JP6788137B1 - 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法 - Google Patents

検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6788137B1
JP6788137B1 JP2020050477A JP2020050477A JP6788137B1 JP 6788137 B1 JP6788137 B1 JP 6788137B1 JP 2020050477 A JP2020050477 A JP 2020050477A JP 2020050477 A JP2020050477 A JP 2020050477A JP 6788137 B1 JP6788137 B1 JP 6788137B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
abnormality
inspection object
value
amount
vibration
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2020050477A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021148677A (ja
Inventor
剛士 石澤
剛士 石澤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tanaka Seimitsu Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tanaka Seimitsu Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tanaka Seimitsu Kogyo Co Ltd filed Critical Tanaka Seimitsu Kogyo Co Ltd
Priority to JP2020050477A priority Critical patent/JP6788137B1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6788137B1 publication Critical patent/JP6788137B1/ja
Publication of JP2021148677A publication Critical patent/JP2021148677A/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Mechanical Vibrations Or Ultrasonic Waves (AREA)

Abstract

【課題】正常時のMD値に対して異常時のMD値をより大きくすることができる技術を提供する。【解決手段】図(c)に示すように、標本線L4においては、この標本線L4の上に波形Aの全てが存在するにも拘らず、斜線が施されてはいない。すなわち、標本線L4に波形Aが交わらずに、変化量がゼロとなるときは、存在量はゼロとすることにした。【選択図】図5

