JP2014174020A - 吊荷の重心計測装置及び吊荷の重心計測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンテナの重心位置を簡易かつ迅速に計測することができ、実用性が高い吊荷の重心計測装置を提供する。
【解決手段】上記課題を解決するための吊荷の重心計測装置10は、コンテナ50に係止される複数の係止部と、複数の前記係止部に掛かる荷重を検出する荷重センサ18と、コンテナ50に生じる傾斜角度を検出する傾斜センサと、を備え、且つコンテナ50の巻き上げ量を検出可能なスプレッダ12と、予め与えられたコンテナ50の重量並びにスプレッダ12の重量と、スプレッダ12を吊下する吊り索長さの初期値、前記巻き上げ量、荷重センサ18による検出荷重、および前記傾斜センサによる検出傾斜角度に基づいて、コンテナにおける鉛直方向の重心位置を算出する演算手段20と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】上記課題を解決するための吊荷の重心計測装置10は、コンテナ50に係止される複数の係止部と、複数の前記係止部に掛かる荷重を検出する荷重センサ18と、コンテナ50に生じる傾斜角度を検出する傾斜センサと、を備え、且つコンテナ50の巻き上げ量を検出可能なスプレッダ12と、予め与えられたコンテナ50の重量並びにスプレッダ12の重量と、スプレッダ12を吊下する吊り索長さの初期値、前記巻き上げ量、荷重センサ18による検出荷重、および前記傾斜センサによる検出傾斜角度に基づいて、コンテナにおける鉛直方向の重心位置を算出する演算手段20と、を有することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、重量物等の吊り上げ、および移載に関する技術であり、特に、吊り上げ、移載に係る重量物等の重心を計測するための技術に関する。
港湾等において荷降ろしされるコンテナは、その重量や内容物に関しては、その情報が提供されている。一方で、コンテナのバンニング(荷詰め)状態は、運搬に際して問われないため、重心位置に偏りが生じたり、重心位置が高く、不安定な状態となっているものも少なくない。このような実状を一因として、近年、荷降ろししたコンテナを積載したトレーラの横転事故が多発している。
このため、トレーラの運転手には、少なくとも積載するコンテナの重心位置(特に高さ方向の重心位置)がどのような状態であるのかを認識させておくことが、横転事故を抑制する一助となると考えられている。
このような背景の下、コンテナ等の積荷の重心位置を測定する技術として、特許文献1や特許文献2に開示されているようなものが提案されている。特許文献1に開示されている技術は、コンテナを積載したトレーラをそのまま、計測装置に載せることで、その重量バランスや、車体を揺動させた際の揺れに基づいて、重心位置を算出するというものである。
また、特許文献2に開示されている技術は、クレーンを介してトレーラに荷降ろしする際に、コンテナの重心位置を算出するという技術である。具体的な構成として、特許文献2に開示されている技術では、コンテナを4本の索条(ワイヤ)により吊り上げて移載を行うことが前提とされている。そして、各ワイヤには、荷重センサと傾斜センサが設けられている。そして、コンテナを鉛直方向に吊上げた際に各ワイヤに掛かる重量のバランスに基づいて、コンテナの水平方向の重心を算出する。また、コンテナを水平移動させた際に、慣性により生ずるワイヤの傾斜角度とコンテナの重量、およびコンテナの水平方向のバランスに基づいて、コンテナの鉛直方向の重心を求めるというものである。
上記特許文献に開示されているような技術によれば、確かにコンテナの重心位置を求めることができ、コンテナを積載するトレーラの運転手に注意を促すことができる。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、コンテナをトレーラに積載した後に、トレーラを別途設けられた計測装置まで移動させ、個別に計測を行う必要がある。このため、時間的ロスはもちろん、コンテナを積載したトレーラ全てを測定することは困難であると考えられる。また、計測装置は、大型で高価なものとなるため、設置スペースや費用の問題も生ずる。
しかし、特許文献1に開示されている技術では、コンテナをトレーラに積載した後に、トレーラを別途設けられた計測装置まで移動させ、個別に計測を行う必要がある。このため、時間的ロスはもちろん、コンテナを積載したトレーラ全てを測定することは困難であると考えられる。また、計測装置は、大型で高価なものとなるため、設置スペースや費用の問題も生ずる。
