JP5961856B2 - 重心位置検出装置、重心位置検出方法およびプログラム - Google Patents
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Description
これにより、特許文献1に記載のコンテナ重心位置検出装置では、コンテナを開封することなしに、コンテナの重心位置を容易に特定することができる。特に、特許文献1に記載のコンテナ重心位置検出装置では、コンテナの高さ方向についても重心位置を特定することができる。
また、本発明の他の一態様による重心位置検出方法は、上述の重心位置検出方法であって、前記実測値取得ステップでは、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも前記吊荷が加速または減速または回転している時刻を含む時系列のデータにて取得し、前記重心位置算出ステップでは、前記吊荷の状態モデルとして前記吊荷の運動モデルを用い、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を設定する数値設定ステップと、前記数値設定ステップで設定した値を前記運動モデルに適用して、前記実測値取得ステップで取得した前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値の測定時刻における、前記変数の値を求める変数値演算ステップと、前記変数値演算ステップで取得した前記変数の値を評価し、評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている前記吊荷の重心位置を前記重心位置算出ステップでの算出結果とする評価ステップとをさらに具備し、前記評価ステップでの評価結果が前記所定の条件を満たさない場合、前記数値設定ステップで、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を再設定することを特徴とする。
また、本発明の他の一態様によるプログラムは、上述のプログラムであって、前記コンピュータに、前記実測値取得ステップでは、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも前記吊荷が加速または減速または回転している時刻を含む時系列のデータにて取得させ、前記重心位置算出ステップでは、前記吊荷の状態モデルとして前記吊荷の運動モデルを用いさせ、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を設定する数値設定ステップと、前記数値設定ステップで設定した値を前記運動モデルに適用して、前記実測値取得ステップで取得した前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値の測定時刻における、前記変数の値を求める変数値演算ステップと、前記変数値演算ステップで取得した前記変数の値を評価し、評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている前記吊荷の重心位置を前記重心位置算出ステップでの算出結果とする評価ステップとをさらに実行させ、前記評価ステップでの評価結果が前記所定の条件を満たさない場合、前記数値設定ステップで、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を再設定させることを特徴とする。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態における重心位置検出装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、重心位置検出装置10は、実測値取得部11と、重心位置算出部12とを具備する。
ここで、図2は、重心位置検出装置10が重心位置検出対象とする吊荷の例を示す説明図である。同図では、クレーンのトロリ910と、ロープ920と、スプレッダ930と、コンテナC11とが示されており、コンテナC11は、スプレッダ930に把持されてロープ920にてトロリ910から吊るされている。
以下では、スプレッダ930とコンテナC11とを合わせて一体の剛体とみなし、吊荷800と表記する。
以下では、トロリやジブなどロープを支持している物を「ロープ支持物」と称する。また、ロープがロープ支持物に支持されている位置を「上部吊点位置」と称する。また、吊荷がロープに支持されている位置を「吊荷吊点位置」と称する。
