まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。図3は、パチンコ遊技機を右斜め上方から見た状態を示す斜視図である。図4は、前面枠の前面側における遊技球の流れを示す概略説明図である。図5は、上皿を遊技者が引っ張っている状態を示す横断平面図である。図6は、本発明が適用されたパチンコ遊技機における上皿を遊技者が引っ張っている状態を示す縦断側面図である。図7は、本発明が適用されたパチンコ遊技機における遊技球の流れを示す正面図及び縦断側面図である。
パチンコ遊技機1は、図1及び図3に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されており、前面枠101の前面には、ガラス扉枠102が左側辺を中心に開閉可能に設けられている。また、前面枠101の前面における右側下部には、遊技者が右手で操作して打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。
ガラス扉枠102の前面側には、主に遊技領域7に発射される遊技球が貯留(待機)される上皿3、上皿3から溢れた遊技球を貯留する下皿4等が設けられている。上皿3の下方には、操作レバー600が揺動自在に軸支されるとともに、その上方位置には、遊技者が押下操作などにより所定の指示操作を可能なプッシュボタン516が設けられている。プッシュボタン516は、プッシュボタン516は、遊技者からの押下操作などによる所定の指示操作を、機械的、電気的、あるいは、電磁的に、検出できるように構成されていればよい。プッシュボタン516の設置位置における上皿の本体内部などには、プッシュボタン516に対してなされた遊技者の操作行為を検知するボタンスイッチ(図示略)が設けられていればよい。
遊技盤6は、それを構成する板状の透光性を有する合成樹脂板とスペーサ部材と、その透光板に取り付けられた種々の部品とを含む構造体である。尚、遊技盤6はベニヤ板にて構成されていてもよい。遊技盤6の前面には、打ち込まれた遊技球が流下可能な遊技領域7が形成されている。遊技領域7は、ガラス扉枠102に設けられた透明なガラス板からなる透視窓102aを透して遊技者側から視認可能とされている。
演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの変動表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の変動表示を行う。演出図柄の変動表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータ等の各デバイスによって制御される。また、遊技盤6における演出表示装置9に対応する開口周囲には、環状のステージ飾り枠11が設けられている。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を変動表示する第1特別図柄表示器(第1変動表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED+1セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を変動表示する第2特別図柄表示器(第2変動表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を変動表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED+1セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を変動表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つのセグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を変動表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の変動表示は、変動表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、変動表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の変動表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことに基づいて開始され、変動表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。尚、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の変動表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の変動表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の変動表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示と、演出表示装置9における演出図柄の変動表示とは同期している。同期とは、変動表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、変動表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
また、演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8a及び第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の変動表示期間中に演出図柄の変動表示を行う表示装置であって、本実施例では、液晶パネルとバックライトとを有する液晶表示モジュールにて形成されており、該液晶表示モジュールの液晶パネルにより演出表示装置9の表示部が形成されている。このように、本実施例では液晶表示モジュールを使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これら演出表示装置9は、所定の画像等を所定の解像度で表示することのできるものであれば、液晶以外の画像表示形態の表示装置、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)、FED(Field Emission Display)、PDP(Plasma Display Panel)、ドットマトリクスLED、有機或いは無機のエレクトロルミネッセンス(EL)パネル等の表示装置により構成されてもよい。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14aによって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15aによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。尚、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLED+1セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの変動表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。尚、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部18cと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部18dとが設けられている。尚、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、変動表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
尚、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。大入賞口に入賞した遊技球はカウントスイッチ23で検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の変動表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって変動表示が行われ、例えば、変動表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLED+1セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の変動表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
尚、7セグメントLED+1セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を変動表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a〜29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30a、30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。尚、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
また、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット50(図2参照)が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の変動表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の変動表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の変動表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の変動表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(演出図柄)の変動表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の変動表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の変動表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の変動表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の変動表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの変動表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。
