3000ルーメンである場合であれば、第1ミラー23に入射する結像光束の光量は3000ルーメン強である。
この場合、透過率を0.05%とすれば、第1ミラー23を透過する光量は1.5ルーメンであり、暗室内であれば十分に視認可能である。
この場合、透過率を0.05%とすれば、第1ミラー23を透過する光量は1.5ルーメンであり、暗室内であれば十分に視認可能である。
第1ミラー23は、その反射面側に「識別表示」を有する。
図6は、第1ミラー23の反射面23Aへの結像光束の入射状態を説明図的に示している。図中の符号FLXで示す部分は、反射面に入射した結像光束の光束断面である。
図6は、第1ミラー23の反射面23Aへの結像光束の入射状態を説明図的に示している。図中の符号FLXで示す部分は、反射面に入射した結像光束の光束断面である。
図6において、符号23Bで示すのは「識別表示」である。
識別表示23Bは、画像表示素子側から反射面23Aへ入射する結像光束の入射領域外の4箇所に、入射領域を取り囲むように形成されている。
図3に示すように、暗室内で、第1ミラー23の反射面に結像光束を入射させ、位置調整作業を行う作業者は、第1ミラー23の裏面側から入射状況を観察する。
このとき、作業者は、図6に示された光束断面FLXと識別表示23Bとを、第1ミラー23を透過した光により視認することになる。
第1ミラー23の基体の裏面側は「滑らかな面」に形成されているので、光束断面FLXと識別表示23Bは裏面側から明瞭に目視できる。
識別表示23Bは、結像光束の第1ミラー23への「適正な入射状態」を定めるように形成されている。
即ち、図6に示すように、識別表示23Bで囲まれた反射面領域の中心と、光束断面FLXの中心が一致した状態が「適正な入射状態」である。
従って、図3に示すように、作業者は、第1ミラー23の裏面側から「光束断面FLXと識別表示23Bとの位置関係」を目視して、第1ミラー23の位置を調整する。
即ち、「識別表示23Bで囲まれた反射面領域の中心と、光束断面FLXの中心」を一致させるように第1ミラー23の位置調整を行う。
この位置調整が実現できたら、その状態を第1ミラー23の適正位置とし、第1ミラー23と屈折光学系の位置関係を固定する。
この「位置関係の固定」は適宜に行なえば良い。
例えば、第1ミラー保持部材230を、光学ハウジング30に対して、図3の左右方向に平行移動可能にしておく。
そして、第1ミラー保持部材230を平行移動させて、光学ハウジング30に対する位置調整を行う。
この平行移動の方向は「画像表示素子10の画像表示面に平行な方向」である。
第1ミラー保持部材230を光学ハウジング30に固定したら、図4に示すように、第1ミラー保持部材230に対して第1ミラー23を変位させて位置調整する。
そして、調整後に、第1ミラー23を第1ミラー保持部材230に、接着剤やバネなどで固定する。
この場合には、第1ミラー23の周縁部に、第1ミラー保持部材230に対して滑らせて変位させることができるように平面部を形成しておく。
あるいは、予め、第1ミラー保持部材230に対して第1ミラー23を位置調整して固定的に保持させておく。
そして、第1ミラー23の裏面側から、結像光束と識別表示23Bの位置関係を目視しながら、第1ミラー保持部材230と第1ミラー23とを一体として変位させる。
この変位は、図5の矢印のように、第1ミラー保持部材230の平行移動により行う。
第1ミラー23の適正な位置調整ができたら、第1ミラー保持部材230を光学ハウジング30に接着等により固定する。
さらには、上に述べた2つの方法を組み合わせて行っても良い。
なお、このとき、画像表示素子の画像表示面の「屈折光学系による像(以下「中間像」と言う。)」が、第1ミラー23の反射面近傍に結像するようにすることが好ましい。
識別表示の例を、図7、図8に示す。
識別表示を、凹部による段差23bや23cのようにすると「ミラー面の自由曲面」を加工するときに同時加工が可能である。
また、ミラー面の中心に対して高い位置精度で加工可能である。
段差23bや23bに当たった結像光束部分は、段差により拡散され、あるいは屈折して進行方向が変化し、第1ミラー裏面側に透過して作業者の目に入る光量が減少する。
あるいは、第1ミラーの裏面で反射された一部の光が段差を照射して段差を視認可能とする。
このように、識別表示は「第1ミラーの裏面側で作業者の目に入る光量が、他の部位に比べて減少する構成」であればよい。
従って、識別表示は、段差でなく「粗し面」や「黒インクなどの印刷」加工で形成しても良い。
前記凹部による段差に代えて「凸部による段差」として識別表示を形成しても良い。
第1ミラーの裏面は、裏面全体を「凸面」とし、この凸面による屈折により「光束断面と識別表示」を拡大して観察できるようにすると、位置調整の作業が容易になる。
