JP2014156084A - 微粒子積層複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】1回の塗工で、微粒子を含まない樹脂層に微粒子層が薄膜で積層された微粒子積層複合体を提供する。
【解決手段】微粒子積層複合体4は、微粒子を含まない樹脂層2と、樹脂層2に積層されて、微粒子を含む微粒子層1とを備え、微粒子層1の厚みが、300nm〜1μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、微粒子積層体およびその微粒子積層体が基材に積層されてなる微粒子積層複合体に関する。
微粒子薄膜や、微粒子薄膜を含んだ微粒子積層体を形成する技術は、電子的、磁気的、光学的、生物学的特性を発現する機能性被膜の開発において、必要不可欠な技術である。
従来、微粒子薄膜や、微粒子積層体は、ゾル−ゲル法などにより、無機化合物に水や有機溶媒のような分散媒を添加した分散液に基材をディップする方法や、あるいは、各層毎に分散液を調製し、基材にコーティングする方法によって形成されている。しかしながら、このようにして形成した微粒子薄膜は、必ずしも意図した機能が発現するための構造を有していないことが多く、塗液中の微粒子の添加量を増やしたり、多層構成にしたりすることで機能の発現をさせている。そのため、材料費や加工工程の面で不利になるという問題があった。
このような問題を解決する方法として、無機薄膜として、無機コロイド溶液と、該コロイド溶液と反対の電荷を有する有機高分子イオン溶液とを交互に塗布することにより、膜厚が均一な無機薄膜を得る方法が開示されている(特許文献1参照)。
また、無機化合物の積層構造が均一な無機薄膜として、三次元秩序を有するコロイド結晶を有する膜が開示されている(特許文献2参照)。
特開平10−167707号公報 特開2001−162157号公報
特許文献1に記載の無機薄膜は、コロイド粒子が有する電荷およびその濃度に応じて変化する静電的相互作用を利用したものである。しかしながら、膜厚は均一であるものの、無機コロイド粒子が有する特性を発現させる上で障害となる有機高分子層を、無機コロイド溶液由来の層と交互に積層せざるを得ないという問題があった。
特許文献2に記載のコロイド結晶を有する膜は、コロイド結晶が、三次元周期性に優れるものの、ナノメータースケールで制御されたコロイド・テンプレート上にコロイド粒子を沈殿させるという方法で膜を製造するため、無機薄膜が形成できる固体の材質、その形態、およびその大きさなどに制約があることが多かった。
本発明者らは、薄膜樹脂層と微粒子層を積層する場合に、樹脂塗液に特定のモノマー、溶剤を含ませることにより、樹脂層と微粒子層の界面を制御し、膜厚が均一に制御された微粒子積層体となることを見出した。
上記課題を解決するために請求項1に係る発明としては、微粒子を含まない樹脂層と、樹脂層に積層されて、微粒子を含む微粒子層とを備え、微粒子層の厚みが、300nm〜1μmであることを特徴とする微粒子積層複合体とした。
微粒子層を形成する微粒子の平均粒径が1〜100nmであることを特徴とする微粒子積層複合体とした。
さらに、樹脂層及び前記微粒子層の積層体が少なくとも片面に積層された基材を備えていることを特徴とする微粒子積層複合体とした。
さらに、樹脂層及び微粒子層を形成する際に、基材に微粒子含有塗液が塗工され、微粒子含有塗液では、基材を溶解・膨潤させる成分(基材を溶解または膨潤させる成分)の占める割合が5wt%以上90wt%以下の範囲内にあることを特徴とする微粒子積層複合体とした。
さらに、基材がトリアセチルセルロースフィルムから成ることを特徴とする微粒子積層複合体とした。
本発明によれば、均一な膜厚の微粒子積層体を提供することができる。また、本発明の微粒子積層複合体は、前記したような微粒子を含まない樹脂層の上層に、微粒子層が積層されたものである。本発明によれば、微粒子含有塗液中の微粒子の添加量を増やしたり、多層構成にしなくても、微粒子層の機能を発現するのに十分な構造をもった微粒子積層複合体を提供することができる。
実施の形態に係る微粒子積層複合体の一例を示す断面図 実施例1において得られた微粒子層の断面のSTEM写真(倍率45000倍) 比較例1において得られた微粒子層の断面のSTEM写真(倍率45000倍)
本発明の一例として、実施の形態に係る微粒子積層複合体について説明する。図1に示す微粒子積層複合体4を例に説明すると、微粒子積層複合体4は、基材3と、基材3の片面上に積層された樹脂層2と、樹脂層2に積層された微粒子層1とを備えている。樹脂層2は微粒子を含まず、微粒子層1は微粒子を含む。微粒子層1の厚みは300nm〜1μmである。
本発明の微粒子積層体は、樹脂層と微粒子層を備えた積層体であり、基材に積層される。微粒子積層体は、基材を溶解・膨潤する成分と微粒子とを含む塗液(微粒子含有塗液)を基材に塗工することより、1回の塗工で、微粒子を含まない樹脂層の上層に、微粒子層を積層することができる。