Description

本発明は、検査対象物の異常検出技術に関する。
マハラノビスの距離を用いて、機器又は装置に発生する異常を検出する異常検出技術が、各種実用に供されている(例えば、特許文献1(図4、表1)参照)。
特許文献1に開示される技術は、調節弁の漏洩診断技術である。調節弁では、弁ハウジングに弁体を内蔵し、この弁体で流路を開閉する。弁体から弁棒(ステム)が弁ハウジングの外まで延ばされる。弁棒は弁ハウジングの外に置かれたアクチュエータに連結される。アクチュエータにより弁棒が上下し、弁体が上下して流路を開閉する。
弁ハウジングと弁棒との間にグランドパッキンが詰められ、弁ハウジング内の流体が外へ漏れないようにする。弁棒が上下するため、グランドパッキンは徐々に摩耗する。この摩耗が一定量を超えると、流体が弁ハウジングの外へ漏れ始める。
グランドパッキンが健全であれば、弁棒(ステム)に所定の摩擦抵抗力が加わる。グランドパッキンが摩耗すると、摩擦抵抗力は減少する。摩擦抵抗力の減少が顕著であると漏れが発生すると考えられる。
そこで、特許文献1では、摩擦抵抗力へ変化を監視することで、弁の漏洩診断を行う。摩擦抵抗力をシール力とみなし、このシール力をロードセルで計測し、この計測値に基づいて計算をし、漏洩診断を行う。
特許文献1の技術を次図に基づいて説明する。
図15は従来の技術の基本原理を説明する図であり、(a)は特許文献1の図4とほぼ同じ波形図であり、(b)は比較検討のために特許文献1の図4を加工した波形図である。波形図の横軸は時間軸であり、縦軸はシール力軸である。
特許文献1では、微分特性に係る特徴量1〜7と、積分特性に係る特徴量8〜14とに基づいてマハラノビスの距離が演算される。特徴量1と特徴量8は検出ラインL1で規定され、特徴量2と特徴量9は検出ラインL2で規定され、その他の特徴量も同様に規定される。
図15(a)の波形FWでは、検出ラインL1との交点が0であるため、特徴量1は「0」となる。検出ラインL2との交点は2個であるため特徴量2は「2」となる。検出ラインL6との交点は2個であるため特徴量2は「2」となり、検出ラインL7との交点が0であるため特徴量7は「2」となる。
特許文献1の表1を参照すると、特徴量8の最大値は「9.0」である。
図15(a)において、tsは9.0となる。検出ラインL1に係る特徴量8は「9.0」となる。検出ラインL1の斜線長さと他の検出ラインの斜線長さを比較して、他の検出ラインに係る特徴量を推定する。
検出ラインL2に斜線を施した長さは最大の約73%であったため、ここでの特徴量は、9.0×0.73の計算により約「6.5」となる。
検出ラインL6に斜線を施した長さは最大の約11%であったため、ここでの特徴量は、9.0×0.11の計算により約「1.0」となる。
検出ラインL7に斜線を施した長さは最大の約5.5%であったため、ここでの特徴量は、9.0×0.055の計算により約「0.5」となる。
以上を纏めると「表1」のようになる。
Figure 0006788137
すなわち、m番目の周期mの特徴量1〜特徴量7及び特徴量8〜特徴量14が表記される。
特許文献1では、周期m〜周期(m+13)の14周期について、平均値、標準偏差を求め、マハラノビスの距離(以下、MD値という)を求める。この表1からMD値(m)が得られたとする。なお、表1において、記載を省略した周期(m+1)〜周期(m+13)での特徴量1のばらつきは大きくない。特徴量2〜特徴量14についてもばらつきは大きくない。
ところで、バルブの開閉を繰り返すと、ある時点からグランドパッキンのシール力が減少する。
減少したシール力の波形をFWnとして、図15(b)に示す。この波形FWnは波形FWよりも波の高さが小さくなっている。
この波形FWnによる特徴量1は「0」、特徴量2は「0」、特徴量6は「2」、特徴量7は「0」である。
特徴量8〜特徴量14は、斜線の長さによる。
検出ラインL1に係る特徴量8は「9.0」である。
検出ラインL2に係る特徴量9も「9.0」である。
検出ラインL6に係る特徴量13は「1.0」である。
検出ラインL7に係る特徴量14は「0」である。
以上を纏めると「表2」のようになる。
Figure 0006788137
すなわち、n番目の周期nの特徴量1〜特徴量7及び特徴量8〜特徴量14が表記される。
周期n〜周期(n+13)の14周期について、平均値、標準偏差を求め、MD値を求める。この表2からMD値(n)が得られたとする。なお、表2において、記載を省略した周期(n+1)〜周期(n+13)での特徴量1のばらつきは大きくない。特徴量2〜特徴量14についてもばらつきは大きくない。
図15(a)に示す波形FWと図15(b)に示す波形FWnとは波の大きさでは、十分な差が認められる。
対して、表1に示す特徴量1〜14と表2に示す特徴量1〜14には大差がなく、結果として、表1から得られるMD値(m)と表2から得られるMD値(n)の差は期待したほど大きくならない。
表1から得られるMD値(m)を正常時のMD値(m)、表2から得られるMD値(n)を異常時のMD値(n)と読み替える。
異常判定に供する判定値は、正常時のMD値(m)と異常時のMD値(n)との間に設定する。
しかし、正常時のMD値(m)と異常時のMD値(n)との差が大きくないときには、判定値は、小さめに設定される。判定値が小さいと、正常であっても異常と判定することがあり、判定の信頼性が低下する。
判定の信頼性を高めるために、正常時のMD値(m)に対して異常時のMD値(n)をより大きくすることが望まれる。
特開2010−159798号公報
本発明は、正常時のMD値に対して異常時のMD値をより大きくすることができる技術を提供することを課題とする。
本発明者は、上記表1に示される周期mでの特徴量8「9.0」、特徴量9「6.5」と上記表2に示される周期nでの特徴量8「9.0」、特徴量9「9.0」とが近似していることに着目した。
この点に基づいて試行・検討する中で、上記表2に示される周期nでの特徴量8及び特徴量9を「0」にして、試算してみた。すると、正常時のMD値に対して異常時のMD値が格段に大きくなった。この知見に基づいて、検証した結果、この手法が実用に耐え得ることが確認できた。
以上により、本発明は次のように纏めることができる。
請求項1に係る発明は、固定部と、この固定部に対して相対的に移動する可動部とを含む検査対象物に発生する異常を検出する検査対象物の異常検出装置であり、
この異常検出装置は、前記検査対象物に取付けられ振動を検出する振動センサと、この振動センサからの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部と、この計算部で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部とを備え、
前記計算部では、前記振動情報から得た波形曲線に時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出装置であって、
前記存在量は、当該標本線より上に存在する前記波形曲線に基づいて計算され、前記変化量がゼロでないときは、前記波形曲線で区切られた当該標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量がゼロであるときは、前記存在量はゼロとすることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1記載の検査対象物の異常検出装置であって、
前記波形曲線は、前記時間軸がX軸で、振動値がY軸とされるXY面に描かれ、
前記計算部は、
異常時に前記振動値がマイナス側よりもプラス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、マイナス側の標本線の数よりもプラス側の標本線の数を増すようにし、
異常時に前記振動値がプラス側よりもマイナス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、プラス側の標本線の数よりもマイナス側の標本線の数を増すようにすることを特徴とする。
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
検査対象物は工作機械であり、前記固定部と前記可動部の一方が切削工具であり、他方が被切削材であり、前記切削工具に発生する異常を検出することを特徴とする。
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
検査対象物は電動モータであり、前記固定部はステータ及びモータケースであり、前記可動部はロータ及びモータ軸であることを特徴とする。
