JP2014169225A - 異形断面ガラス繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂材と混合して複合材料を形成した場合に、当該複合材料の強度の向上を確実に図り得る異形断面のガラス繊維を提供する。
【解決手段】異形断面ガラス繊維10は、紡出方向に垂直な横断面が扁平形状をなし、Eガラスで形成される。異形断面ガラス繊維10は、紡出方向に垂直な横断面において、その重心Pを通る長軸L方向に沿って延び且つ重心Pを通り長軸Lと直交する短軸S方向で対向する一対の主面11a,11bを有すると共に、一方の主面11bのみに突起部12が形成されている。突起部12は、長軸L方向の両端部にそれぞれ形成されている。突起部12の間に形成される非突起部13は略直線状をなし、非突起部13の形成領域は、突起部12の形成領域よりも長軸L方向に幅広である。
【選択図】図1

Description

本発明は、紡出方向に垂直な横断面が、扁平形状をなす異形断面ガラス繊維の改良技術に関する。
周知のように、ガラス繊維は、種々の樹脂材に添加する補強材として広く利用されている。そして、従来、この種のガラス繊維は、その横断面の形状が略真円形をなすものが多く利用されており、樹脂材に添加する場合には、ガラス繊維の表面に処理剤等を付着させることで、ガラス繊維と樹脂との界面に接着力を付与するようにしていた。
しかしながら、近年では、樹脂材とガラス繊維とを含む複合材料は、より広範な分野で利用されるに至っており、更なる複合材料の強度向上が求められている。そのため、当該求めに応じるべく、横断面が略真円形のガラス繊維に代えて、断面形状が長円形や楕円形等の異形断面のガラス繊維が提案されるに至っている(例えば、特許文献1、2参照)。このような異形断面ガラス繊維は、横断面が略真円形のガラス繊維に比べて表面積が増加することから、当該ガラス繊維を樹脂材に添加した場合には、樹脂材との接触面積が増加して接着力が向上するため、複合材料全体としての強度向上を図ることができる。
特開昭61−174141号公報 特開2000−103635号公報
しかしながら、特許文献1、2に開示の異形断面ガラス繊維であっても、ガラス繊維と樹脂材との界面では、局所的な平面同士が接着によって化学的に接合しているだけであるので、その界面に剪断方向に過度な負荷が作用すると、ガラス繊維と樹脂材との間の接着は比較的容易に剥離するという問題が生じ得る。そのため、複合材料の強度の向上を図る上では依然として不十分なものとなる。
本発明は、上記実情に鑑み、樹脂材と混合して複合材料を形成した場合に、当該複合材料の強度の向上を確実に図り得る異形断面のガラス繊維を提供することを技術的課題とする。
上記課題を解決するために創案された本発明に係るガラス繊維は、紡出方向に垂直な横断面が、扁平形状をなす異形断面ガラス繊維であって、Eガラスで形成され、前記横断面において、その重心を通る長軸の方向に沿って延び且つ前記重心を通り前記長軸と直交する短軸の方向で対向する一対の主面を有すると共に、前記一方の主面のみに突起部を有し、前記突起部が前記長軸方向の両端部にそれぞれ形成されており、前記一方の主面のうち、前記突起部の間に形成される非突起部が、略直線状をなし、且つ、前記非突起部の形成領域が、前記突起部の形成領域よりも前記長軸方向に幅広であることに特徴づけられる。
このような構成によれば、ガラス繊維を樹脂材と混合して複合材料を形成した場合に、ガラス繊維と樹脂材との結合力が、ガラス繊維と樹脂材との界面での接着による結合力だけではなく、ガラス繊維の突起部と樹脂材との噛み合いや、ガラス繊維の突起部同士の噛み合いによる結合力によっても強められる。したがって、ガラス繊維と樹脂材との界面に剪断方向に負荷が掛かったとしても、ガラス繊維の突起部と樹脂材の噛み合い及びガラス繊維の突起部同士の噛み合いによる結合力によって、ガラス繊維と樹脂材との相互間で容易に剥離が生じるという事態を確実に防止することが可能となる。
