JP4180578B2 - 交流電磁場測定法による探傷検査装置及び方法 - Google Patents
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Description
しかし、磁粉探傷法を適用する場合、検査箇所の塗装を剥がす必要があり、その前処理、後処理に多大な手間がかかる問題点があった。
図13は、ACFMにおける座標系を示す図である。被検体1の表面に細長い開口傷2がある場合に、表面に沿って、傷2の方向をx、xに直交する方向をy、表面に直交する方向をzと定義する。x方向(傷の方向)に外部から交流磁場3を付与すると、傷に直交するy方向に交流誘導電流4が発生する。
すなわち、交流誘導電流4は、傷2の存在により、x方向の傷2の両端外側では電流密度が高く、傷の位置では電流密度が低くなるため、この図の(b)に示すようにBx成分は傷の両端外側で高く、傷の位置で低くなる。
同様に、交流誘導電流4は、傷2の存在により、x方向の傷2の両端外側では外側に膨らんで流れるため、この図の(c)に示すようにBz成分は傷の一方では高く、他方では低くなる。
従って、Bx成分とBz成分がこのような特性を示したときに、傷が存在すると判断でき、傷の大きさと深さをキャリブレーションなしで求めることができる。
この図の(b)は、横軸にBx成分、縦軸にBz成分をプロットしたもので、「バタフライプロット」と呼ばれる。このバタフライプロットは、時間成分がなくなるため、検出速度が変化しても、同一の試験片であれば、常に同一の波形が得られ、傷の識別が容易になる特徴がある。また、一般的に、傷があるとバタフライプロットは中心から離れた閉じた形状となること知られている。
また、欠陥が判別できた場合でも、従来は時間に対して各信号が得られるため欠陥の位置を特定するのが困難であり、かつその大きさと深さの特定にも手間と時間がかかっていた。
前記ベクトル積Aと、前記ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示する。
前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、のがよい。
前記探傷プローブは、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する構造のスイッチを有してもよい。
前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、ことが好ましい。
また、探傷プローブに取付けられたスイッチにより、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了してもよい。
さらに、きずに直交してプローブを走査してBx信号とBz信号を取得し、この2つの信号を横軸にBz信号、縦軸にBx信号としてバタフライパターンをプロットし、該バタフライパターンがきずに平行にプローブ走査したバタフライパターンの中心点に対し点対称となる曲線を描くとき、きずを判定する、ことが好ましい。
また、ベクトル積Aと、ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示するので、この表示データから傷等の位置とその大きさ及び深さを容易かつ確実に求めることができる。
さらに、本発明により、鉄道車両用の台車枠の検査にACFM法を簡便に適用することが可能となり、従来の塗装を剥がして磁粉探傷を行なう方式から、塗装を剥がさずに検査ができるため、検査の効率化と、クリーン化が図れる。
また、検査記録が電子データとして残されるために、記録の管理及び履歴の管理が簡便になる。
また、ベクトル積を使用した自動判別が可能である。
なお、本発明は、鉄道車両用の台車枠のみならず鋼構造物等で、塗装を剥がして検査を行なっている構造物に適用可能である。
図1に示すように、本発明の探傷検査装置は、探傷プローブ10、交流電磁場測定装置20、及びデータ解析装置30を備える。
なおこの図において、紙面に直交する方向をx軸方向、これに直交する水平方向をy軸方向、被検体表面1aに直交する方向をz軸方向と定義する。
Bx測定コイル13は、被検体表面1aに発生した交流誘導電流3により発生するx軸方向の磁束密度Bxを検出する機能を有する。
Bz測定コイル14は、被検体表面1aに発生した交流誘導電流3により発生するz軸方向の磁束密度Bzを検出する機能を有する。
交流磁場発生コイル12、Bx測定コイル13、及びBz測定コイル14は、機能を阻害しない限りで、できるだけ近接して設置するのがよい。また相互間の位置誤差は、データ解析装置30により補正するようになっている。
押釦スイッチ16は、探傷プローブ10の側面に取り付けられたスタートスイッチ16aとストップスイッチ16bとからなり、スタートスイッチ16aを押す(ON)することにより、探傷プローブ10によりデータポイントと磁束密度BxとBzの検出を開始し、ストップスイッチ16bを押す(OFF)することにより、検出を終了させるようになっている。押釦スイッチ16は、好ましくは、シートスイッチである。
この構成により、探傷プローブ10を検査員が片手で持ち、被検体表面に沿ってプローブ先端部11を接触させて移動させながら、押釦スイッチ16により自由な位置で検出を開始しかつ終了させることができる。
