JP2014155931A - 摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置 - Google Patents

摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置 Download PDF

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Abstract

【課題】合部の良否の判断を精度良く行うことができる摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置を提供する。
【解決手段】摩擦撹拌接合装置1では、摩擦撹拌接合中の回転ツール3の主軸部の振動加速度を検出し、その出力信号波形を標準偏差で正規化して複数の標本線を設定し、標本線毎の変化量及び存在量から特徴量を算出する。摩擦撹拌接合の条件異常が生じた場合、正常接合時に対するマハラノビスの距離の変化が顕著となる特徴量は、条件異常の種類毎に予め経験的に把握できる。したがって、条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対する変化量又は存在量の時間変化波形から求まるマハラノビスの距離を閾値と比較することで、異常の原因を特定しつつ接合部の良否を精度良く行うことができる。
【選択図】図2

Description

本発明は、摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置に関する。
摩擦撹拌接合は、回転ツールを回転させながら金属材等の材料に押し込み、摩擦熱で軟化させた母材同士を塑性流動により一体化させる固相接合方法である(例えば特許文献1参照)。摩擦撹拌接合では、アーク溶接やレーザ溶接のような溶融溶接と比較して母材への入熱量が小さいので、高品質な継手を得ることが可能であり、主として融点の低いアルミニウム合金などの接合に適用されている。
特開2006−334639号公報
摩擦撹拌接合の実施にあたっては、接合部の品質を管理する必要がある。従来の品質管理方法としては、接合後に超音波探傷を行う手法や、母材への回転ツールの押し込み量を電気的に検出する手法などがある。しかしながら、例えば鉄道車両等の車体に適用される長尺の母材の接合においては、接合部の良否の判断をより精度良く行うことが課題となっている。
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、接合部の良否の判断を精度良く行うことができる摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置を提供することを目的とする。
上記課題の解決のため、本発明に係る摩擦撹拌接合方法は、金属材同士の当接部分に押し込んだ回転ツールを回転させることによって当接部分に沿って接合部を形成する摩擦撹拌接合方法であって、摩擦撹拌接合の実施中に回転ツールの主軸部の振動加速度を振動加速度検出手段によって検出する振動加速度検出ステップと、振動加速度検出手段から取得した出力信号波形の標準偏差を求め、当該標準偏差に基づいて複数の標本線を設定する標本線設定ステップと、出力信号波形が標本線と交差した回数を示す変化量と、出力信号波形の出力値が標本線を上回ったデータ数を示す存在量とを標本線毎に求め、出力信号波形の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、摩擦撹拌接合の条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対応する変化量又は存在量の時間変化波形から正常接合時に対するマハラノビスの距離を算出する波形解析ステップと、マハラノビスの距離を閾値と比較して接合部の良否を判断する判断ステップと、を備えたことを特徴としている。
この摩擦撹拌接合方法では、摩擦撹拌接合中の回転ツールの主軸部の振動加速度を検出し、その出力信号波形を標準偏差で正規化して複数の標本線を設定し、標本線毎の変化量及び存在量から特徴量を算出する。摩擦撹拌接合の条件異常には、例えば接合速度が過剰となったことによる撹拌不足や、回転ツールの荷重不足などが挙げられるが、これらの条件異常が生じた場合、正常接合時に対するマハラノビスの距離の変化が顕著となる特徴量は、条件異常の種類毎に予め経験的に把握できる。したがって、条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対する変化量又は存在量の時間変化波形から求まるマハラノビスの距離を閾値と比較することで、異常の原因を特定しつつ接合部の良否を精度良く行うことができる。
また、本発明に係る摩擦撹拌接合装置は、金属材同士の当接部分に押し込んだ回転ツールを回転させることによって当接部分に沿って接合部を形成する摩擦撹拌接合装置であって、摩擦撹拌接合の実施中に回転ツールの主軸部の振動加速度を検出する振動加速度検出手段と、振動加速度検出手段から取得した出力信号波形の標準偏差を求め、当該標準偏差に基づいて複数の標本線を設定する標本線設定手段と、出力信号波形が標本線と交差した回数を示す変化量と、出力信号波形の出力値が標本線を上回ったデータ数を示す存在量とを標本線毎に求め、出力信号波形の特徴量を算出する特徴量算出手段と、摩擦撹拌接合の条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対応する変化量又は存在量の時間変化波形から正常接合時に対するマハラノビスの距離を算出する波形解析手段と、マハラノビスの距離を閾値と比較して接合部の良否を判断する判断手段と、を備えたことを特徴としている。
