JP6119318B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents
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Description
内燃機関を始動させた後は、ロック部材を凹部から引退させてロック解除し、所望の相対回転位相になるように作動流体を位相変更用流路から進角室又は遅角室に供給して、駆動側回転体と従動側回転体とをロック位相から相対回転させることができる。
ロック部材の解除に用いるロック解除用流路は独立した専用流路であるため、ロック部材の係合・引退に際して当該流路の内部を流れる作動流体の量はロック部材のスロトークに必要な分だけでよいため僅かである。しかし、当該作動流体は外部の流路と接続されているものではないため、例えばロック部材の凹部に対する係合・引退動作の繰り返しによる摩耗などにより生じた異物が作動流体に混入していると、この異物が例えばロック部材と凹部との間に噛み込む場合がある。
特許文献1には、凹部に供給された作動流体に混入している異物を装置外部に排出するために、異物の排出孔を駆動側回転体に貫通形成してある弁開閉時期制御装置が開示されている。
この排出孔は駆動側回転体の外周面に開口しており、駆動側回転体と従動側回転体との相対回転位相がロック位相にあるときに、駆動側回転体に設けた連通路を通して、凹部に連通している。
このため、ロック部材を凹部から引退させるために作動流体を凹部に供給した際に、作動流体の一部が前記排出孔を介して外部に排出され、ロック部材に作用する作動流体の流体圧が低下して、ロック解除動作をタイミング良く行えないおそれがある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、凹部に供給された作動流体に混入している異物を、ロック解除動作のタイミングに悪影響を及ぼすことなく排出することができる弁開閉時期制御装置を提供することを目的とする。
前記駆動側回転体に内包され、前記駆動側回転体の内側表面との間に進角室及び遅角室となる空間を形成しつつ、前記駆動側回転体と同芯状に弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備えると共に、
前記従動側回転体に形成された少なくとも一つの凹部と、
前記駆動側回転体に設けられ、前記凹部に対して回転径方向から係合して前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相をロック位相に固定し、前記凹部に対して回転径方向から引退してロック解除する少なくとも一つのロック部材とを備え、
前記ロック部材を引退させる作動流体を前記凹部に供給するロック解除用流路と、前記相対回転位相を制御するよう前記進角・遅角室に作動流体を供給する位相変更用流路とを、前記従動側回転体において各別に設け、
前記ロック部材のうち少なくとも一つの引退姿勢にあるロック部材の先端部と前記従動側回転体との間に、作動流体に混入した異物を収容可能な異物収容部を設けてあり、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを前記ロック位相から相対回転させたとき、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通するように構成し、
前記ロック部材が板状であって、前記駆動側回転体から径方向内側に突出して前記従動側回転体に係合するよう出退可能に構成してあり、前記ロック部材の先端側に凹状部を形成し、
前記凹状部が、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通した状態で、前記位相変更用流路に対向する位置で最も引退するように構成してある点にある。
このため、作動流体に混入した異物を、引退姿勢にあるロック部材の先端部と従動側回転体との間の異物収容部に収容しておくことができる。
また、前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを前記ロック位相から相対回転させたとき、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通するように構成してある。
このため、位相変更用流路から進角室又は遅角室に作動流体を供給することにより、或いは、駆動側回転体と従動側回転体とが所定の方向に相対回転するように付勢するトーションスプリングなどの付勢部材により、駆動側回転体と従動側回転体とをロック位相から相対回転させたときに、引退姿勢にあるロック部材の先端部と従動側回転体との間に設けてある異物収容部を位相変更用流路に連通させることができる。
したがって、異物収容部に収容された異物を、駆動側回転体と従動側回転体とをロック位相から相対回転させた位相、つまり、ロック位相と異なる位相において、進角室又は遅角室に供給される作動流体に混じって進角室又は遅角室に流入させて、進角室又は遅角室から排出される作動流体に混じって排出することができる。
