JP2014163484A - ドグクラッチ - Google Patents

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靖司 藤本
Naoki Ishii
直樹 石井
Takashi Okamoto
貴史 岡本
Toshiaki Omori
俊明 大森
Yoichi Ito
陽一 伊藤
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Abstract

【課題】変速ギアに軸方向に移動可能なドグ歯係合部を有する構成で、部品点数を抑えるとともに、打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることができるドグクラッチを提供する。
【解決手段】ドグ歯係合部31は、変速ギア22Aと別体でカウンタ軸12の全周に渡って係合部分であるドグ歯係合溝35が設けられるとともに、軸方向に移動可能に設けられ、変速ギア22Aとドグ歯係合部31との間に弾性部材51が設けられるとともに、ドグ歯係合部31と変速ギア22Aとは相対回転が規制されるようにした。
【選択図】図1

Description

本発明は、シフタに設けられたドグ歯を変速ギアに噛み合わせるドグクラッチに関する。
自動二輪車の変速機内に設けられるドグクラッチには、変速ギア側のドグ歯係合部の一部が軸方向に出没自在な突子(以下、出没係合部と言う)に形成され、各々の出没係合部をスプリングで付勢する構造が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
かかる構造によれば、変速の際、シフタのドグ歯が出没係合部に当たると、出没係合部が押し込まることでシフタのドグ歯が変速ギア側に入り込むことができ、シフタのドグ歯が変速ギアに固定された他の突子(ドグ歯係合部)と係合して駆動力が伝達可能になる。
実開平4−64617号公報
しかしながら、従来の構造では、出没係合部の数だけ係合部やスプリングなどの部品が必要になり、部品点数が多くなってしまう。部品点数の増加は、コストの増加や組み付け工数の増加を招いてしまう。
しかも、従来の構造では、シフタ側のドグ歯が変速ギアに固定された突子に当たる場合に、単にドグ当たりが発生するだけで、出没係合部はその機能を果たすことができなくなる。言い換えると、シフタ側のドグ歯が変速ギアのドグ歯係合部に当たる場合、一般的なドグクラッチと同じく、ドグ弾かれによる打音発生や、シフト完了までに時間がかかってしまうなどの課題が残る。
本発明は、上述した事情を鑑みてなされたものであり、変速ギアに軸方向に移動可能なドグ歯係合部を有する構成で、部品点数を抑えるとともに、打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることができるドグクラッチを提供することを目的としている。
上述した課題を解決するため、本発明は、回転軸(12)に設けられ、軸(12)との回転が規制されながら軸方向に移動可能なシフタ(23)と、回転軸(12)上で回転可能にされながら軸方向への移動が規制された変速ギア(22A)とを備え、当該シフタ(23)の変速ギア側側面から軸方向に延びるドグ歯(25)と、前記変速ギア(22A)のシフタ側側面に設けられるとともに前記ドグ歯(25)と噛み合うドグ歯係合部(31)とを有するドグクラッチにおいて、前記ドグ歯係合部(31)は、前記変速ギア(22A)と別体で、前記回転軸(12)の全周に渡って係合部分(35)が設けられるとともに、軸方向に移動可能に設けられ、前記変速ギア(22A)と前記ドグ歯係合部(31)との間に弾性部材(51)が設けられるとともに、前記ドグ歯係合部(31)と前記変速ギア(22A)とは相対回転が規制されることを特徴とする。
この構成によれば、ドグ歯係合部は、変速ギアと別体で、回転軸の全周に渡って係合部分が設けられるとともに軸方向に移動可能に設けられるので、ドグ歯係合溝を複数の部品で形成する構成と比べて、部品点数を抑えることができる。また、変速ギアとドグ歯係合部との間に弾性部材が設けられるとともに、ドグ歯係合部と変速ギアとは相対回転が規制されるので、ドグ当たりによる打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることができる。したがって、変速ギアに軸方向に移動可能なドグ歯係合部を有する構成で、部品点数を抑えてコスト低減に有利であり、かつ、打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることが可能になる。
