JP2021009091A - 金型異常検出装置及び金型異常検出方法 - Google Patents

金型異常検出装置及び金型異常検出方法 Download PDF

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Abstract

【課題】センサの調達コスト及び維持コスト、金型の加工コストが低減可能で且つ金型にセンサのための穴を穿ける必要がない金型異常検出技術を提供する。【解決手段】加工機械10は、金型異常検出装置40を備えている。この金型異常検出装置40は、1個の振動センサ41と、この振動センサ41からの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部42と、この計算部42で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部43とを備えている。【効果】1個の振動センサだけで、金型の異常を検出する。振動センサの必要数が最小であるため、振動センサの調達コストなどを低減することができる。振動センサは、金型の外面に接触するように取付けることができるため、金型にセンサ挿入用の穴を開ける必要はない。【選択図】図1

Description

本発明は、金型に発生が予想される異常を検出する装置及び方法に関する。なお、異常とは、割れ、変形、摩耗などの不具合の総称である。
金型を用いて金属製ワークに金属加工を施すことが、広く行われている。金型は丈夫な材料で構成されるが、繰り返し使用する過程で、割れなどの異常が発生することがある。この異常は製品不良として現れることは周知である。しかし、製品不良となって現れるまでには、金型の異常は相当程度進行している。加えて、不良品も相当数発生する。
異常が軽微な時点で発見されれば、不良品の発生数を少なくすることができると共に金型の修理も容易となる。
そこで、金型の異常を検出する技術が、各種提案されている(例えば、特許文献1(図2、図8)参照)。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図10は従来の加工機械及び金型割れ検出装置の原理図である。
図10(a)に示すように、加工機械100は、下型101と、この下型101に対して上下動する上型102と、下型101と上型102とで挟持される金属管103内のキャビティ104へ高圧の液体を注入する液体注入手段105と、キャビティ104に一端が臨むように下型101と上型102との間に嵌められている軸押し具106と、これらの軸押し具106を前進又は後進させる軸押し手段107とを備えている。
液体注入手段105でキャビティ104へ高圧の液体を注入し、次に軸押し具106を前進させると、金属管103は内径が増加するように膨らむ。この膨らみは下型101及び上型102に当たるまで継続される。結果、金属管103は、下型101及び上型102に倣った形状に成形される。
このときに、下型101及び上型102に大きな力が加わる。この大きな力が繰り返し加わるため、繰り返し回数が一定値を超えると、下型101及び上型102の一方又は両方に割れが発生することがある。
図10(b)は、図10(a)のb−b線断面図であり、図10(b)に示すように、下型101に、2本の縦穴111と2本の横穴112が穿けられている。
図10(c)は、図10(b)のc部拡大図であり、図10(c)に示すように、下型101のコーナーの近傍まで、縦穴111及び横穴112が穿けられている。縦穴111に線状の歪センサ(図10(a)、符号113)が差し込まれ、横穴112に歪センサ(図10(a)、符号113)が差し込まれる。
下型101において、割れが発生する前に、歪みや応力が急増する。
対策として、図10(a)で、歪センサ113から歪情報を制御部114へ、常時取得し、制御部114内の金型割れ検知部115で割れの有無を監視し、割れの発生を事前に検知するというものである。
ところで、図10(b)の断面は、図10(a)に示す下型101で3箇所現れ、上型102で3箇所現れる。1断面当たり4本の歪センサ113が差し込まれる。すると、図10(a)に示す加工機械100には、4本×(3箇所+3箇所)=24本の計算により、合計24本の歪センサ113が備えられる。
なお、隣り合う2本の歪センサ113の中間で割れが発生する可能性があるため、検出精度を維持する上で、歪センサ113の本数を減らすことは困難であり、上述の24本は妥当な本数と思われる。
特許文献1に開示される技術には、割れが発生する前に割れの発生を予測することが可能であると言う利点があるが、次に述べる欠点もある。
先ず、歪センサ113の本数が多いため、歪センサ113の調達コストが嵩む。加えて、歪センサ113は、断線等の不具合が一定の確率で発生するため、定期的又は随時、点検が必要である。本数が多いため、歪センサ113の維持コストが嵩む。