よって、本構成の弁開閉時期制御装置であれば、凹部に供給された作動流体に混入している異物を、ロック解除動作のタイミングに悪影響を及ぼすことなく排出することができる。
本発明の他の特徴構成は、前記ロック部材が板状であって、前記駆動側回転体から径方向内側に突出して前記従動側回転体に係合するよう出退可能に構成してあり、前記ロック部材の先端側に凹状部を形成してある点にある。
したがって、本構成であれば、凹状部が位相変更用流路に対向しているときに、凹状部のうちの最も引退している部分に集まった異物を進角室又は遅角室に効率良く流入させることができる。
さらに、位相変更用流路がロック部材の中央位置に向けて開口可能に設けてあるから、集められた異物が位相変更用流路から供給される作動流体に混じり易くなる。
したがって、本構成であれば、異物の排出効率を一層高めることができる。
前記駆動側回転体に内包され、前記駆動側回転体の内側表面との間に進角室及び遅角室となる空間を形成しつつ、前記駆動側回転体と同芯状に弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備えると共に、
前記従動側回転体に形成された少なくとも一つの凹部と、
前記駆動側回転体に設けられ、前記凹部に対して回転径方向から係合して前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相をロック位相に固定し、前記凹部に対して回転径方向から引退してロック解除する少なくとも一つのロック部材とを備え、
前記ロック部材を引退させる作動流体を前記凹部に供給するロック解除用流路と、前記相対回転位相を制御するよう前記進角・遅角室に作動流体を供給する位相変更用流路とを、前記従動側回転体において各別に設け、
前記ロック部材のうち少なくとも一つの引退姿勢にあるロック部材の先端部と前記従動側回転体との間に、作動流体に混入した異物を収容可能な異物収容部を設けてあり、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを前記ロック位相から相対回転させたとき、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通するように構成し、
前記ロック部材が板状であって、前記駆動側回転体から径方向内側に突出して前記従動側回転体に係合するよう出退可能に構成してあり、前記ロック部材の先端側に凹状部を形成し、
前記ロック解除用流路を前記ロック部材の両側に設けてあり、前記位相変更用流路を前記ロック部材の中央位置に向けて開口可能に設けてある点にある。
また、凹状部が位相変更用流路に対向しているときに位相変更用流路から進角室又は遅角室に作動流体を供給する際に、作動流体の流れによどみが生じ難く、作動流体がロック部材の幅方向や厚み方向に円滑に流れ易い。
したがって、本構成であれば、異物収容部からの異物の排出効率を高めることができる。
〔第1実施形態〕
図1〜図6は、内燃機関Bに装備される本発明による弁開閉時期制御装置Aを示す。
弁開閉時期制御装置Aは、図1〜図4に示すように、内燃機関としての自動車用エンジンBのクランクシャフトB1と同期回転する駆動側回転体としての焼結金属やアルミ合金等の金属製のハウジング1と、ハウジング1に内包され、ハウジング1と同芯状に弁開閉用のカムシャフトB2と一体回転する従動側回転体としての焼結金属製のインナロータ2とを備えている。
インナロータ2は、カムシャフトB2の先端部にボルト2aで一体に固定され、ハウジング1に対して一定の角度範囲内で相対回転可能に組み付けられている。
カムシャフトB2は、エンジンBの吸気弁の開閉を制御するカム(不図示)の回転軸であり、エンジンBのシリンダヘッド(不図示)に回転自在に組み付けられている。
ハウジング1の回転に伴い、インナロータ2が回転方向Sに従動回転してカムシャフトB2が回転し、カムシャフトB2に設けられたカムがエンジンBの吸気弁を開閉させる。
本実施形態においては、流体圧室3が四つとなるよう区画形成されているが、これに限られるものではない。
進角流路6a及び遅角流路6bは、アウタロータ1dの厚さ方向中央位置において、アウタロータ1dの外周面に開口している。
(作動油)の供給・排出を行う流体給排機構7を設けてある。
したがって、進角流路6a及び遅角流路6bが、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相を制御するように進角室3a又は遅角室3bに作動流体を供給する位相変更用流路を構成している。
なお、トーションスプリング2bは、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相が、インナロータ2がハウジング1に対して矢印S2で示す方向に移動する遅角方向(遅角室3bの容積が大きくなる方向)になるように付勢するものでもよい。