また探傷プローブ10に取付けられたスイッチにより、後述する検出ローラ18aが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了してもよい。
図3に示すように、この位置センサ18は、検出ローラ18a、付勢装置18b及びロータリエンコーダ18cとからなる。
検出ローラ18aは、好ましくはy軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な円筒形部材であり、被検体表面1aに接触して滑ることなく自由に回転できる。また付勢装置18bは、例えば圧縮ばねであり、検出ローラ18aの回転支持部を被検体表面1aに向けて伸縮可能に押付ける。さらにロータリエンコーダ18cは、検出ローラ18aの回転量(移動距離)を検出するように構成されている。
この構成により、探傷プローブ10を検査員が片手で持ち、被検体表面に沿ってプローブ先端部11を接触させて移動させると、検出ローラ18aが被検体表面に所定の押付力で押付けられ、被検体表面の起伏に付勢装置18bで追従しながら、検出ローラ18aが被検体表面1aに接触して滑ることなく回転し、検出ローラ18aの回転量(移動距離)を検出することができる。
また、押釦スイッチ16及び位置センサ18の信号線もフレキシブルコード21を介して交流電磁場測定装置20に接続され、押釦スイッチ16により交流電磁場測定装置20の作動を制御し、同時に位置センサ18によるデータポイントを交流電磁場測定装置20に入力するようになっている。
さらに、交流電磁場測定装置20は、出力ケーブル22を介してデータ解析装置30に接続され、Bx測定コイル13及びBz測定コイル14で検出した磁束密度BxとBz、押釦スイッチ16及び位置センサ18の信号をデータ解析装置30に出力するようになっている。
また、探傷プローブ10は、検出ローラ18aが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する構造のスイッチを有するのが好ましい。
記憶装置32は、HD、ROM、RAM、その他の記憶媒体であり、探傷プローブ10で検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶すると共に、データ解析用のプログラムと、データ解析に伴って形成される各データを記憶する。
この補正により、相互間の位置誤差を無くし、位置センサ18のデータポイントと各コイルによる検出データを正確に対応させることができる。
また、この平滑化処理により、ノイズや擬似信号による、高周波成分を除去し、微細な凹凸をなくすことができる。
さらに、基準化処理により、磁束密度ベクトルB(z,x)の起点を原点Oに設定することができる。
この磁束密度ベクトルB(z,x)は、原点Oを起点とすることから、傷がまったくない場合には、原点近傍に集中するベクトルであり、ベクトル積Aは0に近い値または0以下の値になる。これに対して、傷がある場合、ベクトルは、原点Oから長く伸び、隣接するベクトルのベクトル積Aも増大する。
従って、ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別することにより、容易に傷等を判別することができる。
この構成により、ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等の影響を受ける所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で画像表示できるので、「Bx成分」と「Bz成分」をノイズや擬似信号を除去した純粋な波形として正確に把握することができる。
さらにこの波形に基づき、その大きさ及び深さを容易かつ確実に求めることができる。
探傷ステップS1では、ステップS11において、被検体表面1aのx軸方向に交流磁場2を与え、これに直交する被検体表面のy軸方向に交流誘導電流2を発生させる。さらに、ステップS12において、交流誘導電流2により発生するx軸方向の磁束密度Bxとz軸方向の磁束密度Bzを被検体表面1aに沿ったデータポイントと共に検出する。
なお、探傷プローブ10に取付けられた押釦スイッチ16により、データポイントと磁束密度BxとBzの検出開始と検出終了を制御し、ステップS11とステップS12を、同時に行うのがよい。
また、データポイントは、y軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な検出ローラ18aを被検体表面1aに向けて伸縮可能に押付け、ロータリエンコーダ18cにより検出ローラの回転量から検出する。
なお、探傷プローブ10は、検出ローラ18aが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する構造のスイッチを有し、探傷プローブに取付けられたスイッチにより、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了するのが好ましい。
生データ記憶ステップS21では、探傷プローブ10で検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶する。