上記の構成において、前記横断面の扁平比が、1.5以上10.0以下の範囲内にあることが好ましい。
すなわち、横断面の扁平比が1.5未満である場合には、複合材料に用いた場合に十分な収縮率の異方性改善効果が実現できなくなる場合があるため好ましくない。また、横断面の扁平比が10.0を超える場合には、製造条件などが過酷なものとなり、成形される異形断面ガラス繊維の外形の管理が困難となる場合があるので好ましくない。
したがって、横断面の扁平比は上述の範囲とすることが好ましく、当該範囲であれば、樹脂材と混合して複合材料を形成した場合に、十分な収縮率の異方性改善効果と、高い形状安定性を同時に実現することが可能となる。そして、このような作用効果を享受するという観点からは、横断面の扁平比は、2.1以上9.0以下の範囲内であることがより好ましく、2.3以上8.0以下の範囲内であることがさらに好ましく、2.5以上7.0以下の範囲内であることが一層好ましく、2.7以上6.0以下の範囲内であることが最も好ましい。
上記の構成において、前記横断面の真円相当直径が、5μm以上30μm以下の範囲内にあることが好ましい。なお、ここでいう真円相当直径とは、ガラス繊維の横断面の面積と等しい面積を有する真円の直径を意味している。
このようにすれば、様々な用途に用いられる各種複合材料に応じた繊維径のガラス繊維を適用することができるものとなるので、多様な複合材の製品寸法を従前よりも精密に調整することが可能となる。
上記の構成において、前記横断面の輪郭の各点における曲率半径の中心の位置が前記横断面内側にある場合を負、前記横断面外側にある場合を正とすると共に、前記横断面の輪郭の任意の一点を起点とした各点までの輪郭長さを変数とした曲率半径を表す関数において、一次微分係数が零であって、二次微分係数が負となる突起点を前記横断面の輪郭上に有していてもよい。
以上のような本発明に係る異形断面ガラス繊維によれば、樹脂材と混合して複合材料を形成した場合に、当該複合材料の強度の向上を確実に図ることが可能となる。
本発明の実施例1に係る異形断面ガラス繊維を概念的に示した横断面図である。 実施例1に係る異形断面ガラス繊維の製造設備に関する説明図であり、(A)は部分全体図、(B)は(A)のX部の拡大縦断面図、(C)は(B)のY−Y断面図をそれぞれ示している。 実施例1に係る異形断面ガラス繊維の横断面形状の写真である。 本発明の実施例3に係る異形断面ガラス繊維の横断面形状の写真である。 本発明の実施例に係る異形断面ガラス繊維の変形例を概念的に示した横断面図である。
本発明に係る実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施例1に係る異形断面ガラス繊維の横断面図である。このガラス繊維10は、Eガラス材質の熔融ガラスを均質な状態となるように攪拌などの混合均質化操作を行った後に、ノズルより引き出して成形したものであり、例えば、樹脂材と混合した複合材料の形で電子部品用途の構造材として利用される。
そして、図1に示すように、このガラス繊維10は、紡出方向に垂直な横断面が、重心Pを通る長軸(最長寸法軸)Lと、重心Pを通り且つ長軸Lと直交する短軸(最短寸法軸)Sとを有する扁平形状をなし、その外形的な特徴は次のようなものである。