請求項5に係る発明は、請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
検査対象物は内燃機関であり、前記固定部はシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記可動部はピストン及びクランク軸であることを特徴とする。
請求項6に係る発明は、固定部と、この固定部に対して相対的に移動する可動部とを含む検査対象物に発生する異常を検出する検査対象物の異常検出方法であり、
前記固定部に発生する振動を検出する工程と、
検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程と、
計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程と、からなり、
前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記振動情報から得た波形曲線に時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出方法であって、
前記存在量は、当該標本線より上に存在する前記波形曲線に基づいて計算され、前記変化量がゼロでないときは、前記波形曲線で区切られた当該標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量がゼロであるときは、前記存在量はゼロとすることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、請求項6記載の検査対象物の異常検出方法であって、
前記波形曲線は、前記時間軸がX軸で、振動値がY軸とされるXY面に描かれ、
前記計算部は、
異常時に前記振動値がマイナス側よりもプラス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、マイナス側の標本線の数よりもプラス側の標本線の数を増すようにし、
異常時に前記振動値がプラス側よりもマイナス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、プラス側の標本線の数よりもマイナス側の標本線の数を増すようにすることを特徴とする。
請求項8に係る発明は、請求項7記載の検査対象物の異常検出方法であって、
前記偏り情報は、欠陥を有する検査対象物に、前記振動を検出する工程を実施し、得られた振動値に基づいて決定することを特徴とする。
請求項1に係る発明では、変化量及び存在量をマハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出装置において、存在量は、当該標本線より上に存在する波形曲線に基づいて計算され、変化量がゼロであるときは、存在量はゼロとする。
変化量がゼロであるときは、存在量はゼロとすると、正常時のMD値に比べて異常時のMD値が著しく大きくなる。
すなわち、本発明により、正常時のMD値に対して異常時のMD値をより大きくすることができる技術が提供される。
X軸が時間軸で、Y軸が振動値の軸であるXY面に振動の波形曲線が描かれ、X軸に平行に複数本の標本線を引くとき、一般に、プラス側の標本線の数とマイナス側の標本線の数を合わせる。
対して、請求項2に係る発明では、プラス側の標本線の数とマイナス側の標本線の数を異ならせる。異常時に波の高さが大きくなる方の数を多くする。これにより、異常時のMD値をより大きくすることができる。
請求項3に係る発明では、検査対象物を工作機械とした。切削工具の異常を、従来よりも早期に検出することができる。
請求項4に係る発明では、検査対象物を電動モータとした。電動モータは各種の用途に供され、その数は膨大である。本発明によれば、電動モータの異常を、従来よりも早期に検出することができる。
請求項5に係る発明では、検査対象物を内燃機関とした。内燃機関は車両等に搭載され、その数は膨大である。本発明によれば、内燃機関の異常を、従来よりも早期に検出することができる。
請求項6に係る発明では、請求項1と同様に、変化量及び存在量をマハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出装置において、存在量は、当該標本線より上に存在する波形曲線に基づいて計算され、変化量がゼロであるときは、存在量はゼロとする。
変化量がゼロであるときは、存在量はゼロとすると、正常時のMD値に比べて異常時のMD値が著しく大きくなる。
すなわち、本発明により、正常時のMD値に対して異常時のMD値をより大きくすることができる技術が提供される。
請求項7に係る発明では、請求項2と同様に、プラス側の標本線の数とマイナス側の標本線の数を異ならせる。異常時に波の高さが大きくなる方の数を多くする。これにより、異常時のMD値をより大きくすることができる。
請求項8に係る発明では、欠陥を有する検査対象物を準備し、この欠陥を有する検査対象物に振動を検出する工程を実施して、偏り情報を得る。
工程数が増えるものの、信頼性の高い偏り情報が、容易に得られる。
本発明に係る異常検出装置を備えた工作機械の原理図(平面図)である。 切削工具における振動の波形図である。 比較例1に対応する模式図であり、(a)は波形Aを示す波形図、(b)は変化量を説明する図、(c)は存在量を説明する図である。 比較例1に対応する模式図であり、(a)は波形Bを示す波形図、(b)は変化量を説明する図、(c)は存在量を説明する図である。 実施例1に対応する模式図であり、(a)は波形Aを示す波形図、(b)は変化量を説明する図、(c)は存在量を説明する図である。 実施例1に対応する模式図であり、(a)は波形Bを示す波形図、(b)は変化量を説明する図、(c)は存在量を説明する図である。 (a)は正常時の波形図、(b)は異常時の波形図である。 被切削材の個数とMD値の相関を調べたときのグラフである。 変更例を説明する模式図であり、(a)は変化量を説明する模式図、(b)は存在量を説明する模式図である。 変更例により、被切削材の個数とMD値の相関を調べたときのグラフである。 本発明に係る異常検出装置を備えたピアスパンチ装置の正面図である。 本発明に係る異常検出装置を備えた電動モータの原理図である。 本発明に係る異常検出装置を備えた内燃機関の原理図である。 本発明に係る異常検出方法を説明するフロー図である。 従来の技術を説明する図であり、(a)は波形図であり、(b)は(a)よりも波の高さを小さくした波形図である。
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1に示すように、検査対象物の異常検出装置10(以下、異常検出装置10と略記する。)は、例えば、工作機械21に備えられる。すなわち、本例では、工作機械21が検査対象物20となる。
図1は平面図であり、工作機械21の一種である旋盤では、ベッド22に主軸台23が備えられ、この主軸台23に主軸24が回転自在に備えられる。主軸24の長手軸をx軸、水平面上でx軸に直交する軸をy軸と呼ぶ。
主軸24は、図中のx軸回りにモータ25で回される。このような主軸24に、可動部26としての被切削材27が取付けられる。
また、ベッド22に往復台28が備えられ、この往復台28に切削工具32が備えられる。往復台28は、x軸に沿って往復する。また、往復台28は、y軸に沿って切込み量だけ移動される。この切削工具32の先端にチップ33が取付けられる。
この例では、被切削材27と切削工具32は、共に移動するが、切削工具32の移動は被切削材27の高速回転に比較して格段に軽微である。そこで、便宜的に、切削工具32を固定部31と呼ぶことにする。
チップ33は、極めて硬い三角形の板であり、切削工具32に着脱自在に取付けられる。チップ33は極めて硬いために脆く、切削中に、局部的に欠けることがある。この欠けをチッピングと呼ぶ。チッピングが発生したときにもチップ33は交換される。
摩耗は切削時間に比例して穏やかに進行する。一方、チッピングは、突然起こり、予測できない。よって、チップ33等の刃具を備える切削工具においては、チッピングの検出が重要となる。
一方、誤検出で生産を停止すると生産性の低下を招く。生産性を高めるためには、検出の信頼性が高くなければならない。
異常検出装置10は、固定部31としての切削工具32に取付ける振動センサ11と、この振動センサ11からの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部13と、この計算部13で得たMD値が判定値以上であるか否かを判定する判定部14と、この判定部14がMD値は判定値以上であると判定したときに異常を表示する異常表示部15とを備えている。