また、特許文献2に開示されている技術は、ワイヤの傾斜を検出することが必須要件とされている。このため、荷降ろしされるコンテナ全てに対し、個別に4本のワイヤを人手により固定する作業を要する。よって、荷降ろしされるコンテナが多い場合には、人的労力が膨大となってしまう。
このように、従来開示されている技術はいずれも、理論的には可能であるが、実用するに際しては問題が生ずるというものである。
そこで本発明では、コンテナの重心位置を簡易かつ迅速に計測することができ、実用性が高い吊荷の重心計測装置、及びその方法を提供することを目的とする。
そこで本発明では、コンテナの重心位置を簡易かつ迅速に計測することができ、実用性が高い吊荷の重心計測装置、及びその方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明に係る吊荷の重心計測装置は、吊荷に係止される複数の係止部と、複数の前記係止部に掛かる荷重を検出する荷重センサと、前記吊荷に生じる傾斜角度を検出する傾斜センサと、を備え、且つ前記吊荷の巻き上げ量を検出可能な吊荷吊上げ手段と、予め与えられた前記吊荷の重量並びに前記吊荷吊上げ手段の重量と、前記吊荷吊り上げ手段を吊下する吊り索長さの初期値、前記巻き上げ量、前記荷重センサによる検出荷重、および前記傾斜センサによる検出傾斜角度に基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出する演算手段と、を有することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する吊荷の重心計測装置において前記演算手段は、変化する検出値を時系列データとして蓄積し、この蓄積データに基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出するようにすると良い。
このような特徴を有することによれば、計測値に生ずるノイズや、運動系のモデル化等による誤差によって生ずる断片的な値による算出値の偏りを抑制し、真値に近い重心位置の算出を行うことが可能となる。
このような特徴を有することによれば、計測値に生ずるノイズや、運動系のモデル化等による誤差によって生ずる断片的な値による算出値の偏りを抑制し、真値に近い重心位置の算出を行うことが可能となる。
また、上記のような特徴を有する吊荷の重心計測装置では、前記演算手段は、算出された前記吊荷の鉛直方向の重心位置に基づいて、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を算出し、当該せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出するようにしても良い。
また、水平方向の重心位置を算出する場合には、前記荷重センサが、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重も計測可能とし、前記演算手段は、計測された前記せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出するようにしても良い。
このような特徴を有することにより、重心位置を三次元的に求めることができる。
このような特徴を有することにより、重心位置を三次元的に求めることができる。
さらに、上記のような特徴を有する吊荷の重心計測装置では、前記演算手段により演算された前記吊荷における鉛直方向の重心位置、または前記吊荷における鉛直方向の重心位置および水平方向の重心位置を視認可能に表示する表示手段を備えるようにしても良い。
このような特徴を有することにより、表示手段を参照することで、コンテナの重心位置を容易に把握することが可能となる。
このような特徴を有することにより、表示手段を参照することで、コンテナの重心位置を容易に把握することが可能となる。
また、上記目的を達成するための本発明に係る吊荷の荷重計測方法は、複数の吊り点により係止して吊荷を吊上げ移動する際に、予め与えられた前記吊荷の重量並びに前記吊荷を吊上げる吊上げ手段の重量と、前記吊荷を吊下する吊り索長さの初期値、前記吊荷を吊り上げる際の巻き上げ量、前記吊り点に負荷される荷重、および前記吊荷の傾斜角度に基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出することを特徴とする。
また、上記のような特徴を有する吊荷の重心計測方法では、前記吊荷を吊上げ移動する際に変化する前記巻上げ量、前記荷重、および前記傾斜角度の時系列データを蓄積し、この蓄積データに基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出するようにすると良い。
