JP2014161910A - ダイヤモンドダイス - Google Patents
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Abstract
【課題】伸線加工時の抵抗の増大および断線を効果的に防止でき、高品質な伸線加工ができるダイヤモンドダイスを提供する。
【解決手段】金属線の伸線加工を行うための孔がダイヤモンドに設けられたダイヤモンドダイスで、ダイヤモンドは気相合成ダイヤモンドを使用し、孔の形状は、伸線の流れの上流側から下流側に向かってリダクション部、ベアリング部およびバックリリーフ部を有し、リダクション部の開き角度が10°以上14°以下であり、ベアリングの直径Dに対しベアリング部の長さは0.2D以上0.4D以下であり、バックリリーフ部の開き角度は10°以上20°以下である。このダイヤモンドダイスは、伸線加工を行う際の減面率を8%以上25%以下として使用される。
【選択図】 図3
【解決手段】金属線の伸線加工を行うための孔がダイヤモンドに設けられたダイヤモンドダイスで、ダイヤモンドは気相合成ダイヤモンドを使用し、孔の形状は、伸線の流れの上流側から下流側に向かってリダクション部、ベアリング部およびバックリリーフ部を有し、リダクション部の開き角度が10°以上14°以下であり、ベアリングの直径Dに対しベアリング部の長さは0.2D以上0.4D以下であり、バックリリーフ部の開き角度は10°以上20°以下である。このダイヤモンドダイスは、伸線加工を行う際の減面率を8%以上25%以下として使用される。
【選択図】 図3
Description
本発明は、各種線材の伸線加工を行うためのダイヤモンドダイスに関する。
従来、線材の伸線加工用として、ダイスが用いられており、特に精度や寿命を重視する加工においては、加工部位に天然ダイヤモンド、人造単結晶ダイヤモンド、ダイヤモンド焼結体および気相合成ダイヤモンドが用いられている。
特許文献1では、単結晶ダイヤモンドを使用したダイスが記載されている。単結晶ダイヤモンドとして天然ダイヤモンドを使う場合、近年では天然ダイヤモンド素材を安定して入手できなくなっている問題がある。そのため、人造ダイヤモンドを使うことが考えられるが、人造ダイヤモンドを使用したダイヤモンドダイスは天然ダイヤモンドを使用したダイヤモンドダイスに比べると、伸線する線材の材質によっては寿命が短くなる場合があった。
また、ダイヤモンド焼結体を使ったダイヤモンドダイスでは、特に線径が20μm以下のダイスを製作する場合に、焼結体を構成するダイヤモンドの粒径が大きいため1μm単位の加工が困難で、高精度な孔径のダイスを得られない問題があった。
また、ダイヤモンド焼結体を使ったダイヤモンドダイスでは、特に線径が20μm以下のダイスを製作する場合に、焼結体を構成するダイヤモンドの粒径が大きいため1μm単位の加工が困難で、高精度な孔径のダイスを得られない問題があった。
このような問題を解決するものとして、特許文献2および3に記載されたような気相合成ダイヤモンドを使ったダイヤモンドダイスを使用することが考えられた。
しかしながら、特許文献2および3に記載のダイヤモンドダイスを使用しても気相合成ダイヤモンドを使った利点が容易に得られる訳ではなく、特許文献3に孔形状の一例が示されているが、必ずしも好ましい形状とは限らない。
本発明は、気相合成ダイヤモンドを使用したダイヤモンドダイスにおいて、寿命を向上させ、断線が防止できるダイヤモンドダイスを提案するものである。
本発明は、気相合成ダイヤモンドを使用したダイヤモンドダイスにおいて、寿命を向上させ、断線が防止できるダイヤモンドダイスを提案するものである。
本発明のダイヤモンドダイスの第1の特徴は、金属線の伸線加工を行うための孔がダイヤモンドに設けられたダイヤモンドダイスであって、前記ダイヤモンドは、気相合成ダイヤモンドであり、前記ダイヤモンドダイスは、前記孔を規定するように、伸線の流れの上流側から下流側に向かってリダクション部、ベアリング部およびバックリリーフ部を有し、前記孔の中心線に沿った断面における孔の形状において、リダクション部の開き角度が10°以上14°以下であり、ベアリングの直径Dに対しベアリング部の長さは0.2D以上0.4D以下であり、バックリリーフ部の開き角度は10°以上20°以下であることである。
リダクションの開き角度を10°以上とするのは、伸線加工する線材の直径を効率的に絞り込むために必要な角度であり、14°以下とするのは本発明の気相合成ダイヤモンドを使用した場合に伸線加工時に抵抗が大きくなりすぎて断線することを防止するためである。また、ベアリング部の長さを0.2D以上とするのは、伸線加工する線材の直径を精度良く仕上げるために必要な長さであり、0.4D以下とするのは前記のリダクション角度と組み合わせた場合に伸線加工時の抵抗が大きくなりすぎるのを防止して断線防止の効果を高めるためである。さらに、バックリリーフ部の開き角度を10°以上とするのは、伸線加工時の加工液を効率よく排出させるためであり、20°以下とするのは、伸線加工時にベアリング部にかかる抵抗に対してダイヤモンドの強度を確保するためである。
以上のような孔形状にすることで、単結晶ダイヤモンドを使ったダイヤモンドダイスに比べて伸線加工時の抵抗が高くなりやすい気相合成ダイヤモンドを使ったダイヤモンドダイスであっても、伸線加工時の抵抗は低く抑えられて、伸線加工された線材の精度や表面の品質が向上するとともに、伸線加工時に断線する問題が大幅に抑えられる。
以上のような孔形状にすることで、単結晶ダイヤモンドを使ったダイヤモンドダイスに比べて伸線加工時の抵抗が高くなりやすい気相合成ダイヤモンドを使ったダイヤモンドダイスであっても、伸線加工時の抵抗は低く抑えられて、伸線加工された線材の精度や表面の品質が向上するとともに、伸線加工時に断線する問題が大幅に抑えられる。
本発明の第2の特徴は、伸線加工を行う際の減面率を8%以上25%以下として使用されることである。
