JP2014173538A - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ロック部材9b,10bを係合・離脱させる凹部9c,10cが、駆動側回転体1と従動側回転体2とのロック位相から離れる側への相対回転範囲をロック部材9bとの当接で規制する規制壁面16と、駆動側回転体1と従動側回転体2との相対回転位相をロック部材10bとの当接でロック位相に固定する固定壁面14とを、固定壁面14が規制壁面16よりも凹部底側に位置するように有し、ロック部材9bと規制壁面16との当接面積を、ロック部材10bと固定壁面14との当接面積以下に設定してある。
【選択図】図4
Description
規制壁面は、ロック部材が固定壁面に当接する前に固定壁面に対して大きく移動しないように、駆動側回転体と従動側回転体とのロック位相(固定壁面)から離れる側への相対回転範囲をロック部材との当接で規制するので、ロック部材を固定壁面に対して迅速に当接させることができる。
そして、内燃機関が始動して作動流体の流体圧が高まった段階で、離脱用の作動流体を凹部に導入して、付勢部材の付勢力に抗してロック部材を凹部から引退させる。
この引退動作の際には、通常、位相制御用の作動流体が進角室あるいは遅角室に供給されているため、駆動側回転体と従動側回転体とが相対回転しようとする。
つまり、作動流体が進角室に供給されているときは従動側回転体が駆動側回転体に対して進角方向(進角室の容積が増大する方向)に相対回転しようとする。作動流体が遅角室に供給されているときは従動側回転体が駆動側回転体に対して遅角方向(遅角室の容積が増大する方向)に相対回転しようとする。
その結果、ロック部材は、ロック部材の引退動作に際して固定壁面あるいは規制壁面と当接しながら抜け出すことがある。この場合、ロック部材は、固定壁面あるいは規制壁面から摺動抵抗を受けつつ引退動作する(例えば、特許文献1参照)。
例えば、ロック部材が摺動抵抗の大きい側の壁面と当接する場合には、ロック部材の引退速度が大きく減速されたり、場合によってはロック部材の引退動作が停止するおそれもある。
離脱用の作動流体圧を大きく設定すると、内燃機関が始動してから作動流体圧が設定圧に達するまでに要する時間が長くなり、ロック部材をタイミング良く凹部から引退させることができない。
一方、付勢部材の付勢力を小さく設定すると、ロック部材が凹部に入り込んで固定壁面に当接するまでに要する時間が長くなり、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相をタイミング良くロック位相に固定することができない。
このため、ロック部材と規制壁面との間に作用する静止摩擦力や動摩擦力などに起因する摺動抵抗の大きさを、ロック部材と固定壁面との間に作用する動摩擦力などに起因する摺動抵抗の大きさ以下にすることができる。
したがって、本構成の弁開閉時期制御装置であれば、ロック部材を凹部から引退させる動作も、駆動側回転体と従動側回転体とをロック位相に固定する動作も、タイミング良く行えるようにしながら、ロック部材の凹部からの引退動作の円滑化を図ることができる。
〔第1実施形態〕
図1〜図5は、内燃機関Bに装備される本発明による弁開閉時期制御装置Aを示す。
弁開閉時期制御装置Aは、図1〜図3に示すように、内燃機関としての自動車用エンジンBのクランクシャフトB1と同期回転する駆動側回転体としての焼結金属やアルミ合金等の金属製のハウジング1と、ハウジング1に内包され、ハウジング1と同芯状に弁開閉用のカムシャフトB2と一体回転する従動側回転体としての焼結金属製のインナロータ2とを備えている。
インナロータ2は、カムシャフトB2の先端部にボルト2aで一体に固定され、ハウジング1に対して一定の角度範囲内で相対回転可能に組み付けられている。
カムシャフトB2は、エンジンBの吸気弁の開閉を制御するカム(不図示)の回転軸であり、エンジンBのシリンダヘッド(不図示)に回転自在に組み付けられている。
ハウジング1の回転に伴い、インナロータ2が回転方向Sに従動回転してカムシャフトB2が回転し、カムシャフトB2に設けられたカムがエンジンBの吸気弁を開閉させる。
本実施形態においては、流体圧室3が四つとなるよう区画形成されているが、これに限られるものではない。
進角流路6a及び遅角流路6bは、アウタロータ1dの厚さ方向中央位置において、アウタロータ1dの外周面に開口している。
(作動油)の供給・排出を行う流体給排機構7を設けてある。
したがって、進角流路6a及び遅角流路6bが、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相を制御するように進角室3a又は遅角室3bに作動流体を供給する位相変更用流路を構成している。
なお、トーションスプリング2bは、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相が、インナロータ2がハウジング1に対して矢印S2で示す方向に移動する遅角方向(遅角室3bの容積が大きくなる方向)になるように付勢するものでもよい。
