JP6171423B2 - 弁開閉時期制御装置 - Google Patents

弁開閉時期制御装置 Download PDF

Info

Publication number
JP6171423B2
JP6171423B2 JP2013048416A JP2013048416A JP6171423B2 JP 6171423 B2 JP6171423 B2 JP 6171423B2 JP 2013048416 A JP2013048416 A JP 2013048416A JP 2013048416 A JP2013048416 A JP 2013048416A JP 6171423 B2 JP6171423 B2 JP 6171423B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
angle
lock
lock member
phase
retarded
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2013048416A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014173540A (ja
Inventor
啓之 川合
啓之 川合
勝平 増田
勝平 増田
昌樹 小林
昌樹 小林
一生 上田
一生 上田
英臣 彌永
英臣 彌永
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Aisin Corp
Original Assignee
Aisin Seiki Co Ltd
Aisin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Aisin Seiki Co Ltd, Aisin Corp filed Critical Aisin Seiki Co Ltd
Priority to JP2013048416A priority Critical patent/JP6171423B2/ja
Publication of JP2014173540A publication Critical patent/JP2014173540A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6171423B2 publication Critical patent/JP6171423B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Valve Device For Special Equipments (AREA)

Description

本発明は、内燃機関のクランクシャフトと同期して回転する駆動側回転体に対する従動側回転体の相対回転位相を制御する弁開閉時期制御装置に関する。
近年、内燃機関(以下エンジンとも称する)の運転状況に応じて吸気弁および排気弁の開閉時期を変更可能とする弁開閉時期制御装置が実用化されている。この弁開閉時期制御装置は、例えば、エンジンの作動による駆動側回転体の回転に対する従動側回転体の相対回転位相を変化させることにより、従動側回転体の回転に伴って開閉される吸排気弁の開閉時期を変化させる機構を有している。
一般に、吸排気弁の最適な開閉時期はエンジンの始動時や車両の走行時などエンジンの運転状況により異なる。そこで、エンジンの始動時には、駆動側回転体の回転に対する従動側回転体の相対回転位相を所定位相に拘束することにより、エンジンの始動に最適な吸排気弁の開閉時期を実現している。ただし、エンジン始動後のアイドリング時においても相対回転位相をこの位相を維持すると炭化水素(HC)排出量が増加するので、エンジン始動後のアイドリング時には、相対回転位相をHC排出量が抑制可能な位相に変化させることが望まれる。
特許文献1には、カムシャフトに連結する駆動側回転体としてのハウジングの内部に、従動側回転体としての内部ロータを備えた弁開閉時期制御装置が開示されている。この弁開閉時期制御装置においては、ハウジングと内部ロータにより流体圧室が形成され、流体圧室が仕切部としてのベーンにより遅角室と進角室とに仕切られている。また、遅角室と進角室との一方を選択して作動油としての作動油を供給することでハウジングと内部ロータとの相対回転位相を遅角位相方向または進角位相方向に移動させる相対回転用OCV(オイルコントロールバルブ)が備えられている。さらに、相対回転位相を進角方向に変位するよう付勢するトーションスプリングが内部ロータからハウジングに亘って備えられている。
特許文献1に開示された弁開閉時期制御装置では、出退自在な2つの中間ロック部材がハウジング側に備えられ、両中間ロック部材が嵌入する1つの中間ロック溝が内部ロータ側に形成されている。各中間ロック部材はスプリングの付勢力により中間ロック溝に突入する。一方、内部ロータには、両中間ロック部材を引退させる方向に作動油の圧力を作用させる中間ロック通路が形成されている。
また、ハウジングにおいて進角側にある中間ロック部材よりもさらに進角方向に再遅角ロック部材が備えられ、内部ロータにおいて中間ロック溝よりも進角方向に最遅角ロック部材が嵌入する最遅角ロック溝が形成されている。最遅角ロック部材はスプリングの付勢力により最遅角ロック溝に突入する。一方、内部ロータには、最遅角ロック部材を引退させる方向に作動油の圧力を作用させる最遅角ロック通路が形成されている。
両中間ロック部材が中間ロック溝に嵌入したときのハウジングに対する内部ロータの相対回転位相が中間ロック位相であり、この時の状態が中間ロック状態である。また、最遅角ロック部材が最遅角ロック溝に嵌入したときの相対回転位相が最遅角位相であり、このときの状態が最遅角ロック状態である。
この弁開閉時期制御装置では、中間ロック溝から中間ロック部材を引退させる作動を行わせるために、OCVとは独立して作動するOSV(オイルスイッチングバルブ)を備えている。このOCVとOSVとによって、エンジンの始動時には相対回転位相を始動性の良好な中間ロック位相に拘束することができ、エンジン始動後のアイドリング時にはHC排出量を抑制するために相対回転位相を遅角側に変位させて相対回転位相を最遅角位相に拘束することができる。
国際公開第2011/055589号
中間ロック状態にある中間ロック部材や最遅角ロック状態にある最遅角ロック部材を中間ロック溝や最遅角ロック溝から引退させる時には、中間ロック部材や最遅角ロック部材を付勢しているスプリングの付勢力に抗して油圧を作用させる必要がある。また、エンジン作動中には、カムシャフトのトルク変動によるハウジングと内部ロータのバタつきにより、中間ロック状態では中間ロック部材と中間ロック溝とが繰り返し衝突し、最遅角ロック状態では最遅角ロック部材と最遅角ロック溝とが繰り返し衝突している。そのため、中間ロック部材及び最遅角ロック部材が引退する途中では、上述した衝突による摩擦力が発生し、この摩擦力が引退を妨げる方向の力として中間ロック部材及び最遅角ロック部材に作用する。このバタつきの発生は、中間ロック部材と最遅角ロック部材の滑らかな出退を可能にするために設けられたクリアランスに起因する。すなわち、中間ロック状態においては、両中間ロック部材の外側の面同士の成す角度よりも中間ロック溝の周方向の両側の壁面の成す角度の方が少し大きくなっている。以下、この角度の差を第1クリアランス角度と称する。また、最遅角ロック状態においても同様に、ベーンが突出部に当接した状態では、最遅角ロック部材の遅角側の面と最遅角ロック溝の遅角側の壁面との間にはクリアランスが存在する。以下、このクリアランスに相当する角度を第2クリアランス角度と称する。通常、弁開閉時期制御装置においては、第1クリアランス角度と第2クリアランス角度とは同じ角度となるように構成される。
