以下、移動体評価装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
図1は、本実施の形態における情報システムの概念図である。情報システムは、移動体評価装置1、1または2以上の端末装置2、1または2以上の距離画像センサ3、および1または2以上の強度センサ4を備える。移動体評価装置1は、例えば、LANやインターネット等のネットワーク、無線または有線の通信回線などを介して、1以上の端末装置2、1以上の強度センサ4、および1以上の距離画像センサ3の各々と通信可能に接続される。
移動体評価装置1は、例えば、情報システムを運営する運営者のサーバである。運営者は、例えば、移動体を取り扱う移動体取扱業者である。移動体は、例えば、自動車であるが、バイクでもよいし、船舶や航空機等でもよく、その種類は問わない。また、移動体は、通常、中古車であるが、新車でもよい。
ただし、運営者は、例えば、移動体の検査を行う検査者でもよいし、移動体のユーザでもよく、その種類は問わない。また、移動体評価装置1は、例えば、クラウドサーバやASPサーバ等でもよく、そのタイプや所在は問わない。
端末装置2は、例えば、PCであるが、携帯端末でもよい。携帯端末とは、携帯可能な端末である。携帯端末は、例えば、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話機等であるが、ノートPCでもよく、その種類は問わない。
距離画像センサ3とは、移動体等の対象物の距離画像を撮影するセンサである。なお、距離画像センサ3等の画像センサは、例えば、カメラ、または撮像装置といってもよい。距離画像とは、距離情報を有する画像である。距離情報とは、距離に関する情報である。距離情報は、例えば、三次元位置情報(x,y,z)であるが、距離および方向の組(r,θ,φ)等でもよく、その表現形式は問わない。距離画像は、例えば、画素(x,y,z,輝度値)の集合であるが、画素(x,y,z,画素値)の集合等でもよく、その構造は問わない。なお、画素値は、RGBやYUV等であるが、その形式は問わない。
距離画像センサ3は、例えば、移動体の前後左右のいずれかに配置され、当該移動体の距離画像を撮影する。ただし、距離画像センサ3は、例えば、移動体の上下いずれかに配置されてもいし、移動体に対して斜めに配置されてもよく、移動体との位置関係は問わない。
詳しくは、例えば、4つの距離画像センサ3が、一の移動体の前後左右に配置され、当該移動体の前後左右4面からの4つの距離画像を撮影することは好適である。さらに、2つの距離画像センサ3が、移動体の上下に配置され、当該移動体の上下2面からの2つの距離画像をも撮影する(つまり、例えば、6つの距離画像センサ3で前後左右および上下から撮影する)ことは、より好適である。4以上の各距離画像センサ3は、撮影した距離画像を、距離画像センサ識別子と対に出力する。
距離画像センサ識別子とは、距離画像センサ3を識別する情報である。距離画像センサ識別子は、例えば、MACアドレスやIPドレス等であるが、IDでもよく、センサを識別し得る情報であれば何でもよい。なお、距離画像センサ識別子は、例えば、移動体に対する当該距離画像センサ3の位置を示す位置情報(“前”,“後”,“左”,“右”等)でも構わない。
ただし、一の距離画像センサ3が、一の移動体に対して、前後左右等の予め決められた4以上の位置に、予め決められた順序で移動され、4以上の面から4以上の距離画像を撮影してもよい。この場合、4以上の距離画像の順序を基に、撮影された位置を判別できる。または、移動体を乗せた台を回転させることで、一の距離画像センサ3で、前後左右を含む4以上の方向から撮影してもよい。
距離画像センサ3は、例えば、レーザー距離画像センサである。レーザー距離画像センサとは、レーザーを用いて距離画像を撮影するセンサである。レーザー距離画像センサは、具体的には、例えば、レーザーレーダー(ライダーともいう)であってもよい。
レーザーレーダーとは、電波の代わりにレーザーを用いるレーダーである、といってもよい。レーザーレーダーは、例えば、パルス状のレーザーをポリゴンミラー等で方向を変えながら移動体を含む空間に向けて発し、移動体からの反射光や散乱光を受光する。そして、レーザーレーダーは、例えば、各方向に発したレーザーの受光までの時間を基に、対象物の表面の2以上の各点までの距離を計測し、その計測結果に基づく三次元位置情報を有する2以上の画素で構成された距離画像を出力する。レーザーレーダーによれば、高い精度で広い範囲の距離画像を撮影できる。なお、レーザーレーダーは公知技術であり、詳細な説明は省略する。
ただし、レーダー方式以外のレーザー距離画像センサでも、高い精度で距離画像を撮影できる。また、かかるレーザー距離画像センサで、位置を変えて2以上の距離画像を撮影し、当該2以上の距離画像を結合することによって、高精度かつ広範囲の距離画像も取得できる。
ただし、距離画像センサ3は、レーザー距離画像センサとは限らず、レーザー以外の光(例えば、LED光など)を照射して距離画像を撮影するセンサでもよいし、自然光で距離画像を撮影するセンサでもよく、そのタイプは問わない。
強度センサ4とは、移動体の強度を検知し、その検知結果に基づく強度情報を出力するセンサである。強度センサ4は、例えば、ひずみセンサ、応力センサ等で構成されるが、そのタイプは問わない。強度は、例えば、弾性率である。弾性率とは、変形し難さを示す値である。弾性率は、例えば、応力をひずみで除した値であるが、剛性率、ヤング率などでもよく、その種類は問わない。また、各種の強度の検知手法は公知であり、詳しい説明を省略する。
強度センサ4は、通常、移動体のボディーに取り付けられ、当該ボディーの強度を検知する。ただし、強度センサ4は、ボディー以外の部分に取り付けられてもよく、その取り付け部位は問わない。
詳しくは、例えば、1または2以上の強度センサ4が、移動体の1または2以上の部分に取り付けられる。1以上の強度センサ4が取り付けられた移動体は、例えば、路上で実走またはテストベンチ上でテスト走行し、その走行中の振動によって、ボディー等の部分に応力とひずみが生じる。1以上の各強度センサ4は、当該強度センサ4が取り付けられた部分の応力とひずみを基に強度を検知し、その検知結果である1以上の強度情報を、部分識別子と対に出力する。
部分とは、移動体の部品といってもよい。強度センサ4が取り付けられる部分は、通常、ボディーであるが、ボディー以外の部品(例えば、シャーシ、ドライブトレイン等)でもよい。または、強度センサ4が取り付けられる部分は、例えば、ボディーを構成する1または2以上の各要素でもよい。ボディーを構成する要素とは、例えば、左のドア、右のドア、ボンネット、トランクリッド等であるが、当該左右のドア等の要素が取り付けられる部材(以下、ボディー本体と記す場合がある)でもよく、その種類は問わない。
具体的には、例えば、4つの強度センサ4が、一の移動体の、例えば、左のドア、右のドア、ボンネット、およびトランクリッドに取り付けられてもよい。
なお、以下で「ボディー」とは、例えば、左ドア、右ドア、ボンネット、およびトランクリッド等で構成された「ボディー全体」を意味するが、これらの要素のうち1または2以上でもよい。また、ボディーの寸法とは、例えば、全長、または全幅のうち1以上であるが、高さや、後述するホイールベース、後述する最大径等でもよい。さらに、ボディーの強度とは、例えば、ボディーを構成する2以上の要素に対応する2以上の強度の代表値(具体的には、例えば、左ドアの強度、右ドアの強度、ボンネットの強度、およびトランクリッドの強度等の代表値)でもよい。なお、代表値は、例えば、平均値であるが、中央値または最頻値等でもよい(以下同様)。
または、例えば、一の移動体に一の強度センサ4のみを取り付ける場合、当該強度センサ4は、例えば、ボディーの一の要素(具体的には、例えば、左ドア、または右ドア、またはボンネット、またはトランクリッドのいずれか)に取り付けられるが、ボディー本体に取り付けられえもよいし、ボディー以外の部品に取り付けられても構わない。
このように、強度センサ4の数、および各強度センサ4が取り付けられる部分は問わない。また、例えば、一の部分に2以上の強度センサ4が取り付けられてもよく、その場合、移動体評価装置1において、2以上の強度センサ4から出力される2以上の強度情報を基に代表値が取得され、その代表値が当該一の部分の強度情報として取得されてもよい。
部分識別子とは、一の移動体の1または2以上の各部分を識別する情報である。部分識別子は、例えば、“ボディー”等の部品名、“左ドア”や“ボンネット”等のパーツ名等であるが、部品名等に紐づけられた強度センサ識別子やIDなどでも構わない。強度センサ識別子とは、強度センサ4を識別する情報である。強度センサ識別子は、例えば、MACアドレスやIPドレス等であるが、強度センサ4を識別し得る情報であれば何でもよい。
ただし、強度センサ4は、例えば、ユーザの手で、一の移動体の1以上の各部分に押し付けられ、当該部分の強度を検知し、検知結果に基づく強度情報を出力するセンサ(例えば、メカニカルフォースゲージ等)でもよく、そのタイプは問わない。この場合、ユーザは、出力された強度情報を、例えば、部分識別子と対に、キーボート等の入力デバイスを介して入力すればよい。
ただし、情報システムは、距離画像センサ3に代えて、通常のイメージセンサ、または発光素子列および受光素子列の組を備えていてもよい(後述する変形例を参照)。また、情報システムは、例えば、カメラを内蔵した又は外付けカメラが接続された一のPC、または一の携帯端末でも実現可能であり、そのハードウェア構成は問わない。