減面率を8%以上とするのは、前記の孔形状で効率的に伸線加工を行うために必要なためであり、25%以下とするのは伸線加工時の抵抗が大きくなりすぎて断線することを防止するためである。以上のような減面率で伸線加工を行うことで、前記の孔形状のダイヤモンドダイスを使用する場合に、伸線加工時の抵抗は効果的に抑えられ、寿命を延ばすことができるとともに、伸線加工時に断線することが防止できる。
本発明の第3の特徴は、銅線、銅合金線、金線、銀線、真鍮線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、ステンレス線、タングステン線、炭素鋼線、またはこれらの線に各種金属めっきを行った線のいずれかの伸線加工に用いられることである。
このような線材の伸線加工を行う場合に、上記のダイヤモンドダイスを使うと、伸線加工時の抵抗は効果的に抑えられ、寿命を延ばすことができるともに、伸線加工した線材を高品質に仕上げることができる。
本発明のダイヤモンドダイスによれば、ダイヤモンドダイスのコストを上げることなく、寿命や品質を向上させることができ、断線のない伸線加工を行うことが可能となる。
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、この発明の実施の形態に従ったダイヤモンドダイスの平面図である。図2は、図1中のII−II線に沿った断面図である。図1および図2を参照して、ダイヤモンドダイス4は、中心に位置するダイヤモンド1と、ダイヤモンド1の周りに設けられたダイヤモンド1を保持する焼結合金2と、焼結合金2を保持するケース3とを有する。
ダイヤモンド1は焼結合金2に嵌め合わされている。ダイヤモンド1は、化学的気相合成法により合成された気相合成ダイヤモンドからなるダイヤモンド多結晶体層であり、一定の厚みになるよう研磨された板形状である。
図3は、図2中のダイヤモンドを拡大して示す断面図である。図3を参照して、ダイヤモンド1は入口11および出口12を有し、入口11側から線材が挿入され、線材は出口12側から排出される。ダイヤモンド1は、入口11側からベル部1a、アプローチ部1b、リダクション部1c、ベアリング部1d、バックリリーフ部1eおよびエクジット部1fを有する。
入口11から出口12まで連なる孔14がダイヤモンド1に設けられており、孔14は側壁13により規定される。側壁13の傾斜は中心軸としての軸15に対して徐々に変化している。なお、図3で示す断面では、孔14は軸15に対して対称な形状に構成されている。ベアリング部1dに近づくにつれて孔の直径は小さくなる。さらに、孔14を規定する側壁13の傾きはベアリング部1dに近づくにつれて小さくなり、ベアリング部1dに近づくにつれて側壁13と軸15とのなす角が小さくなる。ベアリング部1dとリダクション部1cとの境界部17を構成する曲面は、滑らかな曲線の組合せで構成される。
図3を参照して、ダイヤモンドダイス4は、入口11から挿入された線材と接触するベアリング部1dと、ベアリング部1dに連なり、入口11側に配置されるリダクション部1cと、ベアリング部1dおよびリダクション部1cを貫通するように軸15に沿って入口11から出口12まで延びる孔14を規定する側壁13とを備える。入口11から孔14に挿入された線材がベアリング部1dを経由して出口12から引抜かれる。ベアリング部1dでの孔14の内径をDとし、軸15を含む軸15と平行な面でダイヤモンドダイス4を切断したときに現われる断面(図2の断面)において、リダクション部の開き角度θ1が10°以上14°以下、ベアリング部の長さは0.2D以上0.4D以下であり、バックリリーフ部の開き角度θ2は10°以上20°以下である。
以上のダイヤモンドダイスは、減面率が8%以上25%以下になるように線材の直径を選定し使用される。また、このダイヤモンドダイスは、銅線、銅合金線、金線、銀線、真鍮線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、ステンレス線、タングステン線、炭素鋼線、またはこれらの線に各種金属めっきを行った線などの伸線加工に使用される。
本発明のダイヤモンドダイス2種類(実施例1および実施例2)および比較例として従来のダイヤモンドダイス1種類(比較例1)について、図1から図3で示す孔形状を有するダイヤモンドダイスを作製し、伸線加工試験を行った。3種類とも、線径φは18.8μmの線を伸線加工して18μmにする試験(減面率9%)を行うため、孔形状は、ベル角度90°、アプローチ角度40°、リダクション角度12°、リダクション長さ0.1mm、ベアリング直径D18μm、ベアリング長さ7.2μm(40%D)、バックリリーフ角度20°、エクジット角度150°のものを作製した。
(実施例1)
実施例1として、ダイヤモンド1に非導電性の気相合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製:タイプCDM)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.5mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、ステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
実施例1として、ダイヤモンド1に非導電性の気相合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製:タイプCDM)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.5mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、ステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
(実施例2)
