JP2014164713A - 制御装置、工作機械、及び制御方法 - Google Patents

制御装置、工作機械、及び制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】構成の簡素化を計り、精度の高い制御を可能とする制御装置、工作機械、及び制御方法を提供することにある。
【解決手段】プログラムを構成する命令を順次実行し、該命令に基づく物体の移動を、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により制御する制御部を備える制御装置に、前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれているか否かを判定する判定部と、前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれていると前記判定部が判定した場合、前記命令に基づく移動により前記物体の進入を禁じた所定の禁止範囲に前記物体が進入するか否かを判定する進入判定部と、前記物体の前記禁止範囲への進入が否と前記進入判定部が判定した場合、前記命令に基づく前記制御部による制御を許可する制御許可部とを備える。
【選択図】図9

Description

本発明は、物体の移動を制御する制御部を備える制御装置、この装置を備えた工作機械、及び物体の移動に係る制御方法に関する。
一般に工作機械は、工具を装着する主軸ヘッド及びワークを支持する支持部の移動を行う制御装置を備える。例えば、主軸ヘッド及び支持部の移動に係る制御を行う前に、その移動についてシミュレーションを行い、移動させる物体が他と干渉を起こすか否かを判定する。干渉が起こらないと判定された場合、実際に移動制御を行う。
特許文献1に開示されている制御装置は、ユーザにより入力された加工前後のワークの形状に係る情報並びに制御装置に記憶されている工作機械の仕様及び工具の仕様に係る情報から、シミュレーションにて工具及びワークの干渉を予測する。
また、特許文献2に開示されている制御装置は、工作機械の動作中に干渉する可能性のある部位を直方体にて定義し、2つの直方体について、一方の頂点が他方に進入するか否かを所定の条件にて判定する。一方の頂点が他方に進入していると制御装置が判定した場合、干渉していると判定し、工作機械の処理を停止する。
特開2000−84794号公報 特開2005−128686号公報
従来の工作機械が備える制御装置は、フィードバック制御によって物体の移動制御を行うことが多い。フィードバック制御によれば、フィードバック信号により物体が移動している際の地点を制御装置は把握することができるため、移動制御の精度が高い。しかし、フィードバック信号を制御装置に送信するためのエンコーダをモータに設けること、フィードバック信号から物体の位置を把握するために制御装置の回路が複雑になること等、フィードバック制御を行うための構成が複雑化する欠点がある。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、構成の簡素化を計り、精度の高い制御を可能とする制御装置、工作機械、及び制御方法を提供することにある。
本発明に係る制御装置は、プログラムを構成する命令を順次実行し、該命令に基づく物体の移動を、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により制御する制御部を備える制御装置において、前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれているか否かを判定する判定部と、前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれていると前記判定部が判定した場合、前記命令に基づく移動により前記物体の進入を禁じた所定の禁止範囲に前記物体が進入するか否かを判定する進入判定部と、前記物体の前記禁止範囲への進入が否と前記進入判定部が判定した場合、前記命令に基づく前記制御部による制御を許可する制御許可部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、プログラムを構成する命令を順次実行し、実行した命令に基づき、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により、制御部は物体の移動を制御する。プログラムを構成する命令に、オープンループ制御による制御を制御部に行わせる情報が含まれるか否かを、判定部が判定する。次いで、オープンループ制御による制御を制御部に行わせる情報が命令に含まれると判定部が判定した場合、その命令により禁止範囲に物体が進入するか否かを進入判定部が判定する。物体が禁止範囲に進入しないと進入判定部が判定した場合、オープンループ制御による制御を制御部に行わせる情報を含む命令に基づく制御を、制御許可部は許可する。
従って、オープンループ制御を行う情報がプログラムの命令に含まれる場合であっても、進入を禁止された範囲への進入を避けた制御を行うことができる。また、オープンループ制御は、フィードバック制御を行うための構成よりも簡素である。そのため、簡易な構成であっても、精度の高い制御が可能である。
本発明に係る制御装置は、前記進入判定部は、前記命令に基づく、前記物体の移動の始点及び終点間に前記禁止範囲が含まれるか否かにより、前記物体が該禁止範囲に進入するか否かを判定するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、物体の移動の始点及び終点間に禁止範囲が含まれているか否かにより、進入判定部は物体が禁止範囲に進入するか否かを判定する。
本発明に係る制御装置は、前記物体が前記禁止範囲に進入すると前記進入判定部が判定した場合、外部に報知する報知部を備えることを特徴とする。
本発明にあっては、物体が禁止範囲に進入すると進入判定部が判定した場合、報知部は外部に報知する。従って、制御装置を利用するユーザは、物体が禁止範囲に進入する命令を制御装置が実行する前に、禁止範囲に進入するか否かを知ることができ、例えばプログラムの修正箇所を容易に知ることができる。
本発明に係る制御装置は、前記制御部は、複数の物体の移動を制御するようにしてあり、一部の物体の移動をオープンループ制御により制御する第1副制御部と、その他の物体の移動をフィードバック制御により制御する第2副制御部とを備えることを特徴とする。