ここでいう吊荷の状態モデルとは、ロープに吊るされている吊荷を力学的に模擬するモデルである。例えば、吊荷が吊るされている状態を示すデータが満たすべき条件を示す状態方程式が、吊荷の状態モデルの一例に該当するがこれに限らない。重心位置算出部12は、吊荷が吊るされている状態を示すデータに基づいて、当該状態における他のデータを算出可能な様々な状態モデルを用いることができる。
これにより、重心位置検出装置10は、当該吊荷の重心の高さ(高さ方向の重心位置)を求めることができる。
このため、吊荷が吊るされている状態を示すデータを1つの状態についてのみ取得したのでは、吊荷の重心の高さ(垂直方向についての吊荷の重心位置)を確定することができない。
特に、重心位置検出装置10は、放射線を用いずに吊荷の重心の高さを求めることができ、吊荷の放射線透過量にかかわらず、当該吊荷の重心の高さをより正確に求めることができる。
第2の実施形態では、第1の実施形態で説明した重心位置検出装置10を更に具体化した一例について説明する。
図3は、本発明の第2の実施形態における重心位置検出装置の機能構成を示す概略ブロック図である。同図において、重心位置検出装置100は、実測値取得部110と、重心位置算出部120と、表示部130とを具備する。重心位置算出部120は、前処理部121と、数値設定部122と、変数値演算部123と、評価部124とを具備する。
なお、以下では、実測値取得部110が取得する、吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を「吊り状態実測値」と称する。また、吊荷の加速度と角加速度とを無視し得る状態を、吊荷の「静定状態」と称する。
ここでいう吊荷の運動モデルとは、ロープに吊るされている吊荷の運動を力学的に模擬するモデルである。吊荷の運動モデルは、吊荷の状態モデルの一例に該当し、吊荷の速度または吊荷の加速度または吊荷の角速度または吊荷の角加速度のうち少なくとも何れか1つを示す変数を含んで構成される。
すなわち、実測値取得部110が、吊荷が移動または加速または減速または回転している時刻における吊り状態実測値を取得するのに応じて、重心位置算出部120は、吊荷の移動または加速または減速または回転を表現可能なモデルを用いて吊荷の重心位置を算出する。
ここでいう吊荷を吊るす力は、吊荷を吊るすロープが作用させる力、または、当該ロープに作用する力である。吊荷を吊るす力として、吊荷吊点位置においてロープが吊荷に作用させる力を用いてもよいし、上部吊点位置においてロープ支持物がロープに作用させる力を用いてもよい。例えば、図2の例においてスプレッダ930が、4箇所の吊荷吊点位置の各々に張力計を具備し、当該張力計の検出する張力(従って、吊荷吊点位置におけるロープ張力)を、吊荷を吊るす力として用いるようにしてもよい。あるいは、トロリ910が4箇所の上部吊点位置の各々に張力計を具備し、当該張力計の検出する張力(従って、上部吊点位置におけるロープ張力)を、吊荷を吊るす力として用いるようにしてもよい。あるいは、上部吊点位置においてロープ支持物がロープに作用させる力からロープ重量分の力を減算した補正後の力を、吊荷を吊るす力として用いるようにしてもよい。
一方、前処理部121が、吊荷荷重や水平方向における吊荷の重心位置を取得することで、吊荷の運動モデルにおける未知定数の数を減らすことができる。これにより、重心位置検出装置100が吊荷の重心位置を検出する際の負荷を軽減でき、また、検出精度を向上させ得る。
あるいは、未知定数の数を減らさない場合でも、これらの未知定数に初期値を与えることで、重心位置検出装置100が吊荷の重心位置を検出する際の負荷を軽減させ、かつ、検出精度を向上させ得る。すなわち、前処理部121が実測値に基づいて算出する吊荷重量や水平方向における吊荷の重心位置は、実際の値に近いことが期待される。重心位置算出部120が、この実際の値に近い初期値から演算を開始することで、以下に説明する数値設定部122、変数値演算部123および評価部124が行う処理の繰り返しが少なくて済み、また、より高精度に吊荷の重心位置を検出し得る。
変数値演算部123は、数値設定部122が設定した値を運動モデルに適用して、実測値取得部110が取得した吊り状態実測値の測定時刻における、変数の値を求める。なお、以下では、実測値取得部110が取得した吊り状態実測値の測定時刻を「実測値のサンプリング時刻」と称する。