このような特徴を有することによれば、計測値に生ずるノイズや、運動系のモデル化等による誤差によって生ずる断片的な値による算出値の偏りを抑制し、真値に近い重心位置の算出を行うことが可能となる。
さらに、上記のような特徴を有する吊荷の重心計測方法では、前記吊荷の鉛直方向の重心位置に基づいて、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を算出し、当該せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出することもできる。
なお、水平方向の重心位置を算出する場合には、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を計測し、当該計測したせん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出するようにしても良い。
このような特徴を有することにより、重心位置を三次元的に求めることができる。
なお、水平方向の重心位置を算出する場合には、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を計測し、当該計測したせん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出するようにしても良い。
このような特徴を有することにより、重心位置を三次元的に求めることができる。
上記のような特徴を有する吊荷の重心計測装置、および方法によれば、コンテナの重心位置を簡易かつ迅速に計測することができる。よって、コンテナの全数検査が可能となるなど、従来に比べ実用性を向上させることができる。
以下、本発明の吊荷の重心計測装置、および方法に係る実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態では、吊荷としてコンテナを挙げ、吊荷吊上げ手段としスプレッダを挙げて説明しているが、本発明が適用できる限りであれば、吊荷は、コンテナに限らず、吊荷吊上げ手段はスプレッダに限らないことは、いうまでもない。
図1は、本発明の吊荷の重心計測装置の全体構成を示す図である。
本実施形態に係る吊荷の重心計測装置(以下、単に重心計測装置10と称す)は、吊荷吊上げ手段としてのスプレッダ12と、演算手段20とを基本として構成され、表示手段30や入力手段(不図示)等が付帯されている。
本実施形態に係る吊荷の重心計測装置(以下、単に重心計測装置10と称す)は、吊荷吊上げ手段としてのスプレッダ12と、演算手段20とを基本として構成され、表示手段30や入力手段(不図示)等が付帯されている。
スプレッダ12は、コンテナ50上部に配置される吊具である。図1に示す例では、下面側四隅(図1では、一方の側面からの視点なので2点)に、コンテナ50に形成された係止孔と係止する係止部としての吊り金具17が配置されている。スプレッダ12をコンテナ50上部に配置し、係止孔(吊り孔)に挿入された吊り金具17を回転させてロックすることで、スプレッダ12を介したコンテナ50の吊り上げが可能となる。各吊り金具17にはそれぞれ、荷重センサ18が内蔵して配置されている。荷重センサ18は、吊り金具17の軸線方向に負荷される荷重を計測することができる構成とすれば良い。
また、スプレッダ12には、物理量センサとしての傾斜センサ(不図示)が配置、あるいは内在されている。傾斜センサとしては、移動方向に直交する水平軸回り(具体的には重心回り)の傾斜角度θを計測することができるものであれば良い。なお、図1に示す例では、コンテナ回りの回転角度がθであるように示しているが、コンテナ50とスプレッダ12は、吊り上げ状態では、一体物と仮定して扱うことができる。
スプレッダ12は、図示しないクレーンのブーム60上を横行するトロリ62に吊下され、トロリ62の移動に倣って移動すると共に、トロリ62による巻き上げ、あるいは巻き下げ動作に従って昇降する。よって、トロリ62の移動速度xtやスプレッダ12の巻き上げ量、巻き下げ量yrは、クレーンの制御値として知ることができる。
演算手段20は、荷重センサ18、並びに傾斜センサにより検出されたデータと、クレーンの制御データとして与えられるスプレッダ12の巻き上げ(巻き下げ)量yr、およびクレーンの設計値として与えられているスプレッダ12の重量msやスプレッダに生ずる重心回りの慣性モーメントJs、スプレッダ12を昇降させる吊り索長さの初期値Lr、並びに吊荷データとして与えられているコンテナの重量mc等に基づいて、コンテナ50における鉛直方向の重心位置hcや水平方向の重心位置A、Bを算出する役割を担う。演算手段20は、有線、または無線、あるいはその両方の手段により、荷重センサ18や傾斜センサからの計測データ、およびクレーンからの制御データを受信可能に構成されている。よって、無線を用いて計測データを受信する場合には、スプレッダ12やクレーン制御部に、図示しない送信手段が付帯され、演算手段20に図示しない受信手段が付帯されることとなる。