本発明にあっては、制御部は複数の物体の移動を制御する。一部の物体の移動は第1副制御部によりオープンループ制御され、その他の物体の移動は第2副制御部によりフィードバック制御が行われる。従って、複数の物体について、オープンループ制御又はフィードバック制御による移動制御を選択した制御が可能となる。
本発明に係る制御装置は、前記第1副制御部は、前記一部の物体の回転移動を制御するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、第1副制御部は複数ある物体の一部における回転移動を制御する。
本発明に係る制御装置は、前記進入判定部は、前記一部の物体が前記命令に基づく移動により前記禁止範囲に進入するか否かを判定する第1副進入判定部と、前記その他の物体が前記命令に基づく移動により前記禁止範囲に進入するか否かを判定する第2副進入判定部とを備え、前記制御許可部は、前記第1副進入判定部又は第2副進入判定部が前記禁止範囲への進入が否と判定した場合、前記命令に基づく前記制御部による制御を許可するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、進入判定部は、一部の物体が命令に基づく移動により禁止範囲に進入するか否かを判定する第1副進入判定部と、その他の物体が命令に基づく移動により禁止範囲に進入するか否かを判定する第2副進入判定部とを備える。制御許可部は、第1副進入判定部又は第2副進入判定部が禁止範囲への進入が否と判定した場合、命令に基づく制御を許可する。従って、移動制御を行う物体の一部でも禁止範囲に進入しないと判定された場合、移動制御を行うことが可能となる。
本発明に係る工作機械は、上述したいずれか一つに記載の制御装置と、工具を取り付けてワークを加工する主軸ヘッドと、ワークを支持する支持部とを備え、前記制御装置は、主軸ヘッド又は支持部の一方の移動を前記第1副制御部により制御し、他方の移動を前記第2副制御部により制御するようにしてあることを特徴とする。
本発明にあっては、工作機械の主軸及び支持部の移動に係る制御について、一方がオープンループ制御、他方がフィードバック制御により移動する。オープンループ制御を行う情報が含まれる命令を実行する前に禁止範囲に進入するか否かを判定することにより、工作機械のオープンループ制御に係る部分は簡易な構成で実現でき、かつ精度の高い制御を可能とする。
本発明に係る制御方法は、プログラムを構成する命令を順次実行し、前記命令に基づく物体の移動を、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により制御する制御方法であって、オープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれているか否かを判定し、前記オープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれていると判定した場合、前記命令に基づく移動により、前記物体の進入を禁じた所定の禁止範囲に前記物体が進入するか否かを判定し、前記物体の前記禁止範囲への進入が否と判定した場合、前記命令に基づく制御を許可することを特徴とする。
本発明にあっては、オープンループ制御を行わせる情報がプログラムの命令に含まれるか否かを判定し、含まれると判定した場合、その命令に基づく物体の移動により、物体の進入を禁じられた所定の範囲に物体が進入するか否かを判定する。進入を禁じられた所定の範囲に物体が進入しないと判定した場合、判定された命令に基づく物体の移動を許可する。
本発明によれば、オープンループ制御を行う情報を含む命令を実行する前に干渉が生ずるか否かを判定することにより、簡易な構成であっても、精度の高い制御を可能とする制御装置、工作機械、及び制御方法を提供することができる。
工作機械の側面図である。 カバー及び数値制御装置を省略した機械本体の斜視図である。 カバー、数値制御装置、及びガイドレールを覆うカバー等を省略した機械本体の斜視図である。 ワーク支持装置の正面側斜視図である。 ワーク支持装置の背面側斜視図である。 本実施の形態に係る数値制御装置及び加工部の電気的構成を示すブロック図である。 加工プログラムの例を示した説明図である。 加工プログラムを入力部で選択した後、起動キーを作業者が押したときに制御部により実行される手順を示したフローチャートである。 制御部が行うオープンループ制御を含む移動処理の処理手順を示したフローチャートである。 CPUが禁止範囲に進入しない判定を行う一例を示した説明図である。 CPUが禁止範囲に進入する判定を行う一例を示した説明図である。 制御部が行うフィードバック制御による移動処理の処理手順を示したフローチャートである。 フィードバック制御による移動処理のサブルーチンを示したフローチャートである。 制御部が行うオープンループ制御を含む移動処理の処理手順を示したフローチャートである。 オープンループ制御を含む移動処理のサブルーチンを示したフローチャートである。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。以下の説明では図において矢印で示す上下、左右及び前後を使用する。
(実施の形態1)
図1は工作機械1の側面図であり、図2はカバー3及び数値制御装置(制御装置)4を省略した機械本体100の斜視図であり、図3はカバー3、数値制御装置4、及びガイドレールを覆うカバー等を省略した機械本体100の斜視図である。
工作機械1は、機械本体100と機械本体100を覆うカバー3とを備える。機械本体100は基台2と、基台2の上部に設けられ、工具58を用いてワークを加工する加工部5と、カバー3の後方に設けられ、加工部5の制御を行う数値制御装置4とを備える。
カバー3は略直方体の箱状をなし、カバー3の正面には、図示しないスライド式の開閉扉が設けられている。この開閉扉を開くことにより、支持部に相当するワーク支持装置60に対してワークの着脱を行うことができる。また、カバー3の側面には、開口部が設けられ、該開口部に点検ハッチ31,32が夫々着脱可能に設けられている。点検ハッチ31,32を取り外して前記開口部を開放することで、加工部5の保守点検等を行うことができる。
数値制御装置4は、略直方体状の筐体内に、後述の加工部5の主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の移動、主軸ヘッド57に装着された工具58の動作等を制御する各制御部等が収納されている。数値制御装置4は、筐体の背面がカバー3の背面に取り付けられ、基台2の後側の斜め上方に延設された2本の支持部材11に筐体の底面が支持されている。