図2は、情報システムのブロック図である。移動体評価装置1は、格納部11、受付部12、処理部13、および出力部14を備える。格納部11は、移動体図格納部111を備える。処理部13は、初期寸法情報取得部131、実寸法情報取得部132、寸法差異情報取得部133、強度変化情報取得部134、評価部135、および図構成部136を備える。出力部14は、評価情報出力部141、および図出力部142を備える。
端末装置2は、端末格納部21、端末受付部22、端末送信部23、端末受信部24、端末処理部25、および端末出力部26を備える。
移動体評価装置1を構成する格納部11は、各種の情報を格納し得る。各種の情報とは、例えば、後述する移動体図である。なお、格納部11には、例えば、後述する初期強度情報、後述する初期寸法情報、後述する第一対応情報、後述する第二対応情報なども格納されてもよい。また、その他の情報については適時説明する。
移動体図格納部111は、移動体図が格納される。移動体図とは、一の移動体に関する図である。移動体図は、例えば、移動体の設計図、移動体のイラスト、移動体の写真等であるが、その形式は問わない。なお、移動体図は、例えば、1または2以上の初期寸法情報を有していてもよい。
移動体図格納部111には、例えば、後述する車種情報に対応付けて、1または2以上の移動体図が格納されてもよい。
受付部12は、各種の情報を受け付ける。各種の情報とは、例えば、移動体情報である。なお、移動体情報については後述する。また、各種の情報には、例えば、後述する寸法差異表出図の出力指示等の指示も含まれる。
受付部12は、例えば、キーボードやタッチパネル等の入力デバイスを介して入力された移動体情報等の情報を受け付ける。
または、受付部12は、端末装置2から送信された移動体情報等の情報を受信してもよい。詳しくは、受付部12は、例えば、端末装置2から、端末識別子と対に、移動体情報等の情報を受信する。端末識別子とは、端末装置2を識別する情報である。端末識別子は、例えば、MACアドレスやIPアドレス等のアドレス、IDなどであるが、端末装置2のユーザを識別するユーザ識別子でもよく、端末装置2を識別し得る情報であれば何でもよい。ユーザ識別子とは、ユーザを識別する情報である。ユーザ識別子は、例えば、メールアドレス、電話番号、IDなどであるが、ユーザを識別し得る情報であれば何でもよい。ただし、情報システムを構成する端末装置2の数が1つだけの場合、端末識別子は送受信されなくてもよい。また、受付部12は、例えば、ディスクや半導体メモリなどの記録媒体から読み出された情報を受け付けてもよく、受け付けの態様は問わない。
移動体情報とは、一の移動体に関する情報である。移動体情報は、通常、移動体識別子に対応付いている。なお、対応付くことは、移動体情報が移動体識別子を有する場合も含む。移動体識別子とは、移動体を識別する情報である。移動体識別子は、例えば、ナンバープレートの番号、車体番号などであるが、IDでもよく、移動体を識別し得る情報であれば何でもよい。また、移動体情報は、例えば、車種情報も有することは好適である。車種情報とは、移動体の種類を示す情報である。車種情報は、例えば、メーカー名、“カローラ○○”等の車種名などで構成されるが、“セダン”や“ワンボックス”等の分類名でもよい。
移動体情報は、通常、1以上の実寸法情報を含む。実寸法情報とは、移動体の実寸法に関する情報である。実寸法情報は、通常、一の移動体の1以上の各箇所の実寸法を示す情報である。実寸法情報は、通常、箇所識別子に対応付いている。箇所識別子とは、一の移動体の1以上の各箇所を識別する情報である。箇所識別子は、例えば、部品名、ID等であるが、箇所を識別し得る情報であれば何でもよい。
実寸法とは、実際に計測した寸法である。実寸法は、例えば、現時点での寸法といってもよい。箇所とは、部品、または部分といってもよい。つまり、強度が検知される部分と、実寸法が計測される箇所とは、通常、同じであるが、異なっていてもよい。
具体的には、移動体情報は、例えば、ボディー、左のドア、右のドア、ボンネット、およびトランクリッドの各々の実寸法情報を含んでいてもよい。なお、移動体情報に含まれる1以上の各実寸法情報は、例えば、後述する実寸法情報取得部132によって自動的に取得された情報であるが、ユーザによってキーボード等の入力デバイスを介して入力された情報でもよい。
すなわち、受付部12は、例えば、実寸法情報取得部132が取得した1以上の実寸法情報を含む移動体情報を受け付けることは好適である。ただし、受付部12は、ユーザによって入力された1以上の実寸法情報を含む移動体情報を受け付けてもよい。
また、移動体情報は、1以上の実寸法情報に加えて、例えば、1または2以上の強度変化情報をも有していてもよい。強度変化情報とは、移動体の強度の変化に関する情報である。強度変化情報は、通常、一の移動体の1以上の各部分の強度の時間的な変化に関する情報である。強度変化情報は、例えば、ボディーの強度変化に関する情報を含む。また、強度変化情報は、例えば、ボディーを構成する各パーツの強度変化に関する情報をも含むことは好適である。なお、強度変化情報は、ボディー以外の部分(例えば、シャーシ、ドライブトレイン等)の強度変化に関する情報をも含んでもよい。
なお、移動体情報に含まれる1以上の各強度変化情報は、例えば、後述する強度変化情報取得部134によって自動的に取得された情報であるが、ユーザによって入力された情報でもよい。
すなわち、受付部12は、例えば、実寸法情報取得部132が取得した1以上の実寸法情報と、強度変化情報取得部134が取得した1以上の強度変化情報とを含む移動体情報を受け付けることは、より好適である。
ただし、受付部12は、実寸法情報取得部132が取得した1以上の実寸法情報と、ユーザによって入力された1以上の強度変化情報とを含む移動体情報を受け付けてもよい。または、受付部12は、ユーザによって入力された1以上の実寸法情報と、強度変化情報取得部134が取得した1以上の強度変化情報とを含む移動体情報を受け付けてもよい。または、受付部12は、ユーザによって入力された1以上の実寸法情報と、ユーザによって入力された1以上の強度変化情報とを含む移動体情報を受け付けてもよい。
ただし、強度変化情報は、例えば、一の移動体の強度の空間的な変化に関する情報でもよい。空間的な変化とは、一の移動体内で、場所によって強度が変化していることである。場所とは、一の移動体の1以上の各部品でもよいし、一の部品内の異なる位置でもよい。こうした強度の空間的な変化は、例えば、移動体の一部が事故等で破損し、その破損した部分を修理(例えば、部品交換、再塗装等)した場合に、生じることがある。
処理部13は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、初期寸法情報取得部131、実寸法情報取得部132、寸法差異情報取得部133、強度変化情報取得部134、評価部135、および図構成部136などの処理である。また、処理部13は、例えば、フローチャートを用いて説明する各種の判別なども行う。その他の処理については、適時説明する。
初期寸法情報取得部131は、初期寸法情報を取得する。初期寸法情報とは、移動体の初期寸法に関する情報である。初期寸法とは、初期の寸法である。初期寸法は、例えば、カタログに記載されている寸法(つまり、設計値)であるが、新車を実際に計測した寸法(つまり、新車の時点での実寸法)でもよい。寸法は、例えば、長さ、幅、高さ、縦、横、厚み、最大径等であるが、その種類は問わない。なお、最大径とは、当該部品の最も長い差し渡し(例えば、対角線長、長径、直径等)である。
初期寸法情報は、通常、一の移動体の1または2以上の各箇所の初期寸法に関する情報である。なお、箇所とは、前述したように、部分、または部品といってもよい。初期寸法情報取得部131は、通常、一の移動体の1または2以上の箇所に対応する1または2以上の初期寸法情報を取得する。
または、寸法は、例えば、2つの部品の間の距離でもよい。この種の寸法は、例えば、前輪側の車軸と、後輪側の車軸との間の距離(ホイールベース)であるが、2つの前輪の間の距離、または2つの後輪の間の距離などでもよく、2つの部品の組み合わせは問わない。
取得される1以上の初期寸法情報は、例えば、ボディーの初期寸法に関する情報を含む。ボディーの初期寸法とは、例えば、ボディーの初期の長さ(以下では、初期全長と記す場合がある)、またはボディーの初期の幅(以下、初期全幅)のうち1以上である。また、1以上の初期寸法情報は、例えば、ボディーを構成する各パーツ(例えば、左右のドア、ボンネット、トランクリッド等)の初期寸法に関する情報をも含むことは好適である。なお、パーツの初期寸法は、例えば、初期の最大径(以下、初期最大径)等であるが、その種類は問わない。また、2部品間の距離に関する初期寸法は、例えば、初期ホイールベース等である。
初期寸法情報は、例えば、初期全長および初期全幅の組(初期全長,初期全幅)でもよいし、箇所識別子および初期最大径の組(箇所識別子,初期最大径)等でもよく、その形式は問わない。
なお、初期寸法情報取得部131は、上記のような1以上の初期寸法情報を、例えば、メーカーや販売店などのサーバから取得する。メーカー等のサーバには、当該一の移動体を含む1または2以上の各移動体のカタログのデータが格納されており、初期寸法情報取得部131は、当該一の移動体のカタログデータをダウンロードし、当該カタログデータから1以上の初期寸法情報を取得してもよい。