この実施例では、特図ゲームにおける確定特別図柄が「確変大当り」または「非確変大当り」に対応する大当り図柄が停止表示された場合には、特定遊技状態としての大当り状態(例えば、15ラウンド大当り状態など)に移行する。大当り遊技状態では、特別可変入賞球装置20の大入賞口扉が所定期間(例えば29.5秒間)あるいは所定個数(例えば8個)の入賞球が発生するまでの期間にて大入賞口を開放状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって有利な第1状態(開放状態)に変化させるラウンドが実行される。こうしてラウンドの実行中に大入賞口を開放状態とした大入賞口扉は、遊技盤6の前面を落下する遊技球を受け止め、その後に大入賞口を閉鎖状態とすることにより、特別可変入賞球装置20を遊技者にとって不利な第2状態(閉鎖状態)に変化させて、1回のラウンドを終了させる。15ラウンド大当り状態では、大入賞口の開放サイクルであるラウンドの実行回数が、第1ラウンド数(例えば「15」)となる。ラウンドの実行回数が「15」となる15ラウンド大当り状態における遊技は、15回開放遊技とも称される。このような15ラウンド大当り状態では、大入賞口に遊技球が入賞するたびに15個の出球(賞球)が得られる。
「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、特別遊技状態の1つとして、通常状態に比べて特図ゲームにおける特別図柄の可変表示時間(特図変動時間)が短縮される時間短縮制御(時短制御)が行われる時短状態に制御される。ここで、通常状態とは、大当り遊技状態等の特定遊技状態や確変状態及び時短状態とは異なる遊技状態としての通常遊技状態であり、パチンコ遊技機1の初期設定状態(例えばシステムリセットが行われた場合のように、電源投入後に初期化処理を実行した状態)と同一の制御が行われる。時短状態は、所定回数(例えば、100回等)の特図ゲーム(変動表示)が実行されることと、可変表示結果が「大当り」となることのうち、いずれかの条件が先に成立したときに終了すればよい。このような「非確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに対応する大当り図柄特別図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく大当り状態が終了した後に時短状態に制御される大当り図柄は、非確変大当り図柄(「通常大当り図柄」ともいう)と称される。また、大当り図柄のうち非確変大当り図柄が停止表示されて可変表示結果が「大当り」となることは、「非確変大当り」(「通常大当り」ともいう)と称される。
「確変大当り」に対応する大当り図柄が特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づき大当り状態が終了した後には、時短状態とは異なる特別遊技状態の1つとして、例えば通常状態に比べて特図変動時間が短縮される時短制御とともに、継続して確率変動制御(確変制御)が行われる確変状態(高確率状態)に制御される。この確変状態では、各特図ゲームや飾り図柄の可変表示において、可変表示結果が「大当り」となって更に大当り遊技状態に制御される確率が、通常状態や時短状態よりも高くなるように向上する。このような確変状態は、特図ゲームの実行回数にかかわりなく、次に可変表示結果が「大当り」となるまで継続する。こうした「確変大当り」に対応する大当り図柄のように、特図ゲームにおける確定特別図柄として停止表示されたことに基づく第1大当り状態が終了した後に確変状態に制御される大当り図柄は、確変大当り図柄と称される。
確変状態や時短状態では、普通図柄表示器10による普図ゲームにおける普通図柄の変動時間(普図変動時間)を通常状態のときよりも短くする制御や、各回の普図ゲームで普通図柄の可変表示結果が「普図当り」となる確率を通常状態のときよりも向上させる制御、可変表示結果が「普図当り」となったことに基づく可変入賞球装置15における可動翼片の傾動制御を行う傾動制御時間を通常状態のときよりも長くする制御、その傾動回数を通常状態のときよりも増加させる制御といった、遊技球が第2始動入賞口13bを通過(進入)しやすくして第2始動条件が成立する可能性を高めることで遊技者にとって有利となる制御が行われる。なお、確変状態や時短状態では、これらの制御のいずれか1つが行われるようにしてもよいし、複数の制御が組合せられて行われるようにしてもよい。このように、確変状態や時短状態において第2始動入賞口13bに遊技球が進入しやすくして遊技者にとって有利となる制御は、高開放制御ともいう。高開放制御が行われることにより、第2始動入賞口13bは、高開放制御が行われていないときよりも拡大開放状態となる頻度が高められる。これにより、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームを実行するための第2始動条件が成立しやすくなり、特図ゲームが頻繁に実行可能となることで、次に可変表示結果が「大当り」となるまでの時間が短縮される。したがって、確変状態や時短状態では、通常状態に比べて大当り遊技状態となりやすくなる。高開放制御が実行可能となる期間は、高開放制御期間ともいい、この期間は、パチンコ遊技機1における遊技状態が確変状態と時短状態のいずれかに制御されている期間と同一であればよい。また、高開放制御期間であるときには、遊技状態が高ベース中であるともいう。これに対して、高開放制御期間でないときには、遊技状態が低ベース中であるともいう。この実施例における時短状態は、低確高ベース状態とも称される遊技状態であり、通常状態は、低確低ベース状態とも称される遊技状態であり、高開放制御期間ではない確変状態である潜伏確変状態は高確低ベース状態とも称される遊技状態である。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、演出図柄の変動表示(変動表示)が開始される。そして、演出図柄の変動表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各演出図柄表示エリアにおける確定演出図柄の停止表示により変動表示が終了するまでの期間では、演出図柄の変動表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された演出図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない演出図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の演出図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する演出図柄(例えば「7」の英数字を示す演出図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの演出図柄表示エリア(例えば「中」の演出図柄表示エリアなど)では演出図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の演出図柄表示エリアにおける全部又は一部で演出図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
パチンコ遊技機1の背面には、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている(図2参照)。
さらに、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板(図示略)やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板(図示略)には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
尚、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
尚、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。尚、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。尚、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。尚、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
図2は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。尚、図2には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
尚、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
乱数回路60は、特別図柄の変動表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることに基づいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRに基づいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。尚、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータに基づいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。尚、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。尚、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。尚、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。尚、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第2始動口スイッチ15a、カウントスイッチ23および各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を変動表示する演出表示装置9の表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPU120およびRAM(図示略)を含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。尚、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU120は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU120は、演出制御コマンドに基づいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)262に、演出表示装置9に表示する画像の生成やバックライト9c,12cの発光強度(輝度、明るさ)の調整等の演出表示装置9の表示制御を行わせる表示制御処理を実施する。
