JP2014156635A - 軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 - Google Patents

軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】高飽和磁束密度と低鉄損とを安定的に両立する圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末、この軟磁性粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供すること。
【解決手段】チョークコイル(磁性素子)10は、リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き回された導線12と、を有する。また、圧粉磁心11は、本発明の軟磁性粉末と結合材とを混合し、得られた混合物を成形型に供給するとともに、加圧・成形して得られたものである。また、本発明の軟磁性粉末は、非晶質合金で構成され、保磁力が0.1[Oe](7.96[A/m])以上1[Oe](79.6[A/m])以下であり、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、タップ密度が3.8g/cm以上4.8g/cm以下であることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器に関するものである。
近年、ノート型パソコンのようなモバイル機器の小型化・軽量化が顕著である。また、ノート型パソコンの性能は、デスクトップ型パソコンの性能と遜色ない程度まで向上が図られつつある。
このように、モバイル機器の小型化および高性能化を図るためには、スイッチング電源の高周波数化が必要となる。現在、スイッチング電源の駆動周波数は数100kHz程度まで高周波数化が進んでいるが、それに伴って、モバイル機器に内蔵されたチョークコイルやインダクター等の磁性素子の駆動周波数も高周波数化への対応が必要となる。
例えば、特許文献1には、Fe、M(ただし、Mは、Ti、V、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選ばれた少なくとも1種の元素)、Si、B、Cを含む非晶質合金からなる薄帯が開示されている。また、この薄帯を積層し、打ち抜き加工等を施すことにより製造された磁心が開示されている。このような磁心により、交流磁気特性の向上が図られることが期待されている。
しかしながら、薄帯から製造された磁心では、磁性素子の駆動周波数がさらに高周波数化した場合、渦電流によるジュール損失(渦電流損失)が著しく増大することが避けられない。
かかる問題を解決するため、軟磁性粉末と結合材(バインダー)との混合物を加圧・成形した圧粉磁心が使用されている。圧粉磁心では、粒子間を絶縁することにより、電流経路が短く分断され、渦電流損失を抑制することができる。
一方、非晶質合金で構成された軟磁性粉末は、電気抵抗値が高いため、このような軟磁性粉末を含む圧粉磁心では、渦電流損失のさらなる抑制が図られることとなる。また、Fe基非晶質合金は、飽和磁束密度が高いため、磁性デバイス用の軟磁性材料として有用である。
しかしながら、従来のFe基非晶質合金で構成された軟磁性粉末は、圧粉磁心の成形密度を十分に高められないという課題を抱えていた。
特開2007−182594号公報
本発明の目的は、高飽和磁束密度と低鉄損とを安定的に両立する圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末、この軟磁性粉末を用いて製造された高性能の圧粉磁心、この圧粉磁心を備えた高性能の磁性素子、およびこの磁性素子を備えた信頼性の高い電子機器を提供することにある。
上記目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の軟磁性粉末は、非晶質合金で構成され、保磁力が0.1[Oe]以上1[Oe]以下であり、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、タップ密度が3.8g/cm以上4.8g/cm以下であることを特徴とする。
これにより、圧粉成形されたときの充填性が高いので、高飽和磁束密度と低鉄損とを安定的に両立する圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末が得られる。
本発明の軟磁性粉末では、前記非晶質合金は、Fe、Si、B、CrおよびCを含むものであることが好ましい。
この非晶質合金は、十分な低保磁力化が可能であり、かつ、溶融して粉末を製造する際の粒子形状の制御が容易である。したがって、本発明の軟磁性粉末を安定的に製造可能である点で有用である。
本発明の軟磁性粉末では、前記非晶質合金は、Feを主成分とし、
Siを2質量%以上9質量%以下の割合で含み、
Bを2質量%以上5質量%以下の割合で含み、
Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含み、
Cを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含むものであることが好ましい。
これにより、結晶化温度が比較的高くなるため、熱処理等における制約を比較的緩くすることができる。したがって、圧粉成形の際の加熱条件をより広く設定することができ、成形効率を高めるとともに、成形後の特性低下を最小限に抑えることができる。
本発明の軟磁性粉末では、粒径スケールが対数スケールである質量基準の粒度分布において、標準偏差が1μm以上10μm以下であることが好ましい。
これにより、充填性が高められることによる飽和磁束密度の向上と、粒径が比較的揃うことによる鉄損の抑制とを両立させることができ、かつ、そのような軟磁性粉末を安定的に得ることができる。
本発明の軟磁性粉末では、粒子断面の中心部のビッカース硬度は、850以上2000以下であることが好ましい。
このような硬度の粒子で構成された軟磁性粉末は、高硬度ではあるものの、成形時にはわずかに塑性変形可能であり、軟磁性粉末の充填性を高めるのに寄与する。
本発明の圧粉磁心は、非晶質合金で構成され、保磁力が0.1[Oe]以上1[Oe]以下であり、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、タップ密度が3.8g/cm以上4.8g/cm以下である軟磁性粉末を含むことを特徴とする。
これにより、高性能の圧粉磁心が得られる。
本発明の磁性素子は、本発明の圧粉磁心を備えることを特徴とする。
これにより、高性能の磁性素子が得られる。
本発明の電子機器は、本発明の磁性素子を備えることを特徴とする。
これにより、信頼性の高い電子機器が得られる。
高速回転水流アトマイズ法により軟磁性粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。 本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。 本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。 本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。
以下、本発明の軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、添付図面に示す好適実施形態に基づいて詳細に説明する。
