以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図7は、本実施の形態に係る紙幣処理機およびこの紙幣処理機に設けられた整理一時保留部を示す図である。このうち、図1は、本実施の形態による紙幣処理機の構成の概略を示す概略構成図であり、図2は、図1に示す紙幣処理機における整理一時保留部の構成を示す斜視図である。また、図3は、図2に示す整理一時保留部の構成を示す側面図であり、図4は、図3に示す整理一時保留部を右方向から見たときの正面図であり、図5は、図2に示す整理一時保留部を上方向から見たときの上面図である。また、図6は、図2に示す整理一時保留部における、ストッパへの付勢力を調整するための付勢力調整部の構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示す付勢力調整部の構成を示す側面図である。
図1に示すように、本実施の形態による紙幣処理機は、図1(a)に示すような紙幣収納ユニット100と、図1(b)に示すような紙幣帯封ユニット200とから構成されている。具体的には、紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200はそれぞれ略直方体形状のものとなっており、これらの紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200が左右に並ぶよう配置されることにより紙幣処理機が構成されている。紙幣収納ユニット100および紙幣帯封ユニット200の各構成要素について以下に説明する。
図1(a)に示すように、紙幣収納ユニット100には、機体外から機体内に紙幣を投入するための紙幣投入部110および機体内から機体外にバラ紙幣を投出するためのバラ紙幣投出部152がそれぞれ設けられている。紙幣投入部110には紙幣繰出部112が設けられており、機体外から紙幣投入部110に投入された紙幣は紙幣繰出部112により1枚ずつ機体内に繰り出されるようになっている。また、紙幣繰出部112には入金搬送部114が接続されており、紙幣繰出部112により機体内に繰り出された紙幣は入金搬送部114により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、入金搬送部114には入金識別部116が設けられており、入金搬送部114により搬送される紙幣は入金識別部116によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、入金搬送部114による紙幣の搬送方向における入金識別部116の下流側には表裏反転部118が設けられており、入金識別部116により識別された紙幣は表裏反転部118によりその表裏が整えられるようになっている。具体的には、表裏反転部118に送られた紙幣のうち、例えば裏面が上側となっている紙幣のみの表裏が反転されることにより、この表裏反転部118から出された紙幣は全て表面(おもてめん)が上側となるようになる。また、入金搬送部114には入金リジェクト部120が接続されており、入金識別部116により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣が入金搬送部114から入金リジェクト部120に送られるようになっている。入金リジェクト部120は紙幣収納ユニット100の機体外からアクセス可能となっており、操作者はこの入金リジェクト部120に集積されたリジェクト紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(a)に示すように、入金搬送部114には1つの一括一時保留部130と、複数(例えば4つ)の金種別一時保留部132とがそれぞれ接続されている。ここで、1つの一括一時保留部130および複数の金種別一時保留部132は並列に並ぶよう配設されている。入金搬送部114から一括一時保留部130や各金種別一時保留部132に搬送された紙幣は、これらの一括一時保留部130や各金種別一時保留部132において積層状態で集積されることにより一時的に保留されるようになっている。なお、一括一時保留部130には複数の金種の紙幣が混合状態で一時的に保留されるようになっており、また、各金種別一時保留部132にはそれぞれ特定の金種の紙幣が一時的に保留されるようになっている。また、一括一時保留部130に対応して1つの一括紙幣収納庫140が設けられているとともに、各金種別一時保留部132に対応して複数の金種別紙幣収納庫142が設けられている。一括紙幣収納庫140には、一括一時保留部130から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。また、各金種別紙幣収納庫142には、対応する金種別一時保留部132から送られた紙幣が積層状態で収納されるようになっている。なお、一括紙幣収納庫140には複数の金種の紙幣が混合状態で収納されるようになっており、また、各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ特定の金種の紙幣が収納されるようになっている。また、一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142にはそれぞれ紙幣繰出部144が設けられており、これらの一括紙幣収納庫140および各金種別紙幣収納庫142から紙幣が1枚ずつ紙幣繰出部144により繰り出されるようになっている。