すなわち、このガラス繊維10の外形的な特徴は、横断面の輪郭に1以上の突起部12が形成されている点にある。詳述すると、このガラス繊維10は、長軸L方向に沿って延び且つ短軸S方向で対向する一対の主面11a,11bを有するものであって、突起部12が、ガラス繊維10の成形時における熔融ガラスGの温度分布の差により、長軸L方向の両端部側が一対の主面11a,11bのうち一方側11bに膨出して形成されたものとされている。突起部12の間に形成される非突起部13は略直線状をなし、非突起部13の形成領域は、突起部12の形成領域よりも長軸L方向に幅広である。なお、突起部12は、ガラス繊維10の全長、換言すれば紡出方向に沿って連続するように形成されている。そして、この突起部12により、ガラス繊維10を樹脂材と混合した場合に、ガラス繊維10と樹脂材との結合力が、ガラス繊維10と樹脂材との界面での接着による結合力だけではなく、ガラス繊維10の突起部12と樹脂材との噛み合いや、ガラス繊維10の突起部12同士の噛み合いによる結合力によっても強められる。したがって、ガラス繊維10と樹脂材との結合力が高められ、複合材料の機械的強度を確実に向上させることが可能となる。その結果、ガラス繊維10と樹脂材との界面に剪断方向に負荷が掛かったとしても、ガラス繊維10の突起部12と樹脂材の噛み合い及びガラス繊維10の突起部12同士の噛み合いによる結合力によって、ガラス繊維10と樹脂材との相互間で容易に剥離が生じるという事態を確実に防止することが可能となる。
なお、各突起部12は、ガラス繊維10の横断面の輪郭線上における突起部12の始点(立上り点)と終点(立下り点)点を結ぶ線分を底辺とした場合の最大高さが、横断面の重心Pを通る長軸方向寸法Aの1/5以下であることが好ましい。さらに、突起部12は、その始点と終点を結ぶ線分を底辺とした場合に、その底辺に平行で且つ前記最大高さの半分に位置する突起部12の横断線分の長さが、長軸方向寸法Aの1/5以下であることが好ましい。また、この突起部12は、横断面の輪郭の外側に曲率半径の中心を有する局所的な輪郭部を有することによって形成されている。
また、このガラス繊維10の外形的な別の特徴は、横断面の重心Pを通る長軸Lに対して、非対称性を有している点にある。具体的には、この非対称性は、ガラス繊維10の長軸方向両端部の曲率半径が、長軸Lを境界として異なる値(図中の曲率半径R1とR2)を示していることを主たる要因として生じている。このように長軸Lに対して非対称性を付与すれば、当該非対称性に起因して、横断面の重心Pが、短軸方向に偏在することになる。そのため、ガラス繊維10を樹脂材中に充填する時に、ガラス繊維10の流動方向が不規則となりやすくなり、樹脂材中に充填された後のガラス繊維10の配向度を緩和することができる。したがって、成形された複合材料の強度の異方性を緩和でき、より強度に等方性のある複合材料を構成することができる。
次に、以上のように構成されたガラス繊維10の製造手順を図2(A)〜(C)に基づいて説明する。
ガラス繊維10は、図2に示すように、熔融ガラスGが貯溜された耐熱性(例えば、白金合金製)のブッシング20の底部に垂下するように取り付けられた複数の耐熱性(例えば、白金合金製)のノズル21から、熔融ガラスGを下方に紡出しながら冷却することにより製造される。製造されたガラス繊維10は、下方に配した巻き取り装置30に装着された紙管上に巻き取られる。なお、この際に、ノズル形状の特定位置の定点観測や成形されるガラス繊維10の形状をセンサー等によって管理し、その結果を反映させてノズル温度や紡出速度などを微調整可能な構成とすることが好ましい。
そして、上述の製造手順において、使用されるノズル21のノズル孔22は、図2(C)に示すように、その横断面の重心P1を通る長軸(最長寸法軸)Tを有する扁平状(長円形)をなす単一の孔により構成されている。また、このノズル21の先端部には、図2(B)に示すように、ノズル孔22の長軸Tを境界とするノズル孔22の半周以下の周縁部から紡出方向(引出方向)に沿って突出する突出部21aが形成されている。そのため、ノズル21の先端部において、突出部21aを除く領域は切欠部21bとされている。なお、この実施例では、ノズル孔22の半周に対応する周縁部に突出部21aが形成されており、ノズル孔22の残りの半周に対応する周縁部の先端側が切欠部21bとされている。