[軟磁性粉末]
本発明の軟磁性粉末は、非晶質合金で構成された粉末である。非晶質合金は、比較的電気抵抗値が高く、保磁力が小さいため、高周波数下においても低鉄損を実現する圧粉磁心を形成可能な軟磁性材料として用いられている。ところが、このような低保磁力の軟磁性粉末は、従来、充填性が乏しいという課題を抱えていた。このため、圧粉成形により圧粉磁心を製造したとしても、飽和磁束密度が十分に高くならず、磁気特性の改善が課題となっていた。
上記課題に鑑み、本発明者は、低鉄損と高飽和磁束密度とを両立し得る圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末について鋭意検討を重ねた。そして、保磁力を0.1[Oe](7.96[A/m])以上1[Oe](79.6[A/m])以下とし、平均粒径を5μm以上20μm以下とし、タップ密度を3.8g/cm以上4.8g/cm以下とすることにより、低鉄損と高飽和磁束密度とを高い次元で両立する圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明に係る軟磁性粉末は、必要に応じて粒子表面に絶縁膜が形成され、絶縁性の結着剤を介して粒子同士を結着させるとともに所定の形状に成形されることで、圧粉磁心となる。このような圧粉磁心は、高周波数下での磁気特性に優れることから、各種の磁性素子に用いられている。
本発明に係る軟磁性粉末は、まず、保磁力が非常に小さいという特徴を有している。保磁力は、結晶磁気異方性に関連するが、0.1[Oe]以上1[Oe]以下という保磁力は、結晶磁気異方性が非常に小さいことを意味する。しかしながら、このような低保磁力の軟磁性粉末については、結晶磁気異方性が非常に小さいという特性から、その製造方法に多くの制約を伴い、しかも製造されたとしても、その粉末は、粒径が小さく異形状のものとして実現されていた。ところが、このような軟磁性粉末では、圧粉成形時の充填性が劣ることが避けられない。
その一方、このような低保磁力の軟磁性粉末は、安定的に製造することが難しい。このため、製造される軟磁性粉末の粒径によっては十分な低保磁力化を図ることができなかった。
そこで、本発明者が、保磁力0.1[Oe]以上1[Oe]以下を実現しつつ、粒径5μm以上20μm以下と、タップ密度3.8g/cm以上4.8g/cm以下とを同時に実現した軟磁性粉末を開発したところ、充填率の高い圧粉磁心を安定的に製造し得ることが認められた。これにより、圧粉磁心の鉄損を大きく低減させることができ、しかも、バルク材に匹敵するような高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心を得るに至った。
また、本発明に係る軟磁性粉末は、前述したように、非晶質合金で構成されている。非晶質合金は、原子配列が不規則であり、内部に結晶構造や結晶粒界をほとんど含まない材料である。このため、結晶金属のように転位による変形や結晶粒径を起点とする破壊等が生じ難く、硬度が高いという特徴を有する。従来の軟磁性粉末は、上述したように、異形状のものが多いので、形状に起因した要因によって充填性が低く、しかも、上記のように硬度が高く、塑性変形が生じ難くなり、圧粉成形の際の「詰まり」が悪くなるため、さらに充填性を低下させる。その結果、従来の軟磁性粉末には充填性が低いという問題があった。
これに対し、本発明によれば、充填性を高めるべく粒径およびタップ密度が最適化されているので、非晶質合金で構成された粉末にもかかわらず、高い充填性を実現し、成形密度の高い圧粉磁心を得ることができる。これにより、前述したように、バルク材に匹敵するような高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心を製造することができる。
したがって、本発明によれば、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心の製造が可能である。このような圧粉磁心は、高周波数下において電子機器の性能向上を図ったり、消費電力の低減を図ることができる。
また、高周波数下にある圧粉磁心における鉄損には、主に保磁力に起因するヒステリシス損失と、主に電気抵抗値や粒子形状に起因する渦電流損失とがあるが、鉄損の低減にあたっては、これらの損失の双方を同時に低減させることが必要である。本発明によれば、保磁力の低減を図りつつ、同時に粒子形状の最適化を図ることによって、低鉄損の圧粉磁心を得るとともに、成形性についても改善が図られている。このため、圧粉成形の際の寸法精度を高めることができ、成形後の割れや変形等についても抑制することができる。
本発明の軟磁性粉末の保磁力は、前述したように、0.1[Oe]以上1[Oe]以下とされるが、好ましくは0.1[Oe]以上0.9[Oe]以下とされる。このような低保磁力の軟磁性粉末を用いることにより、高周波数下であっても非常に鉄損の小さい圧粉磁心を得ることができる。なお、保磁力が前記下限値を下回ると、軟磁性粉末の製造難易度が非常に高くなり、安定的に製造することができなくなるため、粒子間で保磁力のバラツキが大きくなる。一方、保磁力が前記上限値を上回ると、高周波数下でヒステリシス損失が大きくなり、低鉄損化が図られなくなる。
なお、軟磁性粉末の保磁力は、軟磁性粉末を圧粉成形した圧粉磁心に対し、交流磁気特性を測定可能な交流磁気測定装置により測定することができる。
また、本発明の軟磁性粉末の平均粒径は、前述したように、5μm以上20μm以下とされるが、好ましくは7μm以上18μm以下とされる。このような粒径の軟磁性粉末を用いることにより、渦電流が流れる経路を短くすることができるので、渦電流損失が十分に抑制された圧粉磁心を得ることができる。また、充填性が特に良好になり、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心が得られる。さらには、透磁率についても高くなる。なお、軟磁性粉末の平均粒径が前記下限値を下回ると、軟磁性粉末が細か過ぎるため、軟磁性粉末の充填性、ひいては圧粉磁心の成形密度が著しく低下し、圧粉磁心の飽和磁束密度が低下する。一方、軟磁性粉末の平均粒径が前記上限値を上回ると、粒子間に大きな隙間が生じ易くなり、やはり軟磁性粉末の充填性、ひいては圧粉磁心の成形密度が著しく低下し、圧粉磁心の飽和磁束密度が低下する。また、粒子径が大きくなった影響で圧粉磁心の電気抵抗値が低下し、渦電流損失が増大する。したがって、軟磁性粉末の平均粒径を前記範囲内に設定することにより、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立する圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末が得られる。なお、平均粒径は、レーザー回折法により、質量基準で累積量が50%になるときの粒径として求められる。
また、本発明の軟磁性粉末のタップ密度は、前述したように、3.8g/cm以上4.8g/cm以下とされるが、好ましくは4.0g/cm以上4.7g/cm以下とされる。このようなタップ密度の軟磁性粉末を用いることにより、軟磁性粉末の充填性を特に高めることができ、高い飽和磁束密度を有する圧粉磁心が得られる。なお、タップ密度が前記下限値を下回ると、充填性が著しく低下し、ひいては圧粉磁心の成形密度が著しく低下して、圧粉磁心の飽和磁束密度が低下する。一方、タップ密度が前記上限値を上回ると、製造難易度が非常に高くなり、安定的に製造することができなくなるため、例えば製造するたびにタップ密度のバラツキが大きくなる。その結果、圧粉磁心の飽和磁束密度が製造ロットによって安定しないという懸念が生じる。