基台2は、工作機械1の前後方向に長い略直方体状に形成されている。基台2の芯部は、軽量化、高強度化及び低コスト化のため、肉抜き成形されている。基台2の下部の四隅には高さ調節が可能な脚部21が夫々設けられ、これら4本の脚部21が工場等の床面に設置される。
加工部5は、主軸基台51、ワーク基台52、Y軸方向移動装置53、X軸方向移動装置54、コラム55、Z軸方向移動装置56、主軸ヘッド57、ワーク支持装置60等を備える。加工部5は、ワーク支持装置60によりワークを支持し、主軸ヘッド57に装着された工具58によりワークを加工する。工具58は、主軸ヘッド57の下端部に着脱可能に装着されている。
主軸基台51は前後方向に長い略直方体状をなし、基台2の上部後方に配してある。主軸基台51は前後方向に長い、互いに平行な2条の支持台51aを上部に有し、後述するガイドレール53aを支持する。ワーク基台52は、基台2の上部前方の左右に配してある。ワーク基台52は夫々前方側の支持台52a及び後方側の支持台52bを備える。各支持台52a,52bは柱状をなし、上面にワーク支持装置60を着座させて固定する。
Y軸方向移動装置53は互いに平行な1対のガイドレール53a、複数のブロック53b、Y軸方向移動台53c、及び後述のY軸モータ部72(図6参照)を備える。ガイドレール53aは主軸基台51の支持台51aの上面に前後方向に延設してある。ブロック53bはガイドレール53aの夫々に前後方向に移動可能に嵌合している。Y軸方向移動台53cはブロック53b上に固定してある。Y軸モータ部72の駆動によって、Y軸方向移動台53cは前後方向に移動する。
X軸方向移動装置54は互いに平行な1対のガイドレール54a、複数のブロック54b、コラム台54c、及び後述のX軸モータ部71(図6参照)を備える。ガイドレール54aは前後方向に適当な間隔を空けてY軸方向移動台53cの上面に左右方向に延設してある。ブロック54bはガイドレール54aの夫々に左右方向に移動可能に嵌合している。コラム台54cはブロック54b上に固定してある。X軸モータ部71の駆動によって、コラム台54cを左右方向に移動する。
コラム55は柱状をなし、コラム台54c上に固定してある。なお、コラム55とコラム台54cは一体に形成している。コラム55はY軸方向移動装置53及びX軸方向移動装置54によって前後方向及び左右方向に移動する。
Z軸方向移動装置56は互いに平行な1対のガイドレール56a、複数のブロック56b、主軸ヘッド台56c及び後述のZ軸モータ部73(図6参照)を備える。ガイドレール56aは左右方向に適当な間隔を空けてコラム55の前面に上下方向に延設してある。ブロック56bはガイドレール56aの夫々に上下方向に移動可能に嵌合している。主軸ヘッド台56cはブロック56bの前面側に固定してある。Z軸モータ部73の駆動によって、主軸ヘッド台56cは上下方向に移動する。
主軸ヘッド57は主軸ヘッド台56cに固定してある。X軸モータ部71、Y軸モータ部72、及びZ軸モータ部73を駆動制御することで、主軸ヘッド57は前後、左右及び上下に移動する。
主軸ヘッド57は前方側の内部に、図示しない上下方向に延びる主軸を回転可能に保持している。主軸は下端部に工具58を脱着可能に保持する。主軸は、主軸ヘッド57の上端に設けられた後述の主軸モータ部74(図6参照)に接続されている。主軸モータ部74は主軸を軸心回りに回転させ、主軸の下端に装着した工具58を回転し、ワーク支持装置60に固定されたワークに対して切削加工を行うことができる。
図4はワーク支持装置60の正面側斜視図であり、図5はワーク支持装置60の背面側斜視図である。ワーク支持装置60は、ギヤ箱61、軸受箱62、A軸モータ75、揺動体63、回転台64、C軸モータ76等を備える。
ギヤ箱61は、揺動体63の右側の軸部63aを収容し、揺動体63をX軸回りに回転可能に支持する。以下の説明では軸部63aの中心軸をA軸と表記することにする。なお、A軸はX軸に平行な軸であり、ワーク支持装置60における揺動軸を意味する。また、ギヤ箱61は図示しないローラギヤカム、ローラギヤカムのカムに噛み合ったカムフォロワ、玉軸受等を収容する。ローラギヤカムは軸端がA軸モータ75のロータに連結してあり、A軸モータ75が駆動することによりY軸回りに回転し、カムフォロワに回転力が伝達され、A軸回りに軸部63aが回転する。ギヤ箱61は下部四隅に取付座61aを有し、螺子等により右側のワーク基台52に固定される。
軸受箱62は揺動体63の左側の軸部63aを収容し、軸部63aをA軸回りに回転可能に支持する。軸受箱62は下部前後に取付座62aを有し、螺子等により左側のワーク基台52に固定される。
揺動体63は左右の軸部63a、回転部63bを備える。左右の軸部63a夫々は円筒状をなし、右側の軸部63aがギヤ箱61にA軸回りに回転可能に支持され、左側の軸部63aが軸受箱62にA軸回りに回転可能に支持されている。軸部63aは互いに同軸となるように配してある。回転部63bは、軸部63aの端部から軸線方向に離隔して配してある。また、回転部63bは図示しない連結部により軸部63a夫々と連結している。更に回転部63bは、上方に回転台64、下方にC軸モータ76が配してある。C軸モータ76のロータは、軸部63aの軸線と直交する方向に備えられ、C軸モータ76の回転によりロータはC軸に回転する。ここで、C軸は軸部63aの軸線と直交する方向を意味する。なお、一般にC軸はZ軸に平行な軸を意味するが、本発明においては揺動体63が揺動するため、C軸方向は揺動により変化するものとして扱っている。回転台64はC軸モータ76のロータに固定されており、C軸モータ76が駆動することで、回転台64はC軸回りに回転する。
ワークはワーク支持装置60の回転台64に支持され、ワーク支持装置60のA軸方向又はC軸方向の回転に伴い、ワークも回転する。
図6は、本実施の形態に係る数値制御装置4及び加工部5の電気的構成を示すブロック図であり、図7は、加工プログラム9の例を示した説明図である。数値制御装置4は、制御部41を備える。制御部41は、CPU41aを備え、CPU41aは、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU等により構成される。またCPU41aには、バスを介して、ROM41b、RAM41c、I/O部41d、第1入出力I/F41e、第2入出力I/F41f、記憶部41gが接続されている。CPU41aは後述のROM41bに記憶されている制御プログラム8を読み出し、各部を制御する。