または、1以上の初期寸法情報は、例えば、格納部1に予め格納されており、初期寸法情報取得部131は、1以上の初期寸法情報を、格納部11から取得してもよい。
ただし、初期寸法情報は、新車の時点での実寸法情報であってもよい。詳しくは、例えば、後述する実寸法情報取得部132が、当該一の移動体またはそれと同じ車種の移動体の、新車の時点での1以上の実寸法情報を取得し、処理部13は、その取得された1以上の実寸法情報を、当該一の移動体の1以上の初期寸法情報として格納部11に蓄積してもよい。
実寸法情報取得部132は、1以上の実寸法情報を取得する。実寸法情報は、前述したように、通常、一の移動体の1以上の各箇所の実寸法(例えば、全長、全幅、左右の各ドアの最大径等)を示す情報である。実寸法情報は、例えば、全長および全幅の組(全長,全幅)でもよいし、箇所識別子および最大径の組(箇所識別子,最大径)等でもよく、その形式は問わない。
実寸法情報取得部132は、例えば、1以上の距離画像センサ3が一の移動体を撮影した1以上の距離画像を用いて、当該一の移動体の1以上の実寸法情報を取得する。詳しくは、実寸法情報取得部132は、例えば、撮影された距離画像を構成する2以上の各画素(例えば、(x,y,z,輝度値)等)が有する輝度値を基に、輪郭線を検出する。なお、輪郭線の検出方法は公知であり、説明を省略する。
次に、実寸法情報取得部132は、検出した輪郭線に対応する2以上の三次元位置情報(x,y,z)を基に、2以上の角位置情報を取得する。角位置情報とは、一の移動体の2以上の各角の位置を示す情報である。取得される角位置情報は、例えば、(X1,Y1,Z1),(X2,Y2,Z2),・・・等の座標であるが、その形式は問わない。なお、角位置情報は、三次元の情報であることは好適であるが、二次元の情報でもよい(後述する変形例を参照)。
角とは、曲率が周囲よりも大きい場所である、といってもよい。角は、例えば、隅といってもよい。2以上の角は、例えば、四角形の部品の四隅(例えば、ドアの左上隅・右上隅・左下隅・右下隅等)などであってもよい。または、2以上の角は、四角形の部品の対向する2つの角(例えば、ボンネットの左上角・右下角等)であってもよい。または、角は、最も突き出た部分(例えば、先端、後端、左端、右端等)でもよい。
そして、実寸法情報取得部132は、検出した2以上の角位置情報を用いて、1以上の実寸法情報(例えば、全長,全幅,左ドアの最大径,右ドアの最大径等)を取得する。
実寸法情報取得部132は、例えば、一の移動体を、少なくとも前後左右の4面から撮影した、少なくとも4つの距離画像を用いて、1以上の実寸法情報を取得する。
具体的には、実寸法情報取得部132は、例えば、前面または後面から撮影された距離画像を基に、一の移動体における左端の角位置情報および右端の角位置情報を取得し、取得した2つの角位置情報を用いて、左端と左端の間の距離を計算することにより、全幅を示す実寸法情報を取得する。
なお、左端および右端は、例えば、距離画像を構成する2以上の各画素が有する距離情報の空間的な変化を求め、その変化が閾値より大きい位置の集合(輪郭線といってもよい)のうち、最も左の位置および最も右の位置として求めることができる。また、左端の角位置情報および右端の角位置情報は、当該最も左の位置に対応する画素の三次元位置、および当該最も右の位置に対応する画素の三次元位置として求めることができる。さらに、一の移動体の先端および後端、左右の各ドアの四隅、ボンネットやトランクリッド等の最大径も、このような輪郭線検出により取得できる。
また、実寸法情報取得部132は、例えば、左面または右面から撮影された距離画像を基に、一の移動体における先端の角位置情報および後端の角位置情報を取得し、取得した2つの角位置情報を用いて、先端と後端の間の距離を計算することにより、全長を示す実寸法情報を取得する。
また、実寸法情報取得部132は、例えば、左面から撮影された距離画像を基に、左ドアの4隅のうち対向する2つの隅(例えば、右上隅および左下隅)に対応する2つの角位置情報を取得し、当該2つの隅の間の距離を計算することにより、左ドアの最大径を示す実寸法情報を取得する。
また、実寸法情報取得部132は、例えば、右面から撮影された距離画像を基に、右ドアの4隅のうち対向する2つの隅(例えば、左上隅および右下隅)に対応する2つの角位置情報を取得し、当該2つの隅の間の距離を計算することにより、右ドアの最大径を示す実寸法情報を取得する。
さらに、実寸法情報取得部132は、例えば、前面から撮影された距離画像を用いて、ボンネットの最大径を示す実寸法情報を取得し、後面から撮影された距離画像を用いて、トランクリッドの最大径を示す実寸法情報をも取得してもよい。
なお、全長を示す実寸法情報または全幅を示す実寸法情報のうち1以上は、例えば、上面または下面から撮影された距離画像を用いて取得されてもよい。また、上面から撮影された距離画像からは、ボンネットの最大径等を示す実寸法情報も取得され得る。
また、例えば、ホイールベースに関する実測寸法情報は、例えば、左面または右面から撮影された距離画像を用いて、前輪の中心点および後輪の中心点の各々の位置情報を取得し、当該2つの位置情報を基に算出されてもよい。
また、実寸法情報取得部132は、例えば、1または2以上の各移動体ごとに、1以上の実寸法情報を取得してもよい。取得された1以上の実寸法情報は、例えば、処理部13によって、移動体識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
寸法差異情報取得部133は、寸法差異情報を取得する。寸法差異情報とは、初期寸法と実寸法との差異に関する情報である。寸法差異情報は、例えば、実寸法から初期寸法を減算した減算結果を示す情報である。減算結果は、0、または正の値、または負の値のいずれかである。なお、0は、実寸法が初期寸法と同じであることを示す。また、正の値は、実寸法が初期寸法に対してその絶対値だけ伸長していることを示し、負の値は、実寸法が初期寸法に対してその絶対値だけ短縮していることを示す。
ただし、寸法差異情報は、例えば、初期寸法から実寸法を減算した減算結果でもよい。この場合、正・負と伸長・短縮の対応は、上記と逆になる。または、寸法差異情報は、いずれかの減算結果の絶対値でもよい。
また、寸法差異情報は、上記のような減算結果等を示す情報に限らず、例えば、減算結果等を初期寸法で除算した結果を示す情報でもよい。これによって、移動体またはその各部分のサイズによらず、寸法の差異を的確に評価できる。
寸法差異情報取得部133は、例えば、初期寸法情報取得部131が取得した1以上の初期寸法情報と、実寸法情報取得部132が取得した1以上の実寸法情報と用いて、1以上の寸法差異情報を取得する。詳しくは、寸法差異情報取得部133は、一の移動体の1以上の各箇所ごとに、初期寸法情報取得部131が取得した初期寸法情報と、実寸法情報取得部132が取得した実寸法情報との差異に関する寸法差異情報を取得してもよい。
または、寸法差異情報取得部133は、例えば、一の移動体の1以上の各箇所ごとに、受付部12が受け付けた移動体情報に含まれる実寸法情報と、初期寸法情報取得部131が取得した初期寸法情報との差異に関する1以上の寸法差異情報を取得してもよい。
なお、取得された1以上の各寸法差異情報は、部分識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
寸法差異情報取得部133は、例えば、1または2以上の各移動体ごとに、1以上の寸法差異情報(以下、寸法差異情報群と記す場合がある)を取得してもよい。取得された1以上の各寸法差異情報群は、移動体識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
強度変化情報取得部134は、強度情報を取得する。強度情報とは、移動体の強度に関する情報である。強度情報は、通常、一の移動体の1以上の各部分の強度を示す情報である。部分とは、前述したように、例えば、部品、または箇所といってもよい。強度変化情報取得部134は、通常、一の移動体の1または2以上の部分に対応する1または2以上の強度情報を取得し、取得した1以上の強度情報を用いて、1または2以上の強度変化情報を取得する。
部分とは、例えば、左ドア、右ドア、ボンネット、トランクリッド等でもよい。すなわち、強度変化情報取得部134は、例えば、一の移動体の左ドアの強度を示す強度情報を取得し、取得した強度情報を用いて、当該左ドアの強度変化に関する強度変化情報を取得してもよい。同様にして、当該一の移動体の右ドア、ボンネット、およびトランクリッドの各々の強度変化情報も取得されてよい。
または、部分は、例えば、ボディーでもよい。すなわち、強度変化情報取得部134は、例えば、一の移動体のボディーの強度を示す強度情報を取得し、取得した強度情報を用いて、ボディーの強度変化に関する強度変化情報を取得する。
詳しくは、強度変化情報取得部134は、例えば、一の移動体の2以上の部分(例えば、左ドア、右ドア、ボンネット、およびトランクリッド)に対応する2以上の強度変化情報を取得し、取得した2以上の強度変化情報の代表値(例えば、平均値、中央値等)を、当該一の移動体のボディーの強度変化情報とみなしてもよい。