なお、軟磁性粉末のタップ密度は、JIS Z 2512に規定された方法により測定することができる。
本発明に用いられる非晶質合金の組成は、特に限定されないが、例えば、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Fe−Si−B−Cr−C系、Fe−Si−Cr系、Fe−B系、Fe−P−C系、Fe−Co−Si−B系、Fe−Si−B−Nb系、Fe−Zr−B系のようなFe系合金、Ni−Si−B系、Ni−P−B系のようなNi系合金、Co−Si−B系のようなCo系合金等が挙げられる。また、用いる非晶質合金は、過冷却液体状態が比較的安定な、いわゆるガラス金属材料であってもよい。なお、本明細書中では、ガラス金属も含めて非晶質合金という。
これらの非晶質合金の中でも、Fe−Si−B系、Fe−Si−B−C系およびFe−Si−B−Cr−C系のうちのいずれかが好ましく用いられ、Fe−Si−B−Cr−C系がより好ましく用いられる。これらの非晶質合金は、十分な低保磁力化が可能であり、かつ、溶融して粉末を製造する際の粒子形状の制御が容易である。したがって、これらの非晶質合金は、本発明の軟磁性粉末を安定的に製造可能である点で有用である。
また、Fe−Si−B−Cr−C系の非晶質合金は、結晶化温度が比較的高いため、熱処理等における制約を比較的緩くすることができる。したがって、圧粉成形の際の加熱条件をより広く設定することができ、成形効率を高めるとともに、成形後の特性低下を最小限に抑えることができる。
以下、代表的にFe−Si−B−Cr−C系の非晶質合金についてさらに詳述する。
Fe−Si−B−Cr−C系の非晶質合金は、Siを4質量%以上9質量%以下の割合で含み、Bを2質量%以上5質量%以下の割合で含み、Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含み、Cを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含み、残部がFeおよび不可避元素で占められた材料である。
Fe−Si−B−Cr−C系非晶質合金を構成する各元素のうち、Fe(鉄)は、最も含有率が高い主成分である。このため、Feは、軟磁性粉末の基本的な磁気特性や機械的特性に大きな影響を与える。
一方、不可避元素は、原料または軟磁性粉末の製造時に意図せず混入する元素(不純物)である。不可避元素は特に限定されるものではないが、一例として、O(酸素)、N(窒素)、P(リン)、S(硫黄)、Al(アルミニウム)等が挙げられる。なお、不可避元素が混入する場合、その混入量は、不可避元素の含有率として0.1質量%未満であるのが好ましく、0.05質量%以下であるのがより好ましい。
各元素のうち、Si(ケイ素)は、非晶質合金の透磁率を高めることに寄与する。また、一定量のSiを添加することにより、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができるので、軟磁性粉末の渦電流損失を抑制することができる。さらには、一定量のSiを添加することにより、保磁力も低下させることができる。
非晶質合金におけるSiの含有率は、2質量%以上9質量%以下であるのが好ましく、4.5質量%以上8.5質量%以下であるのがより好ましく、5質量%以上8質量%以下であるのがさらに好ましい。Siの含有率を前記範囲内に設定することにより、非晶質合金の透磁率と電気抵抗値とを十分に高めつつ、保磁力の小さい軟磁性粉末が得られる。なお、Siの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、透磁率が低下し、飽和磁束密度が低下するおそれがある。また、組成比によっては、電気抵抗値が低下したり、保磁力が上昇したりして、鉄損が増大するおそれがある。一方、Siの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、非晶質合金の硬度が著しく上昇して、塑性変形し難くなり、軟磁性粉末の充填性が低下するおそれがある。また、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下し、また、結晶磁気異方性が小さくなり保磁力が上昇するおそれがある。
各元素のうち、B(ホウ素)は、非晶質合金の融点を低下させ、非晶質化を容易にする。このため、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができ、軟磁性粉末の渦電流損失を抑制することができる。また、結晶磁気異方性が小さくなり、保磁力を低下させることに寄与する。さらに、溶融時の粘度が低下するため、微細化および球形化が容易に図られる。その結果、粒径が小さくタップ密度の大きい軟磁性粉末が得られる。
非晶質合金におけるBの含有率は、2質量%以上5質量%以下であるのが好ましく、2.5質量%以上4.5質量%以下であるのがより好ましく、2.7質量%以上4.2質量%以下であるのがさらに好ましい。Bの含有率を前記範囲内に設定することにより、製造される圧粉磁心において渦電流損失とヒステリシス損失の双方を減少させつつ、軟磁性粉末の平均粒径およびタップ密度を前記範囲内に確実に収めることができる。その結果、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立させた圧粉磁心が得られる。なお、Bの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、非晶質合金の電気抵抗値を十分に高めることができず、渦電流損失が増大するとともに、保磁力を十分に低下させることができず、ヒステリシス損失が増大し、その結果、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。一方、Bの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
各元素のうち、Cr(クロム)は、非晶質合金の耐食性を向上させるよう作用する。すなわち、Crの酸化物(Cr等)を主とする不働態皮膜が粒子表面に形成されることにより、粒子の耐食性が向上する。耐食性の向上によって非晶質合金の経時的な酸化が抑えられるため、酸化に伴う磁気特性の低下、例えば飽和磁束密度の低下を防止することができる。
また、耐食性の高い不働態皮膜の形成により、粒子表面に強固な絶縁性皮膜が形成されることとなる。このため、粒子間に形成される電流経路における電気抵抗(粒子間抵抗)の増大が図られることとなり、渦電流の流れる経路をより小さく分断することができる。その結果、渦電流損失の小さい圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末が得られる。