塗液に含む微粒子としては、目的とする特性が得られるのであれば、特に限定されるものではない。このような微粒子としては、例えば、金属酸化物粒子を用いることができる。金属酸化物粒子の具体例としては、アンチモン含有酸化スズ(ATO)粒子、リン含有酸化スズ(PTO)粒子、スズ含有酸化インジウム(ITO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子、アンチモン含有酸化亜鉛粒子、アルミニウム含有酸化亜鉛粒子、ジルコニア(ZrO2)粒子、酸化チタン(TiO2)粒子、シリカ被覆TiO2粒子、Al2O3/ZrO2被覆TiO2粒子、セリア(CeO2)粒子等を挙げることができる。好ましくは、アンチモン含有酸化錫(ATO)粒子、酸化亜鉛(ZnO)粒子である。これらの金属酸化物粒子の1種類又は複数種類を含有する微粒子含有塗液を基材に塗工すると、微粒子を含まない樹脂層の上層に、均一な微粒子層が形成された微粒子積層体が得られる。この微粒子積層体によれば、赤外領域の透過率が低下したり、導電性が向上したりするなどの機能性向上が可能となる。これら金属酸化物粒子は、一種単独又は二種以上の組み合わせで使用することができる。また、屈折率を低下させるために、シリカ微粒子等を塗液に配合することもできる。
本発明の微粒子の大きさについては、超微粒子や微粒子と称されるものまですべて含む。ただし、超微粒子や微粒子と称されるものだけに限定はされない。微粒子の大きさは、1次粒子の平均粒子径が1〜100nmであることが好ましく、より好ましくは2〜60nmである。1次粒子の平均粒子径が100nmを超えると、透明性が低下するおそれがある。なお、本発明の微粒子の平均粒子径は、微粒子積層体の断面から測定している。断面観察には、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができるが、特にこれに限定されない。断面より微粒子の平均粒子径を求める場合には、微粒子積層体の任意の断面を2点以上観察する。その場合、微粒子が20個以上、好ましくは30個以上観察されるように倍率を設定することが好ましい。各断面において、微粒子を任意に10個以上選択して粒径を測定し、その平均値を各無機微粒子の平均粒子径とする。
本発明の微粒子の含有量は、用途に応じて適宜決定すればよい。微粒子の含有量の下限は、例えば、微粒子含有塗液の全量に対して0.5体積%以上が好ましく、より好ましくは1体積%以上である。また、微粒子の含有量の上限は、50体積%以下が好ましく、より好ましくは20体積%以下である。微粒子の含有量が少なすぎると、充分な機能発揮され難い場合があり、一方、微粒子の含有量が多すぎると、透明性が低下する場合がある。
本発明の微粒子積層複合体は、基材の少なくとも片面に微粒子を含まない樹脂層が積層され、その樹脂層上に微粒子からなる微粒子層が積層されて形成される。「基材を溶解・膨潤させる成分を含む塗液」を基材上に塗布すると、基材側から、塗布した塗液側へ基材の成分が移動する。このため、塗布された塗液内では、基材側から塗液の表面側の方向へ物質移動による流れが発生する。このとき、塗液内に含まれる微粒子は、物質移動による流れに沿って、塗液の表面側(基材とは反対側)へ拡散移動する。その結果、微粒子を含まない樹脂層の上層に、微粒子が分散した微粒子層が形成される。
上述したように、本発明の微粒子積層複合体の製造方法では、基材成分と塗液の樹脂成分が混合した混合層が形成されることにより、微粒子を含まない樹脂層の上層に、微粒子が分散した微粒子層とを好適に層分離することが出来る。よって、1回の塗工で効率よく多層の積層体を形成することが出来る。また、混合層では、基材の成分と塗液の樹脂成分が勾配をもって混ざり合うことから、基材の屈折率から微粒子層の屈折率まで、屈折率が漸次変化する。そのため、微粒子を含まない樹脂層と基材との界面における屈折率の差により発生する干渉縞の発生を防ぐことができる。また、基材と混合層の界面が不明瞭であることから、層界面での剥離を抑制することが出来る。
本発明の微粒子積層複合体に用いる基材の材質や形状は、特に限定されるものではない。基材としては、種々の有機高分子からなるフィルムまたはシートを用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース等のアセチルセルロース系、6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド系、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、エチレンビニルアルコール等の有機高分子からなるものが用いられる。特に、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートが好ましい。
さらに、基材は、これらの有機高分子に公知の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、酸化防止剤、難燃剤等)を添加することにより機能を付加させたものも使用できる。また、基材は、上記の有機高分子から選ばれる1種または2種以上の混合物、または重合体からなるものでもよく、複数の層を積層させたものであってもよい。
以下、本発明の微粒子積層複合体の製造方法について説明を行う。
<塗液調製工程>