上記の如くして、第1ミラー23の「屈折光学系に対する位置関係」を固定した後に、第2ミラー保持部材を第1ミラー保持部材230に対して組付ける。
即ち、図2に示すように、第2ミラー25を保持する第2ミラー保持部材250を、連結部材231、233により第1ミラー保持部材230に組み付ける。
この状態では、上記の如く、第1ミラー23は鏡筒40に保持された屈折光学系に対して高精度に位置調整されている。
第1ミラー保持部材230に、第2ミラー保持部材250を介して組み付けられた第2ミラー25は、この状態では位置調整可能である。
この状態で、屈折光学系から結像光束を射出させ、第1ミラー23の反射面に入射させて反射させ、第1ミラー23側から第2ミラー25に入射して反射される。
第2ミラー25により反射された結像光束はスクリーン上に拡大投影され、投射画像を形成する。勿論、この状態では「投射画像」は未だ適正なものではない。
スクリーン上の投射画像を目視しながら、投射画像の歪みを解消するように第2ミラー25を変位させて、第2ミラー25を適正な位置に調整する。
このようにして、第2ミラー25の位置調整が終わったら、連結部材231、233により、第2ミラー保持部材250を第1ミラー保持部材230に固定する。
さらに、第2ミラー25を第2ミラー保持部材250に固定する。
このようにして、屈折光学系に対して、第1ミラー23、第2ミラー25の位置が適正に実現される。
このようにすることにより、屈折光学系に対する第2ミラー25の位置精度も向上し、画質の改善を図ることができる。
上には、第1ミラー23の位置調整を行って組み付けた後に、スクリーン上に投射された投射画像を目視しながら、第2ミラーの位置を調整する場合を説明した。
このようにする代わりに、第2ミラー25の位置調整も、第1ミラー23の位置調整と同様にして行うことも可能である。
即ち、第2ミラー25も、透明材料である樹脂の自由曲面形状としてミラー面形状を形成された基体に薄い金属膜を反射面として形成し、さらに識別表示を形成しておく。
金属膜の厚さの調整により、入射結像光束の0.05%程度の光量が第2ミラーを透過するようにする。
図9は、このように形成した第2ミラー25aを、第2ミラー保持部材251に保持させ、第2ミラー保持部材251を光学ハウジング30に載置した状態を示している。
図10に示すように、第1ミラー23により反射されて第2ミラー25aに入射する結像光束と識別表示の位置関係を、第2ミラー25aの裏面側から目視する。
作業者は、この目視状態で、入射結像光束の光束断面の中心が、識別表示の中心と合致するように第2ミラー25aを位置調整する。
位置調整は、第2ミラー保持部材251全体を光学ハウジング30に対して図の左右方向へ平行移動させて行う。
入射結像光束の光束断面の中心が、識別表示の中心と合致したら、第2ミラー保持部材251を光学ハウジング30に対してネジ止めなどの手段で固定する。
このようにして、第2ミラー25aの位置調整を実現できる。
なお、第2ミラー保持部材251を光学ハウジング30に固定した後に、さらに、第2ミラー25aの傾きを調整すれば、より高精度な組み付けを実現できる。
以下に、投射光学系の具体的な例を挙げる。
この投射光学系は、画像表示素子であるDMDに表示される画像を、画面サイズ(投射画像の対角長):48〜80インチまで拡大して投射可能なものである。
画面サイズが48インチであるときの、DMDからスクリーンに到る結像光束の光路図を図11に示す。
図11においても、図1におけると同様に、符号10により画像表示素子、符号21により屈折光学系、符号23により第1ミラー、符号25により第2ミラーを示す。
また、図11において、符号27はスクリーンを示す。
図12は、図11に示す「画像表示素子10から第2ミラー25までの光路部分」を拡大して示している。
図12に示すように、投射光学系は、屈折光学系21と、第1ミラー23と、第2ミラー25とを有している。
屈折光学系21は、画像表示素子10の側から順に、正屈折力の第1群211、負屈折力の第2群212、負屈折力の第3群213、正屈折力の第4群214を配してなる。
第1群211は「フォーカシングに際しては固定」され、第2群212、第3群213と第4群214は「フォーカシング時に可動」である。
第1ミラー23、第2ミラー25は共に凹面形状であり、何れも自由曲面である。
屈折光学系のデータを、表1に示す。表1に示すデータにおいて、面の「間隔」は、80インチの投射画像を拡大投射したときのデータである。
面番号:23〜28のレンズ面は、非球面である。
非球面は、光軸方向の非球面量:D、光軸からの高さ:H、近軸曲率:C、楕円定数:K、高次の非球面係数:E4、E8、E10・・を用い周知の「数1」により表される。
上記各非球面のデータを表2に示す。
また、画面サイズ:80インチと48インチでの「フォーカスによるレンズ群間隔の変化」を表3に示す。