なお、強度変化情報が取得される1以上の部分は、例えば、実寸法情報が取得される1以上の箇所と同じであるが、異なっていてもよい。つまり、一の部品から、実寸法情報と強度情報が取得されることは好適であるが、実寸法情報と強度情報は、異なる部品から取得されても構わない。
取得される強度情報は、例えば、初期強度情報と実測強度情報の組である。初期強度情報は、例えば、部分識別子に対応付けて、予め格納部11に格納されている。または、初期強度情報は、例えば、初回のみ取得され、格納部11に蓄積され、2回目以降は格納部11から取得されてもよい。実測強度情報とは、実際に測定された強度に関する情報であり、現時点の強度といってもよい。実測強度情報は、例えば、強度センサ4から出力される強度情報である。
詳しくは、例えば、一の移動体の1以上の各部分に強度センサ4が取り付けられており、強度変化情報取得部134は、当該1以上の強度センサ4から部分識別子と対に出力される強度情報を取得する一方、格納部11から、当該1以上の部分識別子に対応する1以上の初期強度情報を取得する。そして、強度変化情報取得部134は、1以上の各部分識別子ごとに、初期強度に対する実測強度の変化を取得し、取得した変化に関する強度変化情報を取得する。
取得される変化は、例えば、実測強度を初期強度で除算した除算結果である。除算結果は、通常、1、または1より小さい値であるが、1より大きい値でもよい。例えば、除算結果が“0.9”であれば、現時点の強度は当初の強度の9割であることを示す。この場合に取得される強度変化情報は、例えば、除算結果を示す“1”や“0.9”等の数値であるが、“1未満”,“1”,“1より大”のいずれかを示す情報でもよい。
ただし、変化は、実測強度から初期強度を減算した減算結果でもよい。この場合の減算結果は、通常、0、または負の値であるが、正の値でもよい。0は、実測強度が初期強度と同じであることを示し、負の値は、実測強度が初期強度に対してその絶対値だけ低下していることを示す。または、変化は、実測強度から初期強度を減算した結果を、さらに初期強度で除算した結果(つまり、正規化された値:以下、正規価値)でもよい。この場合に取得される強度変化情報は、例えば、減算結果等を示す数値であるが、“負”,“0”,“正”のいずれかを示す情報でもよい。
なお、強度変化情報は、初期強度に対する実測強度の変化に限らず、例えば、N回(Nは自然数)前の実測強度に対する、今回の実測強度の変化または変化率でもよい。または、強度変化情報は、同じ車種かつ同じ年式の他の1以上の移動体の実測強度の代表値に対する、当該一の移動体の実測強度の変化でもよく、強度変化情報の種類は問わない。
強度変化情報取得部134は、例えば、一の移動体の1以上の各箇所ごとに、強度変化情報を取得する。取得された1以上の各強度変化情報は、部分識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
強度変化情報取得部134は、例えば、1または2以上の各移動体ごとに、1以上の強度変化情報(以下、強度変化情報群と記す場合がある)を取得してもよい。取得された1以上の各強度変化情報群は、移動体識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
評価部135は、一の移動体の評価に関する評価情報を取得する。評価とは、移動体の価値を見積もることである、といってもよい。評価情報とは、一の移動体に対する評価を示す情報である。評価は、例えば、寸法差異情報に基づく評価であるが、強度変化情報に基づく評価でもよい。評価は、例えば、寸法差異情報と強度変化情報とに基づく評価であることは好適である。
すなわち、評価情報は、例えば、寸法に関する評価を有する。また、評価情報は、強度に関する評価をも有することは好適であり、さらに、その他の特性に関する評価をも有することは、より好適である。その他の特性とは、例えば、反射率、色などである。反射率とは、表面の滑らかさといってもよい。反射率は、例えば、距離画像センサ3が撮影した距離画像を構成する2以上の各画素が有する輝度値を基に取得できる。また、色は、各画素が有するRGB等の画素値を基に取得できる。
その他の特性は、例えば、距離画像センサ3または強度センサ4からの出力を基に取得可能な特性であれば何でもよい。さらに、その他の特性は、例えば、情報システムが有有する図示しないその他のセンサの出力を基に取得可能な特性であってもよく、その種類は問わない。なお、かかる事項は、後述する部分評価情報、後述する全体評価情報にも当てはまる。
評価情報は、例えば、“3”,“2”,“1”等の整数値であるが、かかる整数値に対応する“A”,“B”,“C”等の文字でもよい。または、評価情報は、例えば、“2.5”や“1.9”といった、小数部も有する数値でもよいし、“B+”や“AA-”といった、2以上の文字や記号の配列などでもよい。または、評価情報は、例えば、寸法情報や強度情報でもよいし、“美品”等の用語や“事故痕跡はありません”等の文章などでもよく、その表現形式は問わない。なお、かかる事項は、後述する部分評価情報、後述する全体評価情報にも当てはまる。
評価情報は、例えば、1以上の部分評価情報を有していてもよい。部分評価情報とは、一の移動体の1以上の各部分ごとの評価を示す情報である。部分評価情報は、例えば、寸法に関する評価を有する。また、部分評価情報は、寸法以外の特性に関する評価をも有していてもよい。寸法以外の特性とは、例えば、上述した強度であるが、反射率、色などでもよく、その種類は問わない。なお、反射率は、例えば、距離画像を構成する2以上の各画素が有する輝度値を基に取得できる。また、色は、各画素が有するRGB等の画素値を基に取得できる。
なお、評価情報は、例えば、全体評価情報をも有していてもよい。全体評価情報とは、一の移動体の全体的な評価を示す情報である。評価部135は、全体評価情報を、通常、1以上の部分評価情報を用いて取得する。評価部135は、例えば、1以上の部分評価情報の代表値を取得し、取得した代表値を示す全体評価情報を取得してもよい。ただし、全体評価情報の取得に用いられない部分評価情報があってもよい。また、全体評価情報も、寸法や強度等の特性ごとの評価値を有していてもよい。さらに、全体評価情報は、特性ごとの評価値に基づく総合的な評価値をも有していてもよい。総合的な評価値は、例えば、特性ごとの評価値の代表値でもよい。
なお、評価情報は、例えば、1以上の部分評価情報を有さず、全体評価情報のみを有していてもよい。全体評価情報は、単に評価情報と呼んでもよい。
評価部135は、かかる評価情報を、例えば、1以上の寸法差異情報を基に取得するが、1以上の寸法差異情報と1以上の強度変化情報とを基に取得してもよい。ただし、評価情報の取得に用いられない寸法差異情報があってもよい。また、評価情報の取得に用いられない強度変化情報もあって構わない。
評価部135は、例えば、一の移動体の1または2以上の部分に対して寸法差異情報取得部133が取得した1以上の寸法差異情報を用いて、当該一の移動体に対する評価情報を取得する。詳しくは、評価部135は、例えば、1以上の寸法差異情報の代表値を取得し、寸法差異情報をパラメータとする関数に、その代表値を代入することより、評価情報を算出してもよい。なお、例えば、各寸法差異情報が絶対値である場合、関数は、減少関数であることは好適である。また、各寸法差異情報が負の値をとり得る場合は、各寸法差異情報の絶対値(または二乗)をパラメータとする減少関数により、評価情報を算出してもよい。
または、例えば、格納部11に、寸法差異情報と評価値との対の集合である第一対応情報が格納されており、評価部135は、取得した代表値をキーとして第一対応情報を検索し、当該代表値に一致する又は最も近い寸法差異情報と対になる評価値を取得してもよい。
または、評価部135は、例えば、1以上の各寸法差異情報を関数に代入することより部分評価値を算出し、算出した1以上の部分評価値を有する評価情報を取得してもよい。なお、各寸法差異情報が代入される関数は、通常、異なる。ただし、例えば、寸法差異情報が、実寸法から初期寸法を減算した結果をさらに初期寸法で除算した正規化値である場合には、各寸法差異情報は、同じ関数に代入されてもよい。
または、評価部135は、例えば、一の移動体の1以上の箇所に対して寸法差異情報取得部133が取得した1以上の寸法差異情報と、当該一の移動体の1以上の部分に対して強度変化情報取得部134が取得した1以上の強度変化情報とを用いて、当該一の移動体に対する評価情報を取得してもよい。
詳しくは、評価部135は、例えば、1以上の寸法差異情報の代表値を取得し、1以上の強度変化情報の代表値をも取得し、寸法差異情報と強度変化情報をパラメータとする関数に、それら2つの代表値を代入することより、評価情報を算出してもよい。
または、例えば、格納部11に、寸法差異情報および強度変化情報の組(以下、組情報)と評価値との対の集合である第二対応情報が格納されており、評価部135は、取得した2つの代表値の組をキーとして第二対応情報を検索し、当該2つの代表値の組に一致する又は最も近い組情報と対になる評価値を取得してもよい。
または、評価部135は、例えば、1以上の各組情報を関数に代入することより部分評価値を算出し、算出した1以上の部分評価値を有する評価情報を取得してもよい。なお、上記と同様、各組情報が代入される関数は、通常、異なるが、各組情報が正規化値である場合には、各組情報は、同じ関数に代入されてもよい。なお、取得された評価値は、例えば、移動体識別子に対応付けて格納部11に蓄積されてもよい。