上記構成において、前記弾性部材(51)は、皿ばねであっても良い。この構成によれば、皿ばねを用いることによりドグ歯係合部を周方向に渡って付勢することができ、周方向に間隔を空けてコイルばねを配置する構成と比べて、部品点数を低減することができる。
また、上記構成において、前記変速ギア(22A)は、前記回転軸(12)が挿通されるボス部(43)と歯部(22A1)との間に、環状の凹部(41)が設けられ、前記ドグ歯係合部(31)は、前記環状の凹部(41)内に収容されるとともに前記ボス部(43)とインロー嵌合して設けられるようにしても良い。この構成によれば、ボス部を利用してドグ歯係合部を軸方向に摺動させることができ、簡素な構成でドグ歯係合部を軸方向に摺動可能にできる。
また、上記構成において、前記ドグ歯係合部(31)の径方向外側に、前記変速ギア(22A)とスプライン結合するスプライン部(32)が設けられるようにしても良い。この構成によれば、変速ギアの径方向サイズを活かして、スプライン結合させることができ、スプラインの強度を容易に確保することができる。
また、上記構成において、前記シフタ(23)は、前記変速ギア(22A)側に向けて環状に突出する環状突出部(62)を有し、前記ドグ歯(25)は、前記環状突出部(62)の内周面または外周面から突出するように設けられるようにしても良い。この構成によれば、環状突出部により強度を確保しながらシフタ側ドグ歯を増やすことができる。シフタ側ドグ歯を増やすことで、噛み合いチャンスを増やすことができ、シフト完了までの時間をさらに縮めることができるとともに、噛み合い時の隙間(ラッシュ)を低減し易くなる。
なお、ドグ歯係合部(31)は、ドグ歯が係合する部分であれば良く、例えば、変速ギアのシフタ側面に対して凹んで上記ドグ歯が入るドグ孔と、ドグ孔間を仕切るように変速ギアのシフタ側側面から径方向に突出するドグ歯との両方を含んでいる。
本発明では、ドグ歯係合部は、変速ギアと別体で、回転軸の全周に渡って係合部分が設けられるとともに、軸方向に移動可能に設けられ、変速ギアとドグ歯係合部との間に弾性部材が設けられるとともに、ドグ歯係合部と変速ギアとは相対回転が規制されるので、変速ギアに軸方向に移動可能なドグ歯係合部を有する構成で、部品点数を抑えるとともに、打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることができる。
また、弾性部材に皿ばねを用いるようにすれば、周方向に間隔を空けてコイルばねを配置する構成と比べて、部品点数を低減することができる。
また、変速ギアは、回転軸が挿通されるボス部と歯部との間に、環状の凹部が設けられ、ドグ歯係合部は、環状の凹部内に収容されるとともにボス部とインロー嵌合して設けられるようにすれば、簡素な構成でドグ歯係合部を軸方向に摺動可能にできる。
また、ドグ歯係合部の径方向外側に、変速ギアとスプライン結合するスプライン部が設けられるようにすれば、変速ギアの径方向サイズを活かして、スプライン結合させることができ、スプラインの強度を容易に確保することができる。
また、シフタは、変速ギア側に向けて環状に突出する環状突出部を有し、ドグ歯は、環状突出部の内周面または外周面から突出するように設けられるようにすれば、環状突出部により強度を確保しながらシフタ側ドグ歯を増やすことができる。
本実施形態のドグクラッチ式変速装置の一部を周辺構成と共に示した図である。 シフタが2速被動ギアに係合した状態を示した図である。 変速ギアとシフタの斜視図である。 変速ギアをドグ歯係合部側から見た平面図である。 シフタをドグ歯側から見た平面図である。 (A)〜(D)は、シフタに設けられたシフタ側ドグ歯と、変速ギアに設けられたドグ歯係合溝の位置を示した図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態のドグクラッチ式変速装置の一部を周辺構成と共に示した図である。
図1中、符号11は、自動二輪車のエンジン内(クランクケース内)に設けられるメイン軸(回転軸)であり、符号12は、エンジン内(クランクケース内)でメイン軸11と平行に設けられるカウンタ軸(回転軸)である。