ROM41bは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、加工部5の制御をする制御プログラム8が記憶されている。記憶部41gにはワークの加工に関する制御を行う加工プログラム9が記憶されている。加工プログラム9は複数の命令から構成されており、例えば、NCプログラムとして構成される。該NCプログラムは一つ又は複数の命令で構成されるブロックを有する。NCプログラムは、主軸の回転方向に係る制御、クーラントに係る制御を行う等の工作機械1が加工を行う補助機能の命令であるMコードや、主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の位置決め、補間等の工作機械1が加工を行うための準備機能の命令であるGコードにより構成されている。図7に示す各行は1ブロックを表す。図7のh行目はMコードであり、M3は主軸を正転させる命令である。i行目、j行目、及びk行目はGコードであり、G0は位置決めに係る命令である。移動させる方向、距離等はG0以降の軸の種別と数値により決定される。CPU41aがROM41bからNCプログラムを読み出す場合、Mコード、Gコード等の命令毎に読み出す。
また、記憶部41gには、主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の移動により干渉が起きる可能性のある、主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の移動を禁じる禁止範囲に係る座標の情報が複数記憶されている。各禁止範囲には番号が付されている。禁止範囲は主軸ヘッド57の移動を禁じるX軸、Y軸、Z軸夫々における座標の上限及び下限の値と、ワーク支持装置60の移動を禁じるA軸及びC軸夫々における角度の上限及び下限の値とで設定される。なお、禁止範囲の設定値である、A軸及びC軸夫々における角度の値はX、Y、Z軸からなる直交座標系に対応し、その角度の上限及び下限の値によって禁止範囲の座標とすることができる。
RAM41cは、SRAM(Static RAM)、DRAM(Dynamic RAM)等のメモリである。CPU41aが行う主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の移動並びにワークの加工に係る制御を行う際に生ずる各種データを一時記憶する。
I/O部41dには、入力部91、表示部92が接続されている。工作機械1は、例えば入力部91及び表示部92からなる操作パネルを備え、入力部91にて、制御プログラム8、工具情報、ワーク情報、各種パラメータ等を入力することができる。表示部92は、入力部91にて入力するための入力画面、操作画面、工作機械1によるワークの加工に係る情報等を表示する。
第1入出力I/F41eには、第2副制御部に相当するX軸制御部42、Y軸制御部43、Z軸制御部44、及び主軸制御部45が接続されている。CPU41aは第1入出力I/F41eを通じ、X軸、Y軸、Z軸、又は主軸を制御するための情報を各軸の制御部へ出力する。
X軸制御部42は、CPU42aを備え、CPU42aは、例えば一又は複数のCPU、マルチコアCPU等により構成される。またCPU42aには、バスを介して、ROM42b、RAM42c、入出力I/F42dが接続されている。CPU42aは後述のROM42bに記憶されている主軸ヘッド57のX軸方向への移動を制御するための制御プログラム8を読み出し、各部を制御する。
ROM42bは、EEPROM、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、主軸ヘッド57のX軸方向への移動を制御するための制御プログラム8が記憶されている。
RAM42cは、SRAM、DRAM等のメモリである。CPU42aが行う主軸ヘッド57のX軸方向への移動を制御するときに生ずる各種データを一時記憶する。例えば、後述のX軸モータ71aの駆動による、主軸ヘッド57のX軸方向の位置を記憶している。
入出力I/F42dには、X軸モータ部71が接続されている。X軸モータ部71は、X軸モータ71a及びエンコーダ71bを備え、例えば、サーボモータで構成される。X軸モータ71aは、CPU42aから入出力I/F42dを通じて出力されたパルス信号に基づき駆動をする。エンコーダ71bは、ホール素子、受光素子等により構成され、X軸モータ71aの回転角、回転速度、回転方向等を検出する。エンコーダ71bは検出した情報に基づき、フィードバック信号をX軸制御部42へ出力する。入出力I/F42dを通じて出力されたフィードバック信号に基づき、CPU42aはフィードバック制御を行い、主軸ヘッド57のX軸方向における現在位置及び移動速度を検出することができる。検出した現在位置及び移動速度は、RAM42cに記憶される。
なお、本実施の形態ではX軸モータ部71をサーボモータとして構成することを示したが、これ以外の構成であってもよい。例えばエンコーダを備えたステッピングモータにより構成してもよい。
また、入出力I/F42dには制御部41が接続されており、制御部41のCPU41aの指示により、X軸制御部42は、ROM42bに記憶されている主軸ヘッド57のX軸方向における現在位置及び移動速度を出力する。
ここで、制御部41の第1入出力I/F41eに接続されているY軸制御部43は、主軸ヘッド57のY軸方向の移動に係る制御を行う。Z軸制御部44は、主軸ヘッド57のZ軸方向の移動に係る制御を行う。主軸制御部45は、主軸が備える工具58に係る制御を行い、例えば工具58の回転に係る制御を行う。それ以外の構成については、上述のX軸制御部42と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。Y軸モータ部72、Z軸モータ部73、及び主軸モータ部74についても同様に、X軸モータ部71と同様の構成であるため、同様の符号を付し、その詳細な説明及び作用効果の説明を省略する。
第2入出力I/F41fには、第1副制御部に相当するA軸制御部46及びC軸制御部47が接続されている。CPU41aは、第2入出力I/F41fを通じ、A軸又はC軸を制御するための情報を各軸の制御部へ出力する。
A軸制御部46は、ワーク支持装置60のA軸を回転軸とする回転移動に係る制御を行う。A軸制御部46には、A軸モータ75が接続されている。A軸モータ75は、ステッピングモータ等のパルスモータにて構成される。A軸モータ75は、出力されたパルスに応じて回転する角度が予め決められており、A軸制御部46から出力されるパルスに従い回転駆動を行う。換言すれば、A軸制御部46はオープンループ制御を行う。なお、A軸制御部46のその他の構成については、X軸制御部42と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