さらに、屈折光学系のうち、第1ミラーに最も近いレンズ面(面番号:28)の頂点を基準として、第1ミラー、第2ミラーおよびスクリーンの位置の変化を表4に示す。
第1ミラーと第2ミラーは「フォーカス時に不動」だが、第1ミラーに最も近い第4群の像側面(面番号:28)は移動する。
従って、面番号:28のレンズ面と第1、第2ミラー相対的な位置関係は変化する。
第1ミラー、第2ミラーの反射面形状は「自由曲面」であるが、この明細書において、自由曲面は次の「数2」によって表される。
数2において、「z」は、z軸に平行なサグ量、「c」は、頂点曲率(CUY)、「k」は楕円定数、「Cj」は係数である。
第1ミラー、第2ミラーの反射面をなす自由曲面のデータを、表5、表6に示す。
表5、表6において、例えば、「C19*X**2*Y**5」は、「C19×X2×Y5」を表す。
図12に示されたように、第1ミラー23、第2ミラー25は共に「凹面」であるが、「凹面の深さ」は、第1ミラー23に比して第2ミラー25のほうが深い。
即ち、第1ミラー23の凹面は、第2ミラー25の凹面に比して弱い曲がりである。
このようにすると、第1ミラー23の誤差感度が、第2ミラー25の誤差感度に比して小さくなる。
このため、第1ミラー23の位置調整においては「ミラー面の傾き調整」を省略することもできる。
また、図11に示されたように、画像表示素子10の画像表示面に立てた法線n1と、スクリーン27に立てた法線n2とは、互いに直交する。
従って「投射距離」は、第2ミラー25の頂部からスクリーン27までの距離であり、投射空間はこの投射距離とX方向の投射長さを掛けた体積で示される。
「X方向」は、図12で左右方向であり、「X方向の長さ」は、画像表示素子10から、スクリーン27上のC’点までの距離である。
このような構成により、スクリーンを傾けたり、あるいはプロジェクタ装置本体を傾けたり、プロジェクタ装置内部で投射光学系を傾ける必要がなくなる。
従って、投射空間の最小化と簡便な設置が可能になる。
若干付言すると、屈折光学系と2枚のミラーを用いる投射光学系では、画像表示面に立てた法線とスクリーンに立てた法線を直交させない構成のものもある。
このようにすることにより、歪曲収差や像面湾曲の補正が容易になる場合や、屈折光学系と2枚のミラーとの間の光線のけられを防止できる場合があるからである。
しかし、これを実施すると「画像表示素子を床に平行に設置するようなプロジェクタ」では、プロジェクタとスクリーンを傾けて設置する必要があり不便である。
逆に、画像表示素子を「プロジェクタ装置の内部で傾ける」ように構成すると、プロジェクタ装置が大型化し易い。
図11以下を参照して説明中の実施の形態では、上記の如く、スクリーンやプロジェクタ装置本体を傾ける必要や、プロジェクタ装置内部で投射光学系を傾ける必要がない。
従って、最も投射空間を小さくでき、プロジェクタ装置自体を小型で、簡便な設置を可能とすることができる。
投射光学系の説明中の具体例では、図12に示すように、画像表示素子10の画像表示面の「屈折光学系による中間像」が、第1ミラー23の反射面近傍に結像する。
このようにすることにより、第1ミラー23の裏面側から、結像光束の入射領域に対する視認性が良くなっている。
このような構成を採り、複数の画面サイズ(本実施例では48〜80インチ)でのフォーカスを可能にするには、フォーカス構造を工夫する必要がある。
説明中の形態例では、第1ミラー23と第2ミラー25を固定とし、屈折光学系21の内部で、画面サイズごとに屈折光学系の像面湾曲を変化させる。
図11において、画面サイズを48インチよりも大きくするには、スクリーン27を図の下方向に移動させ、屈折光学系21内で第2〜第4群を移動させて実現する。
第2〜第4群の移動は、表3、表4に従って行なわれる。
なお、図11において、上下方向がY方向で、図の下方をY方向の負の向きとする。
このとき、スクリーン27上のA’点とC’点では「スクリーン27に入射する光線角度が大きく異なる(A’点では38°、C’点では73°)。
このため、スクリーン27を動かした時のピント合わせのためのフォーカシング量が、A'点とC’点で大きく異なる。
従って、屈折光学系21の内部で「像面湾曲を変化させるようなフォーカス操作」が必要となる。説明中の形態例では,第2〜第4群の移動がこの役割を担っている。
このように、自由曲面を持つ第1、第2ミラーを、フォーカス時に固定とすることで、屈折光学系と第1、第2ミラーとの位置精度が高めることができている。
第1ミラーの自由曲面化は「投射光学系全体の像面湾曲補正」にも寄与している。
図12に示すように、屈折光学系21の光軸AXに最も近い画素の1次像(中間像)は、第1ミラー23と第2ミラー25の間の光路上に結像している。