実施例2として、ダイヤモンド1に導電性の気相合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製:タイプCDE)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.5mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、実施例1と同じ条件でステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
実施例2として、ダイヤモンド1に導電性の気相合成ダイヤモンド(エレメントシックス社製:タイプCDE)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.5mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、実施例1と同じ条件でステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
(比較例1)
比較例1として、ダイヤモンド1に単結晶ダイヤモンド(エレメントシックス社製:MD111/06)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.6mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、実施例1と同じ条件でステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
比較例1として、ダイヤモンド1に単結晶ダイヤモンド(エレメントシックス社製:MD111/06)を使用したダイヤモンドダイスを作製した。このダイヤモンド1の厚み(軸方向長さ)は0.6mmのものを使用した。このダイヤモンドダイスを用いて、実施例1と同じ条件でステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った。
上記3種類のダイヤモンドダイスを用いて、同じ条件でステンレス線SUS316Lの伸線加工を行った結果を図4に示す。
伸線距離に対する孔径の変化を見ると、比較例1のダイヤモンドダイスが最も孔径の変化の速度が速く、摩耗が早いことが分かる。伸線距離が4kmの時点で比較すると、本発明1のダイヤモンドダイスは、比較例1のダイヤモンドダイスに比べて、孔径の変化量が70%程度であり、寿命が1.4倍程度になると考えられる。また、本発明2のダイヤモンドダイスは、比較例1のダイヤモンドダイスに比べて、孔径の変化量が55%程度であり、寿命が1.8倍程度になると考えられる。
以上の結果から、本発明のダイヤモンドダイスは、従来のダイヤモンドダイスに比べて大幅に寿命が向上することが分かった。
以上の結果から、本発明のダイヤモンドダイスは、従来のダイヤモンドダイスに比べて大幅に寿命が向上することが分かった。
本発明のダイヤモンドダイスは、線径が10μmから500μm程度の各種線材の伸線加工において、本発明の効果が得られる。
1 ダイヤモンド
2 焼結合金
3 ケース
4 ダイヤモンドダイス
2 焼結合金
3 ケース
4 ダイヤモンドダイス
Claims (3)
- 金属線の伸線加工を行うための孔がダイヤモンドに設けられたダイヤモンドダイスであって、
前記ダイヤモンドは、気相合成ダイヤモンドであり、
前記ダイヤモンドダイスは、前記孔を規定するように、伸線の流れの上流側から下流側に向かってリダクション部、ベアリング部およびバックリリーフ部を有し、
前記孔の中心線に沿った断面における孔の形状において、リダクション部の開き角度が10°以上14°以下であり、ベアリングの直径Dに対しベアリング部の長さは0.2D以上0.4D以下であり、バックリリーフ部の開き角度は10°以上20°以下である、ダイヤモンドダイス。 - 伸線加工を行う際の減面率を8%以上25%以下として使用される、請求項1に記載のダイヤモンドダイス。
- 銅線、銅合金線、金線、銀線、真鍮線、アルミニウム線、アルミニウム合金線、ステンレス線、タングステン線、炭素鋼線、またはこれらの線に各種金属めっきを行った線のいずれかの伸線加工に用いられる、請求項1または2に記載のダイヤモンドダイス。
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JP2013038311A JP2014161910A (ja) | 2013-02-28 | 2013-02-28 | ダイヤモンドダイス |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104874623A (zh) * | 2015-05-13 | 2015-09-02 | 江苏句容联合铜材有限公司 | 一种组合式模具 |
CN108746226A (zh) * | 2018-07-06 | 2018-11-06 | 南通汇丰电子科技有限公司 | 一种金属线材加工设备 |
CN111633049A (zh) * | 2020-05-12 | 2020-09-08 | 贵州钢绳股份有限公司 | 一种不锈钢钢丝生产用模具 |
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-
2013
- 2013-02-28 JP JP2013038311A patent/JP2014161910A/ja active Pending
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A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20140630 |
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A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20141030 |