JP2014162520A - 包装体、その製造方法および製造装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】被包装物の収納スペースに連通する狭幅の注出通路を融着接合部の少なくとも一個所に形成するに当たり、融着接合手段を共通のものとして、融着接合手段の製造コストの増加を抑制し、融着接合手段の交換に伴う生産性の低下を防止し、さらには、横方向の融着接合部に注出通路を形成する場合であっても、包装用フィルムの溶融シーラント層の、収納スペースへの過剰の押出しを、融着接合手段による挟持の下での面圧の低下によって防止すること。
【解決手段】包装用フィルムを側方シール、二方シール、三方シールもしくは背貼りシールしてなる包装袋の、収納スペース内へ被包装物を充填するとともに、被包装物充填開口を融着接合させてなり、前記収納スペースに連通する狭幅の注出通路を縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に画成してなるものであって、注出通路の少なくとも一方の内面だけに、融着接合を阻害する剥離層を設ける。
【選択図】図1

Description

この発明は、粉状物、粒状物、液状物、粘稠物等の被包装物を充填包装してなる包装体、それの製造方法および製造装置に関するものであり、とくには、被包装物の収納スペースに連通する狭幅の注出通路を縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に形成するに当たり、注出通路の平面形態を任意のものとすることができる一方で、注出通路の平面形態のいかんにかかわらず、融着接合手段、たとえばヒートシール板の形状を単純な共通のものとしてヒートシール板の製造コストを低減させるとともに、ヒートシール板の交換に伴う生産性の低下を防止し、併せて、横方向の融着接合部に注出通路を画成する場合にあっても、該注出通路の側方域での、包装用フィルムのシーラント層の、収納スペース内への過剰の押し出しを防止することのできる技術を提案するものである。
従来のこの種の包装袋としては、特許文献1に開示されたものがある。これは、ゴルフバックを収納する袋、スキー板を収納する袋、布団を収納する袋等の袋の収納部の形状によらず、製造コストの増加を防止し、また、製袋速度を高めることを目的とするものであり、この袋は、重ね合わされるフィルムを、収納開口を残して固着して構成されるものであって、少なくとも一方のフィルムの内面の、他方のフィルムとの固着部分を除いた部分には、他方のフィルム内面と固着しない、好ましくは、高い耐熱性を有するメジウムからなる剥離インクが塗布されていることを特徴とするものである。
特開2005−47041号公報
しかるに、これらの特許文献1に開示された包装袋は、ゴルフバック等の収納開口を残して、包装袋の収納部の少なくとも一方のフィルム内面に剥離インクを塗布したものであるので、袋の収納部の形状によらず、製造コストの増加を防止し、製袋速度を高めることができるとするも、この特許文献には、包装袋の収納部に連通する狭幅の注出通路を設けることについては何の言及もなく、ましてや、その注出通路だけに、融着接合を阻害する剥離層を設ける点についての示唆すらもないので、狭幅の注出通路を形成して被包装物を収納した包装体を構成する場合は、シールバー等の融着接合手段の形状を、注出通路の平面形態に応じたものとする必要があり、それ故に、製造コストの増加を、所期したほどには抑制することができず、また該シールバー等の交換作業時間のために、包装体の製造速度を、これも所期したほどには高めることができないという問題があった。
この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題としてなされたものであり、被包装物の収納スペースに連通する狭幅の注出通路を融着接合部の少なくとも一個所に形成するに当たり、注出通路の平面形態を任意の所要形態とすることができる一方で、注出通路の平面形態のいかんにかかわらず、ヒートシール板等とすることができる融着接合手段の形状を単純にして共通のものとして、融着接合手段の製造コストの増加を十分に抑制し、また、融着接合手段の交換に伴う生産性の低下を防止し、さらには、横方向の融着接合部に注出通路を形成する場合であっても、包装用フィルムの溶融シーラント層の、収納スペースへの過剰の押出しを、融着接合手段による挟持の下での面圧の低下によって有効に防止できる包装体、それの製造方法および製造装置を提供するにある。