メイン軸11には、エンジンのクランク軸(不図示)の回転がクラッチ機構(不図示)を介して選択的に伝達される。メイン軸11の回転は、図1に示すドグクラッチ式変速装置10を介してカウンタ軸12に所定の変速比で伝達され、カウンタ軸12の回転は、エンジンの出力軸(不図示)へと伝達され、出力軸の回転は伝達機構(例えば、チェーン伝達機構やベルト伝達機構)を介して自動二輪車の駆動輪(後輪)へと伝達される。これによって、エンジンの駆動力によって自動二輪車が駆動される。
ドグクラッチ式変速装置10は、メイン軸11に配置された6速分の駆動ギア(駆動側変速ギア)21と、カウンタ軸12に配置された6速分の被動ギア(被動側変速ギア)22とを備えている。このドグクラッチ式変速装置10では、各軸11、12に設けられたシフタ23が、不図示の変速操作子(本構成ではシフトレバー)によって作動するシフトフォーク(不図示)によって選択的に軸方向に移動させられることによって、1〜6速の各々の変速段に対応するギア対が選択される。
また、このドグクラッチ式変速装置10は、6速分の駆動ギア21と、6速分の被動ギア22とが対応する変速段同士で常時噛み合う常時噛合式に構成されている。以下、図1を参照してドグクラッチ式変速装置10を詳述する。
図1には、メイン軸11に配置された駆動ギア21の一例として、2速駆動ギア21Aと6速駆動ギア21Bとを示し、カウンタ軸12に配置される被動ギア22の一例として、2速被動ギア22Aと6速被動ギア22Bとを示している。
2速駆動ギア21Aは、メイン軸11に一体に形成され、メイン軸11に対して相対回転が規制されるとともに軸方向への移動が規制されたギアである。つまり、2速駆動ギア21Aは、メイン軸11に対して相対回転不能かつ軸方向へ移動不能な固定ギアに形成されている。
この2速駆動ギア21Aの最外周に形成された歯部21A1は、カウンタ軸12に配置された2速被動ギア22Aの最外周に形成された歯部22A1と常時噛み合い、メイン軸11の回転時には、2速駆動ギア21Aと2速被動ギア22Aとの減速比で2速被動ギア22Aを常時回転させる。
一方、2速被動ギア22Aは、カウンタ軸12に対して相対回転可能かつ軸方向へ移動不能なフリーギアに形成されている。
6速駆動ギア21Bは、2速駆動ギア21Aに隣接する隣接ギアであって、メイン軸11に対して相対回転可能かつ軸方向へ移動不能なフリーギアに形成されている。この6速駆動ギア21Bの最外周に形成された歯部21B1は、カウンタ軸12に配置された6速被動ギア22Bの最外周に形成された歯部22B1と常時噛み合う。
一方、6速被動ギア22Bは、2速被動ギア22Aに隣接する隣接ギアであるとともに、メイン軸11に対して相対回転可能かつ軸方向へ移動可能なスライドギアに形成され、軸方向へ移動することによって変速段を切り替えさせるシフタ23と一体に形成されている。
より具体的には、カウンタ軸12の外周面には、シフタ23に対応する領域にスプライン溝12Sが形成され、6速被動ギア22Bの内周面には、スプライン溝12Sに係合するスプライン凸部24が形成される。これによって、6速被動ギア22Bは、カウンタ軸12にスプライン結合され、カウンタ軸12との相対回転が規制されながら軸方向に移動可能に配置される。
この6速被動ギア22Bの軸方向一方側(図1中、右側)には、図1に示すように、2速被動ギア22Aが配置され、6速被動ギア22Bが軸方向一方側へ移動した場合に、6速被動ギア22Bに設けられたドグ歯25が、2速被動ギア22Aに設けられたドグ歯係合部31に係合するように形成されている。
図2は、シフタ23(6速被動ギア22B)が2速被動ギア22Aに係合した状態を示した図である。
図2に示すように、シフタ23が軸方向一方側へ移動すると、シフタ23に設けられた6速被動ギア22Bが有するドグ歯25と、2速被動ギア22Aが有するドグ歯係合部31とが係合する。この係合により、シフタ23を介して2速被動ギア22Aとカウンタ軸12とが一体回転し、メイン軸11の回転が、2速駆動ギア21Aと2速被動ギア22Aとのギア対からなる変速比でカウンタ軸12に伝達される。これによって2速に変速される。
なお、このシフタ23(6速被動ギア22Bを含む)がカウンタ軸12に設けられたいずれの被動ギア22(2速被動ギア22Aを含む)とも噛み合っておらず、かつ、メイン軸11に設けられた6速駆動ギア21Bが、メイン軸11上のシフタ(不図示)によってメイン軸11と一体回転している場合に、メイン軸11の回転は、6速駆動ギア21Bと6速被動ギア22Bとのギア対からなる変速比でカウンタ軸12に伝達され、つまり、6速で駆動する。
