JP2014156069A - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】 過酷な加熱条件下においても、色剤がブリードアウトするのを防止することのできる性能を有し、例えば、自動車窓貼り用、X線青み付け用、ディスプレイ用等で用いられる、色剤を用いる用途に好適に利用することのできるポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】 色剤を含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アミン系カップリング剤を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は色剤を含有する積層ポリエステルフィルムに関するものであり、フィルムから色剤がブリードアウトするのを防止する性能を有し、例えば、自動車窓貼り用、X線青み付け用、ディスプレイ用等で用いられる、色剤を用いる用途に好適に利用することのできる積層ポリエステルフィルムに関するものである。
ポリエステルフィルムは、耐熱性、耐水性、耐薬品性、機械的強度、寸法安定性などに優れ、従来種々の工業用途に利用されているが、その用途はますます拡大、多様化しており、透明性を有するポリエステル原料に色剤を入れ、着色ポリエステルフィルムとする用途にも用いられてきている。
例えば、自動車窓貼り用フィルム、X線青味付けフィルム、ディスプレイ用途等、色剤を含有するフィルムの用途において、色の調合、耐熱性および分散性等の良好な色剤を選択しても、過酷な加熱条件下にて、色剤を含有するフィルムから色剤のブリードアウトが生じ、各種の製造工程の汚染やヘーズアップが発生してしまうため、改良を求められている。
上記課題の解決のために、特許文献1および2には、色剤のブリードアウトを防ぐために中間層に色剤を含む、3層以上からなる共押出積層フィルムが提案されている。しかしながら、上記特許文献に記載されているフィルムは、過酷な加熱条件下においては、依然として色剤のブリードアウト防止性能が不十分である。
特開平10−157040号公報 特開2002−52675号公報
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであって、その解決課題は、過酷な加熱条件下においても優れた色剤のブリードアウト防止性能を有するポリエステルフィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記実情に鑑み、鋭意検討した結果、特定の構成からなるポリエステルフィルムを用いれば、上述の課題を容易に解決できることを知見し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨は、色剤を含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アミン系カップリング剤を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルムに存する。
本発明のポリエステルフィルムによれば、色剤のブリードアウト防止性能に優れたフィルムを提供することができ、その工業的価値は高い。
本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよく、2層、3層構成以外にも本発明の要旨を越えない限り、4層またはそれ以上の多層であってもよく、特に限定されるものではない。例えば、表層原料に高機能化されたポリエステルフィルムを用いて、効果的に各種の特性の向上を図る目的で、表層と中間層の原料を変えて、3層構成にすることも可能である。なお、本発明のポリエステルフィルムおいて、表層とは露出する2つの面を構成する層であり、それ以外の層は中間層と呼ぶ。
本発明において好ましい形態の1つとして、フィルムを3層構成とし、中間層のみに色材を含有させ、その表層には色剤を含まないポリエステル層とすることで、いっそう、色剤のブリードアウト防止を図る方法が挙げられる。
表層と中間層とを構成するポリエステル組成物の極限粘度は、通常0.3〜0.9dl/g、好ましくは0.4〜0.8dl/g、さらに好ましくは0.5〜0.8dl/gである。極限粘度が0.3dl/g未満では、フィルムとした際の耐熱性、機械的強度等が劣るようになる傾向がある。また極限粘度が0.90dl/gを超えるとポリエステルフィルム製造時の押出工程で負荷が大きくなりすぎ、その結果、生産性が低下することがある。
本発明においてフィルムに使用するポリエステルは、ホモポリエステルであっても共重合ポリエステルであってもよい。ホモポリエステルからなる場合、芳香族ジカルボン酸と脂肪族グリコールとを重縮合させて得られるものが好ましい。芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などが挙げられ、脂肪族グリコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。代表的なポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート等が例示される。一方、共重合ポリエステルのジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、オキシカルボン酸(例えば、p−オキシ安息香酸など)等の一種または二種以上が挙げられ、グリコール成分として、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、4 − シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール等の一種または二種以上が挙げられる。
本発明の積層ポリエステルフィルムは色剤を含有するものである。本発明においては、色剤のブリードアウトを低減させる観点から多層フィルムの中間層に色剤を含有している構成が好ましい。
本発明のフィルムのポリエステル層に含有される色剤としては、ポリエステル製造時の耐熱性、ポリエステル中での分散性の点を考慮することが好ましく、化学構造的には、アントラキノン系、フタロシアニン系、ぺリノン系、イソキノリン系等の色剤が好ましく用いられる。これらの色剤は、適宜数種を選択し混合して使用されるのが一般的であり、各層を構成する原料ポリエステル中の含有量としては、0.01〜10重量%の範囲が好ましい。
本発明のフィルムのポリエステル層中には、易滑性付与を主たる目的として粒子を配合することも可能である。配合する粒子の種類は、易滑性付与可能な粒子であれば特に限定されるものではなく、具体例としては、例えば、シリカ、酸化チタン、ゼオライト、窒化ケイ素、窒化ホウ素、セライト、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム、リン酸リチウム、リン酸マグネシム、フッ化リチウム、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化チタン、カオリン、タルク、カーボンブラック、窒化ケイ素、窒化ホウ素、架橋高分子微粉体を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
一方、使用する粒子の形状に関しても特に限定されるわけではなく、球状、塊状、棒状、扁平状等のいずれを用いてもよい。また、その硬度、比重、色等についても特に制限はない。これら一連の粒子は、必要に応じて2種類以上を併用してもよい。
また、用いる粒子の平均粒径は、通常5μm以下、好ましくは0.01〜3μmの範囲である。平均粒径が5μmを超える場合には、フィルム表面の平面性が損なわれたり、透明性が損なわれたりする場合がある。
さらにポリエステル層中の粒子含有量については、粒子を含有するポリエステル層に対し、通常5重量%以下、好ましくは0.0005〜3重量%の範囲である。粒子が無い場合、あるいは少ない場合は、フィルムの透明性が高くなり、良好なフィルムとなるが、易滑性が不十分となりフィルムの巻き特性が劣る場合があるため、塗布層中に粒子を入れることにより、易滑性を向上させる等の工夫が必要な場合がある。一方、粒子含有量が5重量%を超えて添加する場合にはフィルムの透明性が不十分な場合がある。
また、本発明においてポリエステルに粒子や色剤を含有させる方法は、特に限定されるものではないが、重合工程に添加する方法、押出機を用いて粒子や色剤を練込みマスターバッチとする方法等が挙げられる。
なお、本発明におけるポリエステルフィルム中には、上述の粒子以外に必要に応じて従来公知の酸化防止剤、帯電防止剤、熱安定剤、潤滑剤、紫外線吸収剤等を添加することができる。
次に、本発明におけるポリエステルフィルムの形成例について説明する。本発明におけるポリエステルフィルムを構成するポリエステルフィルムは単層構成であっても多層構成であってもよいが、本発明において好ましい形態の1つがフィルムを3層構成とし、中間層のみに色剤を含有させ、その表層には色剤を含まない層構造であるため、下記にこの構成のポリエステルフィルムの形成について記載するが、本発明は、以下の例に限定されるものではない。
色剤を所定量含有した中間層に用いるポリエステルと必要に応じ粒子を所定量含有した表層に用いるポリエステルとを、各々別の溶融押出装置に供給し、それぞれのポリマーの融点以上の温度に加熱し溶融する。次いで、溶融したポリマーを押出口金内において層流状で接合積層させてスリット状のダイから押出し、回転冷却ドラム上でガラス転移温度以下の温度になるように急冷固化し、実質的に非晶状態の未延伸シートを得る。この場合、シートの平面性を向上させるため、シートと回転冷却ドラムとの密着性を高めることが好ましく、本発明においては静電印加密着法および/または液体塗布密着法が好ましく採用される。
本発明における延伸条件について具体的に述べると、前記未延伸シートを好ましくは縦方向に70〜120℃で2〜6倍に延伸し、一軸延伸フィルムとした後、横方向に90〜160度で2〜6倍延伸を行い二軸延伸フィルムとし、150〜250℃で1〜600秒間熱処理を行う。さらにこの際、熱処理の最高温度ゾーンおよび/または熱処理出口のクーリングゾーンにおいて、縦方向および/または横方向に15%以下で弛緩する方法が挙げられる。また、必要に応じて再縦延伸、再横延伸を付加することも可能である。
次に本発明における積層ポリエステルフィルムを構成する塗布層の形成について説明する。塗布層に関しては、前述のポリエステルフィルムの製膜工程中にフィルム表面を処理する、インラインコーティングにより設けられてもよく、一旦製造したフィルム上に系外で塗布する、オフラインコーティングを採用してもよい。より好ましくはインラインコーティングにより形成されるものである。
インラインコーティングは、ポリエステルフィルム製造の工程内でコーティングを行う方法であり、具体的には、ポリエステルを溶融押出ししてから延伸後熱固定して巻き上げるまでの任意の段階でコーティングを行う方法である。通常は、溶融、急冷して得られる未延伸シート、延伸された一軸延伸フィルム、熱固定前の二軸延伸フィルム、熱固定後で巻上前のフィルムの何れかにコーティングする。以下に限定するものではないが、例えば逐次二軸延伸においては、特に長手方向(縦方向)に延伸された一軸延伸フィルムにコーティングした後に横方向に延伸する方法が優れている。かかる方法によれば、製膜と塗布層形成を同時に行うことができるため製造コスト上のメリットがあり、また、コーティング後に延伸を行うために、塗布層の厚みを延伸倍率により変化させることもでき、オフラインコーティングに比べ、薄膜コーティングをより容易に行うことができる。また、延伸前にフィルム上に塗布層を設けることにより、塗布層を基材フィルムと共に延伸することができ、それにより塗布層を基材フィルムに強固に密着させることができる。さらに、二軸延伸ポリエステルフィルムの製造において、クリップ等によりフィルム端部を把持しつつ延伸することで、フィルムを縦および横方向に拘束することができ、熱固定工程において、しわ等が入らず平面性を維持したまま高温をかけることができる。それゆえ、塗布後に施される熱処理が他の方法では達成されない高温とすることができるために、塗布層の造膜性が向上し、塗布層と基材フィルムをより強固に密着させることができ、さらには、強固な塗布層とすることができ、塗布層上に形成され得る各種の機能層との密着性や耐湿熱性等の性能を向上させることができる。
本発明では、前記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アミン系シランカップリング剤を含有する塗布層を有することを必須の要件とするものである。
本発明におけるシランカップリング剤とは、分子中に反応性基部位を含有するXとアルコキシル基部位OBの2つを含有する、一般式:X―SiA(OB)3−n[n=0〜2の整数]で表されるアルコキシシラン化合物のことである。
シランカップリング剤が有するAおよびBはメチル基、エチル基、ノルマルプロピル基、イソプロピル基、ノルマルブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基やフェニル基など従来公知の化合物を使用することができる。また、AおよびBは同一の構造であっても異なる構造であってもよい。
シランカップリング剤が有する反応性基部位を含有するXに関しては、一般的にはアミノ基、二重結合基、エポキシ基、メルカプト基、スルフィド基、イソシアネート基、ウレイド基、クロロプロピル基、ヒドロキシル基等の反応性基を含んだ構造が知られている。
本発明は、上述のような数あるシランカップリング剤の中でも、アミン系シランカップリング剤が優良な色剤のブリードアウト防止性能を発揮することを見出し発明に至った。そのため、本発明においてはアミノ基を含有する構造のアミン系シランカップリング剤が必須である。
本発明におけるアミン系シランカップリング剤の具体例としては、例えば、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン、3-トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3-トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明においては、色剤のブリードアウト防止性能の観点から、アミン系シランカップリング剤の中でも、分子構造中の窒素の含有量が多いものや、1級アミノ基を含有しているシランカップリング剤の使用が好ましい。具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリエトキシシラン等の反応性基部位を含有するXに1級アミノ基を含有している構造のアミノ系シランカップリング剤の使用が好ましく、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等の分子内の窒素の含有量が多く、かつ1級アミノ基を含有している構造のアミノ系シランカップリング剤の使用がより好ましい。
塗布層に含有する、アミン系シランカップリング剤は通常5重量%以上の範囲、好ましくは10重量%以上の範囲、より好ましくは20重量%以上の範囲である。アミン系シランカップリングの含有比率が、5%未満の範囲では、色剤のブリードアウト防止性能が不十分となる場合がある。
本発明では、塗布層の形成に架橋剤を併用してもよい。架橋剤としてはメラミン化合物、グアナミン、アルキルアミド、ポリアミド等のアミノ樹脂系化合物、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物、アジリジン化合物、イソシアネート系化合物、カルボジイミド系化合物、アミン系以外のシランカップリング剤、ジアルコールアルミネート系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、過酸化物、熱または光反応性のビニル化合物や感光性樹脂等が挙げられるが、機械的強度改良の観点から、特にエポキシ化合物、オキサゾリン化合物の使用が好ましい。
前記アミン系シランカップリング剤および架橋剤は、乾燥過程や製膜過程において、反応させて塗布層の性能を向上させる設計で用いている。よって、できあがった塗布層中には、これら架橋剤の未反応物、反応後の化合物、あるいはそれらの混合物が存在しているものと推測できる。そして、塗布層中の成分の分析は、例えば、TOF−SIMS、ESCA、蛍光X線等の分析によって行うことができる。
本発明では塗膜の造膜性を向上させる目的で塗布層中に、ポリマーを1種もしくは2種以上含有していてもよく、用いるポリマーの構造やイオン性に特に限定はないが、かかるポリマーとしては、例えば、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール等のビニル樹脂、エポキシ樹脂、アミド樹脂などが挙げられる。
また、これらは、それぞれの骨格構造が共重合等により複合構造を有していてもよく、複合構造を持つポリマーとしては、例えば、アクリル樹脂グラフトポリエステル、アクリル樹脂グラフトポリウレタン、ビニル樹脂グラフトポリエステル、ビニル樹脂グラフトポリウレタン等が挙げられる。
上記のポリマーの中でも、塗布層の形成において他の物質との相溶性の観点から、ポリマーとしてはポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコールを用いる事が好ましい。
本発明においては、塗布層の滑り性改良のために塗布層中に粒子を含有していてもよい。粒子としてはシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、二酸化チタン等の不活性無機粒子やポリスチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリビニル系樹脂から得られる微粒子あるいはこれらの架橋粒子に代表される有機粒子が例示される。
また、塗布層中には、必要に応じ消泡剤、塗布性改良剤、増粘剤、帯電防止剤、離型剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、発泡剤、染料や顔料などの色剤等を併用していてもよい。
さらに塗布液は、水を主たる媒体とすることが好ましく、水への分散を改良する目的あるいは造膜性能を改良する目的で少量の有機溶剤を含有していてもよい。有機溶剤は主たる媒体である水と混合して使用する場合、水に溶解する範囲で使用することが望ましい。
有機溶剤としては、例えばn−ブチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルアルコール、メチルアルコール等の脂肪族または脂環族アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール類、n−ブチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸アミル等のエステル類、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、N−メチルピロリドン等のアミド類が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいが、必要に応じて2種以上を併用してもよい。
本発明のフィルムに塗布層を設ける場合、その厚みは、最終的な乾燥後の厚さで通常0.001〜0.5μm、好ましくは0.005〜0.3μm、さらに好ましくは0.01〜0.2μmである。塗布層の厚さが0.5μmを超えると、フィルムが相互にブロッキングしやすくなり、特にフィルムの高強度化を目的として塗布延伸フィルムを再延伸する場合には、工程中でロールに粘着しやすくなることがある。塗布層の厚さが0.001μm未満では、色剤のブリードアウト防止性能が悪くなる恐れがある。
本発明の塗布層を設けるための塗布液をポリエステルフィルムに塗工する方法としては、例えば、グラビアコート、リバースロールコート、ダイコート、エアドクターコート、ブレードコート、ロッドコート、バーコート、カーテンコート、ナイフコート、トランスファロールコート、スクイズコート、含浸コート、キスコート、スプレーコート、カレンダコート、押出コート等、従来公知の塗工方式を用いることができる。
なお、塗布液のフィルムへの塗布性および接着性を改良するため、塗布前にフィルムに化学処理や放電処理などを施してもよい。また本発明のフィルムの塗布層の表面特性を改良するため、塗布層形成後に塗布層面に化学処理や放電処理などを施してもよい。
本発明の積層ポリエステルフィルムを加工する際、本発明の積層ポリエステルフィルムが有する塗布層面の反対面に、要求特性に応じて必要な特性、例えば接着性、帯電防止性、耐候性および表面硬度の向上のため、インラインコートやオフラインコートなどの各種コートを行ってもよい。
本発明において、積層フィルム表面への色剤のブリードアウトの評価にはΔEabを用いる。ΔEabの値は積層フィルムを加熱後、当該フィルムの塗布面をジメチルホルムアミドで抽出し、分光光度計により抽出液とリファレンスとなるジメチルホルムアミドのL値、a値、b値を求め、その差ΔL、Δa、Δbを下記数式(1)に代入して算出を行う。
ΔEab=[(ΔL)+(Δa)+(Δb))]1/2…(1)
ΔEabは値が低いほど抽出液の透明性が高く、積層フィルム表面への色剤のブリードアウトを抑制していると言える。
本発明においては、実用性の観点からΔEabの値が10以下であることが好ましく、さらに好ましくは5以下、最も好ましくは3以下である。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、本発明で用いた物性測定法を以下に示す。
(1)極限粘度(dl/g)
ポリエステル1gに対し、フェノール/テトラクロロエタン:50/50(重量比)の混合溶媒を100mlの比で加えて溶解させ、30℃で測定した。
(2)添加粒子の平均粒子径(μm)
株式会社島津製作所製遠心沈降式粒度分布測定装置SA−CP3型を用いて、ストークスの抵抗則に基づく沈降法によって粒子の大きさを測定した。測定により得られた粒子の等価球形分布における積算(体積基準)50%の値を用いて平均粒径とした。
(3)塗布層の膜厚測定方法
塗布層の表面をRuOで染色し、エポキシ樹脂中に包埋した。その後、超薄切片法により作成した切片をRuOで染色し、塗布層断面をTEM(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 H−7650、加速電圧100V)を用いて測定した。
(4)色剤のブリードアウト防止性能評価(ΔEab値評価)
実施例および比較例で作成したフィルムを、180度のオーブンで10分間加熱する。
その後、熱処理をした当該フィルムを、塗布層表面が箱の内側になるように折り、縦20cm、横12.5cm、高さ5cmの箱形の形状をつくる。次いで、上記の方法で作成した箱の底面(250cm2)に接触するようにジメチルホルムアミド10mLを入れて3分間放置した後、ジメチルホルムアミドを回収し、縦12.5mm、横12.5mm、高さ45mmの石英製の液セルに入れ、液セルを光路長が12.5mmとなるように株式会社島津製作所社製分光光度計「UV−3100PC」に設置して透過度の測定を行い、2°視野、標準D65光源の時のL値、a値、b値の値を求めた。同様にして、リファレンスとなるジメチルホルムアミドのL値、a値、b値を求め、その差ΔL、Δa、Δbを前述の数式(1)に代入し、リファレンスのジメチルホルムアミドに対するΔEab値を算出した。
(5)色剤のブリードアウト防止性能評価(目視評価)
フィルムを、180度のオーブンで10分間加熱する。その後、熱処理をした当該フィルムを、塗布層表面が箱の内側になるように折り、上部が開いている縦20cm、横12.5cm、高さ5cmの箱形の形状とし、次いで、上記の方法で作成した箱の底面(250cm2)に接触するようにジメチルホルムアミド10mLを入れて3分間放置した後、ジメチルホルムアミドを回収し、蛍光灯下にて、目視により色剤の抽出度合の判別を行い、以下の基準により評価した。
◎:色剤の流出が殆ど認められない
○:色剤の流出が極僅かに認められる
×:色剤の流出度合が酷い
実施例および比較例で用いた塗布層を構成する組成成分は、以下に示すとおりである。
なお、実施例および比較例で用いている重量%とは、不揮発分での重量%を意味している。
[塗布層を構成する組成成分]
(A)シランカップリング剤
(A−1):アミン系シランカップリング剤である、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(A−2):エポキシ系シランカップリング剤である、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
(B)ポリマー
(B−1):ケン化度が88%の重合度500のポリビニルアルコール
(B−2):下記の組成で構成されたポリエステル樹脂
酸成分:テレフタル酸/イソフタル酸/5−ソジウムスルホイソフタル酸//ジオール成分:エチレングリコール/1,4−ブチレングリコール =55/40/5//65/35(mol%)
(B−3):アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルを共重合した、ガラス転移温度(Tg)が50℃のアクリル樹脂
(C)架橋剤
(C−1):オキサゾリン化合物であるエポクロス WS−500(株式会社日本触媒製)
(C−2):ポリグリセロールポリグリシジルエーテル。
≪ポリエステル−Aの製造≫
テレフタル酸ジメチル100重量%とエチレングリコール60重量%とを出発原料とし、触媒として酢酸マグネシウム・4水塩0.09重量%を反応器にとり、反応開始温度を150℃とし、メタノールの留去とともに徐々に反応温度を上昇させ、3時間後に230℃とした。4時間後実質的にエステル交換反応を終了した。この反応混合物にエチルアシッドフォスフェート0.04重量%、三酸化アンチモン0.04重量%、平均粒径が1.9μmのシリカ粒子0.05重量%を加えて、4時間重縮合反応を行った。すなわち、温度を230℃から徐々に昇温し280℃とした。一方、圧力は常圧より徐々に減じ、最終的には0.3mmHgとした。反応開始後、4時間を経た時点で反応を停止し、窒素加圧下ポリマーを吐出させた。得られたポリエステルの極限粘度は0.65dl/gであった。
≪ポリエステル−Bの製造≫
ポリエステル−Aの製造において、平均粒径が1.9μmのシリカ粒子0.05重量%を加えず、重縮合反応を3時間15分とする以外はポリエステル−Aと同様の方法でポリエステルを得て、さらにかかるポリエステルを225℃−0.3mmHgの条件下で15時間固相重合を行った。得られたポリエステルの極限粘度は0.78dl/gであった。
≪ポリエステル−Cの製造≫
ポリエステル−B 100重量%を乾燥した後、三菱化学株式会社製ダイアレジンレッドHS(ぺリノン系) 0.4重量%、三菱化学株式会社製ダイアレジンブルーH3G(アントラキノン系) 0.8重量%、および三菱化学株式会社製ダイアレジンイエローF(イソキノリン系) 0.3重量%を押出機にて溶融混練りしポリエステル−Cを得た。得られたポリエステルの極限粘度は0.61dl/gであった。
実施例1:
ポリエステル−Aを表層の原料とし、ポリエステル−Cを中間層の原料として、2台の押出機に各々を供給し、各々285℃で溶融した後、30℃に設定した冷却ロール上に2種3層の構成で厚み構成比がA/C/A=3/19/3となるよう共押出し、冷却固化させて未延伸シートを得た。次いで、ロール周速差を利用してフィルム温度85℃で縦方向に3.4倍延伸した後、この縦延伸フィルムの片面に、表1に示す塗布液を塗布し、テンターに導き、横方向に93℃で4.3倍延伸した後、225℃で熱処理を施して、塗布層の膜厚(乾燥後)が0.02μmの塗布層を有する厚さ25μmのポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムを評価したところ、下記表2に示すとおり、色剤のブリードアウト防止性能は良好であった。
実施例2〜11:
実施例1において塗布する、塗布液を下記表1および2に示す塗布剤組成と塗布膜厚に変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、下記表2に示すとおり、色剤のブリードアウト防止性能は良好であった。
比較例1〜6:
実施例1において塗布する、塗布液を下記表1および2に示す塗布剤組成と塗布膜厚に変更する以外は実施例1と同様にしてポリエステルフィルムを得た。得られたポリエステルフィルムは、下記表2に示すとおり、色剤のブリードアウト防止性能は極めて悪かった。
Figure 2014156069
Figure 2014156069
本発明のフィルムは、例えば、自動車窓貼り用フィルム、X線青味付けフィルム、ディスプレイ用途等、色剤を含有するフィルムの用途において好適に利用することができる。

Claims (1)

  1. 色剤を含有するポリエステルフィルムの少なくとも片面に、アミン系カップリング剤を含有する塗布液から形成された塗布層を有することを特徴とする積層ポリエステルフィルム。
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