この平滑化処理では、例えば、データポイントi(i=1,2,…,n)に対応する生データを位置誤差修正し、5点平滑化処理している。
この補正により、相互間の位置誤差を無くし、位置センサ18のデータポイントと各コイルによる検出データを正確に対応させることができる。
また、この平滑化処理により、ノイズや擬似信号による、高周波成分を除去し、微細な凹凸をなくすことができる。
さらに、基準化処理により、磁束密度ベクトルB(z,x)の起点を原点Oに設定することができる。
磁束密度ベクトルB(z,x)は、原点Oを起点とすることから、傷がまったくない場合には、原点近傍に集中するベクトルであり、ベクトル積Aは0に近い値または0以下の値になる。これに対して、傷がある場合、ベクトルは、原点Oから長く伸び、隣接するベクトルのベクトル積Aも増大する。
従って上述したデータ解析ステップS2により、磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を容易に検出することができる。
また、ベクトル積Aと、ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示するので、この表示データから傷等の位置とその大きさ及び深さを容易かつ確実に求めることができる。
さらに、本発明により、鉄道車両用の台車枠の検査にACFM法を簡便に適用することが可能となり、従来の塗装を剥がして磁粉探傷を行なう方式から、塗装を剥がさずに検査ができるため、検査の効率化と、クリーン化が図れる。
また、検査記録が電子データとして記憶装置32に記憶されるために、記録の管理及び履歴の管理も簡便になる。
図5(a)は、探傷ステップS1で検出されたデータポイント(データポイント)と磁束密度BxとBzの生データとの関係図である。この図に示すように、実際の計測では、様々な擬似信号が出現するため、典型的なBx成分とBz成分が得られず、欠陥の判別が非常に困難であることがわかる。
図5(b)は、図5(a)から作成した従来のバタフライプロットである。このバタフライプロットは、左右に広がった扁平した分布となっており、このため、熟練した検査員であってもこの図からの欠陥の判別は困難であることがわかる。
この図から、生データの波形形状をそのまま残しながら、ノイズや擬似信号による微細な凹凸が除去されているのがわかる。
なお基準化データは、初めの信号値、母材無欠陥部の信号値、信号波形の高次近似曲線、一定範囲の移動平均値などを基準とすることができる。
図5(d)は、図5(c)から作成したバタフライプロットである。このバタフライプロットは、原点Oを中心に円形に近い分布となっており、典型的なBx成分とBz成分に近い分布となっていることがわかる。
図5(e)は、ベクトル積算出ステップS24により作成したデータポイントに対応するベクトル積Aとの関係図である。この図において、ベクトル積Aは、外積ベクトル値である。
この図から、例えば、閾値を約10に設定することにより、データポイントの約20前後と80〜100に閾値を超える箇所があり、傷等が存在すると判別することが容易にできる。
以上の結果から、健全部では傷がないことを容易かつ確実に判別でき、また傷がある場合には、その傷を容易かつ確実に判別できることがわかる。
図7(a)は、探傷ステップS1で検出されたデータポイント(データポイント)と磁束密度BxとBzの生データとの関係図である。この図に示すように、実際の計測では、様々な擬似信号が出現するため、典型的なBx成分とBz成分が得られず、欠陥の判別が非常に困難であることがわかる。
図7(b)は、図7(a)から作成した従来のバタフライプロットである。このバタフライプロットは、右下部分に細長く集中した分布となっており、熟練した検査員であってもこの図からの欠陥の判別は困難であることがわかる。
この例では、データポイントi(i=1,2,…,n)に対応する生データを位置誤差修正し、5点平滑化処理している。この図から、生データの波形形状をそのまま残しながら、ノイズや擬似信号による微細な凹凸が除去されているのがわかる。
図7(d)は、図7(c)から作成したバタフライプロットである。このバタフライプロットは、原点Oを中心に円形に近い分布となっており、典型的なBx成分とBz成分に近い分布となっていることがわかる。
図7(e)は、ベクトル積算出ステップS24により作成したデータポイントに対応するベクトル積Aとの関係図である。この図において、ベクトル積Aは、外積ベクトル値である。
この図から、例えば、閾値を約10に設定することにより、データポイントの約30付近と70〜90に閾値を超える箇所があり、傷等が存在すると判別することが容易にできる。
以上の結果から、健全部では傷がないことを容易かつ確実に判別でき、また傷があう場合には、その傷を容易かつ確実に判別できることがわかる。
図9(a)は、探傷ステップS1で検出されたデータポイント(データポイント)と磁束密度BxとBzの生データとの関係図である。この例では、特にBz成分の上下動が大きく、欠陥の判別が非常に困難であることがわかる。