まず、微粒子と、電離放射線硬化型材料と、光重合開始剤とを溶媒に分散させ、基材を溶解・膨潤させる成分を含む塗液(微粒子含有塗液)を調製する。
微粒子を含まない樹脂層の形成材料として、電離放射線硬化型材料を含む。基材に選択した材料に応じて、基材を溶解・膨潤させる成分として、電離放射線硬化型材料のうち、単官能のアクリレート化合物や、2官能のアクリレート化合物などの硬化性アクリル系材料を好ましく用いることができる。また、電離放射線硬化型材料は、複数の材料が混合されたものであってもよい。混合した電離放射線硬化型材料を用いることにより、「基材を溶解・膨潤させるモノマー」と「基材を溶解・膨潤させないモノマー」との比率を調整することで、塗液内の「基材を溶解・膨潤させる成分」の量の多寡を調整することが出来、混合層を好適に形成可能な塗液を調製することが出来る。
基材を溶解・膨潤させない成分としても、多価アルコールのアクリル酸またはメタクリル酸エステルのような単官能または多官能の(メタ)アクリレート化合物、ジイソシアネートと多価アルコール及びアクリル酸またはメタクリル酸のヒドロキシエステル等から合成されるような多官能のウレタン(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
なお、本発明において「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の両方を示している。たとえば、「ウレタン(メタ)アクリレート」は「ウレタンアクリレート」と「ウレタンメタアクリレート」の両方を示している。
単官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N−ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エトキシ化フェニルフェノールアクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2−アダマンタンおよびアダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレートなどのアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
前記2官能の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタアクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、1.54 エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、9,9−ビス(4−(2−アクリロイルオキシエトキシフェニル)フルオレン等を使用することができる。
前記3官能以上の(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2−ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε−カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等を使用することができる。
アクリル系材料として、多官能ウレタンアクリレートを用いることもできる。ウレタンアクリレートは、多価アルコール、多価イソシアネート及び水酸基含有アクリレートを反応させることによって得られる。具体的には、共栄社化学社製、UA−306H、UA−306T、UA−306I等、日本合成化学社製、UV−1700B、UV−6300B、UV−7600B、UV−7605B、UV−7640B、UV−7650B等、新中村化学社製、U−4HA、U−6HA、UA−100H、U−6LPA、U−15HA、UA−32P、U−324A等、ダイセルユーシービー社製、Ebecryl−1290、Ebecryl−1290K、Ebecryl−5129等、根上工業社製、UN−320HA、UN−3220HB、UN−3220HC、UN−3220HS等を使用することができるが、これらに限定されない。
またこれらの他にも、電離放射線硬化型材料として、アクリレート系の官能基を有するポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、アルキッド樹脂、スピロアセタール樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリチオールポリエン樹脂等を使用することができる。
また、微粒子を含まない層の形成材料は、熱可塑性樹脂を含むこともできる。熱可塑性樹脂を含むことにより、反りの発生を抑制できる。熱可塑性樹脂としては、例えば、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、などを使用することができる。上記溶媒は、これらの材料のうち1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
