JP2014163047A - 建設機械の疲労強度評価装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造物の疲労強度評価を高精度に、且つ容易に行うことができる建設機械の疲労強度評価装置を提供する。
【解決手段】構造物に接続された重量積載物に加速度センサ16〜21を取り付けることで、検出された加速度より加速度頻度演算部25にて加速度頻度を算出し、その加速度頻
度とデータベース28上の予め求められた応力頻度情報とにより、応力頻度演算部29にて構造物の応力頻度を推定し、疲労強度演算部30がその推定された応力頻度分布に基づいて、疲労強度や累積疲労損傷度を算出することで構造物の疲労強度評価を行う。
【選択図】図4

Description

本発明は、油圧ショベルやクレーン等の建設機械における主要構造物の疲労強度評価装置に関する。
油圧ショベル等の建設機械は、高負荷な作業を繰り返し行い、また作業現場も整地されていない凸凹の多い場所であることから、作業時、走行時共に大きな振動を受けることが知られている。特に、旋回フレーム等の主要構造物は、旋回フレーム上に搭載されるエンジン等の機器やカウンタウエイトやタンク等の構造体(重量搭載物)が振動することで、高負荷の繰り返し荷重を受け、局部的な疲労破壊を起こすケースがある。
そのため建設機械の主要構造物に対しては、疲労寿命を適切に把握・評価し、事前補修等の維持管理を行っていく必要がある。構造物の疲労寿命を推定する方法として、構造物本体にひずみゲージを貼り付けて、レインフロー法等により応力頻度を算出して、その応力頻度を用いて疲労寿命、或いは残存寿命等の評価を行うことが行われている。
ひずみゲージを用いた応力頻度計測は、直接的で最も精度が高く、信頼性も高い方法であると考えられるが、これにより継続的に応力計測を行うには、多くのひずみゲージを車体構造物に貼り付ける必要があり、またそれに伴うリード線の配索などが生じ、多大な労力と費用を要する。また、車体組立後にゲージの貼り付け作業を行う必要もあるため、グラインダーによる表面塗装の除去やゲージ貼り付け後の防錆・防水処理など、大きな工数を要する作業を伴う。また、現場作業中にリード線が断線した場合、再度分解し、ゲージを貼り直した後再度組み立てが必要となり、車体維持管理の面から見てもゲージによる長期的な計測は困難であるのが現状である。
以上のような方法に対して、より簡易な計測による疲労強度評価方法が、例えば、特許文献1(特開2007−163384号公報)に記載されている。同公報によれば、構造物自体の加速度データを計測し、1日の卓越振動数、最大加速度振幅範囲から応力範囲の頻度分布を推定することで、構造物の疲労強度評価を行っている。
特開2007−163384号公報
特許文献1に記載のような疲労強度評価方法では、構造物自体の加速度によって評価を行うため、ゲージでの計測に比べ計測点数は大幅に削減可能となる。また、加速度センサの取付けにはグラインダー作業などは不要なため、計測自体が大幅に工数改善される。
この従来技術により建設機械の構造物を評価するには、構造物自体の加速度から応力頻度を推定する必要があるが、例えば、油圧ショベルにおいて旋回フレーム等は構造上高い剛性を有しているため、振動による変形そのものは小さく、高精度に加速度を計測するのは難しい。そのため、旋回フレーム自体の加速度からは疲労強度評価が困難である。
この発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたもので、建設機械における構造物の累積疲労を精度良く、低コストで評価可能な疲労強度評価装置を提案することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の建設機械の疲労強度評価装置は、
請求項1に記載の発明では、車体フレームと、車体フレーム上に搭載され、車体の構成要素となる重量搭載物と、重量搭載物に設けられる加速度センサと、加速度センサにより検出された重量搭載物の加速度から加速度頻度を算出する加速度頻度演算手段と、加速度頻度演算手段によって演算される加速度頻度から車体フレームにおける重量搭載物が搭載された部位の応力頻度を算出する応力頻度算出手段と、応力頻度算出手段によって算出された応力頻度に基づき、疲労強度を演算する疲労強度演算手段とを備えたものである。
請求項2に記載の発明では、疲労強度演算手段は、車体フレームの重量搭載物が搭載された部位の累積疲労損傷度を演算する累積疲労損傷度演算手段を備えたものである。