この発明の包装体は、シーラント層を具える積層構造の包装用フィルムの一枚もしくは二枚を、側方シール、二方シール、三方シール、背張りシール等によって、シーラント層で融着接合させて製袋してなる包装袋の、被包装物充填開口から収納スペース内へ被包装物を充填するとともに、被包装物充填開口を融着接合させてなり、前記収納スペースに連通する狭幅の注出通路を縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に画成してなる包装体であって、注出通路の少なくとも一方の内表面だけに、融着接合を阻害する剥離層を設けてなる包装体である。
ここで好ましくは、剥離層をインク塗膜層により構成し、また好ましくは、剥離層の配設域の包装用フィルムの融着接合強度を、他の融着接合部の所要の強度の0〜50%の範囲とする。
なお、剥離層をインクジェットプリンタによる印刷層にて形成することは、プリンタのコントロールにより、剥離層の形成形態を簡易に選択する上で好ましい。
また、剥離層を可食性のインク層により形成することは、収納スペース内への充填包装物が飲食物等であっても、人体への影響を無くする上で好ましく、この場合、剥離層を、食品素材および食品添加物の少なくとも一方からなるインク層により形成することもでき、これらのいずれによっても、人体への影響を十分に取り除くことができる。
この発明の、包装体の製造方法は、シーラント層を具える積層構造の軟質の包装用フィルムを、原反ロールから、たとえば一定速度で連続的に繰り出し走行させつつ、該包装用フィルムを幅方向に半折してシーラント層が相互に対向する姿勢とするに先立って、シーラント層の、幅方向の少なくとも一方の半部となる表面の所要の領域に、融着接合を阻害する剥離層を、包装用フィルムの走行方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態で形成するとともに、半折包装用フィルムの遊端部分を縦方向に融着接合させて、筒状に形成された半折包装用フィルムの内側へ、粉状物、粒状物、液状物、粘稠物等の所要の被包装物を間欠的もしくは連続的に充填しつつ、包装用フィルムの走行方向に所定の間隔をおいて、半折包装用フィルムの全幅にわたる横方向の融着接合部を形成して、縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に、前記剥離層の介在下で、被包装物の収納スペースに連通する狭幅注出通路を区画し、このことにて形成される連続包装体を、所要の個数づつの包装体に切断分離するにある。
ここで剥離層は、インクの塗布、すなわち印刷によって形成することが、剥離層の平面形態のいかんにかかわらず、剥離層を能率的に形成する上で好ましい。
そして、インクの塗布は、インクジェットプリンタの少なくとも一つのプリントヘッドにより行うことが、離層の融着接合強度を、所要に応じて調整する上で好ましく、複数のプリントヘッドでインクの塗布を行うことが、広い平面積の剥離層を形成したり、それらのプリントヘッドの機能分離の下で、迂曲した剥離層を能率的に形成したりする上で好ましい。
また好ましくは、前記剥離層は、可食性インクの塗布によって形成する。これによれば、袋内被包装物を飲食物とし、該飲食物を注出通路を経て注出しても、人体に及ぼす影響を殆ど、もしくは全く無くすることができる。
この発明の、包装体の製造装置は、シーラント層を具える、多くは積層構造の包装用フィルムを原反ロールから、たとえば一定速度で連続的に繰り出す、自動充填包装機の繰出し軸と、包装用フィルムを、シーラント層から相互に対向する姿勢に半折する、自動充填包装機のフィルム折り返し手段との間で、縦シール手段、被包装物充填手段および横シール手段の配設位置より上流側の部分に、シーラント層の幅方向の少なくとも一方の半部表面の所要の領域に、包装用フィルムの繰出し方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態の剥離層を形成する、インクジェットプリンタの少なくとも一のプリントヘッドを配設し、より好ましくは、横シール手段の配設位置より下流側の部分に、連続状態で製造される包装体を所要の個数づつに切断分離する切断手段を配設してなるものである。
ここで好ましくは、前記プリントヘッドの少なくとも一個を、包装用フィルムの幅方向に変位可能として、剥離層の包装用フィルムの幅方向への広がりを許容する。
また好ましくは、シーラント層の、相互に対向する半部表面のそれぞれに剥離層を形成するそれぞれのプリントヘッドを配設して、融着接合されるそれぞれのシーラント層に、たとえば相互に対向する剥離層を形成して、融着接合強度のより十分な低下を実現する。