溶媒は、基材に選択した材料に応じて、微粒子を含まない樹脂層のための成分に用いた材料に、分散・溶解可能な適宜公知の材料を用いてよい。また、溶媒は、複数の材料が混合された混合溶媒であってもよい。混合溶媒を用いることにより、「基材を溶解・膨潤させる溶媒」と「基材を溶解・膨潤させない溶媒」との比率を調整することで、塗液内の「基材を溶解・膨潤させる成分」の量の多寡を調整することが出来、混合層を好適に形成可能な塗液を調製することが出来る。
また、塗液に含まれる溶媒は、沸点の高い揮発性溶媒が好ましい。具体的には、沸点は100℃以上が好ましく、200℃以上がより好ましい。沸点が高いほうが、混合層及び微粒子層の形成に重要な要素となる乾燥工程の時間を調整しやすいためである。
また、前記塗液における、「基材を溶解・膨潤させる成分」の占める比率は、5wt%以上90wt%以下程度の範囲内にあることが好ましく、20wt%以上70wt%以下程度の範囲内、がより好ましい。5wt%以上90wt%以下程度の範囲内にあることにより、好適に混合層を形成し、微粒子層を、微粒子を含まない樹脂層の上層に均一な膜厚で形成することが出来る。5wt%より少ない場合、充分に基材を溶解・膨潤できず、好適に微粒子を含まない樹脂層を形成することができず、微粒子層も形成できない。また、90wt%より大きい場合、微粒子を含まない樹脂層の厚みが増大して微粒子層を均一な膜厚で形成できない。
基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させる溶媒」としては、例えば、ジブチルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、プロピレンオキシド、ジオキサン、ジオキソラン、トリオキサン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトール等のエーテル類、またアセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、およびメチルシクロヘキサノン等の一部のケトン類、また蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸n−ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン醸エチル、酢酸n−ペンチル、およびγ−プチロラクトン等のエステル類、さらには、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、セロソルブアセテート等のセロソルブ類、その他としてN−メチル−2−ピロリドン(N−メチルピロリドン)、炭酸ジメチル、などを使用することができる。また、上記溶媒は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
基材にトリアセチルセルロースフィルムを用いる場合、「基材を溶解・膨潤させない溶媒」としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、シクロヘキシルベンゼンなどの芳香族炭化水素類、n−ヘキサンなどの炭化水素類、メチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン、ジアセトンアルコールなどの一部のケトン類などを使用することができる。また、上記溶媒は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光重合開始剤は、電離放射線が照射された際にラジカルを発生するものであれば良い。例えば、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、などの光重合開始剤を用いることができる。
また、塗液に添加剤を添加しても良い。例えば、添加剤として、表面調整剤、屈折率調
整剤、密着性向上剤、硬化剤、などを用いてもよい。
<塗布工程>
次に、前記塗液を基材上に塗布する。
塗布方法は、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、ディップコーター、などを用いることができる。
<乾燥工程>
次に、前記基材上に塗布された前記塗液を乾燥させ、塗液内の溶媒を除去し、基材上に塗膜を形成する。乾燥は、適宜公知の乾燥手段を用いて行ってよい。例えば、乾燥手段として、加熱、送風、熱風、などを用いることができる。
なお、乾燥工程は、複数段階の乾燥を行うことが好ましい。本発明の微粒子積層複合体の製造方法では、塗液によって基材を溶解・膨潤することにより、微粒子を含まない樹脂層である混合層を形成するため、塗液を塗工後ただちに急激な乾燥を行うと混合層の形成が阻害される。このため、複数段階の乾燥を行い、段階毎に乾燥条件を変更することで、混合層を形成しつつ、好適に乾燥を行うことが出来る。
例えば、一次乾燥した後、二次乾燥を行っても良い。このとき、一次乾燥は、乾燥温度20℃以上30℃以下程度の範囲内で行い、二次乾燥として乾燥温度50℃以上150℃以下程度の範囲内行うことが好ましい。
<電離放射線照射工程>
次に、前記塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化することで微粒子積層複合体の表面に表面硬度を付与することができ、耐擦傷性に優れた微粒子複合体を形成することができる。