なお、評価部135は、2以上の特性評価情報を含む評価情報を取得してもよい。特性評価情報とは、移動体の特性に関する評価を示す情報である。特性は、例えば、寸法であるが、強度でもよいし、反射率、色等でもよく、移動体の特性であれば何でもよい。
評価部135は、寸法評価情報を含む2以上の特性評価情報を取得することは好適である。寸法評価情報とは、寸法に関する評価を示す情報である。また、評価部135は、寸法評価情報および強度評価情報を含む2以上の特性評価情報を取得することは、より好適である。強度評価情報とは、強度に関する評価を示す情報である。
詳しくは、評価部135は、例えば、寸法差異情報取得部133が取得した1または2以上の寸法差異情報を用いて、1または2以上の寸法評価情報を取得し、さらに、強度変化情報取得部134が取得した1または2以上の強度変化情報を用いて、1または2以上の強度評価情報を取得し、そして、取得した1または2以上の寸法評価情報と、取得した1または2以上の強度評価情報とを有する評価情報を取得してもよい。
なお、例えば、処理部13が、1または2以上の各部分ごとに、前述した反射率の変化情報、前述した色の変化情報などをも取得し、評価部135は、反射率に関する評価を示す1または2以上の反射率評価情報、色に関する評価を示す1または2以上の色評価情報などをも取得し、取得した1または2以上の反射率評価情報、取得した1または2以上の色評価情報などをも有する評価情報を取得してもよい。
図構成部136は、1または2以上の図を構成する。図とは、例えば、寸法差異表出図である。寸法差異表出図とは、初期の寸法と実寸法とに差がある箇所が移動体図の上で認識可能な図である。差がある箇所とは、例えば、差が閾値以上又は閾値より大きい箇所である。
図構成部136は、例えば、一の移動体に対し、寸法差異情報取得部133が取得した1以上の各箇所の寸法差異情報が閾値より大または閾値以上であるか否かを判別する。そして、図構成部136は、移動体図格納部111から当該一の移動体の移動体図を取得する一方、閾値より大または閾値以上であると判別した1以上の各箇所の寸法差異情報を取得して、取得した1以上の寸法差異情報を、取得した移動体図の対応する箇所に配置することにより、寸法差が大きい箇所が移動体図上に明示された寸法差異表出図を構成する。対応する箇所とは、取得された1以上の各寸法差異情報に対応付いた箇所識別子で識別される箇所である。
または、例えば、移動体図格納部111に、上記一の移動体を含む2種類以上の移動体に対応する2以上の移動体図が格納されており、図構成部136は、例えば、1または2以上の移動体の種類ごとに、上記と同様にして、初期寸法と実寸法とに差がある1以上の各箇所の寸法差異情報を取得する一方、当該種類に対応する移動体図を取得し、取得した1以上の各箇所の寸法差異情報を、取得した移動体図の対応する箇所に配置することにより、1または2種類以上の移動体に対応する1または2以上の寸法差異表出図を構成してもよい。
図構成部136は、例えば、受付部12が移動体情報を受け付け、寸法差異情報取得部133が寸法差異情報を取得したことに応じて、寸法差異表出図を構成する。または、図構成部136は、受付部12が寸法差異表出図の出力指示を受け付けた場合に、寸法差異表出図を構成してもよい。寸法差異表出図の出力指示は、例えば、移動体情報と共に受け付けられるが、移動体情報の受け付け後に受け付けられてもよいし、移動体情報の受け付け前に受け付けられていてもよく、その受け付けのタイミングは問わない。
このように、寸法差異情報取得部133が寸法差異情報を取得した後であれば、図構成部136は、取得された寸法差異情報を利用した法差異表出図を、どのタイミングで構成しても構わない。
出力部14は、各種の情報を出力する。各種の情報とは、例えば、評価情報、寸法差異表出図などである。出力部14は、評価情報等の情報を、例えば、受付部12が受信した移動体情報の送信元である端末装置2に送信する。
ただし、評価情報等の情報は、例えば、ディスプレイに表示されたり、プリンタでプリントアウトされたり、記録媒体に蓄積されたり、他のプログラムに引き渡されたりしてもよく、その出力の態様は問わない。なお、かかる事項は、評価情報出力部141、および図出力部142にも共通する。
評価情報出力部141は、評価部135が取得した評価情報を出力する。例えば、受付部12がキーボード等の入力デバイスを介して移動体情報を受け付けた場合、評価情報出力部141は、取得された評価情報をディスプレイ等の出力デバイスを介して出力する。
または、受付部12が、端末装置2から移動体情報を受信した場合、評価情報出力部141は、取得された評価情報を、当該端末装置2に送信する。詳しくは、受付部12が、移動体情報を端末識別子と対に受信した場合、評価情報出力部141は、取得された評価情報を、受信された端末識別子で識別される端末装置2に送信する。
なお、評価情報出力部141は、通常、評価部135が評価情報を取得したことに応じて、その取得された評価情報を出力する。ただし、評価情報は、例えば、受付部12が評価情報の出力指示を受け付けたことに応じて出力されてもよく、その出力のトリガやタイミングは問わない。
図出力部142は、図構成部136が構成した寸法差異表出図を出力する。例えば、受付部12がキーボード等の入力デバイスを介して移動体情報または寸法差異表出図の出力指示を受け付けた場合、図出力部142は、構成された寸法差異表出図をディスプレイ等の出力デバイスを介して出力する。
または、受付部12が、端末装置2から移動体情報または寸法差異表出図の出力指示を受信した場合、図出力部142は、構成された寸法差異表出図を、当該端末装置2に送信する。詳しくは、受付部12が、移動体情報または寸法差異表出図の出力指示を端末識別子と対に受信した場合、図出力部142は、構成された寸法差異表出図を、受信された端末識別子で識別される端末装置2に送信する。
なお、図出力部142は、通常、図構成部136が寸法差異表出図を構成したしたことに応じて、その構成された評価情報を出力する。ただし、評価情報は、例えば、受付部12が評価情報の出力指示を受け付けたことに応じて出力されてもよく、その出力のトリガやタイミングは問わない。
端末装置2を構成する端末格納部21は、各種の情報を格納し得る。各種の情報とは、例えば、端末識別子である。
端末受付部22は、各種の情報や指示を受け付ける。各種の情報とは、例えば、移動体情報や、寸法差異表出図の出力指示などである。
端末送信部23は、各種の情報を送信する。端末送信部23は、例えば、端末受付部22が受け付けた移動体情報等の情報を、端末格納部21に格納されている端末識別子と対に、移動体評価装置1に送信する。
端末受信部24は、各種の情報を受信する。各種の情報とは、例えば、評価情報、寸法差異表出図などである。
端末処理部25は、各種の処理を行う。各種の処理とは、例えば、受け付けられた情報の形式を、送信される情報の形式に変換する処理などである。
端末出力部26は、各種の情報を出力する。各種の情報とは、例えば、評価情報、寸法差異表出図などである。端末出力部26は、評価情報等の情報を、通常、ディスプレイに表示するが、例えば、プリンタでプリントアウトしたり、記録媒体に蓄積したり、他のプログラムに引き渡したりしてもよいし、他の装置に送信しても構わない。
格納部11、移動体図格納部111、および端末格納部21は、例えば、ハードディスクやフラッシュメモリといった不揮発性の記録媒体が好適であるが、RAMなど揮発性の記録媒体でも実現可能である。
格納部11等に情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して情報が格納部11等で記憶されるようになってもよく、ネットワークや通信回線等を介して送信された情報が格納部11等で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された情報が格納部11等で記憶されるようになってもよい。入力デバイスは、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等、何でもよい。
受付部12、および端末受付部22は、入力デバイスを含むと考えても、含まないと考えてもよい。受付部12等は、入力デバイスのドライバーソフトによって、または入力デバイスとそのドライバーソフトとで実現され得る。
処理部13、初期寸法情報取得部131、実寸法情報取得部132、寸法差異情報取得部133、強度変化情報取得部134、評価部135、図構成部136、および端末処理部25は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。処理部13等の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。ただし、処理手順は、ハードウェア(専用回路)で実現してもよい。
出力部14、評価情報出力部141、図出力部142、および端末出力部26は、ディスプレイやスピーカ等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えてもよい。出力部14等は、出力デバイスのドライバーソフトによって、または出力デバイスとそのドライバーソフトとで実現され得る。
端末送信部23、および出力部14等の送信機能は、通常、有線または無線の通信手段(例えば、NIC(Network interface controller)やモデム等の通信モジュール)で実現されるが、放送手段(例えば、放送モジュール)で実現されてもよい。