また、図1(a)に示すように、各紙幣繰出部144には下部搬送部146が接続されており、各紙幣繰出部144により一括紙幣収納庫140や各金種別紙幣収納庫142から繰り出された紙幣は下部搬送部146により1枚ずつ搬送されるようになっている。ここで、下部搬送部146には出金識別部148が接続されており、下部搬送部146により搬送される紙幣は出金識別部148によりその金種、真偽、正損、新旧等が識別されるようになっている。また、出金識別部148には出金搬送部150が接続されており、この出金識別部148により識別された紙幣は出金搬送部150により1枚ずつ搬送されるようになっている。出金搬送部150にはバラ紙幣投出部152、出金リジェクト部154、2つの整理一時保留部160がそれぞれ接続されており、出金識別部148により識別された紙幣のうち、機体外に投出されるべき紙幣は出金搬送部150によりバラ紙幣投出部152に送られてこのバラ紙幣投出部152に集積されるようになっている。バラ紙幣投出部152は紙幣収納ユニット100の機体外からアクセス可能となっており、操作者はこのバラ紙幣投出部152に集積されたバラ紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。また、出金識別部148により正常な紙幣ではないと識別された紙幣、すなわちリジェクト紙幣は出金搬送部150により出金リジェクト部154に送られるようになっている。また、出金リジェクト部154に集積されたリジェクト紙幣を取り出すにあたり、操作者は紙幣収納ユニット100の筐体に設けられた扉を開いて出金リジェクト部154内のリジェクト紙幣を取り出すようになっている。また、出金識別部148により識別された紙幣のうち、紙幣帯封ユニット200により帯封されるべき紙幣は出金搬送部150により各整理一時保留部160に送られるようになっている。各整理一時保留部160では、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積されるようになっている。このような整理一時保留部160の構成の詳細については後述する。
図1(a)に示すように、入金搬送部114や出金搬送部150における分岐箇所には分岐部材170がそれぞれ設けられており、これらの分岐部材170により分岐箇所における紙幣の搬送先が決められるようになっている。また、入金搬送部114、下部搬送部146、出金搬送部150には紙幣の検出を行う紙幣検出センサ180が複数設けられている。また、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間には、紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184がそれぞれ設けられている。また、半券検知センサ184は、出金搬送部150におけるバラ紙幣投出部152への入口部分にも設けられている。
紙幣厚さ検知センサ182について説明すると、この紙幣厚さ検知センサ182が設けられた箇所では、その位置が固定された第1のローラおよび当該第1のローラに対して変位する第2のローラからなる一対のローラの間で紙幣が搬送されるようになっており、紙幣厚さ検知センサ182は、第2のローラの変位量を検出するようになっている。そして、一対のローラの間で2枚以上の紙幣が重なった状態で搬送されたときには、紙幣厚さ検知センサ182は、2枚以上の紙幣の重なりを検知するようになっている。また、半券検知センサ184の構成について図10を用いて説明する。図10に示すように、出金搬送部150における両端部の案内部材150aの間には、紙幣(図10において参照符号Pで表示)の幅方向に沿って(すなわち、図10における左右方向に沿って)3つの半券検知センサ184が設けられている。各半券検知センサ184は、発光素子および受光素子を含む光学センサからなり、各整理一時保留部160に送られるべき紙幣が折り畳まれたり切断されたりしておらず正常な状態である場合には、3つの半券検知センサ184全てにより紙幣が検知される。一方、各整理一時保留部160に送られるべき紙幣が折り畳まれたり切断されたりしてしまい半券の状態となった場合には、3つの半券検知センサ184のうち1つまたは2つの半券検知センサ184でしか紙幣が検知されず、このことにより半券が通過したことが検知されるようになる。
従来では、紙幣厚さ検知センサ182の代わりに透光センサが用いられていたが、このような透光センサでは、3枚以上の紙幣の重なりしか検知することができず、2枚の紙幣の重なりを検知することができないという問題があった。また、従来では、各整理一時保留部160の入口部分やバラ紙幣投出部152の入口部分に半券検知センサ184が設置されていなかった。このような事情により、従来では、各整理一時保留部160に集積される紙幣の枚数やバラ紙幣投出部152により投出される紙幣の枚数に違算が生じてしまい、後述する紙幣帯封ユニット200により紙幣の帯封を行う際に所定の枚数(例えば100枚)ちょうどの紙幣の帯封を行うことができなかったり、各整理一時保留部160に正常券以外の半券が集積されたりするおそれがあった。これに対し、本実施の形態では、出金搬送部150における、出金識別部148と各整理一時保留部160との間に、上述したような紙幣厚さ検知センサ182および半券検知センサ184をそれぞれ設置することにより、紙幣厚さ検知センサ182によって2枚の紙幣の重なりを検知することができるため各整理一時保留部160に集積される紙幣の枚数に違算が生じてしまうことが防止されるとともに、半券検知センサ184により半券を検知することにより各整理一時保留部160に正常券のみを集積させることができるようになる。また、バラ紙幣投出部152の入口部分に半券検知センサ184を設けたことにより、バラ紙幣投出部152から半券が投出されることのないようにすることができる。