このように、ロック部材をロック溝から引退させる時に関係する因子は、主にロック部材に作用する油圧及びロック部材とロック溝との衝突による摩擦力である。ロック解除の制御命令から短時間でロック部材を引退させるためには、摩擦力を低減しつつ、ロック部材に作用させる作動油の油圧を、スプリングの付勢力に摩擦力を加えた力を上回る油圧(以下、引退油圧と称する)まで短時間で到達させることが必要である。
中間ロック通路は進角通路及び遅角室へ作動油を供給する遅角通路とは独立して形成されているので、中間ロック部材を中間ロック溝から引退させる時には、作動油は中間ロック溝だけに供給され、他の箇所に供給されない。そのため、中間ロック部材に作用する油圧は短時間で上昇する。油圧が上昇してスプリングの付勢力を上回り、中間ロック部材が引退を開始すると、ハウジングと内部ロータのバタつきによる摩擦力が作用し始める。内部ロータの一往復のバタつきにつき、中間ロック部材と中間ロック溝との衝突は2回、すなわちそれぞれの中間ロック部材につき1回ずつ発生するので、摩擦力もそれぞれ1回発生する。この状態で中間ロック部材に作用する油圧が引退油圧に到達した時に中間ロック部材は中間ロック溝から引退する。
一方、最遅角ロック状態を解除するための作動油を供給する最遅角ロック通路と進角室へ作動油を供給する進角通路の1つとは共用されているので、最遅角ロック部材を最遅角ロック溝から引退させる時には、最遅角ロック溝と同時に進角室にも作動油が供給される。進角室の容積は最遅角ロック溝の容積よりもはるかに大きく供給される作動油のほとんどは進角室に供給されるため、最遅角ロック部材に作用する油圧は短時間では上昇しない。油圧が上昇し最遅角ロック部材が引退を開始すると、ハウジングと内部ロータのバタつきによる摩擦力が作用し始める。摩擦力は内部ロータの一往復のバタつきに1回発生する。すなわち、最遅角ロック部材と最遅角ロック溝とが衝突するのは内部ロータが進角側に変位した時だけであって、遅角側に変位した時は進角室に設けられたストッパとベーンが衝突して変位が規制される。この状態で最遅角ロック部材に作用する油圧が引退油圧に到達した時に最遅角ロック部材は最遅角ロック溝から引退する。
第1クリアランス角度と第2クリアランス角度とが同じ角度になるように構成されている弁開閉時期制御装置の場合、最遅角ロック部材を引退させる時の方が、中間ロック部材を引退させる時よりも時間が長くかかる。これは、摩擦力の発生間隔はそれぞれの中間ロック部材と最遅角ロック部材のいずれでも同じであるが、作動油が最遅角ロック溝だけでなく進角室にも供給されているため、引退油圧に到達するまでの上昇時間が長くなってしまうからである。最遅角ロック部材の引退までの時間が長いと、ハウジングに対する内部ロータの相対回転位相を変位可能にするまでの時間が長くかかり、アクセルレスポンスが悪くなるという問題があった。このため、最遅角ロック部材の引退完了までの時間を短縮することに改善の余地があった。
上記と同じ問題は、ハウジングに対する内部ロータの相対回転位相が最進角位相にあるときにロック状態となる弁開閉時期制御装置においても発生しうる。
上記問題に鑑み、本発明は、最進角ロック状態又は最遅角ロック状態においてロック解除までの時間を短縮し、ロック解除性を向上させることができる弁開閉時期制御装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明に係る弁開閉時期制御装置の特徴構成は、内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、前記駆動側回転体と同一の軸心になるように配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと同期回転する従動側回転体と、前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に形成される流体圧室と、前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも一方に設けられた仕切部と、前記仕切部で前記流体圧室を仕切ることにより形成される進角室及び遅角室と、前記駆動側回転体又は前記従動側回転体のいずれか一方の回転体に収容され且つ前記駆動側回転体又は前記従動側回転体のいずれか他方の回転体に対して出退可能な少なくとも1つの第1ロック部材と、前記第1ロック部材が突出したときに嵌合可能となるように前記他方の回転体に形成された少なくとも1つの第1凹部とを有しており、前記第1ロック部材が突出して前記第1凹部に嵌入することにより前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相が最進角位相と最遅角位相の間の中間ロック位相に拘束される第1ロック状態と、前記第1ロック部材が前記第1凹部から引退することにより拘束が解除される第1ロック解除状態とに切換え可能な第1ロック機構と、前記一方の回転体に収容され且つ前記他方の回転体に対して出退可能な第2ロック部材と、前記第2ロック部材が突出したときに嵌合可能となるように前記他方の回転体に形成された第2凹部とを有しており、前記第2ロック部材が突出して前記第2凹部に嵌入することにより前記相対回転位相が最進角位相又は最遅角位相に拘束される第2ロック状態と、前記第2ロック部材が前記第2凹部から引退することにより拘束が解除される第2ロック解除状態とに切換え可能な第2ロック機構と、を備え、
前記第1ロック状態を解除する第1ロック解除流路が、前記進角室に連通する進角流路と前記遅角室に連通する遅角流路とは異なる独立した流路として形成され、前記第2ロック状態を解除する第2ロック解除流路が、前記進角流路または前記遅角流路で共用される流路として構成され、
前記第2ロック部材が前記第1ロック機構に共用され、且つ、前記第2凹部が前記進角室または前記遅角室のうち隣接するものに対し前記従動側回転体の外周に形成された溝状の連通流路により連通しており、
前記第1ロック状態において前記駆動側回転体に対して前記従動側回転体が回転可能な角度である第1クリアランス角度よりも、前記第2ロック状態において前記駆動側回転体に対して前記従動側回転体が回転可能な角度である第2クリアランス角度の方が大きい点にある。
上述したように、第2ロック部材を第2凹部から引退させる時に関係する因子は、主に第2ロック部材に作用する油圧及び第2ロック部材と第2凹部との衝突による摩擦力である。摩擦力は、駆動側回転体と従動側回転体とのバタつき一往復につき1回発生する。通常、第2ロック状態を解除するために第2凹部へ作動油を供給する流路と進角室又は遅角室に作動油を供給する流路の1つとは共用されているので、第2凹部に作動油を供給する時には同時に進角室又は遅角室にも作動油が供給される。従って、第2凹部に供給される油量が少なく、第2ロック部材に作用する油圧を上昇させる時間は、第1ロック状態を解除するときと比較すると長くなる。作動油の流路構成は第2クリアランス角度の大小にかかわらず同じであるため、この観点から第2ロック部材の引退までの時間を短縮することは難しい。そこで、本発明においては、第1クリアランス角度よりも第2クリアランス角度を大きくした。このような特徴構成とすれば、第2クリアランス角度が第1クリアランス角度と同等の弁開閉時期制御装置と比較して第2ロック部材と第2凹部との衝突による摩擦力の発生間隔が長くなるので、第2ロック部材の引退時における摩擦力の影響度合いを低下させることができる。その結果、短時間で第2ロック部材を引退させることができる。