まず、ある時刻における吊荷の並進についての運動方程式は、例えば式(1)のように示される。
また、fi(iは、1≦i≦n(nはロープの本数)の正整数)は、i番目のロープが吊荷に与える力を示し、gは重力加速度を示し、fdは、吊荷に対して並進方向の力として作用する外力を示す。
また、ある時刻における吊荷の重心回りの回転についての運動方程式は、例えば式(2)のように示される。
例えば外力として一定の横風による力を想定する場合、スカラ定数fdxおよびfdyを風パラメータとして式(3)のように示される。
また、外力を、吊荷に対して水平方向に作用する正弦波の強さの力と見做す場合、スカラ定数fdx、fdy、aおよびbを風パラメータとして式(4)のように示される。
ここで、i番目のロープが吊荷に与える力fiや、当該ロープが吊荷の重心回りに与えるモーメントniは、トロリの位置pt(t)(括弧内のtは時刻を示す)や、ロープ長li(t)や、吊荷の位置や、吊荷の速度や、吊荷の姿勢や、吊荷の角速度や、吊荷の(吊荷内における)重心位置や、ロープの特性に基づいて得ることができる。また、トロリの位置やロープ長は検出可能である。また、吊荷の重心位置は一定であり未知定数として示される。
従って、式(1)および式(2)に示される運動方程式は、式(5)に示される12変数(pc、vc、θおよびω)の1階常微分方程式に変形することができる。
この1階常微分方程式の各変数に初期値を与えれば、ルンゲ・クッタ法等の解法を用いて、時刻毎の各変数の値を算出できる。いわば、シミュレーション開始時刻における変数値を設定し、運動モデルを用いてシミュレーションを行うことで、サンプリング時間毎の変数値を得ることができる。
また、各ロープが吊荷に与える力の大きさ|fi|も、計算過程で得ることができる。
具体的には、まず、数値設定部122が、式(5)に含まれる変数(pc、vc、θおよびω)の初期値および未知定数の値を設定する。例えば、数値設定部122は、式(5)に含まれる未知定数として、吊荷の慣性テンソルや、吊荷の高さ方向の重心位置や、風パラメータの値を設定する。また、前処理部121が吊荷重量を算出しない場合、数値設定部122は、吊荷重量も未知定数として、その値を設定する。また、前処理部121が水平方向における吊荷の重心位置を算出しない場合、数値設定部122は、水平方向における吊荷の重心位置も未知定数として、その値を設定する。
なお、以下では、運動モデル(例えば式(5))に含まれる未知定数を纏めて、ベクトルxと表記する。
なお、変数値演算部123が用いる運動方程式の解法は、ルンゲ・クッタ法に限らない。変数値演算部123は、例えばオイラー法など様々な解法を用いることができる。
また、変数値演算部123が用いる運動方程式は、1階の常微分方程式に限らない。例えば、2階常微分方程式に基づいてサンプリング周期毎の変数値を得るためのアルゴリズムを利用可能な場合、変数値演算部123が、2階常微分方程式の運動方程式を用いるようにしてもよい。
具体的には、実測値取得部110が取得する吊り状態実測値、または、吊り状態実測値から算出可能な値が、評価対象値として予め設定されている。そして、評価部124は、変数値演算部123が取得した変数の値から得られる評価対象値と、実測値取得部110が取得する吊り状態実測値から得られる評価対象値との差の大きさを評価する。なお、以下では、変数値演算部123が取得した変数の値から得られる評価対象値を「評価対象演算値」と称する。また、実測値取得部110が取得する吊り状態実測値から得られる評価対象値を「評価対象実測値」と称する。
このように、評価部124は、変数値演算部123が取得した変数の値の評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている吊荷の重心位置を重心位置算出部120の算出結果とする。
また、評価部124は、評価対象値についても様々な値を用いることができる。
特に、吊荷吊点位置または上部吊点位置に張力計が既に設置されている場合、吊荷を吊るす力を評価対象値とすることで、新たなセンサを設置する必要がない。この点において、センサを増設するコストを抑制できる。
吊荷の傾きは風の影響を受けにくいため、吊荷の傾きを評価対象値とすることで、重心位置検出装置100は、風の強い状況下でも吊荷の重心位置を高精度にて検出することができる。