非晶質合金におけるCrの含有率は、1質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以下2.5質量%以下であるのがより好ましい。Crの含有率を前記範囲内に設定することにより、十分な耐食性を備えた軟磁性粉末が得られるとともに、鉄損が十分に小さい圧粉磁心を製造可能な軟磁性粉末が得られる。なお、Crの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、軟磁性粉末に形成される不働態皮膜の厚さや形成領域が不十分となり、耐食性が低下するとともに、飽和磁束密度が低下するおそれがある。一方、Crの含有率が前記上限値を上回ると、組成比によっては、非晶質化が阻害され、電気抵抗値が低下するとともに保磁力が上昇するため、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。また、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
各元素のうち、C(炭素)は、非晶質合金の溶融時の粘性を下げ、非晶質化を容易にする。このため、非晶質合金の電気抵抗値を高めることができ、軟磁性粉末の渦電流損失を抑制することができる。また、結晶磁気異方性が小さくなり、保磁力を低下させることに寄与する。さらに、微細化および球形化が容易に図られるので、粒径が小さくタップ密度の大きい軟磁性粉末が得られる。
非晶質合金におけるCの含有率は、0.1質量%以上1質量%以下であるのが好ましく、0.3質量%以上0.8質量以下であるのがより好ましい。Cの含有率を前記範囲内に設定することにより、製造される圧粉磁心において渦電流損失とヒステリシス損失の双方を減少させつつ、軟磁性粉末の平均粒径およびタップ密度を前記範囲内に確実に収めることができる。その結果、高飽和磁束密度と低鉄損とを両立させた圧粉磁心が得られる。なお、Cの含有率が前記下限値を下回ると、組成比によっては、非晶質合金の電気抵抗値を十分に高めることができず、渦電流損失が増大するとともに、保磁力を十分に低下させることができず、ヒステリシス損失が増大し、その結果、圧粉磁心の鉄損が増大するおそれがある。一方、Cの含有率が前記上限値を上回ると、相対的にFeの含有率が低下する分、飽和磁束密度が低下するおそれがある。
以上、Fe−Si−B−Cr−C系非晶質合金について説明したが、上記各元素の組成比や各元素が担う役割は、他の組成の非晶質合金、例えばFe−Si−B系、Fe−Si−B−C系、Fe−Si−Cr系、Fe−B系等においても同様である。
また、Fe−Si−B−Cr−C系非晶質合金は、必要に応じてMnを含んでいてもよい。この場合、Mnの含有率は、1質量%以上3質量%以下であるのが好ましく、1.5質量%以上2.5質量%以下であるのがより好ましい。これにより、透磁率をより高めるとともに、保磁力をより下げることができる。
なお、非晶質合金の構成元素および組成比は、例えば、JIS G 1257に規定された原子吸光法、JIS G 1258に規定されたICP発光分析法、JIS G 1253に規定されたスパーク発光分析法、JIS G 1256に規定された蛍光X線分析法、JIS G 1211〜G 1237に規定された重量・滴定・吸光光度法等により特定することができる。具体的には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aが挙げられる。
また、C(炭素)およびS(硫黄)の特定に際しては、特に、JIS G 1211に規定された酸素気流燃焼(高周波誘導加熱炉燃焼)−赤外線吸収法も用いられる。具体的には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200が挙げられる。
さらに、N(窒素)およびO(酸素)の特定に際しては、特に、JIS G 1228に規定された鉄および鋼の窒素定量方法、JIS Z 2613に規定された金属材料の酸素定量方法も用いられる。具体的には、LECO社製酸素・窒素分析装置、TC−300/EF−300が挙げられる。
また、X線回折法を用いることにより、非晶質合金が非晶質であるか否かを特定することができる。一般的には明瞭な回折ピークが認められない場合、非晶質であると特定することができる。
また、本発明の軟磁性粉末の粒度分布についても、充填性の観点から最適化が図られるのが好ましい。
具体的には、本発明の軟磁性粉末の粒径スケールが対数スケールである質量基準の粒度分布において、標準偏差は1μm以上10μm以下であるが好ましく、2μm以上8μm以下であるのがより好ましい。これにより、充填性が高められることによる飽和磁束密度の向上と、粒径が比較的揃うことによる鉄損の抑制とを両立させることができ、かつ、そのような軟磁性粉末を安定的に得ることができる。すなわち、標準偏差が前記下限値を下回る場合、製造難易度が高くなるので、安定的に製造することができなくなるおそれがある。一方、標準偏差が前記上限値を上回る場合、充填性が低下し、飽和磁束密度が低下するとともに、肥大粒子が含まれる確率が高くなるため鉄損の増大が懸念されることとなる。
なお、軟磁性粉末の粒度分布の標準偏差は、レーザー回折法により、質量基準で取得された粒度分布において、粒径スケールを対数スケールとし、以下の計算式で算出される。
標準偏差σ=(d84%−d16%)/2
ただし、d16%は、質量基準で小さい方からの累積量が16%になるときの粒径であり、d84%は、質量基準で小さい方からの累積量が84%になるときの粒径である。
また、最大粒径は、50μm以下であるのが好ましく、45μm以下であるのがより好ましく、35μm以下であるのがさらに好ましい。最大粒径をこのような範囲に抑えることで、圧粉磁心の渦電流損失を効果的に抑えることができる。すなわち、最大粒径が前記上限値を超えると、電流経路が長くなり、ジュール熱による渦電流損失が大きくなるおそれがある。
なお、軟磁性粉末の最大粒径は、レーザー回折法により、質量基準で取得された粒度分布において、小さい方からの累積量が99.9%となるときの粒径である。
また、本発明の軟磁性粉末は、粒子断面の中心部のビッカース硬度が、850以上1200以下であるのが好ましく、900以上1000以下であるのがより好ましい。このような硬度の粒子で構成された軟磁性粉末は、高硬度ではあるものの、成形時にはわずかに塑性変形可能であり、軟磁性粉末の充填性を高めるのに寄与する。したがって、ビッカース硬度が前記下限値を下回ると、粒子が変形し易くなるため、充填性は上がるものの、粒子表面に絶縁膜を形成したとき、粒子の変形に伴って絶縁膜が破れるおそれがある。その結果、渦電流損失が増大するおそれがある。一方、ビッカース硬度が前記上限値を上回ると、成形時に塑性変形し難くなるので、軟磁性粉末の充填性が低下するおそれがある。
なお、粒子断面の中心部とは、粒子の最大長さである長軸を通過するように粒子を切断したとき、その切断面上の長軸の中点にあたる部位である。また、中心部のビッカース硬度は、マイクロビッカース硬さ試験機により測定することができる。
[軟磁性粉末の製造方法]
本発明の軟磁性粉末は、いかなる製造方法で製造されたものであってもよいが、例えばアトマイズ法により製造することができる。アトマイズ法は、溶融金属(溶湯)を、冷却媒(液体やガス等)に衝突させることにより粉末化する方法である。溶融金属は、噴霧されたり、冷却媒と衝突させることにより、微細な液滴となるとともに、この液滴が冷却媒と接触することにより急速に冷却され固化する。この際、液滴は自然落下しつつ冷却されるため、自らの表面張力によって形状が球形化される。これにより、球形に近い形状をなし、かつ、異形状の粒子が少なくなるので、粒径の揃った粒子(軟磁性粉末)を効率よく製造することができる。
