JP2014163024A - インクジェット捺染物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インク滲みと目ムキをともに解消することのできるインクジェット捺染物の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、あらかじめ処理液が付与された布帛に対してインクジェット捺染により分散染料インクを付与するインクジェット捺染物の製造方法であって、該分散染料インクが、該処理液のpH値よりも高い酸解離定数値(pKa値)を有する分散剤と、該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤を、それぞれ1種以上含有していることを特徴とする、インクジェット捺染物の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

本発明は、分散染料インクを用いたインクジェット捺染物の製造方法に関する。
従来、インクジェット捺染装置を用いた布帛への画像印刷(インクジェット捺染)に関する開発が行われている。インクジェット捺染は、版を作製する必要のある従来の捺染方法とは異なり、インクの微小液滴をインクジェットヘッドより吐出して布帛上に画像を形成するため、様々な画像の付与が可能であり、また階調性に優れた画像を形成することが可能である。
布帛へのインクジェット捺染を行う場合、インク滲みを防止するための前処理剤を付与することが検討されている。例えば、特許文献1には、インクジェット捺染用前処理液として、糊剤を布帛に付与し、その後インクジェット捺染を行うインクジェット捺染方法が開示されている。
特許文献1に記載の方法によれば、糊剤がインク受容層となってインク滲みを防止するため、インク滲みのない鮮明な画像を形成することができる。しかしながら、このようなインク受容層を用いた場合、インクはインク受容層に保持されるため、インクの布帛に対する浸透性は乏しく、特に厚手の布帛において、目ムキや糸返りによる白化などが発生する問題があった。
また、糊剤を用いない方法として、例えば特許文献2には、少なくとも分散染料、分散剤、水および水溶性有機溶媒を含有するインクを用い、インクジェットヘッドより吐出して布帛に記録するインクジェット捺染方法において、該インクを該布帛に付与する前に、該インクよりも低いpH値を有する前処理液を該布帛に付与する方法が開示されている。
特許文献2によれば、着色剤として分散染料を水系分散したインクを布帛に付与する前に、インクより酸性度の強い液体を布帛に付与することで、その後に布帛に着弾したインク中の分散染料の分散に用いた分散剤が高速に凝集し、分散染料を固着させることが可能となる。しかしながら、この方法では布帛表面付近で分散剤が凝集するため、インクの布帛に対する浸透性は乏しく、やはり目ムキや糸返りによる白化などが発生する問題があった。
布帛への浸透性を向上させるには、インク付与量を多くしたり、糊剤等のインク受容層を省いたりするなどの方法が考えられるが、その場合、浸透性は向上するものの、今度は付与したインクが滲みやすくなり、捺染物の柄品位が悪くなるという問題が生じる。このように、インク滲みの防止と布帛へのインク浸透性の向上を両立させることは困難であった。
特開平11−302987号公報 特開2006−124854号公報
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、インク滲みと目ムキをともに解消することのできるインクジェット捺染物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、あらかじめ処理液が付与された布帛に対してインクジェット捺染により分散染料インクを付与するインクジェット捺染物の製造方法であって、該分散染料インクが、該処理液のpH値よりも高い酸解離定数値(pKa値)を有する分散剤と、該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤を、それぞれ1種以上含有していることを特徴とする。
本発明によれば、インク滲みと目ムキをともに解消することのできるインクジェット捺染物の製造方法を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明は、布帛にあらかじめ付与される処理液のpH値と分散染料インクに用いる分散剤のpKa値に着目し、該処理液のpH値よりも高いpKa値を有する分散剤と該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤を併用することにより、インクジェット捺染時に布帛へのインク浸透性を向上させ、さらにインク滲みについても防止することを特徴とするものである。
まず、本発明で用いる分散染料インクについて説明する。本発明で用いる分散染料インクは、少なくとも分散染料、水溶性有機溶媒、水、分散剤からなる。