本発明に係る弁開閉時期制御装置においては、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材はいずれも前記駆動側回転体に収容され、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材は前記軸心に対して径方向に出退すると好適である。
このような特徴構成であれば、内燃機関の作動時には、第1ロック部材及び第2ロック部材には常時遠心力が作用する。このように遠心力が作用することにより、第2ロック部材の解除性をさらに向上させることができる。
本実施形態に係る弁開閉時期制御装置の構成を表す縦断面図である。 中間ロック状態を表す、図1のII−II線断面図である。 最遅角ロック状態を表す、図1のII−II線断面図である。 中間ロック状態における第1クリアランス角度を表す拡大断面図である。 最遅角ロック状態における第2クリアランス角度を表す拡大断面図である。
本発明を自動車用エンジン(以下、エンジンと称する)Bの吸気弁側の弁開閉時期制御装置Aに適用した実施形態について、図1〜図5に基づいて説明する。エンジンBは内燃機関の一例である。
〔全体構成〕
この弁開閉時期制御装置Aは、図1に示すように、エンジンBのクランクシャフトB1と同期回転するハウジング1と、ハウジング1に対して相対回転可能になるようにハウジング1の回転軸心Xと同軸心に配置され、カムシャフトB2と同期回転する内部ロータ2とを備えている。ハウジング1は駆動側回転体の一例であり、内部ロータ2は従動側回転体の一例であり、回転軸心Xは軸心の一例である。カムシャフトB2は、エンジンBの吸気弁の開閉を制御する不図示のカムの回転軸である。なお、カムシャフトB2は、エンジンBのシリンダヘッドに回転自在に組み付けられている。
さらに、弁開閉時期制御装置Aは、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転を拘束することにより、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転位相(以下、単に相対回転位相と称する)を最遅角位相と最進角位相との間の所定位相である中間ロック位相に拘束可能な中間ロック機構8を備えている。また、弁開閉時期制御装置Aは、相対回転位相を中間ロック位相よりも遅角側である最遅角位相に拘束可能な最遅角ロック機構7を備えている。中間ロック機構8は第1ロック機構の一例であり、最遅角ロック機構7は第2ロック機構の一例である。
〔内部ロータ及びハウジング〕
内部ロータ2は、図1に示すように、カムシャフトB2の先端部に一体的に組付けられている。内部ロータ2は、ボルト2cによってカムシャフトB2の先端部に締め付け固定されている。
ハウジング1は、カムシャフトB2が接続される側とは反対側にあるフロントプレート1aと、内部ロータ2に対して外装される外部ロータ1dと、カムシャフトB2が接続される側にあってタイミングスプロケット1bを一体的に備えたリアプレート1cとを備えている。ハウジング1は、外部ロータ1dをフロントプレート1aとリアプレート1cとで挟み込み、フロントプレート1aと外部ロータ1dとリアプレート1cとをボルトによって締結して一体化することにより構成されている。
クランクシャフトB1の回転駆動は動力伝達部材B3を介してタイミングスプロケット1bに伝達され、タイミングスプロケット1bが回転することによりハウジング1が図2に示す回転方向Sに回転駆動される。ハウジング1の回転に伴い、内部ロータ2が回転方向Sに回転してカムシャフトB2が回転し、カムシャフトB2に設けられたカムがエンジンBの吸気弁を押し下げて開弁させる。
図2に示すように、外部ロータ1dの径方向内側に突出し且つ周方向に互いに離間して形成された複数個の突出部4と、外部ロータ1dと、内部ロータ2とによって流体圧室3が形成されている。突出部4は内部ロータ2の外周面2aに対するシューとして機能する。本実施形態においては、流体圧室3が4箇所形成されているが、これに限られるものではない。
外周面2aのうち流体圧室3に面する部分に、ベーン溝5aが形成されている。ベーン溝5aに、ベーン5が径方向外側に向けて挿入されている。ベーン5は仕切り部の一例である。流体圧室3は、ベーン5によって進角室3aと遅角室3bとに仕切られている。不図示のスプリングをベーン溝5aとベーン5と間に配置してベーン5を径方向外側に付勢することにより、進角室3aと遅角室3bの間での作動油の漏洩を防止している。
図1,図2に示すように、各進角室3aに連通する進角流路6aが内部ロータ2及びカムシャフトB2に形成されている。また、各遅角室3bに連通する遅角流路6bが内部ロータ2及びカムシャフトB2に形成されている。図1に示すように、進角流路6a及び遅角流路6bは、後述するOCV(オイルコントロールバルブ)19に接続されている。OCV19はECU(エンジンコントロールユニット)21に制御されている。
ECU21によってOCV19を制御することにより、進角室3a及び遅角室3bに対して作動油を供給し、排出し、又は給排を遮断することにより、ベーン5に作動油の油圧を作用させる。その結果、相対回転位相を進角方向または遅角方向へ変位させ、あるいは任意の位相に保持することができる。なお、進角方向とは、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転によりベーン5が動いて進角室3aの容積が大きくなる方向であり、図2に矢印Saで示す方向である。遅角方向とは、相対回転により遅角室3bの容積が大きくなる方向であり、図2に矢印Sbで示す方向である。
図1に示すように、内部ロータ2からフロントプレート1aに亘ってトーションスプリング2bが取り付けられている。トーションスプリング2bは、カムシャフトB2のトルク変動に基づく遅角方向Sbへの平均変位力に抗するよう、内部ロータ2を進角方向Saに付勢している。これにより、相対回転位相を円滑かつ迅速に進角方向Saへ変位させることが可能である。なお、トーションスプリング2bは、相対回転位相が遅角方向Sbになるように付勢するものでもよい。
このような構成により、内部ロータ2はハウジング1に対して回転軸心Xの回りに一定の範囲内で円滑に相対回転することが可能となっている。ハウジング1と内部ロータ2とが相対回転可能な範囲、即ち最進角位相と最遅角位相との位相差は、流体圧室3の内部でベーン5が変位可能な範囲に対応する。なお、遅角室3bの容積が最大となるときが最遅角位相であり、進角室3aの容積が最大となるときが最進角位相である。
〔中間ロック機構〕
中間ロック機構8は、エンジンBの始動直後や、停止時に作動油の油圧が安定しない状況において、ハウジング1と内部ロータ2とを所定の相対位置に保持することで、相対回転位相を最遅角位相と最進角位相との間の中間ロック位相に拘束する。これによって、クランクシャフトB1の回転位相に対するカムシャフトB2の回転位相を適正に維持し、エンジンBの安定的な回転を現出する。なお、本実施形態においては、中間ロック位相を、不図示の吸気弁と排気弁との開弁時期が一部重複する位相としている。この結果、エンジンBの始動時の炭化水素(HC)の低減が図られ、低エミッションのエンジンBとすることができる。