端末受信部24、および受付部12等の受信機能は、通常、有線または無線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段(例えば、放送受信モジュール)で実現されてもよい。
次に、情報システムの動作について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、このフローチャートは、一の移動体について評価を行う場合の処理である。2以上の移動体について評価を行う場合は、同様の処理が、2以上の各移動体ごとに実行される。
(ステップS301)処理部13は、受付部12が移動体情報を受け付けたか否かを判別する。
なお、このフローチャートにおいて、受け付けとは、通常、キーボード等の入力デバイスを介して入力された情報の受け付けであるが、端末装置2からの受信等でもよい。端末装置2からの受信である場合、移動体情報等の情報は、通常、端末識別子と対に受信される。また、受け付けられる移動体情報は、実寸法情報取得部132が取得した1以上の実寸法情報と、強度変化情報取得部134が取得した1以上の強度変化情報とを取得する。
受付部12が移動体情報を受け付けたと判別された場合はステップS302に進み、受け付けていないと判別された場合はステップS308に進む。
(ステップS302)初期寸法情報取得部131は、1以上の初期寸法情報を、例えば、一の移動体のメーカー等のサーバから取得する。
(ステップS303)寸法差異情報取得部133は、ステップS301で受け付けられた移動体情報が有する1以上の実寸法情報と、ステップS302で取得された1以上の初期寸法情報と用いて、1以上の寸法差異情報を取得する。
(ステップS304)評価部135は、ステップS303で取得された1以上の寸法差異情報と、ステップS301で受け付けられた移動体情報が有する1以上の強度変化情報とを用いて、一の移動体の評価を行い、評価情報を取得する。
なお、取得される評価情報は、1以上の部分評価情報を含んでいてもよい。また、1以上の各部分評価情報は、寸法特性評価情報と強度特性評価情報とを含んでいてもよい。
(ステップS305)評価情報出力部141は、ステップS305で取得された評価情報を出力する。その後、ステップS301に戻る。
なお、このフローチャートにおいて、出力とは、通常、ディスプレイ等の出力デバイスを介した出力であるが、端末装置2への送信でもよい。後者の場合、移動体情報等の情報は、通常、ステップS301で移動体情報と対に受け付けられた端末識別子で識別される端末装置2に送信される。
(ステップS306)処理部13は、寸法差異表出図を出力するか否かを判断する。例えば、ステップS303で1以上の寸法差異情報が取得されたことに応じて、処理部13は、寸法差異表出図を出力すると判断する。または、受付部12が寸法差異表出図の出力指示を受け付けたことに応じて、処理部13は、寸法差異表出図を出力すると判断してもよい。
寸法差異表出図を出力すると判断された場合はステップS307に進み、出力しないと判断された場合はステップS301に戻る。
(ステップS307)図構成部136は、ステップS303で取得された1以上の寸法差異情報と、移動体図格納部111に格納されている移動体図とを用いて、寸法差異表出図を構成する。
(ステップS308)図出力部142は、ステップS303で構成された寸法差異表出図を出力する。すのと、ステップS301に戻る。
なお、図3のフローチャートにおいて、ステップS304の評価は、寸法および強度に関して行われているが、例えば、寸法のみに関してのみ行われてもよい。または、強度に代えて又はこれに加えて、反射率や色といった、その他の特性に関しても、評価が行われてもよい。
また、図3のフローチャートにおいて、移動体評価装置1の電源オンやプログラムの起動に応じて処理が開始し、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。ただし、処理の開始または終了のトリガは問わない。
以下、本実施の形態における情報システムの具体的な動作例について説明する。なお、以下の説明は、種々の変更が可能であり、本発明の範囲を何ら制限するものではない。情報システムの概念図は図1である。
本例における情報システムは、移動体評価装置1、4つの距離画像センサ3、および4つの強度センサ4を備える。移動体評価装置1は、移動体の検査を行う検査者の検査室に設置されているPCである。対象となる移動体(以下、移動体Xと記す場合がある)は、セダンである。
なお、本例における部分は、ボディー、左ドア、および右ドアである。また、本例におけるボディーの寸法は、ボディーの全長および全幅である。さらに、本例におけるボディーの強度は、左ドアの強度、右ドアの強度、ボンネットの強度、およびトランクリッドの強度の代表値である。
移動体評価装置1の移動体図格納部111には、移動体Xに対応するセダン型の移動体図が予め格納されている。
格納部11には、例えば、図4に示すような移動体管理情報が格納され得る。図4は、移動体管理情報のデータ構造図である。移動体管理情報は、移動体識別子(例えば、“X”)、1または2以上の部分情報、および全体評価情報(例えば、“寸法B,強度A,総合B+”)を有する。
部分情報とは、一の移動体の1または2以上の各部分に関する情報である。部分情報は、例えば、部分識別子、実寸法情報、初期寸法情報、寸法差異情報、強度変化情報、および部分評価情報を有する。なお、実寸法情報、および強度変化情報は、前述した移動体情報の要素である。1以上の各部分情報は、ID(例えば、“1”,“2”等)に対応付いている。
例えば、ID“1”に対応する部分情報(以下、部分情報1と記す場合がある)は、部分識別子“ボディー”、実寸法情報“(全長3895,全幅1700)”、初期寸法情報“(初期全長3900,初期全幅1700)”、寸法差異情報“(全長差異-5,全幅差異0)”、強度変化情報“強度比0.98”および部分評価情報“(寸法評価2,強度評価3)”を有する。
また、ID“2”に対応する部分情報(部分情報2)は、部分識別子“左ドア”、実寸法情報“最大径1204”、初期寸法情報“初期最大径1200”、寸法差異情報“最大径差異+4”、強度変化情報“強度比0.95”および部分評価情報“(寸法評価2,強度評価2)”を有する。
同様に、部分情報3は、部分識別子“右ドア”、実寸法情報“最大径1200”、初期寸法情報“初期最大径1200”、寸法差異情報“最大径差異0”、強度変化情報“強度比1”および部分評価情報“(寸法評価3,強度評価3)”を有する。
いま、検査室において、移動体Xの検査が行われようとしている。この時点で、格納部11には、未だ移動体管理情報は格納されていない。最初、移動体Xを識別する移動体識別子“X”が、キーボード等の入力デバイスを介して入力される。
移動体評価装置1において、受付部12が、入力された移動体識別子を受け付け、処理部13は、受け付けられた移動体識別子を、ID“1”に対応付けて、格納部11に蓄積する。これによって、格納部11に、移動体識別子“X”を有する移動体管理情報が格納される。
なお、この時点の移動体管理情報において、移動体識別子以外の要素は、全て“Null”である。Nullとは、その要素が存在していないことを示す情報である。例えば、評価情報は“(Null,Null,Null)”である。
次に、4つの距離画像センサ3が、移動体の前後左右に配置され、これら4つの距離画像センサ3から、移動体の前面、後面、左側面、および右側面を撮影した4つの距離画像(以下、前面距離画像、後面距離画像、左側面距離画像、および右側面距離画像と記す場合がある)が出力される。
移動体評価装置1において、受付部12が上記4つの距離画像を受け付け、実寸法情報取得部132は、受け付けられた4つの距離画像を基に、4つの実寸法情報を取得する。なお、距離画像から各種の実測値を取得する方法については、前述したので繰り返さない。ここでは、例えば、左側面距離画像から“全長3895”が、前面距離画像から“全幅1700”が、左側面距離画像から“左ドアの最大径1204”が、左側面距離画像から“右ドアの最大径1200”が取得されたとする。
処理部13は、取得された4つの実測値のうち、“全長3895”および“全幅1700”を用いて、部分識別子“ボディー”、実寸法情報“(全長3895,全幅1700)”、初期寸法情報“(Null,Null)”、寸法差異情報“(Null,Null)”、強度変化情報“Null”および部分評価情報“(Null,Null)”を有する部分評価情報を構成する。
また、処理部13は、“左ドアの最大径1204”を用いて、部分識別子“左ドア”、実寸法情報“最大径1204”、初期寸法情報“Null”、寸法差異情報“Null”、強度変化情報“Null”および部分評価情報“(Null,Null)”を有する部分評価情報を構成する。さらに、処理部13は、“右ドアの最大径1200”を用いて、部分識別子“右ドア”、実寸法情報“最大径1200”、初期寸法情報“Null”、寸法差異情報“Null”、強度変化情報“Null”および部分評価情報“(Null,Null)”を有する部分評価情報を構成する。
そして、処理部13は、取得した上記3つの部分評価情報をID“1”,“2”,“3”に対応付けて蓄積する。これにより、移動体管理情報に、3つの部分情報1~3が追記される。