演出制御用CPU120は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU120は、キャラクタROMから読み出したデータをVDP262に出力する。VDP262は、演出制御用CPU120から入力されたデータに基づいて表示制御を実行する。
VDP262は、VDP262の各種設定などが格納されるシステムレジスタ、アトリビュート(キャラクタを描画する際に使用されるパラメータであり、キャラクタの描画順序や、色数、拡大縮小率、パレット番号、座標などを指定するデータ)が格納されるアトリビュートレジスタ(図示略)、VRAM領域の後述する描画領域への画像の描画制御を行う描画制御部(図示略)、CGROMに格納されているCGデータをVRAM領域に転送する制御を行うデータ転送制御部(図示略)、VRAM領域の後述する表示領域に格納されている画像データを表示するためのビデオ信号(R(赤)、G(緑)、B(青))信号及び同期信号を出力する表示制御部(図示略)、該表示制御部から出力されたビデオ信号をアナログ信号に変換して演出表示装置9に出力するDAコンバータなどが搭載された集積回路である。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU120は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対して各種LEDを駆動する信号を出力する。また、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28cなどの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25a、後述する表示用LED310に駆動信号を供給する。尚、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
以下、本発明が適用されたパチンコ遊技機1の構造を、図3〜図7に基づいて説明する。尚、以下においては、パチンコ遊技機1を正面から見た場合の上下左右方向を基準として説明する。
図3に示すように、外枠100は、木製の板材からなる上板100a及び下板(図示略)と、鉄製の板材からなる左右の側板100cと、から構成され、上板100aの左右端部と左右の側板100cの上端部及び下板(図示略)の左右端部と左右の側板100cの下端部とをL字金具100eにて連結することにより方形枠状に構成されている。尚、左右の側板100cは鉄材にて構成されていたが、アルミ材等他の金属材にて構成してもよい。
上板100aの後端面において、前面枠101を閉鎖位置に配置したときに該前面枠101の背面上部に設けられる球タンク38に対応する箇所に、球タンク38の上面開口の前端部を上方に臨ませるための切欠部111が形成されている。これにより球タンク38を極力前方に配置することができるため、球タンク38が背面側に大きく突出してパチンコ遊技機1の前後幅寸法が大となることが防止される。また、外枠100の下部前面には合成樹脂材からなる横長の化粧パネル112が取り付けられている。
前面枠101は、中央に縦長長方形状の開口部115が形成されており(図4参照)、開口部115の左側上下部には係止凹部116a,116bが設けられ、右側上下部には後述する盤押え具118a,118bが設けられており、遊技盤6の左端部を係止凹部116a,116bに差し込んだ状態で右端部を盤押え具118a,118bで係止することにより該遊技盤6が前面に取り付けられるようになっている。
遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等が一体的に取り付けられている。そして、遊技盤6と変動表示制御ユニットとが一体的に組み付けられた遊技盤ユニットを前面枠101の前面に取り付ける際には、遊技盤6の背面に設けられた変動表示制御ユニットを、開口部115を介して前面枠101の背面側に臨ませることができるようになっている。
また、遊技盤6の背面におけるアウト口26の形成位置には、下面側に開口するアウト口カバー(図示略)が該アウト口26を背面側から覆うように取り付けられており、遊技盤6の前面側からアウト口26を通過して背面側に誘導された遊技球を下向きに落下させるようになっている。
次に、前面枠101の構成について説明する。図4に示すように、前面枠101は、合成樹脂材により中央に開口部115を有する四角枠状に構成されており、その左側辺に設けられた蝶番(図示略)によって、外枠100に対して回転可能に枢支されている。
図3に示すように、前面枠101の前面における開口部115の左側下部には、前面枠101の背面に設けられる球払出装置97から払い出される遊技球を前面枠101の前面側に払い出すための払出連絡口700が形成されている。払出連絡口700の下方には、ガラス扉枠102を開放したときにおける該払出連絡口700からの遊技球の落下を防止するための球ストッパー701が設けられている。
球ストッパー701は、ガラス扉枠102が開放位置に位置したときに球ストッパー701を払出連絡口700の前面に配置されて払出連絡口700からの遊技球の落下を規制する規制位置と、ガラス扉枠102が閉塞位置に位置したときに該ガラス扉枠102の背面に突設された押下部(図示略)が接触することで払出連絡口700の前面から退避する退避位置と、の間で昇降可能に設けられている。また、ガラス扉枠102の背面における払出連絡口700に対応する位置には、上皿連絡口729が設けられているとともに、ガラス扉枠102の前面には、上皿連絡口729に連通する開口部728(図10参照)が形成されている。
前面枠101の前面右側下部には、上皿3に待機している遊技球を遊技領域7に向けて打ち出す打球ハンマ722(図4参照)を含む打球発射装置としての打球モータセット706が取り付けられるとともに、打球モータセット706により遊技球を打ち出す操作を行うためのハンドル5を含むハンドルユニット707が取り付けられている。
ハンドルユニット707の左側には、打球モータセット706により打ち出されたものの、遊技領域7まで到達せずに戻ってきたファール球と、球払出装置97から払い出された賞球のうち上皿3が満杯で溢れた溢れ球と、を下皿4に返却するための返却通路を構成する返却通路カバー713(図4参照)が取り付けられている。
次に、ガラス扉枠102の構成について説明する。図3に示すように、ガラス扉枠102は、合成樹脂材により、遊技領域7を遊技者側から視認可能とする透明なガラス板からなる透視部としての透視窓102aを有する四角枠状に構成されている。具体的には、前面枠101の前面におけるハンドルユニット707を除く領域を被覆可能な大きさに形成されている。尚、本実施例では、透視窓102aはガラス板にて構成されていたが、透明な合成樹脂板により構成されていてもよい。
ガラス扉枠102の前面における透視窓102aの下方側には、打球発射装置に誘導される遊技球が貯留される貯留部としての上皿3が設けられている。また、上皿3の下方位置には、上皿3から溢れた溢れ球が貯留される下皿4が形成されている。これら上皿3及び下皿4は、ガラス扉枠102の前面から前側に突出するように形成されている。上皿3の上面側には、上方に開放された凹状をなす部位であって、多数の遊技球を貯留できる貯留凹部350(図5参照)が形成されている。また、下皿4の上面側にも同様に、多数の遊技球を貯留できる貯留凹部351(図10参照)が形成されている。このように、上皿3及び下皿4は、ガラス扉枠102の前面に突設され、かつ、上面に貯留凹部350,351が形成されていることで、遊技者が手で掴みやすい部位となっている。
また、この上皿3及び下皿4は、ガラス扉枠102における透視窓102aの開口周囲を構成する枠部320と一体に形成されている。つまり、本実施例におけるガラス扉枠102は、閉鎖位置において前面枠101の前面全体を覆うことができる。このようにガラス扉枠102は、透視窓102aの枠部320から上皿3及び下皿4まで一体的に形成されていることで、ガラス扉枠102の前面全体に継ぎ目のない造形が可能となり、透視窓102aの枠部320と上皿3及び下皿4とが別体として形成されているガラス扉枠を有するパチンコ遊技機と比較して、前面のデザイン性が向上するようになっている。また、枠部320と上皿3及び下皿4との間に継ぎ目などの隙間が形成されないことで、針金やピアノ線等の不正器具をガラス扉枠102の背面側に進入されることがない。
図1に示すように、ガラス扉枠102は、左側辺の上下2箇所に設けられたヒンジ部304を介して前面枠101に取り付けられており、前面枠101の前面を被覆する閉鎖位置と、前面枠101の前面を開放する開放位置と、の間で左側辺を中心として回動可能に枢支されている。
図3に示すように、前面枠101の右側下部には、ハンドル5やキーユニット360が設けられており、ガラス扉枠102におけるハンドル5やキーユニット360に対応する部位が切り欠かれていることで、ガラス扉枠102が閉鎖位置であるときでも前面枠101のハンドル5やキーユニット360が前面側に露呈されるようになっている。尚、キーユニット360を操作するキー(図示略)は、遊技場の店員等が管理しており、この遊技場所有のキーをキーユニット360に差し込んで操作することでガラス扉枠102を開放することができるようになっている。
また、前面枠101の前面右側辺の上下位置には、キーをキーユニット360に差し込み操作することで可動する側辺係止部302,302が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面右側辺における前面枠101の側辺係止部302,302に対応する位置には、側辺係止部302,302が係止される側辺被係止部303,303が設けられている。前面枠101の側辺係止部302,302は、その先端部がフック状に下向きに屈曲した部材となっており、図示しないバネ等の付勢手段により下方側に付勢されている。そして、ガラス扉枠102を閉鎖すると、ガラス扉枠102の側辺被係止部303,303が前面枠101の側辺係止部302,302を前方から押圧して、該側辺係止部302,302は付勢手段の付勢力に抗して上方に移動され、ガラス扉枠102の側辺被係止部303,303を乗り越えて該側辺被係止部303,303に係止され、これによりガラス扉枠102が閉鎖位置に維持される。