さらに、前記分散剤は、後述する処理液のpH値よりも高いpKa値を有する分散剤と、該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤を、それぞれ1種以上含有する必要がある。
分散剤は分散染料をインク中に分散させる性質のほかに、後述する処理液と接触することにより凝集して分散染料を布帛に固着させる性質をもつ。その凝集速度は分散剤の固有値であるpKa値によって異なり、pKa値が高い分散剤ほど凝集速度は早く、pKa値が低い分散剤ほど凝集速度は遅くなる傾向がある。すなわち、分散剤のpKa値が高いほど分散染料は布帛表面で凝集しやすく、分散剤のpKa値が低いほど分散染料は布帛内部に浸透しやすくなる。
本発明の分散染料インクに用いる分散剤としてはpKa値によって適宜選定すればよく、高分子分散剤、低分子分散剤などから選定可能であり特に限定するものではない。また、pKa値を満たすものであれば複数を組み合わせて使用してもよい。
高分子分散剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガントゴムなどの天然ゴム類、サポニンなどのグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース、ヒドロキシメチルセルロースなどのセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラックなどの天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩、リン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールなどの非イオン性高分子などがあげられる。
低分子分散剤としては、例えば、脂肪酸塩類、高級アルコール硫酸エステル塩類、液体脂肪酸硫酸エステル塩類、アルキルアリルスルホン酸塩類などの陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ソルビタンアルキルエステル類、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル類などの非イオン界面活性剤があげられる。
本発明に用いられる分散剤として、中でも、インクの保存安定性の点から、カルボキシル基を有する高分子分散剤であることが好ましい。これらの分散剤は市販品で入手が可能であり、例えば、リグニンスルホン酸塩(例えばバニレックスRN、日本製紙社製)、α−オレフィンと無水マレイン酸の共重合物(例えばフローレンG−700、共栄社化学社製)、スチレン−アクリル共重合物(例えばジョンクリル、BASF社製)等の高分子分散剤などがあげられる。
以下、後述する処理液のpH値よりも高いpKa値を有する分散剤に該当するものを分散剤A、該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤に該当するものを分散剤Bとして説明する。
分散剤Aに該当する分散剤の含有量は、分散染料インクの全量に対して0.2〜10質量%であることが好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましい。分散剤Aの含有量が0.2質量%未満であるとインク滲みが発生するおそれがある。また、含有量が10質量%を超えると、布帛へのインク浸透性を阻害するおそれがある。なお、分散剤Aとして複数の分散剤を併用する場合は、その合計量が上記含有量の範囲となるようにする。
また、分散剤Bに該当する分散剤の含有量は、分散染料インクの全量に対して0.2〜10質量%であることが好ましく、0.5〜4質量%であることがより好ましい。分散剤Bの含有量が0.2質量%未満であると布帛へのインク浸透性が十分に得られないおそれがある。また、含有量が10質量%を超えると、インク滲みの発生を抑制できないおそれがある。なお、分散剤Bとして複数の分散剤を併用する場合は、その合計量が上記含有量の範囲となるようにする。
なお、分散剤AおよびBを含む全分散剤の合計含有量としては、分散染料インク全質量に対して20質量%以下であることが好ましい。全分散剤の合計含有量が20質量%を超えると、分散染料インクの粘度が高くなり、連続加工が困難となるおそれがある。
また、分散剤AおよびBを含む全分散剤の合計含有量は、分散染料インク中の分散染料含有量に対して20質量%以上であることが好ましい。分散染料含有量に対して分散剤含有量が20質量%より少ない場合、分散染料の微粒子化や分散安定性が不十分となるおそれがある。また上限としては、200質量%以下であることが、インク粘度の点で好ましい。
分散染料インクの色材である分散染料の具体的化合物としては、次のものがあげられるが、本発明はこれらの例示した化合物によって限定されるものではない。また、混紡、交織などにより複数種の繊維からなる布帛を染色するために、分散染料以外の染料、例えば酸性染料、直接染料などをさらに混合することも可能である。