なお、図2(B)に示すように、ノズル21の形状は、ノズル孔22の長軸Tを含み且つ熔融ガラスGの紡出方向と平行な平面Uを基準とした場合、その基準平面Uに対して、非対称性を有している。また、図2(C)に示すように、ノズル21は、その輪郭の平面形状がその重心P1を通る長軸Tに対して鏡面対称性を有する形状となっている。
また、熔融ガラスGの取り出し口端となるノズル21のノズル孔22の下端開口部の扁平比(長軸方向寸法/短軸方向寸法)は、1.5以上10.0以下の範囲内であることが好ましい。このようにすれば、熔融ガラスGの冷却効率および成形性が向上し、扁平状のガラス繊維10を精密成形しやすくなるという利点がある。
以上のように構成されたノズル21から熔融ガラスGを紡出させると、ノズル21の突出部21aに面する熔融ガラスGの一方側の表面が、突出部21aに沿って案内されながら流下すると共に、ノズル21の切欠部21bに面する熔融ガラスGの他方側の表面が、切欠部21bを通じて急速に冷却される。そのため、熔融ガラスGのうち、突出部21aに面する側と,切欠部21bに面する側とで、温度分布に差が生じる。そのため、この温度分布の差により、先に切欠部21bに面する側の熔融ガラスGの表面が表面張力により丸みを帯び、その過程で熔融ガラスGの長軸方向の両端部側が、ノズル21の突出部21a側から流出した熔融ガラスGの表面側へと回り込んで膨出する。これにより、当該熔融ガラスGを冷却固化したガラス繊維10の両端部に突起部12が形成されると共に、その突起部12の間に非突起部13が形成される。
なお、ノズル21の突出部21aは、熔融ガラスGの変形を規制する効果もあるので、上記の熔融ガラスGの回り込みは、主として突出部21aの直下、すなわち、突出部21aによる熔融ガラスGの案内が解除された段階で生じる。また、突出部21aによる変形の規制効果に起因して、切欠部21b側に面していたガラス繊維10の主面11aよりも、突出部21a側に面していたガラス繊維10の主面11bの方が、全体として丸みが小さく、直線状に近い形状を呈している。
そして、このような突起部12を形成するための条件の具体例としては、紡糸速度を600m/分とし、ブッシング温度を1100℃とすることが挙げられる。すなわち、この紡糸条件で製造されたガラス繊維10では、曲率半径R1と曲率半径R2とが異なる大きさとなり、長軸L方向の両端部において主面11b側に約1μm膨出した突起部12が表れることが確認されている。実際に以上の紡糸条件によって得られたガラス繊維10の横断面写真を図3に示す。同図において、白色で表示されている部分がガラス繊維10を示すものある。なお、同図に示す画像は、ガラス繊維10を埋入した樹脂材を鏡面研磨した後に、その研磨面を実体顕微鏡下で撮影したものである。
図3に示す例では、異形断面ガラス繊維10は、その横断面の重心Pを通る長軸方向寸法Aが43.5μmとなり、これに平行で横断面の突起部12を除いた輪郭と接する2本の平行線間の距離Bが10.2μmとなった。そのため、重心Pを通る長軸方向寸法Aをこれに平行で横断面の輪郭と接する2本の平行線間の距離Bで割った扁平比は4.3となり、1.5以上10.0以下の範囲を満足するものとなった。また、このガラス繊維10の円相当直径は23.3μmとなり、5μm以上30μm以下の範囲を満足するものとなった。なお、このガラス繊維10の横断面は、長軸Lに対して非対称性を有すると共に、短軸Sに対しても非対象性を有するものとなった。
また図示はしていないが、さらに他の条件を採用することによって、外形寸法などの異なるガラス繊維10を得ることができる。
実施例2に係るガラス繊維10の製造条件は、実施例1に係るガラス繊維10の製造条件と紡糸速度のみを相違させた。すなわち、ブッシング温度は1100℃のままで、紡糸速度を400m/分とした。この紡糸条件で製造されたガラス繊維10は、実際に製造された繊維の横断面写真は省略するが、その横断面の重心Pを通る長軸方向寸法Aが53.4μmとなり、これに平行で横断面の突起部12を除いた輪郭と接する2本の平行線間の距離Bが13.5μmとなった。そのため、当該ガラス繊維10の横断面における扁平比(A/B)は、4.0となり、1.5以上10.0以下の範囲を満足するものとなった。また、このガラス繊維10の円相当直径は、28.9μmとなり、円相当直径が5μm以上30μm以下の範囲を満足するものとなった。なお、このガラス繊維10の横断面は、長軸Lに対して非対称性を有すると共に、短軸Sに対して対象性を有するものとなった。