尚、ガラス扉枠102を開放する際には、遊技場所有のキーをキーユニット360に差し込んで操作することで、前面枠101の側辺係止部302,302が上方に移動し、該側辺係止部302,302がガラス扉枠102の側辺被係止部303,303から脱するようになり、この状態でガラス扉枠102を手前側に引くと開放できるようになっている。
図3及び図4に示すように、前面枠101における遊技盤6の取付位置、つまり、開口部115の下方近傍位置には、遊技場所有のキーをキーユニット360に差し込んで操作することで、前述の側辺係止部302,302と一緒に可動する本発明における撓み防止手段としての撓み防止用係止部300が設けられている。撓み防止用係止部300は、前面枠101における左右方向の略中央近傍であって、ガラス扉枠102の左側辺を枢支するヒンジ部304,304と、該ガラス扉枠102の右側辺を係止する側辺係止部302,302と、の間の略中央よりもやや右側位置に設けられている。
尚、ガラス扉枠102の背面側の中央近傍位置、つまり、撓み防止用係止部300に対応する位置には、該撓み防止用係止部300が係止される中央被係止部301が設けられる。この中央被係止部301は、ガラス扉枠102の背面側、かつ、透視窓102aの下方位置に設けられた左右方向に延びる本発明における撓み防止手段としての補強フレーム305に形成された穴部となっている。この補強フレーム305は、略板状をなす金属板を断面視でコ字状に屈曲して形成した補強部材となっている。
また、ガラス扉枠102の背面側には、透視窓102aの開口周囲の枠部320の右側辺を補強する補強フレーム306、枠部320の上辺を補強する307、枠部320の左側辺を補強する308が設けられている。これら本発明における撓み防止手段としての補強フレーム306,307,308は、略板状をなす金属板を断面視でコ字状またはL字状に屈曲して形成した補強部材となっており、透視窓102aの上縁辺及び左右縁辺を補強している。尚、透視窓102aの下縁辺は、前述の補強フレーム305により補強されている。
また、これら補強フレーム305〜308は、金属板を断面視でコ字状またはL字状に屈曲して形成することにより長手方向の撓みが極めて発生しにくいように構成されているが、撓みを生じさせにくくすることができる部材であれば、このような金属板以外の補強部材を適用してもよい。
更に、ガラス扉枠102においてヒンジ部304,304側(左側辺)に設けられた補強フレーム308は、ガラス扉枠102の上端から下端まで延設されており、ガラス扉枠102の下部の上皿3及び下皿4が設けられた部位も補強している。更に、ガラス扉枠102の背面側の下部の右側辺及び下辺にも、板状をなす本発明における撓み防止手段としての補強板309,310が設けられている。即ち、ガラス扉枠102は、これら補強フレーム305,306,307,308及び補強板309,310によって補強されることで、不正者により外力が加えられたときでも、合成樹脂材からなるガラス扉枠102が撓まないようになっている。
また、これら補強フレーム305,306,307,308及び補強板309,310はそれぞれ個別にガラス扉枠102に取り付けられていてもよいし、互いに隣り合うフレーム同士を連結するようにガラス扉枠102に取り付けられてもよい。
尚、ガラス扉枠102の背面において、透視窓102aの開口周囲の枠部320における下方側縁辺には、ガラス扉枠102の背面とその背面側に配置される遊技盤6との間の隙間を閉塞する軟質樹脂材にて構成される破防カバー957が設けられている。この破防カバー957は、その下縁辺が断面視で略L字状をなす部材となっており(図6参照)、遊技盤6の遊技領域7を構成する案内レール401(図6参照)の下縁辺に沿って配置される。そして、例えば、悪意のある不正遊技者の不正行為によって、前述の上皿3に形成された開口部728(図10参照)や下皿4に形成された払出口730からピアノ線やセル板等の不正器具が進入されたとき、該不正器具が破防カバー957に接触することで遊技領域7に到達することが防止されるようになっている。
図3〜図5を用いて撓み防止用係止部300について詳述する。前述した撓み防止用係止部300は、その先端部がフック状に右側方に屈曲した部材となっており、前述の側辺係止部302,302を付勢する付勢手段により右方側に付勢されている。そして、ガラス扉枠102を閉鎖すると、ガラス扉枠102の中央被係止部301が前面枠101の撓み防止用係止部300を前方から押圧して、該撓み防止用係止部300は付勢手段の付勢力に抗して左方に移動され、ガラス扉枠102の中央被係止部301を乗り越えて、該中央被係止部301に係止され、ガラス扉枠102が閉鎖位置に維持される。尚、本実施例では、撓み防止用係止部300を付勢する付勢手段が側辺係止部302,302を付勢する付勢手段と同一のものを使用しているが、側辺係止部302,302を付勢する付勢手段以外に、撓み防止用係止部300を付勢する付勢手段を別途に設けるようにしてもよい。
また、この撓み防止用係止部300は、右方向に延びるリンク部材312によりキーユニット360と連係されている。そして、前面枠101の前面側には、リンク部材312を収容する収容フレーム311が設けられている。この収容フレーム311は、断面視でコ字状に屈曲された金属板部材で形成されており(図6参照)、撓み防止用係止部300を前方に移動させる外力が加わっても、リンク部材312が収容フレーム311の内面に接触されることで、撓み防止用係止部300の前方への移動が阻止されるようになっている。
図5及び図6に示すように、ガラス扉枠102を閉鎖すると、撓み防止用係止部300の先端のフック状に屈曲した部位が、ガラス扉枠102の補強フレーム305の中央被係止部301に係止される。尚、この撓み防止用係止部300の先端は、補強フレーム305における中央被係止部301がある部位の内側に遊びの無い状態で係止され、ガラス扉枠102の前面枠101に対する前方移動を規制する。尚、前面枠101に設けられた撓み防止用係止部300、及びガラス扉枠102の補強フレーム305に形成された中央被係止部301は、上皿3に対応する位置に設けられている。即ち、撓み防止用係止部300は、ガラス扉枠102における上皿3に対応する略中央近傍位置を前面枠101に係止する。
ここで、不正行為の一種である引っ張りゴト行為について詳述する。例えば、遊技場において悪意のある不正遊技者が上皿3の貯留凹部350を掴んで手前に強く引くことでガラス扉枠102を撓ませ、透視窓102aのガラス板と遊技盤6との間の隙間を意図的に広げ、遊技盤6の障害釘Kの先端付近と透視窓102aの間に遊技球Bを挟むような態様で停止させ、複数の遊技球が集合して詰まった状態とし、この複数の遊技球Bが詰まった状態を利用して、他の流れる遊技球を始動口に導く不正行為が行われることがある。この不正行為が所謂引っ張りゴト行為と呼ばれている。
例えば、図7に示すように、通常時において、透視窓102aのガラス板と遊技盤6との隙間L1は、障害釘Kの突出長より若干長い間隔(遊技球Bの直径よりも長く、かつ、2個の遊技球Bの直径を合算した長さよりも短い)となっており、障害釘Kの先端付近と透視窓102aの間に遊技球Bが挟まれるようなことはない。
しかしながら、図8に示す従来技術のパチンコ遊技機1’では、引っ張りゴト行為を行う不正遊技者が上皿3の貯留凹部350を掴んで手前に引くと、ガラス扉枠102が撓んでしまい、透視窓102aと遊技盤6との隙間L2が広がるようになる。つまり、ガラス扉枠102は、左側辺の上下2箇所のヒンジ部304,304及び右側辺の上下2箇所の側辺被係止部303,303により前面枠101に固定されているものの、ガラス扉枠102における左右及び上下方向の中央近傍位置が前面枠101に対し固定されていない状態では、引っ張りゴト行為が行われた際に、ガラス扉枠102の中央近傍位置が前方に膨出するように撓む(変形する)ようになる。これにより、通常時における透視窓102aと遊技盤6との隙間L1よりも広い隙間L2が形成されると、遊技盤6上の障害釘Kの先端付近と透視窓102aの間に、遊技球Bの半径よりも大きく、かつ、直径よりも小さい隙間が生じることで遊技球Bを挟まれやすくなるので、複数の遊技球が集合して詰まった状態を意図的に形成し、図9に示すように、この複数の遊技球が詰まった状態を利用して、遊技球を始動入賞口13に誘導されやすくすることができる。
また、図9に示すように、障害釘Kの先端付近と透視窓102aとの間に遊技球Bを挟まらせなくても、透視窓102aと遊技盤6との隙間L2を2個以上の遊技球Bが前後に並んで配置可能な間隔にすれば、2個以上の遊技球Bを前後に並んで隙間L2に挟まり込ませることにより、これら遊技球が集合して詰まった状態を意図的に形成することができる。また、このように透視窓102aと遊技盤6との隙間が広げられると、開口部728(図10参照)や払出口730(図1参照)からピアノ線や針金、セル板等の不正器具を進入した際に、これらの不正器具が遊技盤6に到達可能となる。
ここで、図6及び図7に示すように、本実施例におけるパチンコ遊技機1では、撓み防止用係止部300が、ガラス扉枠102における上皿3に対応する略中央近傍位置を前面枠101に対し係止しており、引っ張りゴト行為を行う不正遊技者が上皿3を掴んで手前に引いても、透視窓102aと遊技盤6との隙間L1が広がらないようになっている。更に、ガラス扉枠102は、これら補強フレーム305,306,307,308及び補強板309,310によって補強され、特に、中央被係止部301が形成された補強フレーム305によってガラス扉枠102の中央近傍の剛性が高められており、ガラス扉枠102が撓むことが防止されている。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、上皿3(貯留部)に対し遊技者側に向けて外力(上皿3を掴んで遊技者側に引く力)が加えられたときに、合成樹脂材からなるガラス扉枠102(開閉部材)が撓むことを防止する撓み防止手段である撓み防止用係止部300及び補強フレーム305を備えることで、上皿3が引っ張られることによりガラス扉枠102が遊技者側に撓むことが防止され、これにより遊技者が上皿3を掴んで引っ張っても、透視窓102aのガラス板(透視部)と遊技盤6との間の隙間L1が広がりにくくなるため、ガラス扉枠102を撓ませることにより遊技領域7において遊技球Bを詰まらせる不正行為を抑止することができる。