また、シフタ23の軸方向他方側(図1中、左側)には、不図示の被動ギア22(本例では、4速被動ギア)が設けられており、6速被動ギア22Bが軸方向他方側へ移動して、6速被動ギア22Bに設けられたドグ歯26が、4速被動ギアに設けられたドグ歯係合部(不図示)に係合することで、4速に変速されるようになっている。
このように、ドグクラッチ式変速装置10は、カウンタ軸12上で相対回転可能にされながら軸方向への移動が規制されたフリーギア(回転可能かつ摺動不能なギア)である変速ギア(上述した2速被動ギア22A)と、カウンタ軸12との相対回転が規制されながら軸方向に移動可能なスライドギア(回転不能かつ摺動可能なギア)としても機能するシフタ23とを備えている。そして、シフタ23の変速ギア側側面から軸方向に延びるドグ歯25(図1、図2参照)を、変速ギアのシフタ側側面に設けられるドグ歯係合部31(図1、図2参照)に噛み合わせることによって、摩擦に寄らず断接を行うドグクラッチが構成される。
このドグクラッチについて説明する。本構成では、変速ギアは2速被動ギア22Aであるため、以下、変速ギア22Aと表記する。
図3は、変速ギア22Aとシフタ23の斜視図であり、図4は変速ギア22Aをドグ歯係合部31側から見た平面図であり、図5はシフタ23をドグ歯25側から見た平面図である。
図3および図4に示すように、変速ギア22Aは、外周に歯部22A1を有するととともにシフタ23の反対側に凹んだ凹部41を有する凹ダボ形状のギア本体42を有し、凹部41に、ギア本体42と別体に形成されたドグ歯係合部31が軸方向に移動自在に収容されている。
より具体的には、ギア本体42は、カウンタ軸12が挿通される円筒状のボス部43と、ボス部43の軸方向一方側の端部(図1、図2中、右側端部)から全周に渡ってつば状に拡径するつば部44(図1、図2参照)と、つば部44の外周に設けられた歯部22A1とを一体に備えた金属部品に形成されている。
図1および図2に示すように、ボス部43と歯部22A1とつば部44とによって、シフタ23の反対側に凹んだ凹部41が形成され、この凹部41にドグ歯係合部31が嵌め込まれる。
この凹部41の最外周部には、周方向に間隔(本構成では45度間隔)を空けて複数(本構成では8個)のスプライン凸部(スプライン部)45が一体に設けられており、これらスプライン凸部45は、凹部41の底面からシフタ23側に向けて同じ矩形断面で軸方向に延在する。
これらスプライン凸部45は、ドグ歯係合部31の外周に間隔(45度間隔)を空けて設けられたスプライン凹部(スプライン部)32に嵌ることによって、ドグ歯係合部31がギア本体42にスプライン結合される。これによって、ドグ歯係合部31は、ギア本体42との相対回転が規制されながら軸方向に移動可能に配置される。
また、スプライン凸部45が、ギア本体42の歯部21A1と凹部41の底面とを架橋する補強リブとしても機能し、ギア本体42の強度を向上させることができる。
また、凹部41の底面には、図1および図2に示す弾性部材51の位置を規制するための突起46(図1、図2参照)が一体に設けられている。この突起46は、弾性部材51の径方向への移動を規制するだけでなく、ドグ歯係合部31が突起46に向かって軸方向に移動した際(図2中、二点鎖線で示す位置)にドグ歯係合部31に当接し、ドグ歯係合部31のそれ以上の軸方向への移動を規制する移動規制部としても機能する。
図3および図4に示すように、ドグ歯係合部31は、ギア本体42の凹部41内に収容される円環状の金属部品に形成されており、ギア本体42のボス部43にインロー嵌合して設けられる。これによって、ドグ歯係合部31は、ボス部43の外周面に沿って軸方向に摺動可能に配置される。なお、このドグ歯係合部31は、輪止め52によってギア本体42からの抜けが防止されている。
より具体的には、ドグ歯係合部31は、ギア本体42よりも小径かつ薄い板状に形成されて凹部41内に入るとともにボス部43の外周面に沿って摺動自在にインロー嵌合する環状の平板部33と、平板部33からシフタ23側に向かって軸方向に突出する環状突出部34と、環状突出部34の外周面に周方向に間隔(本構成では(360/13)度間隔)を空けて設けられる複数(本構成では13個)のドグ歯係合溝(ドグ孔)35とを一体に有している。