中間ロック機構8は、図1,図2に示すように、第1収容部9aと、プレート状の中間ロック部材9bと、第1中間ロック溝9cと、第1スプリング9dと、第2収容部10aと、プレート状の2用途ロック部材10bと、第2中間ロック溝10cと、第2スプリング10dと、中間ロック解除流路12とを備えている。中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bは第1ロック部材の一例であり、第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cは第1凹部の一例である。
中間ロック解除流路12は、内部ロータ2とカムシャフトB2とに形成され、第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cと後述するOSV(オイルスイッチングバルブ)20とを繋いでいる。OSV20を制御することによって、第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cへの作動油の給排を切換えることができる。第1中間ロック溝9cは、内部ロータ2の外周面2aに開口する幅広の溝と、該溝の底面に開口する幅狭の溝とを備えたラチェット機構を有している。幅広の溝と幅狭の溝は遅角方向Sbの側の溝側面が互いに面一になっており側壁9eを形成している。第2中間ロック溝10cは単一深さの溝である。
第1収容部9aと第2収容部10aはそれぞれ、外部ロータ1dに形成されている。中間ロック部材9bは第1収容部9aに配設され、第1収容部9aから径方向に出退可能に構成されている。第1スプリング9dは第1収容部9aに配設され、中間ロック部材9bを径方向内側、即ち第1中間ロック溝9cの側に付勢している。2用途ロック部材10bは第2収容部10aに配設され、第2収容部10aから径方向に出退可能に構成されている。第2スプリング10dは第2収容部10aに配設され、2用途ロック部材10bを径方向内側、即ち第2中間ロック溝10cの側に付勢している。
第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cから作動油が排出されている状態で、中間ロック部材9bと第1中間ロック溝9cとが対向し且つ2用途ロック部材10bと第2中間ロック溝10cとが対向すると、中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bは第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cに向けて突出する。図2に示すように、中間ロック部材9bが第1中間ロック溝9cに突入すると、側壁9eと中間ロック部材9bの遅角側プレート面9fが当接して、ハウジング1に対して内部ロータ2が進角方向Saに相対回転するのを規制する。それと同時に第2中間ロック溝10cの周方向の進角側の壁面である側壁10eと2用途ロック部材10bの進角側プレート面10fが当接して内部ロータ2が遅角方向Sbに相対回転するのを規制する。この結果、内部ロータ2のハウジング1に対する相対回転が拘束され、相対回転位相が中間ロック位相に拘束される。
ECU21がOSV20を制御して、第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cに作動油を供給するようにOSV20が作動すると、作動油の油圧により中間ロック部材9bが第1スプリング9dの付勢力に抗して第1中間ロック溝9cから引退する。また、同時に作動油の油圧により2用途ロック部材10bが第2スプリング10dの付勢力に抗して第2中間ロック溝10cから引退する。これにより、相対回転位相の拘束が解除され、内部ロータ2は相対回転可能となる。以下、中間ロック機構8が相対回転位相を中間ロック位相に拘束している状態を中間ロック状態と称し、中間ロック状態が解除された状態を中間ロック解除状態と称する。中間ロック状態は第1ロック状態の一例であり、中間ロック解除状態は第1ロック解除状態の一例である。
上述したように本実施形態における中間ロック状態においては、相対回転位相が中間ロック位相に拘束されているが、現実には、ハウジング1に対して内部ロータ2は少しの角度だけ相対回転が可能である。具体的には、図4に示すように、中間ロック状態において進角側プレート面10fと側壁10eとが当接しているとき、遅角側プレート面9fと側壁9eとの間にはクリアランスがあり、このクリアランスの分だけ内部ロータ2は相対回転が可能である。ここで遅角側プレート面9fと側壁9eの回転軸心Xに対する角度を第1クリアランス角度C1と称する。このようなクリアランスがあることにより、中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bは第1中間ロック溝9cに対して滑らかに且つ迅速に出退することができる。
なお、中間ロック部材9b,2用途ロック部材10bの形状としては、本実施形態に示されたプレート状の他にピン状等を適宜採用することができる。この場合も、中間ロック状態において中間ロック部材9b,2用途ロック部材10bと第1中間ロック溝9c,第2中間ロック溝10cとの間にクリアランスを設けることができる。
〔最遅角ロック機構〕
最遅角ロック機構7は、アイドリング運転時、アイドリングストップ時、アイドリング再始動時等の低速回転時において、ハウジング1と内部ロータ2とを所定の相対回転位相、すなわち、最遅角位相に拘束する。このとき、カムシャフトB2のトルク変動に基づく遅角方向Sb及び進角方向Saの変位力の発生にかかわらず内部ロータ2が相対回転しないため、安定したアイドリング運転状態を実現できる。なお、本実施形態において、最遅角位相は、排気弁の閉弁タイミングと吸気弁の開弁タイミングがほぼ同じとなる位相であって、アイドリング運転状態が安定する位相である。相対回転位相が最遅角位相であっても、エンジンBは始動可能である。
最遅角ロック機構7は、図1,図2に示すように、最遅角ロック溝7aと、第2収容部10aと、2用途ロック部材10bと、第2スプリング10dと、最遅角ロック解除流路13とを備えている。最遅角ロック溝7aは第2凹部の一例であり、2用途ロック部材10bは第2ロック部材の一例である。すなわち、2用途ロック部材10bは、第1ロック部材としての用途と第2ロック部材としての用途を兼ねている。
最遅角ロック解除流路13は、上述した進角流路6aの一つを兼ねており、最遅角ロック溝7aとOCV19とを繋いでいる。さらに、内部ロータ2の外周面2aに、周方向に沿って最遅角ロック溝7aから進角方向Saで直近にあるベーン溝5aに亘る溝である連通流路14が形成されている。従って、OSV20によって、進角室3aに対して作動油の給排を行うと、最遅角ロック溝7aに対しても作動油が給排される。
中間ロック解除状態且つ最遅角ロック溝7aから作動油が排出されている状態で、内部ロータ2が遅角方向Sbに相対回転し、ベーン5が進角室3aの1つにあるストッパ3cに当接すると、2用途ロック部材10bと最遅角ロック溝7aとが対向し、2用途ロック部材10bが最遅角ロック溝7aに向けて突出する。2用途ロック部材10bが最遅角ロック溝7aに突入すると、図3に示すように、最遅角ロック溝7aの周方向の遅角側の壁面である側壁7bと2用途ロック部材10bの進角側プレート面10fとは反対側の遅角側プレート面10gが当接してハウジング1に対して内部ロータ2が進角方向Saに相対回転するのを規制する。このとき、同時に、ベーン5がストッパ3cに当接しており、内部ロータ2が遅角方向Sbに相対回転するのを規制している。この結果、内部ロータ2のハウジング1に対する相対回転が拘束され、相対回転位相が最遅角位相に拘束される。