この方法では、誤差評価する変数の数が多いため、重心位置検出装置100は、吊荷の重心位置を高精度にて検出することができる。
あるいは、評価部124が、上記の3つの方法で得られる誤差評価値の重み付け平均をとるなど、複数の方法で得られる誤差評価値の重み付け平均または重み付け合計を算出して評価を行うようにしてもよい。
その際、数値設定部122は、誤差評価値がより小さくなるように、変数の初期値および未知定数の値の再設定を行う。
ただし、重心位置検出装置100が吊荷の重心位置を出力する方法は、吊荷の重心位置を視覚的に表示する方法に限らず、様々な方法を用いることができる。例えば、重心位置検出装置100が、スピーカを具備し、吊荷の重心位置の視覚的表示に代えて、あるいは当該視覚的表示に加えて、吊荷の重心位置を音声にて出力するようにしてもよい。あるいは、重心位置検出装置100が、吊荷の重心位置を示すデータを、サーバ装置または表示装置など他機器に出力するようにしてもよい。
図5は、重心位置検出装置100が吊荷の重心位置を検出する処理の手順を示すフローチャートである。重心位置検出装置100は、例えば、吊荷の重心位置検出を指示するユーザ操作に応じて同図の処理を開始する。あるいは、吊荷が地切りすると重心位置検出装置100が同図の処理を開始するなど、重心位置検出装置100が自動的に処理を開始するようにしてもよい。
また、前処理部121は、水平方向における吊荷の重心位置を算出する(ステップS103)。例えば、前処理部121は、地切り直後における、各ロープの吊荷を吊るす力のバランスに基づいて、水平方向における吊荷の重心位置を算出する。
一方、打ち切り条件が成立したと判定した場合(ステップS107:YES)、表示部130が、重心位置算出部120の算出した吊荷の重心位置を表示する(ステップS121)。その後、同図の処理を終了する。
これにより、重心位置検出装置100は、吊荷が静定状態となっていなくても吊荷の重心位置を検出することができる。従って、例えば吊荷が揺れている場合にトロリを静止させて吊荷が静定状態となるのを待つなど、吊荷の重心位置を検出するために荷役作業を中断する必要がない。この点において、重心位置検出装置100は、荷役効率を低下させずに吊荷の重心位置を検出することができる。
特に、重心位置検出装置100は、荷役効率を低下させずに吊荷の高さ方向の重心位置を検出することができる。
このように、評価部124が変数値の演算の打ち切りを決定するまで、数値設定部122が変数の初期値や未知定数の値を再設定し、変数値演算部123が変数値を求めることで、重心位置検出装置100は、吊荷の重心位置を高精度にて検出することができる。
評価部は、吊荷を吊るす力を評価対象値として、変数値演算部123が取得した変数の値を評価する。
これのより、吊荷吊点位置または上部吊点位置に張力計が既に設置されている場合、吊荷を吊るす力を評価対象値とすることで、新たなセンサを設置する必要がない。この点において、センサを増設するコストを抑制できる。
図6は、吊荷本体の重心位置および吊具の重心位置の例を示す説明図である。同図において、吊荷本体の例としてコンテナC11が示され、吊具の例としてスプレッダ930が示されている。また、pgは吊荷800(吊荷全体)の重心位置を示し、psgはスプレッダ930の重心位置を示す。また、pcgはコンテナC11の重心位置を示す。
ここで、スプレッダ930の重量をmsで示し、コンテナC11の重量をmcで示すと、吊荷800の重量mは式(9)のように示される。
また、基準点回りのモーメントについて、式(11)が成り立つ。
図7は、2次元空間における座標設定の例を示す説明図である。同図では、トロリの走行方向にx座標が設定され、垂直方向にy座標が設定されている。一方、トロリの横行方向の座標は設定されていない。例えば、トロリの横行量が少ない場合など、横行方向の運動の影響が小さい場合、重心位置算出部120が、図7に示す2次元空間における吊荷の運動モデルを用いて吊荷の重心位置(特に、吊荷の高さ方向の重心位置)を求めるようにしてもよい。
これにより、吊荷の運動モデルに含まれる変数の個数を減らすことができ、変数値演算部123は、より簡単に変数の値を算出することができる。
第3の実施形態では、第1の実施形態で説明した重心位置検出装置10を更に具体化したもう一つの例について説明する。