ドグ歯係合溝35は、周方向に沿って隣接するドグ歯係合溝35との間に、変速ギア22Aのシフタ側側面から径方向に突出するドグ歯37を有している。これらドグ歯37は、ドグ歯係合溝35間を軸方向に延びてドグ歯係合溝35間を仕切り、ドグ歯係合溝35を、シフタ側側面に対して軸方向に凹むとともに径方向(外周側)に開口する溝に形成する。
以下、この変速ギア22Aに設けられるドグ歯37と、シフタ23に設けられるドグ歯25とを区別し易くするため、変速ギア22Aのドグ歯37を「変速ギア側ドグ歯」と表記し、シフタ23のドグ歯25を「シフタ側ドグ歯」と表記する。
この変速ギア側ドグ歯37は、ドグ歯係合溝35を周方向に間隔を空けて仕切る仕切り部となるため、各ドグ歯係合溝35にシフタ側ドグ歯25(図2参照)が挿入された場合に、シフタ側ドグ歯25が変速ギア側ドグ歯37と当接することで、シフタ23とドグ歯係合部31とが一体的に回転し、変速を迅速に完了させることができる。
ここで、図1および図2に示すように、ドグ歯係合部31とギア本体42との間には、弾性部材51が介挿されている。
この弾性部材51は、ギア本体42のボス部43の外径よりも大径の内径を有する皿ばねであり、ギア本体42に対してドグ歯係合部31を軸方向に付勢するようにボス部43に挿通される。この皿ばねは、ドグ歯係合部31の移動ストローク長や付勢力といった設計条件を満足するものが選定され、その範囲で複数枚の皿ばねを積層配置する構成が適用されるものである。本実施形態の弾性部材51は、2枚の同じ皿ばねが小径側が合うように表裏逆に直列に並べられた構成であり、これによって、ストローク長を確保している。
なお、設計条件を満足できる場合は一枚の皿ばねでも良い。この皿ばねを用いることによって、コイルばねを用いる場合に比して弾性部材の配置スペースをコンパクト化でき、ドグクラッチの小型化を図ることが可能になる。また、皿ばねの数をコイルばねの数(例えば、上述した特許文献1では4個)よりも少なくすることができ、部品点数を低減することができる。
ドグ歯係合部31の裏面(ギア本体42側の面)には、弾性部材51の位置を規制するための突起38が一体に設けられている。この突起38は、ギア本体42の上述した突起46と対抗する位置に設けられ、突起46と同様に、弾性部材51の径方向への移動を規制し、弾性部材51のずれを防止する。
また、ドグ歯係合部31が、弾性部材51の付勢力に抗して軸方向に移動した際に、ギア本体42の突起46に当接し(図2中、二点鎖線を参照)、ドグ歯係合部31のそれ以上の軸方向への移動を規制する移動規制部としても機能する。このように突起38、46同士が当接することで、ドグ歯係合部31とギア本体42の間に、弾性部材51を収容可能な隙間を確保することができ、弾性部材51の収容スペースを確保することができる。
図1、図2および図5に示すように、シフタ23は、メイン軸11が挿通されるとともに内周にスプライン凸部24を一体に有する円筒状のボス部61と、ボス部61の外周に設けられた歯部22B1と、ボス部61の変速ギア側側面から変速ギア22A側に向けて軸方向に環状に突出する環状突出部62と、環状突出部62の内周面に設けられた複数(本構成では13個)のシフタ側ドグ歯25とを一体に備えた金属部品に形成されている。
シフタ側ドグ歯25は、環状突出部62の内周面に、周方向に間隔(本構成では(360/13)度間隔)を空けて複数(本構成では13個)設けられ、変速ギア22A側に向けて軸方向に延出する。
図6(A)〜図6(D)は、シフタ23に設けられたシフタ側ドグ歯25と、変速ギア22Aに設けられたドグ歯係合溝35の位置を示している。
図6(A)〜図6(D)に示すように、シフタ側ドグ歯25と変速ギア側ドグ歯37の先端には、相手側のドグ歯37、25と当接した際に相手側のドグ歯37、25を周方向に逃がす傾斜面25K、37Kが設けられている。
シフタ23を変速ギア22A側へスライドして変速する場合、図6(A)に示すように、シフタ側ドグ歯25と変速ギア側ドグ歯37とが離間した状態から、シフタ側ドグ歯25が変速ギア側ドグ歯37に近づくので、図6(B)に示すように、各ドグ歯25、37の先端に設けられた傾斜面25K、37K同士が当接する。