また、本実施例では、遊技枠としての前面枠101の前面における遊技領域7を透視する透視窓102aの下方近傍位置に貯留部としての上皿3が突設されていたが、貯留部としての上皿3は、必ずしも透視窓102aの下方近傍位置に配設されていなくてもよく、例えば、透視窓102aの下方に離れた位置に形成されていてもよい。
また、本実施例では、上皿3及び下皿4双方がガラス扉枠102に設けられていたが、上皿3がガラス扉枠102に設けられていれば、下皿4は前面枠101に設けられていてもよい。尚、本実施例では、遊技媒体が貯留される貯留部の一例として貯留凹部350が形成された上皿3を適用したが、貯留凹部351が形成された下皿4を対象としてもよい。また、貯留部は、上皿3や下皿4のように前面枠101の前面から突出するように形成されていなくても、遊技球が貯留可能な貯留凹部が形成されていれば、必ずしも前面枠101の前面から突出していなくてもよい。
また、本実施例では、撓み防止手段の一例である撓み防止用係止部300は、遊技場所有のキーによるキーユニット360の操作に応じて、前面枠101に対しガラス扉枠102を閉鎖位置に維持するための側辺係止部302と連動するようになっていたが、それぞれ別個に可動するようにしてもよい。
また、本実施例では、図4に示すように、前面枠101の前面における開口部115の下辺略中央位置には、打球発射装置から打ち出された遊技球が通過する発射球誘導経路が配設されているため、撓み防止用係止部300は、前面枠101の前面における左右方向の略中央位置よりもやや右側位置に設けられているが、左右方向の略中央位置としてもよいし、左右方向の略中央位置よりも若干左側に設けられていてもよい。
また、本実施例では、ガラス扉枠102(開閉部材)は、前面枠101(遊技枠)に対し左側辺を中心に揺動可能に枢支されるとともに、前面枠101の前面を閉鎖したときに右側辺に設けられた側辺被係止部303が前面枠101に設けられた側辺係止部302に係止され、撓み防止用係止部300が、ガラス扉枠102の左側辺と右側辺との間の略中央部近傍に配設されていることで、上皿3の引っ張りによる不正行為が行われるときに、最も撓みやすいガラス扉枠102の左側辺と右側辺との間の中央部近傍が撓み防止用係止部300により前面枠101に係止されるので、ガラス扉枠102における左右方向の撓みの発生を最小限に抑えることができる。
また、本実施例では、開閉部材としてのガラス扉枠102は、遊技枠としての前面枠101に対し左側辺を中心に揺動可能に枢支されていたが、前面枠101の前面を開閉可能であれば、右側辺や上辺を中心として揺動可能に枢支されていてもよいし、あるいは、一側辺を中心として揺動可能に枢支されていなくてもよい。
また、本実施例では、撓み防止用係止部300が係止される撓み防止手段としての中央被係止部301及び補強フレーム305がガラス扉枠102(開閉部材)における貯留部としての上皿3に対応する位置(上皿3の背面)に設けられていることで、外力が加えられる上皿3の近傍位置を係止することができるので、上皿3に対応する位置の撓みの発生を最小限に抑えることができる。
また、本実施例では、撓み防止手段としての撓み防止用係止部300は、遊技枠としての前面枠101における貯留部としての上皿3に対応する位置に設けられていることで、外力が加えられる上皿3に対応する位置(上皿3の背面)を係止することができるので、ガラス扉枠102における撓みの発生を最小限に抑えることができる。
尚、本実施例では、遊技領域7を透視する透視窓102aの下方近傍位置に上皿3が突設されていることで、撓み防止手段である撓み防止用係止部300及び補強フレーム305も上皿3に対応する位置に配設されていたが、上皿3が引っ張られたときに撓みを防止しうる位置であれば、必ずしも上皿3に対応する位置に設けられなくてもよい。
また、本実施例では、撓み防止用係止部300を前面枠101に設け、この撓み防止用係止部300が係止される中央被係止部301をガラス扉枠102に設けるようにしているが、撓み防止用係止部300をガラス扉枠102に設けるようにし、この撓み防止用係止部300が係止される中央被係止部301を前面枠101に設けるようにした構成であってもよい。
また、本実施例では、撓み防止手段の一例として、前面枠101に対しガラス扉枠102を係止する撓み防止用係止部300及び中央被係止部301と、前面枠101の背面に設けられる補強フレーム305〜308及び補強板309、310と、が記載されており、パチンコ遊技機1には、これら撓み防止用係止部300及び中央被係止部301、補強フレーム305〜308及び補強板309、310双方を備えていたが、本発明の遊技機は、これら撓み防止用係止部300及び中央被係止部301と補強フレーム305〜308及び補強板309、310とのうちいずれか一方のみを備えていればよい。
また、本実施例では、撓み防止手段の一例として、前面枠101に対し開閉可能に取り付けられたガラス扉枠102を閉鎖位置にて係止することにより、前面枠101に対するガラス扉枠102の離脱方向への移動を規制する撓み防止用係止部300及び中央被係止部301を記載したが、これらのような係止部及び被係止部に限定されるものではなく、閉鎖位置において前面枠101に対するガラス扉枠102の離脱方向への移動を規制可能なものであれば、上記したような係止手段に限定されるものではなく、例えば、ネジ部材等であってもよい。
また、本実施例では、撓み防止手段の他の例として、前面枠101の背面に設けられる補強フレーム305〜308及び補強板309、310を記載したが、これらのように合成樹脂材からなる前面枠101を補強することにより撓みを防止する別部材の補強部材に限定されるものではなく、例えば、前面枠101の背面等における各補強フレーム305〜308及び補強板309、310に対応する位置に形成した補強用リブ(図示略)等であってもよい。
また、本実施例では、貯留部としての上皿3が前方に突出するとともに、該上皿3に貯留凹部350が形成されていることで、遊技者は上皿3を手で掴んで引っ張りやすくなっていたが、貯留部をこのように突出させたり貯留凹部を形成せずに、不正者がガラス扉枠102を掴んで引っ張りにくくなるようにしてもよい。
また、本実施例では、前面枠101の前面に打球操作ハンドル5が突出して設けられているが、ガラス扉枠102の前面に打球操作ハンドル5が設けられていてもよい。この場合には、ガラス扉枠102の前面に突設され掴みやすい打球操作ハンドル5を引っ張ることで生じるガラス扉枠102の撓みを、本発明の撓み防止手段としての撓み防止用係止部300、中央被係止部301、補強フレーム305〜308及び補強板309、310等によって防止することができる。
次に、遊技球の流れについて、図4に基づいて説明する。図示しない遊技機設置島から球タンク38に供給された、賞球に応じて球払出装置97から払い出された払出球は、満タン経路ユニット763の払出通路795に流入する。払出通路795を流下した遊技球は、払出連絡口797b,700を介して上皿3に払い出される。
また、上皿3が満杯になり払出通路795の屈曲部まで球詰まり状態になると、後続の払出球は、屈曲部にて溢れて溢れ球通路796に流入し、溢れ球通路781上に落下される。溢れ球通路781上に落下した溢れ球は、溢れ球口780を介して前面枠101の前面側に誘導された後、返却通路782を流下して、返却連絡口712から流出して下皿4に流出される。尚、ガラス扉枠102には、返却連絡口712から流出した遊技球を下皿4に導入するための払出口730が設けられている。
上皿3に払い出された払出球は、上皿3から後述する整流器200に送り出される。整流器200は、発射装置の発射動作に連動して遊技球を1球ずつ発射装置の発射レール720に供給する。
発射レール720に供給された遊技球は、打球ハンマ722により遊技領域7に向けて打ち出される。打ち出された発射球のうち、勢いが弱く遊技領域7に到達せずに戻ってきた戻り球は、ファール球受入口711から返却通路782に流入し、溢れ球と同様に下皿4に返却される。
遊技領域7に打ち出された遊技球のうち、大入賞口、始動入賞口13,14に入賞した入賞球及びいずれの入賞口にも入賞せずにアウト口26に流入したアウト球は、遊技盤6の背面側に誘導された後、図示しない遊技機設置島の回収樋に排出される。
一方、遊技領域7に打ち出された遊技球のうち入賞口29a〜29dに入賞した普通入賞球は、遊技盤6の背面側に誘導された後、入賞口スイッチ30により検出された後、図示しない遊技機設置島の回収樋に排出される。
次に、整流器200の構成について、図11〜図16に基づいて説明する。図11は、(a)〜(c)は整流器を示す斜視図である。図12は、遊技球の発射装置への誘導通路を示す概略正面図である。
図11に示すように、整流器200は、合成樹脂材により略直方体形状に形成された本体部201と、本体部201に対し前後方向を向く軸を中心として揺動可能に設けられた揺動部材202と、から構成されている。
本体部201には、上皿3の遊技球を発射装置としての打球モータセット706に誘導する誘導通路の一部を形成する球通路部203aと、該球通路部203aの下方に配設され揺動部材202が収容される収容部203bと、から構成される凹部203が、前方に開口するように形成されている。尚、収容部203bは下方も開口されている。
球通路部203aの左側前面には、上皿3からの遊技球が供給される流入部204が形成されているとともに、球通路部203aの右側背面には、遊技球の流出口205が形成されている。つまり遊技球は、球通路部203aの前面左側の流入部204から流入し、背面右側の流出口205から流出するようになっている(図13参照)。
本体部201の右短辺部(右側面)には、上下位置に支持板211c,211cが突設されており、これら支持板211c,211cそれぞれの先端には、上下方向を向く回動軸211a,211bが下向きに垂下されている。これら上下一対の支持板211c,211c及び回動軸211a,211bは、取付部に対する支持手段を構成している。
本体部201の左短辺部(左側面)上部には、突出部212が突出されているとともに、突出部212の前面側には、先端部が半球面状に形成された円柱状の嵌合部213が突設されている。また、本体部201の左短辺部(左側面)下部には、先端に外向きの係止爪214が形成された弾性係止片214aが、背壁から前方に向けて延設されている。そしてこれら嵌合部213,係止爪214は、本体部201をガラス扉枠102の背面の取付部270に取り付けるための取付手段を構成している。また、本体部201の右側上部には段部215が形成されている。
本体部201の背面には、第1切断部250が形成された帯板状の板金241が取り付けられている。尚、この板金241及び第1切断部250については後述することとする。