次に、金型に12本もの縦穴111と、12本もの横穴112を穿けるため、穴加工費用が嵩む。加えて、金型に多くの縦穴111や横穴112を穿けるため、下型101や上型102は、強度が低下する。縦穴111や横穴112が、亀裂の起点になりやすい。
諸コストの削減が求められる中、センサの調達コスト及び維持コスト、金型の加工コストが低減可能な金型割れ検出装置が望まれる。
加えて、金型にセンサのための穴を穿ける必要がない金型割れ検出装置が望まれる。
特開2007−275967号公報
本発明は、センサの調達コスト及び維持コスト、金型の加工コストが低減可能で且つ金型にセンサのための穴を穿ける必要がない金型異常検出技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、第1型と第2型とを有する金型を備え、この金型でワークに金属加工を施す加工機械に付属され、前記金型に発生する異常を加工作業中に検出する金型異常検出装置であって、
この金型異常検出装置は、前記加工機械の構成要素に取付けられ振動を検出する振動センサと、この振動センサからの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部と、この計算部で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部とを備え、
前記計算部では、前記振動情報から得た波形曲線に加工時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の金型異常検出装置であって、
前記第1型に対して前記第2型は直線的に移動され、
前記振動センサは、それの軸が前記第2型の移動方向に沿うようにして取付けられていることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項2記載の金型異常検出装置であって、
前記計算部では、前記ワーク1枚を加工して得られる前記振動情報のうち、それの一部を用いて前記マハラノビスの距離の計算を実施することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、第1型と第2型とを有する金型を備え、この金型でワークに金属加工を施す加工機械に付属され、前記金型に発生する異常を加工作業中に検出する金型異常検出方法であって、
前記加工機械の構成要素に発生する振動を検出する工程と、
検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程と、
計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程と、からなり、
前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記振動情報から得た波形曲線に加工時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項4記載の金型異常検出方法であって、
前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記ワーク1枚を加工して得られる前記振動情報のうち、それの一部を用いて前記マハラノビスの距離の計算を実施することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、1個の振動センサだけで、金型の異常を検出する。振動センサの必要数が最小であるため、振動センサの調達コストなどを低減することができる。
振動センサは、金型の外面に接触するように取付けることができるため、金型にセンサ挿入用の穴を開ける必要はない。
よって、本発明により、センサの調達コスト及び維持コスト、金型の加工コストが低減可能で且つ金型にセンサのための穴を穿ける必要がない金型異常検出技術が提供される。
請求項2に係る発明では、振動センサは、第2型の移動方向に沿うようにして取付けられる。振動は、第2型の移動方向で顕著となるため、振動センサを第2型の移動方向に沿って取付けることにより、振動の検出精度を高めることができる。検出精度を高めることで、割れなどの異常が軽微であっても、異常検出が可能となる。
請求項3に係る発明では、計算部は、ワーク1枚を加工して得られる振動情報のうち、それの一部を用いてマハラノビスの距離の計算を実施する。振動情報の全部を用いて計算させることに比較して、一部を用いて計算させることとで、計算部の負担を軽減することができ、計算部の低コスト化が図れる。
請求項4に係る発明では、請求項1と同様に、1個の振動センサだけで、金型の異常を検出する。振動センサの必要数が最小であるため、振動センサの調達コストなどを低減することができる。
