JP2014162916A - ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び樹脂製光反射体用基体 - Google Patents
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Abstract
【課題】表面外観、フォギング性評価、成形収縮率、離型性、押出生産性および押出作業性の全てに優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
【選択図】なし
【解決手段】ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び樹脂製光反射体用基体に関し、さらに詳しくは、成形品の表面平滑性が高く、成形時の収縮率が小さく、且つガス発生量が非常に少ないポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、これを成形してなる樹脂製光反射体用基体及び光反射体に関する。
自動車用ランプ等におけるハウジング、リフレクター、エクステンションリフレクターや家電照明器具等の光を反射させるための反射体(光反射体)は、ランプ光源の方向性、反射性のために、高い輝度感、平滑性、均一な反射率、さらには光源からの発熱に耐え得る高耐熱性等が要求される。よって光反射体としては、従来、金属製(板金)のものや、バルクモールディングコンパウンド(BMC)やシートモールディングコンパウンド(SMC)に代表される熱硬化性樹脂の表面に、金属メッキ加工や蒸着等により金属薄膜を設けたものが用いられてきた。
しかしながら、金属製の光反射体は加工性が悪く、また重く扱い難いという欠点があった。一方、熱硬化性樹脂を成形してなる光反射体用基体の表面に金属薄膜を有する光反射体は、耐熱性、剛性、寸法安定性をはじめとして優れた特性を有している。しかしながら、熱硬化性樹脂の成形のためのサイクルが長く、また、成形の際にバリが発生したり、成形時のモノマー揮発によってガスが発生したりしていた。
この様な問題を解決し、さらに、近年の光反射体の高機能化やデザインの多様化に対応し、かつ、生産性にも優れる、熱可塑性樹脂を用いて形成された光反射体用基体への転換が進んでいる。
熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用基体には、機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、かつ良好な加工性が要求される。そこで、該熱可塑性樹脂組成物として、結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、特には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂と他の樹脂との混合物を主成分とし、これに、様々な強化材を添加配合した組成物が用いられてきた。
熱可塑性樹脂組成物からなる光反射体用基体には、機械的性質、電気的性質、その他物理的・化学的特性に優れ、かつ良好な加工性が要求される。そこで、該熱可塑性樹脂組成物として、結晶性熱可塑性ポリエステル樹脂、特には、ポリブチレンテレフタレート樹脂、又は、ポリエチレンテレフタレート樹脂と他の樹脂との混合物を主成分とし、これに、様々な強化材を添加配合した組成物が用いられてきた。
そして、光反射体としては、光反射体用基体の表面に金属薄膜を設けたものが主流となってきている。そのような光反射体は、通常、射出成形によりポリブチレンテレフタレート樹脂等の熱可塑性樹脂組成物を成形して光反射体用基体とし、その表面にアンダーコート等の前処理(下塗り)を行った後、真空蒸着等により光反射層として金属薄膜を形成して製造されていた。
しかしながら、アンダーコート等の下塗りは、大幅なコストアップとなり、デザインの自由度も制限されるので、アンダーコートしなくとも高い輝度感を有する光反射体を得ることが望まれている。アンダーコートせずに光反射体用基体の一面に光反射層が設けられた反射体が、高い輝度感・均一な反射率を有するには、光反射体用基体が良好な表面平滑性を有し、且つ高い光沢性・輝度感を有することが必要となる。またその用途仕様から、原料となる樹脂の耐熱性や、樹脂組成物の成形時等におけるガス発生抑制(低ガス性)も重要な問題である。
また、高輝度とするために、樹脂を射出成形するための成形金型の表面を著しく研磨すると、射出成形による成形時に光反射体用基体の取り出しの際の型離れが悪くなり、成形サイクルが低下し、離型ムラ模様が成形体表面に現れやすくなる。これは、反射率の低下を引き起こす。そこで成形性を低下させないために離型性を向上させつつ、表面輝度を保持することが必要となる。
さらに、車両用部材等に用いられる光反射体用基体は、通常、中空柱状構造を有する。そして、中空柱状構造を有する光反射基体は、その形状ゆえに成形時の収縮等によって金型に圧着して離型不良の原因となる。
さらに、光反射金属層を有する光反射体は、剛性、寸法安定性、低収縮性、耐熱性に加え、外観が良好であることが求められており、このような成形品を得るには、小粒径の無機充填剤を配合することが従来から多数提案されている(特許文献1〜7)。
しかしながら、各種の無機質充填剤と熱可塑性樹脂とを溶融混練する場合、無機質充填剤の平均粒子径が小さくなればなるほど、その嵩密度が小さくなり、そのため嵩比容が大きくなり溶融混練する際に混練機のスクリュー等への食い込みが悪化したり、熱可塑性樹脂組成物の吐出量が低下したりして混練及び造粒の生産性、作業性は落ち、熱可塑性樹脂組成物の生産量が落ちる。この現象は、無機質充填剤に内包される内部空気が原因となっている。
その解決策として、ローラー圧縮成形機を用いて無機質充填剤を圧縮することにより脱気して無機質充填剤の嵩密度を大きくすれば、混練機のスクリューへの食い込みが良くなり、造粒の生産性、作業性が改善されることは公知である。
しかし、無機質充填剤を圧縮しすぎると、樹脂組成中の充填剤の分散不良が起こり、圧縮力が弱いと、押出段階での作業環境の汚染、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等、押出加工性の低下が起こり、剛性、寸法安定性、低収縮性、耐熱性を十分に満足する程の無機質充填剤を配合することが出来なくなる。
しかし、無機質充填剤を圧縮しすぎると、樹脂組成中の充填剤の分散不良が起こり、圧縮力が弱いと、押出段階での作業環境の汚染、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等、押出加工性の低下が起こり、剛性、寸法安定性、低収縮性、耐熱性を十分に満足する程の無機質充填剤を配合することが出来なくなる。
本発明の目的(課題)は、上記した従来技術の各種の問題点を解決し、成形品の表面平滑性が高く、成形収縮率が小さく、離型性に優れ、ガス発生量が非常に少なく、且つ押出生産性、押出作業性に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、及び、これを成形した樹脂製光反射体用基体、さらには光反射体を提供することにある。
本発明者らは、ポリブチレンテレフタレート樹脂に、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂及び/又はビニル系熱可塑性樹脂と、特定の一次粒子径を有し、嵩密度が特定の範囲にある圧縮タルクを、それぞれ特定の量で配合することにより、成形品の外観(フィラー分散性)、低収縮性、連続成形性及び樹脂コンパウンド時の押出加工性に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明によれば、以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、樹脂製光反射体用基体及び光反射体が提供される。
すなわち、本発明によれば、以下のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物、樹脂製光反射体用基体及び光反射体が提供される。