中間ロック位相は、エンジンBを始動するのに最適な所定の位相、若しくはエンジンBの始動が可能な範囲内で排ガスを低減するのに適した位相である。
第1ロック部9と第2ロック部10は、回転方向に間隔を隔てて、一つの共通の突出部4に第2ロック部10が第1ロック部9よりも回転方向Sの下手側に位置するように配設してある。
第1ロック部材9bは、第1収容部9aに径方向内方側に向けて出退可能に収容され、先端部分が第1凹部9cに対して回転径方向から入り込んで係合するロック状態と、第1凹部9cに対して回転径方向から引退して係合を解除するロック解除状態とに切換えられる。
第2ロック部材10bは、第2収容部10aに径方向内方側に向けて出退可能に収容され、先端部分が第2凹部10cに対して回転径方向から入り込んで係合するロック状態と、第2凹部10cに対して回転径方向から引退して係合を解除するロック解除状態とに切換えられる。
第1凹部9c及び第2凹部10cの夫々の奥側底面には、インナロータ2に形成したロック解除用流路12が開口している。
ロック解除用流路12は、第1ロック部9及び第2ロック部10を対応する第1凹部9c又は第2凹部10cから引退させる作動流体を、第1凹部9c及び第2凹部10cに供給する。
第1ロック部材9b及び第2ロック部材10bの形状は、本実施形態に示されたプレート状の他にピン状などの形状を適宜採用することができる。
異物収容部13は、第1ロック部材9b,第2ロック部材10bの先端側の夫々に、円弧状の凹状部13aを形成して設けてある。
図1に示すように、流体給排機構7は、エンジンBにより駆動されて作動流体の供給を行う機械式のオイルポンプ18と、進角流路6a及び遅角流路6bに対する作動流体の供給・排出を制御するスプール式のOCV(オイルコントロールバルブ)19と、ロック解除用流路12への作動流体の供給・排出を切り換えるスプール式のOSV(オイルスイッチングバルブ)20と、OCV19,OSV20及びオイルポンプ18の作動を制御するECU(エンジンコントロールユニット)21を備えている。
通電が遮断されたときに遅角制御が可能な作動流体経路が形成され、遅角流路6bを介して作動流体が供給されることにより遅角室3bの容積が増大して相対回転位相が遅角方向S2に変位する。
したがって、エンジンBが停止している状態では、中間ロック機構8は、図2に示すように、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相を中間ロック位相に固定するロック状態に切り換えられている。
これにより、図3に示すように、第1ロック部材9bがコイルスプリング9dの付勢力に抗して第1凹部9cから退出すると共に、第2ロック部材10bがコイルスプリング10dの付勢力に抗して第2凹部10cから退出して、中間ロック位相の固定が解除されるロック解除状態に切換えられる。
したがって、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相が最遅角位相に保持されているときに、相対回転位相を進角方向S1に切り換えるべく、進角流路6a(14),連通溝14aを通して進角室3aに作動流体を供給すると、異物収容部13の異物が作動流体に混じって、連通溝14aを通して進角室3aに流入する。
したがって、ハウジング1とインナロータ2との相対回転位相が最進角位相に保持されているときに、相対回転位相を遅角方向S2に切り換えるべく、遅角流路6b(16),連通溝16aを通して遅角室3bに作動流体を供給すると、異物収容部13の異物が作動流体に混じって、連通溝16aを通して遅角室3bに流入する。
なお、図8に示すように、最進角位相に保持して異物収容部13が遅角流路6b(16)に連通している状態では、凹状部13aが遅角流路6b(16)に対向する位置で最も引退するように構成してある。
このため、異物が遠心力によって凹状部13aのうちのインナロータ2の側から最も引退している底部分に集まり易い。
図9は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、ロック解除用流路12をロック部材9b,10bの両側二箇所に開口するように分岐してある。
したがって、進角流路6a及び遅角流路6bは、アウタロータ1dの厚さ方向中央位置において、ロック部材9b,10bの幅方向中央位置に向けて開口している。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
図10は、本発明の別実施形態を示す。
本実施形態では、第1ロック部材9b,第2ロック部材10bの先端側の夫々に矩形状の凹状部13aを形成して、異物収容部13を設けてある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