この摩擦撹拌接合装置では、摩擦撹拌接合中の回転ツールの主軸部の振動加速度を検出し、その出力信号波形を標準偏差で正規化して複数の標本線を設定し、標本線毎の変化量及び存在量から特徴量を算出する。摩擦撹拌接合の条件異常には、例えば接合速度が過剰となったことによる撹拌不足や、回転ツールの荷重不足などが挙げられるが、これらの条件異常が生じた場合、正常接合時に対するマハラノビスの距離の変化が顕著となる特徴量は、条件異常の種類毎に予め経験的に把握できる。したがって、条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対する変化量又は存在量の時間変化波形から求まるマハラノビスの距離を閾値と比較することで、異常の原因を特定しつつ接合部の良否を精度良く行うことができる。
本発明に係る摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置によれば、接合部の良否の判断を精度良く行うことができる。
本発明に係る摩擦撹拌接合装置の一実施形態を示す図である。 図1に示した摩擦撹拌接合装置の機能的な構成要素を示す図である。 振動加速度センサが取得した出力信号波形の一例を示す図である。 特徴量の一例を示す図である。 選択された特徴量に対応する変化量の時間変化波形の一例を示す図である。 正常接合時のマハラノビスの距離の算出結果の一例を示す図である。 条件異常時のマハラノビスの距離の算出結果の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本発明に係る摩擦撹拌接合方法及び摩擦撹拌接合装置の好適な実施形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る摩擦撹拌接合装置の一実施形態を示す図である。同図に示すように、摩擦撹拌接合装置1は、接合対象である金属材2a,2bの上方に配置された回転ツール3を備えている。回転ツール3は、例えば略円柱状をなす金属材であり、回転ツール3の先端中央には、回転ツール3の胴体部分の直径よりも小径の略円柱状のプローブ4が設けられている。金属材2a,2bとしては、例えばアルミニウム合金からなる長尺の板状部材が例示される。
摩擦撹拌接合を行うにあたり、摩擦撹拌接合装置1は、まず、回転ツール3を所定の回転速度で回転させる。そして、この回転ツール3を金属材2a,2bに向かって下降させ、プローブ4が金属材2a,2bにおける端面同士の突き合わせ部分(当接部分)Lに没入するように、回転ツール3を突き合わせ部分Lの一端側に押し込む。
次に、摩擦撹拌接合装置1は、回転ツール3を突き合わせ部分Lに沿って移動させる。これにより、回転ツール3のプローブ4と金属材2a,2bとの間で摩擦熱が生じ、この摩擦熱による塑性流動によって突き合わせ部分Lに接合部Wが順次形成される。回転ツール3が突き合わせ部分Lの他端側まで到達した後、回転ツール3を上昇させ、プローブ4を突き合わせ部分Lから引き上げる。その後、回転ツール3の回転が停止して処理が終了する。
このような摩擦撹拌接合装置1は、振動加速度検出センサ(振動加速度検出手段)11と、接合判断部Mとを備えている。接合判断部Mは、図2に示すように、機能的な構成要素として、標本線設定部(標本線設定手段)12、特徴量算出部(特徴量算出手段)13と、波形解析部(波形解析手段)14と、判断部(判断手段)15とを有している。
振動加速度検出センサ11は、摩擦撹拌接合の実施中に回転ツール3の主軸部の振動加速度を検出する部分である。主軸部とは、例えば回転ツール3のモータ、減速機、継手、ホルダ等を含む部分であり、振動加速度検出センサ11は、例えば主軸部を収容する筐体の外側に固定されている。筐体と振動加速度検出センサ11との固定方法は、接着剤を用いてもよく、磁石を用いてもよい。
この振動加速度検出センサ11は、図3は、振動加速度センサが取得した出力信号波形の一例を示す図である。同図に示す例では、横軸が時間、縦軸が振動加速度となっており、摩擦撹拌接合が開始されてから完了するまでの回転ツール3の主軸部の振動加速度が時間軸波形として示されている。振動加速度検出センサ11は、検出した出力信号波形を標本線設定部12に出力する。なお、振動加速度検出センサ11からの出力値は、出力電圧値、出力電流値、出力電流値と出力電圧値とを乗じた値、若しくは、これらの値から換算される振動加速度振幅の値のいずれかとすることも可能である。
接合判断部Mにおいて、標本線設定部12、特徴量算出部13、波形解析部14、及び判断部15は、物理的には、CPU、メモリ、通信インタフェイス、ハードディスク、ディスプレイ等を備えたコンピュータシステム、及び振動加速度検出センサ11からの出力信号を増幅するアンプ、電気ノイズを遮断するフィルタ等によって構成されている。
標本線設定部12は、振動加速度検出センサ11から取得した出力信号波形の標準偏差を求め、当該標準偏差に基づいて複数の標本線を設定する部分である。標本線設定部12は、例えば図3に示すように、振動加速度検出センサ11から取得した出力信号波形の標準偏差をσとした場合に、0σ、±0.5σ、±1.0σ、±1.5σ、±2.0σ、±2.5σの計11本の標本線を設定する。標本線の抽出幅は、例えば1000データ分である。なお、標本線は、標準偏差に基づいて設定する場合に限られず、出力信号波形の出力値自体に基づいて設定してもよい。