分散染料の具体例としては、例えば、C.I.Disperse Yellow;3、4、5、7、9、13、23、24、30、33、34、42、44、49、50、51、54、56、58、60、63、64、65、66、68、71、74、76、79、82、83、85、86、88、90、91、93、98、99、100、104、108、114、116、118、119、122、124、126、135、140、141、149、160、162、163、164、165、179、180、182、183、184、186、192、198、199、202、204、210、211、215、216、218、224、227、231、232、
C.I.Disperse Orange;1、3、5、7、11、13、17、20、21、25、29、30、31、32、33、37、38、42、43、44、45、46、47、48、49、50、53、54、55、56、57、58、59、61、66、71、73、76、78、80、89、90、91、93、96、97、119、127、130、139、142、
C.I.Disperse Red;1、4、5、7、11、12、13、15、17、27、43、44、50、52、53、54、55、56、58、59、60、65、72、73、74、75、76、78、81、82、86、88、90、91、92、93、96、103、105、106、107、108、110、111、113、117、118、121、122、126、127、128、131、132、134、135、137、143、145、146、151、152、153、154、157、159、164、167、169、177、179、181、183、184、185、188、189、190、191、192、200、201、202、203、205、206、207、210、221、224、225、227、229、239、240、257、258、277、278、279、281、288、298、302、303、310、311、312、320、324、328、
C.I.Disperse Violet;1、4、8、23、26、27、28、31、33、35、36、38、40、43、46、48、50、51、52、56、57、59、61、63、69、77、
C.I.Disperse Green;9、
C.I.Disperse Brown;1、2、4、9、13、19、
C.I.Disperse Blue;3、7、9、14、16、19、20、26、27、35、43、44、54、55、56、58、60、62、64、71、72、73、75、77、79、81、82、83、87、91、93、94、95、96、102、106、108、112、113、115、118、120、122、125、128、130、139、141、142、143、146、148、149、153、154、158、165、167、171、173、174、176、181、183、185、186、187、189、197、198、200、201、205、207、211、214、224、225、257、259、267、268、270、284、285、287、288、291、293、295、297、301、315、330、333、
C.I.Disperse Black;1、3、10、24、
などがあげられる。
前記分散染料は、平均粒径として300nm以下、最大粒径として900nm以下であることが好ましい。平均粒径、最大粒径が上記範囲を超えると、微細なノズルよりインクを吐出するインクジェット捺染においてノズルの目詰まりが発生して吐出安定性が低下するおそれがある。
前記分散染料の含有量としては、分散染料インクの全質量に対し0.1〜20質量%であることが好ましく、0.2〜13質量%であることがより好ましい。含有量が0.1質量%未満であると、画像濃度が低くなってしまい実用的でない。含有量が20質量%を超えると、インクの粘度が高くなり連続加工が困難になるおそれがある。
水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、グリセリン、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、2−(ジメチルアミノ)エタノール等)、一価アルコール類(例えばメタノール、エタノール、ブタノール等)、多価アルコールのアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等)、2,2′−チオジエタノール、アミド類(例えばN,N−ジメチルホルムアミド等)、複素環類(2−ピロリドン等)、アセトニトリルなどがあげられる。
水溶性有機溶媒の含有量としては、分散染料インクの全質量に対して10〜60質量%であることが好ましい。含有量が10質量%未満であると、分散染料インクの乾燥が早く、インクジェット捺染装置のノズルがつまりやすくなる。一方、含有量が60質量%を超えると、インクの粘度調整が難しくなるため連続加工が困難になる。
本発明に用いられる分散染料インクには、上述した構成要素のほかに、インク粘度の調整のため、分散染料の分散安定性を保つため、発色をよくするためなどを目的として、無機塩を添加してもよい。無機塩としては、例えば、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、酸化マグネシウム、硫化マグネシウムなどがあげられる。