相対回転位相を進角方向Saの側へ変位させるようOCV19を制御すると、最遅角ロック解除流路13を通って最遅角ロック溝7aに作動油が供給され、2用途ロック部材10bが第2スプリング10dの付勢力に抗して最遅角ロック溝7aから引退する。これにより、相対回転位相の拘束は解除され、内部ロータ2を進角方向Saへ変位させることが可能となる。以下、最遅角ロック機構7が相対回転位相を最遅角位相に拘束している状態を最遅角ロック状態と称し、最遅角ロック状態が解除された状態を最遅角ロック解除状態と称する。最遅角ロック状態は第2ロック状態の一例であり、最遅角ロック解除状態は第2ロック解除状態の一例である。
上述したように本実施形態における最遅角ロック状態においては、相対回転位相が最遅角位相に拘束されているが、現実には、ハウジング1に対して内部ロータ2は少しの角度だけ相対回転が可能である。具体的には、図5に示すように、最遅角ロック状態においてベーン5とストッパ3cとが当接しているとき、遅角側プレート面10gと側壁7bとの間にはクリアランスがあり、このクリアランスの分だけ内部ロータ2は相対回転が可能である。ここで遅角側プレート面10gと側壁7bの回転軸心Xに対する角度を第2クリアランス角度C2と称する。このようなクリアランスがあることにより、2用途ロック部材10bは最遅角ロック溝7aに対して滑らかに且つ迅速に出退することができる。このとき、2用途ロック部材10bの進角側プレート面10fと、最遅角ロック溝7aの周方向の進角側の壁面である側壁7cとは当接していない。通常、第1クリアランス角度C1と第2クリアランス角度C2とは同じ角度になるように構成されるが、弁開閉時期制御装置Aにおいては、第1クリアランス角度C1よりも第2クリアランス角度C2の方が大きくなるように構成されている。
相対回転位相が最遅角位相以外の位相であるときは、2用途ロック部材10bは最遅角ロック溝7aと対向しておらず、最遅角ロック解除流路13と進角室3aとは連通流路14を介して常時連通している。
なお、上述したように、2用途ロック部材10bの形状として、本実施形態に示されたプレート状の他にピン状等を適宜採用することができる。この場合も、最遅角ロック状態において2用途ロック部材10bと最遅角ロック溝7aとの間にクリアランスを設けることができる。また、連通流路14は溝形状でなくとも良く、図示はしないが、内部ロータ2の外周角部を面取りした形状であっても良い。
〔作動油給排機構〕
次に、作動油給排機構について説明する。作動油給排機構は、図1に示すように、エンジンBにより駆動されて作動油の供給を行う機械式のオイルポンプ18と、進角流路6a及び遅角流路6bに対する作動油の供給・排出を制御するスプール式のOCV19と、中間ロック解除流路12への作動油の供給と排出を切り換える切換機構としてのスプール式のOSV20とを備え、ECU21はオイルポンプ18,OCV19,OSV20の作動を制御している。
ECU21は、OCV19に対する給電量を制御することによりスプール弁の位置を変化させて、進角室3aへの作動油の供給及び遅角室3bからの作動油の排出を行う進角制御と、遅角室3bへの作動油の供給及び進角室3aからの作動油の排出を行う遅角制御と、進角室3a及び遅角室3bへの作動油の供給及び排出を遮断する遮断制御とを実行する。
本実施形態においては、OCV19への給電量が最大のときに進角制御が可能な作動油経路が形成され、進角流路6aから作動油が供給されることにより進角室3aの容積が増大して、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転位相が進角方向Saに変位する。このときは、最遅角ロック解除流路13にも作動油が供給されており、最遅角ロック機構7は最遅角ロック解除状態にある。OCV19への給電が遮断されたときに遅角制御が可能な作動油経路が形成され、遅角流路6bから作動油が供給されることにより遅角室3bの容積が増大して相対回転位相が遅角方向Sbに変位する。給電量のデューティー比が50%のときには進角室3a,遅角室3bへの作動油の給排がいずれも遮断され、相対回転位相は任意の位相で保持される。
OSV20は、ECU21が給電量を制御することによりスプール弁の位置が変化して、第1中間ロック溝9cへの作動油の供給と、第1中間ロック溝9cからの作動油の排出とが切り換え可能である。本実施形態においては、給電量が最大のときにOSV20は作動油の排出が可能な状態になり、給電が遮断されたときに作動油の供給が可能な状態になる。
〔その他の構成〕
図示はしていないが、エンジンBのクランクシャフトB1の回転角を検出するクランク角センサと、カムシャフトB2の回転角を検出するカムシャフト角センサとが設けられている。ECU21は、これらのクランク角センサとカムシャフト角センサとの検出結果から相対回転位相を検出し、相対回転位相がいずれの位相にあるかを判定する。また、ECU21には、イグニッションキーのON/OFF情報、作動油の油温を検出する油温センサからの情報等を取得する信号系が形成されている。また、ECU21のメモリ内には、エンジンBの運転状態に応じた最適の相対回転位相の制御情報が記憶されている。ECU21は、運転状態(エンジン回転速度、冷却水温等)の情報と、上述した制御情報とから、相対回転位相を制御する。
〔弁開閉時期制御装置の動作〕
次に、弁開閉時期制御装置Aの動作を説明する。エンジンBの始動前は、中間ロック機構8によって中間ロック状態となっており、不図示のイグニッションキーがON操作されると、エンジンBは、図2に示すように、相対回転位相が中間ロック位相に拘束された状態(中間ロック状態)で始動し、アイドリング運転(触媒暖機前)が開始される。イグニッションキーがON操作されると同時に、OSV20には給電がなされ、中間ロック状態は維持される。このとき、カムシャフトB2のトルク変動等により、ハウジング1と内部ロータ2のバタつき、すなわち、第1クリアランス角度C1の範囲内で内部ロータ2のハウジング1に対する相対回転が進角方向Saと遅角方向Sbに交互に起こる(図4参照)。これにより、遅角側プレート面9fと側壁9eとの衝突と進角側プレート面10fと側壁10eの衝突とが交互に起こっている。
触媒暖機が終了すると、相対回転位相をアイドリング運転に適した最遅角位相に移行させるために、OCV19への給電を停止して遅角制御を行うと共に、OSV20への給電を停止して第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cに作動油を供給する。この作動油の油圧が中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bに作用する。第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cに作動油を供給する中間ロック解除流路12は進角流路6a及び遅角流路6bとは独立して形成されているので、作動油は第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cにのみ供給され、油圧は短時間で上昇する。作動油の油圧が第1スプリング9d及び第2スプリング10dの付勢力を上回ると、中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bが引退を開始する。