電離放射線としては、紫外線、電子線、などを用いてよい。紫外線硬化の場合、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、などの光源を利用できる。また、電子線硬化の場合、コックロフトワルト型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型、などの各種電子線加速器から放出される電子線を利用できる。用いる電子線は、50KeV以上1000KeV以下程度のエネルギーを有する電子線が好ましく、100KeV以上300KeV以下程度のエネルギーを有する電子線がより好ましい。
また、本発明の微粒子積層複合体の製造方法は、(1)枚葉状の基材に塗布する枚葉方式、(2)ロール状の基材に塗布し、製造された反射防止フィルムを巻き取る、ロール・ツー・ロール方式、のいずれの方式で実施しても良い。特に、ロール・ツー・ロール方式は微粒子積層複合体(反射防止フィルムなど)を連続的に形成でき、本発明の微粒子積層複合体(反射防止フィルムなど)の製造方法の実施方式として好ましい。例えば、ロール・ツー・ロール方式を用いて本発明の微粒子積層複合体(反射防止フィルムなど)の製造方法の実施する場合、基材を、巻き出し部/塗布ユニット/乾燥ユニット/電離放射線照射ユニット/巻き取り部、この順で通過させ、連続走行することにより連続的に微粒子積層複合体を製造してもよい。
以上より、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子層が積層した、微粒子積層複合体を製造することができる。
本発明の微粒子積層複合体は、微粒子層を構成する微粒子の種類を選択することにより、様々な用途に利用することができる。とりわけ用途に応じて、積層体の表面を構成する微粒子の種類を選択することが重要である。例えば微粒子として一般に光半導体と称されるような酸化チタンを用いた場合には、得られる微粒子積層体は、特定の光線吸収バンドを有する膜となり、光線透過制御性に優れる材料として好適である。さらに基材を適宜選択することにより、基材となる光学器材、住宅・建築器材、家電用器材、家具・自動車内装用器材、包装用器材、などの各種物品の表面に対し、無機微粒子に起因する光学的、電子的、磁気的、生物学的などの機能を付与することができる。光学的機能としては、反射防止性、防眩性、紫外線遮断性、赤外線遮断性、傷つき防止性などが、電子的、磁気的機能としては、導電性、電磁波シールド性、帯電防止性などが、生物学的機能としては抗菌性、抗カビ性などが挙げられる。またこれら機能を付与した各種物品としては、光学器材としての反射防止フィルム、防眩フィルム、紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、帯電防止フィルム、透明導電フィルム、電磁波シールドフィルム、住宅・建築器材としての紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、抗菌・抗カビ外壁材、家電用器材としての帯電防止躯体・部品、抗菌・抗カビ躯体・部品、家具・自動車用内装用器材としての反射防止フィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、抗菌・抗カビフィルム、包装用器材としての紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、抗菌・抗カビフィルムなどを各々挙げることが出来る。
微粒子が細孔を有する場合には、光学的、電子的、磁気的、生物学的などの機能付与を目的に、前記細孔部に目的に応じた材料を導入してもよい。該材料は、積層前または積層後の微粒子の細孔部に導入することができる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお実施例及び比較例中の試験方法は次の通りである。
<実施例1>
(塗液:実施例1)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製) 12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT)(新中村化学工業製)13.5重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)31.6重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
次に、上記で得られた微粒子含有塗液を基材上に塗布した。このとき、基材は、トリアセチルセルロースフィルム(屈折率1.49、厚さ60μm)を使用した。また、ワイヤーバーコーターを用いて塗布した。
次に、塗布された微粒子含有塗液を乾燥させ、基材上に塗膜を形成した。このとき、一次乾燥し、二次乾燥し、2段階の乾燥を行った。一次乾燥および二次乾燥の乾燥条件を以下に示す。
(乾燥条件)
一次乾燥:2vol%以上5vol%以下の溶媒雰囲気下の半密閉空間にて30秒25℃で室温乾燥。
二次乾燥:オーブンで40℃1分乾燥。
一次乾燥において、基材上の塗膜中に含まれる溶媒が10wt%以下となるまでの時間は4秒とした。