本実施形態における重心位置検出装置の機能構成は、図1に示す構成と同様であり、以下、図1を参照して説明する。但し、本実施形態において、実測値取得部11は、吊り状態実測値を、吊荷の静定状態において取得する。
特に、実測値取得部11は、吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値に、吊荷の回転量(回転角度)の実測値と、吊荷の位置の実測値とを含んで取得する。
ここでいう吊荷の静的モデルとは、静定状態にある吊荷を力学的に模擬するモデルであり、吊荷の状態モデルの一例に該当する。また、吊荷の静的モデルは、吊荷の速度を示す変数や吊荷の加速度を示す変数や吊荷の角速度を示す変数や吊荷の角加速度を示す変数のいずれも含まない。
特に、重心位置算出部12は、吊荷の回転量と、吊荷における、ロープに吊るされている箇所の位置と、ロープがロープ支持物に支持されている箇所の位置と、吊荷の重心位置とを示す変数を含む吊荷の状態モデルと、実測値取得部11が取得した実測値とに基づいて、吊荷の重心位置を算出する。
同図において、吊荷800とロープ920とが示されている。
また、点FR1、FL1、AR1およびAL1は上部吊点位置を示す。上部吊点位置の中心位置を原点として、トロリの走行方向にx座標を設定し、横行方向にy座標を設定し、垂直方向にz座標を設定する。但し、座標系の取り方はこれに限らず、様々な座標系を採用し得る。
なお、以下では、上部吊点位置の座標を、FR1(x1FR,y1FR,z1FR)、FL1(x1FL,y1FL,z1FL)、AR1(x1AR,y1AR,z1AR)およびAL1(x1AL,y1AL,z1AL)と表記する。
なお、以下では、吊荷吊点位置の初期位置の座標を、FR2(x2FR,y2FR,z2FR)、FL2(x2FL,y2FL,z2FL)、AR2(x2AR,y2AR,z2AR)およびAL2(x2AL,y2AL,z2AL)と表記する。
また、点O’は、移動後の吊荷吊点の中心位置を示す。また、点Gは、移動後の吊荷の重心位置を示す。なお、第2の実施形態の場合と異なり、第3の実施形態では、「’」は変数名の一部であり、時間微分を示すものではない。
以下では、重心回りの回転量のx成分(リスト)をxsと表記し、y成分(トリム)をysと表記し、z成分(スキュー)をzsと表記する。リストxsやトリムysは、例えばスプレッダ上にx座標方向、y座標方向のそれぞれに傾斜計を設置して検出し得る。また、スキューzsは、例えばジャイロや振れセンサで検出し得る。
また、吊荷吊点の中心位置に対する吊荷の重心位置の偏心量は未知である。以下では、吊荷吊点の中心位置に対する吊荷の重心位置の偏心量のx座標成分をdx、y座標成分をdy、z座標成分をdzと表記する。
また、平行移動後の吊荷重心位置(xg,yg,zg)は、式(15)のように示される。
また、平行移動後の吊荷吊点位置の座標から平行移動後の吊荷重心位置の座標を減算することで、平行移動後の吊荷吊点位置の座標を、平行移動後の吊荷重心位置を原点とする座標系における座標に変換することができる。従って、平行移動後の吊荷吊点位置FR3の座標系を変換した座標FR4(x4FR,y4FR,z4FR)は、式(16)のように示される。
移動後の吊荷吊点位置FL5(x5FL,y5FL,z5FL)、AR5(x5AR,y5AR,z5AR)、AL5(x5AL,y5AL,z5AL)についても同様である。
また、移動後の吊荷吊点中心位置O’(xh5,yh5,zh5)は、移動後の吊荷吊点位置に基づいて式(18)のように示される。
また、上部吊点位置FR1と吊荷吊点位置FR5とを結ぶロープの張力tens_FRは式(20)のように示される。
上部吊点位置FL1と吊荷吊点位置FL5とを結ぶロープの張力tens_FL、上部吊点位置AR1と吊荷吊点位置AR5とを結ぶロープの張力tens_AR、上部吊点位置AL1と吊荷吊点位置AL5とを結ぶロープの張力tens_ALについても同様である。
ロープの自然長rope_lと、ヤング率rope_yと、ロープの断面積rope_aと、上部吊点位置FR1の座標と、吊荷吊点位置の初期位置FR2、FL2、AR2、AL2の各座標と、吊荷の回転量xs、ysおよびzsとは検出可能でなので、移動後の吊荷吊点中心位置の座標xh1、yh1およびzh1と、吊荷重心位置の偏心量dx、dyおよびdzとの6つの未知の値に対して3つの方程式を得られる。
他のロープについても同様に方程式を得ることができ、従って、4本のロープから4つの方程式を得られる。