この一方で、それぞれのプリントヘッドで、融着接合されるそれぞれのシーラント層に、互いに齟齬をきたす剥離層を形成することは、剥離層の形成能率を高める上で好ましい。
そしてまた好ましくは、可食性の剥離層を印刷形成する一以上のプリントヘッドを設けて、袋内被包装物を飲食物とした場合にも、注出通路を経て注出されたその飲食物の安全性を十分に担保する。
この発明の包装体では、たとえば一枚の包装用フィルムを半折して、遊端部分を融着接合させてなる、または、二枚の包装用フィルムの両側部分を縦方向に融着接合させてなる筒状の収納スペースに連通する狭幅の注出通路の内面だけに、融着接合を阻害する剥離層を設けて、強固な融着接合を防止することにより、注出通路の平面形態および寸法のいかんにかかわらず、縦方向融着接合手段および/または横方向融着接合手段を単純な形態を有し、各種の注出通路に共通のものとすることができる。
従って、融着接合手段の製造コストの増加を抑制できるとともに、融着接合手段を適正なものに交換するに要する工数を省いて、生産性の低下を有効に防止することができる。
しかも、この発明の包装体では、方形表面その他の単純な形態の融着接合手段の表面の全体で包装用フィルムを挟持することができるので、融着接合手段に、注出通路の画成のための、融着接合に寄与しない切欠き、ないしは削り取り部分を設ける場合に比して、包装用フィルムに及ぼす面圧を有効に低減させることができ、これがため、包装用フィルムの溶融シーラント層の、収納スペース内への過剰の押出しを有効に防止することができる。
ここで剥離層を、インク塗膜すなわち印刷によって形成するときは、剥離層の平面形態のいかんにかかわらず、該剥離層を所期した通りに能率的に形成することができる。
また、剥離層の配設域の包装用フィルムの融着接合強度を、所要の融着接合強度の0〜50%の範囲とした場合には、収納スペースに連通する狭幅の注出通路を経て袋内被包装物を注出するに当たり、所要の融着接合強度を有する部分に何の影響をも及ぼすことなく剥離層の配設域の剥離に基づいて該被包装物を簡易に、かつ所要の個所へ適正に注出することができる。
なおこの場合の、剥離層の融着接合強度は、インクの濃度や印刷されるドットの寸法、数、密度等を選択することで適宜に調整することができる。
そして、剥離層をインクジェットプリンタによる印刷層で形成する場合は、インクジェットプリンタへの入力をコントロールすることで、所要の平面形態の剥離層を簡易・迅速に、かつ正確に形成することができ、版胴等を新たに製造するためのコストを低減させ、また、版胴等の交換作業を不要にすることができる。
ここで、剥離層を可食性のインク層により形成したときは、袋内被包装物を飲食物とし、該飲食物を剥離層を設けた注出通路を経て注出した場合であっても、人体への影響を有効に取り除くことができる。
この場合、剥離層は、食品素材および食品添加物の少なくとも一方からなるインク層にて形成することができる他、食品素材と食品添加物との混合物、たとえば、エタノールと、水と、炭酸アンモニウムとの混合物からなるインク層により形成することもできる。
この発明の、包装体の製造方法では、繰出し走行される包装用フィルムが幅方向に半折されてシーラント層が相互に対向する姿勢とされるに先立って、シーラント層の表面に剥離層を形成することにより、シーラント層の所定位置に、所要の平面形態の剥離層を、所期した通りに正確に形成することができ、上述した包装体を、自動充填包装機等をもって、優れた生産能率の下に連続的に形成することができる。
ここで、剥離層を、インクの塗布による印刷によって形成する場合は、剥離層の平面形態のいかんにかかわらず、剥離層を能率的に形成することができる。
そして、インクの塗布をインクジェットプリンタの少なくとも一のプリントヘッドにより行うときは、量の多少にかかわらず、インクジェットプリンタへの入力コントロールにより、所要の形態の剥離層を簡易・迅速に形成することができ、プリントヘッドを複数配設した場合は、剥離層をより広範囲にわたって形成することができ、また、プリントヘッドの使い分け等により、複雑な形態の剥離層を設けることもできる。
また、剥離層を可食性インクの塗布によって形成する場合は、袋内被包装物がたとえ飲食物であっても、その飲食物を剥離層を設けた注出通路を経て注出しても、人体への影響をほとんど無くすることができる利点がある。