1.本発明による弁開閉時期制御装置は、駆動側回転体と従動側回転体とをロック位相と最遅角位相又は最進角位相との中間の位相に相対回転させたとき、異物収容部が位相変更用流路に連通するように構成してあってもよい。
2.本発明による弁開閉時期制御装置は、作動流体に混入した異物を収容可能な異物収容部が、ロック部材の直線状に形成された先端面が、遠心力などにより、駆動側回転体の内周面よりも径方向外方側に入り込むことにより形成される空間で構成されていてもよい。3.本発明による弁開閉時期制御装置は、自動車その他の各種内燃機関の弁開閉時期制御装置に利用可能である。
2 従動側回転体
3a 進角室
3b 遅角室
6a,6b 位相変更用流路
9c,10c 凹部
9b,10b ロック部材
12 ロック解除用流路
13 異物収容部
13a 凹状部
B 内燃機関
B1 クランクシャフト
B2 カムシャフト
Claims (4)
- 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に内包され、前記駆動側回転体の内側表面との間に進角室及び遅角室となる空間を形成しつつ、前記駆動側回転体と同芯状に弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備えると共に、
前記従動側回転体に形成された少なくとも一つの凹部と、
前記駆動側回転体に設けられ、前記凹部に対して回転径方向から係合して前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相をロック位相に固定し、前記凹部に対して回転径方向から引退してロック解除する少なくとも一つのロック部材とを備え、
前記ロック部材を引退させる作動流体を前記凹部に供給するロック解除用流路と、前記相対回転位相を制御するよう前記進角・遅角室に作動流体を供給する位相変更用流路とを、前記従動側回転体において各別に設け、
前記ロック部材のうち少なくとも一つの引退姿勢にあるロック部材の先端部と前記従動側回転体との間に、作動流体に混入した異物を収容可能な異物収容部を設けてあり、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを前記ロック位相から相対回転させたとき、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通するように構成し、
前記ロック部材が板状であって、前記駆動側回転体から径方向内側に突出して前記従動側回転体に係合するよう出退可能に構成してあり、前記ロック部材の先端側に凹状部を形成し、
前記凹状部が、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通した状態で、前記位相変更用流路に対向する位置で最も引退するように構成してある弁開閉時期制御装置。 - 前記ロック解除用流路を前記ロック部材の両側に設けてあり、前記位相変更用流路を前記ロック部材の中央位置に向けて開口可能に設けてある請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
- 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
前記駆動側回転体に内包され、前記駆動側回転体の内側表面との間に進角室及び遅角室となる空間を形成しつつ、前記駆動側回転体と同芯状に弁開閉用のカムシャフトと一体回転する従動側回転体とを備えると共に、
前記従動側回転体に形成された少なくとも一つの凹部と、
前記駆動側回転体に設けられ、前記凹部に対して回転径方向から係合して前記駆動側回転体と前記従動側回転体との相対回転位相をロック位相に固定し、前記凹部に対して回転径方向から引退してロック解除する少なくとも一つのロック部材とを備え、
前記ロック部材を引退させる作動流体を前記凹部に供給するロック解除用流路と、前記相対回転位相を制御するよう前記進角・遅角室に作動流体を供給する位相変更用流路とを、前記従動側回転体において各別に設け、
前記ロック部材のうち少なくとも一つの引退姿勢にあるロック部材の先端部と前記従動側回転体との間に、作動流体に混入した異物を収容可能な異物収容部を設けてあり、
前記駆動側回転体と前記従動側回転体とを前記ロック位相から相対回転させたとき、前記異物収容部が前記位相変更用流路に連通するように構成し、
前記ロック部材が板状であって、前記駆動側回転体から径方向内側に突出して前記従動側回転体に係合するよう出退可能に構成してあり、前記ロック部材の先端側に凹状部を形成し、
前記ロック解除用流路を前記ロック部材の両側に設けてあり、前記位相変更用流路を前記ロック部材の中央位置に向けて開口可能に設けてある弁開閉時期制御装置。 - 前記凹状部の形状を弧状に構成してある請求項1〜3のいずれか一項に記載の弁開閉時期制御装置。
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