[1]ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[2]圧縮タルク(C)の水洗い残分が5質量%を超えて30質量%未満であり、且つ、水洗い残分の平均粒子径が100μm以下である上記[1]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[2]圧縮タルク(C)の水洗い残分が5質量%を超えて30質量%未満であり、且つ、水洗い残分の平均粒子径が100μm以下である上記[1]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[3]さらに、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤(D)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜2質量部含有する上記[1]又は[2]に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[4](b1)成分と(b2)成分の質量比(b1/b2)が、1を超えて5以下である上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[5](b1)成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、(b2)成分がアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[6]ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の末端カルボキシル基量が50eq/ton以下である上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[7]樹脂製光反射体用基体に用いることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[4](b1)成分と(b2)成分の質量比(b1/b2)が、1を超えて5以下である上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[5](b1)成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、(b2)成分がアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂である上記[1]〜[4]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[6]ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の末端カルボキシル基量が50eq/ton以下である上記[1]〜[5]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[7]樹脂製光反射体用基体に用いることを特徴とする上記[1]〜[6]のいずれか1つに記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
[8]上記[7]に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂製光反射体用基体。
[9]エクステンションリフレクター用である上記[8]に記載の樹脂製光反射体用基体。
[10]上記[8]又は[9]に記載の樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体。
[9]エクステンションリフレクター用である上記[8]に記載の樹脂製光反射体用基体。
[10]上記[8]又は[9]に記載の樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、成形品の表面平滑性、外観に優れ、成形収縮率が小さく、離型性に優れ、ガス発生量が非常に少なく(フォギング性に優れ)、且つ押出生産性、押出作業性に優れたポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物である。成形した際、成形品の表面平滑性が高く、成形時の収縮率が小さく、且つガス発生量が非常に少ない。そのため、成形品の一部又は全部に直接もしくは下地剤を介して光反射金属層を形成し、さらに成形時の収縮により離型を阻害するような形状因子を有する成形品において、良外観で成形性に優れ高温度雰囲気に曝されても高輝度感の保持が可能である。
したがって、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、特に、樹脂製光反射体用基体、また、樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体に特に好適である。
したがって、本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、特に、樹脂製光反射体用基体、また、樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体に特に好適である。
[発明の概要]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とする。
そして、本発明は、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる樹脂製光反射体用基体であり、この樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体である。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とする。
そして、本発明は、上記ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を成形してなる樹脂製光反射体用基体であり、この樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体である。
以下、本発明の内容について詳細に説明する。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
以下に記載する各構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様や具体例に限定して解釈されるものではない。なお、本願明細書において、「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
[ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を構成する主成分であるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)(以下、「PBT樹脂」と略称することもある。)としては、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有する高分子を示す。即ち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を構成する主成分であるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)(以下、「PBT樹脂」と略称することもある。)としては、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位がエステル結合した構造を有する高分子を示す。即ち、ポリブチレンテレフタレート樹脂(ホモポリマー)の他に、テレフタル酸単位及び1,4−ブタンジオール単位以外の、他の共重合成分を含むポリブチレンテレフタレート共重合体や、ホモポリマーと当該共重合体との混合物を含む。
PBT樹脂は、テレフタル酸以外のジカルボン酸単位を含んでいてもよいが、他のジカルボン酸の具体例としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−3,3’−ジカルボン酸、ビフェニル−4,4’−ジカルボン酸、ビス(4,4’−カルボキシフェニル)メタン、アントラセンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸類、1,4−シクロへキサンジカルボン酸、4,4’−ジシクロヘキシルジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸類、及び、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸類などが挙げられる。
ジオール単位としては、1,4−ブタンジオールの外に他のジオール単位を含んでいてもよいが、他のジオール単位の具体例としては、炭素原子数2〜20の脂肪族又は脂環族ジオール類、ビスフェノール誘導体類などが挙げられる。具体例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−へキサンジオール、ネオぺンチルグリコール、デカメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノ一ル、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシメタン、4,4’−ジシクロヘキシルヒドロキシプロパン、ビスフェノ一ルAのエチレンオキシド付加ジオールなどが挙げられる。更に、グリセリン、トリメチロールプロパンなどのトリオールも挙げられる。