振動センサは、金型の外面に接触するように取付けることができるため、金型にセンサ挿入用の穴を開ける必要はない。
よって、本発明により、センサの調達コスト及び維持コスト、金型の加工コストが低減可能で且つ金型にセンサのための穴を穿ける必要がない金型異常検出技術が提供される。
請求項5に係る発明では、請求項3と同様に、計算部は、ワーク1枚を加工して得られる振動情報のうち、それの一部を用いてマハラノビスの距離の計算を実施する。振動情報の全部を用いて計算させることに比較して、一部を用いて計算させることとで、計算部の負担を軽減することができ、計算部の低コスト化が図れる。
本発明に係る加工機械の原理図である。 (a)はワーク1枚につき得られた振動波形図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。 (a)は図2(b)に示す振動波形の一部の模式図であり、(b)は絶対値化した図であり、(c)は振動の平均値を説明する図である。 比較例であって、振動の平均の波形図である。 MD値を計算するときに用いる変化量と存在量を説明する図であり、(a)は比較例を示し、(b)は実施例を示す。 振動情報の一部を使用することを説明する図である。 本発明に基づいて作成したMD値のグラフである。 振動センサの取付け位置を説明する図である。 本発明の金型異常検出方法に係るフロー図である。 (a)は従来の加工機械及び金型割れ検出装置の原理図であり、(b)は(a)のb−b線断面図であり、(c)は(b)のc部拡大図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示すように、加工機械10は、例えば、ベッド11と、このベッド11に立てられた一対のコラム12と、これらのコラム12の上端を繋ぐクラウン13と、このクラウン13の下方に配置され一対のコラム12に渡されるカム軸14と、このカム軸14を回す回転手段15と、カム軸14で昇降される連結ロッド16と、一対のコラム12間に配置されワーク31へ金属加工を施す金型20と、ワーク31を支えるワーク支持台32と、このワーク支持台32を直線的に移動する移動手段33とを備えている。
なお、加工機械10は、連結ロッド16が鉛直に配置される竪型機械の他、連結ロッド16が水平に配置される横型機械の何れであってもよい。
金型20は、下型(固定型)に相当する第1型21と、上型(可動型)に相当する第2型22とからなる。
第1型21は、例えば、ダイ23と、このダイ23を支えるダイホルダ24とからなり、ベッド11に載せられる。
第2型22は、例えば、パンチ25と、このパンチ25を支えるパンチホルダ26とからなる。この例では、パンチホルダ26が、連結ロッド16を介してカム軸14に連結される。
パンチホルダ26は、コラム12に設けたガイド17で案内される。ガイド17は、サイドガイドであり、パンチホルダ26の上下動を許容するが、水平動は抑制する。
図1において、パンチ25の移動軸に平行な軸をz軸、ワーク31の移動軸に平行な軸をx軸と呼ぶことにする。
ワーク31を静止させておき、パンチ25を下げると、ワーク31に穴を開けることができる。次に、パンチ25を上げる。続いて、ワーク31を一定距離移動する。移動後に、パンチ25を下げる。以上を繰り返すことで、金属薄板状のワーク31に、所定ピッチで穴を開けることができる。
このような構成の加工機械10は、金型異常検出装置40を備えている。
この金型異常検出装置40は、加工機械10の構成要素(構成要素には、金型20を含める。この例では、ダイホルダ24の底面)に取付けられ振動を検出する振動センサ41と、この振動センサ41からの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部42と、この計算部42で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部43と、この判定部43がマハラノビスの距離は判定値以上であると判定したときに異常を表示する異常表示部44とを備えている。
振動センサ41は、1軸加速度ピックアップが小型で安価であるため好適であるが、種類や形式は問わない。
以上に述べた加工機械10を用いて、次に述べる実験を実施した。
実験:
・ワーク:厚さ2mm×幅25mmの帯鋼板
・ダイ:合金工具鋼SKD11(真空焼入れ)、HRC(ロックウエルCスケール硬さ)60〜63
・ダイホルダ:機械構造用炭素鋼S50C(焼入れ、焼戻し)
・パンチ:粉末ハイス鋼(焼入れ、焼戻し)、HRC64〜67
・パンチホルダ:機械構造用炭素鋼S50C(焼入れ、焼戻し)
・ワーク1枚当たりの穴の数:第1穴〜第24穴からなる24個
・ワーク1枚当たりの加工時間:18.5秒
・サンプリング周波数:2kHz
得られた振動波形を、図2に基づいて説明する。