また、別の画素の中間像は、屈折光学系21と第1ミラー23との間の光路上に結像している。
「中間像全体」は、画像表示素子の画像表示面に対して「アンダーな像面湾曲」を有する。
このため「全ての画素が、第1ミラー23の近傍にバランス良く中間像を形成する」ことになり、第1ミラーの位置調整の際に、作業者の視認性が良くなる。
近時、スクリーンに対するプロジェクタ装置の設置位置が、従来よりも極端に近いプロジェクタ装置(超至近プロジェクタ装置)が広まりつつある。
超至近プロジェクタ装置には、スクリーンの近くに立つプレゼンタの目に、投射光が入る眩しさを避ける効果がある。
また、プレゼンタの説明を聞く聴講者の近くにプロジェクタ装置が置かれる状況が避けられるので、聴講者は排気・騒音の悪影響を受け難い利点もある。
上に説明した投射光学系では、このような超至近プロジェクタ装置を実現可能である。
最後に、画像表示素子10がDMDである場合の、照明部の構成については説明する。
図13は、照明部を説明図的に示している。
図に示す如く、リフレクタを有するランプ1からの光をインテグレータロッド(4つのミラーを組み合わせてトンネル状にしたライトパイプ)3の入口に集光する。
光はインテグレータロッド3内のミラー面で反射を繰り返し、インテグレータロッド3の出口では「光量むらが一様な状態」となる。
この出口を「光量むらが一様な面光源」とし、出口からの光をレンズ系5、ミラー7、9により画像表示素子10の画像表示面に導光し、面光源の像として結像させる。
このようにして、画像表示素子10の画像表示面は「一様な照度分布」で照明され、投射光学系によるその拡大像であるスクリーン上の投射画像も一様な照度分布となる。
画像表示素子10であるDMDは「揺動可能な多数の微小ミラーをアレイ配列したデバイス」で、微小ミラーの角度を±12°の範囲で変えることができる。
従って、例えば、微小ミラーの角度が−12°のとき、照明光の反射光が投射光学系に入射し、+12°のときは入射しないように設定する。
そして、各微小ミラー傾斜角度を制御することにより、スクリーン上にデジタル画像を投射することができる。
若干補足する。
この発明の投射光学系では、第1ミラーの反射面を薄い金属膜で形成する場合、前述の如く、透過率は0.05%程度、望ましくは0.05%以上である。
この発明の投射光学系では、第1ミラーの反射面を薄い金属膜で形成する場合、前述の如く、透過率は0.05%程度、望ましくは0.05%以上である。
第1ミラーの位置調整の際には、結像光束を第1ミラーに入射させつつ裏面側から目視する。
投射画像としてカラー画像を表示するような場合、照明光源には通常、赤、緑、青の3種の単色光源が用いられる。
従って、第1ミラーの位置調整のために用いる結像光束としては、上記3種の単色光の何れかを用いれば良いが、比較的目に対する刺激の少ない緑色光を用いるのが好ましい。
緑色光は、波長:550nm付近であるから、このような場合には金属膜の透過率を、550nm近傍の波長の光に対して0.05%(あるいはそれ以上)に設定すればよい。
また、第1ミラーは、屈折光学系からの結像光束の光路を「折り曲げる」機能を持つため、ミラー面への光線入射角度は45°の両側に平均的に分散する。
従って、第1ミラーの金属膜の透過率は、反射面への光線入射角45°近辺での透過率が0.05%となるようにすることが好ましい。
第2ミラーにも金属膜による反射面を形成し、透過光により位置調整をするような場合には以下のようにするのが良い。
即ち、「反射面への光線入射角の平均値に対して、0.05%(あるいはそれ以上)の透過率になる」ように透過率を設計する。
第2ミラーにおいては、反射面への光線入射角度が、設計によって区々であるからである。
上の説明では、ミラー面の透過率制御を「金属膜の厚さ」で行なっているが、透過率制御は、これに限らず、例えば「誘電体多層膜」によって行っても良い。
また、上の説明においては、第1ミラーや第2ミラーの位置調整の際に、裏面からの目視により行っている。
しかし、これに限らず、ミラー面への結像光束の入射状況を、ミラー面の表面側から目視して位置調整を行うようにしても良い。
10 画像表示素子
21 屈折光学系
23 第1ミラー
25 第2ミラー
23A 第1ミラーの反射面
23B 識別表示
21 屈折光学系
23 第1ミラー
25 第2ミラー
23A 第1ミラーの反射面
23B 識別表示
Claims (12)
- 画像表示素子に表示される画像を拡大投影するための投射光学系であって、
屈折光学系と、第1ミラーと、第2ミラーと、を有し、
第1および第2ミラーのミラー面形状は共に自由曲面であり、
前記第1ミラーは、前記画像表示素子側からミラー面へ入射する結像光束の入射領域外に識別表示を有することを特徴とする投射光学系。 - 請求項1記載の投射光学系において、