揺動部材202は、中央背面側に上方に開口する切欠凹部224が形成されて上向き略U字形に構成されるとともに、その前面側が肉薄の板材にて覆われている。切欠凹部224は、流下規制壁面208を収容可能な大きさに形成されている。また、本体部201に前後方向に向けて支持される揺動軸220が挿通される軸孔221が右端部に形成されるとともに、下部にウエイト222を収容可能なウエイト収容穴223が形成されている。
次に、上皿3の遊技球が発射装置としての打球モータセット706に設けられる発射通路720に供給されるまでの誘導通路構造について、図12及び図13を用いて説明する。
図12及び図13に示すように、上面が開口する上皿3に投入または払い出された遊技球は、ガラス扉枠102の前面に沿って延設される待機球誘導通路1122を1列に整列された状態で流下した後、発射球誘導孔1031の前面側に形成される第3曲部232において誘導傾斜面1123により後側に向けて方向変換され、該発射球誘導孔1031を通過してガラス扉枠102の背面側に誘導され、流入部204を介して整流器200の球通路部203aに流入する。
後向きに流入した遊技球は、第2曲部231にて傾斜誘導面210により右向きに方向変換された後、待機通路面206上を流下し、球送出面202a上に乗り移ったときに流下規制壁面208により流下が規制されて待機することになる。
そして、後述するように揺動部材202が待機位置から球送出位置まで揺動することにより第1流出通路面207aに揚送され、該第1流出通路面207aから落下して第2流出通路面207bに乗り移り、第1曲部230にて誘導傾斜面226により後向きに方向変換された後、第2流出通路面207bを流下して流出口205から流出する。
流出口205から流出した遊技球は、発射通路720上に落下し、流出口205よりも右側にある発射位置Hに向けて流下する。そして、発射位置Hにて位置決め部材721に当接し、打球ハンマ722により打ち出される発射位置Hにセットされる。
このように本実施例では、待機球誘導通路1122、球通路部203aの待機通路面206及び第1流出通路面207a,第2流出通路面207bは、上皿3から発射装置としての打球モータセット706に遊技球を誘導する誘導通路を構成している。また、これら誘導通路のうち、待機球誘導通路1122及び待機通路面206は、可動供給部としての揺動部材202から発射装置と反対側に形成され、発射装置に誘導する遊技球が待機する待機誘導通路を構成し、第2流出通路面207bは、揺動部材202から発射装置側に形成され、発射装置に供給される遊技球が流下する供給誘導通路を構成する。
ここで、このような糸付き球BPによる不正行為を防止するために、誘導通路に設けられた第1切断部250及び第2切断部260の構成について、図14〜図18に基づいて説明する。図14は、(a)は整流器と金属板、(b)は金属板を示す斜視図、(c)は流出口を示す拡大背面図である。図15は、(a)はガラス扉枠の下部の要部を示す斜視図、(b)は発射球誘導孔を示す正面図である。図16は、図15(b)のD−D断面図である。図17は、ガラス扉枠の下部における誘導通路の構造を示す横断面図である。図18は、糸の挿入状態を示す概略図である。
図14に示すように、本体部201の背面及び上面には、帯状の板金241が取り付けられる凹溝242が、流出口205の左側に形成されている。凹溝242の背面下部には係止孔243が形成されているとともに、背面上部には係止部244が突設されている。
本体部201の背面における流出口205の周囲には、枠状壁245が背面側に向けて突設されているとともに、枠状壁245の左辺には、前後方向に貫通する切欠部246が左側の凹溝242にかけて略水平に形成されている。
板金241は、背板241a、上板241b、前板241cにより逆フック状に形成され、背板241a下端には係止片247が下向きに突設され、上部には係止孔248が形成されている。よって、係止片247を係止孔243に上方から差し込み、前板241cを前壁に係止することで、係止孔248が係止部244に係止されることで、本体部201に取り付けられる。
背板241aにおける切欠部246に対応する箇所には、第1切断部250が形成されている。第1切断部250は、背板241aの右辺所定箇所を略三角形状に切り欠くことにより正面視略「く」の字形に形成される第1傾斜辺251a及び第2傾斜辺251bからなる切断刃部251と、第1傾斜辺251aと第2傾斜辺251bとの間から流出口205から遠ざかる方向に切り込まれる切込溝252と、から横向き略Y字形に構成される。
このように構成される第1切断部250は、図14(c)に示すように、切断刃部251及び切込溝252を切欠部246に臨ませるように、かつ、枠状壁245の外周縁よりも外側に配置される。よって、切断刃部251が流出口205から枠状壁245の板厚分だけ退避した位置に配設されるため、流出口205から流出する遊技球が接触することはない。
また、切断刃部251が流出口205から枠状壁245の板厚分だけ退避した位置に配置されることで、第1傾斜辺251aの上側及び第2傾斜辺251b下側、つまり、切断刃部251の長手方向の両端位置に水平な逸脱規制面246a,246bが形成されることで、後述する糸Tが、第1傾斜辺251aの上側または第2傾斜辺251b下側からはずれてしまうことが防止されている。
図15及び図16に示すように、ガラス扉枠102における発射球誘導孔1031は、ガラス扉枠102を前後方向に貫通する縦断面略正方形状の貫通孔(図15(b)における斜線領域)とされており、その前下部には、球抜通路を構成するための凹部1030が形成されているとともに、その右側には球抜きレバー(図示略)を収容する収容孔1029が形成されている。また、発射球誘導孔1031の左辺上部には、切欠凹部1028が左側に向けて略水平に形成されている。
ガラス扉枠102の前面に取り付けられる前板金1015には、発射球誘導孔1031、凹部1030、収容孔1029を開放可能な大きさの開口1016が形成されており、該開口1016の左側縁には、第2切断部260が形成されている。
第2切断部260は、前板金1015における開口1016の左辺所定箇所を略三角形状に切り欠くことにより正面視略「く」の字形に形成される第1傾斜辺261a及び第2傾斜辺261bからなる切断刃部261と、第1傾斜辺261aと第2傾斜辺261bとの間から通路から遠ざかる方向に切り込まれる切込溝262と、から横向き略Y字形に構成される。
このように構成される第2切断部260は、図15(b)に示すように、切断刃部261及び切込溝262を切欠凹部1028に臨ませるように、かつ、発射球誘導孔1031の周縁よりも僅かに外側に配置される。よって、切断刃部261が発射球誘導孔1031から僅かに退避した位置に配設されるため、発射球誘導孔1031を通過する遊技球が接触することはない。
また、切断刃部261が発射球誘導孔1031から僅かに退避した位置に配置されることで、第1傾斜辺261aの上側及び第2傾斜辺261b下側、つまり、切断刃部261の長手方向の両端位置に水平な逸脱規制面266a,266bが形成されることで、後述する糸Tが、第1傾斜辺261aの上側または第2傾斜辺261b下側からはずれてしまうことが防止されている。
また、図16に示すように、第2切断部260は、待機球誘導通路1122上を右側に向けて流下する遊技球の誘導方向を、発射球誘導孔1031上を背面側に向けて左側に曲げる第2曲げ部232における内側、つまり、誘導通路における曲げ側(左側)に設けられる。
尚、各切断部250,260の切込溝252,262の幅は、目立ちにくい細い糸等が使用されると考えれば、例えば0.5〜1mm程度とすることが好ましいが、特に限定されるものではなく、任意に変更可能である。
また、前板金1015の開口1016左辺における第2切断部260の下方位置には、左側に向けて切込溝263が形成されている。尚、切込溝263の背面側は壁部が当接されていることで、ここでは糸Tを切断する機能は有しないが、切断刃部261が撓みやすくなることで、糸Tが送り出されたり引張られたりするときに糸Tに追従して動くため、糸Tが切断されやすくなる。
尚、本実施例では、切込溝263の背面側は壁部が当接されているため、切断機能を有していないが、切込溝263の背面側にある壁部を除去し、切込溝263の縁辺を切断刃部として形成し、一の発射球誘導孔1031に複数の切断部(例えば、第2切断部260と切込溝263)を設けてもよい。
図17及び図18に示すように、上皿3の遊技球を打球モータセット706に誘導する誘導通路は、上皿3から右側に向けて下方に傾斜する待機球誘導通路1122と、第3曲部232と第2曲部231とを連通する発射球誘導孔1031と、第2曲部231から左側の第1曲部230に向けて下方に傾斜する待機通路面206、第1流出通路面207a及び第1曲部230から流出口205に向けて下方に傾斜する第2流出通路面207bからなる球通路部203aと、から主に構成される。
すなわち、上皿3の遊技球を左側に2回曲げて蛇行させるようにして発射通路720の発射位置Hに誘導する。また、例えば図10に示すように、上記誘導通路は、上皿ユニット1001a及びガラス扉枠102により覆われて遊技者側から視認することが困難な場所に配設されるため、上皿3から待機球誘導通路1122を介して第3曲部232付近まで流下した遊技球は、上皿3から手指を挿入しても取り出すことが極めて困難となるように構成されている。言い換えると、打球モータセット706に誘導する遊技球は上皿3からしか投入することは出来ない。
また、整流器200により打球モータセット706に供給される遊技球は、本体部201の背面に形成された流出口205から流出され、発射通路720上に落下する。発射通路720は、待機球誘導通路1122及び球通路部203aと略平行(左右方向)に配設されている。つまり、流出口205に誘導する第2流出通路面207bに対し略直交するように配設されている。よって、流出口205から排出された遊技球は、一度は発射位置Hである右側に向けて誘導されるが、打球ハンマ722により打ち出されることにより、第2流出通路面207bの左側に向けて打ち出されることになる。
ここで、前述した不正行為に用いる糸付き球BPを例えば上皿3に投入した場合、糸付き球BPは、待機球誘導通路1122から球通路部203aを流下し、揺動部材202により打球モータセット706に送り出されるが、その糸Tの他端は、上皿3から引き出されたまま不正者(図示略)が手に持つなどして上皿3に残されているため、糸Tは、糸付き球BPの流下経路、つまり、誘導通路に沿って残される(図17(a)参照)。
そして、打球モータセット706にて糸付き球BPが打ち出されると、糸付き球BPは発射通路720から連絡部410を通過して遊技領域7内に出射される。この糸付き球BPの移動に追従して糸Tが引き出されていく。