PBT樹脂は、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールとを重縮合させたポリブチレンテレフタレート単独重合体が好ましいが、また、カルボン酸単位として、前記のテレフタル酸以外のジカルボン酸一種以上及び/又はジオール単位として、前記1,4−ブタンジオール以外のジオール一種以上を含むポリブチレンテレフタレート共重合体であってもよい。PBT樹脂は、機械的性質、耐熱性の観点から、ジカルボン酸単位中のテレフタル酸の割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。同様に、ジオール単位中の1,4−ブタンジオールの割合が、好ましくは70モル%以上であり、より好ましくは90モル%以上である。
また、上記のような二官能性モノマー以外に、分岐構造を導入するためトリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の三官能性モノマーや分子量調節のため脂肪酸等の単官能性化合物を少量併用することもできる。
PBT樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分又はこれらのエステル誘導体と、1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分を、回分式又は通続式で溶融重合させて製造することができる。また、溶融重合で低分子量のポリブチレンテレクタレート樹脂を製造した後、さらに窒素気流下又は減圧下固相重合させることにより、重合度(又は分子量)を所望の値まで高めることができる。
PBT樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法が好ましい。
PBT樹脂は、テレフタル酸を主成分とするジカルボン酸成分と1,4−ブタンジオールを主成分とするジオール成分とを、連続式で溶融重縮合する製造法が好ましい。
エステル化反応を遂行する際に使用される触媒は、従来から知られているものであってよく、例えば、チタン化合物、錫化合物、マグネシウム化合物、カルシウム化合物などを挙げることができる。これらの中で特に好適なものは、チタン化合物である。エステル化触媒としてのチタン化合物の具体例としては、例えば、テトラメチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタンアルコラート、テトラフェニルチタネートなどのチタンフェノラートなどを挙げることができる。
PBT樹脂は、共重合により変性したポリブチレンテレフタレート樹脂であってもよいが、その具体的な好ましい共重合体としては、ポリアルキレングリコール類(特にはポリテトラメチレングリコール(PTMG))を共重合したポリエステルエーテル樹脂や、ダイマー酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂、特にはイソフタル酸共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂が挙げられる。なお、これらの共重合体は、共重合量が、PBT樹脂全セグメント中の1モル%以上、50モル%未満のものをいう。中でも、共重合量が好ましくは2〜50モル%、より好ましくは3〜40モル%、さらに好ましくは4〜30モル%、特に好ましくは5〜20モル%である。
そして、これら共重合体の好ましい含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の総量100質量%中に、1〜40質量%、更には3〜30質量%、特には5〜20質量%である。
そして、これら共重合体の好ましい含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の総量100質量%中に、1〜40質量%、更には3〜30質量%、特には5〜20質量%である。
本発明に用いるポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の末端カルボキシル基量は適宜選択して決定すればよいが、50eq/ton以下であることが好ましく、40eq/ton以下であることがより好ましく、30eq/ton以下であることがさらに好ましい。50eq/ton以下とすることにより本発明における樹脂組成物の溶融成形時にガスが発生しにくくなる。末端カルボキシル基量の下限値は特に定めるものではないが、ポリブチレンテレフタレート樹脂の製造の生産性を考慮し、通常、10eq/tonである。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の末端カルボキシル基量は、ベンジルアルコール25mLにポリアルキレンテレフタレート0.5gを溶解し、水酸化ナトリウムの0.01モル/Lベンジルアルコール溶液を用いて滴定により測定して得られた値をいう。末端カルボキシル基量を調整する方法としては、重合時の原料仕込み比、重合温度、減圧方法などの重合条件を調節する方法や、末端封鎖剤を反応させる方法等、従来公知の任意の方法により行えばよい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の数平均分子量(Mn)は、特に制限はなく、適宜選択して決定することができる。通常は、1×104〜100×104であり、2×104〜30×104であることが好ましく、3×104〜10×104であることがさらに好ましい。
また、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の固有粘度[η]は、通常、0.5〜2.0dl/gであり、0.6〜1.4dl/gであることが好ましい。ここで固有粘度とは、フェノールと1,1,2,2−テトラクロロエタンとの質量比1:1の混合溶媒に試料を溶解し、ウベローデ粘度計を用いて30℃にて測定した粘度である。固有粘度を0.5dl/g以上とすることにより機械的強度がより向上する傾向にあり、2.0dl/g以下とすることにより、溶融成形時の流動性が低下し過ぎず、成形体の表面特性を光反射体としての高輝度を発揮し易い傾向にあり好ましい。
[熱可塑性樹脂(B)]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部を含む。
このように、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を主成分とし、これに、上記の割合で、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及び/又はビニル系熱可塑性樹脂(b2)を上記の量で含有することにより、表面外観、フォギング性、成形収縮率、離型性、押出生産性及び押出作業性の全てに総合的に優れた樹脂組成物となる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部を含む。
このように、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)を主成分とし、これに、上記の割合で、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及び/又はビニル系熱可塑性樹脂(b2)を上記の量で含有することにより、表面外観、フォギング性、成形収縮率、離型性、押出生産性及び押出作業性の全てに総合的に優れた樹脂組成物となる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)の両方を含むことが好ましい。さらに、(b1)成分と、(b2)成分の質量比(b1/b2)が、1を超えて5以下の割合で含有することがより好ましく、1.5〜4の割合で含有することがさらに好ましい。このような含有比とすることにより、フォギング性を低下させずに成形収縮率を低下させることができる。
ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)としては、ポリマー主鎖に−CO−O−結合を有し、加熱溶融できるポリブチレンテレフタレート樹脂以外のものをいう。
その代表的なものとしては、ジカルボン酸又はその誘導体、例えば低級アルキルエステル、酸ハライド、酸無水物等と、グリコール又は二価フェノールとを縮合させて製造される飽和ポリエステル類、及び、ラクトンの開環重合によって製造される飽和ポリエステル類が挙げられる。具体的には、単独重合体では、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)樹脂、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)樹脂等の縮合重合体、及び、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等の開環重合体が挙げられる。