第1ミラーのミラー面の識別表示は、ミラー面に対して凹部もしくは凸部の段差として形成されていることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1または2記載の投射光学系において、
第1ミラーは、透明材料を基体とし、前記基体の表面側に金属膜を反射膜として有し、
前記金属膜は、裏面側から視認できる光を透過させる透過率を有し、前記基体の裏面側は滑らかな面であることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜3の任意の1に記載の投射光学系において、
第1ミラーの裏面は凸面であることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜4の任意の1に記載の投射光学系において、
少なくとも画像表示素子の画像表示面に平行な方向に位置調整可能で、調整後に固定できる第1ミラー保持部材を有することを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜5の任意の1に記載の投射光学系において、
第1ミラーは、第1ミラーを保持する第1ミラー保持部材に対して、位置調整可能であり、調整後に前記第1ミラー保持部材に固定できることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜6の任意の1に記載の投射光学系において、
第2ミラーを保持する第2ミラー保持部材は、第1ミラー保持部材に取り付け可能で、且つ、前記第1ミラーに対して傾き調整可能で、傾き調整後に前記第1ミラー保持部材に固着できることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜7の任意の1に記載の投射光学系において、
第1及び第2ミラーのミラー面形状は、共に凹面の自由曲面であり、
前記第1ミラーの凹面は、第2ミラーの凹面に比して弱い曲がりであることを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜8の任意の1に記載の投射光学系において、
第2ミラーは、第1ミラー側からミラー面へ入射する結像光束の入射領域外に識別表示を有することを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜9の任意の1に記載の投射光学系において、
フォーカス時に、第1および第2ミラーを固定し、屈折光学系の内部のレンズを移動させてピント合わせを行なうことを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜10の任意の1に記載の投射光学系において、
画像表示素子の画像表示面に立てた法線と、画像を投射される被投射面に立てた法線が直交することを特徴とする投射光学系。 - 請求項1〜11の任意の1に記載の投射光学系を有するプロジェクタ装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013044681A JP2014174229A (ja) | 2013-03-06 | 2013-03-06 | 投射光学系およびプロジェクタ装置 |
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JP2013044681A JP2014174229A (ja) | 2013-03-06 | 2013-03-06 | 投射光学系およびプロジェクタ装置 |
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JP2014174229A true JP2014174229A (ja) | 2014-09-22 |
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JP2013044681A Pending JP2014174229A (ja) | 2013-03-06 | 2013-03-06 | 投射光学系およびプロジェクタ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN108799954A (zh) * | 2018-08-27 | 2018-11-13 | 上海岗消网络科技有限公司 | 一种投影式消防安全出口标志装置 |
WO2023207560A1 (zh) * | 2022-04-29 | 2023-11-02 | 华为技术有限公司 | 光学显示器及交通工具 |
-
2013
- 2013-03-06 JP JP2013044681A patent/JP2014174229A/ja active Pending
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