図1(b)に示すように、紙幣帯封ユニット200には、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を取り出すためのアーム部210と、アーム部210により取り出された紙幣の束を帯封するための帯封部212とがそれぞれ設けられている。アーム部210は例えば上下一対のアーム(上アームおよび下アーム)から構成されており(図3参照)、整理一時保留部160に集積された紙幣の束を上下一対のアームで上下方向から挟むことによってこの整理一時保留部160から紙幣の束を取り出すようになっている。アーム部210により整理一時保留部160から取り出された紙幣の束は帯封部212により帯封されるようになっている。具体的には、帯封部212の近傍にはテープセット部214が設けられており、このテープセット部214から帯封紙が帯封部212に送られることによって、帯封部212において例えば100枚の紙幣の束が帯封紙により帯封されるようになっている。帯封部212には帯封紙幣搬送部216が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣は帯封紙幣搬送部216により帯封紙幣投出部218に搬送されるようになっている。帯封紙幣投出部218は紙幣帯封ユニット200の機体外からアクセス可能となっており、操作者はこの帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣を手動で取り出すことができるようになっている。
また、図1(b)に示すように、帯封紙幣投出部218には帯封紙幣収納出金部220やリフト部224が接続されている。帯封紙幣収納出金部220には帯封紙幣判別部222が設けられており、この帯封紙幣判別部222は、帯封紙幣投出部218から帯封紙幣収納出金部220に送られた帯封紙幣の金種等の判別を行うようになっている。また、帯封紙幣収納出金部220には複数の帯封紙幣収納カセット230が接続されており、帯封部212により帯封された帯封紙幣のうち、帯封紙幣投出部218により機体外へ投出されない帯封紙幣は帯封紙幣収納出金部220により各帯封紙幣収納カセット230に金種別に収納されるようになっている。また、各帯封紙幣収納カセット230にはカセット駆動部232が設けられており、これらのカセット駆動部232により、各帯封紙幣収納カセット230に収納された帯封紙幣が帯封紙幣収納出金部220に戻されるようになっている。各帯封紙幣収納カセット230から帯封紙幣収納出金部220に戻された帯封紙幣は帯封紙幣投出部218に送られ、この帯封紙幣投出部218から機体外に投出される。また、帯封紙幣搬送部216から帯封紙幣投出部218に送られた帯封紙幣はリフト部224により図1(b)における上下方向に搬送可能となっている。ここで、リフト部224の下部にも回収用の開口が設けられており、リフト部224により下部に搬送された帯封紙幣はこの開口から機体外に投出可能となっている。
次に、紙幣収納ユニット100に設けられた整理一時保留部160の構成の詳細について図2乃至図7を用いて説明する。
図2は、紙幣収納ユニット100に設けられた整理一時保留部160の構成を示す斜視図である。また、図3は、図2に示す整理一時保留部160の構成を示す側面図であり、図4は、図3に示す整理一時保留部160を右方向から見たときの正面図であり、図5は、図2に示す整理一時保留部160を上方向から見たときの上面図である(なお、図5において後述する札叩き用羽根車166の表示は省略している)。また、図3において、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られた紙幣を参照符号Pで示している。
図2乃至図5に示すように、整理一時保留部160には、出金搬送部150から送られた紙幣が積層状態で集積される集積ステージ162と、出金搬送部150から集積ステージ162に送られた紙幣を受け止めるための複数のストッパ(係止部)164とがそれぞれ設けられている。ここで、各ストッパ164は一本の軸164aにより支持されるようになっている。この軸164aは回転可能となっており、このことにより各ストッパ164は軸164aを中心として揺動するようになっている。また、各ストッパ164の上方には第1の案内部材168が鉛直方向に延びるよう設けられているとともに、集積ステージ162を挟んで各ストッパ164や第1の案内部材168に対向するよう第2の案内部材169が鉛直方向に延びるよう設けられており、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られた紙幣は、第1の案内部材168と第2の案内部材169との間で集積ステージ162上に積層状態で集積されるようになっている。また、図2および図3に示すように、第2の案内部材169の上部には、軸166aを中心として図3における矢印方向に回転する、例えばゴム等の弾性部材からなる札叩き用羽根車166が設けられており、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られる紙幣の後端部がこの札叩き用羽根車166により叩かれることによって集積ステージ162上に集積される紙幣が整列されるようになっている。