その代表的なものとしては、ジカルボン酸又はその誘導体、例えば低級アルキルエステル、酸ハライド、酸無水物等と、グリコール又は二価フェノールとを縮合させて製造される飽和ポリエステル類、及び、ラクトンの開環重合によって製造される飽和ポリエステル類が挙げられる。具体的には、単独重合体では、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)樹脂、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)樹脂等の縮合重合体、及び、ポリピバロラクトン、ポリ(ε−カプロラクトン)等の開環重合体が挙げられる。
また、共重合体では、アルキレングリコールとパラ−ヒドロキシ安息香酸(PHB)及びテレフタル酸とのコポリエステル、PHB及び6−オキシ−2−ナフトエ酸とのコポリエステルや、p,p’−ビスフェノールとPHB及びテレフタル酸とのコポリエステルである液晶性ポリエステル類等も挙げることができる。
これらの中で、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)樹脂、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)樹脂等が好適である。
これらの中で、ポリアルキレンテレフタレート類(ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂等)、ポリナフタレンテレフタレート(PEN)樹脂、ポリ(1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)(PCT)樹脂等が好適である。
本発明において、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)としては、ポリアルキレンテレフタレート樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレート樹脂がより好ましい。
熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)は、フェノールとテトラクロロエタンの1:1(質量比)の溶媒中で、30℃の固有粘度[η]が、0.4〜1.5dl/gの範囲のものが好ましく、さらに好ましくは0.6〜1.3dl/gである。
ビニル系熱可塑性樹脂(b2)としては、特に制限されず、公知のビニル系熱可塑性樹脂を用いることができる。例えば、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、マレイミド系共重合樹脂等の非晶性樹脂が挙げられ、これらに限定されるものではないが、これらから選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂を含むことがさらに好ましい。
アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂としては、特に制限されないが、アクリロニトリルとスチレンの比率は質量比でアクリロニトリル/スチレン=20/80〜45/55の範囲が好ましく、25/75〜35/65の範囲がより好ましい。
アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、バルク重合等が挙げられる。アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の分子量は、特に制限されないが、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量で50000〜200000(ポリスチレン換算)の範囲が好ましい。
アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、バルク重合等が挙げられる。アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の分子量は、特に制限されないが、テトラヒドロフランを溶媒としたゲルバーミエーションクロマトグラフィーで測定した質量平均分子量で50000〜200000(ポリスチレン換算)の範囲が好ましい。
また、エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂としては、特に制限されないが、例えば、シアン化ビニル単量体単位15〜40質量%、芳香族ビニル単量体単位60〜84.9質量%、及びエポキシ基含有ビニル単量体単位0.1〜0.4質量%からなる共重合樹脂が好ましい。エポキシ基含有アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂の製造方法としては、特に制限されないが、懸淘重合、乳化重合、溶液重合、バルク重合等が挙げられる。
マレイミド系共重合樹脂としては、特に制限されないが、マレイミド系単量体単位、並びに、芳香族ビニル系単量体単位及び/又は他のビニル系単量体単位からなる共重合樹脂が挙げられ、マレイミド系単量体単位の含有量が好ましくは15〜65質量%、より好ましくは20〜50質量%の範囲のものが挙げられる。
マレイミド系単量体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトブロモマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドがより好ましい。これらマレイミド系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせてもよい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いる事が出来る。芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜70質量%の範囲が好ましい。
他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体などが挙げられ、特にシアン化ビニル系単量体が好ましい。
マレイミド系単量体としては、N−シクロヘキシルマレイミド、N−オルトクロルフェニルマレイミド、N−オルトブロモマレイミド、N−フェニルマレイミドが好ましく、N−フェニルマレイミドがより好ましい。これらマレイミド系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせてもよい。
芳香族ビニル系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、t−ブチルスチレン等が挙げられ、特にスチレンが好ましい。これら芳香族ビニル系単量体は1種あるいは2種以上を組み合わせて用いる事が出来る。芳香族ビニル系単量体単位の含有量は、好ましくは35〜85質量%、より好ましくは40〜70質量%の範囲が好ましい。
他のビニル系単量体としては、シアン化ビニル系単量体、アクリル酸エステル系単量体、メタクリル酸エステル系単量体、不飽和ジカルボン酸系単量体などが挙げられ、特にシアン化ビニル系単量体が好ましい。
ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、10〜50質量部であり、好ましくは20〜45質量部である。
[圧縮タルク(C)]
本発明に用いる圧縮タルク(C)は、圧縮処理されているタルクである。タルク粉末を圧縮した圧縮タルクは、コンパクトに保管できる上、嵩密度増加により、樹脂と溶融混練する際に混練機に持ち込まれる空気の量が少なくなり、フィードネック等が生じ難くなり、溶融混練押出機に対する食い込み性が上がることにより、単位時間あたりのコンパウンドの生産量が増加する等の利点がある。
しかしながら、タルクを圧縮しすぎると、樹脂組成中の分散不良や押出段階での作業環境の汚染、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等、押出加工性の低下が起こる原因となる。
したがって、本発明で用いる圧縮タルク(C)は、平均一次粒子径が0.1〜10μmで嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルクである。
本発明に用いる圧縮タルク(C)は、圧縮処理されているタルクである。タルク粉末を圧縮した圧縮タルクは、コンパクトに保管できる上、嵩密度増加により、樹脂と溶融混練する際に混練機に持ち込まれる空気の量が少なくなり、フィードネック等が生じ難くなり、溶融混練押出機に対する食い込み性が上がることにより、単位時間あたりのコンパウンドの生産量が増加する等の利点がある。
しかしながら、タルクを圧縮しすぎると、樹脂組成中の分散不良や押出段階での作業環境の汚染、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等、押出加工性の低下が起こる原因となる。
したがって、本発明で用いる圧縮タルク(C)は、平均一次粒子径が0.1〜10μmで嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルクである。