また、インクの長期保存安定性を保つために、防腐剤、防カビ剤などを添加してもよい。防腐剤、防カビ剤としては、例えば、芳香族ハロゲン化合物(例えば、Preventol CMK)、メチレンジチオシアナート、含ハロゲン窒素硫黄化合物、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン(例えば、PROXEL GXL)などがあげられる。
上述した分散染料インクは、インクジェット捺染装置を用いて布帛に付与される。このとき用いられるインクジェット捺染装置としては、荷電変調方式、マイクロドット方式、帯電噴射制御方式、インクミスト方式等の連続方式、ピエゾ方式、バブルジェット(登録商標)方式、静電吸引方式等のオンデマンド方式などがあげられ、いずれも採用可能である。
本発明に係るインクジェット捺染物の製造方法においては、インクジェット捺染を行うより前に、布帛にあらかじめ処理液を付与する工程を設ける必要がある。処理液は、インクジェット捺染工程にて付与される分散染料インク中の分散剤と反応し、分散剤を凝集させる働きをもつ。
本発明に用いられる処理液は、インクのpH値を変化させることにより凝集物を生じさせる処理液であることが好ましい。このとき、処理液のpH値はpH1〜6であることが好ましく、pH2〜5であることがより好ましく、pH3〜5であることがさらに好ましい。
前記処理液のpH値を上記酸性領域にする方法としては、特に制限はなく、pH調整能力を有する公知の添加剤、例えば、各種の有機酸、無機酸を用いることによって調整することができる。なお、染色性の観点からは、有機酸を用いて調整することが好ましい。
有機酸としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、イソ吉草酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、トリカルバリル酸、グリコール酸、チオグリコール酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、イソクエン酸、グルコン酸、ピルビン酸、オキサル酢酸、ジグリコール酸、安息香酸、フタル酸、マンデル酸、サリチル酸、リン酸などがあげられる。なかでも、染色中の熱などの影響によるpH安定性の点で、酒石酸、クエン酸及びリンゴ酸から選ばれる少なくとも1種類であることがより好ましい。
無機酸としては、例えば、塩酸、硫酸、亜塩素酸、硝酸、亜硝酸、亜硫酸、亜燐酸、燐酸、塩素酸、次亜リン酸などがあげられる。
前記処理液を布帛に付与する方法としては特に限定するものではなく、従来公知の付与方法、例えば、パッド法、コーティング法、スプレー法などで付与することができる。なお、処理液を布帛に均一に付与することができる点では、パッド法が好ましい。
本発明においては、前記処理液を付与した後に乾燥処理を施すことが好ましい。乾燥手段については特に限定するものではなく、公知の方法で行なえばよい。
本発明に係るインクジェット捺染物の製造方法に用いられる布帛を構成する素材としては、分散染料で染色可能な繊維を含有するものであれば特に制限はないが、なかでもポリエステル、アセテート、トリアセテート等の繊維を含有するものが好ましく、さらには、少なくともポリエステル繊維が含有されている布帛が特に好ましい。布帛としては、上記繊維を織物、編物、不織布等いずれの形態にしたものでもよい。また、本発明で使用可能な布帛としては、分散染料で染色可能な繊維が100%であることが好適であるが、レーヨン、綿、ポリウレタン、アクリル、ナイロン、羊毛及び絹等との混紡織布または混紡不織布等も捺染用布帛として使用することができる。また、上記の様な布帛を構成する糸の太さとしては10〜100dの範囲が好ましい。
インクジェット捺染を行った後には、通常、発色工程が設けられる。発色工程は、布帛の繊維表面に付着したのみで十分に固着していない染料を熱処理などによって布帛に固着させ、インク本来の色相を発現させる工程である。発色工程については特に限定するものではなく、公知の発色技術から適宜選定すればよい。また、画像形成工程にて画像が付与された布帛は、直ちに発色処理されてもよく、しばらくおいてから発色処理されてもかまわない。また、画像形成工程と発色工程との間に、乾燥工程を設けることもできる。
また、本発明においては、必要に応じてその他の工程を適宜設けてもよく、特に制限するものではない。
以下、実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
(1)布帛
本実施例においては、目付け180g/mのポリエステルニット布帛を用いた。
(2)分散液の調製
次の処方からなる各材料を順次混合した後、サンドグラインダーを用いて分散し、分散液a1〜a4を調製した。なお、分散は分散染料粒子の平均粒径が200nmに到達したところで停止した。