中間ロック位相は、エンジンBを始動するのに最適な所定の位相、若しくはエンジンBの始動が可能な範囲内で排ガスを低減するのに適した位相である。
第1ロック部9と第2ロック部10は、回転方向に間隔を隔てて、一つの共通の突出部4に第2ロック部10が第1ロック部9よりも回転方向Sの下手側に位置するように配設してある。
第1ロック部材9bは、第1収容部9aに径方向内方側に向けて出退可能に収容され、先端部分が第1凹部9cに対して回転径方向から入り込んで係合するロック状態と、第1凹部9cに対して回転径方向から引退して係合を解除するロック解除状態とに切換えられる。
第2ロック部材10bは、第2収容部10aに径方向内方側に向けて出退可能に収容され、先端部分が第2凹部10cに対して回転径方向から入り込んで係合するロック状態と、第2凹部10cに対して回転径方向から引退して係合を解除するロック解除状態とに切換えられる。
第1凹部9c及び第2凹部10cの夫々の奥側底面には、インナロータ2に形成したロック解除用流路12が開口している。
ロック解除用流路12は、第1ロック部9及び第2ロック部10を対応する第1凹部9c又は第2凹部10cから引退させる作動流体を、第1凹部9c及び第2凹部10cに供給する。
第1ロック部材9b及び第2ロック部材10bの形状は、本実施形態に示されたプレート状の他にピン状などの形状を適宜採用することができる。
規制壁面16は、第1凹部9cを形成している壁面のうちの、第2凹部10cから遠い側の壁面で構成してある。
規制壁面16はインナロータ2の外周面から垂直に延設してあり、規制壁面16の凹部底側に、規制壁面16に当接している第1ロック部材9bが非接触で対向する第1対向面15aを溝長さの全長に亘って一連に形成してある。
固定壁面14は、幅狭溝部22bを形成している壁面のうちの、第1凹部9cから遠い側の壁面で構成してある。
固定壁面14の凹部底側に、固定壁面14に当接している第2ロック部材10bが非接触で対向する第2対向面15bを溝長さの全長に亘って一連に形成してある。
第1ロック部材9bと規制壁面16との当接面積は、規制壁面16の面積を固定壁面14と同じ面積に設定して、第2ロック部材10bと固定壁面14との当接面積と同じ面積に設定してある。
この場合は、第1ロック部材9bと規制壁面16との間に作用する摺動抵抗の大きさを、第2ロック部材10bと固定壁面14との間に作用する摺動抵抗の大きさ未満にすることができる。
図1に示すように、流体給排機構7は、エンジンBにより駆動されて作動流体の供給を行う機械式のオイルポンプ18と、進角流路6a及び遅角流路6bに対する作動流体の供給・排出を制御するスプール式のOCV(オイルコントロールバルブ)19と、ロック解除用流路12への作動流体の供給・排出を切り換えるスプール式のOSV(オイルスイッチングバルブ)20と、OCV19,OSV20及びオイルポンプ18の作動を制御するECU(エンジンコントロールユニット)21を備えている。
通電が遮断されたときに遅角制御が可能な作動流体経路が形成され、遅角流路6bを介して作動流体が供給されることにより遅角室3bの容積が増大して相対回転位相が遅角方向S2に変位する。
したがって、エンジンBが停止している状態では、ロック機構8は、図2,図4に示すように、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相を中間ロック位相に固定するロック状態に切り換えられている。
これにより、図3に示すように、第1ロック部材9bがコイルスプリング9dの付勢力に抗して第1凹部9cから引退すると共に、第2ロック部材10bがコイルスプリング10dの付勢力に抗して第2凹部10cから引退して、中間ロック位相の固定を解除するロック解除状態に切換えられる。
図6は、第1実施形態の変形例を示す。
本実施形態では、第2ロック部材10bの第2凹部10cからの離脱用の作動流体を当該第2凹部10cに導入する導入路であるロック解除用流路12を、第2対向面15bに開口させてある。
尚、その他の構成は第1実施形態と同様である。
図7,図8は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、ロック機構8が、インナロータ2のハウジング1に対する遅角方向S2への相対回転を規制する第1ロック部9と、インナロータ2のハウジング1に対する進角方向S1への相対回転を規制する第2ロック部10と、中間ロック位相に固定するロック状態とその固定を解除するロック解除状態とに切換え自在な切換機構11とを備えている。
固定壁面14は、幅狭溝部22bを形成している壁面のうちの、第1凹部9cに近い側の壁面で構成してある。
規制壁面16は、第1凹部9cにおける幅広溝部13aを形成している壁面のうちの、第2凹部10cに近い側の壁面で構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
図9,図10は、本発明の別実施形態を示す。