さらに外形寸法が小さく、扁平性のより大きい第3実施形態に係るガラス繊維10としては、次のようなものもある。すなわち、紡糸速度を1500m/分とし、ブッシング温度を1100℃とした紡糸条件により、図4に示す横断面写真をなすガラス繊維10を製造することができる。このガラス繊維10は、その横断面の重心Pを通る長軸方向寸法Aが34.3μmとなり、これに平行で横断面の突起部12を除いた輪郭と接する2本の平行線間の距離Bが6.0μmとなった。そのため、当該ガラス繊維10の横断面における扁平比(A/B)は、5.7となり、1.5以上10.0以下の範囲を満足するものとなった。また、このガラス繊維10の円相当直径は、15μmとなり、5μm以上30μm以下の範囲を満足するものとなった。このガラス繊維10は、円相当直径が小さく、扁平性が高いため、収縮率の異方性の改善効果がより大きくなるものである。
以上のような実施例に係る異形断面ガラス繊維10によれば、ガラス繊維10の横断面の輪郭に1以上の突起部12が形成されるので、ガラス繊維10を樹脂材に充填して複合化した場合に、ガラス繊維10同士や、ガラス繊維10と樹脂材の間の結合力が、突起部12の噛み合いによって増大し、補強効果の向上を図ることが可能となる。
また、この突起部12は、ガラス繊維10の成形時における熔融ガラスGの温度分布の差による熱変形によって形成されたものであるので、ノズル孔22の形状によって突起部12を直接形成する場合のように、ノズル孔22の形状が複雑化されるという事態を防止することができる。そのため、ノズル21のノズル孔22の形状を上述のように長円形などの簡単な扁平形状とすることができるので、熔融ガラスGの紡出経路を単純化することができる。したがって、熔融ガラスGの紡出状態を安定させることができるので、高い成形精度を維持しつつ、ガラス繊維10の横断面の輪郭上に突起部12を適正に形成することが可能となる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の形態において実施することができる。
例えば、異形断面ガラス繊維10の繊維表面に、用途に応じて様々な種類の集束剤を多様な方法によって所定量だけ塗布するようにしてもよい。
異形断面ガラス繊維10は、必要に応じて繊維に所定の撚りを施してもよく、また全く撚りを施さないものとしてもよい。
異形断面ガラス繊維10は、FRPばかりでなくコンクリートの強化用途など他のガラス繊維が使用される用途にも必要に応じてその用途を拡張してよい。また、この他にも光学性能を加味した所望の透過率や屈折率等を有するガラス組成を用いて透明樹脂材と併用して各種ディスプレイ基板等に成形される光部材として使用される用途や、耐熱性を有する遮蔽材や積層材等の様々な用途で使用することが可能であり、更には中空状ガラス繊維等の軽量材への適用もできる。
異形断面ガラス繊維10の突起部12の形状は、例えば、鋭角の角形状であっても、放物線状のなだらかな形状であってもよい。また、突起部12は、相対的に大断面の凸部とその先端に設けられた相対的に小断面の凸部とからなる多段状の凸部で形成されていてもよい。