また、C軸制御部47は、ワーク支持装置60のC軸を回転軸とする回転移動に係る制御を行う。その他の構成については、A軸制御部46と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
図8は、加工プログラム9を入力部91で選択した後、起動キー(図示略)を作業者が押したときに制御部41により実行される手順を示したフローチャートである。制御部41のCPU41aは加工プログラム9から、1ブロックを読み出す(ステップS11)。次いで、CPU41aは、ステップS11にて読み出したブロックの命令が加工プログラム9の終了命令か否かを判定する(ステップS12)。加工プログラム9の終了命令と判定した場合(S12:YES)、CPU41aは処理を終了する。加工プログラム9の終了命令でないと判定した場合(S12:NO)、CPU41aは読み出したブロックの命令が移動に係る命令であるか否かを判定する(ステップS13)。移動に係る命令ではないと判定した場合(S13:NO)、CPU41aは読み出したブロックの命令を実行し(ステップS14)、処理をステップS11へ戻す。図7の例ではh行目に相当し、h行目は主軸を正転させる命令のため、ステップS14にてCPU41aは主軸を正転させる制御を行う。
移動に係る命令と判定した場合(S13:YES)、CPU41aはその命令にA軸方向又はC軸方向への移動に係る情報を含むか否かを判定する(ステップS15)。A軸方向又はC軸方向への移動に係る情報を含まないと判定した場合(S15:NO,図7のi行目参照)、CPU41aは、主軸ヘッド57の移動について後述のフィードバック制御による移動処理を行う(ステップS17)。図7の例では、i行目はZ軸について位置決めを行う制御に係る命令のため、ステップS17にてCPU41aはフィードバック制御による移動処理を行う。読み出したブロックの命令にA軸方向又はC軸方向への移動に係る情報が含まれると判定した場合(S15:YES,図7のj行目及びk行目参照)、CPU41aは後述するオープンループ制御を含む移動処理を行う(ステップS16)。ステップS16又はステップS17の処理後、CPU41aは警報が作動したか否かを判定する(ステップS18)。警報が作動したと判定した場合(S18:YES)、CPU41aは処理を終える。警報が作動していないと判定した場合(S18:NO)、CPU41aは処理をステップS11に戻す。なお、ステップS14を実行するCPU41aは本発明における判定部として機能する。
図9は、制御部41が行うオープンループ制御を含む移動処理の処理手順を示したフローチャートである。図9は、図8に示すステップS16の処理の詳細な説明に対応する。CPU41aは工具58の始点及び終点の座標を取得する(ステップS21)。具体的には、CPU41aは工具58の現在地点を始点として取得し、図8のステップS11で読み出したブロックから工具58の終点を取得する。CPU41aはワークの開始角度及び終了角度を取得する(ステップS22)。具体的には、ワークがワーク支持装置60により現在傾いている角度を開始角度とし、A軸方向及びC軸方向夫々について取得する。また、図8のステップS11で読み出したブロックからA軸方向及びC軸方向夫々の終了角度を取得する。
次いで、CPU41aは複数の禁止範囲を数え上げるためのカウンタiの値を1とし、RAM41cに記憶する(ステップS23)。CPU41aは、ステップS22にて取得した開始角度及び終了角度がA軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS24)。ここで、禁止範囲とは、カウンタiの値に応じて記憶部41gから一つ選択されたものである。A軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S24:NO)、CPU41aは処理をステップS30へ進める。
A軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S24:YES)、CPU41aはステップS22にて取得した開始角度及び終了角度がC軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS25)。C軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S25:NO)、処理をステップS30へ進める。
C軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S25:YES)、CPU41aは、ステップS21にて取得した工具58の始点及び終点の座標が、X軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS26)。X軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S26:NO)、CPU41aは処理をステップS30へ進める。
X軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S26:YES)、CPU41aは、ステップS21にて取得した始点及び終点の座標がY軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS27)。Y軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S27:NO)、CPU41aは処理をステップS30へ進める。
Y軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S27:YES)、CPU41aは、ステップS21にて取得した始点及び終点の座標がZ軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS28)。Z軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S28:YES)、CPU41aは表示部92に警告を表示する等の警報を作動し(ステップS29)、処理を図8のステップS18へ戻す。
なお、ステップS24〜ステップS28における判定処理の詳細は図10と共に後述する。また、ステップS24〜ステップS28における判定処理を実行するCPU41aが進入判定部として機能する。更に、ステップS29における警報の作動処理を実行するCPU41aが報知部として機能する。