そして、不正入賞を繰り返す場合、遊技領域7の左領域を流下した糸付き球Pが入賞口29c内に進入し、該入賞口29c内に設けられた入賞口スイッチ30により検出されたら、手元にある糸Tの繰り出しをやめて糸付き球BPの流下を規制した後、糸Tを引き戻して糸付き球BPを逆流させ、入賞口スイッチ30の上流側まで引き出す。
ここで、糸付き球BPの流下を規制したり、上方に引き戻そうとする場合、上皿3から待機球誘導通路1122、球通路部203a、発射通路720を挿通して遊技領域7まで引き出されている糸Tは、糸付き球BPの自重により、一端に球BPが設けられ他端が不正者に保持されていることで、所定の張力が生じることになる。
このように所定の張力が生じた場合、図17(b)、図18に示すように、糸Tは、第3曲部232にて第2切断部260側に押し付けられて約20度ほど屈曲されるとともに、第1曲部230にて第1切断部250側に押し付けられて約160度ほど屈曲(折返し)される。
すなわち、第1曲部230は、左側に向けて流下する遊技球の誘導方向を背面側に向けて約90度屈曲させる曲部であるが、最終的には、流出口205から流出した後に遊技領域7に向けて打ち出されることで、発射通路720を含めると、第1曲部230は、約180度折返される折返し部であるとも言える。
よって、糸Tは、第1切断部250の切断刃部251及び第2切断部260の切断刃部261に強く押し付けられたり、押し付けられた状態で切断刃部251,261の長手方向、つまり、上下にスライドしたり糸Tが引張られたり送り出されることで誘導通路方向に移動するなどすること等により、切断されるまたは擦り切れやすくなる。
また、糸Tが切込溝252,262内に入り込んだ場合、糸Tが擦り切れて切断されやすくなるばかりか、切断されないにしても、切込溝252,262の幅よりも糸Tが太い場合などにおいては、切込溝252,262に食い込んで摩擦により移動できなくなるので、糸Tを送り出したり引き出したりすることが困難となる。
また、前述したように、上皿3や下皿4の貯留凹部350,351を掴んで手前に強く引くことでガラス扉枠102を撓ませた場合に、ガラス扉枠102に設けられた整流器200と前面枠101との間の隙間が広がって、糸Tが第1曲部230にて第1切断部250側に押し付けられる屈曲(折返し)角度が浅くなってしまい、糸Tが切断され難くなる虞がある。よって、不正者が糸付き球BPによる不正対策として設けられた第1切断部250及び第2切断部260により糸Tが切断されることを回避するために、上皿3や下皿4の貯留凹部350,351を掴んで手前に強く引くことでガラス扉枠102に設けられた整流器200と前面枠101との間の隙間を広げようとしても、本実施例では、撓み防止手段としての撓み防止用係止部300及び中央被係止部301、補強フレーム305〜308及び補強板309、310によってガラス扉枠102の撓みが防止され、かつ撓み防止用係止部300が係止される中央被係止部301が整流器200に近接して設けられていることで、整流器200と前面枠101との間の隙間の広がりが防止され、糸Tが第1曲部230にて第1切断部250側に押し付けられる屈曲(折返し)角度を約160度ほどに維持できるため、糸付き球BPによる不正行為を抑止できる。
また、特に図18に示すように、第1切断部250と第2切断部260とが誘導通路の異なる位置に、左右方向だけでなく上下方向にも異なる位置に設けられることで、この高低差により、糸Tが長手方向だけでなく上下方向にも張力がかかるため、例えば切込溝252,262に入り込んだ糸Tは、各溝の上下の刃部に押し付けられるようになるため、糸Tが切断または移動規制されやすくなる。
また、本実施例では、誘導通路における第1曲部230の内側の角部に第1切断部250が設けられるとともに、第3曲部232の内側の角部に第2切断部260が設けられていたが、例えば、第1切断部250と第2切断部260とに架け渡された糸T(図17(b)参照)に対し、第2屈曲部231の内側の角壁部に設けた第3切断部(図示略)が当接するようにしてもよい。このようにすることで、糸Tが切断部に当接して切断または移動が規制される箇所が増えるため、糸Tが切断または移動規制されやすくなる。
以上説明したように、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、不正行為として、一端が遊技球に取り付けられた糸付き球BPの他端を保持したまま該糸付き球BPを誘導通路により打球モータセット706に誘導し、該打球モータセット706により打ち出して遊技領域7内に不正に進入させた場合、誘導通路から発射装置を経由して遊技領域まで引き出された糸Tは、遊技領域7内の遊技球の自重により該遊技領域7側に引っ張られたり、糸Tの引き戻しを行ったりする場合に張力が生じる。この張力により糸Tは第1曲部230、第3曲部232において内側の第1切断部250,第2切断部260に押し付けられ切断または移動が規制されやすくなり、該糸Tを介して遊技球を引き戻すことが困難となるので、糸付き球BPによる不正行為を防止できる。
また、本実施例では、誘導通路における曲部としての第1曲部230〜232は、遊技球の誘導方向を約90度屈曲させる屈曲部であったが、屈曲角度は90度に限定されるものではなく、120度等他の角度であってもよい。また、本発明はこのように屈曲する曲部に限定されるものではなく、平面視略湾曲状に曲げる湾曲部(カーブ状の曲部)等を含む。
また、本実施例では、線状の異物の一例として糸Tが適用されていたが、ピアノ線、紐等を含み、線状のものであれば素材は限定されるものではない。
また、本実施例では、例えば第1始動入賞口13の第1始動入賞通路内には第1始動口スイッチ13a及び第1入賞確認スイッチ13bが設けられ、第2始動入賞口14の第2始動入賞通路内には第2始動口スイッチ14a及び第2入賞確認スイッチ14bが設けられており、第1始動口スイッチ13a及び第1入賞確認スイッチ13bの検出結果や、第2始動口スイッチ14a及び第2入賞確認スイッチ14bの検出結果に基づいて、それぞれの始動入賞通路内における異常入賞の発生の有無が判定されるようになっていたが、例えば、各入賞通路内にそれぞれ設けられた複数のスイッチを通過するように糸付き球BPを動かされてしまうと入賞異常と判定しないため、このような複数の検出スイッチによる検出だけでは糸付き球BPによる不正行為を防止できないが、上記のような第1切断部250や第2切断部260を設けることで、始動入賞通路等に対する糸付き球BPによる不正行為の実行を阻止することが可能となる。
また、第1切断部250,第2切断部260は、遊技球の誘導方向に対して交差する上下方向に延設された切断刃部251,261にて構成され、該切断刃部251,261の長手方向の上下端には、該切断刃部251,261の長手方向の両端からの糸Tの逸脱を規制する逸脱規制面246a,246b,266a,266bが設けられていることで、切断刃部251,261に架け渡された糸Tが該切断刃部251,261の長手方向の両端からはずれてしまうことを防止できる。
また、第1切断部250,第2切断部260は、切断刃部251,261と、該切断刃の長手方向の所定箇所から該切断刃部251,261に対し交差する左右方向に切り込み形成された切込溝252,262と、から構成されることで、糸Tが切断刃部251,261で切断または移動規制されなくても、切込溝252,262に入り込むことで糸Tが切断または移動規制されるため、糸Tを切断または移動規制しやすくなる。
また、本実施例では、切断刃部251,261と切込溝252,262とからなる切断部250,260が適用されていたが、切断部の形状等は上記以外であってもよく、種々に変更可能である。例えば、切断刃部251,261は、第1傾斜辺251a、261a及び第2傾斜辺251b、261bにより正面視略「く」の字形に形成されていたが、直線状に形成されていてもよい。また、本実施例では、切断刃部251,261と切込溝252,262とにより第1切断部250,第2切断部260が構成されていたが、切断刃部251,261のみで構成されていてもよい。さらに、切込溝252,262の縁辺を切断刃部として形成してもよい。
また、逸脱規制面246a,246b,266a,266bは、本体部201に形成されていたが、板金241等に直接形成してもよい。
また、誘導通路は、打球モータセット706の発射動作に連動して上下方向に向けて付与される揺動力によって、誘導通路の遊技球を球送出位置と待機位置とに切替る揺動部材202を備え、揺動部材202から発射装置側に形成される供給誘導通路(待機球誘導通路1122、発射球誘導孔1031、待機通路面206)及び揺動部材202から発射装置と反対側に形成される待機誘導通路(第1流出通路面207a、第2流出通路面207b)を含み、供給誘導通路には第1切断部250が、待機誘導通路には第2切断部260が設けられていることで、糸Tを切断または移動規制しやすくなる。また、供給誘導通路では、発射装置により遊技球が発射される勢いで糸Tが第1切断部250により切断または移動規制されやすくなるばかりか、待機誘導通路では、遊技球が待機していることで、発射装置側の供給誘導通路に比べて糸Tのあばれが少なく、これにより糸Tが確実に第2切断部260に押し当てられて切断または移動規制されやすくなるため、遊技球の移動態様が異なる箇所それぞれにおいて糸Tを切断または移動規制できる。
また、本実施例では、上皿3に投入された遊技球を打球モータセット706へ誘導する誘導通路の2箇所に第1,2切断部250,260が設けられていたが、1箇所でもよいし、3箇所以上に設けてもよい。さらに本実施例では、第1,2切断部250,260は、上皿ユニット1001aにより覆われて遊技者が手指で触れることができない箇所に設けられているため安全であるとともに、視認不可な位置に設けられているため、不正者が第1,2切断部250,260の位置を確認することはできないため、第1,2切断部250,260を避けるように糸Tを操ったりすることを阻止できる。
また、特に本実施例では、第1切断部250は、揺動部材202により左側に送り出された遊技球が第1曲部230により方向変換された後、打球モータセット706により打ち出されて発射通路720を右側に移動することにより、ほぼ180度折返される折返し部に設けられていることで、糸Tが切断されやすくなる。