次に、塗膜に電離放射線を照射し、塗膜を硬化させた。このとき、電離放射線として紫外線を照射した。また、紫外線の照射は、コンベア式紫外線硬化装置を用いて露光量400mJ/cm2とした。
以上より、本発明の微粒子積層複合体を得た。図2に、実施例1において得られた微粒子層1の断面のSTEM写真を示す。この写真の倍率は、45000倍である。
<実施例2>
(塗液:実施例2)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製) 12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)27.1重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)18.1重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。
<実施例3>
(塗液:実施例3)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
酸化亜鉛微粒子分散液20%溶液(ソーラー社製)50.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)22.8重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)15.2重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部。
溶媒:エタノール 10.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。
<実施例4>
(塗液:実施例4)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
酸化亜鉛微粒子分散液20%溶液(ソーラー社製)50.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)11.4重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)26.6重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部。
溶媒:エタノール 10.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。
<実施例5>
(塗液:実施例5)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
酸化亜鉛微粒子分散液20%溶液(ソーラー社製)50.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)3.8重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)34.2重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部。
溶媒:エタノール 10.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。
<比較例1>
(塗液:比較例1)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
アンチモン含有酸化スズ(ATO)微粒子分散液20%溶液(日本触媒化成製) 12.5重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)42.9重量部、
2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)(新中村化学工業製)2.3重量部
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.4重量部。
溶媒:エタノール 40.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。図3に、比較例1において得られた微粒子層の断面のSTEM写真を示す。この写真の倍率は、45000倍である。
<比較例2>
(塗液:比較例2)
下記材料を混合攪拌して微粒子含有塗液を得た。
微粒子を含有する分散液:
酸化亜鉛微粒子分散液20%溶液(ソーラー社製)50.0重量部。
電離放射線硬化型材料:
メチロールプロパントリアクリレート(TMPT )(新中村化学工業製)38.0重量部、
光重合開始剤:イルガキュア184(チバ・ジャパン社製)2.0重量部。
溶媒:エタノール 10.0重量部。
固形分:50wt%
上記微粒子含有塗液を、実施例1と同様の方法で、塗工、乾燥、硬化させ、本発明の微粒子積層複合体を得た。
<測定・評価>
得られた実施例1〜2、比較例1の微粒子積層複合体について、(1)微粒子層の膜厚測定、樹脂層の有無の確認、(2)分光透過率の測定をそれぞれ行い、結果について表1にまとめて示す。得られた実施例3〜5、比較例2の微粒子積層複合体について、(1)微粒子層の膜厚測定、樹脂層の有無の確認、(3)表面抵抗値の測定、(4)ヘイズ値の測定をそれぞれ行い、結果について表2にまとめて示す。