図2(a)に示すように、18.5秒の間に、ワークに24個の穴を開けたため、第1穴〜第24穴に対応する波形図が得られた。
図2(b)は、第11穴の拡大図(縦軸は据え置きで、横軸を延ばした。)であり、図中、A点で下降中のパンチがワークに当たり、パンチが突き抜ける。このときに、穴の縁は摩擦力でパンチと同方向に下がる。この下がりが一定以上になるとスプリングバック力が摩擦力を超える。超えるとワークの縁が跳ね上がる。跳ね上がると摩擦力でワークの縁が下げられる。極く短い時間のなかで、ワークの縁が上下動する。
下死点から上死点に向かうときも、同様に、極く短い時間のなかで、ワークの縁が上下動する。結果、A点とB点との間に、大きな振幅の振動が発生する。B点の外は、ワークの移動に伴って僅かな振動が検出される。
本発明と対比するために、振動に基づいて金型異常が検出できるか否かを検証する。この検証には「振動の平均値」を使用する。この「振動の平均値」の求め方を、図3に基づいて説明する。
図3(a)は、図2(b)に示す振動波形の一部を、模式図化したものである。このままで合計値を求めようとすると、横軸より上の(+)波と、下の(−)波とが差し引きされて好ましくない。対策として、絶対値化処理を施す。すなわち、横軸より下の波形を、横軸に沿って折り返す。
図3(b)は、絶対値化した後の波形図を示す。この波形図では6個の山がある。各山の高さ(振動の大きさ)を合計し、6で割ることで、「6山の平均」を算出することができる。
この手法を、図2(a)の第1穴〜第24穴に対応する振動に適用する。ただし、計算部の負担を軽減するために、ここでは、第9穴〜第16穴に対応する振動を対象として、振動の平均値を計算する。
すなわち、図3(c)に示すように、第9穴〜第16穴における「振動の平均値」を得る。
図4は、比較例としての振動波形図であり、横軸のワーク1枚当たり1個の振動の平均値(図3(c)に示す平均値)が表示される。すなわち、横軸が0〜900であるため、900個の「振動の平均値」で波形が構成されている。
実験担当者は、横軸のD点で異常に気づき、加工機械10を止めた。異常を調べたところ、ダイ23が割れていた。そこで、ダイ23を交換した。
記録を調べると、D点より前の時点であるC点で振動が急増していた。
C点で発生するような大きな振動を検出することにより、金型異常が検出できそうである。しかし、次の述べる問題があることが判明した。
すなわち、ダイ23を交換して、加工を再開した後に、E点のような比較的大きな振動が発生した。この要因は幾つか考えられるが、前のダイ23と次のダイ23とに、僅かではあるが寸法に差がある。この差のために、E点のような比較的大きな振動が発生したと推測される。
C点における振動の平均値の大きさをhc、E点における振動の平均値の大きさをheとすると、hc:he=1.4:1.0であった。hcとheとに期待した程の差が無い。このことは次に述べる新たな問題を引き起こす。
仮に、異常判定の判定値を、hcより若干小さい判定値Fに設定した場合、発生する異常が軽微であれば、hcは小さくなり、異常の検出洩れや検出遅れという不具合が発生する。
対策として、判定値を、heより若干大きい判定値Gに設定した場合、交換後の金型によっては、heが大きくなり、異常が無くとも異常有りとの誤検出が発生する。
以上のことから、振動による金型異常検出は、信頼性の点で難があり、採用できない。
本発明者らは、信頼性を高める研究をする中で、MT法(マハラノビス・タグチ法)を採用することで、満足な結果を得ることに成功した。以下、その詳細を説明する。
満足な結果を得るために、本発明ではMD値(マハラノビスの距離)を使用する。
MD値は、変化量や存在値を、MT法計算式により計算することで得られる。変化量や存在値については、図5で説明する。MT法計算式は周知であるため、その数式及び計算については説明を省略する。
図5(a)に比較例を示す。
図5(a)では、横軸に時間、縦軸に振動を取った上で、振動値51をプロットする。この振動値51はデジタル値である。MT(マハラノビス・タグチ法)では、適当な標本線52を横軸(時間軸)に平行に引く。そして、標準的な手法では、標本線52より上に存在する振動値51の個数を存在量とする。第1の山53における点の数は5であり、第2の山54の点の数は7であり、第3の山55の点の数は3である。5+7+3=15の計算により、存在量は15となる。
加工時間軸に平行に引かれた標本線52は、第1の山53、第2の山54、第3の山55で区切られている。
仮に、第1の山53で区切られた標本線52の線分をm1とする。なお、線分は、有限長さの線であって、無限長さの線とは異なる。線分m1の単位は、加工時間である。
この線分m1の長短は、金具に与えられるダメージに大きな影響を及ぼすことが想定される。しかし、図5(a)で述べた比較例では、単に振動の大小のみを考慮しているだけであり、線分m1を正確に考慮していない。本発明者らは、この点に注目した。