図9,図10は、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相を、ベーン5の一つが突出部4の進角室3aに臨む部分に形成した当たり部4aに対して当接している最遅角ロック位相に固定するロック機構8を示す。
ロック部材23はハウジング1に形成した収容部8aに収容され、ロック部材23をロック凹部17に対する係合方向に突出付勢する弾性付勢部材としての圧縮コイルスプリング8bを装着してある。
このように当接面積を設定することにより、ロック部材23が規制壁面16に対して摺動しながら引退する際の、ロック部材23と規制壁面16との間に作用する摺動抵抗の大きさを、ロック部材23が固定壁面14に対して摺動しながらロック凹部17から抜け出す際の、ロック部材23と固定壁面14との間に作用する摺動抵抗の大きさと略同じ大きさ設定してある。
したがって、ロック部材23がロック凹部17から引退してロック解除状態に切り換えられると、インナロータ2に形成した連通溝12aを通して進角室3aに作動流体が供給され、インナロータ2のハウジング1に対する回転位相が進角方向S1に変位する。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
図11〜図13は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、インナロータ2のハウジング1に対する相対位相を中間ロック位相に固定するロック機構8が、インナロータ2とリアプレート1cとに亘って回転軸芯Xの方向に出退する断面円形の単一の軸状ロック部材23を備えている。
尚、流体圧室3は、インナロータ2に一体形成された仕切部2cで進角室3aと遅角室3bとに仕切られている。
インナロータ2には、環状空間28に連通するロック解除用流路12を形成してある。
ロック凹部17は、インナロータ2の側に円弧状に開口する長溝部29と、長溝部29の溝底面に開口する、長溝部29の溝幅と同じ直径で開口する円形孔部30を備えたラチェット機構を構成している。円形孔部30は、長溝部29の一端側に開口している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
1.本発明による弁開閉時期制御装置は、ロック部材側の規制壁面に対する当接部分の面積(当接面積)が、ロック部材側の固定壁面に対する当接部分の面積(当接面積)以下になるように、ロック部材を加工してあってもよい。
2.本発明による弁開閉時期制御装置は、自動車その他の各種内燃機関の弁開閉時期制御装置に利用可能である。
2 従動側回転体
3a 進角室
3b 遅角室
9b,10b,23 ロック部材
9c,10c,17 凹部
9d,10d,8b.31 付勢部材
12 導入路
14 固定壁面
15b 対向面
16 規制壁面
B 内燃機関
B1 クランクシャフト
B2 カムシャフト
Claims (4)
- 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に内包され、前記駆動側回転体の内側表面との間に進角室及び遅角室となる空間を形成しつつ、前記駆動側回転体と同芯状に弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備えると共に、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の何れか一方に形成された凹部と、
前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の何れか他方に設けられ、前記凹部に対して係合・離脱するロック部材と、
前記ロック部材を前記凹部に対する係合方向に付勢する付勢部材と、を備え、
前記凹部が、前記駆動側回転体と前記従動側回転体とのロック位相から離れる側への相対回転範囲を前記ロック部材との当接で規制する規制壁面と、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相を前記ロック部材との当接でロック位相に固定する固定壁面とを、前記固定壁面が前記規制壁面よりも凹部底側に位置するように有し、
前記ロック部材と前記規制壁面との当接面積を、前記ロック部材と前記固定壁面との当接面積以下に設定してある弁開閉時期制御装置。 - 前記ロック部材が前記駆動側回転体に設けられた板状の部材であり、前記凹部が前記従動側回転体に設けられており、
前記規制壁面の面積を前記固定壁面の面積以下に設定してある請求項1記載の弁開閉時期制御装置。 - 前記固定壁面に対して凹部底側に、前記固定壁面に当接している前記ロック部材が非接触で対向する対向面を形成してある請求項1又は2記載の弁開閉時期制御装置。
- 前記ロック部材の前記凹部からの離脱用の作動流体を当該凹部に導入する導入路を前記固定壁面に対する凹部底側の位置に開口させることで前記対向面を形成してある請求項3記載の弁開閉時期制御装置。
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