図5に示すように、集積ステージ162における第1の案内部材168側の端縁は櫛歯形状となっている。また、図3に示すように、集積ステージ162上に集積された紙幣の束は、アーム部210によりこの集積ステージ162上から取り出されるようになっている。具体的には、アーム部210は、図3における右方の領域から左方向に接近し、上下一対のアームが第1の案内部材168や各ストッパ164を超えて紙幣の集積領域に進入する。この際に、アーム部210の上アームおよび下アームの間に、集積ステージ162およびこの集積ステージ162上の紙幣の束が位置するような状態となる。そして、アーム部210の下アームが集積ステージ162の櫛歯形状のスペースを通過して上方に移動するとともに上アームが下方に移動することによって集積ステージ162上の紙幣の束が上アームと下アームとの間で挟持され、その後、アーム部210が図3における右方向に移動することにより集積ステージ162から紙幣の束が取り出される。なお、アーム部210によって集積ステージ162から紙幣の束を取り出す際に、この紙幣の束によって押されることによりストッパ164は軸164aを中心として図3における時計回りの方向に傾くようになるが、このことについては後に詳述する。
また、図2および図5に示すように、整理一時保留部160には、集積ステージ162上に集積される紙幣の束の側面を叩いてこの紙幣の束の側面を揃えるための紙幣揃え部163が設置されている。この紙幣揃え部163には、図5における実線の位置と二点鎖線の位置との間で揺動自在のアーム163aが設けられており、このアーム163aの先端部分にはゴム等の弾性部材163bが取り付けられている。このような弾性部材163bが、集積ステージ162上に集積される紙幣の束の側面に接触することにより、この紙幣の束が傷つけられることが防止される。なお、紙幣揃え部163においてアーム163aの先端部分にゴム等の弾性部材163bを取り付けた場合には、集積ステージ162上に集積される紙幣の束の側面と弾性部材163bとの間に発生する摩擦力が大きくなるため、この紙幣揃え部163のアーム163aにより紙幣の束に対して図5における上方向に加えられる力が大きくなり、各ストッパ164が倒れやすくなるおそれがある。しかしながら、本実施の形態では、集積ステージ162に紙幣が集積される際の各ストッパ164への付勢力を大きくすることによりこのようなトラブルの発生を防止している。このことについては後に詳述する。
本実施の形態では、第1の案内部材168や第2の案内部材169はその位置が固定されているのに対し、集積ステージ162は上下方向に移動可能となっている。具体的には、集積ステージ162は、図示しないステージ駆動部により図3における上下方向に移動させられるようになっている。また、図3に示すように、整理一時保留部160における紙幣が集積されるべき領域には光学センサ等の紙幣検知センサ167が位置固定で設けられており、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られた紙幣が集積ステージ162に集積され、この集積ステージ162上の紙幣が紙幣検知センサ167により検知されると、ステージ駆動部は集積ステージ162を下方に移動させ、紙幣の集積領域を確保するようになっている。本実施の形態では、集積ステージ162は、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られた紙幣が集積ステージ162に集積される紙幣集積位置と、この集積位置の下方における、アーム部210により集積ステージ162から紙幣が取り出される紙幣取り出し位置とにそれぞれ少なくとも位置するようになっている。
また、各ストッパ164は、集積ステージ162からの紙幣の取り出し方向(図3における右方向)と逆方向に常時付勢されるようになっている。具体的には、前述したように各ストッパ164は軸164aにより支持されているが、図2に示すようにこの軸164aにはバネ掛け部164eが取り付けられており、整理一時保留部160におけるその位置が固定された部材(図示せず)と、バネ掛け部164eとの間でバネが引っ掛けられることにより、軸164aには図3における反時計回りの方向に力が常時加えられるようになっている。また、各ストッパ164には規制部材(図示せず)が設けられており、この規制部材により各ストッパ164は図3に示すような軸164aから真上に延びる状態からこれ以上図3における反時計回りの方向に回転しないようになっている。
本実施の形態では、各ストッパ164への付勢力は変動可能となっている。より具体的には、各ストッパ164への付勢力は、集積ステージ162の位置に基づいて定まるようになっている。更に詳しく説明すると、集積ステージ162は、出金搬送部150から整理一時保留部160に送られた紙幣が集積ステージ162に集積される紙幣集積位置と、アーム部210により集積ステージ162から紙幣が取り出される紙幣取り出し位置とにそれぞれ少なくとも位置するようになっているが、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの各ストッパ164への付勢力は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの各ストッパ164への付勢力よりも大きくなっている。このような技術的特徴の原理について以下に説明する。
図6および図7に示すように、各ストッパ164への付勢力を調整するための付勢力調整部165が集積ステージ162と各ストッパ164との間に設けられている。付勢力調整部165は、集積ステージ162の位置に基づいて各ストッパ164への付勢力を調整するようになっている。図6は、このような付勢力調整部165の構成を示す斜視図であり、図7は、図6に示す付勢力調整部165の構成を示す側面図である。なお、図6(a)は、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの状態を示し、図6(b)は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの状態を示している。また、図7(a)は、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの状態を示し、図7(b)は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの状態を示し、図7(c)は、紙幣が集積ステージ162に集積されているときに各ストッパ164を強制的に開くときの状態を示している。