次に、初期寸法情報取得部131は、メーカーのサーバから、4つの初期寸法情報を取得する。本例では、“初期全長3900”、“初期全幅1700”、“左ドアの初期最大径1200”、“右ドアの初期最大径1200”が取得されたとする。なお、左右のドアについては、例えば、縦横を取得し、縦横から計算される対角線長を最大径と考えてもよい。
処理部13は、取得された4つの初期値のうち、“初期全長3900”および“初期全幅1700”を用いて、評価情報1が有する初期寸法情報“(Null,Null)”を“(初期全長3900,初期全幅1700)”に更新する。また、“左ドアの初期最大径1200”を用いて、評価情報2が有する初期寸法情報“Null”を初期最大径1200”に更新する。さらに、“右ドアの初期最大径1200”を用いて、評価情報3が有する初期寸法情報“Null”を初期最大径1200”に更新する。
次に、寸法差異情報取得部133は、評価情報1に関し、実寸法情報“(全長3895,全幅1700)”から初期寸法情報(初期全長3900,初期全幅1700)”を減算し、その減算結果を基に、寸法差異情報“(Null,Null)”を“(全長差異-5,全幅差異0)”に更新する。また、評価情報2に関し、実寸法情報“(最大径1204)”から初期寸法情報(初期最大径1200)”を減算し、その減算結果を基に、寸法差異情報“Null”を“最大径差異+4”に更新する。さらに、評価情報3に関し、実寸法情報“(最大径1200)”から初期寸法情報(初期最大径1200)”を減算し、その減算結果を基に、寸法差異情報“Null”を“最大径差異0”に更新する。
次に、評価部135は、評価情報1に関し、寸法差異情報“(全長差異-5,全幅差異0”を基に、寸法に関する評価値を取得する。なお、寸法差異情報を基に寸法に関する評価値を取得する方法につては、前述したので繰り返さない。ここでは、“寸法評価2”が取得されたとする。処理部13は、部分評価情報“(Null,Null)”を“(寸法評価2,Null)”に更新する。
また、評価情報2に関して、“寸法評価値2”が取得され、部分評価情報“(Null,Null)”は“(寸法評価2,Null)”に更新される。さらに、評価情報3に関して、“寸法評価値3”が取得され、部分評価情報“(Null,Null)”は“(寸法評価3,Null)”に更新される。以上で、各部分の寸法に関する評価は完了する。
次に、強度に関する評価を行うべく、4つの強度センサ4が、ボンネット、トランクリッド、左ドア、および右ドアに取り付けられる。移動体は、施設内のテストベンチに乗せられ、テストベンチ上でテスト走行する。4つの強度センサ4からは、ボンネットの実測強度情報、トランクリッドの実測強度情報、左ドアの実測強度情報、および右ドアの実測強度情報が出力される。
移動体評価装置1において、格納部11には、ボンネットの初期強度情報、トランクリッドの初期強度情報、左ドアの初期強度情報、および右ドアの初期強度情報初期強度情報が予め格納されている。強度変化情報取得部134は、4つの強度センサ4からの4つの実測強度情報と、格納されている4つの初期強度情報とを基に、上記3部分の強度変化を算出する。本例では、ボンネットの強度変化情報“1”、トランクリッドの強度変化情報“1”、左ドア強度変化情報“0.92”、および右ドア強度変化情報“1”が取得されたとする。
次に、強度変化情報取得部134は、上記4つの強度変化情報の代表値(本例では、平均値0.98)を取得し、その代表値を、ボディーの強度変化情報“強度比0.98”とする。処理部13は、部分情報1が有する強度変化情報“Null”を“0.98”に更新し、部分情報2が有する強度変化情報“Null”を“0.92”に更新し、部分情報3が有する強度変化情報“Null”を“1”に更新する。
次に、評価部135は、評価情報1に関し、強度変化情報“0.98”を基に、強度に関する評価値を取得する。なお、強度変化情報を基に強度に関する評価値を取得する方法につては、前述したので繰り返さない。ここでは、“強度評価2”が取得されたとする。同様に、評価情報2に関し、“強度評価2”が取得され、評価情報3に関し、“強度評価3”が取得されたとする。
処理部13は、部分情報1が有する部分評価情報“(寸法評価2,Null)”を“(寸法評価2,強度評価3)”に更新し、評価情報2が有する部分評価情報“(寸法評価2,Null)”を“(寸法評価2,強度評価2)”に更新し、評価情報3が有する部分評価情報“(寸法評価3,Null)”を“(寸法評価3,強度評価3)”に更新する。以上で、各部分の強度に関する評価は完了する。
次に、評価部135は、部分情報1が有する部分評価情報“(寸法評価2,強度評価3)”、部分情報2が有する部分評価情報“(寸法評価2,強度評価2)”、および部分情報3が有する部分評価情報“(寸法評価3,強度評価3)”を用いて、まず、3つの寸法評価(2,2,3)から代表値(ここでは、モード“2”)を取得し、これに対応する評価情報“寸法B”を取得する。また、評価部135は、3つの強度評価(2,3,3)から代表値“3”を取得し、これに対応する評価情報“強度A”を取得する。さらに、評価部135は、“寸法B”および“強度A”を基に、“全外B+”を取得する。
処理部13は、評価情報“(Null,Null,Null)”を“(寸法B,強度A,総合B+)”に更新する。以上で、図4に示したような移動体管理情報が完成する。
評価情報出力部141は、上記移動体管理情報を用いて、出力用の評価情報を構成し、ディスプレイ等の出力デバイスを介して出力する。これにより、ディスプレイには、例えば、図5に示すような評価情報が表示される。この評価情報は、“ボディー評価:寸法2,強度3”、“左ドア評価:寸法2,強度2”,および“右ドア評価:寸法3,強度3”と、“全体評価:寸法B,強度A,総合B+”とを含む。
図構成部136は、上記移動体管理情報と、格納されている移動体図とを用いて、寸法評価が“2”以下である箇所が表出された寸法差異表出図を構成し、図出力部142は、構成された寸法差異表出図をディスプレイを介して出力する。これにより、ディスプレイには、例えば、図6に示すような寸法差異表出図が表示される。この寸法差異表出図では、ボディーの全長に対応する寸法線が太線で強調表示され、また、左ドアがハッチングで強調表示されている。
(変形例1)なお、実施の形態では、距離画像センサ3で、移動体の距離画像を撮影したが、測距までは行わず、例えば、移動体にレーザーを照射して、移動体のシルエットを撮影してもよい。
詳しくは、実寸法情報取得部132は、例えば、一の移動体を挟んで対応する位置に配置され、当該一の移動体に対して前後左右に変位可能な、発光素子列および受光素子列によって、当該一の移動体の1または2以上のシルエットを撮影(例えば、ラスタスキャン)してもよい。発光素子列とは、レーザーを発する1または2以上の発光素子の配列である。受光素子列とは、レーザーを受光する1または2以上の受光素子の配列である。
実寸法情報取得部132は、例えば、発光素子列および受光素子列を、一の移動体に対して、左右に配置し、前後に変位させることによって、移動体の左面または右面からのシルエットを撮影し、当該シルエットの先端および後端の間の水平方向の距離を算出することにより、移動体の全長を取得してもよい。または、例えば、発光素子列および受光素子列を、移動体に対して前から後(または後から前)に一定の速度vで変位させつつ、発光素子列からの光の受光素子列による受光の状態が、受光状態から非受光状態に変化した時(つまり、受光素子列から発光素子列が見えなくなった時点)から、非受光状態から受光状態に変化した時(つまり、受光素子列から発光素子列が再び見えるようになった時点)までの時間t1を取得し、速度vと時間t1を乗算することによっても、移動体の全長を求めることができる。なお、発光素子列および受光素子列は固定され、移動体を移動させてもよいことは言うまでもない。
これに加えて又はこれに代えて、実寸法情報取得部132は、発光素子列および受光素子列を、一の移動体に対して、前後に配置し、左右に変位させることによって、移動体の前面または後面からのシルエットを撮影し、当該シルエットの左端および右端の間の水平方向の距離を算出することにより、移動体の全幅を取得してもよい。なお、例えば、発光素子列および受光素子列を、移動体に対して左から右(または右から左)に一定の速度vで移動させつつ、発光素子列からの光の受光素子列による受光状態が、受光状態から非受光状態に変化した時から、非受光状態から受光状態に変化した時までの時間t2を取得し、速度vと時間t2を乗算することによっても、移動体の全幅を求めることができる。
(変形例2)または、レーザー照射によらず、例えば、通常のイメージセンサ(例えば、スチルカメラ、ビデオカメラ、携帯端末の内蔵カメラ等のカメラ)で、1または2以上の二次元画像を撮影し、二次元画像の解析(例えば、輪郭線検出、角位置情報の取得など)により、実寸法情報を取得してもよく、その取得方法は問わない。
詳しくは、実寸法情報取得部132は、例えば、1または2以上のイメージセンサで、一の移動体を前後左右のうち1以上の面から撮影し、撮影した1以上の画像を用いて、輪郭線検出等を行い、一の画像内における輪郭線で囲まれた領域のサイズ、イメージセンサから移動体までの距離等の情報を用いて、2以上の二次元の角位置情報(例えば、(X1,Y1),(X2,Y2),・・・等)を取得してもよい。
ただし、実寸法情報取得部132は、例えば、一の移動体を異なる角度で撮影した2以上の画像から、画像間の視差等を利用して、各画素の三次元位置情報を取得することにより、三次元の角位置情報を取得してもよい。なお、視差を利用した三次元位置情報の取得は公知技術であり、説明を省略する。