もっとも、これら7つの方程式は独立ではなく、上述したように、吊荷が吊るされている状態を示すデータを1つの状態についてのみ取得したのでは、吊荷の重心の高さを確定することができない。
そこで、実測値取得部11は、異なる2つの状態について、各実測値を取得する。これにより、重心位置算出部12は、14個の方程式を得られる。これら14個の方程式は独立ではないが、重心位置算出部12は、方程式を解くことで6つの未知の値、すなわち、移動後の吊荷吊点中心位置の座標xh1、yh1およびzh1と、吊荷重心位置の偏心量dx、dyおよびdzとを求めることができる。特に、重心位置算出部12は、吊荷の重心位置を示す偏心量dx、dyおよびdzを算出でき、吊荷の重心位置を求めることができる。
また、ヤング率などの固定パラメータも未知パラメータとして状態モデルに含めておくことで、経年劣化に対応することが可能である。
また、重心位置算出部12は、吊荷の状態モデルとして吊荷の静的モデルを用いる。例えば、重心位置算出部12は、吊荷の回転量と、吊荷の位置と、吊荷の重心位置とを示す変数を含む吊荷の状態モデルと、実測値取得部11が取得した実測値とに基づいて、吊荷の重心位置を算出する。
これにより、重心位置算出部12は、微分方程式を解く必要無しに、吊荷の重心位置を算出することができる。この点において、重心位置算出部12は、簡単な処理にて心位置吊荷の重心位置を算出することができる。
特に、重心位置算出部12は、高さ方向の吊荷の重心位置を算出することができる。
例えば、実測値取得部11が、ロードセルを用いて吊荷重量を検出する場合、設備の追加を行う必要が無く、この点において安価に吊荷荷重を検出することができる。また、実測値取得部11が、歪ゲージを用いて吊荷重量を検出する場合も、設備の追加を行う必要が無く、この点において安価に吊荷荷重を検出することができる。あるいは、実測値取得部11が、巻上トルクに基づいて吊荷荷重を検出するようにしてもよい。
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
11、110 実測値取得部
12、120 重心位置算出部
121 前処理部
122 数値設定部
123 変数値演算部
124 評価部
125 再設定部
130 表示部
Claims (8)
- ロープにより吊るされた吊荷の重心位置を求める重心位置検出装置であって、
前記ロープを支持しているロープ支持物が移動しているときの前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも2つの異なる前記状態について取得する実測値取得部と、
少なくとも前記吊荷の重心位置を未知定数として含む前記吊荷の状態モデルと、前記実測値取得部が取得した実測値とに基づいて、前記吊荷の重心位置を算出する重心位置算出部と、
を具備することを特徴とする重心位置検出装置。 - 前記実測値取得部は、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも前記吊荷が加速または減速または回転している時刻を含む時系列のデータにて取得し、
前記重心位置算出部は、前記吊荷の状態モデルとして前記吊荷の運動モデルを用いる
ことを特徴とする請求項1に記載の重心位置検出装置。 - 前記重心位置算出部は、
前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を設定する数値設定部と、
前記数値設定部が設定した値を前記運動モデルに適用して、前記実測値取得部が取得した前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値の測定時刻における、前記変数の値を求める変数値演算部と、
前記変数値演算部が取得した前記変数の値を評価し、評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている前記吊荷の重心位置を前記重心位置算出部の算出結果とする評価部とを具備し、
前記数値設定部は、前記評価部の評価結果が前記所定の条件を満たさない場合に、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を再設定する
ことを特徴とする請求項2に記載の重心位置検出装置。 - 前記実測値取得部は、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値に、前記吊荷を吊るす力の実測値を含んで取得し、