図6および図7に示すように、付勢力調整部165は、第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cを有しており、これらの第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cはそれぞれ軸165aにより軸支されている。なお、第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cはそれぞれ、図示しないバネ等により、軸165aを中心として互いに離れる方向に各々付勢されている。また、図示しない規制部材により、軸165aを中心とした第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cの間の角度が90°よりも大きくならないように、これらの第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cの動きが規制されるようになっている。また、第1の回転部材165bの先端部分にはローラ165dが回転自在に設けられており、集積ステージ162には、当該集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときにこのローラ165dが接触するような案内部材162aが設けられている。すなわち、図6(a)や図7(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dが集積ステージ162の案内部材162aに当接することによりこの第1の回転部材165bが軸165aを中心としてこれ以上図7(a)における反時計回りの方向に回転しないようになっている。
また、第2の回転部材165cの先端部分には棒状部材165eが設けられている。ここで、各ストッパ164を支持する軸164aには略円板形状のカム部材164bが取り付けられており、このカム部材164bの外周面には引っ掛け部164cが形成されている。そして、図6(a)や図7(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第2の回転部材165cの先端部分に設けられた棒状部材165eは、カム部材164bの引っ掛け部164cに引っ掛けられるようになっている。このことにより、カム部材164bやこのカム部材164bを支持する軸164aを図7(a)における時計回りの方向に回転させる場合には、棒状部材165eを引っ掛け部164cから外すよう力を加える必要がある。
このように、図6(a)や図7(a)に示すように、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときには、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aに当接した状態となり、また、第2の回転部材165cの先端部分に設けられた棒状部材165eは、カム部材164bの引っ掛け部164cに引っ掛けられた状態となる。このため、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときに、整理一時保留部160において紙幣の集積不良等の異常が発生し、各ストッパ164を強制的に図3における右方向に倒して開かなければならない状態となったときには、図7(c)に示すように、操作者は手動で軸164aを中心として各ストッパ164を図7(c)における時計回りの方向に回転させる。この際に、付勢力調整部165の第1の回転部材165bおよび第2の回転部材165cはそれぞれ軸165aを中心として互いに離れる方向に各々付勢されており、しかもローラ165dが案内部材162aに当接していることにより軸165aを中心として第1の回転部材165bをこれ以上図7(c)における反時計回りの方向に回転させることができないため、付勢力調整部165の棒状部材165eをカム部材164bの引っ掛け部164cから外すためには大きな力が必要となる。
一方、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際には、集積ステージ162は紙幣集積位置から紙幣取り出し位置まで下降するが、図7(b)に示すように、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときには、この集積ステージ162に設けられた案内部材162aも下方に移動していることにより、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aの表面から外れるようになる。このため、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図7(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となる。ここで、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際に、アーム部210の上下一対のアームにより挟持された紙幣の束が各ストッパ164に当たることによりこれらのストッパ164が軸164aを中心として図7(b)における時計回りの方向に回転するようになる。