そして、この発明の包装体の製造装置では、繰出し軸と、一枚の包装用フィルムを半折するフィルム折り返し手段との間に、剥離層を形成するインクジェットプリンタの、少なくとも一のプリントヘッドを配設することにより、所要の剥離層をそれの寸法、形状等のいかんにかかわらず、インクジェットプリンタへの入力のコントロールによって確実に形成することができ、このことは、複数のプリントヘッドを配設したときにより効果的である。
このような装置において、プリントヘッドを包装用フィルムの幅方向に変位可能とした場合は、とくには、プリントヘッドのその変位を自動化することにより、プリントヘッドの配設個数を減じてなお、プリントヘッドの移動下で、所要の剥離層を所期した通りに、より確実に形成することができる。
また、包装用フィルムのシーラント層の、相互に対向する半部表面のそれぞれに剥離層を形成するそれぞれのプリントヘッドを配設した場合は、剥離層の形成域での該シーラント層の融着接合強度を、よりきめ細かに調整することができる他、それぞれの半部表面での剥離層の形成域を相互に相違させることで、所要の剥離層の形成能率を高めることができる。
さらに、可食性の剥離層を印刷形成する一以上のプリントヘッドを配設した場合は、先にも述べたように、注出通路を経て注出される飲食物としての被包装物に対する安全性を十分に高めることができる。
包装体の実施形態を示す正面図および縦断面図である。 包装体の他の実施形態を示す正面図である。 包装体のさらに他の実施形態を示す正面図である。 包装体の製造装置の実施形態を示す略線正面図である。
以下にこの発明の実施の形態を図面に示すところに基づいて説明する。
図1に示す包装体1は、合成樹脂延伸ベースフィルム層の片面側にシーラント層を具える軟質の一枚の包装用フィルムを、その幅方向の中央部で半折してシーラント層が相互に対向する姿勢とした状態で、図に斜線を施して示す、縦方向の融着接合部2を設けて筒状に形成し、そしてその筒状包装用フィルムの内側へ、粉状物、粒状物、液状物、粘稠物等とすることができる被包装物を、たとえば連続的に充填するとともに、これも図に斜線を施して示す、底部の横方向融着接合部3および頂部の横方向融着接合部4を順次に形成することで、それぞれの融着接合部2、3、4と、包装用フィルムの折返し部5とで囲繞される収納スペース6内へ被包装物を充填包装してなる。
ここで、包装用フィルムの、合成樹脂延伸ベースフィルム層には、所要の物性の蒸着層および/または所要の文字、図形、記号等の印刷層を設けることができ、また、延伸ベースフィルム層とシーラント層との間には、一層以上の中間層を配設することもできる。
なお、合成樹脂延伸ベースフィルム層およびシーラント層としては、各種の樹脂フィルムを用いることができるが、ベースフィルム層としては、例えば、ナイロン、バリア性共押しナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等を用いることが好ましく、シーラント層としては、例えば、ポリエチレン、未延伸ポリプロピレン、アイオノマー等を用いることが好ましい。
図示のこの包装体1は、収納スペース6に連通する狭幅の注出通路7、8を、縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所、図では底部および頂部の横方向の二個所の融着接合部3、4に区画してなり、注出通路7、8の少なくとも一方の内面だけに、図1(a)の正面図に、梨地状にドットを施して示す、融着接合を阻害する剥離層9(図1(b)参照)を設けてなる。
図1(a)のb−b線に沿う縦断面を示す図1(b)では、注出通路7の一方側の内面だけに剥離層9を設けることとしているも、剥離層9は、該通路7の他方側の内面にも設けることができ、この場合、それぞれの内面の剥離層9は、相互に対応する平面形態を有するものとすることができる他、相互に補完し合う平面形態を有するものとすることもできる。そしてこのことは、注出通路8についても同様である。
なお、剥離層9の平面形態は、所要に応じて各種のものを選択することができ、場合によっては、アニメーションその他のキャラクターに対応するものとすることもできる。
このような剥離層9は、所要の破袋強度等を確保するに十分な、所要の融着接合強度を低減させるべく機能するものであり、いずれか一の注出通路7、8を、ミシン目状の引裂き誘導疵、レーザ加工等による溝状の引裂き誘導疵その他の公知の引裂き誘導疵10に沿って包装体1を引裂きないしは切断することによって開口させた状態の下で、収納スペース6内の被包装物の、注出通路7、8からの注出を妨げない程度の接合強度にすることもできる。