圧縮タルク(C)は、平均一次粒子径(すなわち圧縮前の平均粒子径)が0.1〜10μmであり、好ましくは0.5〜7μmの範囲のものである。
ここで平均一次粒子径は、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。
圧縮タルク(C)の平均一次粒子径が0.1μm未満では、タルクの分散性が悪く、樹脂組成物の機械的強度や寸法安定性に対する改良効果が小さく、10μmを超えると成形品の外観不良が発生し易くなる。
ここで平均一次粒子径は、X線透過による液相沈降方式で測定されたD50をいう。このような測定ができる装置としては、Sedigraph粒子径分析器(Micromeritics Instruments社製、モデル5100)を挙げることができる。
圧縮タルク(C)の平均一次粒子径が0.1μm未満では、タルクの分散性が悪く、樹脂組成物の機械的強度や寸法安定性に対する改良効果が小さく、10μmを超えると成形品の外観不良が発生し易くなる。
圧縮タルク(C)の嵩密度は、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満である。嵩密度が0.83g/ml未満であることで、圧縮ムラによる塊発生に基づく成形品の白点が生じ難い点で好ましく、また、嵩密度が0.75g/mlを超えることで、コンパクトに保管できる上、樹脂と溶融混練する際に混練機に持ち込まれる空気の量が少なく、フィードネック等が生じ難く、溶融混練押出機に対する食い込み性が上がることにより、押出加工性が向上して単位時間あたりのコンパウンドの生産量が増加する。
圧縮タルク(C)の嵩密度の下限は、好ましくは0.78g/ml、より好ましくは0.79g/mlである。
圧縮タルク(C)の嵩密度の下限は、好ましくは0.78g/ml、より好ましくは0.79g/mlである。
このような圧縮タルク(C)の好ましい製造方法として、タルク粉末を脱気後に圧縮して圧縮タルクとする方法が挙げられる。
圧縮工程では、従来公知の装置及び方法により行うことができる。圧縮時は、砕き難い固まりができないように圧力を調整し、核粒子径を調整する。
タルク粉末を圧縮タルクにする場合は、圧縮効率を高めやすいことから、圧縮前に脱気しておくのが好ましい。
なお、本発明に係る圧縮タルク(C)の製造方法は、このようなタルク粉末を脱気後に圧縮して圧縮タルクとする方法に限定されるものではない。
圧縮工程では、従来公知の装置及び方法により行うことができる。圧縮時は、砕き難い固まりができないように圧力を調整し、核粒子径を調整する。
タルク粉末を圧縮タルクにする場合は、圧縮効率を高めやすいことから、圧縮前に脱気しておくのが好ましい。
なお、本発明に係る圧縮タルク(C)の製造方法は、このようなタルク粉末を脱気後に圧縮して圧縮タルクとする方法に限定されるものではない。
本発明における嵩密度は、以下の(1)〜(3)の手順により求めた値である。
(1)タルクを目開き1.4mmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
(2)篩に通したタルクをJIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
(3)受器の投入口から上部の山盛りになった顆粒状無機フィラーをヘラで削り取り、受器内のタルクの質量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内のタルクの質量(g)/受器の容量(ml)
(1)タルクを目開き1.4mmの篩上に乗せ、ハケで均等に軽く掃きながら篩を通す。
(2)篩に通したタルクをJIS K5101に規定された嵩密度測定装置に付属する受器に山盛りになるまで投入する。
(3)受器の投入口から上部の山盛りになった顆粒状無機フィラーをヘラで削り取り、受器内のタルクの質量を測定し、下式にて嵩密度を算出する。
嵩密度(g/ml)=受器内のタルクの質量(g)/受器の容量(ml)
また、本発明においては、圧縮タルク(C)は、水洗い残分が5質量%を超えて30質量%未満であることが好ましく、10質量%を超えて20質量%未満であることがより好ましい。また、水洗い残分の平均粒子径が100μm以下であることが好ましく、10〜80μmであることがより好ましい。このような圧縮タルク(C)を用いることにより、樹脂組成物中でのタルクの分散性が向上し、表面外観、押出生産性及び押出作業性に優れた成形体が得られやすい傾向にある。
なお、本発明において、水洗い残分及び水洗い残分の平均粒子径とは、次の方法により求めた値をいう。
なお、本発明において、水洗い残分及び水洗い残分の平均粒子径とは、次の方法により求めた値をいう。
1Lのポリビーカーに圧縮タルク(C)50gを秤量し、水約300mlを加え、水中にタルクを分散させる。次いで、水で潤した330メッシュ(目開き45μm)の篩網上に、得られた分散液を静かに注ぐ。この際、ポリビーカー中にタルクが残る場合は、その残分に水を加え、全量を篩網上へ注ぐ。タルク全量を篩網上へ移した時点から2分間、篩を静かに振り動かし、水シャワーを網上の残分にあてるようにして篩通しを行う。篩通し終了後、篩網上の残分を篩網中央へ集め、乾いた布で篩に付着している水を拭き取り、篩ごと105℃の温度で30分間乾燥する。乾燥後放冷し、篩網上の残分を秤量し、次式により水洗い残分(質量%)を求める。
水洗い残分(質量%)=篩網上のタルクの質量(g)/50(g)×100
水洗い残分(質量%)=篩網上のタルクの質量(g)/50(g)×100
また、水洗い残分の平均粒子径の測定は、上記の方法で篩上に残ったタルクについて、走査型電子顕微鏡を用いて行う。200個以上の粒子について、例えば、100〜500倍の倍率で観察し、それらの粒子の最大径を算術平均した値をいう。
本発明で用いる圧縮タルク(C)に用いるタルクは含水ケイ酸マグネシウムであり、その化学組成は、特に制限されないが、通常SiO2を58〜66質量%、MgOを28〜35質量%、H2Oを約5質量%含んでいる。また、通常その他少量成分としてFe2O3が0.03〜1.2質量%、Al2O3が0.05〜1.5質量%、CaOが0.05〜1.2質量%、K2Oが0.2質量%以下、Na2Oが0.2質量%以下等含有しており、比重は約2.7である。
[酸化防止剤(D)]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤(D)を含有することが好ましい。その量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(D)を0.01〜2質量部であることが好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤(D)を含有することが好ましい。その量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも一種の酸化防止剤(D)を0.01〜2質量部であることが好ましい。
ヒンダードフェノール系酸化防止剤の例としては、1,6−ヘキサンジオールビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト等のトリアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル−ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル−ホスファイト)、ジ−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の耐熱性ホスファイト類等が挙げられる。
ホスファイト系酸化防止剤としては、トリフェニルホスファイト、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト等のトリアリルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライル−ビス−(2,4−ジ−t−ブチルフェニル−ホスファイト)、ジ−(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の耐熱性ホスファイト類等が挙げられる。
酸化防止剤(D)は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
酸化防止剤(D)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは0.01〜2質量部である。酸化防止剤(D)の含有量が0.01質量部未満であると、樹脂組成物の熱安定性や相溶性の改良が期待しにくく、成形時の分子量の低下や色相悪化が起こりやすく、2質量部を超えると、過剰量となりシルバーの発生や、色相悪化が更に起こりやすくなる傾向がある。酸化防止剤(D)の含有量は、より好ましくは0.1〜1質量部である。