引退途中においてもハウジング1と内部ロータ2とのバタつきが継続しているので、遅角側プレート面9fと側壁9eとの衝突及び進角側プレート面10fと側壁10eの衝突による摩擦力がそれぞれ発生し、中間ロック部材9bと2用途ロック部材10bの引退を妨げる。これらの摩擦力は、内部ロータ2の一往復のバタつきにつき、遅角側プレート面9fと側壁9eとの衝突による発生が1回、進角側プレート面10fと側壁10eとの衝突による発生が1回である。そして、中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bに作用に作用する油圧が、第1スプリング9d及び第2スプリング10dの付勢力にそれぞれの摩擦力を加えた力を上回る油圧(以下、引退油圧と称する)に到達した時に、中間ロック部材9b及び2用途ロック部材10bは第1中間ロック溝9c及び第2中間ロック溝10cからそれぞれ引退し中間ロック解除状態となる。一方、遅角制御により最遅角ロック溝7aの作動油は、進角室3a内の作動油と共に最遅角ロック解除流路13を通って排出される。これにより相対回転位相は遅角方向Sbに向かって変位する。
相対回転位相がアイドリング運転に適した最遅角位相に到達し、2用途ロック部材10bが最遅角ロック溝7aに対向すると、図3に示すように、2用途ロック部材10bが最遅角ロック溝7aに突入し、最遅角ロック状態となる。このときは、遅角室3bに供給された作動油の油圧により、ベーン5がストッパ3cに押し付けられた状態になる。そのため、カムシャフトB2のトルク変動によるハウジング1と内部ロータ2とのバタつきは抑制される。
アイドリング運転が終了すると、通常の定常運転に移行するために、最遅角ロック解除状態に移行させるために、OCV19に給電して進角制御を行う。このとき、進角室3aへ作動油が供給されると共に、遅角室3bから作動油が排出される。遅角室3bからの作動油の排出に伴い、抑制されてきたハウジング1と内部ロータ2のバタつきが発生し始める。すなわち、第2クリアランス角度C2の範囲内で内部ロータ2のハウジング1に対する相対回転が進角方向Saと遅角方向Sbに交互に起こるようになる(図5参照)。これにより、遅角側プレート面10gと側壁7bとの衝突とベーン5とストッパ3cの衝突とが交互に起こっている。ベーン5とストッパ3cの衝突は、2用途ロック部材10bの引退時間の短縮には無関係である。
進角室3aに作動油が供給されるときには最遅角ロック溝7aへも同時に作動油が供給される。この作動油の油圧が2用途ロック部材10bに作用する。しかし、最遅角ロック状態を解除するための作動油を供給する最遅角ロック解除流路13と進角室3aへ作動油を供給する進角流路6aの1つとは共用されているので、最遅角ロック溝7aに作動油を供給する時には同時に進角室3aにも作動油が供給される。従って、最遅角ロック溝7aに供給される油量が少なく、油圧を上昇させる時間は、中間ロック状態を解除するときと比較すると長くなる。作動油の油圧が第2スプリング10dの付勢力を上回ると、2用途ロック部材10bが引退を開始する。
引退途中においてもハウジング1と内部ロータ2とのバタつきが継続しているので、遅角側プレート面10gと側壁7bとの衝突による摩擦力が発生し、2用途ロック部材10bの引退を妨げる。内部ロータ2の一往復のバタつきにつき、遅角側プレート面10gと側壁7bとの衝突が1回発生する。しかし、本実施形態における弁開閉時期制御装置Aにおいては、第1クリアランス角度C1よりも第2クリアランス角度C2の方が大きくなっている。そのため、第2クリアランス角度C2が第1クリアランス角度C1と同等の弁開閉時期制御装置Aと比較して遅角側プレート面10gと側壁7bとの衝突による摩擦力の発生間隔が長くなるので、2用途ロック部材10bの引退時における摩擦力の影響度合いは低下する。その結果、2用途ロック部材10bに作用する油圧は短時間で引退油圧に到達し、2用途ロック部材10bは最遅角ロック溝7aから引退し最遅角ロック解除状態となる。
このように第1クリアランス角度C1よりも第2クリアランス角度C2を大きくすることにより、最遅角ロック状態から最遅角ロック解除状態に至るまでの時間を短縮し、ロック解除性を向上させることができる。この結果、ハウジング1に対する内部ロータ2の相対回転位相を変位可能にするまでの時間を短縮でき、アクセルレスポンスを向上させることができる。
その後、通常の走行運転状態では、エンジンBの負荷や回転速度等に応じて、進角制御や遅角制御を行って相対回転位相を進角側や遅角側の位相に変位させたり、OCV19へデューティー比が50%の給電を行って相対回転位相を任意の位相に保持したりすることができる。相対回転位相が最遅角位相となる度に最遅角ロック状態となるが、進角制御を行えばすぐさま最遅角ロック解除状態となるため、何の不都合も生じない。
本実施形態においては、最遅角位相においてロック状態になるように構成されていたが、これに限られるものではない。最進角位相においてロック状態になるように構成されていても良い。また、最遅角位相と最進角位相の両方でロック状態になるように構成されていても良い。
本実施形態においては、2用途ロック部材10bが中間ロック機構8の一部を構成し、且つ最遅角ロック機構7の一部を構成していたが、この構成に限られるものではない。中間ロック機構8と最遅角ロック機構7とでそれぞれ独立した専用のロック部材を使用しても良い。
本実施形態においては、最遅角ロック解除流路13と進角流路6aの1つとを共用して連通流路14を設けたが、これに限られるものではない。最遅角ロック解除流路13と進角流路6aとを独立して設けても良い。この場合には、連通流路14が不要になる。ただし、この場合であっても、最遅角ロック解除流路13はOCV19に接続され、進角流路6aへの作動油の給排と連動して作動油が給排されるため、2用途ロック部材10bに作用する油圧を引退油圧に到達させるまでの時間を短縮することはできない。
本実施形態においては、OCV19に給電することで遅角制御が可能な状態となり、給電が停止されることで進角制御が可能な状態となる例を示したが、これに限られるものではない。OCV19は、給電されることで進角制御が可能な状態となり、給電が停止されることで遅角制御が可能な状態となるよう構成しても良い。
本実施形態においては、OSV20が、給電されることで第1中間ロック溝9cからの作動油排出が可能な状態となり、給電が停止されることで第1中間ロック溝9cへの作動油供給が可能な状態となる例を示したが、これに限られるものではない。OSV20は、給電されることで第1中間ロック溝9cへの作動油供給が可能な状態となり、給電が停止されることで第1中間ロック溝9cからの作動油排出が可能な状態となるよう構成しても良い。
本発明は、内燃機関のクランクシャフトと同期して回転する駆動側回転体に対する従動側回転体の相対回転位相を制御する弁開閉時期制御装置に利用することができる。
1 ハウジング(駆動側回転体)
2 内部ロータ(従動側回転体)
3 流体圧室
3a 進角室
3b 遅角室
5 ベーン(仕切部)
7 最遅角ロック機構(第2ロック機構)
7a 最遅角ロック溝(第2凹部)
8 中間ロック機構(第1ロック機構)
9b 中間ロック部材(第1ロック部材)
9c 第1中間ロック溝(第1凹部)
10b 2用途ロック部材(第1ロック部材,第2ロック部材)
10c 第2中間ロック溝(第1凹部)
A 弁開閉時期制御装置
B エンジン(内燃機関)
B1 クランクシャフト
B2 カムシャフト
C1 第1クリアランス角度
C2 第2クリアランス角度
X 回転軸心(軸心)