ここで、剥離層9の形成域の融着接合強度を、出願人の先願に係る特願2012−204701号に開示される「易剥離部分5」ほどの強度を有し、被包装物の意図しない漏出を十分に防止する一方で、包装体1への作為的な押圧力の作用の下では、確実に剥離させ得る接合強度としたときは、包装体1の注出通路7、8を開口させるための、引裂き誘導疵10の形成を省くこともできる。
なおこの場合は、いずれか一方の注出通路7、8および剥離層9はともに、包装体1の、横方向の融着接合部3、4の下縁もしくは上縁に達する位置まで形成されることになる。
これはすなわち、双方の注出通路7、8から被包装物が同時に注出される場合は、注出位置のコントロールが難しくなることによる。
ところで、図1(a)に示すところでは、底部および頂部のそれぞれの横方向融着接合部3、4にそれぞれの注出通路7、8を形成することとしているも、これに代えて、もしくは加えて、縦方向の融着接合部2に注出通路を形成することもでき、また、横方向の融着接合部3、4のいずれか一方、または縦方向の融着接合部2のいずれかに単一の注出通路を画成することもできる。
そしてまた同図では、頂部の横方向融着接合部4に形成した注出通路8を、包装用フィルムの折返し部5から幾分離隔した位置に配設することとしているも、該注出通路8は、その折返し部5に隣接させて形成することもでき、これによれば、液状物とすることもできる被包装物の注出時の液切れ性等を高めて、不測の液だれ等の発生のおそれを有効に取り除くことができる。
図2は、包装体1の他の実施形態を示す正面図であり、これは、被包装物の収納スペース6を、包装用フィルムのシーラント層を縦方向に融着接合させてなる隔壁11によって分割室6a、6bに二分割したものであり、少なくとも一方の分割室6a、6bの被包装物を液状物とするとともに、それぞれの分割室6a、6bに連通するそれぞれの狭幅注出通路12a、12bを相互に合流させて単一の注出通路13としたものである。
この包装体1では、たとえば、それぞれの分割室6a、6bに充填包装されるそれぞれの被包装物を、相互に反応する、二液混合タイプの異種の液状物とすることができ、この場合は、各注出通路12a、12b、13の少なくとも一方の内面に配設される剥離層9を、分割室6a、6b内のそれぞれの被包装物の、不測の流通、いいかえれば意図しない混合を阻止するに足る程度の融着接合強度を有するものとすることが必要である。
そして、図3に示す包装体1は、被包装物の多量の注出を可能ならしめるべく、縦方向の融着接合部2に、収納スペース6に連通する狭幅の複数本、図では三本の注出通路14を画成するとともに、注出通路14の少なくとも一方の内面だけに剥離層9を設けたものである。
ここで、注出通路14の本数は、所要に応じて適宜に増減できることはもちろんであり、また、図では幅寸法および長さをともに同一としているそれぞれの注出通路14の各種の寸法を、所要に応じて適宜に変更することもできる。
以上に述べたような包装体1において、任意の方法をもって形成することができる剥離層9は、印刷によって形成されるインク塗膜にて構成することが好ましい。
また、剥離層9の配設域の包装用フィルムの融着接合強度は、注出通路に要求される性能との関連の下で、破袋強度等を確保するに十分な、所要の融着接合強度の0〜50%の範囲とすることが好ましく、該剥離層9は、インクジェットプリンタによる印刷層にて形成することが好ましい。
そしてまた、剥離層9は、可食性のインク層により形成することが好ましく、この場合のインク層は、食品素材および食品添加物の少なくとも一方からなるものとすることができる他、食品素材と食品添加物との混合物、たとえばエタノールが70〜90%、水が5〜20%、炭酸アンモニウムが0.05〜5%の混合物からなるものとすることができる。
図4は、以上のような包装体1を製造するための、この発明に係る製造装置を例示する略線正面図であり、これは、既存の自動充填包装機21に、インクジェットプリンタのプリントヘッド22を一個以上配設してなるものである。