この際に、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図7(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となるため、ローラ165dが案内部材162aに当接しており第1の回転部材165bをこれ以上回転させることができない場合と比較して、付勢力調整部165の棒状部材165eをカム部材164bの引っ掛け部164cから外すために必要な力が小さくなる。このように、図7(b)に示すような、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの各ストッパ164への付勢力は、図7(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの各ストッパ164への付勢力よりも小さくなる。
以上のように本実施の形態の整理一時保留部160によれば、集積ステージ162に送られた紙幣を受け止めるための各ストッパ164は、集積ステージ162からの紙幣の取り出し方向と逆方向に常時付勢されており、各ストッパ164への付勢力が変動可能となっている。このことにより、集積ステージ162上に紙幣が集積される際には各ストッパ164を倒しにくくするとともに、アーム部210により集積ステージ162から紙幣の束を取り出すときには各ストッパ164を倒しやすくして整理一時保留部160から紙幣の束を容易に抜き取ることができるようになる。
また、本実施の形態の整理一時保留部160においては、前述したように、集積ステージ162は移動可能となっており、各ストッパ164への付勢力は集積ステージ162の位置に基づいて定まるようになっている。より詳細には、集積ステージ162は、当該集積ステージ162に紙幣が集積される紙幣集積位置、および集積ステージ162から紙幣が取り出される紙幣取り出し位置にそれぞれ少なくとも位置するようになっており、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの各ストッパ164への付勢力は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの各ストッパ164への付勢力よりも大きくなっている。
また、本実施の形態の整理一時保留部160においては、各ストッパ164への付勢力を調整するための付勢力調整部165が集積ステージ162と各ストッパ164との間に設けられており、付勢力調整部165は、集積ステージ162の位置に基づいて各ストッパ164への付勢力を定めるようになっている、
なお、本実施の形態による整理一時保留部160は、上述したような態様に限定されることはなく、様々な変更を加えることができる。
例えば、各ストッパ164への付勢力を調整するための付勢力調整部は、図6および図7に示すような構成のものに限定されることはない。図8に、変形例に係る付勢力調整部165pの構成を示す。なお、図8(a)は、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの状態を示し、図8(b)は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの状態を示し、図8(c)は、紙幣が集積ステージ162に集積されているときに各ストッパ164を強制的に開くときの状態を示している。また、図8に示すような付勢力調整部165pの構成の説明において、図6および図7に示すような付勢力調整部165と同じ構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図8に示すように、付勢力調整部165pは第1の回転部材165bを有しており、この第1の回転部材165bは軸165aにより軸支されるようになっているが、図6および図7の付勢力調整部165における第2の回転部材165cは、変形例に係る付勢力調整部165pに設けられていない。また、第1の回転部材165bの先端部分にはローラ165dが回転自在に設けられており、集積ステージ162には、当該集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときにこのローラ165dが接触するような案内部材162aが設けられている。すなわち、図8(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dが集積ステージ162の案内部材162aに当接することによりこの第1の回転部材165bが軸165aを中心としてこれ以上図8(a)における反時計回りの方向に回転しないようになっている。また、第1の回転部材165bにおけるストッパ164の軸164a側の側面には、ネジ165g等により板バネ165fが取り付けられている。この板バネ165fに何ら力が加えられていないときには、当該板バネ165fは図8(a)における鎖線位置に位置するようになるが、後述するカム部材164bの板バネ受け部164dに板バネ165fが接触することにより、この板バネ165fに力が加えられて当該板バネ165fは変形し、図8(a)における実線位置に位置するようになる。