特徴量算出部13は、出力信号波形の特徴量を算出する部分である。より具体的には、特徴量算出部13は、標本線設定部12で設定された標本線毎に、出力信号波形が一定時間内に標本線と交差した回数を示す変化量と、出力信号波形の出力値が一定時間内に標本線を上回ったデータ数を示す存在量とをそれぞれ求め、特徴量を算出する。特徴量とは、標本線毎に求められた変化量及び存在量のデータの集合体であり、変化量及び存在量を上記の抽出幅によって出力信号波形の全区間でサンプリングすることで、出力信号波形全体が定量的に特徴化される。
図4は、特徴量の一例を示す図である。同図に示す例では、横軸が特徴量、縦軸が効果となっている。横軸において、特徴量を示す各項目C2〜C24は、C2が出力信号波形全体であり、C3が−2.5σにおける変化量、C4が−2.5σにおける存在量である。また、C5は、−2.0σにおける変化量、C6は−2.0σにおける存在量であり、以下同様の順序でC24まで標本線毎の変化量及び存在量が配列されている。また、縦軸に示す効果は、特徴量の各項目に対応する変化量又は存在量を用いて求めたマハラノビスの距離を、正常接合時のマハラノビスの距離に対する比として示したものである。
波形解析部14は、摩擦撹拌接合の条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対応する変化量又は存在量の時間変化波形から正常接合時に対するマハラノビスの距離を算出する部分である。摩擦撹拌接合の条件異常には、例えば接合速度が過剰となったことによる撹拌不足や、回転ツール3の荷重不足などが挙げられるが、これらの条件異常が生じた場合、正常接合時に対するマハラノビスの距離の変化が顕著となる特徴量は、条件異常の種類毎に予め経験的に把握できる。図4に示した例では、例えば撹拌不足が生じているか否かを判断するには+0.5σにおける変化量を示すC15が選択される。また、別の例として、荷重不足が生じているか否かを判断するには−1.5σにおける存在量を示すC8が選択される。
図5は、選択された特徴量に対応する変化量の時間変化波形の一例を示す図である。ここでは、C15が選択された場合を例示しており、横軸が時間、縦軸が変化量となっている。この時間変化波形は、特徴量算出部13で求められた各特徴量のうち、C15に対応する+0.5σにおける変化量を抽出したものである。同図では、正常接合時のC15の時間変化波形Aと、撹拌不足発生時のC15の時間変化波形Bとが示されており、両波形の形状の差が顕著になっていることが確認できる。
判断部15は、波形解析部14で算出されたマハラノビスの距離を閾値と比較して接合部Wの良否を判断する部分である。図6は、正常接合時のマハラノビスの距離の算出結果の一例を示す図であり、図7は、条件異常時のマハラノビスの距離の算出結果の一例を示す図である。図6及び図7に示す例は、図5の時間変化波形A及び時間変化波形Bに基づく算出結果を示すものであり、横軸が時間、縦軸がマハラノビスの距離となっている。
判断部15は、マハラノビスの距離の閾値(ここでは閾値=4)を記憶しており、例えば横軸の全区間においてマハラノビスの距離が4未満である場合には、正常に接合がなされたと判断し、接合部Wが正常に形成されたと判断する。一方、判断部15は、横軸の全区間においてマハラノビスの距離が1点でも4以上となった場合には、特徴量で関連付けられた種類の条件異常が生じたと判断し、接合部Wが正常に形成されなかったと判断する。
以上説明したように、摩擦撹拌接合装置1では、摩擦撹拌接合中の回転ツール3の主軸部の振動加速度を検出し、その出力信号波形を標準偏差で正規化して複数の標本線を設定し、標本線毎の変化量及び存在量から特徴量を算出する。摩擦撹拌接合の条件異常には、例えば接合速度が過剰となったことによる撹拌不足や、回転ツールの荷重不足などが挙げられるが、これらの条件異常が生じた場合、正常接合時に対するマハラノビスの距離の変化が顕著となる特徴量は、条件異常の種類毎に予め経験的に把握できる。したがって、条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対する変化量又は存在量の時間変化波形から求まるマハラノビスの距離を閾値と比較することで、異常の原因を特定しつつ接合部の良否を精度良く行うことができる。
なお、上記実施形態では、摩擦撹拌接合の対象物としてアルミニウム合金からなる金属板を例示しているが、アルミニウム合金に限られず、マグネシウム合金等の軽合金材料、ステンレス鋼、亜鉛めっき鋼板等の鉄系材料を始めとした他の金属板であってもよい。また、金属板への適用だけでなく、鉄道車両用の台車枠部品等に用いられる管体やC型形状のプレス成形材等の接合にも適用可能である。さらに、接合形態についても、突き合わせ接合に限られず、重ね接合にも適用可能である。
1…摩擦撹拌接合装置、2a,2b…金属板、3…回転ツール、11…振動加速度検出センサ(振動加速度検出手段)、12…標本線設定部(標本線設定手段)、13…特徴量算出部(特徴量算出手段)、14…波形解析部(波形解析手段)、15…判断部(判断手段)、L…突き合わせ部分(当接部分)、W…接合部。