演算手段20には少なくとも、入出力制御部22、補助記憶部24、主記憶部26、演算部28等が備えられている。入出力制御部22は、インターフェース等のデータ入出力に関する接続・変換部である。補助記憶部24は、ハードディスクやフラッシュメモリ等の記憶部である。主記憶部26は、演算部28による処理に寄与するメモリである。演算部28は、CPUである。入出力制御部22、補助記憶部24、主記憶部26、および演算部28は、バスを介して相互にデータの授受を可能に接続されている。
このような基本構成を有する演算手段20では、各種センサにより検出されたデータや、制御値として与えられたデータ、および既知の値として予め与えられた重量データ等が、入出力制御部22を介して入力され、補助記憶部24に記録される。補助記憶部24には、コンテナ50における鉛直方向の重心位置や水平方向の重心位置を算出するために必要な演算プログラムが記録されており、演算部28が当該プログラムを主記憶部26に読み出して演算が実行される。演算は、実行プログラムに応じて、補助記憶部24に記録された計測データを読み出し、実行プログラムへの入力データとしてプログラムへの代入が行われることにより成される。
演算により算出された、コンテナ50における鉛直方向の重心位置hcや水平方向の重心位置A、Bは、補助記憶部24に一次記録され、入出力制御部22を介して出力されることで、表示手段30に表示される。
表示手段30は、演算手段20により算出されたコンテナ50における鉛直方向の重心位置や、水平方向の重心位置を作業者、管理者、あるいはコンテナ50を積載するトレーラの運転手が視認可能なように表示するモニタ等である。なお、表示手段30を介した重心位置の表示は、数値的なものであっても、画像的なものであっても良い。
なお、入力手段は、重心位置を計測するために必要とされる情報を入力するための手段であれば良い。
なお、入力手段は、重心位置を計測するために必要とされる情報を入力するための手段であれば良い。
次に、このような構成の重心計測装置10を用いた重心の算出方法について説明する。
図1に示すように、コンテナ50を吊荷としてスプレッダ12を介して吊り索にて吊り下げた場合、コンテナ50とスプレッダ12は、一体物としてみなすことができ、運動系としては、単振子としてみなすことができる。
図1に示すように、コンテナ50を吊荷としてスプレッダ12を介して吊り索にて吊り下げた場合、コンテナ50とスプレッダ12は、一体物としてみなすことができ、運動系としては、単振子としてみなすことができる。
ここで、クレーン側の制御値として、トロリ62の横行速度をxt、吊り索の巻き上げ(巻き下げ)量、すなわちスプレッダ12の昇降変位量をyrとして、予め知ることができる。また、スプレッダ12の重量ms、並びに重心位置や、重心位置回りの慣性モーメントJsや、コンテナの重量mc、およびスプレッダ12とコンテナ50の重量の合算値mscについては、既知の値として予め知ることができる。
コンテナ50とスプレッダ12を一体物とした質量系の単振子として、減衰や吊り索の変動を考慮して運動方程式を立てると、数式1のように示すことができる。
・・・(数式1)
ここで、Lrは、既知の値としての、吊り索長さの初期値である。また、Jscは、スプレッダ12とコンテナ50を合わせた物体の重心回りの慣性モーメントである。なお、θは、傾斜センサによる検出値、すなわち一体物の傾斜角度である。
・・・(数式1)
ここで、Lrは、既知の値としての、吊り索長さの初期値である。また、Jscは、スプレッダ12とコンテナ50を合わせた物体の重心回りの慣性モーメントである。なお、θは、傾斜センサによる検出値、すなわち一体物の傾斜角度である。
また、図1に示すモデルにおいて、コンテナ50単体での回転運動を運動方程式で示すと、数式2のように表すことができる。
・・・(数式2)
ここで、Jcは、コンテナの重心回りの慣性モーメント、Fax1、Fax2は、吊り金具17の長手方向の引張荷重、Fsh1、Fsh2は、せん断方向(引張荷重と直角方向)にかかる荷重である。
・・・(数式2)
ここで、Jcは、コンテナの重心回りの慣性モーメント、Fax1、Fax2は、吊り金具17の長手方向の引張荷重、Fsh1、Fsh2は、せん断方向(引張荷重と直角方向)にかかる荷重である。
また、スプレッダ12単体での回転運動を運動方程式で示すと、数式3のように表すことができる。
・・・(数式3)