分散染料(表1に記載の種類) 25部
グリセリン 30部
分散剤(表1に記載の種類) 12部
イオン交換水 総量を100部に仕上げるのに要する量
Figure 2014163024
(3)分散染料インクの調製
調製した分散液a1〜a4を用いて、下記処方に準じて分散染料インクA1〜A4を調製した。

分散液 40部
エチレングリコール 20部
グリセリン 10部
ジエチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム 0.5部
イオン交換水 総量を100部に仕上げるのに要する量
次いで、3μmメンブランフィルターでろ過、脱気処理を行った。脱気処理は、気体透過性のある中空糸膜(三菱レーヨン社製)内に調製した各インクを通液し、中空糸膜の外表面側を水流アスピレータで減圧することにより、インク中の溶存気体を除去した。また、脱気後は真空パックに充填して、空気の混入を防いだ。
(4)処理液の調製
下記処方からなる各添加剤を順次混合、溶解して、処理液B1およびB2を調製した。

酸(表2に記載の種類) 各添加量
セロゲン7A(低置換度CMC、第一工業製薬) 5部
イオン交換水 総量を100部に仕上げるのに要する量
Figure 2014163024
(5)処理液の付与
本実施例における処理液の付与は、上記処方からなる処理液をピックアップ率50%となるよう、ディップニップ法により付与し、その後130℃で1分間乾燥することにより、布帛にインク受容層を付与した。
(6)インクジェット捺染
本実施例におけるインクジェット捺染は、下記条件にて行った。

インクジェット捺染装置:オンデマンド方式シリアル走査型
ノズル径:50μm
駆動電圧:100V
周波数:5kHz
解像度:360dpi
塗布量:60g/m
(7)乾燥・発色処理
インクジェット捺染後の布帛を乾燥させた後、165℃で10分間湿熱処理し、各種捺染物を得た。
表3の組み合わせに従い、実施例1〜3、比較例1および2の捺染物を得た。
Figure 2014163024
本実施例における評価は、次のように行った。
(I)インク滲み
インクジェット捺染により縦方向のライン柄と横方向のライン柄をそれぞれ0.5mm幅で付与し、発色工程を通した後、形成されたラインの幅をそれぞれ測定した。
各測定結果を、下記基準により評価した。

○:ライン幅が0.6mm以内である
△:ライン幅が0.6mmを超え、1.0mm以内である
×:ライン幅が1.0mmを超える
(II)布帛へのインク浸透性
前記布帛に対しベタ柄を付与し、発色工程を通した後、マクベスCOLOR i5(GretagMacbeth社製)を用いて、ベタ柄部分の波長360〜740nmにおける反射率(R値)を、布帛のオモテ面(ベタ柄を付与した面)とウラ面からそれぞれ測定した。
次いで、測定した各R値から、下記式で表されるK/S値をそれぞれ算出した。なお、K/S値が高いほど、色濃度が高いことを示し、低いほど色濃度が低いことを示す。

K/S=(1−R)/2R

次いで、求めた各K/S値から、色濃度比(オモテ面の色濃度に対するウラ面の色濃度(%))を、下記式を用いて算出した。

色濃度比(%)=(ウラ面のK/S値)/(オモテ面のK/S値)×100

算出した色濃度比(%)から、布帛へのインク浸透性について、下記基準に従い評価した。

○:色濃度比が60%以上である
×:色濃度比が60%未満である
各実施例および比較例の評価結果を表4に示す。
Figure 2014163024

Claims (2)

  1. あらかじめ処理液が付与された布帛に対してインクジェット捺染により分散染料インクを付与するインクジェット捺染物の製造方法であって、該分散染料インクが、該処理液のpH値よりも高い酸解離定数値(pKa値)を有する分散剤と、該処理液のpH値よりも低いpKa値を有する分散剤を、それぞれ1種以上含有していることを特徴とする、インクジェット捺染物の製造方法。
  2. 前記処理液のpH値がpH1〜6であることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット捺染物の製造方法。
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