また、上記実施例に係る異形断面ガラス繊維10は、横断面の輪郭上に突起部12等を含む1以上の突起状の輪郭部分(以下、突起状輪郭部)が形成されていることが好ましい。ここで、突起状輪郭部とは、紡出方向に垂直なガラス繊維10の横断面の輪郭上の各点の曲率半径について、その輪郭上の各点における曲率半径の中心の位置が輪郭上の各点を起点として横断面内側方向にある場合を負、一方曲率半径の中心の位置が輪郭上の各点を起点として横断面内側に向いていない方向にある場合を正とするとき、輪郭上の任意の一点を起点とした各点までの輪郭長さを変数とした曲率半径を表す関数において、曲率半径が負の領域で一次微分係数が正から負に転じる輪郭上の点を有し、かつ、その輪郭上の点を中心として直径が横断面と同面積となる真円の直径の四分の一である真円内に、曲率半径が正となる輪郭上の点を有するというガラス繊維の横断面の部分を意味する。そして、輪郭上の任意の一点からの輪郭長さを変数とした輪郭上の各点における曲率半径を表す関数において、曲率半径が負の領域で微分係数が正から負に転じる輪郭上の点では、紡出方向に垂直なガラス繊維10の横断面輪郭は外側に突出した形状を呈しているが、逆に微分係数が負から正に転じる点では紡出方向に垂直なガラス繊維の横断面輪郭はなだらかな形状を呈していることになる。よって、突起状輪郭部は、紡出方向に垂直なガラス繊維10の横断面の輪郭上の任意の一点から各点までの輪郭長さを変数とした曲率半径を表す関数について、一次微分係数が0であって、二次微分係数が負となる特定の点(以後、突起点と呼ぶ)を有し、かつ、その突起点を中心として直径が横断面と同面積となる真円の直径の四分の一である真円内に、曲率半径が正となる輪郭上の突起点以外の他の点を有するガラス繊維10の横断面の部分を意味する。
このようにすれば、ガラス繊維10を樹脂材に充填して複合化した場合に、ガラス繊維10同士や、ガラス繊維10と樹脂材との噛み合いが更に強化されるので、ガラス繊維10による補強効果のより一層の向上を期待できる。一方、上記した特定の突起点から横断面と同面積となる真円の直径の四分の一以内に、曲率半径が正となる輪郭上の特定の突起点以外の他の点が存在しない場合、すなわち曲率半径が正となる輪郭上の特定の突起点以外の他の点が四分の一よりも遠くにある場合には、ガラス繊維10の横断面の輪郭に認められる外側に突起した箇所は、なだらかな形状を呈したものとなり、複合材や周囲のガラス繊維10との噛み合いが不十分になるおそれがある。
また、異形断面ガラス繊維10は、横断面輪郭形状に2以上の突起状輪郭部を有し、かつ横断面輪郭形状の重心から突起状輪郭部の先端までの寸法が異なるような形状であることが好ましい。このようにすれば、ガラス繊維10と樹脂材とを複合化する際に、ガラス繊維の突起状輪郭部が特定方向に配向することなく、不特定の方向を向きやすくなり、形成された複合材の機械的性能などが等方性を獲得し易いものとなる。すなわち、上述した噛み合わせ構造がランダムに存在することになり、一層均等で強固な構造となる。また横断面輪郭形状の重心から突起状輪郭部の先端の突起点までの寸法が異なる位置に重心があるため、ガラス繊維10と樹脂材とを複合化する際に、ガラス繊維10の突起状輪郭部が特定方向に配向することなく、不特定の方向を向きやすくなり、形成された複合材の機械的性能などが等方性を獲得し易いものとなる。
具体的には、図5に示すように、図1に示したガラス繊維10は、その輪郭Wに8つの突起点M1〜M8を有している。換言すれば、このガラス繊維10では、紡出方向に垂直な横断面の輪郭Wについて、その各点の曲率半径を媒介変数で表す関数に関して、一次微分係数が0であって、二次微分係数が負となる突起点M1〜M8を有している。そして、6つの突起点M1〜M6を中心として直径が横断面と同面積となる真円の直径の四分の一となる各々の真円C1〜C6を仮想的に描く場合に、C1、C3及びC5の円内にV1が存在するが、V1における曲率半径の中心はガラス繊維10の輪郭Wの外にある。また、C2、C4及びC6の円内にV2が存在するが、V2における曲率半径の中心もガラス繊維10の輪郭Wの外にある。すなわち、この輪郭Wは突起点M1〜M6を含む6つの突起状輪郭部を有していることになる。