この当接の際、シフタ側ドグ歯25が変速ギア側ドグ歯37を変速ギア22A側に押圧するので、この押圧力により、ドグ歯係合部31とギア本体42との間の弾性部材51が、図6(A)(B)に示した初期状態から縮み、図6(C)に示すように、変速ギア側ドグ歯37と一体のドグ歯係合部31を、図6(A)(B)に示した初期位置から待避させて当接力を緩和させることができる。
また、図6(C)に示すように、シフタ23が変速ギア22A側へスライドすると、シフタ側ドグ歯25と変速ギア側ドグ歯37とが傾斜面25K、37Kに沿って各ドグ歯25、37の間に案内されるので、図6(D)に示すように、シフタ側ドグ歯25が、ドグ歯係合溝35に入る。
この場合、シフタ側ドグ歯25が変速ギア側ドグ歯37を押圧しなくなるので、図6(D)に示すように、縮んでいた弾性部材51が伸びて、図6(A)(B)に示した初期状態に戻り、変速ギア側ドグ歯37と一体のドグ歯係合部31が初期位置に戻る。これによって、変速が終了する。
このように、変速時には、シフタ側ドグ歯25と変速ギア側ドグ歯37との当接力を弾性部材51によって低減できるので、ドグ歯25、37同士の当接音(打音)の発生を弱めることができる。このため、シフタ側ドグ歯25が弾かれずドグ当たりによる打音を弱めるとともに、シフタ側ドグ歯25がドグ歯係合溝35にスムーズに入り、シフト完了までに要する時間を短縮化することができる。
以上説明したように、本実施の形態によれば、図1および図2に示したように、ドグ歯係合部31は、変速ギア22Aと別体でカウンタ軸(回転軸)12の全周に渡って係合部分であるドグ歯係合溝35が設けられるとともに、軸方向に移動可能に設けられ、変速ギア22Aとドグ歯係合部31との間に弾性部材51が設けられるとともに、ドグ歯係合部31と変速ギア22Aとは相対回転が規制されるため、ドグ歯係合溝35を複数の部品で形成する従来の構成と比べて、ドグ歯係合溝35を複数の部品で形成する必要がない分、部品点数を抑えることができるとともに、弾性部材51によって打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることができる。
したがって、変速ギア22Aに軸方向に移動可能なドグ歯係合部31を有する構成で、部品点数を抑えてコスト低減を図ることができ、かつ、打音低減やシフト完了までの短時間化を図ることが可能になる。
また、図1および図2に示したように、弾性部材51をカウンタ軸12に挿通される皿ばねとしたので、皿ばねによってドグ歯係合部31を周方向に渡って付勢することができる。
しかも、ドグ歯係合部31を周方向に渡って付勢するために周方向に間隔を空けて多数のコイルばねを配置する構成と比べて、部品点数を低減することができる。したがって、部品点数を更に低減することができる。また、既存の皿ばねを用いることによって、部品コストを更に低減することが可能になる。
さらに、変速ギア22Aは、カウンタ軸12が挿通されるボス部43と歯部22A1との間に、環状の凹部41が設けられ、ドグ歯係合部31は、環状の凹部41内に収容されるとともにボス部43とインロー嵌合して設けられるので、ボス部43を利用してドグ歯係合部31を軸方向に摺動させることができる。
これによって、簡素な構成でドグ歯係合部31を軸方向に摺動可能にできるとともに、ドグ歯係合部31をコンパクトに設けることができる。
さらに、図3に示したように、ドグ歯係合部31の径方向外側に変速ギア22Aとスプライン結合するスプライン凹部(スプライン部)32が設けられるので、変速ギア22Aの歯部21A1の内周部分とドグ歯係合部31の外周部分とを形状変更させるだけでスプライン結合させることができる。
これによって、変速ギア22Aの径方向サイズを活かして、スプライン結合させることができ、スプラインの強度を容易に確保することができる。また、このスプラインによって変速ギア22Aの強度も確保し易くなる。
また、図1、図2および図5に示したように、シフタ23は、変速ギア22A側に向けて環状に突出する環状突出部62を有し、シフタ側ドグ歯25は、環状突出部62の内周面から突出するように設けられるので、環状突出部62により強度を確保しながらシフタ側ドグ歯25を設けることができる。これによって、シフタ側ドグ歯25の数を強度を確保しつつ増やすことができる。シフタ側ドグ歯25を増やすことで、噛み合いチャンスを増やすことができ、シフト完了までの時間をさらに縮めることができるとともに、シフタ側ドグ歯25とドグ歯係合部31の噛み合い時の隙間(ラッシュ)を低減し易くなる。