一方、Z軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S28:NO)、CPU41aはカウンタiの値を1増加させ(ステップS30)、カウンタiの値がN未満か否かを判定する(ステップS31)。ここで、Nは記憶部41gに記憶された禁止範囲の個数を示す。カウンタiの値がN以上と判定した場合(S31:NO)、CPU41aは処理をステップS24に戻す。カウンタiの値がN未満と判定した場合(S31:YES)、CPU41aはステップS11で読み出したブロックによる移動処理を実行する(ステップS32)。なお、ステップS32における移動処理は、X、Y、Z軸については前述したフィードバック制御により実行し、A、C軸についてはオープンループ制御により実行する。
次いで、CPU41aは各軸の制御部による移動処理が終了したか否かを判定する(ステップS33)。移動処理が終了したと判定した場合(S33:YES)、CPU41aは処理を図8のステップS18へ戻し、移動が終了していないと判定した場合(S33:NO)、CPU41aは処理をステップS32へ戻す。各軸について移動処理が終了すると、X軸制御部42、Y軸制御部43、Z軸制御部44は第1入出力I/F41eを介してCPU41aに通知する。同様に、A軸制御部46、C軸制御部47は第2入出力I/F41fを介してCPU41aに通知する。
なお、ステップS32を実行するCPU41aが制御許可部として機能する。また、ステップS32における命令の実行処理において、主軸ヘッド57の移動による現在地点の変更は、X軸制御部42、Y軸制御部43、及びZ軸制御部44の夫々のRAMに順次記憶される。また、ステップS24〜ステップS28までの処理はこの順に行われる必要はなく、順番は何れでもよい。
図10は、CPU41aが禁止範囲に進入しない判定を行う一例を示した説明図であり、図11は、CPU41aが禁止範囲に進入する判定を行う一例を示した説明図である。ステップS21にて取得した始点をsとし、X軸及びY軸によりなるXY平面上の座標を(s1,s2)とする。また、ステップS21にて取得した終点をtとし、XY平面上の座標を(t1,t2)とする。更に、XY平面上の座標が(x1,y1)、(x2,y1)、(x1,y2)、(x2,y2)となる範囲を、ROM41bに記憶されている禁止範囲とする。ステップS26において、以下の不等式(1)又は(2)のいずれかを満たした場合、CPU41aはX軸方向について禁止範囲に進入しないと判定する。
s1<x1かつt1<x1…(1)
s1>x2かつt1>x2…(2)
図10の例において、ステップS21にて取得した始点及び終点は、禁止範囲との関係において、s1<x1かつt1>x1(又はs1>x1かつt1<x1)となり、不等式(1)の条件を満たさない。また、ステップS21にて取得した始点及び終点は、禁止範囲との関係において、s1<x2かつt1>x1(又はs1>x2かつt1<x2)となり、不等式(2)の条件を満たさない。よって、ステップS21にて取得した始点及び終点は禁止範囲に進入するとCPU41aは判定する(S26:YES)。
また、上述のステップS26における判定手順と同様に、ステップS27において、以下の不等式(3)又は(4)のいずれかを満たした場合、CPU41aはY軸方向について禁止範囲に進入しないと判定する。
s2<y1かつt2<y1…(3)
s2>y2かつt2>y2…(4)
図9の例において、ステップS21にて取得した始点及び終点は、禁止範囲との関係において、s2>y2かつt2>y2となり、不等式(4)の条件を満たす。よって、ステップS21にて取得した始点及び終点は禁止範囲に進入しないとCPU41aは判定する(S27:NO)。
従って、図10の例ではY軸について禁止範囲に進入しないため、図8に示すステップS11にて読み出したブロックを実行した場合であっても、工具58及びワークの移動により干渉は生じないとCPU41aは判定する。なお、ステップS28におけるZ軸方向についての判定処理は、ステップS26におけるX軸方向についての判定処理と同様であるため詳細な説明を省略する。また、ステップS24におけるA軸方向、ステップS25におけるC軸方向についての判定処理もステップS26におけるX軸方向についての判定処理と同様であるため詳細な説明を省略する。ただし、ステップS24及びステップS25の判定処理については、座標を角度に置き換えて適用する。
一方、図11では上述の不等式(1)〜(4)における条件の何れも満たさない。始点sから終点tへのZ軸方向の移動についても同様であった場合、CPU41aは図10の例において、工具58及びワークの移動による干渉が生ずると判定される。
ここで、始点sから終点tまでの移動が直線移動であった場合(破線矢印参照)、始点s及び終点tが禁止範囲に進入しない。しかし、この移動が最高速度で行われる場合、始点sから終点tへの移動は禁止範囲に進入することがある。X軸モータ71a及びY軸モータ72aの仕様によっては、X軸方向及びY軸方向の最高速度が等しいとは限らない。そのため、図11の実線矢印で示すように、点uを中継した軌跡となることがある。この場合、始点sから終点tへの移動は禁止範囲に進入することとなる。以上より、本実施の形態に示した条件に基づき、禁止範囲へ進入するか否かの判定処理を行っている。
図12は、制御部41が行うフィードバック制御による移動処理の処理手順を示したフローチャートである。CPU41aは工具58の始点及び終点の座標を取得する(ステップS41)。ステップS41の処理は図9に示すステップS21と同様であるため詳細な説明は省略する。CPU41aは後述する移動実行処理を行う(ステップS42)。その後、CPU41aは移動実行処理で警報が作動したか否かを判定する(ステップS43)。警報が作動したと判定した場合(S43:YES)図8に示すステップS18に処理を戻す。警報が作動していないと判定した場合(S43:NO)、CPU41aは移動処理が終了したか否かを判定する(ステップS44)。移動処理が終了したと判定した場合(S44:YES)、CPU41aは図8に示すステップS18に処理を戻す。移動処理が終了していないと判定した場合(S44:NO)、CPU41aは処理をステップS42へ戻す。