[離型剤(E)]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、金型からの離型性をさらに高め、離型ムラによる反射率の低下を効果的に抑制するという点から、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、金属膜密着性を阻害しにくいという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、金型からの離型性をさらに高め、離型ムラによる反射率の低下を効果的に抑制するという点から、離型剤を配合することが好ましい。離型剤としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂に通常使用される既知の離型剤が利用可能であるが、中でも、金属膜密着性を阻害しにくいという点で、ポリオレフィン系化合物、脂肪酸エステル系化合物及びシリコーン系化合物から選ばれる1種以上の離型剤が好ましい。
ポリオレフィン系化合物としては、パラフィンワックス及びポリエチレンワックスから選ばれる化合物が挙げられ、中でも、ポリオレフィン系化合物の分散が良好であるという点から、質量平均分子量が、700〜10000、更には900〜8000のポリエチレンワックスが好ましい。
また、ポリオレフィン系化合物は、カルボキシル基(カルボン酸(無水物)基、即ちカルボン酸基及び/又はカルボン酸無水物基を表す。以下同様。)、ハロホルミル基、エステル基、カルボン酸金属塩基、水酸基、アルコシル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等の、ポリブチレンテレフタレート樹脂と親和性のある官能基を付与することが好ましい。この濃度は、ポリオレフィン系化合物の酸価として、1〜40mgKOH/gであることが好ましく、2〜30mgKOH/gがより好ましい。
本発明の樹脂組成物を光反射体用基体とし、真空蒸着等により光反射層として金属薄膜を形成する場合において、アンダーコート等の前処理(下塗り)を行う場合は、ポリオレフィン系化合物の酸価は15〜40mgKOH/gであることが好ましく、20〜30mgKOH/gがより好ましい。アンダーコート等の下塗りを行わず、光反射体用基体に直接光反射層を形成する場合は、ポリオレフィン系化合物の酸価は1mgKOH/gを超えて10mgKOH/g未満が好ましく、中でも2〜9mgKOH/g、さらには2〜8mgKOH/g、特に3〜8mgKOH/gであることが好ましい。
また、揮発分が少なく、同時に離型性の改良効果も著しい点で、ポリオレフィン系化合物としては、酸化ポリエチレンワックスが好ましい。
なお、酸価は、0.5mol KOHエタノール溶液による電位差滴定法(ASTM D1386)に従って測定することができる。
本発明の樹脂組成物を光反射体用基体とし、真空蒸着等により光反射層として金属薄膜を形成する場合において、アンダーコート等の前処理(下塗り)を行う場合は、ポリオレフィン系化合物の酸価は15〜40mgKOH/gであることが好ましく、20〜30mgKOH/gがより好ましい。アンダーコート等の下塗りを行わず、光反射体用基体に直接光反射層を形成する場合は、ポリオレフィン系化合物の酸価は1mgKOH/gを超えて10mgKOH/g未満が好ましく、中でも2〜9mgKOH/g、さらには2〜8mgKOH/g、特に3〜8mgKOH/gであることが好ましい。
また、揮発分が少なく、同時に離型性の改良効果も著しい点で、ポリオレフィン系化合物としては、酸化ポリエチレンワックスが好ましい。
なお、酸価は、0.5mol KOHエタノール溶液による電位差滴定法(ASTM D1386)に従って測定することができる。
脂肪酸エステル系化合物としては、グリセリン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類等の脂肪酸エステル類やその部分鹸化物などが挙げられ、中でも、炭素数11〜28、好ましくは炭素数17〜21の脂肪酸で構成されるモノ又はジ脂肪酸エステルが好ましい。具体的には、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノベヘネート、グリセリンジベヘネート、グリセリン−12−ヒドロキシモノステアレート、ソルビタンモノベヘネート、ぺンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリストールジステアレート等が挙げられる。
また、シリコーン系化合物としては、ポリブチレンテレフタレート樹脂との相溶性などの点から、変性されている化合物が好ましい。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖に有機基を導入したシリコーンオイル、ポリシロキサンの両末端及び/又は片末端に有機基を導入したシリコーンオイルなどが挙げられる。導入される有機基としては、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などが挙げられ、好ましくはエポキシ基が挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ポリシロキサンの側鎖にエポキシ基を導入したシリコーンオイルが特に好ましい。
離型剤(E)の含有量は、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、好ましくは、0.05〜2質量部である。0.05質量部未満であると、溶融成形時の離型不良により表面性が低下する傾向があり、一方、2質量部を超えると、樹脂組成物の練り込み作業性が低下し、また成形品表面に曇りが見られる場合がある。離型剤の含有量は、好ましくは0.07〜1.5質量部、さらに好ましくは0.1〜1.2質量部である。
[その他含有成分]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、ドリップ防止剤、圧縮タルク以外の強化充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、種々の添加剤を含有していても良い。このような添加剤としては、難燃剤、難燃助剤、ドリップ防止剤、圧縮タルク以外の強化充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤等が挙げられる。
[ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明に用いる樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)又は熱可塑性樹脂(B)の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの他の成分を配合して溶融混練してもよい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物の製造方法としては、樹脂組成物調製の常法に従って行うことができる。通常は各成分及び所望により添加される種々の添加剤を一緒にしてよく混合し、次いで一軸又は二軸押出機で溶融混練する。また各成分を予め混合することなく、ないしはその一部のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練し、本発明に用いる樹脂組成物を調製することもできる。さらには、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)又は熱可塑性樹脂(B)の一部に他の成分の一部を配合したものを溶融混練してマスターバッチを調製し、次いでこれに残りの他の成分を配合して溶融混練してもよい。
溶融混練に際しての加熱温度は、通常220〜300℃の範囲から適宜選ぶことができる。温度が高すぎると分解ガスが発生しやすくなる場合がある。それ故、剪断発熱等に考慮したスクリュー構成の選定が望ましい。混練り時や、後行程の成形時の分解を抑制する為、酸化防止剤や熱安定剤の使用が望ましい。
[成形品]
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を用いて成形品を製造する方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも射出成形が好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を用いて成形品を製造する方法は、特に限定されず、ポリエステル樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法等が挙げられる。中でも射出成形が好ましい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、特に光反射体用基体として好適である。