ここで、gは重力加速度であり、Cθは振子運動に伴う空気抵抗や機械摩擦等による減衰係数である。Cθは、計算、試験、過去の実績データなどで、あらかじめ精度良く確定しておくことができる。また、hscは、スプレッダ12の重心位置からスプレッダ12とコンテナ50を合わせた一体物としての重心位置までの鉛直距離であり、
・・・(数式4)
で示すことができる。なお、数式4においてHは、スプレッダ12の重心位置とコンテナ50の重心位置との間の鉛直距離(重心間距離)である。
・・・(数式3)
ここで、gは重力加速度であり、Cθは振子運動に伴う空気抵抗や機械摩擦等による減衰係数である。Cθは、計算、試験、過去の実績データなどで、あらかじめ精度良く確定しておくことができる。また、hscは、スプレッダ12の重心位置からスプレッダ12とコンテナ50を合わせた一体物としての重心位置までの鉛直距離であり、
・・・(数式4)
で示すことができる。なお、数式4においてHは、スプレッダ12の重心位置とコンテナ50の重心位置との間の鉛直距離(重心間距離)である。
次に、コンテナ50の力学的釣合について、トロリ62を基点とした単振子としての半径方向の釣合を数式5に、トロリ62を基点とした単振子としての接線方向の釣合を数式6にそれぞれ示す。
・・・(数式5)
・・・(数式6)
ここで、rmcsは、スプレッダ12とコンテナ50を合わせた一体物としての重量に対するスプレッダ12の重量の割合であり、
・・・(数式7)
で示すことができる。
・・・(数式5)
・・・(数式6)
ここで、rmcsは、スプレッダ12とコンテナ50を合わせた一体物としての重量に対するスプレッダ12の重量の割合であり、
・・・(数式7)
で示すことができる。
数式5を鉛直方向の重心間距離Hについて移項すると、数式8を得ることができる。
・・・(数式8)
この数式を解くことで、重心間距離Hを求めることができる。しかし、数式8によれば、単振子における角加速度が0となった場合、分母が0、あるいは0付近となることが頻繁に生じるということを読み取ることができ、このような状態では、計算が成り立たない場合が頻繁に生ずることを理解することができる。
・・・(数式8)
この数式を解くことで、重心間距離Hを求めることができる。しかし、数式8によれば、単振子における角加速度が0となった場合、分母が0、あるいは0付近となることが頻繁に生じるということを読み取ることができ、このような状態では、計算が成り立たない場合が頻繁に生ずることを理解することができる。
また、計測値には、ノイズやモデル化等による誤差が含まれている。このため、動的な要素の全時系列データを蓄積し、統計的な処理で重心間距離Hの算出を行うようにすることで、これらの問題を避けて、算出精度を上げることができる。
このように、時系列データの蓄積に基づいて重心間距離Hの推定を行うためのアルゴリズムを数式9に示す。数式9は、鉛直方向の釣合式である数式5の両辺をコンテナ50の重量mcで除することで、加速度に関する釣合式とした上で移項して両項の差をとり、これを2乗することで得ることができる。
・・・(数式9)
数式9を展開すると、数式10を得ることができる。
・・・(数式10)
ここで、
・・・(数式11)
と定めた場合、数式10は、重心距離Hについての2次式として、数式12のように表すことができる。
・・・(数式12)
・・・(数式9)
数式9を展開すると、数式10を得ることができる。
・・・(数式10)
ここで、
・・・(数式11)
と定めた場合、数式10は、重心距離Hについての2次式として、数式12のように表すことができる。
・・・(数式12)
数式12は、各瞬間で成り立つはずであるが、実際には、計測値のノイズなどで誤差を生ずる。この誤差を相殺・抑制するために、重心距離Hについての係数a、b、およびcを全時系列について積算する。すなわち、
・・・(数式13)
ここで、asum、bsum、csumは、それぞれ数式14で示すとおりである。
・・・(数式14)
ここで、Σは、全時系列にわたるデータの加算を表し、θ、yr、Fax1、Fax2の計測値はノイズを含むものとする。数式13のError(H)を最小にするHopt(Hの最適算出値)は、数式15のように示すことができる。
・・・(数式15)
なお、θに誤差を含まない場合は、数式8の分母と分子のΣをとれば、数式15とほぼ同じになるが、一般には、時系列データに基づく補正から導き出される数式15を使う方が望ましい。Hoptについての時系列的変化(収束)の様子を、図2に示す。図2に示す例では、Hの真値が2.1(m)であるのに対し、演算による最終的な収束値は、2.15(m)となっており、所定の時間が経過した後(図2に示す例では、約35秒後以降)には、ほぼ真値に漸近していることを読み取ることができる。なお、このような重心推定値の収束の仕方は、計測ノイズの大きさ等によって異なる。