請求項3に記載の発明では、重量搭載物は、車体フレームに回動可能に設けられ、油圧駆動装置により駆動する作業装置であり、油圧駆動装置に作用する油圧負荷を検出する油圧負荷検出手段を有し、疲労強度演算手段は、加速度頻度に加え油圧負荷検出手段によって検出される油圧負荷情報から疲労強度を演算するものである。
請求項4に記載の発明では、加速度センサにより検出された加速度が予め設定される所定値以上のときに警報を発生させる警報装置を備えたものである。
請求項1の発明によれば、車体フレーム上に搭載され、車体の構成要素となる重量搭載物に加速度センサを設けることで、建設機械の車体フレームのように高い剛性を持ち、変形量が小さい構造物であっても、加速度からその重量搭載物が搭載された部位の車体フレームの応力頻度を高精度に求めることができ、車体フレームの疲労強度評価を行うことができる。
また、請求項2の発明によれば、車体フレーム各部位の累積疲労損傷度を求めることにより、残存寿命の少ない部位が事前に推定可能になり、メンテナンス・補修を通し、金属疲労による製品破壊に対するリスクを減少させることができる。
また、請求項3の発明によれば、時間的変化の極めて緩慢な負荷が掛かった際は、大きな加速度は発生しないため、加速度情報に加え、油圧負荷情報も併せて疲労強度を評価することで、加速度センサでは検出が難しい負荷値も併せた高精度な評価が可能となる。例えば、油圧ショベルにおいて、吊り作業など時間的変化の極めて緩慢な負荷が繰り返し、長期的に掛かる製品があっても、信頼性の高い疲労強度評価が可能となる。
請求項4の発明によれば、加速度センサにより検出された値が過大であった際、警報を発する装置を車体に搭載することで、高加速度となるような極めて高負荷な繰り返し荷重を受ける状態をオペレータに知らせることが可能で、旋回フレーム等の構造物の疲労寿命が急激に悪化するのを抑止することができる。
油圧ショベルの車体構成図である。 旋回フレームと積載物取り付け部位である。 加速度センサ取り付け位置である。 加速度センサを用いた疲労強度装置の概要図である。 レインフロー法による頻度演算を示した図である。 加速度波形と応力波形の相関を示した図である。 累積疲労損傷度の算出方法である。 油圧負荷を加えた疲労強度装置の概要図である。
以下、本発明の建設機械の疲労強度評価装置の実施の形態を、建設機械としての油圧ショベルを例に挙げ、図1〜図8により説明する。
まず、図1、図2を用いて油圧ショベルの構成について説明する。図1は、油圧ショベルの全体構成を示すもので前方斜視図である。また、図2は、油圧ショベルの上部旋回体を構成する旋回フレームを示す平面図である。図において、1は油圧ショベルの下部走行体、2は下部走行体1上に旋回可能に搭載された車体としての上部旋回体を示し、上部旋回体2の前方には土砂の掘削作業等を行う作業装置3が俯仰動可能に設けられる。この作業装置3は、後述する旋回フレーム4にピン連結されるブーム3a、ブーム3aに回動可能に設けられるアーム3b、アーム3bに回動可能に設けられるバケット3cとからなり、ブーム3a、アーム3b、バケット3cは、それぞれブームシリンダ、アームシリンダ、バケットシリンダにより駆動される。4は上部旋回体2のベースとなる旋回フレームで、この旋回フレーム4は厚肉な鋼板からなる。5は上部旋回体2の後端部に設けられるカウンタウエイト、6は、上部旋回体2の左前側部に設けられるキャブ、7は右前側部に設けられる燃料タンク、8は、燃料タンク7の後方に設けられる作動油タンク、9はカウンタウエイトの前方に設けられ、内部にエンジン22(図3参照)、熱交換器、油圧機器等の駆動装置が収容される機械室である。
なお、カウンタウエイト5は作業装置3との重量バランスをとるためのものであり、キャブ6内には、オペレータが着席する運転席や操作レバー等が配設されている。
そして、これら作業装置3、カウンタウエイト5、キャブ6、燃料タンク7、作動油タンク8、機械室22内の各種機器は、図2、図3に示すように、旋回フレーム4上に搭載される車体重量物である。
旋回フレーム4は、図2に示すように、これらの車体重量物を搭載するための各部位を有し、10は、前方中央部に設けられ作業装置3におけるブーム3aを回動可能に接続するブームフート部位、11aは後方中央部に設けられ、カウンタウエイト5が搭載されるテール部位、11bは、テール部位11aの前方の左右両側に設けられ、熱交換器及び油圧機器等が搭載されるフレーム両側後方部位、12は、左前方部に設けられ、キャブ6が搭載されるキャブベット部位12、13は、テール部位11aの前方でフレーム両側後方部位11b間に設けられ、エンジン22が搭載されるエンジンブラケット部位、14は、右前方部に設けられ、燃料タンク7が搭載される燃料タンクベッド部位、15は、燃料タンクベット部位14の後方に設けられ、作動油タンク8が搭載される作動油タンクベッド部位からなる。