アトマイズ法には、冷却媒の種類や装置構成の違いによって、水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、高速回転水流アトマイズ法等が知られている。このうち、高速回転水流アトマイズ法によれば、溶湯を極めて高速で冷却することができるので、溶融金属における無秩序な原子配置が高度に維持された状態で固化に至らせることができ、非晶質化度の高い軟磁性粉末を効率よく製造することができる。
以下、高速回転水流アトマイズ法による軟磁性粉末の製造方法について説明する。
高速回転水流アトマイズ法では、冷却用筒体の内周面に沿って冷却液を噴出供給し、冷却用筒体内周面に沿って旋回させることにより、内周面に冷却液層を形成する。一方、非晶質合金の原材料を溶融し、得られた溶融金属を自然落下させつつ、これに液体または気体のジェットを吹き付ける。これにより溶融金属が飛散し、冷却液層に取り込まれる。その結果、飛散して微粉化した溶融金属が急速冷却されて固化し、軟磁性粉末が得られる。
図1は、高速回転水流アトマイズ法により軟磁性粉末を製造する装置の一例を示す縦断面図である。
図1に示す粉末製造装置30は、内周面に冷却液層9を形成するための冷却用筒体1と、冷却液層9の内側の空間部23に溶融金属25を流下供給するための供給容器である坩堝15と、冷却用筒体1に冷却液を供給するための手段であるポンプ7と、流下した細流状の溶融金属25を液滴に分断するとともに冷却液層9に供給するためのガスジェット26を噴出するジェットノズル24と、を備えている。
冷却用筒体1は円筒状をなし、筒体軸線が鉛直方向に沿うように、または鉛直方向に対して30℃以下の角度で傾くように設置される。なお、図1は鉛直方向に対して傾いた状態を示している。冷却用筒体1の上端開口は蓋体2により閉塞されており、蓋体2には流下する溶融金属25を冷却用筒体1の空間部23に供給するための開口部3が形成されている。
また、冷却用筒体1の上部には、冷却用筒体1の内周面の接線方向に冷却液を噴出供給し得るよう構成された冷却液噴出管4が設けられている。そして、冷却液噴出管4の吐出口5は、冷却用筒体1の周方向に沿って等間隔に複数個設けられている。また、冷却液噴出管4の管軸方向は、冷却用筒体1の軸線に直交する平面に対して0°以上20°以下程度下方に傾くように設定される。
冷却液噴出管4は、ポンプ7を介してタンク8に配管接続されており、ポンプ7で吸い上げられたタンク8内の冷却液が冷却液噴出管4を介して冷却用筒体1内に噴出供給される。これにより、冷却液が冷却用筒体1の内周面に沿って回転しながら徐々に流下し、それに伴って内周面に沿う冷却液の層(冷却液層9)が形成される。なお、タンク8内や循環流路の途中には、必要に応じて冷却器を介在させるようにしてもよい。冷却液としては水の他、油(シリコーンオイル等)が用いられ、さらに各種添加物が添加されていてもよい。また、冷却液中の溶存酸素をあらかじめ除去しておくことにより、製造される粉末の冷却に伴う酸化を抑えることができる。
また、冷却用筒体1の内周面下部には、冷却液層9の層厚を調整する層厚調整用リング16が着脱自在に設けられている。この層厚調整用リング16を設けることにより、冷却液の流下速度が抑えられ、冷却液層9の層厚を確保するとともに、層厚の均一化を図ることができる。
また、冷却用筒体1の下部には、円筒状の液切り用網体17が連設されており、この液切り用網体17の下側には漏斗状の粉末回収容器18が設けられている。液切り用網体17の周囲には液切り用網体17を覆うように冷却液回収カバー13が設けられ、この冷却液回収カバー13の底部に形成された排液口14は、配管を介してタンク8に接続されている。
また、空間部23には、空気や不活性ガス等の気体を噴出させるためのジェットノズル24が設けられている。このジェットノズル24は、蓋体2の開口部3を介して挿入されたガス供給管27の先端に取り付けられたものであり、その噴出口が、細流状の溶融金属25を指向し、さらにその先の冷却液層9を指向するよう配置されている。
このような粉末製造装置30において軟磁性粉末を製造するには、まず、ポンプ7を作動させ、冷却用筒体1の内周面に冷却液層9を形成し、次いで、坩堝15内の溶融金属25を空間部23に流下させる。この溶融金属25にガスジェット26を吹き付けると、溶融金属25が飛散し、微粉化された溶融金属25が冷却液層9に巻き込まれる。その結果、微粉化された溶融金属25が冷却固化され、軟磁性粉末が得られる。
高速回転水流アトマイズ法では、冷却液を連続供給することにより、極めて大きい冷却速度を安定的に維持することができるため、製造される軟磁性粉末の非晶質化度が安定する。その結果、製造される軟磁性粉末の低保磁力化が可能になる。
また、ガスジェット26によって一定の大きさに微細化された溶融金属25は、冷却液層9に巻き込まれるまで惰性落下するので、その際に液滴の球形化が図られる。その結果、平均粒径とタップ密度とが前記範囲内に最適化された軟磁性粉末を製造することができる。
なお、高速回転水流アトマイズ法では、高速冷却を維持しつつ、微細化と真球化という同時には成立させづらい要素を同時に成立させたことによって、本発明の軟磁性粉末の製造を可能にしているが、その際、製造条件を最適化することが重要である。
例えば、坩堝15から流下させる溶融金属25の流下量については、装置サイズにもよるが、1分あたり1kg以下に抑えることが好ましい。これにより、溶融金属25が飛散するとき、適度な大きさの液滴として飛散するため、上述したような平均粒径およびタップ密度が実現される。また、一定時間に供給される溶融金属25の量が抑えられることにより、冷却速度も十分に得られるので、非晶質化度が高くなり、低保磁力化も図られる。なお、例えば、溶融金属25の流下量を前記範囲内で少なくすることにより、平均粒径を小さくすることができる。
一方、坩堝15から流下させる溶融金属25の細流の外径、すなわち坩堝15の流下口の内径は、1mm以下であるのが好ましい。これにより、溶融金属25の細流にガスジェット26を均一に当て易くなるので、適度な大きさの液滴が均一に飛散し易くなる。その結果、上述したような平均粒径およびタップ密度が実現される。そして、やはり一定時間に供給される溶融金属25の量が抑えられることになるので、冷却速度も十分に得られ、低保磁力化を図ることができる。なお、例えば、坩堝15の流下口の内径を前記範囲内で小さくすることにより、平均粒径を小さくすることができる。
また、ガスジェット26の流速については、100m/s以上1000m/s以下に設定されるのが好ましい。これにより、やはり溶融金属25を適度な大きさの液滴として飛散させることができるので、上述したような平均粒径およびタップ密度が実現される。また、ガスジェット26に十分な速度があるので、飛散した液滴にも十分な速度が与えられることとなり、液滴がより微細になるとともに、冷却液層9に巻き込まれるまでの時間短縮が図られる。その結果、液滴は短時間で球形化することができ、かつ、短時間で冷却されるので、上述したようなタップ密度が得られるとともに、非晶質化度が高くなるので、低保磁力化も図られる。なお、例えば、ガスジェット26の流速を前記範囲内で大きくすることにより、平均粒径を小さくすることができる。
また、ここで例示した3つの条件は、2つ以上を同時に設定しても、1つを個別に設定してもよい。
また、この他の条件としては、例えば、冷却用筒体1に供給する冷却液の噴出時の圧力を50MPa以上200MPa以下程度、液温を−10℃以上40℃以下程度に設定するのが好ましい。これにより、冷却液層9の流速の最適化が図られ、微粉化された溶融金属25を適度にかつムラなく冷却することができる。