図9(b)は、図9(a)から作成した従来のバタフライプロットである。このバタフライプロットは、蝶が羽を広げたような広く広がった分布となっており、この場合もこの図からの欠陥の判別は困難であることがわかる。
この例では、データポイントi(i=1,2,…,n)に対応する生データを位置誤差修正し、5点平滑化処理している。この図から、生データの波形形状をそのまま残しながら、上下動が低減されているのがわかる。
図9(d)は、図9(c)から作成したバタフライプロットである。このバタフライプロットは、原点Oを中心に楕円に近い分布となっており、典型的なBx成分とBz成分とは若干相違する分布となっていることがわかる。
図9(e)は、ベクトル積算出ステップS24により作成したデータポイントに対応するベクトル積Aとの関係図である。この図において、ベクトル積Aは、外積ベクトル値である。
この図から、例えば、閾値を約20に設定することにより、データポイントの25〜35に閾値を超える箇所があり、傷等が存在すると判別することが容易にできる。
以上の結果から、健全部では傷がないことを容易かつ確実に判別でき、また傷があう場合には、その傷を容易かつ確実に判別できることがわかる。
図11(a)は、探傷ステップS1で検出されたデータポイント(データポイント)と磁束密度Bxの関係図(生データ)、図12(a)とデータポイントとBzの関係図(生データ)である。この例では、Bx成分、Bz成分の両方とも上下動が大きく、欠陥の判別が不可能であることがわかる。
図11(b)、図12(b)の下部の曲線(細線)は、本発明により作成したベクトル積Aのプロット図である。
また、その上の直線(細線)は、ベクトル積Aの閾値が、30であることを示している。
更に、その上の曲線(実線)は、ベクトル積Aが閾値30を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲(矢印で示す)の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示したものである。またこの場合、データポイント範囲以外の基準化データは、0としている。
その結果、本発明の装置及び方法は、平面上の傷に沿って検出する典型的な例に限定されず、被検体表面が湾曲している場合、被検体表面に溶接部がある場合、傷の方向に対し、直角又は斜めに検出する場合でも、容易かつ確実に傷等を判別できることが確認された。
特に、きずに直交してプローブを走査してBx信号とBz信号を取得し、この2つの信号を横軸にBz信号、縦軸にBx信号としてバタフライパターンをプロットし、このバタフライパターンがきずに平行にプローブ走査したバタフライパターンの中心点に対し点対称となる曲線を描くとき、きずを判定することができることが確認された。
またこの機能を生かすために、従来の時間ベースのデータ採取を、探傷距離ベースのデータ採取とするために、小型のエンコーダユニットを用いている。
さらにこれらのデータ表示を検査員にわかり易く表示する画面を用いている。
また、鉄道車両用の台車枠の検査部位及び検査履歴表示ソフトも組込んである。
3 交流磁場、4 交流誘導電流、
10 探傷プローブ、
11 プローブ先端部、12 交流磁場発生コイル、
13 Bx測定コイル、14 Bz測定コイル、
16 押釦スイッチ、16a スタートスイッチ、
16b ストップスイッチ、18 位置センサ、
18a 検出ローラ、18b 付勢装置、18c ロータリエンコーダ、
20 交流電磁場測定装置、21 フレキシブルコード、22 出力ケーブル、
30 データ解析装置、32 記憶装置、
34 演算装置、36 画像表示装置
Claims (13)
- 被検体表面のx軸方向に交流磁場を与えこれに直交する被検体表面のy軸方向に交流誘導電流を発生させる交流磁場発生コイルと、前記交流誘導電流により発生するx軸方向の磁束密度Bxを検出するBx測定コイルと、前記交流誘導電流により発生するz軸方向の磁束密度Bzを検出するBz測定コイルと、被検体表面に沿ってデータポイントを検出する位置センサとを有する探傷プローブと、
該探傷プローブに交流磁場を与え、前記磁束密度BxとBzを出力する交流電磁場測定装置と、
前記磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を検出するデータ解析装置と、を備え、
前記データ解析装置は、記憶装置と演算装置を有し、
該記憶装置により、探傷プローブで検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する前記磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶し、
前記演算装置により、交流磁場発生コイル、Bx測定コイル、及びBz測定コイルの位置誤差により前記生データを補正し、次いで前記データを一定範囲の移動平均を取り細かなリップルを取る平滑化処理をしかつ初めの信号値、母材無欠陥部の信号値、信号波形の高次近似曲線、一定範囲の移動平均値などを基準とする基準化処理した基準化データを作成し、
該基準化データからz−x平面上において原点Oから点(Bz、Bx)までの磁束密度ベクトルB(z,x)をデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応して設定し、