前記評価部は、前記変数値演算部が取得した前記変数の値から得られる前記吊荷を吊るす力の計算値と、前記実測値取得部が取得した前記吊荷を吊るす力の実測値とに基づいて、前記変数値演算部が取得した前記変数の値を評価する
ことを特徴とする請求項3に記載の重心位置検出装置。 - ロープにより吊るされた吊荷の重心位置を求める重心位置検出装置の重心位置検出方法であって、
前記ロープを支持しているロープ支持物が移動しているときの前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも2つの異なる前記状態について取得する実測値取得ステップと、
少なくとも前記吊荷の重心位置を未知定数として含む前記吊荷の状態モデルと、前記実測値取得ステップにて取得した実測値とに基づいて、前記吊荷の重心位置を算出する重心位置算出ステップと、
を具備することを特徴とする重心位置検出方法。 - 前記実測値取得ステップでは、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも前記吊荷が加速または減速または回転している時刻を含む時系列のデータにて取得し、
前記重心位置算出ステップでは、前記吊荷の状態モデルとして前記吊荷の運動モデルを用い、
前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を設定する数値設定ステップと、
前記数値設定ステップで設定した値を前記運動モデルに適用して、前記実測値取得ステップで取得した前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値の測定時刻における、前記変数の値を求める変数値演算ステップと、
前記変数値演算ステップで取得した前記変数の値を評価し、評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている前記吊荷の重心位置を前記重心位置算出ステップでの算出結果とする評価ステップとをさらに具備し、
前記評価ステップでの評価結果が前記所定の条件を満たさない場合、前記数値設定ステップで、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を再設定する
ことを特徴とする請求項5に記載の重心位置検出方法。 - ロープにより吊るされた吊荷の重心位置を求める重心位置検出装置としてのコンピュータに、
前記ロープを支持しているロープ支持物が移動しているときの前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも2つの異なる前記状態について取得する実測値取得ステップと、
少なくとも前記吊荷の重心位置を未知定数として含む前記吊荷の状態モデルと、前記実測値取得ステップにて取得した実測値とに基づいて、前記吊荷の重心位置を算出する重心位置算出ステップと、
を実行させるためのプログラム。 - 前記コンピュータに、
前記実測値取得ステップでは、前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値を、少なくとも前記吊荷が加速または減速または回転している時刻を含む時系列のデータにて取得させ、
前記重心位置算出ステップでは、前記吊荷の状態モデルとして前記吊荷の運動モデルを用いさせ、
前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を設定する数値設定ステップと、
前記数値設定ステップで設定した値を前記運動モデルに適用して、前記実測値取得ステップで取得した前記吊荷が吊るされている状態を示すデータの実測値の測定時刻における、前記変数の値を求める変数値演算ステップと、
前記変数値演算ステップで取得した前記変数の値を評価し、評価結果が所定の条件を満たす場合に、設定されている前記吊荷の重心位置を前記重心位置算出ステップでの算出結果とする評価ステップとをさらに実行させ、
前記評価ステップでの評価結果が前記所定の条件を満たさない場合、前記数値設定ステップで、前記吊荷の運動モデルに含まれる変数の初期値および未知定数の値を再設定させる
ことを特徴とする請求項7に記載のプログラム。
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