ここで、一般的な自動充填包装機21は、シーラント層およびベースフィルム層を具える積層構造の軟質な包装用フィルムFを巻回してなる原反ロール23を支持するとともに、その原反ロール23から包装用フィルムFを間欠的もしくは連続的に繰出す繰出し軸24と、繰出された包装用フィルムFの走行を案内する複数本のガイドローラ25と、ガイロドーラ25を通過した包装用フィルムFを幅方向の中央部で、シーラント層が相互に対向する姿勢に半折するフィルム折返し手段26と、この折返し手段26によって折返された包装用フィルムFのそれぞれの遊端部分に、たとえば連続的に縦方向の融着接合部2を形成する縦シール手段27と、融着接合部2が形成された筒状の包装用フィルムCFの内側へ、被包装物を間欠的もしくは連続的に充填する充填手段、図では充填ノズル28と、被包装物を充填された筒状の包装用フィルムCFに、底部および頂部の横方向融着接合部3、4のための融着接合部29を形成する横シール手段30とを具える。
また、図示の自動充填包装機21は、上述したところに加え、一対の横シールローラからなる横シール手段30によって形成された融着接合部29を、再度挟持してその融着接合強度を高めるべく機能する第2の横シール手段30aと、間欠的もしくは連続的に製造されて相互に連続する包装体を、一体づつもしくは所要の複数体づつに切断分離するカッター手段31とを具えてなる。
そして、この発明の装置では、上述したような自動充填包装機21の繰出し軸24とフィルム折返し手段26との間で、縦シール手段27、充填ノズル28および横シール手段30、30aの配設位置より手前側の部分に、シーラント層の幅方向の少なくとも一方の半部表面に、包装用フィルムFの繰出し方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態の剥離層9を形成する、インクジェットプリンタの一個以上のプリントヘッド22を配設する。
このような装置において好ましくは、一個以上のプリントヘッド22を、包装用フィルムFの幅方向へ、手動操作によってまたは、インクジェットプリンタからの指令に基づいて自動的に変位可能とする。
また好ましくは、シーラント層の相互に対向する半部表面のそれぞれに剥離層9を形成する一個以上のそれぞれのプリントヘッドを配設する。なお、相互に対向する半部表面のそれぞれに剥離層9を形成する複数のプリントヘッドを配設する場合は、それらのプリントヘッドを相互に同期させて作動させ、それぞれのプリントヘッドにより形成される剥離層9の平面形態を相互に対応するものとすることができる他、それぞれのプリントヘッドにて形成される剥離層9を相互に補完し合うものとすることもでき、前者によれば、インク濃度、ドット寸法等との関連の下で、剥離層9の形成域の融着接合強度をより低減させることができる。
そしてまた好ましくは、可食性の剥離層を印刷形成する一個以上のプリントヘッドを設けて飲食物とすることができる被包装物の注出時の安全性を十分に担保する。
以上のような装置を用いて包装体1を製造するに当たっては、シーラント層を具える、前述したような包装用フィルムFを原反ロール23から、間欠的もしくは連続的に繰出し走行させつつ、その包装用フィルムFを幅方向に半折してシーラント層が相互に対向する姿勢とするに先立って、シーラント層の幅方向の少なくとも一方の半部となる表面の所要の領域に、融着接合を阻害する剥離層9を包装用フィルムFの走行方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態で形成するとともに、半折包装用フィルムFのそれぞれの遊端部分を、縦方向に、たとえば連続的に融着接合させて、筒状に形成された半折包装用フィルムCFの内側へ、所要の被包装物を間欠的もしくは連続的に充填しつつ、包装用フィルムFの走行方向に所定の間隔をおいて、半折包装用フィルムFの全幅にわたる横方向の融着接合部29を形成して、縦方向および横方向の融着接合部2、29の一個所以上に、剥離層9の介在下で被包装物の収納スペース6に連通する狭幅の注出通路7、8を区画形成する。
そして、これらのことによって製造される連続包装体に対しては、カッター手段31をもって、横方向の融着接合部29の中間位置で、一体づつもしくは所要の複数体づつの包装体1に切断分離することが好ましい。
なお、複数体の包装体1を連続させて形成するときは、事後的な引裂き分離等を容易ならしめるべく、各包装体1の境界位置に、ミシン目状疵その他の引裂き誘導疵を設けることが好ましい。
このようにして包装体1を製造するに際しては、剥離層9をインクの塗布によって形成すること、インクの塗布を、インクジェットプリンタの一以上のプリントヘッドをもって行うことおよび、剥離層9を可食性インクの塗布によって形成することが好適である。
ところで、被包装物が液状物、粘稠物等であるときは、充填ノズル28から被包装物を連続的に充填しても、液中シール、夾雑物シール等によって、横方向の融着接合部29を、液密かつ気密に適正に形成することができるも、被包装物が粉状物、粒状物等であるときは、充填ノズル28から間欠的に充填することが、横方向の融着接合部29を適正に形成する上で好ましい。