データポイントiとi+1に対応する磁束密度ベクトルB(z,x)のベクトル積Aを算出し、
該ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別する、ことを特徴とする交流電磁場測定法による探傷検査装置。 - 前記データ解析装置は、更に画像表示装置を有し、該画像表示装置により、
前記ベクトル積Aと、前記ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。 - 前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。 - 前記探傷プローブの位置センサは、被検体表面に接触してy軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な検出ローラと、該検出ローラを被検体表面に向けて伸縮可能に押付ける付勢装置と、検出ローラの回転量を検出するロータリエンコーダとからなる、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。
- 前記探傷プローブは、前記データポイントと磁束密度BxとBzの検出開始と検出終了を制御するための押釦スイッチを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。
- 前記探傷プローブは、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する構造のスイッチを有する、ことを特徴とする請求項1に記載の探傷検査装置。
- 被検体表面のx軸方向に交流磁場を与えこれに直交する被検体表面のy軸方向に交流誘導電流を発生させ、前記交流誘導電流により発生するx軸方向の磁束密度Bxとz軸方向の磁束密度Bzを被検体表面に沿ったデータポイントと共に検出する探傷ステップと、
前記磁束密度BxとBzをデータ解析して、被検体表面に存在する傷等の位置を検出するデータ解析ステップと、を備え、
前記データ解析ステップは、探傷プローブで検出したデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応する前記磁束密度BxとBzの生データを時系列的に記憶する生データ記憶ステップと、
交流磁場発生コイル、Bx測定コイル、及びBz測定コイルの位置誤差により前記生データを補正し、次いで前記データを一定範囲の移動平均を取り細かなリップルを取る平滑化処理をしかつ初めの信号値、母材無欠陥部の信号値、信号波形の高次近似曲線、一定範囲の移動平均値などを基準とする基準化処理した基準化データを作成する基準化データ作成ステップと、
該基準化データからz−x平面上において原点Oから点(Bz、Bx)までの磁束密度ベクトルB(z,x)をデータポイントi(i=1,2,…,n)に対応して設定するベクトル設定ステップと、
データポイントiとi+1に対応する磁束密度ベクトルB(z,x)のベクトル積Aを算出するベクトル積算出ステップと、
該ベクトル積Aが所定の閾値を超えるときに、傷等が存在すると判別する傷判別ステップと、を有することを特徴とする交流電磁場測定法による探傷検査方法。 - 前記データ解析ステップは、前記ベクトル積Aと、前記ベクトル積Aが所定の閾値を超えるデータポイントを含む所定のデータポイント範囲の基準化データを、データポイントi(i=1,2,…,n)との関係で表示する画像表示ステップを有する、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。
- 前記ベクトル積Aは、ベクトル外積値又は隣接する差分ベクトル内積値であり、
該ベクトル外積値を使用する場合はベクトルの方向(ベクトル外積値の正負)もきずの判定に使う、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。 - 被検体表面に接触してy軸方向の回転軸を中心に自由に回転可能な検出ローラを被検体表面に向けて伸縮可能に押付け、ロータリエンコーダにより検出ローラの回転量を検出する、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。
- 探傷プローブに取付けられた押釦スイッチにより、前記データポイントと磁束密度BxとBzの検出開始と検出終了を制御する、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。
- 探傷プローブに取付けられたスイッチにより、検出ローラが押し付けられたときに検出を開始し、検出ローラが離れたときに検出を終了する、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。
- きずに直交してプローブを走査してBx信号とBz信号を取得し、この2つの信号を横軸にBz信号、縦軸にBx信号としてバタフライパターンをプロットし、該バタフライパターンがきずに平行にプローブ走査したバタフライパターンの中心点に対し点対称となる曲線を描くとき、きずを判定する、ことを特徴とする請求項7に記載の探傷検査方法。
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