・・・(数式13)
ここで、asum、bsum、csumは、それぞれ数式14で示すとおりである。
・・・(数式14)
ここで、Σは、全時系列にわたるデータの加算を表し、θ、yr、Fax1、Fax2の計測値はノイズを含むものとする。数式13のError(H)を最小にするHopt(Hの最適算出値)は、数式15のように示すことができる。
・・・(数式15)
なお、θに誤差を含まない場合は、数式8の分母と分子のΣをとれば、数式15とほぼ同じになるが、一般には、時系列データに基づく補正から導き出される数式15を使う方が望ましい。Hoptについての時系列的変化(収束)の様子を、図2に示す。図2に示す例では、Hの真値が2.1(m)であるのに対し、演算による最終的な収束値は、2.15(m)となっており、所定の時間が経過した後(図2に示す例では、約35秒後以降)には、ほぼ真値に漸近していることを読み取ることができる。なお、このような重心推定値の収束の仕方は、計測ノイズの大きさ等によって異なる。
これによれば、クレーンによるコンテナ単体の荷役作業の所要時間を約1分とした場合、コンテナの吊り上げからトレーラ等への積載までの間に、ほぼ真値に近い鉛直方向重心間距離Hを推定することができるということになる。
上記のようにして重心間距離Hを算出した後、重心間距離Hから、既知の値であるhs(スプレッダ12の重心位置から吊り金具17の中心までの鉛直距離)を減ずることにより、コンテナ50の上端(吊り金具17の中心)からコンテナ50の重心位置までの鉛直距離hcを求めることができる(数式16参照)。
・・・(数式16)
・・・(数式16)
鉛直方向の重心間距離Hを算出した後には、コンテナ50の接線方向の釣合式である数式6に基づき、せん断方向の荷重であるFsh1、Fsh2を求めることができる。そして、この値と、重心間距離Hを数式3に代入することで(重心間距離Hは、hscの項に代入)、コンテナ50の幅方向端部から重心位置までの水平距離AとBの関係式を得ることができる。そして、A+B=Lの関係式との連立により、水平距離A、Bを求めることができる。
なお、数式3における水平距離A、Bの係数としてのFax1、−Fax2は、やはり計測誤差を含んでいるので、重心間距離Hの推定アルゴリズムと同様の統計的算出アルゴリズムとすることができる。水平距離A、Bに関する推定値の時系列的変化(収束)の様子について、図3に示す。
ここで、A、Bに関する推定値は、数式3をA、Bに関する方程式として変換し、数式17を得て、上述したA+B=Lの関係式との連立によって得られる関係式に全時系列データの積算を行うことで得ることができる。
すなわち、
・・・(数式17)
ただし、RHS3は、数式18とする。
・・・(数式18)
そして、数式17、およびA+B=Lに基づいてA、Bについての方程式をたてると、それぞれ数式19に示すものとなる。
・・・(数式19)
ここで、計測ノイズを考慮して、重心間距離Hの推定の場合と同様に、全時系列データの積算を行う。この際、定義として、数式20を定める。すなわち、
・・・(数式20)
として、A、Bの推定値Acal、Bcalを数式21より求めるようにすれば良い。
・・・(数式21)
ここで、A、Bに関する推定値は、数式3をA、Bに関する方程式として変換し、数式17を得て、上述したA+B=Lの関係式との連立によって得られる関係式に全時系列データの積算を行うことで得ることができる。
すなわち、
・・・(数式17)
ただし、RHS3は、数式18とする。
・・・(数式18)
そして、数式17、およびA+B=Lに基づいてA、Bについての方程式をたてると、それぞれ数式19に示すものとなる。
・・・(数式19)
ここで、計測ノイズを考慮して、重心間距離Hの推定の場合と同様に、全時系列データの積算を行う。この際、定義として、数式20を定める。すなわち、
・・・(数式20)
として、A、Bの推定値Acal、Bcalを数式21より求めるようにすれば良い。
・・・(数式21)
なお、荷重センサ18等により、せん断力Fsh1とFsh2が直接計測できるときは、重心間距離Hを求めた後、数式3から水平距離A、Bを算出することができる。また、数式5、数式6が重心間距離Hの算出に使えることになるので、両式の線形和をとるなどにより、情報量を増やして推定精度を上げることができる。
このように、本実施形態に係る重心計測装置10によれば、既存のコンテナクレーンによるコンテナ50の荷役作業中に、コンテナ50の重心位置hc(鉛直方向距離)、およびA、B(水平距離)を算出することができる。通常のコンテナ50の荷役作業中に、コンテナ50の重心位置の三次元的な算出が可能となるため、荷役作業の効率を低下させることが無い。