1 包装体
2 縦方向の融着接合部
3、4 横方向の融着接合部
5 折返し部
6 収納スペース
6a、6b 分割室
7、8、13、14 注出通路
9 剥離層
10 引裂き誘導疵
11 隔壁
12a、12b 狭幅注出通路
21 自動充填包装機
22 プリントヘッド
23 原反ロール
24 繰出し軸
25 ガイドローラ
26 フィルム折返し手段
27 縦シール手段
28 充填ノズル
29 融着接合部
30 横シール手段
30a 第2の横シール手段
31 カッター手段
F 包装用フィルム
CF 筒状包装用フィルム

Claims (15)

  1. シーラント層を具える積層構造の包装用フィルムの一枚もしくは二枚を、シーラント層で融着接合させて製袋してなる包装袋の、被包装物充填開口から収納スペース内へ被包装物を充填するとともに、被包装物充填開口を融着接合させてなり、前記収納スペースに連通する狭幅の注出通路を縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に画成してなる包装体であって、
    注出通路の少なくとも一方の内表面だけに、融着接合を阻害する剥離層を設けてなる包装体。
  2. 前記剥離層を、インク塗膜層により構成してなる請求項1に記載の包装体。
  3. 前記剥離層の配設域の包装用フィルムの融着接合強度を、所要の融着接合強度の0〜50%の範囲としてなる請求項1もしくは2に記載の包装体。
  4. 前記剥離層を、インクジェットプリンタによる印刷層で形成してなる請求項1〜3のいずれかに記載の包装体。
  5. 前記剥離層を、可食性のインク層により形成してなる請求項1〜4のいずれかに記載の包装体。
  6. 前記剥離層を、食品素材および食品添加物の少なくとも一方からなるインク層により形成してなる請求項1〜5のいずれかに記載の包装体。
  7. 前記剥離層を、食品素材と食品添加物との混合物からなるインク層により形成してなる請求項1〜6のいずれかに記載の包装体。
  8. シーラント層を具える積層構造の包装用フィルムを原反ロールから繰出し走行させつつ、該包装用フィルムを幅方向に半折してシーラント層が相互に対向する姿勢とするに先立って、シーラント層の、幅方向の少なくとも一方の半部となる表面の所要の領域に、融着接合を阻害する剥離層を、包装用フィルムの走行方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態で形成するとともに、半折包装用フィルムの遊端部分を縦方向に融着接合させて、筒状に形成された半折包装用フィルムの内側へ被包装物を充填しつつ、包装用フィルムの走行方向に所定の間隔をおいて、半折包装用フィルムの全幅にわたる横方向の融着接合部を形成して、縦方向および横方向の融着接合部の少なくとも一個所に、前記剥離層の介在下で被包装物の収納スペースに連通する狭幅注出通路を区画する包装体の製造方法。
  9. 前記剥離層を、インクの塗布によって形成する請求項8に記載の包装体の製造方法。
  10. インクの塗布を、インクジェットプリンタの少なくとも一のプリントヘッドにより行う請求項9に記載の包装体の製造方法。
  11. 前記剥離層を、可食性インクの塗布によって形成する請求項8〜10のいずれかに記載の包装体の製造方法。
  12. シーラント層を具える積層構造の包装用フィルムを原反ロールから繰出す繰出し軸と、包装用フィルムを、シーラント層が相互に対向する姿勢に半折するフィルム折返し手段との間で、縦シール手段、被包装物充填手段および横シール手段の配設位置より手前側の部分に、シーラント層の幅方向の少なくとも一方の半折表面の所要の領域に、包装用フィルムの繰出し方向に所定の間隔をおいて所要の平面形態の剥離層を形成する、インクジェットプリンタの少なくとも一のプリントヘッドを配設してなる包装体の製造装置。
  13. 前記プリントヘッドを包装用フィルムの幅方向に変位可能としてなる請求項12に記載の包装体の製造装置。
  14. 前記シーラント層の相互に対向する半部表面のそれぞれに剥離層を形成するそれぞれのプリントヘッドを配設してなる請求項12または13に記載の包装体の製造装置。
  15. 可食性の剥離層を印刷形成するプリントヘッドを設けてなる請求項12〜14のいずれかに記載の包装体の製造装置。
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