また、発射装置としての打球モータセット706の発射動作に連動する動力伝達アーム726により付与される上向きの揺動力により、可動供給部としての球送出面202aが待機位置から球送出位置まで移動する、つまり揺動部材202の姿勢が非供給態様から供給態様に切替ることで、待機通路の一部を構成する球送出面202aの遊技球P2が発射通路720の発射位置Hに供給される。また、本体部201は取付部270に対し着脱可能に取り付けられていることで、本体部201の球通路部203aを清掃するといったメンテナンス作業や、磨耗部品の交換作業等を取付部270から取り外して簡単に行うことができるばかりか、本体部201は取付部270に取り付けられたときに規制部としての逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aにより上方向への移動が規制されることで、発射動作に連動して付与される上向きの動力により揺動部材202が揺動する際における本体部201のガタツキが抑制されるため、本体部201の球送出面202aにある待機球を発射位置Hへ安定して供給することができる。
また、本体部201は直方体に形成され、規制部としての枠板271の下面271aは、本体部201が取付部270に取り付けられたときに該本体部201の所定の当接面である本体部201の上面201aのほぼ全面に近接する規制面としての上板下面271aにて構成されていることで、本体部201を面当接により規制できるので、安定性が向上する。また、枠板271の下面271aは本体部201の長辺部である上面201aに沿って当接可能に延設されているため、本体部201を左右方向の広範囲にわたり規制できるので、安定性が向上する。
また、回動軸211a,211b及び軸受穴272a,272bは、これらの回動軸心が揺動部材202に対し動力伝達アーム726が揺動力を付与する上方向を向くように設けられ、本体部201の上方への移動を規制する逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aは、本体部201が着脱位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を可能とし、本体部201が取付位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を規制することで、本体部201の上方向への移動と軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの逸脱方向への移動とを1つの規制部にて規制できるので、部品点数を低減できるばかりか、着脱位置にて軸受部に対して回動軸211a,211bを簡単に挿入及び逸脱できる。
また、取付部270は、本体部201が取り付けられたときに該本体部201の上方向とは異なる方向(左右方向)への移動を規制する逸脱規制リブ274が設けられていることで、上方向以外の移動も規制されるので、本体部201のガタツキをより一層抑制できる。
尚、本実施例では、本体部201に回動軸211a,211b、取付部270に軸受穴272a,272bが設けられていたが、本体部201に軸受穴272a,272b、取付部270に回動軸211a,211bを設けてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようになっていたが、左右方向を向く回動軸を中心として縦回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようにしてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持した状態で取り付けできるようになっていたが、取付部270に対する取付方法は任意である。
また、打球モータセット706は、揺動力を揺動部材202の球送出面202aに伝達すための動力伝達アーム726の動力伝達部727を有し、整流器200は、本体部201が取付部270に取り付けられたときに動力伝達部727に接触し、該動力伝達部727から揺動力を受ける受動部202cを有し、動力伝達部727と受動部202cとは、同方向(前後方向)を向く揺動軸725と揺動軸220を中心として揺動可能に設けられていることで、動力伝達部727と受動部202cとが同方向に相対移動することになるので、摺接による摩擦抵抗を極力小さくして磨耗を抑制することができる。
尚、本実施例では、揺動軸725と揺動軸220とが前後方向に向けて配設されていたが、双方が左右方向に向けて配設されていてもよい。また、揺動軸725と揺動軸220とが互いに交差する方向に設けてもよく、このような場合でも動力を揺動部材202に伝達することができる。
また、本実施例では、揺動部材202に可動供給部としての球送出面202aと受動部202cとが設けられていたが、動力伝達アーム726の動力伝達部727からの動力を受ける受動部202cと球送出面202aとがそれぞれ別個の部材に設けられていてもよい。すなわち、例えば、動力伝達部727からの動力を、受動部202cが設けられた受動部材(図示略)を介して間接的に揺動部材202に伝達されるようにしてもよい。
また、本実施例の整流器200では、本体部201に対し可動自在に設けられた揺動部材202は、打球モータセット706の発射動作に連動して動力伝達アーム726により上方向に向けて付与される動力によって、待機している遊技球を発射位置Hに送出する球送出位置と待機位置とに切替るようになっていたが、打球モータセット706の発射動作に連動して下方向、左方向、右方向、前方向のいずれかに向けて付与される動力によって往復揺動するものであってもよい。
すなわち、打球モータセット706の発射動作に連動して下方向に動力が付与される場合、取付部270に対する本体部201の下方向への移動を規制し、左方向、右方向、前方向、後方向に動力が付与される場合は、取付部270に対して本体部201を、少なくとも動力が付与される方向(左方向、右方向、前方向、後方向)へ移動規制すればよい。
また、揺動部材202のように上方向に動力が付与されるものにおいて、待機位置に復帰する際の下方向への移動に伴う本体部201の下方向への移動を規制してもよく、このようにすることで、本体部201のガタツキをより抑制することができる。
また、本実施例の整流器200は、発射動作に連動して上方向に動力が付与されることにより、揺動部材202が待機位置から球送出位置まで上方向に揺動することで遊技球が1球ずつ送り出される構造が採用されていたが、球送出面202aが待機位置から球送出位置まで左右または前後方向に移動することで遊技球が1球ずつ送り出されるようにしてもよい。
さらに、球送出面202aは前後方向を向く揺動軸220を中心として往復揺動可能に設けられていたが、上下方向、左右方向、前後方向に直線的に往復動可能に設けられていてもよい。また、動力伝達アーム726に替えて、直線往復動可能な動力伝達部材にて動力が付与されてもよい。
また、本発明の実施例としてのパチンコ遊技機1にあっては、発射装置としての打球モータセット706の発射動作に連動する動力伝達アーム726により付与される上向きの揺動力により、可動供給部としての球送出面202aが待機位置から球送出位置まで移動する、つまり揺動部材202の姿勢が非供給態様から供給態様に切替ることで、待機通路の一部を構成する球送出面202aの遊技球P2が発射レール720の発射位置Hに供給される。
また、本体部201は取付部270に対し着脱可能に取り付けられていることで、本体部201の球通路部203aを清掃するといったメンテナンス作業や、磨耗部品の交換作業等を取付部270から取り外して簡単に行うことができるばかりか、本体部201は取付部270に取り付けられたときに規制部としての逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aにより上方向への移動が規制されることで、発射動作に連動して付与される上向きの動力により揺動部材202が揺動する際における本体部201のガタツキが抑制されるため、本体部201の球送出面202aにある待機球を発射位置Hへ安定して供給することができる。
また、本体部201は直方体に形成され、規制部としての枠板271の下面271aは、本体部201が取付部270に取り付けられたときに該本体部201の所定の当接面である本体部201の上面201aのほぼ全面に近接する規制面としての上板下面271aにて構成されていることで、本体部201を面当接により規制できるので、安定性が向上する。また、枠板271の下面271aは本体部201の長辺部である上面201aに沿って当接可能に延設されているため、本体部201を左右方向の広範囲にわたり規制できるので、安定性が向上する。
また、回動軸211a,211b及び軸受穴272a,272bは、これらの回動軸心が揺動部材202に対し動力伝達アーム726が揺動力を付与する上方向を向くように設けられ、本体部201の上方への移動を規制する逸脱規制リブ274、嵌合部213、枠板271の下面271aは、本体部201が着脱位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を可能とし、本体部201が取付位置にあるときに軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの挿入及び逸脱を規制することで、本体部201の上方向への移動と軸受穴272a,272bに対する回動軸211a,211bの逸脱方向への移動とを1つの規制部にて規制できるので、部品点数を低減できるばかりか、着脱位置にて軸受部に対して回動軸211a,211bを簡単に挿入及び逸脱できる。
また、取付部270は、本体部201が取り付けられたときに該本体部201の上方向とは異なる方向(左右方向)への移動を規制する逸脱規制リブ274が設けられていることで、上方向以外の移動も規制されるので、本体部201のガタツキをより一層抑制できる。
尚、本実施例では、本体部201に回動軸211a,211b、取付部270に軸受穴272a,272bが設けられていたが、本体部201に軸受穴272a,272b、取付部270に回動軸211a,211bを設けてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようになっていたが、左右方向を向く回動軸を中心として縦回動可能に支持し、取付位置まで回転させることで取り付けできるようにしてもよい。
また、本実施例では、本体部201を取付部270に対し上下方向を向く回動軸211a,211bを中心として水平回動可能に支持した状態で取り付けできるようになっていたが、取付部270に対する取付方法は任意であり、以下に示すように取り付けてもよい。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
例えば、前記実施例では、貸し出された貸出球や払い出された賞球が遊技者により指触可能に構成されたパチンコ遊技機1とされていたが、例えば、予め定められた球数の遊技球が遊技機内部に循環可能に内封され、遊技者による貸出要求に応じて貸し出された貸出球や、入賞に応じて付与された賞球数が加算される一方、遊技に使用されたパチンコ球数が減算されて記憶される、所謂、封入式遊技機にも本発明を適用可能である。