振動センサ11は、1軸加速度ピックアップが小型で安価であるため好適であるが、種類や形式は問わない。
計算部13は、変化量と存在量に基づいてMD値を求める。MD値(マハラノビスの距離)を計算するためのMT法計算式及び計算方法は周知であるため、その数式及び計算については説明を省略する。
異常表示部15は、ランプ、ブザーなど周辺にいる作業者に光学的及び/又は音響的に知らせる手段が望ましい。ただし、判定部14に電気的な異常信号を発生する機能を付加したときには、異常表示部15は省くことができる。
振動センサ11は、切削工具32の他、ベッド22、主軸台23、モータ25など、検査対象物20を構成している静止部位であれば、取付け可能である。
計算部13におけるサンプリング周波数は、例えば1600Hzである。
被切削材1個当りの測定時間は、例えば2.0625秒である。
1600(サンプル/秒)×2.0625(秒)=3300(サンプル)の計算により、1個の被切削材当り3300個の振動情報を得る。
得られた波形図を、図2に示す。
図2に示すように、時間軸がX軸で振動値がY軸であるXY面に、波形図が描かれている。振動情報は、加速度(m/s2)であるが、本発明では、振動値として扱う。
2〜3サンプルで1つの波が描かれる。図2では1000個以上の波が密集している。
密集して見づらいため、波の数を10個程度にした模式図で、本発明を説明する。
なお、図3及び図4は比較例1に対応する模式図であり、図5及び図6は実施例1に対応する模式図である。
図3(a)に示すように、時間tmで切り出した波形Aが、XY面に描かれている。波形Aは、ブラス側の波の高さとマイナス側の波の高さが、ほぼ同じである。
図3(b)に示すように、標本線L1〜L4をX軸に平行に引く。この例では、X軸に対称になるように、プラス側に標本線L1、L2を引き、マイナス側に標本線L3、L4を引く。なお、標本線は、計算部13の内部で仮想的に引かれるが、実施例では理解を促すために、図で説明する。
標本線L1と波形Aとの交点(丸)の数が、標本線L1に係る変化量(後述の変化量1)となる。
標本線L2と波形Aとの交点(丸)の数が、標本線L2に係る変化量(変化量2)となる。他の標本線L3〜L4についても同様に変化量3〜4を求める。
図3(c)にて、存在量を求める。存在量は、当該標本線より上に存在する波形曲線(波形A)で区切られた線分の和として求める。
具体的には、標本線L1においては、この標本線L1より上に波形Aが存在しないため、存在量(存在量1)は0となる。
標本線L2においては、この標本線L2より上に波形Aの一部が存在する。区切られた線分に斜線を施した。斜線を施した線分の和が標本線L2における存在量(存在量2)となる。
標本線L3については、標本線L2と同様に存在量(存在量3)を求めることができる。
標本線L4においては、この標本線L4より上に波形Aの全部が存在する。そのため、標本線L4の全てに斜線が付される。
時間tmに対応する標本線の長さを、便宜的に「64」とする。
すると、標本線L4における存在量4は64となる。この例では、標本線L3における存在量3は64より小さくなり、標本線L2における存在量2は更に小さくなる。
以上により求めた変化量1〜4と存在量1〜4とを、表3に示す。この表3からMD値Aが計算される。
Figure 0006788137
チッピングが発生すると波形曲線の波の高さが大きくなる。チッピングが発生する前段階ではチップ33にマイクロクラック(微細な亀裂)が発生し、波形Aの波の一部が変化すると思われる。
この一部の変化で異常が検出できれば、被切削材27に、不良品を造らなくてすみ、望ましい。
図4(a)に示す波形Bでは、丸で囲ったb部の波がマイナス側に高くなっている。すなわち、波形Aの波の一部が高くなっている。
この波形Bについて検討する。
図4(b)に示すように、標本線L4において、変化量4が「2」となった。その他は図3(b)と大きな変化はない。
また、図4(c)に示すように、標本線L4において、存在量4が小さくなった。その他は図3(c)と大きな変化はない。
以上により求めた変化量1〜4と存在量1〜4とを、表4に示す。この表4からMD値Bが計算される。
Figure 0006788137
表3と表4とを合成したものを、表5に示す。
Figure 0006788137
図3(a)の波形から得た変化量1〜4と、図4(a)の波形から得た変化量1〜4とに殆ど差がない。
そして、図3(a)の波形から得た存在量1〜4と、図4(a)の波形から得た存在量1〜4とに殆ど差がない。
結果、MD値AとMD値Bとに期待したほどの差が出なかった。
差を大きくすることができる本発明を、図5及び図6に基づいて説明する。
図5(a)には、図3(a)と同じ波形Aが描かれている。
図5(b)には、図3(b)と同じ標本線L1〜L4が引かれている。
図5(c)に示すように、標本線L4においては、この標本線L4の上に波形Aの全てが存在するにも拘らず、斜線が施されてはいない。
すなわち、標本線L4に波形Aが交わらずに、変化量がゼロとなるときは、存在量はゼロとすることにした。
以上により求めた変化量1〜4と存在量1〜4とを、表6に示す。この表6からMD値Cが計算される。
Figure 0006788137
次に、図6を説明する。
図6(a)〜(c)は、図4(a)〜(c)と同じ図である。
すなわち、図6(a)には、図4(a)と同じ波形Bが描かれている。
図6(b)には、図4(b)と同じ標本線L1〜L4が引かれている。
図6(c)には、図4(c)と同様に標本線L1〜L4に斜線が付されている。
以上により求めた変化量1〜4と存在量1〜4とを、表7に示す。この表7からMD値Dが計算される。
Figure 0006788137
表6と表7とを合成したものを、表8に示す。
Figure 0006788137
図5(a)の波形に基づく変化量1〜4及び存在量1〜3は、図6(a)の波形に基づく変化量1〜4及び存在量1〜3と殆ど同じである。
対して、図5(a)の波形に基づく存在量4と、図6(a)の波形に基づく存在量4とに大きな差ができた。
結果、MD値CとMD値Dとに、大きな差が出ることが期待される。
この期待の達成可能性を、図1に示す異常検出装置10で検証する。
図1において、多数個の被切削材27を準備し、異常検出装置10を用いて、被切削材27に順次切削を施した。45個目の被切削材27を切削しているときに、作業員が異常に気づいた。調べてみると、チップ33にチッピングが発生していた。
図2で説明したような波形が、被切削材27毎に得られる。各波形を調べたところ、42個目の被切削材27までは、波形が正常であり、43個目の被切削材27に波形の異常が認められた。このことを、図7(a)、(b)で説明する。
図7(a)は、42個目の被切削材における波形図であり、正常時の波形を示す。
プラス側の波の高さの最大値をfa1とし、マイナス側の波の高さの最大値をfa2とすると、波の高さfa2は、波の高さfa1の約1.1倍であった。
図7(b)は、43個目の被切削材における波形図であり、異常時の波形を示す。
プラス側の波の高さの最大値をfb1とし、マイナス側の波の高さの最大値をfb2とすると、マイナス側のfb2は、fb1の約1.4倍であった。そして、このときにチッピングが発生していた。
正常時の1.1倍と、異常時の1.4倍の中間値は、1.25倍となる。この1.25倍を正常時と異常時とを区別する判定値とすることができる。
すなわち、この例では、プラス側の波の高さとマイナス側の波の高さに、1.25倍以上の差が出ると異常とみなすことができる。
この場合、波の高さに所定値以上の差があるときの「所定値」は1.25倍となる。
次に、MD値を検討する。
図7(a)に示す波形について、図3、図4で説明した比較例1の手法により、MD値を求めたところ、42個目の被切削材におけるMD値は3程度又はそれ以下であった。
図7(a)に示す波形について、図5、図6で説明した実施例1の手法により、MD値を求めたところ、42個目の被切削材におけるMD値は1.7程度又はそれ以下であった。
図7(b)に示す波形について、図3、図4で説明した比較例1の手法により、MD値を求めたところ、45個目の被切削材におけるMD値は7.4であった。
図7(b)に示す波形について、図5、図6で説明した実施例1の手法により、MD値を求めたところ、45個目の被切削材におけるMD値は11.8であった。
1個目〜41個目、43個目〜44個目及び46個目の被切削材についても、比較例1の手法によりMD値を求めた。得られたMD値群を「比較例1によるMD値線」として、図8に破線で示す。