また、非晶質合金の原材料を溶融する際、その溶融温度は非晶質合金の融点Tmに対し、Tm+20℃以上Tm+200℃以下程度に設定されるのが好ましく、Tm+50℃以上Tm+150℃以下程度に設定されるのが好ましい。これにより、溶融金属25をガスジェット26で微粉化する際、粒子間で特性のバラツキが特に小さく抑えられるとともに、軟磁性粉末の低保磁力化を確実に図ることができる。
なお、ガスジェット26は、必要に応じて液体ジェットで代替することもできる。
また、アトマイズ法において溶湯を冷却する際の冷却速度は、1×10℃/s以上であるのが好ましく、1×10℃/s以上であるのがより好ましい。このような急速な冷却により、とりわけ非晶質化度の高い軟磁性粉末が得られるとともに、軟磁性粉末の粒子間における組成比のバラツキが抑えられることとなる。
また、上述したような方法で製造された後、軟磁性粉末に対しては必要に応じて焼鈍処理を施すようにしてもよい。この焼鈍処理における加熱条件は、非晶質合金における結晶化温度Tx−250℃以上Tx未満の温度範囲であれば、5分以上120分以下の時間範囲であるのが好ましく、非晶質合金の結晶化温度Tx−100℃以上Tx未満の温度範囲であれば、10分以上60分以下の時間範囲であるのがより好ましい。
なお、このようにして得られた軟磁性粉末に対し、必要に応じて、分級を行ってもよい。分級の方法としては、例えば、ふるい分け分級、慣性分級、遠心分級のような乾式分級、沈降分級のような湿式分級等が挙げられる。
また、必要に応じて、得られた軟磁性粉末を造粒するようにしてもよい。
さらには、必要に応じて、得られた軟磁性粉末の各粒子表面に絶縁膜を成膜するようにしてもよい。この絶縁膜の構成材料としては、例えば、後述する結合材の構成材料と同様のものが挙げられる。
[圧粉磁心および磁性素子]
本発明の磁性素子は、チョークコイル、インダクター、ノイズフィルター、リアクトル、トランス、モーター、発電機のように、磁心を備えた各種磁性素子に適用可能である。また、本発明の圧粉磁心は、これらの磁性素子が備える磁心に適用可能である。
以下、磁性素子の一例として、2種類のチョークコイルを代表に説明する。
<第1実施形態>
まず、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図2は、本発明の磁性素子の第1実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(平面図)である。
図2に示すチョークコイル10は、リング状(トロイダル形状)の圧粉磁心11と、この圧粉磁心11に巻き回された導線12とを有する。このようなチョークコイル10は、一般に、トロイダルコイルと称される。
圧粉磁心(本発明の圧粉磁心)11は、本発明の軟磁性粉末と結合材(バインダー)と有機溶媒とを混合し、得られた混合物を成形型に供給するとともに、加圧・成形して得られたものである。
圧粉磁心11の作製に用いられる結合材の構成材料としては、例えば、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリフェニレンサルファイド系樹脂等の有機材料、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガン、リン酸カドミウムのようなリン酸塩、ケイ酸ナトリウムのようなケイ酸塩(水ガラス)等の無機材料等が挙げられるが、特に、熱硬化性ポリイミドまたはエポキシ系樹脂が好ましい。これらの樹脂材料は、加熱されることによって容易に硬化するとともに、耐熱性に優れたものである。したがって、圧粉磁心11の製造容易性および耐熱性を高めることができる。
また、軟磁性粉末に対する結合材の割合は、作製する圧粉磁心11の目的とする飽和磁束密度や、許容される渦電流損失等に応じて若干異なるが、0.5質量%以上5質量%以下程度であるのが好ましく、1質量%以上3質量%以下程度であるのがより好ましい。これにより、軟磁性粉末の各粒子同士を確実に絶縁しつつ、圧粉磁心11の密度をある程度確保して、圧粉磁心11の飽和磁束密度や透磁率が著しく低下するのを防止することができる。その結果、より飽和磁束密度および透磁率が高く、かつ、より低損失の圧粉磁心11が得られる。
また、有機溶媒としては、結合材を溶解し得るものであれば特に限定されないが、例えば、トルエン、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、クロロホルム、酢酸エチル等の各種溶媒が挙げられる。
なお、前記混合物中には、必要に応じて、任意の目的で各種添加剤を添加するようにしてもよい。
以上のような結合材により、軟磁性粉末の粒子同士が結着されるとともに絶縁される。これにより、圧粉磁心11に高周波数で変化する磁場を付与しても、この磁場変化に対する電磁誘導で発生する起電力に伴う誘導電流は、各粒子の比較的狭い領域にしか及ばない。このため、この誘導電流によるジュール損失(渦電流損失)を小さく抑えることができる。また、各粒子の保磁力は小さいので、ヒステリシス損失を小さく抑えることもできる。
一方、導線12の構成材料としては、導電性の高い材料が挙げられ、例えば、Cu、Al、Ag、Au、Ni等の金属材料、またはかかる金属材料を含む合金等が挙げられる。
なお、導線12の表面は、必要に応じて絶縁性を有する表面層で被覆される。これにより、圧粉磁心11と導線12との短絡を確実に防止することができる。かかる表面層の構成材料としては、例えば、各種樹脂材料等が挙げられる。
次に、チョークコイル10の製造方法について説明する。
まず、本発明の軟磁性粉末と、結合材と、各種添加剤と、有機溶媒とを混合し、混合物を得る。
次いで、混合物を乾燥させて塊状の乾燥体を得た後、この乾燥体を粉砕することにより、造粒粉を形成する。
次に、この混合物または造粒粉を、作製すべき圧粉磁心の形状に成形し、成形体を得る。
この場合の成形方法としては、特に限定されないが、例えば、プレス成形、押出成形、射出成形等の方法が挙げられる。なお、この成形体の形状寸法は、以後の成形体を加熱した際の収縮分を見込んで決定される。
次に、得られた成形体を加熱することにより、結合材を硬化させ、圧粉磁心11を得る。このとき、加熱温度は、結合材の組成等に応じて若干異なるものの、結合材が有機材料で構成されている場合、好ましくは100℃以上500℃以下程度とされ、より好ましくは120℃以上250℃以下程度とされる。また、加熱時間は、加熱温度に応じて異なるものの、0.5時間以上5時間以下程度とされる。
以上により、本発明の軟磁性粉末を加圧・成形してなる圧粉磁心11、および、かかる圧粉磁心11の外周面に沿って導線12を巻き回してなるチョークコイル(本発明の磁性素子)10が得られる。
なお、圧粉磁心11の形状は、上述したリング状に限定されず、例えば棒状、E型、I型等の形状であってもよい。
<第2実施形態>
次に、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルについて説明する。
図3は、本発明の磁性素子の第2実施形態を適用したチョークコイルを示す模式図(透過斜視図)である。
以下、第2実施形態にかかるチョークコイルについて説明するが、それぞれ、前記第1実施形態にかかるチョークコイルとの相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。
本実施形態にかかるチョークコイル20は、図3に示すように、コイル状に成形された導線22を、圧粉磁心21の内部に埋設してなるものである。すなわち、チョークコイル20は、導線22を圧粉磁心21でモールドしてなるものである。