(1)微粒子層の膜厚測定、樹脂層の有無の確認
塗膜をミクロトームにより切削し、断面について走査型透過電子顕微鏡(STEM)を用いて観察した。
(2)分光透過率の測定
自動分光光度計(日立製作所製、U−4000)を用いて分光透過率を測定した。このとき、測定条件は、C光源、2度視野、入射角5°とした。
(3)表面抵抗値の測定
JIS−K6911(1995)に準拠して、高抵抗抵抗率計(ダイアインスツルメンツ社製、ハイレスターMCP−HT260)にて測定を行った。
(4)ヘイズ(平行光線透過率)の測定
写像性測定器(日本電色工業社製、NDH−2000)を使用してヘイズ(平行光線透過率)を測定した。
実施例1〜2の結果を表1に示す。微粒子平均粒径15nmのATO粒子を使用し、基材を膨潤・溶解させる成分を塗液に5wt%以上含む実施例1〜2は、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子層が形成され、基材を膨潤・溶解させる成分の量を調整することで、樹脂層の上層に形成される微粒子層の膜厚を調整できることを確認した。また、実施例1と実施例2の赤外領域での透過率を見てみると、微粒子層の膜厚の薄い実施例1で、より赤外領域での透過率が下がることが分かった。
また、実施例3〜4の結果を表2に示す。微粒子平均粒径30nmの酸化亜鉛微粒子を使用し、基材を膨潤、溶解させる成分を塗液に5wt%以上含む実施例3〜4は、樹脂層の上層に微粒子層が形成され、基材を膨潤・溶解させる成分の量を調整することで、樹脂層上層に形成される微粒子層の膜厚を調整できることを確認した。また、実施例3〜4の表面抵抗値を見てみると、微粒子層の膜厚の薄いほど、表面抵抗値が下がることが確認された。
また、比較例1では、微粒子平均粒径15nmのATO粒子を使用し、塗液に含まれる「基材を膨潤・溶解させる成分」が5wt%未満であるため、微粒子を含まない樹脂層の上層に微粒子層は形成されず、塗膜全体に微粒子が分散してしまっている状態であることを確認した。また、赤外領域での透過率を見てみると、微粒子層が樹脂層上層に形成される実施例1〜2と比較して、透過率が高いことが確認された。このことから、樹脂層上層に微粒子層が形成されることで、樹脂層全体に微粒子が分散した比較例1よりも赤外領域での吸収が大きくなることが確認された。
また、比較例2では、微粒子平均粒径30nmの酸化亜鉛微粒子を使用し、塗液に含まれる「基材を膨潤・溶解させる成分」を含まず、膜厚を1.2μmで塗膜を形成した。形成した塗膜全体に微粒子が分散していることを断面観察により確認した。しかし、ヘイズ測定の結果、同等の膜厚であっても、微粒子層が樹脂層の上層に形成される実施例3よりもヘイズが高くなり、白化してしまうことが確認された。また、表面抵抗値を測定すると、実施例3と比較して高くなり、微粒子層の膜厚が同等であっても、樹脂層の上層に微粒子層を積層させた実施例3の方が、導電性が向上することが確認された。
本発明の微粒子積層複合体は、微粒子層を構成する微粒子の種類を選択することにより様々な用途に利用することができる。光学器材としての反射防止フィルム、防眩フィルム、紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、帯電防止フィルム、透明導電フィルム、電磁波シールドフィルム、住宅・建築器材としての紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、抗菌・抗カビ外壁材、家電用器材としての帯電防止躯体・部品、抗菌・抗カビ躯体・部品、家具・自動車用内装用器材としての反射防止フィルム、防眩フィルム、帯電防止フィルム、抗菌・抗カビフィルム、包装用器材としての紫外線カットフィルム、赤外線カットフィルム、抗菌・抗カビフィルムなどをとしての利用が期待される。
1 微粒子層
2 樹脂層
3 基材
4 微粒子積層複合体

Claims (5)

  1. 微粒子を含まない樹脂層と、
    前記樹脂層に積層されて、微粒子を含む微粒子層とを備え、
    前記微粒子層の厚みが、300nm〜1μmであることを特徴とする微粒子積層複合体。
  2. 前記微粒子層を形成する前記微粒子の平均粒径は1〜100nmであることを特徴とする請求項1に記載の微粒子積層複合体。
  3. 前記樹脂層及び前記微粒子層の積層体が少なくとも片面に積層された基材を備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子積層複合体。
  4. 前記樹脂層及び前記微粒子層を形成する際に、前記基材に微粒子含有塗液が塗工され、
    前記微粒子含有塗液では、前記基材を溶解・膨潤させる成分の占める割合が、5wt%以上90wt%以下の範囲内にあることを特徴とする請求項3に記載の微粒子積層複合体。
  5. 前記基材がトリアセチルセルロースフィルムからなることを特徴とする請求項3又は4に記載の微粒子積層複合体。
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