光反射体は、車両(自動車)用灯具(ランプ)等におけるハウジング、リフレクター、エクステンションリフレクターや、家電照明器具等などの光を反射させるための反射体である。ランプ光源の方向性、反射性のために、高い輝度感、平滑性、均一な反射率、さらには光源からの発熱に耐えうる高耐熱性等が要求され、樹脂組成物を成形した基体上に光反射層を有するものである。
なお、エクステンションリフレクターとは、車両用灯具のボディとカバー(またはアウターレンズ)とで形成される灯室内の、ランプの周囲に設けられ、少なくとも一主面に鏡面処理が施される、灯具の一構成部品であって、灯具を外部から観察したときに灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させる目的、および/または、1つのランプから隣接するランプ側へ漏洩する光を遮断して各ランプによる表示の視認性を高める目的で使用されるものである。単にエクステンションとも呼ばれ、自動車用灯具のエクステンションとしては、前照灯や尾灯に多用されているが、特に限定されず、その他、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(いわゆるウインカー)、車幅灯、後退灯なども含む。
光反射体は、車両(自動車)用灯具(ランプ)等におけるハウジング、リフレクター、エクステンションリフレクターや、家電照明器具等などの光を反射させるための反射体である。ランプ光源の方向性、反射性のために、高い輝度感、平滑性、均一な反射率、さらには光源からの発熱に耐えうる高耐熱性等が要求され、樹脂組成物を成形した基体上に光反射層を有するものである。
なお、エクステンションリフレクターとは、車両用灯具のボディとカバー(またはアウターレンズ)とで形成される灯室内の、ランプの周囲に設けられ、少なくとも一主面に鏡面処理が施される、灯具の一構成部品であって、灯具を外部から観察したときに灯室内全体を鏡面色に見せて見栄えを向上させる目的、および/または、1つのランプから隣接するランプ側へ漏洩する光を遮断して各ランプによる表示の視認性を高める目的で使用されるものである。単にエクステンションとも呼ばれ、自動車用灯具のエクステンションとしては、前照灯や尾灯に多用されているが、特に限定されず、その他、前照灯(ヘッドランプ)、尾灯(テールランプ)、制動灯(ストップランプ)、方向指示灯(いわゆるウインカー)、車幅灯、後退灯なども含む。
光反射体の光反射層は、通常、金属蒸着等によって形成される金属薄膜であり、光反射体用基体の表面に形成される。金属蒸着の方法は特に制限はなく、従来公知の任意の方法を用いればよい。例えば、以下に示す方法が挙げられる。
光反射体用基体を真空状態下の蒸着装置内に静置し、アルゴン等の不活性ガスと酸素を導入後、光反射体用基体の表面にプラズマ活性化処理を施す。次に蒸着装置内においてターゲットを担持した電極に通電し、チャンバー内に誘導放電したプラズマによりスパッタしたスパッタ粒子(例えば、アルミニウム粒子)を光反射体用基体に付着させる。さらに必要に応じて、アルミニウム蒸着膜の保護膜として、珪素を含むガスをプラズマ重合処理するか、または酸化珪素をイオンプレーティング法等により、アルミニウム蒸着膜の表面に付着してもよい。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物を用いて成形された光反射体用基体は、光反射体用基体の表面に、アンダーコートを形成することなく、直接、金属薄膜を設ける場合に、特に有用である。つまり、本発明の樹脂組成物を用いて成形された光反射体用基体は、表面性に優れ、その表面にプライマー処理を施さずに直接に金属蒸着しても、金属薄膜との接着性に優れ、良好な光沢表面が得られる。さらに、射出成形時においても、光反射体用基体の金型からの離型性が高いので、金型の転写むらの発生も抑制できる。
金属薄膜に用いられる金属としては、例えば、クロム、ニッケル、アルミニウムなどが挙げられ、中でもアルミニウムが好ましい。なお、光反射体用基体の表面と金属薄膜との接着力を上げるために、蒸着前に、光反射体用基体の表面を洗浄、脱脂してもよい。
以下、実施例を示して本発明について更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
以下の実施例及び比較例において、使用した成分は、以下の表1の通りである。
(実施例1〜4、比較例1〜6)
表1に示す各成分を下記表2に示す割合(質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α、L/D=52.5)を使用し、シリンダー設定温度260℃の条件で、押出速度を適宜調整し押出してペレット化し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、型締め力が80tonの射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX80)を用い、シリンダー温度260℃、金型形状が60mm×60mm×3mmの鏡面金型を用い、金型温度50℃で成形して、表面外観及びフォギング性評価用の成形品(光反射体用基体)を得た。
表1に示す各成分を下記表2に示す割合(質量部)にて、タンブラーミキサーで均一に混合した後、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α、L/D=52.5)を使用し、シリンダー設定温度260℃の条件で、押出速度を適宜調整し押出してペレット化し、ポリブチレンテレフタレート樹脂組成物のペレットを得た。
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、型締め力が80tonの射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX80)を用い、シリンダー温度260℃、金型形状が60mm×60mm×3mmの鏡面金型を用い、金型温度50℃で成形して、表面外観及びフォギング性評価用の成形品(光反射体用基体)を得た。
[試験・評価方法]
・表面外観(金型温度50℃):
上記成形品の表面外観を目視にて観察し、成形品表面の平滑性が高く、曇りのないものを◎、成形品表面のタルク凝集物や曇りのないものを○、凝集物が少しあるものを△+、ガスによる曇りやフローマークのあるものを△−、凝集物が多いものを×として評価した。
・表面外観(金型温度50℃):
上記成形品の表面外観を目視にて観察し、成形品表面の平滑性が高く、曇りのないものを◎、成形品表面のタルク凝集物や曇りのないものを○、凝集物が少しあるものを△+、ガスによる曇りやフローマークのあるものを△−、凝集物が多いものを×として評価した。
・フォギング性:
上記成形品を粉砕しペレット大とし、試験管(φ20×160mm)に10g入れ、180℃に温度調節したフォギング試験機(GLサイエンス社製中型恒温槽L−75改良機)にセットした。さらに、上記試験管に、耐熱ガラス(テンパックスガラスφ25×2mmt)の蓋をした後、耐熱ガラス部を25℃雰囲気に温度調節し、180℃で20時間、熱処理を実施した。熱処理後、ガラス板内側には樹脂組成物より昇華した分解物等による付着物が析出した。熱処理終了後、耐熱ガラスの付着物の状態を肉眼で観察し、以下の3段階の基準で評価した。
A:ガラスプレートへの付着、曇りはほとんど無く、目視にて透過像が鮮明に認識できる。
B:ガラスプレートへの付着、曇りはややあり、透過像は多少ぼやけるが目視にて認識できる。
C:ガラスプレートへの付着、曇りが多く、透過像は認識できない。
上記成形品を粉砕しペレット大とし、試験管(φ20×160mm)に10g入れ、180℃に温度調節したフォギング試験機(GLサイエンス社製中型恒温槽L−75改良機)にセットした。さらに、上記試験管に、耐熱ガラス(テンパックスガラスφ25×2mmt)の蓋をした後、耐熱ガラス部を25℃雰囲気に温度調節し、180℃で20時間、熱処理を実施した。熱処理後、ガラス板内側には樹脂組成物より昇華した分解物等による付着物が析出した。熱処理終了後、耐熱ガラスの付着物の状態を肉眼で観察し、以下の3段階の基準で評価した。
A:ガラスプレートへの付着、曇りはほとんど無く、目視にて透過像が鮮明に認識できる。
B:ガラスプレートへの付着、曇りはややあり、透過像は多少ぼやけるが目視にて認識できる。
C:ガラスプレートへの付着、曇りが多く、透過像は認識できない。
・成形収縮率(金型温度80℃):
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX80)を用い、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件下で、縦100mm、横100mm、厚み2mmの平板をフィルムゲート金型により成形し、流れの直角方向(TD)の成形収縮率(単位:%)を測定した。
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、射出成形機(日精樹脂工業社製、NEX80)を用い、シリンダー温度260℃、金型温度80℃の条件下で、縦100mm、横100mm、厚み2mmの平板をフィルムゲート金型により成形し、流れの直角方向(TD)の成形収縮率(単位:%)を測定した。