上述した実施形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
例えば、上述の実施形態では、シフタ側ドグ歯25を、シフタ23の環状突出部62の内周面から突出するように設ける場合を説明したが、これに限定されるものではなく、環状突出部62の外周面から突出するように設けるようにしても良い。
さらに、上述の実施形態では、ドグ歯係合部31に設けられるドグ歯係合溝35および変速ギア側ドグ歯37を、ドグ歯係合部31の環状突出部34の外周面に設ける場合を説明したが、これに限定されるものではなく、環状突出部34の内周面に設けるようにしても良い。
また、上述の実施形態では、弾性部材51に皿ばねを用いる場合を説明したが、これに限定されるものではなく、変速ギア22Aとドグ歯係合部31との間に収容可能な他の弾性部材を用いるようにしても良い。
また、上述の実施形態では、自動二輪車に用いるドグクラッチに本発明を適用する場合を説明したが、これに限定されず、鞍乗り型車両や四輪車両などの様々な機器に使用されるドグクラッチに本発明を適用しても良い。なお、鞍乗り型車両とは、車体に跨って乗車する車両全般を含み、自動二輪車(原動機付き自転車も含む)のみならず、ATV(不整地走行車両)に分類される三輪車両や四輪車両を含む車両である。
10 ドグクラッチ式変速装置
11 メイン軸
12 カウンタ軸(回転軸)
21 駆動ギア(駆動側変速ギア)
21A 2速駆動ギア
21A1、21B1、22A1、22B1 歯部
21B 6速駆動ギア
22 被動ギア(被動側変速ギア)
22A 2速被動ギア(変速ギア)
22B 6速被動ギア
23 シフタ
25、26、37 ドグ歯
31 ドグ歯係合部
32 スプライン凹部(スプライン部)
35 ドグ歯係合溝(係合部分、ドグ孔)
41 凹部
42 ギア本体
43 ボス部
45 スプライン凸部(スプライン部)
51 弾性部材

Claims (5)

  1. 回転軸(12)に設けられ、軸(12)との回転が規制されながら軸方向に移動可能なシフタ(23)と、回転軸(12)上で回転可能にされながら軸方向への移動が規制された変速ギア(22A)とを備え、当該シフタ(23)の変速ギア側側面から軸方向に延びるドグ歯(25)と、前記変速ギア(22A)のシフタ側側面に設けられるとともに前記ドグ歯(25)と噛み合うドグ歯係合部(31)とを有するドグクラッチにおいて、
    前記ドグ歯係合部(31)は、前記変速ギア(22A)と別体で、前記回転軸(12)の全周に渡って係合部分(35)が設けられるとともに、軸方向に移動可能に設けられ、
    前記変速ギア(22A)と前記ドグ歯係合部(31)との間に弾性部材(51)が設けられるとともに、前記ドグ歯係合部(31)と前記変速ギア(22A)とは相対回転が規制されることを特徴とするドグクラッチ。
  2. 前記弾性部材(51)は、皿ばねであることを特徴とする請求項1に記載のドグクラッチ。
  3. 前記変速ギア(22A)は、前記回転軸(12)が挿通されるボス部(43)と歯部(22A1)との間に、環状の凹部(41)が設けられ、
    前記ドグ歯係合部(31)は、前記環状の凹部(41)内に収容されるとともに前記ボス部(43)とインロー嵌合して設けられることを特徴とする請求項2に記載のドグクラッチ。
  4. 前記ドグ歯係合部(31)の径方向外側に、前記変速ギア(22A)とスプライン結合するスプライン部(32)が設けられることを特徴とする請求項3に記載のドグクラッチ。
  5. 前記シフタ(23)は、前記変速ギア(22A)側に向けて環状に突出する環状突出部(62)を有し、
    前記ドグ歯(25)は、前記環状突出部(62)の内周面または外周面から突出するように設けられることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載のドグクラッチ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2016158581A1 (ja) * 2015-04-01 2017-12-14 本田技研工業株式会社 ドグ式クラッチ機構

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