Claims (2)

  1. 内燃機関のクランクシャフトと同期回転する駆動側回転体と、
    前記駆動側回転体と同一の軸心になるように配置され、前記内燃機関の弁開閉用のカムシャフトと同期回転する従動側回転体と、
    前記駆動側回転体と前記従動側回転体との間に形成される流体圧室と、
    前記駆動側回転体及び前記従動側回転体の少なくとも一方に設けられた仕切部と、
    前記仕切部で前記流体圧室を仕切ることにより形成される進角室及び遅角室と、
    前記駆動側回転体又は前記従動側回転体のいずれか一方の回転体に収容され且つ前記駆動側回転体又は前記従動側回転体のいずれか他方の回転体に対して出退可能な少なくとも1つの第1ロック部材と、前記第1ロック部材が突出したときに嵌合可能となるように前記他方の回転体に形成された少なくとも1つの第1凹部とを有しており、前記第1ロック部材が突出して前記第1凹部に嵌入することにより前記駆動側回転体に対する前記従動側回転体の相対回転位相が最進角位相と最遅角位相の間の中間ロック位相に拘束される第1ロック状態と、前記第1ロック部材が前記第1凹部から引退することにより拘束が解除される第1ロック解除状態とに切換え可能な第1ロック機構と、
    前記一方の回転体に収容され且つ前記他方の回転体に対して出退可能な第2ロック部材と、前記第2ロック部材が突出したときに嵌合可能となるように前記他方の回転体に形成された第2凹部とを有しており、前記第2ロック部材が突出して前記第2凹部に嵌入することにより前記相対回転位相が最進角位相又は最遅角位相に拘束される第2ロック状態と、前記第2ロック部材が前記第2凹部から引退することにより拘束が解除される第2ロック解除状態とに切換え可能な第2ロック機構と、を備え、
    前記第1ロック状態を解除する第1ロック解除流路が、前記進角室に連通する進角流路と前記遅角室に連通する遅角流路とは異なる独立した流路として形成され、前記第2ロック状態を解除する第2ロック解除流路が、前記進角流路または前記遅角流路で共用される流路として構成され、
    前記第2ロック部材が前記第1ロック機構に共用され、且つ、前記第2凹部が前記進角室または前記遅角室のうち隣接するものに対し前記従動側回転体の外周に形成された溝状の連通流路により連通しており、
    前記第1ロック状態において前記駆動側回転体に対して前記従動側回転体が回転可能な角度である第1クリアランス角度よりも、前記第2ロック状態において前記駆動側回転体に対して前記従動側回転体が回転可能な角度である第2クリアランス角度の方が大きい弁開閉時期制御装置。
  2. 前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材はいずれも前記駆動側回転体に収容され、前記第1ロック部材及び前記第2ロック部材は前記軸心に対して径方向に出退する請求項1に記載の弁開閉時期制御装置。
JP2013048416A 2013-03-11 2013-03-11 弁開閉時期制御装置 Expired - Fee Related JP6171423B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013048416A JP6171423B2 (ja) 2013-03-11 2013-03-11 弁開閉時期制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013048416A JP6171423B2 (ja) 2013-03-11 2013-03-11 弁開閉時期制御装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014173540A JP2014173540A (ja) 2014-09-22
JP6171423B2 true JP6171423B2 (ja) 2017-08-02