また、図3に示すように、上述した作業装置3を含む車体重量物には、旋回フレーム4の疲労強度評価を行う為に作業時における車体重量物の加速度を測定するための加速度センサ16〜22がそれぞれ設けられる。16は、作業装置3の加速度を測定するための加速度センサで、旋回フレーム4のブームフート部10の疲労強度を判断するために、作業装置3に取り付けるものであり、この加速度センサ16は、作業装置3の挙動を正確に捉えることが可能で、且つ作業の妨げとならないようなブーム3a先端のトップ部に配設する。17は、カウンタウエイト5の加速度を測定するための加速度センサで、旋回フレーム4のテール部位11a、11bの疲労強度を判断するために、カウンタウエイト5に取付けるものであり、この加速度センサ17は、上下・左右挙動を捉え易いように旋回フレーム4のテール部位11aから上方に離れたカウンタウエイトの上面位置に配設する。18は、キャブ6の加速度を測定するための加速度センサで、キャブベッド部位12の疲労強度を判断するために、キャブ6に取り付けるものであり、キャブ6の上面位置に配設する。19は、燃料タンク7の加速度を測定する加速度センサで、燃料タンクベッド部位14の疲労強度を判断するために、燃料タンク7に取り付けるものであり、燃料タンク7の上面位置に配設する。20は、作動油タンク8の加速度を測定する加速度センサで、作動油タンクベッド15の疲労強度を判断するために、作動油タンク8に取り付けるものであり、作動油タンク8の上面位置に配設する。21は、エンジン22の加速度を測定するための加速度センサで、エンジンブラケット部位13の疲労強度を判断するために、エンジン22に取り付けるものであり、エンジン22の上部位置に配設する。
次に図4により加速度センサ16〜21を用いた旋回フレーム4の疲労強度評価装置について説明する。図4はシステム構成図である。
疲労強度評価装置は、図4のように油圧ショベルに設けられた車体側制御部23と、油圧ショベルと離れた基地局内のサーバに設けられたサーバ側制御部24とから構成される。
車体制御部23は、各加速度センサ16〜21からの加速度データを既知のレインフロー法によって加速度頻度に変換する加速度頻度演算部25と、加速度頻度情報をサーバ側制御部24に送信する通信端末部26から構成される。
加速度頻度演算部25は、図5に示すように加速度センサ16〜21によって得られた加速度波形aをレインフロー法によって加速度範囲Δa毎の繰り返し数Naを演算して加速度頻度情報に変換するものである。
サーバ側制御部24は、車体側制御部23からの加速度頻度情報を受信する通信端末部27と、加速度頻度と応力頻度との関係を予め実験等により関連付けたデータベース28と、加速度頻度情報とデータベース28の情報を基に応力頻度を推定する応力頻度推定演算部29と、応力頻度より疲労強度及び累積疲労損傷度を演算する疲労強度演算部30から構成されている。
上記の応力頻度推定演算部29では、データベース28と加速度頻度演算部25によって演算された各部位の加速度頻度情報を照らし合わせて旋回フレーム4の各部位10、11a、11b、12、13、14、15の応力頻度を算出する。応力頻度は図6に示すように、各測定部位における加速度と、そのときにこの加速度測定部位に対応する各部位10、11a、11b、12、13、14、15に生じる応力との関係が、周期T1・T2、振幅A1・A2が相関を持つことが確認されているため、予め振幅比率A1/A2を確認しておくことで、振幅A2の繰り返し数情報である応力頻度を、振幅A1の繰り返し数情報である加速度頻度によって推定するものである。
また、上記の疲労強度演算部30では、応力頻度推定演算部29で算出された応力頻度から図7に示すような疲労設計曲線により疲労強度を算出し、疲労設計曲線と図7式(1)を用いることで累積疲労損傷度Dを算出する。
以上のように本発明の実施の形態では、旋回フレーム4の各部位10、11a、12、13、14、15上に設けられる作業装置3、カウンタウエイト5、キャブ6、燃料タンク7、作動油タンク8、エンジン22に加速度センサ16〜21を設けることで、比較的剛性が高く、変形量が小さい旋回フレーム4であっても、加速度を用いて強度評価を行うことが可能になる。特に加速度を用いて強度評価を行えることにより、旋回フレーム4にひずみゲージ等を取り付ける必要がなく、測定に掛かる工数を大幅に低減でき、簡易な方法で継続的な応力計測が可能になる。また、作業中の測定も容易になるため、作業内容が車体に与える影響の大きさを旋回フレーム4の累積疲労損傷度Dから概算でき、作業毎の過酷度や規定外の負荷が掛かっている際の過負荷状態を把握できる。そのため、これに基づいて車体モニタ31上に警報等を行うことで、作業毎の車体への影響を把握することができるようになる。また、残存寿命の少ない部位が事前に推定可能になり、メンテナンス・補修を通し、金属疲労による製品破壊に対するリスクを減少させることができる。