・離型性:
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、住友重機械工業社製SE−50成形機を用い、直径55mm、深さ35mm、厚み1.5mmの金型を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で連続成形し、以下の3段階の基準で離型性を評価した。
○:30ショット以上、不良発生無く連続成形できる。
△:10〜30ショット内で離型不良が発生する(コアへの抱き付きによるエジェクトピン突き抜け)。
×:離型不良により連続成形できない。
得られたペレットを、射出成形前に120℃、6時間乾燥し、住友重機械工業社製SE−50成形機を用い、直径55mm、深さ35mm、厚み1.5mmの金型を用いて、シリンダー温度270℃、金型温度80℃で連続成形し、以下の3段階の基準で離型性を評価した。
○:30ショット以上、不良発生無く連続成形できる。
△:10〜30ショット内で離型不良が発生する(コアへの抱き付きによるエジェクトピン突き抜け)。
×:離型不良により連続成形できない。
・押出生産性:
得られたペレットを二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α、L/D=52.5)を用いて、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等の問題がなく、スムーズに押出可能な樹脂組成物の最大吐出量(kg/hr)から、以下のようにして評価した。なお、シリンダー温度は260℃の設定で行った。
○:25kg/hr以上
△:15超〜25kg/hr未満
×:15kg/hr以下
得られたペレットを二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α、L/D=52.5)を用いて、ホッパーでの詰まり、押出機への食い込み不良等の問題がなく、スムーズに押出可能な樹脂組成物の最大吐出量(kg/hr)から、以下のようにして評価した。なお、シリンダー温度は260℃の設定で行った。
○:25kg/hr以上
△:15超〜25kg/hr未満
×:15kg/hr以下
・押出作業性
移し替え作業や押出機運転中における、樹脂組成物調製時のタルクの飛散・粉塵の発生による作業環境の悪化度合について、周囲の粉塵濃度を測定し、粉塵濃度(mg/m3)が、0.05mg/m3以下を◎、0.05超〜0.1mg/m3未満を○、0.1以上〜0.3mg/m3未満を△、0.3mg/m3以上を×として評価した。
なお、粉塵濃度は、柴田科学(株)製のデジタル粉塵計P−5H型使用して測定した。
移し替え作業や押出機運転中における、樹脂組成物調製時のタルクの飛散・粉塵の発生による作業環境の悪化度合について、周囲の粉塵濃度を測定し、粉塵濃度(mg/m3)が、0.05mg/m3以下を◎、0.05超〜0.1mg/m3未満を○、0.1以上〜0.3mg/m3未満を△、0.3mg/m3以上を×として評価した。
なお、粉塵濃度は、柴田科学(株)製のデジタル粉塵計P−5H型使用して測定した。
・総合評価
総合評価として、以下のA〜Fの基準で判定した。
A:生産性、成形性、製品品質共に優れ、エクステンション用途に適している。
B:Aに比べ、成形性はやや劣るものの、生産性、製品品質に優れ、エクステンション用途として使用できる。
C:表面外観が悪く、良外観を要求されるエクステンション用途には適さない。
D:発生ガスが多く、製品品質、成形性に劣るため、エクステンション用途には適さない。
E:生産性に劣り、エクステンション用途には適さない。
F:生産性、成形性、製品品質共に劣り、エクステンション用途には適さない。
以上の評価結果を、以下の表2に示す。
総合評価として、以下のA〜Fの基準で判定した。
A:生産性、成形性、製品品質共に優れ、エクステンション用途に適している。
B:Aに比べ、成形性はやや劣るものの、生産性、製品品質に優れ、エクステンション用途として使用できる。
C:表面外観が悪く、良外観を要求されるエクステンション用途には適さない。
D:発生ガスが多く、製品品質、成形性に劣るため、エクステンション用途には適さない。
E:生産性に劣り、エクステンション用途には適さない。
F:生産性、成形性、製品品質共に劣り、エクステンション用途には適さない。
以上の評価結果を、以下の表2に示す。
上記表2の結果から明らかなとおり、実施例の樹脂組成物を用いた成形品は、表面外観、フォギング性、成形収縮率、離型性、押出生産性および押出作業性の全てに優れたものであり、優れた樹脂製光反射体用基体が得られることが分かる。
一方、表2の比較例においては、上記の全ての点に優れるものではなく、樹脂製光反射体用基体としては不適切であることが分かる。
一方、表2の比較例においては、上記の全ての点に優れるものではなく、樹脂製光反射体用基体としては不適切であることが分かる。
本発明のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物は、表面外観、フォギング性、成形収縮率、離型性、押出生産性および押出作業性の全てに優れているので、車両(自動車)用灯具(ランプ)等におけるハウジング、リフレクター、エクステンションリフレクターや、家電照明器具等などの光を反射させるための反射体等に特に好適に利用でき、産業上の利用性は非常に高いものがある。
Claims (10)
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、ポリブチレンテレフタレート樹脂以外の熱可塑性ポリエステル樹脂(b1)及びビニル系熱可塑性樹脂(b2)から選ばれる少なくとも1種以上の熱可塑性樹脂(B)10〜50質量部、平均一次粒子径が0.1〜10μm、嵩密度が0.75g/mlを超えて0.83g/ml未満の圧縮タルク(C)10〜50質量部を含有することを特徴とするポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- 圧縮タルク(C)の水洗い残分が5質量%を超えて30質量%未満であり、且つ、水洗い残分の平均粒子径が100μm以下である請求項1に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- さらに、ヒンダードフェノール系及びホスファイト系から選ばれる少なくとも1種の酸化防止剤(D)を、ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜2質量部含有する請求項1又は2に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (b1)成分と(b2)成分の質量比(b1/b2)が、1を超えて5以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- (b1)成分がポリエチレンテレフタレート樹脂、(b2)成分がアクリロニトリル−スチレン共重合樹脂である請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- ポリブチレンテレフタレート樹脂(A)の末端カルボキシル基量が50eq/ton以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- 樹脂製光反射体用基体に用いることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物。
- 請求項7に記載の樹脂組成物を成形してなる樹脂製光反射体用基体。
- エクステンションリフレクター用である請求項8に記載の樹脂製光反射体用基体。
- 請求項8又は9に記載の樹脂製光反射体用基体上に光反射層を有する光反射体。
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JP2013038152A JP2014162916A (ja) | 2013-02-28 | 2013-02-28 | ポリブチレンテレフタレート系樹脂組成物及び樹脂製光反射体用基体 |
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JP2017155147A (ja) * | 2016-03-02 | 2017-09-07 | 三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社 | ポリエステル系樹脂組成物 |
-
2013
- 2013-02-28 JP JP2013038152A patent/JP2014162916A/ja active Pending
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