図13は、フィードバック制御による移動処理のサブルーチンを示したフローチャートである。ステップS51は図9に示すステップS23と同様であり、ステップS52〜58は、図9に示すステップS26〜ステップS32と同様であるが、以下に説明する部分が異なる。CPU41aは、図8に示すステップS11で読み出したブロックに基づいて所定周期(例えば0.1秒)で工具58が移動する量(移動量)を各軸について算出する。CPU41aは現在の座標値を移動開始点とし、算出した移動量を現在の座標値に加算した座標を移動目標点とする。ここで、移動開始点及び移動目標点は、図12に示すステップS41にて取得された始点及び終点と必ずしも同一ではない。例えば、ステップS41にて取得された始点及び終点間における二地点を示し、移動開始点及び移動目標点の座標は始点から終点まで工具58が移動する経路上の座標となる。CPU41aは、その移動開始点及び移動目標点が各軸について禁止範囲に進入するか否かをステップS52〜ステップS54にて判定処理を行う。CPU41aは、ステップS57にてカウンタjの値が禁止範囲の個数N以上であると判定した場合(S57:NO)、移動開始点から移動目標点までの移動処理を実行する(ステップS58)。具体的には、CPU41aは算出した移動量を各軸制御部42〜44に出力し、工具58を移動させる。その後、CPU41aは図8に示すステップS18に処理を戻す。
以上の構成、処理手順、及び禁止範囲への進入の判定を行うことにより、ワーク支持装置60についてオープンループ制御により移動制御が行われる場合であっても、工作機械1の工具58及びワークの移動による干渉を生ずることを抑制することができる。従って、数値制御装置4及び加工部5におけるワーク支持装置60の構成を、フィードバック制御のみを行う構成と比べ簡単にし、かつオープンループ制御のみを行う構成に比べ移動の精度を高めることができる。
(実施の形態2)
本実施の形態においては、オープンループ制御を含む移動処理について、オープンループ制御による移動及びフィードバック制御による移動夫々で禁止範囲に進入するか否かを判定し、一方でも禁止範囲に進入しない場合に移動処理を実行する例を説明する。なお、その他の構成及び作用は上述の実施の形態1と同様であるため、同様の構成については同様の符号を付し、その詳細な説明及び作用効果を省略する。
図14は、制御部41が行うオープンループ制御を含む移動処理の処理手順を示したフローチャートである。図14は、図8に示すステップS16の処理の詳細な説明に対応する。CPU41aは移動命令により移動する工具58の始点及び終点の座標を取得する(ステップS61)。CPU41aはワークの開始角度及び終了角度を取得する(ステップS62)。なお、ステップS61及びステップS62は図9に示すステップS21及びステップS22と同様であるため、詳細な説明を省略する。
CPU41aは、カウンタiの値を1としてRAM41cに記憶する(ステップS63)。その後CPU41aは、ステップS62にて取得したワークの開始角度及び終了角度がA軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS64)。A軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S64:NO)、CPU41aは処理をステップS67へ進める。
A軸方向について禁止範囲に進入する判定した場合(S64:YES)、CPU41aは、ステップS62にて取得したワークの開始角度及び終了角度がC軸方向について禁止範囲に進入するか否かを判定する(ステップS65)。C軸方向について禁止範囲に進入しないと判定した場合(S65:NO)、CPU41aは処理をステップS67へ進める。
C軸方向について禁止範囲に進入すると判定した場合(S65:YES)、カウンタiの値をRAM41cに記憶する(ステップS66)。その後、カウンタiの値を1増加させ(ステップS67)、カウンタiの値がN未満か否かを判定する(ステップS68)。ここで、Nは禁止範囲の個数を示す。カウンタiの値がN未満と判定した場合(S68:YES)、CPU41aは処理をステップS64に戻す。
カウンタiの値がN以上と判定した場合(S68:NO)、CPU41aは後述の移動実行処理を行う(ステップS69)。移動実行処理終了後、CPU41aは移動実行処理で警報が作動したか否かを判定する(ステップS70)。警報が作動したと判定した場合(S70:YES)、CPU41aは図8に示すステップS18に処理を戻す。警報を作動していないと判定した場合(S70:NO)、CPU41aは移動処理が終了したか否かを判定する(ステップS71)。移動処理が終了したと判定した場合(S71:YES)、CPU41aは図8に示すステップS18に処理を戻す。移動が終了していないと判定した場合(S71:NO)、CPU41aは処理をステップS69へ戻す。なお、ステップS64〜ステップS65における判定処理を実行するCPU41aが第1副進入判定部として機能する。また、ステップS63〜ステップS68の判定処理は、A軸及びC軸方向についての移動が禁止範囲を侵入するか否かを検出するものであり、A軸及びC軸方向についての移動の禁止は行っていない。
図15は、オープンループ制御を含む移動処理のサブルーチンを示したフローチャートである。図15は、図14に示すステップS69の移動実行処理の詳細な説明に対応する。ステップS81〜ステップS84は、図13に示すステップS51〜ステップS54と同様であり、ステップS86〜ステップS89は、図13に示すステップS55〜ステップS58と同様であり、その詳細な説明は省略する。ただし、CPU41aは工具58のみならず、ワークについても各軸の移動量を算出する。また、ステップS89では算出した移動量を各軸制御部46及び47にも出力し、工具58だけでなくワークについても移動させる。
CPU41aは、図14に示すステップS66でRAM41cに記憶されたカウンタiの値の中にjの値が存在するか否かを判定する(ステップS85)。jの値が存在しないと判定した場合(S85:NO)、CPU41aはステップS87へ処理を進め、jの値が存在すると判定した場合(S85:YES)、CPU41aはステップS86へ処理を進める。なお、ステップS82〜ステップS84の判定処理を実行するCPU41aが第2副進入判定部として機能する。
ここで、ステップS82〜ステップS84ではCPU41aは、カウンタjに応じて選択された禁止範囲に工具58が進入するか否かを判定し、X、Y、Z軸全てにおいて禁止範囲に進入すると判定された場合(S84:YES)、ステップS85に処理を進める。X、Y、Z軸全てにおいて禁止範囲に進入するとは、工具58がカウンタjの値に応じた禁止範囲に進入する可能性があることを意味する。ステップS85にてそのカウンタjの値に応じた禁止範囲にワークが進入する可能性があるか否かを判定することによって、警報を作動するか否かを判定する。従って、オープンループ制御による移動(ワークの移動)及びフィードバック制御による移動(工具58の移動)夫々で禁止範囲に進入するか否かを判定し、一方でも禁止範囲に進入しない場合に移動処理を実行する。