このような形態のチョークコイル20は、比較的小型のものが容易に得られる。そして、このような小型のチョークコイル20を製造するにあたって、飽和磁束密度および透磁率が大きく、かつ、損失の小さい圧粉磁心21を用いることにより、小型であるにもかかわらず、大電流に対応可能な低損失・低発熱のチョークコイル20が得られる。
また、導線22が圧粉磁心21の内部に埋設されているため、導線22と圧粉磁心21との間に隙間が生じ難い。このため、圧粉磁心21の磁歪による振動を抑制し、この振動に伴う騒音の発生を抑制することもできる。
以上のような本実施形態にかかるチョークコイル20を製造する場合、まず、成形型のキャビティ内に導線22を配置するとともに、キャビティ内を本発明の軟磁性粉末で充填する。すなわち、導線22を包含するように、軟磁性粉末を充填する。
次に、導線22とともに、軟磁性粉末を加圧して成形体を得る。
次いで、前記第1実施形態と同様に、この成形体に熱処理を施す。これにより、チョークコイル20が得られる。
[電子機器]
次いで、本発明の磁性素子を備える電子機器(本発明の電子機器)について、図4〜図6に基づき、詳細に説明する。
図4は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したモバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューターの構成を示す斜視図である。この図において、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部100を備えた表示ユニット1106とにより構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。このようなパーソナルコンピューター1100には、例えばスイッチング電源用のチョークコイルやインダクター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図5は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用した携帯電話機(PHSも含む)の構成を示す斜視図である。この図において、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部100が配置されている。このような携帯電話機1200には、例えばインダクター、ノイズフィルター、モーター等の磁性素子1000が内蔵されている。
図6は、本発明の磁性素子を備える電子機器を適用したディジタルスチルカメラの構成を示す斜視図である。なお、この図には、外部機器との接続についても簡易的に示されている。ディジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)等の撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
ディジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて撮像した画像を表示する構成になっており、表示部は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。また、このディジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、図示されるように、ビデオ信号出力端子1312にはテレビモニター1430が、デ−タ通信用の入出力端子1314にはパーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。このようなディジタルスチルカメラ1300にも、例えばインダクター、ノイズフィルター等の磁性素子1000が内蔵されている。
なお、本発明の磁性素子を備える電子機器は、図4のパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図5の携帯電話機、図6のディジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、カーナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、船舶の計器類)、移動体制御機器類(例えば、自動車駆動用制御機器等)、フライトシミュレーター等に適用することができる。
以上、本発明の軟磁性粉末、圧粉磁心、磁性素子および電子機器について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、前記実施形態では、本発明の軟磁性粉末の用途例として圧粉磁心を挙げて説明したが、用途例はこれに限定されず、例えば磁性流体、磁気遮蔽シート、磁気ヘッド等の磁性デバイスであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.圧粉磁心およびチョークコイルの製造
(サンプルNo.1)
[1]まず、原材料を高周波誘導炉で溶融するとともに、高速回転水流アトマイズ法により粉末化して軟磁性粉末を得た。この際、坩堝から流下させる溶融金属の流下量を0.5kg/分、坩堝の流下口の内径を1mm、ガスジェットの流速を900m/sとした。次いで、目開き150μmの標準ふるいを用いて分級した。得られた軟磁性粉末の合金組成を表1に示す。なお、合金組成の特定には、SPECTRO社製固体発光分光分析装置(スパーク発光分析装置)、モデル:SPECTROLAB、タイプ:LAVMB08Aを用いた。また、C(炭素)の定量分析には、LECO社製炭素・硫黄分析装置、CS−200を用いた。
[2]次に、得られた軟磁性粉末について、粒度分布測定を行った。なお、この測定は、レーザー回折方式の粒度分布測定装置(マイクロトラック、HRA9320−X100 日機装株式会社製)により行った。そして、粒度分布から軟磁性粉末の平均粒径および標準偏差を求めた。また、併せて、粒子断面の中心部のビッカース硬度および軟磁性粉末のタップ密度を測定した。測定結果を表1に示す。
[3]次に、得られた軟磁性粉末と、エポキシ樹脂(結合材)、トルエン(有機溶媒)とを混合して、混合物を得た。なお、エポキシ樹脂の添加量は、軟磁性粉末100質量部に対して2質量部とした。
[4]次に、得られた混合物を撹拌したのち、温度60℃で1時間加熱して乾燥させ、塊状の乾燥体を得た。次いで、この乾燥体を、目開き500μmのふるいにかけ、乾燥体を粉砕して、造粒粉末を得た。
[5]次に、得られた造粒粉末を、成形型に充填し、下記の成形条件に基づいて成形体を得た。
<成形条件>
・成形方法 :プレス成形
・成形体の形状:リング状
・成形体の寸法:外径28mm、内径14mm、厚さ10.5mm
・成形圧力 :20t/cm(1.96GPa)
[6]次に、成形体を、大気雰囲気中において、温度450℃で0.5時間加熱して、結合材を硬化させた。これにより、圧粉磁心を得た。
[7]次に、得られた圧粉磁心を用い、以下の作製条件に基づいて、図2に示すチョークコイル(磁性素子)を作製した。
<コイル作製条件>
・導線の構成材料:Cu
・導線の線径 :0.5mm
・巻き数(透磁率等測定時):7ターン
・巻き数(鉄損測定時) :1次側30ターン、2次側30ターン
(サンプルNo.2〜24)
軟磁性粉末として表1に示すものをそれぞれ用いるようにした以外は、サンプルNo.1と同様にして圧粉磁心を得るとともに、この圧粉磁心を用いてチョークコイルを得た。