Claims (2)

  1. 金属材同士の当接部分に押し込んだ回転ツールを回転させることによって前記当接部分に沿って接合部を形成する摩擦撹拌接合方法であって、
    摩擦撹拌接合の実施中に前記回転ツールの主軸部の振動加速度を振動加速度検出手段によって検出する振動加速度検出ステップと、
    前記振動加速度検出手段から取得した出力信号波形の標準偏差を求め、当該標準偏差に基づいて複数の標本線を設定する標本線設定ステップと、
    前記出力信号波形が前記標本線と交差した回数を示す変化量と、前記出力信号波形の出力値が前記標本線を上回ったデータ数を示す存在量とを前記標本線毎に求め、前記出力信号波形の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
    前記摩擦撹拌接合の条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対応する変化量又は存在量の時間変化波形から正常接合時に対するマハラノビスの距離を算出する波形解析ステップと、
    前記マハラノビスの距離を閾値と比較して前記接合部の良否を判断する判断ステップと、を備えたことを特徴とする摩擦撹拌接合方法。
  2. 金属材同士の当接部分に押し込んだ回転ツールを回転させることによって前記当接部分に沿って接合部を形成する摩擦撹拌接合装置であって、
    摩擦撹拌接合の実施中に前記回転ツールの主軸部の振動加速度を検出する振動加速度検出手段と、
    前記振動加速度検出手段から取得した出力信号波形の標準偏差を求め、当該標準偏差に基づいて複数の標本線を設定する標本線設定手段と、
    前記出力信号波形が前記標本線と交差した回数を示す変化量と、前記出力信号波形の出力値が前記標本線を上回ったデータ数を示す存在量とを前記標本線毎に求め、前記出力信号波形の特徴量を算出する特徴量算出手段と、
    前記摩擦撹拌接合の条件異常の種類毎に予め定められた特徴量を選択し、当該特徴量に対応する変化量又は存在量の時間変化波形から正常接合時に対するマハラノビスの距離を算出する波形解析手段と、
    前記マハラノビスの距離を閾値と比較して前記接合部の良否を判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする摩擦撹拌接合装置。
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