また、トレーラ等に積載する前に、ほぼリアルタイムにコンテナ50の重心位置を算出することができるため、コンテナ50積載時にトレーラ等の運転手に、コンテナ50の重心位置の算出結果を伝達、表示することが可能となる。
なお、上記説明では、運動系のモデルを平面的(2次元的)に示し、吊り点を2点として説明した。しかしながら、図中奥行き方向のデータを加え、吊り点を4点としてモデル化することで、3次元モデルとしての重心計測を行うことができる。
10………重心計測装置、12………スプレッダ、17………吊り金具、18………荷重センサ、20………演算手段、22………入出力制御部、24………補助記憶部、26………主記憶部、28………演算部、30………表示手段、50………コンテナ、60………ブーム、62………トロリ。
Claims (9)
- 吊荷に係止される複数の係止部と、複数の前記係止部に掛かる荷重を検出する荷重センサと、前記吊荷に生じる傾斜角度を検出する傾斜センサと、を備え、且つ前記吊荷の巻き上げ量を検出可能な吊荷吊上げ手段と、
予め与えられた前記吊荷の重量並びに前記吊荷吊上げ手段の重量と、前記吊荷吊り上げ手段を吊下する吊り索長さの初期値、前記巻き上げ量、前記荷重センサによる検出荷重、および前記傾斜センサによる検出傾斜角度に基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出する演算手段と、
を有することを特徴とする吊荷の重心計測装置。 - 前記演算手段は、変化する検出値を時系列データとして蓄積し、この蓄積データに基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項1に記載の吊荷の重心計測装置。
- 前記演算手段は、算出された前記吊荷の鉛直方向の重心位置に基づいて、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を算出し、当該せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の吊荷の重心計測装置。
- 前記荷重センサは、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重も計測可能とし、
前記演算手段は、計測された前記せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の重心計測装置。 - 前記演算手段により演算された前記吊荷における鉛直方向の重心位置、または前記吊荷における鉛直方向の重心位置および水平方向の重心位置を視認可能に表示する表示手段を備えることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の吊荷の重心計測装置。
- 複数の吊り点により係止して吊荷を吊上げ移動する際に、予め与えられた前記吊荷の重量並びに前記吊荷を吊上げる吊上げ手段の重量と、前記吊荷を吊下する吊り索長さの初期値、前記吊荷を吊り上げる際の巻き上げ量、前記吊り点に負荷される荷重、および前記吊荷の傾斜角度に基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出することを特徴とする吊荷の重心計測方法。
- 前記吊荷を吊上げ移動する際に変化する前記巻上げ量、前記荷重、および前記傾斜角度の時系列データを蓄積し、この蓄積データに基づいて、前記吊荷における鉛直方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項6に記載の吊荷の重心計測方法。
- 前記吊荷の鉛直方向の重心位置に基づいて、前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を算出し、当該せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項6または7に記載の吊荷の重心計測方法。
- 前記吊荷に負荷されるせん断方向の荷重を計測し、当該せん断方向の荷重を利用して、前記吊荷における水平方向の重心位置を算出することを特徴とする請求項6または7に記載の吊荷の重心計測方法。
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-
2013
- 2013-03-08 JP JP2013047336A patent/JP2014174020A/ja active Pending
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