図8に示す例では、各ストッパ164を支持する軸164aには略円板形状のカム部材164bが取り付けられており、このカム部材164bの外周面には板バネ受け部164dが形成されている。そして、図8(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第1の回転部材165bに取り付けられた板バネ165fは、元の状態から変形して、カム部材164bの板バネ受け部164dに当接するようになる。このことにより、カム部材164bやこのカム部材164bを支持する軸164aを図8(a)における時計回りの方向に回転させる場合には、板バネ165fを板バネ受け部164dから外すような力を加える必要がある。
このように、図8(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときには、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aに当接した状態となり、また、第1の回転部材165bに取り付けられた板バネ165fは、元の状態から変形してカム部材164bの板バネ受け部164dに当接した状態となる。このため、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときに、整理一時保留部160において紙幣の集積不良等の問題が発生し、各ストッパ164を強制的に図3における右方向に倒して開かなければならない状態となったときには、図8(c)に示すように、操作者は手動で軸164aを中心として各ストッパ164を図8(c)における時計回りの方向に回転させる。この際に、ローラ165dが案内部材162aに当接していることにより軸165aを中心として第1の回転部材165bをこれ以上図8(c)の反時計回りの方向に回転させることができないため、付勢力調整部165pの板バネ165fをカム部材164bの板バネ受け部164dから外すためには大きな力が必要となる。具体的には、板バネ165fを更に変形させて図8(c)における実線位置まで移動させる必要があり、板バネ165fに何ら力が加えられていないときの鎖線位置からの距離がより大きくなるため、各ストッパ164の軸164aを回転させるにあたり大きな力が必要となる。
一方、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際には、集積ステージ162は紙幣集積位置から紙幣取り出し位置まで下降するが、図8(b)に示すように、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときには、この集積ステージ162に設けられた案内部材162aも下方に移動していることにより、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aの表面から外れるようになる。このため、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図8(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となる。ここで、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際に、アーム部210の上下一対のアームにより挟持された紙幣が各ストッパ164に当たることによりこれらのストッパ164が軸164aを中心として図8(b)における時計回りの方向に回転するようになる。この際に、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図8(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となるため、ローラ165dが案内部材162aに当接しており第1の回転部材165bをこれ以上回転させることができない場合と比較して、付勢力調整部165pの板バネ165fをカム部材164bの板バネ受け部164dから外すために必要な力が小さくなる。このように、図8(b)に示すような、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの各ストッパ164への付勢力は、図8(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの各ストッパ164への付勢力よりも小さくなる。
また、集積ステージ162と各ストッパ164との間に、図9に示すような付勢力調整部165qを設けてもよい。図9に示すような例では、集積ステージ162上に紙幣を集積させるときには付勢力調整部165qによる各ストッパ164への付勢力を無限大とし(すなわち、各ストッパ164が動かないように固定し)、集積ステージ162から紙幣の束を取り出すときには、付勢力調整部165qによる各ストッパ164の固定状態を解除して、各ストッパ164を自由に開閉できるようにしている。また、図9に示すような例では、整理一時保留部160において紙幣の集積不良等の異常が発生したときには、付勢力調整部165qによる各ストッパ164の固定状態を後述するように強制的に解除することができるようになっている。
図9(a)は、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときの状態を示し、図9(b)は、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときの状態を示している。また、図9に示すような付勢力調整部165qの構成の説明において、図6および図7に示すような付勢力調整部165と同じ構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