そこで、本発明者らは、線分m1を考慮することで、MD値の信頼性を高めることができることを知見した。
図5(b)は実施例である。
点で与えられていた振動値(図5(a)、符号51)を滑らかな曲線で結ぶことにより、図5(b)に示す波形曲線56を得た。そして、この波形曲線56と標本線52とが交わる交点57の数(この例では6)を、変化量とした。
加えて、第1の山53の線分m1、第2の山54の線分m2、第3の山55の線分m3の和(m1+m2+m3)を存在量とした。
本発明では、変化量と存在量に基づいてMD値を計算する。
なお、標本線27や波形曲線56は、理解を促すために図形で説明したが、コンピュータ(計算部)内では仮想的な線であることは言うまでもない。交点57や線分m1〜m3も仮想的な点や線である。
MD値はワーク1枚毎に計算するが、計算部の負担を軽減するために、好ましくは、次に述べる対策を講じる。
図6は図2(a)に手を加えた図であり、第1穴〜第24穴を3つに分けて、第1穴〜第8穴を第1非計算領域とし、第9穴〜第16穴をMD値計算領域とし、第17穴〜第24穴を第2非計算領域とする。
MD値計算領域で計算し、第1非計算領域及び第2非計算領域では計算を行わない。そのため、計算部の負担を1/3に軽減することができる。
なお、MT法計算領域は、任意の箇所に設定することは差し支えない。
図5(b)及び図6に基づいて、MD値を計算した。計算結果を、図7に基づいて説明する。
図7に示すように、横軸に示すワークの数が0〜500の範囲でのMD値は、10以下であり、500を超えた最初のピーク(H点)でのMD値は、1000程度、次のピーク(J点)でのMD値は、10000程度であった。実験担当者は、異常に気づきJ点で加工機械を止めた。そして、ダイを交換し、加工を再開した。再開後のピークはK点であった。このK点におけるMD値hgは、10以下であった。また、J点より前のH点でMD値が急増した。J点で、ダイに割れが発生したと思われる。
H点でのMD値hfは、1000程度であった。
hf:hg=1000:10であり、1000:10=100:1の計算により、hfはhgの少なくとも100倍であって、hfとhgの差は極めて大きい。
そこで、例えば縦軸で20のところに判定値Lを設定する。
すると、H点で金型異常を検出し、警報を発すると共に直ちに加工機械を止めことができる。止めることにより、不良品の発生を最小限度に止めることができる。
本発明者らが検証したところ、図1に示すパンチ25に欠けや摩耗が発生すると、図7に類似した波形図が得られた。また、図1に示すパンチホルダ26に変形や亀裂が発生したり、ダイホルダ24に変形や亀裂が発生しても同様であった。さらには、ベッド11やコラム12に変形が発生したときも異常が検出できた。
したがって、本発明によれば、1個の振動センサ41を備えるだけで、ダイ23、パンチ25、ダイホルダ24、パンチホルダ26はもとより、加工機械10の異常を検出できる。
ただし、異常の部位は、検出できない。しかし、異常があることを前提として、金型20を調べ、金型20に異常が無ければ加工機械10を調べることにより、異常部位は容易に特定される。
図1では、振動センサ41は、ダイホルダ24の底面に取付けたが、その他の箇所に取付けることもできる。その具体例を図8に基づいて説明する。
図8に示すように、振動センサ41B(B〜Fは部位を区別するための添え字である。)を、ダイ23に取付けてもよい。また、振動センサ41Cをダイホルダ24の側面に取付けてもよい。また、振動センサ41Dをパンチホルダ26の上面に取付けてもよい。また、振動センサ41Eをパンチホルダ26の側面に取付けてもよい。
さらには、振動センサ41Fをコラム12に取付けてもよい。
ただし、振動はz軸に沿って顕著に発生するため、振動センサの軸がz軸に沿っていることが望まれる。したがって、振動センサ41(図1)、振動センサ41B、振動センサ41Dの取付け姿勢が推奨される。
また、金属加工は、実施例で説明した穴開け加工に限定されるものではなく、金属薄板を曲げる曲げ加工、金属薄板を絞る絞り加工、金属薄板を切断する切断加工、金属薄板を平坦にするレベリング加工、金属塊を鍛造する型鍛造加工など、任意である。
1個の金型(又はツール)で1枚(個)のワークを、複数回加工する場合と、1回だけ加工する場合とを検討する。
複数回加工する場合は、複数回のすべて、または一部の回を抜き出して、これの振動情報をMD値計算領域とすることができる。
1回のみ加工する場合は、ワーク1枚(個)ごとに振動情報を取得し、この振動情報の一部を抜き出してMD値計算領域としてもよい。または、1回のみ加工する場合、複数個のワークを対象とし、これらのうち一部のワークに対する振動情報を抜き出してMD計算値領域としてもよい。
次に、金型異常検出方法を、図9に基づいて説明する。