また、データベースとなる応力頻度情報を基地局内の大容量のサーバ内に置くことで、より多くの参照データから旋回フレーム各部位の応力頻度を算出することが出来るため、旋回フレームの疲労強度評価の信頼性が向上する。また、車体側での演算処理が減るため、車載コントローラ等にかかる性能負荷が減少し、小型化なども可能となる。
なお、上述した油圧ショベルにおいては、作業装置3における掘削作業時に掘削対象物から掘削反力を受け、これが旋回フレーム4のブームフート部位10に作用するが、加速度では、この掘削反力による旋回フレーム4への影響が測定できない。また、クレーン作業等の動作速度のゆっくりした作業に対しては、加速度が0もしくは微小なためこれによっても旋回フレーム4への影響を測定することができない。そこで図8に示すように上記の実施の形態における構成に加え、ブーム3a、アーム3b、バケット3cを駆動するブームシリンダ、アームシリンダ及びバケットシリンダの圧力を油圧負荷情報32として取得するとともに、旋回フレーム4に対するブーム3aの角度、ブーム3aに対するアームの角度をフロント姿勢情報33として取得する。そしてこの油圧負荷情報32、フロント姿勢情報33から、作業装置3から旋回フレーム4のブームフート部位10に作用する負荷をより詳細に算出する可能となる。油圧負荷情報32と、データベース28上の油圧負荷及び応力情報とを照らし合わせることで、油圧負荷演算部34にて累積疲労損傷度Dへの補正係数を算出し、疲労強度演算部30にて加算処理することで、より精度の高い疲労強度評価が可能となる。
1 下部走行体
2 上部旋回体
3 作業装置
3a ブーム
3b アーム
3c バケット
4 旋回フレーム
5 カウンタウエイト
6 キャブ
7 燃料タンク
8 作動油タンク
9 機械室
10 ブームフート部位(旋回フレーム上)
11a テール部位(旋回フレーム上)
11b 両側後方部位(旋回フレーム上)
12 キャブベッド部位(旋回フレーム上)
13 エンジンブラケット部位(旋回フレーム上)
14 燃料タンクベッド部位(旋回フレーム上)
15 作動油タンクベッド部位(旋回フレーム上)
16〜21 加速度センサ
22 エンジン
23 車体側制御部
24 サーバ側制御部
25 加速度頻度演算部
26、27 通信端末部
28 データベース
29 応力頻度推定演算部
30 疲労強度演算部
31 車体モニタ
32 油圧負荷情報
33 フロント姿勢情報
34 油圧負荷演算部

Claims (4)

  1. 車体フレームと、前記車体フレーム上に搭載され、車体の構成要素となる重量搭載物と、
    前記重量搭載物に設けられる加速度センサと、前記加速度センサにより検出された前記重量搭載物の加速度から加速度頻度を算出する加速度頻度演算手段と、前記加速度頻度演算手段によって演算される加速度頻度から前記車体フレームにおける前記重量搭載物が搭載された部位の応力頻度を算出する応力頻度算出手段と、前記応力頻度算出手段によって算出された応力頻度に基づき、疲労強度を演算する疲労強度演算手段とを備えたことを特徴とする建設機械の疲労強度評価装置。
  2. 請求項1に記載の建設機械の疲労強度評価装置において、
    前記疲労強度演算手段は、前記車体フレームの前記重量搭載物が搭載された部位の累積疲労損傷度を演算する累積疲労損傷度演算手段を備えたことを特徴とする建設機械の疲労強度評価装置。
  3. 請求項1に記載の建設機械の疲労強度評価装置において、
    前記重量搭載物は、前記車体フレームに回動可能に設けられ、油圧駆動装置により駆動する作業装置であり、前記油圧駆動装置に作用する油圧負荷を検出する油圧負荷検出手段を有し、前記疲労強度演算手段は、前記加速度頻度に加え、前記油圧負荷検出手段によって検出される油圧負荷情報から前記疲労強度を演算することを特徴とする建設機械の疲労強度評価装置。
  4. 請求項1または2に記載の疲労強度評価装置において、
    前記加速度センサにより検出された前記加速度が予め設定される所定値以上のときに警報を発生させる警報装置を備えたことを特徴とする建設機械の疲労強度評価装置。
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