図9に示すように、付勢力調整部165qは第1の回転部材165bを有しており、この第1の回転部材165bは軸165aにより軸支されるようになっているが、図6および図7の付勢力調整部165における第2の回転部材165cは、変形例に係る付勢力調整部165qに設けられていない。また、第1の回転部材165bの先端部分にはローラ165dが回転自在に設けられており、集積ステージ162には、当該集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときにこのローラ165dが接触するような案内部材162aが設けられている。すなわち、図9(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dが集積ステージ162の案内部材162aに当接することによりこの第1の回転部材165bが軸165aを中心としてこれ以上図9(a)における反時計回りの方向に回転しないようになっている。
また、第1の回転部材165bにおけるストッパ164の軸164aの近傍位置には棒状部材165eが設けられている。ここで、各ストッパ164を支持する軸164aには略円板形状のカム部材164bが取り付けられており、このカム部材164bの外周面には引っ掛け部164cが形成されている。そして、図9(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるような状態では、第1の回転部材165bに設けられた棒状部材165eは、カム部材164bの引っ掛け部164cに引っ掛けられるようになっている。
このように、図9(a)に示すような、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときには、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aに当接した状態となり、また、第1の回転部材165bに設けられた棒状部材165eは、カム部材164bの引っ掛け部164cに引っ掛けられた状態となるため、集積ステージ162が紙幣集積位置にあるときには、各ストッパ164や軸164aは図9(a)に示す状態から時計回りの方向に回転させることができない。すなわち、ローラ165dが案内部材162aに当接していることにより軸165aを中心として第1の回転部材165bをこれ以上図9(a)の反時計回りの方向に回転させることができないため、付勢力調整部165の棒状部材165eをカム部材164bの引っ掛け部164cから外すことができなくなり、このカム部材164bは棒状部材165eによって図9(a)における時計回りの方向に回転させることができなくなる。なお、整理一時保留部160において紙幣の集積不良等の異常が発生したときには、操作者が手動で集積ステージ162を紙幣取り出し位置まで押し下げて後述する図9(b)の状態とすることによって、付勢力調整部165の棒状部材165eをカム部材164bの引っ掛け部164cから外すことができるようになり、このことにより各ストッパ164を強制的に図3における右方向に倒して開くことができるようになる。
一方、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際には、集積ステージ162は紙幣集積位置から紙幣取り出し位置まで下降するが、図9(b)に示すように、集積ステージ162が紙幣取り出し位置にあるときには、この集積ステージ162に設けられた案内部材162aも下方に移動していることにより、第1の回転部材165bの先端部分に設けられたローラ165dは集積ステージ162の案内部材162aの表面から外れるようになる。このため、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図9(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となる。ここで、アーム部210により集積ステージ162上の紙幣の束を取り出す際に、アーム部210の上下一対のアームにより挟持された紙幣が各ストッパ164に当たることによりこれらのストッパ164が軸164aを中心として図9(b)における時計回りの方向に回転するようになる。この際に、軸165aを中心として第1の回転部材165bを図9(b)の反時計回りの方向に回転させることが可能となるため、付勢力調整部165の棒状部材165eをカム部材164bの引っ掛け部164cから外すことができるようになり、このカム部材164bを図9(b)における時計回りの方向に回転させることができるようになる。このため、各ストッパ164や軸164aを時計回りの方向に回転させて図9(b)に示す状態とすることができるようになる。
また、各ストッパ164への付勢力を調整するための付勢力調整部として、図6乃至図9に示すような構成以外のものを用いてもよい。また、各ストッパ164への付勢力を集積ステージ162の位置に基づいて定めるような機構を、集積ステージ162と各ストッパ164との間に配置する必要はない。例えば、図示しない位置検出センサが集積ステージ162の位置を検出し、各ストッパ164への付勢力を設定するための付勢力設定機構が、位置検出センサにより検出された集積ステージ162の位置情報に基づいて、各ストッパ164への付勢力を調整するようになっていてもよい。
また、本発明では、各ストッパ164への付勢力が変動可能となっているものであれば、上述した態様以外の構成のものとしてもよい。例えば、本発明は、各ストッパ164への付勢力が集積ステージ162の位置に基づいて定まるような態様に限定されることはない。
また、本発明の紙葉類集積装置に集積される紙葉類は、必ずしも紙幣に限定されることはなく、紙幣以外のもの、例えば小切手や商品券等の様々な種類の紙葉類が集積部に集積されるようになっていてもよい。