図9のST(ステップ番号)01で、加工機械に振動センサを取付ける。
ST02で、判定値MDbを読み込む。
次に、金属加工を開始し(ST03)、ワーク1枚毎にMD値を計算し(ST04)、計算で得られたMDcalが判定値MDb以上であるか否かを判定する(ST05)。
MDcalが判定値MDb未満であれば、ST04に戻って加工を継続する。なお、休憩などで作業を中断するときや人為的に作業を終えるときは、ST06によりこのフローを終える。
ST05で、MDcalが判定値MDb以上と判定されたときには、異常表示を行う(ST07)。
異常表示と共に加工を中止することは差し支えないが、好ましくは、そのワークの加工が終了するまで待つ(ST08)。
そのワークの加工が終了したら、加工を停止し(ST09)、金型を交換し(ST10)、作業を継続するときにはST03に戻る(ST11)。
すなわち、本発明に係る工具寿命検出方法は、次に述べる工程からなる。
加工機械の構成要素に発生する振動を検出する工程(ST01〜ST03)と、検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程(ST04)と、計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程(ST05)と、からなる。
そして、マハラノビスの距離を計算する工程では、振動情報から得た波形曲線に加工時間軸に平行な標本線を引き、波形曲線と標本線とが交わった交点の数を変化量とし、波形曲線で区切られた標本線の線分の和を存在量とし、変化量及び存在量をマハラノビスの距離の計算に供する。
なお、このフローは、好適な一例を説明したものであり、適宜変更することは差し支えない。
本発明は、加工機械に付属する金型異常検出装置及び金型異常検出方法に好適である。
10…加工機械、20…金型、21…第1型、22…第2型、31…ワーク、40…金型異常検出装置、41…振動センサ、42…計算部、43…判定部、44…異常表示部、52…標本線、56…波形曲線、57…交点。

Claims (5)

  1. 第1型と第2型とを有する金型を備え、この金型でワークに金属加工を施す加工機械に付属され、前記金型に発生する異常を加工作業中に検出する金型異常検出装置であって、
    この金型異常検出装置は、前記加工機械の構成要素に取付けられ振動を検出する振動センサと、この振動センサからの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部と、この計算部で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部とを備え、
    前記計算部では、前記振動情報から得た波形曲線に加工時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供することを特徴とする金型異常検出装置。
  2. 請求項1記載の金型異常検出装置であって、
    前記第1型に対して前記第2型は直線的に移動され、
    前記振動センサは、それの軸が前記第2型の移動方向に沿うようにして取付けられていることを特徴とする金型異常検出装置。
  3. 請求項2記載の金型異常検出装置であって、
    前記計算部では、前記ワーク1枚を加工して得られる前記振動情報のうち、それの一部を用いて前記マハラノビスの距離の計算を実施することを特徴とする金型異常検出装置。
  4. 第1型と第2型とを有する金型を備え、この金型でワークに金属加工を施す加工機械に付属され、前記金型に発生する異常を加工作業中に検出する金型異常検出方法であって、
    前記加工機械の構成要素に発生する振動を検出する工程と、
    検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程と、
    計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程と、からなり、
    前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記振動情報から得た波形曲線に加工時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供することを特徴とする金型異常検出方法。
  5. 請求項4記載の金型異常検出方法であって、
    前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記ワーク1枚を加工して得られる前記振動情報のうち、それの一部を用いて前記マハラノビスの距離の計算を実施することを特徴とする金型異常検出方法。
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