なお、表1においては、各サンプルNo.の軟磁性粉末のうち、本発明に相当するものについては「実施例」、本発明に相当しないものについては「比較例」と示した。
2.軟磁性粉末、圧粉磁心およびチョークコイルの評価
2.1 圧粉磁心の成形密度の測定
各実施例および各比較例で得られた圧粉磁心について、アルキメデス法(JIS Z 2501に規定)に準じた方法により成形密度を測定した。そして、測定された成形密度を、以下の評価基準にしたがって評価した。
<成形密度の評価基準>
A:成形密度が5.2g/cm以上である
B:成形密度が5.0g/cm以上5.2g/cm未満である
C:成形密度が4.8g/cm以上5.0g/cm未満である
D:成形密度が4.6g/cm以上4.8g/cm未満である
E:成形密度が4.4g/cm以上4.6g/cm未満である
F:成形密度が4.4g/cm未満である
2.2 軟磁性粉末の磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られた軟磁性粉末について、その保磁力および飽和磁束密度を以下の測定条件に基づいて測定した。
<測定条件>
・測定最大磁界:10kOe
・測定装置 :振動試料型磁力計(玉川製作所製、VSM1230−MHHL)
2.3 チョークコイルの磁気特性の測定
各実施例および各比較例で得られたチョークコイルについて、それぞれの透磁率μ’および鉄損(コアロスPcv)を以下の測定条件に基づいて測定した。
<透磁率μ’の測定条件>
・測定周波数 :100kHz
・測定装置 :インピーダンスアナライザー(日本ヒューレットパッカード社製、HP4194A)
<鉄損(コアロスPcv)の測定条件>
・測定周波数 :100kHz
・最大磁束密度:50mT
・測定装置 :交流磁気特性測定装置(岩通計株式会社製、B−HアナライザSY8258)
測定された保磁力については、表1に記載する。
また、測定された透磁率μ’、鉄損および飽和磁束密度については、以下の評価基準にしたがって評価した。
<透磁率μ’(100kHz)の評価基準>
A:透磁率μ’が75以上である
B:透磁率μ’が70以上75未満である
C:透磁率μ’が65以上70未満である
D:透磁率μ’が60以上65未満である
E:透磁率μ’が55以上60未満である
F:透磁率μ’が55未満である
<鉄損(100kHz、Bm=50mT)の評価基準>
A:鉄損が150kW/m未満である
B:鉄損が150kW/m以上200kW/m未満
C:鉄損が200kW/m以上250kW/m未満
D:鉄損が250kW/m以上300kW/m未満
E:鉄損が300kW/m以上350kW/m未満
F:鉄損が350kW/m以上
<飽和磁束密度の評価基準>
A:飽和磁束密度が1.3T以上である
B:飽和磁束密度が1.2T以上1.3T未満である
C:飽和磁束密度が1.1T以上1.2T未満である
D:飽和磁束密度が1.0T以上1.1T未満である
E:飽和磁束密度が0.9T以上1.0T未満である
F:飽和磁束密度が0.9T未満である
2.4 ロット間バラツキの評価
上述したのとは製造ロットが異なる3種類の軟磁性粉末を用意した。そして、製造ロットが異なる合計4種類の軟磁性粉末について、保磁力および飽和磁束密度のバラツキを算出し、以下の評価基準にしたがって評価した。なお、上記バラツキとは、最大値と最小値との差のことをいう。
<ロット間バラツキの評価基準>
A:保磁力および飽和磁束密度のバラツキがそれぞれ平均値の5%未満である
B:保磁力および飽和磁束密度のいずれかのバラツキが5%以上15%未満である
C:保磁力および飽和磁束密度のいずれかのバラツキが15%以上30%未満である
D:保磁力および飽和磁束密度のいずれかのバラツキが30%以上45%未満である
E:保磁力および飽和磁束密度のいずれかのバラツキが45%以上60%未満である
F:保磁力および飽和磁束密度のいずれかのバラツキが60%以上である
以上の評価結果をそれぞれ表1に示す。
Figure 2014156635
表1から明らかなように、各実施例で得られた軟磁性粉末およびチョークコイルは、高飽和磁束密度と低鉄損とを安定的に両立していることが認められた。特に、粒度分布の標準偏差が所定の範囲内に収まるよう設定された軟磁性粉末を用いることにより、その傾向が顕著であることが認められた。なお、各実施例で得られた軟磁性粉末の最大粒径は、いずれも35μm以下であった。
一方、各比較例で得られた軟磁性粉末およびチョークコイルでは、高飽和磁束密度と低鉄損とを安定的に両立させることはできなかった。
1……冷却用筒体 2……蓋体 3……開口部 4……冷却液噴出管 5……吐出口 7……ポンプ 8……タンク 9……冷却液層 13……冷却液回収カバー 14……排液口 15……坩堝 16……層厚調整用リング 17……液切り用網体 18……粉末回収容器 23……空間部 24……ジェットノズル 25……溶融金属 26……ガスジェット 27……ガス供給管 30……粉末製造装置 10、20……チョークコイル 11、21……圧粉磁心 12、22……導線 100……表示部 1000……磁性素子 1100……パーソナルコンピューター 1102……キーボード 1104……本体部 1106……表示ユニット 1200……携帯電話機 1202……操作ボタン 1204……受話口 1206……送話口 1300……ディジタルスチルカメラ 1302……ケース 1304……受光ユニット 1306……シャッターボタン 1308……メモリー 1312……ビデオ信号出力端子 1314……入出力端子 1430……テレビモニター 1440……パーソナルコンピューター

Claims (8)

  1. 非晶質合金で構成され、保磁力が0.1[Oe]以上1[Oe]以下であり、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、タップ密度が3.8g/cm以上4.8g/cm以下であることを特徴とする軟磁性粉末。
  2. 前記非晶質合金は、Fe、Si、B、CrおよびCを含むものである請求項1に記載の軟磁性粉末。
  3. 前記非晶質合金は、Feを主成分とし、
    Siを2質量%以上9質量%以下の割合で含み、
    Bを2質量%以上5質量%以下の割合で含み、
    Crを1質量%以上3質量%以下の割合で含み、
    Cを0.1質量%以上1質量%以下の割合で含むものである請求項2に記載の軟磁性粉末。
  4. 粒径スケールが対数スケールである質量基準の粒度分布において、標準偏差が1μm以上10μm以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の軟磁性粉末。
  5. 当該軟磁性粉末の粒子断面の中心部のビッカース硬度は、850以上2000以下である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の軟磁性粉末。
  6. 非晶質合金で構成され、保磁力が0.1[Oe]以上1[Oe]以下であり、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、タップ密度が3.8g/cm以上4.8g/cm以下である軟磁性粉末を含むことを特徴とする圧粉磁心。
  7. 請求項6に記載の圧粉磁心を備えることを特徴とする磁性素子。
  8. 請求項7に記載の磁性素子を備えることを特徴とする電子機器。
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