以上、本実施の形態によれば、移動体評価装置1は、一の移動体の1以上の各箇所の実寸法である1以上の実寸法情報を含む移動体情報を受け付け、一の移動体の1以上の各箇所の初期の寸法である1以上の初期寸法情報を取得し、一の移動体の1以上の各箇所ごとに、受け付けた移動体情報に含まれる実寸法情報と、取得した初期寸法情報との差異に関する1以上の寸法差異情報を取得し、取得した1以上の寸法差異情報を用いて、一の移動体に対する評価を示す評価情報を取得し、取得した評価情報を出力することにより、移動体の寸法の変化を基に、移動体を的確に評価できる。例えば、事故車は、寸法が変化している可能性が高いため、事故車である可能性を加味した的確な評価ができる。
また、移動体情報は、1以上の実寸法情報と、一の移動体のボディーの強度の変化に関する強度変化情報とを有し、移動体評価装置1は、1以上の寸法差異情報と強度変化情報とを用いて、一の移動体に対する評価を示す評価情報を取得することにより、移動体の寸法の変化とボディー強度の変化とを基に、移動体をより的確に評価できる。例えば、寸法が変化し、かつボディー強度が低下している移動体については評価を下げる一方、寸法が変化していても、ボディー強度が低下していない移動体については評価を下げないことで、事故車である可能性を加味した評価ができる。
また、移動体評価装置1は、一の移動体の1以上の各箇所の実寸法である1以上の実寸法情報を取得し、取得した1以上の実寸法情報を含む移動体情報を取得することにより、実寸法情報の入力の手間が省けるので、簡単に評価が行える。
また、移動体評価装置1は、一の移動体の2以上の角の位置を示す2以上の角位置情報を取得し、2以上の角位置情報を用いて、1以上の各箇所の実寸法である1以上の実寸法情報を取得することにより、実寸法情報を効率的に取得できる。
また、1以上の箇所は、ボディー、ドア、ボンネット、トランクリッドのうち1以上を含むことにより、移動体評価装置1は、事故等で寸法が変化し易い箇所の実寸法情報を取得できる。
また、移動体評価装置1は、一の移動体にレーザーを照射することにより、1以上の実寸法情報を取得することにより、精度の高い実寸法情報を取得できる。
また、移動体評価装置1は、一の移動体を撮影した1以上の距離画像を用いて、1以上の実寸法情報を取得することにより、三次元の実寸法情報を取得できる。特に、一の移動体にレーザーを照射して当該移動体を撮影した1以上の距離画像を用いて、1以上の実寸法情報を取得することにより、精度の高い三次元の実寸法情報を取得できる。
また、移動体評価装置1は、一の移動体を、少なくとも前後左右の4面から撮影した、少なくとも4つの距離画像を用いて、1以上の実寸法情報を取得することにより、三次元の実寸法情報を効率的に取得できる。
また、移動体評価装置1は、一の移動体の1以上の部分の強度を示す強度情報を取得し、強度情報を用いて1以上の強度変化情報を取得し、取得した1以上の強度変化情報を含む移動体情報を取得することにより、強度変化情報の入力の手間が省けるので、簡単に評価が行える。
また、移動体図格納部111に、一の移動体に関する図である移動体図が格納されており、移動体評価装置1は、取得した1以上の各箇所の寸法差異情報を用いて、初期の寸法と実寸法とに差がある箇所が移動体図の上で認識可能な図である寸法差異表出図を構成し、構成した寸法差異表出図を出力することにより、移動体における寸法が変化した箇所の直感的な認識を支援できる。
また、移動体の種類ごとに移動体図が格納されており、移動体評価装置1は、取得した1以上の各箇所の寸法差異情報を用いて、初期の寸法と実寸法とに差がある箇所が一の移動体の種類に対応する移動体図の上で認識可能な図である寸法差異表出図を構成することにより、各種の移動体における寸法変化箇所の直感的な認識を支援できる。
また、移動体評価装置1は、取得した2以上の寸法差異情報を用いて、一の移動体の部分ごとの評価を示す2以上の部分評価情報を有する評価情報を取得することにより、移動体を2以上の各部分ごとに評価できる。
また、移動体評価装置1は、取得した1以上の寸法差異情報を用いて、寸法に関する評価を示す寸法特性評価情報を含む2以上の特性ごとの評価を有する評価情報を取得することにより、移動体を2以上の各特性ごとに評価できる。
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現してもよい。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布してもよい。また、このソフトウェアをCD-ROMなどの記録媒体に記録して流布してもよい。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。
なお、本実施の形態における情報処理装置を実現するソフトウェアは、例えば、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、コンピュータを、一の移動体の1以上の各箇所の実寸法である1以上の実寸法情報を含む移動体情報を受け付ける受付部12と、前記一の移動体の1以上の各箇所の初期の寸法である1以上の初期寸法情報を取得する初期寸法情報取得部131と、前記一の移動体の1以上の各箇所ごとに、前記受付部12が受け付けた移動体情報に含まれる実寸法情報と、前記初期寸法情報取得部131が取得した初期寸法情報との差異に関する1以上の寸法差異情報を取得する寸法差異情報取得部133と、前記寸法差異情報取得部133が取得した1以上の寸法差異情報を用いて、前記一の移動体に対する評価を示す評価情報を取得する評価部135と、前記評価部135が取得した評価情報を出力する評価情報出力部141として機能させるためのプログラムである。
図7は、本実施の形態におけるプログラムを実行して、移動体評価装置1または端末装置2を実現するコンピュータシステム900の外観図である。本実施の形態は、コンピュータハードウェアおよびその上で実行されるコンピュータプログラムによって実現され得る。図7において、コンピュータシステム900は、ディスクドライブ905を含むコンピュータ901と、キーボード902と、マウス903と、ディスプレイ904とを備える。なお、キーボード902やマウス903やディスプレイ904をも含むシステム全体をコンピュータと呼んでもよい。
図8は、コンピュータシステム900の内部構成の一例を示す図である。図8において、コンピュータ901は、ディスクドライブ905に加えて、MPU911と、ブートアッププログラム等のプログラムを記憶するためのROM912と、MPU911に接続され、アプリケーションプログラムの命令を一時的に記憶すると共に、一時記憶空間を提供するRAM913と、アプリケーションプログラム、システムプログラム、およびデータを記憶するストレージ914と、MPU911、ROM912等を相互に接続するバス915と、外部ネットワークや内部ネットワーク等のネットワークへの接続を提供するネットワークカード916と、を備える。ストレージ914は、例えば、ハードディスク、SSD、フラッシュメモリなどである。
コンピュータシステム900に、移動体評価装置1等の機能を実行させるプログラムは、例えば、DVD、CD-ROM等のディスク921に記憶されて、ディスクドライブ905に挿入され、ストレージ914に転送されてもよい。これに代えて、そのプログラムは、ネットワークを介してコンピュータ901に送信され、ストレージ914に記憶されてもよい。プログラムは、実行の際にRAM913にロードされる。なお、プログラムは、ディスク921、またはネットワークから直接、ロードされてもよい。また、ディスク921に代えて他の着脱可能な記録媒体(例えば、DVDやメモリカード等)を介して、プログラムがコンピュータシステム900に読み込まれてもよい。
プログラムは、コンピュータの詳細を示す901に、移動体評価装置1等の機能を実行させるオペレーティングシステム(OS)、またはサードパーティプログラム等を必ずしも含んでいなくてもよい。プログラムは、制御された態様で適切な機能やモジュールを呼び出し、所望の結果が得られるようにする命令の部分のみを含んでいてもよい。コンピュータシステム900がどのように動作するのかについては周知であり、詳細な説明は省略する。
なお、上述したコンピュータシステム900は、サーバまたは据え置き型のPCであるが、移動体評価装置1等は、例えば、タブレット端末やスマートフォンやノートPCといった、携帯端末で実現されてもよい。この場合、例えば、キーボード902およびマウス903はタッチパネルに、ディスクドライブ905はメモリカードスロットに、ディスク921はメモリカードに、それぞれ置き換えられてもよい。ただし、以上は例示であり、移動体評価装置1等を実現するコンピュータのハードウェア構成は問わない。
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信する送信ステップや、情報を受信する受信ステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段(端末送信部23、端末受信部24など)は、物理的に一の媒体で実現されてもよいことは言うまでもない。
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。