1個目〜41個目、43個目〜44個目及び46個目の被切削材についても、実施例1の手法によりMD値を求めた。得られたMD値群を「実施例1によるMD値線」として、図8に実線で示す。
図8に破線で示した「比較例1によるMD値線」における45個目のMD値「7.4」は、破線で示した正常時のMD値「3」の2.4倍である。
対して、実線で示した「実施例1によるMD値線」における45個目のMD値「11.8」は、実線で示した正常時のMD値「1.7」の6.9倍である。この6.9倍は比較例1の2.4倍より充分に大きい。
すなわち、比較例1に対して、実施例1は正常時のMD値に対して異常時のMD値を充分に大きくすることができる。加えて、次に述べる評価が可能となる。
「比較例1によるMD値線」において、仮に判定基準を「5」とした場合、45個目で異常と判断され、43個目及び44個目の被切削材については正常と判定されるため、異常検出が遅れる。
判定基準を「4」とすると、43個目の被切削材で異常が検出される。しかし、1個目〜42個目の被切削材における波形の一部が乱れ、MD値が一時的に4を超える危険性はある。
すなわち、判定基準を下げると、正常であるにも拘らず異常と判定する、誤判定の危険性が増す。
対して、「実施例1によるMD値線」では、判定基準を、「5」又はそれ以上に設定することができる。「実施例1によるMD値線」では、正常時のMD値(1個目〜42個目)は1.7以下であり、正常時のMD値が乱れても「5」を超える心配はなく、誤判定は起こらない。
すなわち、実施例1によれば、正常時のMD値(1個目〜42個目)に対して、異常時のMD値(43個〜45個)を、充分に大きくすることができる。
よって、本実施例により、正常時のMD値に対して異常時のMD値を充分に大きくすることができる技術が提供される。
次に、標本線の引き方について検討する。
図3〜図6では、X軸に対称となるようにして、プラス側とマイナス側とに同数の標本線L1〜L4を引いた。
周知の通り、標本線の数を増やすと、計算の精度は高まるが、反面、計算部13への負担は増す。よって、標本線の数は適正な数で管理される。
図7(b)に示すように、マイナス側の波の高さが、プラス側の波の高さより1.4倍程大きい。
この場合は、次に述べる手法が有益となる。
すなわち、プラス側の標本線を減らし、マイナス側の標本線を増やす。
具体的には、変更例を説明する模式図である図9(a)、(b)に示すように、プラス側に標本線L01を引き、マイナス側に標本線L02〜L04を引く。
この変更例によるMD値を検証する。
図7(a)に示す波形について、図3、図4で説明した比較例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めたところ、42個目の被切削材におけるMD値は2.3程度又はそれ以下であった。
図7(a)に示す波形について、図5、図6で説明した実施例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めたところ、42個目の被切削材におけるMD値は3.1程度又はそれ以下であった。
図7(b)に示す波形について、図3、図4で説明した比較例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めたところ、43個目の被切削材におけるMD値は42であり、45個目の被切削材におけるMD値は106であった。
図7(b)に示す波形について、図5、図6で説明した実施例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めたところ、43個目の被切削材におけるMD値は1.2×1032であり、45個目の被切削材におけるMD値は5×1032あった。
1個目〜41個目、44個目及び46個目の被切削材についても、比較例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めた。比較例1を変更しているため、この例を比較例2と呼ぶ。すなわち、得られたMD値群を「比較例2によるMD値線」として、図10に破線で示す。
1個目〜41個目、44個目及び46個目の被切削材についても、実施例1に変更例で説明した変更を施した上で、MD値を求めた。実施例1を変更しているため、この例を実施例2と呼ぶ。すなわち、得られたMD値群を「実施例2によるMD値線」として、図10に実線で示す。
なお、図10の縦軸は、対数目盛りとした。
図10に破線で示した「比較例2によるMD値線」における45個目のMD値「106」は、破線で示した正常時のMD値「2.3」の46倍である。
対して、実線で示した「実施例2によるMD値線」における45個目のMD値「5×1032」は、実線で示した正常時のMD値「3.1」の1.6×1032倍である。
すなわち、比較例2に対して、実施例2は正常時のMD値に対して異常時のMD値を格段に(天文学的に)大きくすることができる。加えて、次に述べる評価が可能となる。
「比較例2によるMD値線」において、仮に判定基準を「50」とした場合、45個目で異常と判断され、43個目及び44個目の被切削材については正常と判定されるため、異常検出が遅れる。
対して、「実施例2によるMD値線」では、判定基準を、例えば1.0×1010に設定することができる。この設定であれば、誤判定が発生する心配はない。
すなわち、実施例2によれば、正常時のMD値(1個目〜42個目)に対して、異常時のMD値(43個〜45個)を、極めて大きくすることができる。
異常時のMD値が、極めて大きくなると、作業者が異常を検出するよりも遥か前の段階で異常を検出することができるようになる。
遥か前であれば、チップ33でのマイクロクラックは小規模であり、チッピングがまだ発生しておらず、廃棄される被切削材27が発生しないことが期待され、生産性の向上、歩留まりの向上が図れる。
図8で説明した実施例1では、変化量がゼロであるとき、存在量をゼロとすることで、最大11.7のMD値を得た。
対して、図10で説明した実施例2では、変化量がゼロであるとき、存在量をゼロとすることに加えて、プラス側の標本線を減らしマイナス側の標本線を増やすことにより、最大5×1032のMD値を得ることができた。
実施例1よりも実施例2の方が異常検出性能が格段に高まったと言える。
以上に述べた実施例では、固定部31は切削工具32、可動部26は被切削材27としたが、これらに限定されるものではない。
フライス盤であれば、フライス(フライス刃)が可動部26で、被切削材が固定部31となる。よって、本発明は、旋盤及びフライス盤を含む工作機械に広く適用可能である。その具体例を、図11に基づいて説明する。
図11に示すように、本発明をビアスパンチ装置60に適用することができる。すなわち、検査対象物20としてのビアスパンチ装置60は、ベッド61と、このベッド61に立てたコラム62と、コラム62の上に渡したクラウン63と、コラム62に横に渡したクランク軸64と、このクランク軸64で上下動されるパンチホルダ65と、このパンチホルダ65にホールドされるパンチ66と、ベッド61に載せられるダイホルダ67と、このダイホルダ67にボルト68で固定されたダイ69とからなり、ダイ69に載せたワーク71に、パンチ66で穴を開けることができる装置である。
この例では、ダイ69、ダイホルダ67、ボルト68などが、固定部31となり、パンチ66、パンチホルダ65などが、可動部26となる。
そして、ダイホルダ67に振動センサ11が取付けられる。
パンチ66が、下降時にワーク71を突き抜けるとき、及び上昇時にワーク71から抜けるときに、振動センサ11は振動を検知する。加えて、突き抜けた直後及び抜けた直後は、ワーク71が振動する。この振動も振動センサ11で検知される。
ワーク71の1枚を単位に、計算部13でMD値が計算され、判定部14で正常/異常の判定がなされ、異常表示部15で異常表示がなされる。
固定部31としてのダイ69の割れ及び可動部26としてのパンチ69の欠損の検出が重要であり、これらは本発明により、良好に検出できた。
ビアスパンチ装置60の作業中に、それまでのMD値が、6又はそれ以下であったものが、突然4.9×107に急増した。調べたところ、ダイ69及びパンチ69には、異常が認められなかった。そこで、作業を再開したところ、再度MD値が4.9×107に急増した。ダイ69を外して調べたところ、ボルト68に異常(割れや切断)が認められた。
このことから、ビアスパンチ装置60において、ダイ69、ボルト68、ダイホルダ67、パンチ66、パンチホルダ65、ベッド61、コラム62、クラウン63、クランク軸64における異常(割れ、変形など)が、本発明により、良好に検出できることが分かった。
すなわち、金型、金属製の架台、フレーム、その他の構造体、機械要素部品(後述する軸受など)の異常検出に本発明が適用できる。
また、本発明は、次に述べる用途に供することができる。
図12に示すように、検査対象物20は電動モータ40であり、固定部31はステータ41及びモータケース42であり、可動部26はロータ43及びモータ軸44である。
異常検出装置10の振動センサ11は、モータケース42に取付けられる。
例えば、電動モータ40の生産工場や組立工場において、本発明を出荷検査に供することができる。
電動モータ40の良品でのMD値を求め、このMD値に基づいて、十分に大きな判定値を設定する。
そして、出荷時に、電動モータ40の全数について、異常検出検査を実施する。
電動モータ40の軸受45、46に、軸受すきまが規定から外れたものが組み込まれていたときなどに、異常が検出される。
また、本発明は、出荷検査の他、工場設備の日常的な管理に適用される。すなわち、一般の工場などに設置される電動モータ40に、本発明の異常検出装置10を付設する。そして、MD値を求め、このMD値に基づいて、十分に大きな判定値を設定する。
そして、電動モータ40の経年変化を監視する。多数年運転すると、電動モータ40の軸受45、46の軸受すきまが徐々に増大し、モータ軸44の振れが増大する。
本発明によれば、電動モータ40に顕著な異常が発生する遥か前に異常を検出することができる。そのため、定期点検時に電動モータ40を交換するなどの処置を講じることができ、工場の停止を最小限に留めることができる。
また、本発明は、内燃機関50に適用することができる。
図13に示すように、検査対象物20は内燃機関50であり、固定部31はシリンダブロック51及びシリンダヘッド52であり、可動部26はピストン53及びクランク軸である。
異常検出装置10の振動センサ11は、シリンダブロック51(又はシリンダヘッド52)に取付けられる。内燃機関50は、ガソリンエンジンとディーゼルエンジンとを含む。
内燃機関50は、車両用の他、舶用、航空機用の何れであってもよい。また、発電機を回す発電用であってもよく、用途は任意である。
電動モータ40と同様に、本発明の技術を、内燃機関50の出荷検査に供することができる。
又は、舶用の内燃機関50に、本発明の異常検出装置10を付ける。そして、MD値を求め、このMD値に基づいて、十分に大きな判定値を設定する。
本発明によれば、舶用の内燃機関50に顕著な異常が発生する遥か前に異常を検出することができる。そのため、ドック入り時に内燃機関50を交換するなどの処置を講じることができ、洋上での不具合を最小限に留めることができる。
本発明の技術は、その他の各種用途に供することができる。その具体例を表9に列挙する。
Figure 0006788137
a:発電所や大規模工場や大規模病院などに、発電用ガスタービンが設置される。従来は振動や音を監視していた。本発明よれば、従来よりも遥かに早く異常を検出することができる。発電用ガスタービンは、発電用蒸気タービンであってもよい。蒸気タービンは、大型発電所に多数基設置されている。
b:大規模工場や大規模倉庫などに、コンベアが設置される。従来は振動や音を監視していた。本発明よれば、従来よりも遥かに早く異常を検出することができる。
c:大型クレーンに大径軸受が使用される。従来は振動や音を監視していた。本発明よれば、従来よりも遥かに早く異常を検出することができる。
次に、検査対象物の異常検出方法を、図14に基づいて説明する。
ST(ステップ番号。以下同じ)01で、振動波形に関して所定以上の偏り情報が存在するか否かを判別する。
例えば、図7(b)で説明したような偏りの発生要因が、主として図1に示す工作機械21に依存していれば、被切削材27を交換しても、同じ傾向がでる可能性が高い。このように経験的に、偏りの存在が分かっていれば、ST01で「YES」となる。
また、図12に示す電動モータ40では、軸受45、46の摩耗が振動波形に強く影響し、プラス側の波の高さとマイナス側の波の高さが同じように大きくなることが知られている。このように経験的に、偏りの存在がなければ、ST01で「NO」となる。
経験量が少ない場合には、「YES」、「NO」の判断ができないことが少なくない。この場合は、ST01で「不明」と扱う。
不明のときは、ST02で、欠陥を有する検査対象物を準備し、振動を検出する(ST03)。例えば、予めチッピングが生じている切削工具を準備し、この切削工具で被切削材を切削し、図7(b)のような振動情報を得る。又は、図13において、ピストン53に嵌っているピストンリング54を、著しく摩耗したものと交換し、その上で振動情報を得る。
得られた振動情報に所定値の偏りがあるか否かを調べる(ST04)。
ST04でYES又はST01でYES(所定値以上の偏りがある)場合には、プラス側とマイナス側の標本線の数に差をつけるように計算部に命じる(ST05)。
ST01でNO又はST04でNO(所定値以上の偏りがない)場合には、ST05を迂回して、ST06へ進む。
ST06で、検査対象物に振動センサを取付ける。
ST07で、判定値MDbを読み込む。
次に、振動センサで振動情報を取得する(ST08)。
所定のタイミングでMD値を計算する(ST09)。
所定のタイミングは、例えば工作機械であれば、被切削材1個の切削開始から終了まで。電動モータや内燃機関であれば、連続運転中の一定時間毎。
計算で得られたMDcalが判定値MDb以上であるか否かを判定する(ST10)。
MDcalが判定値MDb未満であれば、ST09に戻る。なお、休憩などで作業を中断するときや人為的に作業を終えるときは、ST11によりこのフローを終える。
ST10で、MDcalが判定値MDb以上と判定されたときには、異常表示を行う(ST12)。異常表示と共に検査対象物に係る運転を停止することが望ましい。
すなわち、本発明に係る検査対象物の異常検出方法は、例えば、図1に示す固定部31としての切削工具32と、この切削工具32に対して相対的に移動する可動部26としての被切削材27とを含む検査対象物20に発生する異常を検出する異常検出方法であって、次に述べる工程を実施する。
固定部31に発生する振動を検出する工程(ST08)と、検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程(ST09)と、計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程(ST10)と、からなる。
マハラノビスの距離を計算する工程(ST09)では、振動情報から得た波形曲線に時間軸に平行な標本線を引き、波形曲線と標本線とが交わった交点の数を変化量とし、波形曲線で区切られた標本線の線分の和を存在量とし、変化量及び存在量をマハラノビスの距離の計算に供する。
図5(c)に示すように存在量は、当該標本線より上に存在する波形曲線(波形A)に基づいて計算される。
図5(b)に示すように標本線L2、L3では、変化量はゼロではない。変化量がゼロでないときは、図5(c)に示すように波形曲線で区切られた当該標本線L2又はL3の線分(斜線を施した線分)の和を存在量とする。
図5(b)に示すように標本線L4では、変化量はゼロである。変化量がゼロであるときは、存在量はゼロとする。
必要に応じて、検査対象物の異常検出方法に次に述べる方法を加える。
すなわち、図7(a)、(b)に示すように、波形曲線は、時間軸がX軸で、振動値がY軸とされるXY面に描かれる。
図7(b)に示すように、異常時に振動値がプラス側よりもマイナス側に所定値(例えば、1.25倍)以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、図9(a)、(b)に示すように、以降、プラス側の標本線の数(この例では1本)よりもマイナス側の標本線の数(この例では3本)を増すようにする。
仮に、異常時に振動値がマイナス側よりもプラス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、マイナス側の標本線の数よりもプラス側の標本線の数を増すようにする。
本発明は、切削工具のチッピング検出に好適である。
10…検査対象物の異常検出装置(異常検出装置)、11…振動センサ、13…計算部、14…判定部、20…検査対象物、26…可動部、31…固定部、32…切削工具、33…チップ、40…電動モータ、41…ステータ、42…モータケース、43…ロータ、44…モータ軸、50…内燃機関、51…シリンダブロック、52…シリンダヘッド、53…ピストン。

Claims (8)

  1. 固定部と、この固定部に対して相対的に移動する可動部とを含む検査対象物に発生する異常を検出する検査対象物の異常検出装置であり、
    この異常検出装置は、前記検査対象物に取付けられ振動を検出する振動センサと、この振動センサからの振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する計算部と、この計算部で得たマハラノビスの距離が判定値以上であるか否かを判定する判定部とを備え、
    前記計算部では、前記振動情報から得た波形曲線に時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出装置であって、
    前記存在量は、当該標本線より上に存在する前記波形曲線に基づいて計算され、前記変化量がゼロでないときは、前記波形曲線で区切られた当該標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量がゼロであるときは、前記存在量はゼロとすることを特徴とする検査対象物の異常検出装置。
  2. 請求項1記載の検査対象物の異常検出装置であって、
    前記波形曲線は、前記時間軸がX軸で、振動値がY軸とされるXY面に描かれ、
    前記計算部は、
    異常時に前記振動値がマイナス側よりもプラス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、マイナス側の標本線の数よりもプラス側の標本線の数を増すようにし、
    異常時に前記振動値がプラス側よりもマイナス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、プラス側の標本線の数よりもマイナス側の標本線の数を増すようにすることを特徴とする検査対象物の異常検出装置。
  3. 請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
    検査対象物は工作機械であり、前記固定部と前記可動部の一方が切削工具であり、他方が被切削材であり、前記切削工具に発生する異常を検出することを特徴とする検査対象物の異常検出装置。
  4. 請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
    検査対象物は電動モータであり、前記固定部はステータ及びモータケースであり、前記可動部はロータ及びモータ軸であることを特徴とする検査対象物の異常検出装置。
  5. 請求項1又は請求項2記載の検査対象物の異常検出装置であって、
    検査対象物は内燃機関であり、前記固定部はシリンダブロック及びシリンダヘッドであり、前記可動部はピストン及びクランク軸であることを特徴とする検査対象物の異常検出装置。
  6. 固定部と、この固定部に対して相対的に移動する可動部とを含む検査対象物に発生する異常を検出する検査対象物の異常検出方法であり、
    前記固定部に発生する振動を検出する工程と、
    検出した振動情報に基づいてマハラノビスの距離を計算する工程と、
    計算で得られたマハラノビスの距離が判定値以上であるときに異常を検出する工程と、からなり、
    前記マハラノビスの距離を計算する工程では、前記振動情報から得た波形曲線に時間軸に平行な標本線を引き、前記波形曲線と前記標本線とが交わった交点の数を変化量とし、前記波形曲線で区切られた前記標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量及び前記存在量を前記マハラノビスの距離の計算に供する検査対象物の異常検出方法であって、
    前記存在量は、当該標本線より上に存在する前記波形曲線に基づいて計算され、前記変化量がゼロでないときは、前記波形曲線で区切られた当該標本線の線分の和を存在量とし、前記変化量がゼロであるときは、前記存在量はゼロとすることを特徴とする検査対象物の異常検出方法。
  7. 請求項6記載の検査対象物の異常検出方法であって、
    前記波形曲線は、前記時間軸がX軸で、振動値がY軸とされるXY面に描かれ、
    前記計算部は、
    異常時に前記振動値がマイナス側よりもプラス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、マイナス側の標本線の数よりもプラス側の標本線の数を増すようにし、
    異常時に前記振動値がプラス側よりもマイナス側に所定値以上に大きくなるとの偏り情報を得た場合には、以降、プラス側の標本線の数よりもマイナス側の標本線の数を増すようにすることを特徴とする検査対象物の異常検出方法。
  8. 請求項7記載の検査対象物の異常検出方法であって、
    前記偏り情報は、欠陥を有する検査対象物に、前記振動を検出する工程を実施し、得られた振動値に基づいて決定することを特徴とする検査対象物の異常検出方法。
JP2020050477A 2020-03-23 2020-03-23 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法 Active JP6788137B1 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020050477A JP6788137B1 (ja) 2020-03-23 2020-03-23 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020050477A JP6788137B1 (ja) 2020-03-23 2020-03-23 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP6788137B1 true JP6788137B1 (ja) 2020-11-18
JP2021148677A JP2021148677A (ja) 2021-09-27

Family

ID=73220025

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020050477A Active JP6788137B1 (ja) 2020-03-23 2020-03-23 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6788137B1 (ja)

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4253024B2 (ja) * 2007-06-14 2009-04-08 昌一 手島 波形パターンデータから製品の良品・不良品の検査のための特徴を抽出する方法及びプログラム
JP5348977B2 (ja) * 2008-09-04 2013-11-20 アングルトライ株式会社 波形パターンデータから特徴を抽出する方法及びプログラム
JP5701251B2 (ja) * 2012-05-31 2015-04-15 三菱重工業株式会社 発音判定装置、発音判定方法、及びプログラム
JP2015004544A (ja) * 2013-06-19 2015-01-08 武蔵精密工業株式会社 検査方法及び検査装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2021148677A (ja) 2021-09-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
El-Wardany et al. Tool condition monitoring in drilling using vibration signature analysis
Del Olmo et al. Tool wear monitoring of high-speed broaching process with carbide tools to reduce production errors
Sevilla-Camacho et al. Tool breakage detection in CNC high-speed milling based in feed-motor current signals
Costes et al. Surface roughness prediction in milling based on tool displacements
MX2011004811A (es) Metodo y dispositivo para analisis por vibracion y base de datos de muestra para el mismo y uso de una base de datos de muestra.
Elhaj et al. A combined practical approach to condition monitoring of reciprocating compressors using IAS and dynamic pressure
Balsamo et al. Multi sensor signal processing for catastrophic tool failure detection in turning
WO2008142386A1 (en) Machining process monitor
Singh et al. Comparative study of chatter detection methods for high-speed micromilling of Ti6Al4V
Filippov et al. Detecting transition to chatter mode in peakless tool turning by monitoring vibration and acoustic emission signals
JP2019098515A (ja) 刃具状態検査システム及び方法
CN109894925B (zh) 基于内嵌式压电传感器的薄壁件铣削加工振动监测方法
JP6788137B1 (ja) 検査対象物の異常検出装置及び検査対象物の異常検出方法
Tonshoff et al. Application of fast Haar transform and concurrent learning to tool-breakage detection in milling
Dhami et al. Gear fault classification using vibration and acoustic sensor fusion: a Case Study
Ogedengbe et al. Feasibility of tool condition monitoring on micro-milling using current signals
Outeiro et al. Cyclic variation of residual stress induced by tool vibration in machining operations
CN103644960B (zh) 一种超声辅助磨削加工动态振幅测量工具及测量方法
Noh et al. Implementation of remote monitoring system for prediction of tool wear and failure using ART2
Hassan et al. Tool pre-failure monitoring in intermittent cutting operations
Popa et al. Investigation of tool failure modes and machining disturbances using monitoring signals
CN115263644A (zh) 一种水轮机顶盖故障智能预警方法
Jayaswal et al. An investigation of tool condition monitoring
Stavropoulos et al. On the design of a monitoring system for desktop micro-milling machines
Jiang et al. Tool condition monitoring based on dynamic sensitivity of a tool-workpiece system

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200818

A871 Explanation of circumstances concerning accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A871

Effective date: 20200818

A975 Report on accelerated examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971005

Effective date: 20201001

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201006

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201029

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6788137

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250