Family

ID=51695031

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013048416A Expired - Fee Related JP6171423B2 (ja) 2013-03-11 2013-03-11 弁開閉時期制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6171423B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6225725B2 (ja) * 2013-03-11 2017-11-08 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3476786B2 (ja) * 2001-04-20 2003-12-10 株式会社日立ユニシアオートモティブ 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP3934579B2 (ja) * 2003-06-13 2007-06-20 株式会社日立製作所 内燃機関のバルブタイミング制御装置
WO2011055589A1 (ja) * 2009-11-04 2011-05-12 アイシン精機株式会社 弁開閉時期制御装置
JP5763432B2 (ja) * 2011-06-17 2015-08-12 日立オートモティブシステムズ株式会社 内燃機関のバルブタイミング制御装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014173540A (ja) 2014-09-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5582363B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5516937B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
US8091524B2 (en) Valve timing control device
JP5360511B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5403341B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5321911B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
EP2423476B1 (en) Device for controlling valve opening/closing time
JP2011069287A (ja) 弁開閉時期制御装置
US8919310B2 (en) Valve open/close timing control device
JP6225725B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
WO2015019735A1 (ja) 弁開閉時期制御装置
WO2015015960A1 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6171423B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6035880B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5376219B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6264845B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP5954056B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6036417B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP6115201B2 (ja) 弁開閉時期制御装置
JP2002256827A (ja) 内燃機関のバルブタイミング制御装置
JP2014043854A (ja) 弁開閉時期制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160210

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160908

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160913

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161109

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170328

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170606

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170619

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6171423

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees