JP2014156026A - バリア性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムおよびその製造方法の提供。
【解決手段】本発明によるバリア性フィルムは、基材層と、バリア層とを有してなり、バリア層が、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成されたものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、バリア性フィルムに関し、さらに詳細には、基材層と、バリア層とを有してなり、バリア層が、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成される、バリア性フィルムに関する。
近年、酸素あるいは水蒸気等に対するバリア性材料として、フィルム基材に酸化ケイ素、酸化アルミニウム等の無機酸化物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相成長法等で形成してなる透明ガスバリア性フィルムが注目されている。そして、かかる透明ガスバリア性フィルムは、一般には透明性、剛性に優れる二軸延伸ポリエステルフィルムからなる基材面に無機酸化物を蒸着したフィルムであるので、そのままでは蒸着層が使用時の摩擦等に弱く、包装用フィルムとして使用する場合、後加工の印刷やラミネート時、又内容物の充填時に、擦れや伸びにより無機酸化物にクラックが入りガスバリア性が低下することがある。そこで、無機酸化物の蒸着層上に、アルコキシドと水溶性高分子とをゾルゲル法によって重縮合して得られるガスバリア性塗布膜を設けることも行われてきた(例えば、特許文献1参照)。
また、アルコキシドを用いるゾルゲル法以外の方法として、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩溶液を用いてガスバリア性塗布膜を設けることも検討されてきた(例えば、特許文献2参照)。特許文献2では、不飽和カルボン酸化合物の多価金属塩溶液を塗工した後、紫外線照射により予備重合をし、次いで、さらに紫外線照射を行って本重合することが行われている。しかし、紫外線硬化を行っていることから溶液に重合開始剤が必要となるため、用途が限定されるといった問題があった。さらに、重合開始剤の使用や工程の煩雑さのため、コストが増大するといった問題もあった。
特開2011−230454号公報 特許第473022号公報
本発明は上記の背景技術に鑑みてなされたものであり、その目的は、酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムおよびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射することで、酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア層を形成できることを知見した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明の一態様によれば、
基材層と、バリア層とを有してなるバリア性フィルムであって、
前記バリア層が、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成される、バリア性フィルムが提供される。
本発明の態様においては、前記重合性不飽和化合物が、不飽和カルボン酸化合物であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記重合性不飽和化合物の金属塩モノマーが、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、およびメタクリル酸ネオジウムからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バインダー化合物が、親水性バインダーであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記親水性バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸ナトリウム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、デンプン、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの変性物からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記バリア層形成用溶液が、重合開始剤を含まないことが好ましい。
また、本発明の別の態様によれば、
基材層と、バリア層とを有してなるバリア性フィルムの製造方法であって、
前記基材層上に、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液を塗布して被膜を形成することと、
前記被膜に電子線を照射してバリア層を形成することと
を含んでなる、バリア性フィルムの製造方法が提供される。
本発明の別の態様においては、電子線照射後に、前記バリア性フィルムを20〜100℃でエージングすることをさらに含んでなることが好ましい。
本発明によれば、酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムを提供することができる。本発明においては、電子線照射によりバリア層を硬化させており、高温工程を経ずにバリア層を形成することができるため、耐熱性の低い材料にも適用することができる。また、重合開始剤を用いないため、適用用途が限定されず、かつコストを削減できる。
本発明のバリア性フィルムの一実施形態を示した概略断面図である。
<バリア性フィルム>
本発明によるバリア性フィルムは、基材層と、バリア層とを有してなるものである。まず、本発明によるバリア性フィルムの構成を、図面を参照しながら説明する。図1に示すように、熱バリア性フィルム10は、基材層20と、該基材層20上にバリア層30とを有してなる。以下、本発明のバリア性フィルムを構成する各層について説明する。
<基材層>
本発明によるバリア性フィルムを構成する基材層としては、下記のバリア層を担持できるものであれば特に限定されず、公知の種々の基材を用いることができる。例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、および紙等の有機質材料、ガラス、陶、セラミック、セメント、および金属等の無機質材料、有機質材料同士あるいは有機質材料と無機質材料との組合せからなる多層構造の基材層を例示することができる。また、基材層の形状も、特に限定されず、シートまたはフィルム状物、トレー、カップ、中空体等の形状を有するものを例示することができる。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド等を例示することができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチル・1−ペンテン、およびポリブテン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン−6、ナイロン−66、およびポリメタキシレンアジパミド等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン・酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、フッ素樹脂あるいはこれらの混合物等を挙げることができる。特に、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、およびポリアミド等の、延伸性、透明性が良好な熱可塑性樹脂が好ましい。これら熱可塑性樹脂からなる基材層はガスバリア性被膜の用途に応じて、単層であっても、二種以上の熱可塑性樹脂からなる積層体であってもよい。また、これら基材層は、ガスバリア性被膜との接着性を改良するために、その表面を、例えば、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、アンダーコート処理、プライマーコート処理、フレーム処理等の表面活性化処理を行っておいてもよい。
<バリア層>
本発明によるバリア性フィルムを構成するバリア層は、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成されるものである。被膜は、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液を、従来公知の方法により基材層上に塗布して形成することができる。このようなバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射することにより重合が促進されて、原子間に強固な結合を持つバリア層が得られる。このようなバリア層を設けることで、酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムを得ることができる。本発明においては、紫外線ではなく電子線により重合させることで、バリア層形成用溶液中に重合開始剤を必要としないため、用途が限定されず、またコストを低減することができる。
本発明において、バリア層形成用溶液中、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーとバインダー化合物の混合比は、固形分比で、好ましくは1:2〜1:0.01であり、より好ましくは1:1〜1:0.01である。このような混合比のバリア層形成用溶液を用いることで、酸素バリア性や水蒸気バリア性をより向上させることができる。以下、バリア層形成用溶液に含まれる各成分について説明する。
<重合性不飽和化合物の金属塩モノマー>
重合性不飽和化合物の金属塩モノマーとは、重合性不飽和化合物と、一価もしくは多価金属化合物との塩である。重合性不飽和化合物の金属塩モノマーを形成する成分の一つである重合性不飽和化合物としては、例えば、α、β―エチレン性不飽和基を有する化合物が挙げられ、特に、不飽和カルボン酸化合物を用いることが好ましい。不飽和カルボン酸化合物として、アクリル酸、メタアクリル酸、マレイン酸、およびイタコン酸からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがより好ましい。
重合性不飽和化合物の金属塩モノマーを形成する成分の一つである一価金属化合物としては、例えば、リチウム(Li)、ナトリウム(Na)、およびカリウム(K)等の一価金属、これら金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩若しくは亜硫酸塩等が挙げられる。これら一価金属化合物の中でも、NaおよびKからなる群から選択される少なくとも1種の金属を用いることが好ましい。特に、酸化ナトリウム、酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることがさらに好ましい。
重合性不飽和化合物の金属塩モノマーを形成する成分の一つである多価金属化合物としては、例えば、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、アルミニウム(Al)、およびネオジウム(Nd)等の二価以上の金属、これら金属の酸化物、水酸化物、ハロゲン化物、炭酸塩、リン酸塩、亜リン酸塩、次亜リン酸塩、硫酸塩若しくは亜硫酸塩等が挙げられる。これら多価金属化合物の中でも、Mg、Ca、Zn、Ba、Al、およびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属を用いることが好ましく、Znがより好ましい。特に、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、および水酸化亜鉛からなる群から選択される少なくとも1種を用いることがさらに好ましい。
本発明においては、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーとして、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、およびメタクリル酸ネオジウムからなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。本発明においては、市販の重合性不飽和化合物の金属塩モノマーを用いることもでき、例えば、浅田化学(株)製アクリル酸亜鉛30%水溶液が挙げられる。
<バインダー化合物>
バインダー化合物としては、親水性バインダーや疎水性バインダーを用いることができ、特に親水性バインダーを用いることが好ましい。親水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸ナトリウム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、デンプン、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの変性物からなる群から選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。変性物とは、従来公知の方法により反応性基を導入したものが含まれ、その変性方法は特に限定されない。変性物としては、例えば、シラノール基やカルボニル基等の反応性基を導入したものが挙げられる。特に、シラノール基を導入したポリビニルアルコール(シラン変性PVA)が好ましい。本発明においては、市販のバインダー化合物を用いることもでき、例えば、クラレ(株)製R−1130(シラン変性PVA)が挙げられる。
<他の層>
本発明によるバリア性フィルムは、基材層およびバリア層以外の他の層をさらに有してもよい。他の層としては、例えば、金属を圧延して得られた金属箔からなる層、接着層、および印刷層等を挙げることができる。その他の層を2層以上有する場合、それぞれが、同一の組成であってもよいし、異なる組成であってもよい。その他の層は、基材層またはバリア層の上に、あるいは基材層とバリア層の間に、形成することができる。
金属箔としては、従来公知の金属箔を用いることができる。酸素バリア性および水蒸気バリア性や、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性の点からは、アルミニウム箔等が好ましい。
印刷層は、従来公知の顔料や染料を用いて、従来公知の方法により形成することができる。また、接着層は、いずれか2層をラミネートにより貼合するために形成される、接着剤層または接着樹脂層である。ラミネート用接着剤としては、例えば、1液あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他等の溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型等のラミネート用接着剤を使用することができる。上記の接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。その塗布量としては、0.1g/m〜10g/m(乾燥状態)位が好ましく、1g/m〜5g/m(乾燥状態)位がより好ましい。
また、接着樹脂層としては、熱可塑性樹脂層からなる樹脂層が使用される。具体的には、接着樹脂層の材料としては、低密度ポリエチレン樹脂、中密度ポリエチレン樹脂、高密度ポリエチレン樹脂、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂、メタロセン触媒を利用して重合したエチレン・αオレフィンとの共重合体樹脂、エチレン・ポリプロピレン共重合体樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸共重合体樹脂、エチレン・アクリル酸エチル共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸共重合体樹脂、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体樹脂、エチレン・マレイン酸共重合体樹脂、アイオノマー樹脂、ポリオレフィン樹脂に不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸無水物、エステル単量体をグラフト重合、または、共重合した樹脂、無水マレイン酸をポリオレフィン樹脂にグラフト変性した樹脂等を使用することができる。これらの材料は、一種ないしそれ以上を組み合わせて使用することができる。
<バリア性フィルムの製造方法>
本発明によるバリア性フィルムの製造方法は、基材層上に、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液を塗布して被膜を形成することと、被膜に電子線を照射してバリア層を形成することとを含んでなるものである。このような工程によりバリア層を設けることで、基材とバリア層の間に接着剤層を設けなくても基材とバリア層が強固に接着し、酸素バリア性や水蒸気バリア性に優れたバリア性フィルムを得ることができる。さらに、電子線照射後に、前記バリア性フィルムを、好ましくは20〜100℃、より好ましくは30〜90℃でエージングすることで、酸素バリア性や水蒸気バリア性をより向上させることができる。
バリア層形成用溶液の塗布方法は、特に限定されず、従来公知の方法により塗布することができる。塗布方法としては、例えば、グラビアロールコーターなどのロールコート、スプレーコート、スピンコート、デイツピング、刷毛、バーコード、およびアプリケータ等の従来公知の方法が挙げられる。乾燥後の塗布膜の厚さは、好ましくは0.01〜100μmであり、より好ましくは0.01〜50μmである。
電子線の照射は、被膜に電子線を照射できる状態であれば、被膜が完全に乾燥した状態でもよいし、半乾燥の状態でもよい。また、バリア層形成用溶液を塗布中に電子線の照射を開始してもよい。
電子線の照射エネルギーは、バリア性フィルムの厚み等に応じて適宜調整することができる。本発明においては、20〜750kV、好ましくは25〜400kV、より好ましくは30〜300kV程度の照射エネルギー範囲で電子線を照射するが、より低い照射エネルギーとすることが好ましく、40〜120kVとすることができる。このように低い照射エネルギーとすることにより、フィルムの劣化を抑制できるだけでなく、フィルム表面のラジカル発生がより効率的におこるため、より強固な結合を実現することができる。また、電子線の照射は、吸収線量が5〜2000kGy、好ましくは10〜1000kGyの範囲で行なわれる。
このような電子線照射装置としては、従来公知のものを使用でき、例えばライン照射型低エネルギー電子線照射装置(EB−ENGINE、浜松ホトニクス株式会社製)等を好適に使用することができる。
電子線を照射する際には、酸素濃度を100ppm以下とすることが好ましい。酸素濃度を下げて電子線を照射することで、オゾン発生による装置や環境への悪影響を減少させることができる。酸素濃度を100ppm以下とするには、真空下または窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において、フィルムに電子線を照射すればよく、例えば、電子線照射装置内を窒素充填することにより、酸素濃度100ppm以下を達成することができる。
実施例1
<バリア層形成用水溶液の調製>
まず、アクリル酸亜鉛30%水溶液(浅田化学(株)製)と、シラン変性PVA10%水溶液(クラレ(株)製:R−1130)と、低ケン化度変性PVA(日本酢ビポバール(株)製:CR−08)とを固形分比2:1:1で混合して、固形分濃度15質量%およびPVA濃度5質量%となるように、バリア層形成用水溶液を調製した。
<バリア性フィルムの製造>
基材層として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡積(株)製:E−5100)を用意した。PETフィルムの一方の面上に、上記で調製したバリア層形成用水溶液を1g/mとなるようにアプリケータで塗布し、60℃で12秒乾燥させて被膜を形成させた。続いて、被膜の表面に下記の条件で電子線を照射した。
電子線照射条件
・加速電圧:100kV
・照射線量:300kGy
・フィルムの搬送速度:5m/min
電子線照射後、40℃で二日間放置してエージングし、バリア層が形成されたバリア性フィルムを得た。バリア層の膜厚は、400nmであった。
実施例2
シラン変性PVA(クラレ(株)製:R−1130)をPVA(クラレ(株)製:PVA−117)に変更した以外は、実施例1と同様にして、バリア性フィルムを得た。
比較例1
電子線を照射しなかった以外は、実施例1と同様にして、バリア性フィルムを得た。
比較例2
バリア層形成用水溶液に重合開始剤を加えて、電子線の代わりに紫外線を照射した以外は、実施例1と同様にして、バリア性フィルムを得た。
上記の実施例および比較例で作製したバリア性フィルムについて、酸素透過度および水蒸気透過度を測定した。
<酸素透過度の測定>
バリア性フィルムの酸素透過度を、酸素透過度測定機(モコン(株)製:OX−TRAN)を用いて、温度23℃および湿度100RH%の環境下で測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
<水蒸気透過度の測定>
バリア性フィルムの水蒸気透過度を、水蒸気透過度測定機(モコン(株)製:PERMATRAN)を用いて、温度40℃および湿度100RH%の環境下で測定した。測定結果は、下記の表1に示される通りであった。
Figure 2014156026
表1から明らかなように、電子線を照射して形成したバリア層を有するバリア性フィルムは、酸素バリア性および水蒸気バリア性に優れることがわかった。
10 バリア性フィルム
20 基材層
30 バリア層

Claims (8)

  1. 基材層と、バリア層とを有してなるバリア性フィルムであって、
    前記バリア層が、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液から得られる被膜を電子線照射して形成される、バリア性フィルム。
  2. 前記重合性不飽和化合物が、不飽和カルボン酸化合物である、請求項1に記載のバリア性フィルム。
  3. 前記重合性不飽和化合物の金属塩モノマーが、アクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、アクリル酸亜鉛、アクリル酸マグネシウム、アクリル酸カルシウム、アクリル酸アルミニウム、メタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸カリウム、メタクリル酸亜鉛、メタクリル酸マグネシウム、メタクリル酸カルシウム、およびメタクリル酸ネオジウムからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載のバリア性フィルム。
  4. 前記バインダー化合物が、親水性バインダーである、請求項1〜3のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  5. 前記親水性バインダーが、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルソース、アルギン酸ナトリウム、エチレン−ビニルアルコール共重合体、デンプン、デキストラン、ゼラチン、およびそれらの変性物からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項4に記載のバリア性フィルム。
  6. 前記バリア層形成用溶液が、重合開始剤を含まない、請求項1〜5のいずれか一項に記載のバリア性フィルム。
  7. 基材層と、バリア層とを有してなるバリア性フィルムの製造方法であって、
    前記基材層上に、重合性不飽和化合物の金属塩モノマーおよびバインダー化合物を含むバリア層形成用溶液を塗布して被膜を形成することと、
    前記被膜に電子線を照射してバリア層を形成することと
    を含んでなる、バリア性フィルムの製造方法。
  8. 電子線照射後に、前記バリア性フィルムを20〜100℃でエージングすることをさらに含んでなる、請求項7に記載のバリア性フィルムの製造方法。
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