また、このガラス繊維10では、ガラス繊維10の全体の輪郭の外観は一方向に長い扁平形状を呈している。そして例えば2つの突起点M1、M2から重心Pまでの寸法、q1とq2の長さの差異は1割以内であり、3番目の突起点M3、4番目の突起点M4の各々から重心Pまでの距離q3、q4は、q1とq2よりも小さい寸法となっている。このような構成であれば、突起箇所は十分にガラス繊維の横断面の輪郭で外側に突出した形状となっており、樹脂材とともに用いられた場合に楔状に樹脂材を繋ぎとめ、噛み合った構造となりうる形状であり、複合材として用いる際に機械的強度の向上に寄与するものである。
また、異形断面ガラス繊維10の横断面の面積が、ノズル21における熔融ガラスGの取り出し口端となるノズル孔22の下端開口部の開口面積の1/1000未満となるように、ガラス繊維10を製造するようにすることが好ましい。このようにすれば、安定した冷却条件を採用して、所望の外形寸法の非円形のガラス繊維10を高い寸法精度となるように成形することができる。なお、このような観点から、製造される異形断面ガラス繊維10の横断面の面積は、ノズル21のノズル孔22の開口面積の1/2000未満であることがより好ましく、1/5000未満であることが更に好ましく、1/10000未満であることが最も好ましい。
10 異形断面ガラス繊維
11a,11b 主面
12 突起部
20 ブッシング
21 耐熱性ノズル
21a 耐熱性ノズルの突出部
21b 耐熱性ノズルの切欠部
22 ノズル孔
30 巻き取り装置
G 熔融ガラス
P 異形断面ガラス繊維の重心
P1 ノズル孔の重心
R1、R2 曲率半径
C1、C2、C3、C4 突起点を中心とするガラス繊維横断面の面積と同面積の真円の四分の一の直径の真円
Q1、Q2、Q3、Q4、Q5、Q6、Q7、Q8 重心から突起点までの仮想線
q1、q2、q3、q4 Q1〜Q4の各々の寸法
M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8 突起点
V1 C1、C3、C5内にある曲率半径の中心が横断面の外側にある点
V2 C2、C4、C6内にある曲率半径の中心が横断面の外側にある点
L 異形断面ガラス繊維の横断面の長軸
S 異形断面ガラス繊維の横断面の短軸
T ノズル孔の長軸
U ノズル孔の長軸を含み、且つ、熔融ガラスの紡出方向と平行な平面
W 異形断面ガラス繊維の横断面の輪郭線

Claims (4)

  1. 紡出方向に垂直な横断面が、扁平形状をなす異形断面ガラス繊維であって、
    Eガラスで形成され、
    前記横断面において、その重心を通る長軸の方向に沿って延び且つ前記重心を通り前記長軸と直交する短軸の方向で対向する一対の主面を有すると共に、
    前記一方の主面のみに突起部を有し、前記突起部が前記長軸方向の両端部にそれぞれ形成されており、
    前記一方の主面のうち、前記突起部の間に形成される非突起部が、略直線状をなし、且つ、前記非突起部の形成領域が、前記突起部の形成領域よりも前記長軸方向に幅広であることを特徴とする異形断面ガラス繊維。
  2. 前記横断面の扁平比が、1.5以上10.0以下の範囲内にある請求項1に記載の異形ガラス繊維。
  3. 前記横断面の真円相当直径が、5μm以上30μm以下の範囲内にある請求項1又は2に記載の異形ガラス繊維。
  4. 前記横断面の輪郭の各点における曲率半径の中心の位置が前記横断面内側にある場合を負、前記横断面外側にある場合を正とすると共に、前記横断面の輪郭の任意の一点を起点とした各点までの輪郭長さを変数とした曲率半径を表す関数において、一次微分係数が零であって、二次微分係数が負となる突起点を前記横断面の輪郭上に有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の異形ガラス繊維。
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