なお、本実施の形態の移動実行処理においては、記憶部41gに記憶されている禁止範囲全てについて、ステップS82〜ステップS84の判定処理を行ったが、それ以外の手順であってもよい。例えば、図14に示すステップS66でRAM41cに記憶されたカウンタiに対応する禁止範囲についてのみステップS82〜ステップS84の判定処理を行うようにしてもよい。その場合、ステップS85の判定処理は不要となる。
以上の構成及び処理手順によって、オープンループ制御の情報を含む命令に基づく移動について、制御部41は所定の周期毎に禁止範囲に進入するか否かを繰り返し判定する。そのため、オープンループ制御の情報を含む命令を実行する場合であっても、禁止範囲に進入する直前まで工具58及びワークが移動することができる。
なお、上述の実施の形態1及び2においては、ワーク支持装置60は、A軸及びC軸を回転軸とする回転移動を行うことを示したが、この記載に限定されない。例えば、Y軸と平行な軸をB軸とし、B軸を回転軸とする回転移動についても制御するようにしてもよい。また、オープンループ制御を実施する軸をA軸とC軸として説明したが、A軸のみでもよい。その場合、C軸についてはフィードバック制御を行い、処理はX軸と同様の処理を行う。
なお、上述の実施の形態1及び2においては、工作機械1の主軸ヘッド57について互いに直交する3軸についての移動を行い、ワーク支持装置60について互いに直交する3軸を回転軸とする回転移動を行うことを示したが、その記載に限定されない。例えば、工作機械1の主軸ヘッド57について、互いに直交する3軸を回転軸とする回転移動を行ってもよい。
なお、上述の実施の形態1及び2においては、工作機械1の主軸ヘッド57及びワーク支持装置60の移動の制御について示したが、その記載に限定されない。工作機械1に係る物以外の物体の移動について制御を行う構成としてもよい。
1 工作機械
4 数値制御装置
41 制御部
41a CPU(判定部、進入判定部、制御許可部)
42 X軸制御部(第2副制御部)
43 Y軸制御部(第2副制御部)
44 Z軸制御部(第2副制御部)
45 主軸制御部(第2副制御部)
46 A軸制御部(第1副制御部)
47 C軸制御部(第1副制御部)
57 主軸ヘッド
60 ワーク支持装置(支持部)

Claims (8)

  1. プログラムを構成する命令を順次実行し、該命令に基づく物体の移動を、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により制御する制御部を備える制御装置において、
    前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれているか否かを判定する判定部と、
    前記制御部にオープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれていると、前記判定部が判定した場合、前記命令に基づく移動により、前記物体の進入を禁じた所定の禁止範囲に前記物体が進入するか否かを判定する進入判定部と、
    前記物体の前記禁止範囲への進入が否と前記進入判定部が判定した場合、前記命令に基づく前記制御部による制御を許可する制御許可部とを備えること
    を特徴とする制御装置。
  2. 前記進入判定部は、
    前記命令に基づく、前記物体の移動の始点及び終点間に前記禁止範囲が含まれるか否かにより、前記物体が該禁止範囲に進入するか否かを判定するようにしてあること
    を特徴とする請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記物体が前記禁止範囲に進入すると前記進入判定部が判定した場合、外部に報知する報知部を備えること
    を特徴とする請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記制御部は、
    複数の物体の移動を制御するようにしてあり、
    一部の物体の移動をオープンループ制御により制御する第1副制御部と、
    その他の物体の移動をフィードバック制御により制御する第2副制御部とを備えること
    を特徴とする請求項1乃至3のいずれか一つに記載の制御装置。
  5. 前記第1副制御部は、
    前記一部の物体の回転移動を制御するようにしてあること
    を特徴とする請求項4に記載の制御装置。
  6. 前記進入判定部は、
    前記一部の物体が前記命令に基づく移動により前記禁止範囲に進入するか否かを判定する第1副進入判定部と、
    前記その他の物体が前記命令に基づく移動により前記禁止範囲に進入するか否かを判定する第2副進入判定部とを備え、
    前記制御許可部は、
    前記第1副進入判定部又は第2副進入判定部が前記禁止範囲への進入が否と判定した場合、前記命令に基づく前記制御部による制御を許可するようにしてあること
    を特徴とする請求項4又は5に記載の制御装置。
  7. 請求項4乃至6のいずれか一つに記載の制御装置と、
    工具を取り付けてワークを加工する主軸ヘッドと、
    ワークを支持する支持部とを備え、
    前記制御装置は、
    主軸ヘッド又は支持部の一方の移動を前記第1副制御部により制御し、他方の移動を前記第2副制御部により制御するようにしてあること
    を特徴とする工作機械。
  8. プログラムを構成する命令を順次実行し、前記命令に基づく物体の移動を、オープンループ制御及び/又はフィードバック制御により制御する制御方法であって、
    オープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれているか否かを判定し、
    前記オープンループ制御を行わせる情報が前記命令に含まれていると判定した場合、前記命令に基づく移動により、前記物体の進入を禁じた所定の禁止範囲に前記物体が進入するか否かを判定し、
    前記物体の前記禁止範囲への進入が否と判定した場合、前記命令に基づく制御を許可すること
    を特徴とする制御方法。
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