JP5701251B2 - 発音判定装置、発音判定方法、及びプログラム - Google Patents
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従来、発音装置の良否の判定は、当該発音装置が発する音を検査員が聴くことで判定している。なお、発音装置が発する音を防音しつつ良否を判定する方法が、特許文献1に開示されている。また、発音装置が発する音から複数のパラメタを抽出して良否を判定する方法が、特許文献2に開示されている。
また、特許文献1に記載の手法を用いる場合、検査員は騒音計の計測結果と録音された発音装置の音色を聴くことで判定を行うため、音色の微妙な違いを判定するステップでは、検査員の技能に依存した判定を行わざるを得ないという問題がある。
発音装置が発する音波から複数のパラメタを抽出するパラメタ抽出部、
優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する優良距離算出部、
前記優良距離算出部が算出したマハラノビス距離が所定の閾値以下である場合に、前記発音装置が優良であると判定する発音判定部、
前記発音装置の調整方法毎に、当該調整方法による調整が必要な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する不良距離算出部、
前記発音判定部が、前記発音装置が優良であると判定しなかった場合に、前記不良距離算出部が算出したマハラノビス距離のうち最も小さいものに関連付けられた調整方法を、前記発音装置の調整の指針として提示する指針提示部
として機能させるためのプログラムである。
図1は、発音装置900の断面図である。
発音装置900は、振動により音を発する膜板910と、膜板910を挟んで固定する本体部920及び蓋部930からなる筐体と、本体部920と蓋部930とを固定するねじ940と、膜板910が発する音波にホーンロードをかけて音圧を上げるホーン部950とを備える。
本体部920の側面には、空気流入口921が設けられ、本体部920の膜板910と対向する面には、当該空気流入口921から流入する空気が流れる環状の通気溝922が設けられる。また、本体部920には、膜板910に直交する方向に、膜板910が発する音波を外部に放出するための放出孔923が設けられ、ホーン部950は当該放出孔923に挿入されることで固定されている。
発音装置900の空気流入口921から空気が流入すると、当該空気は本体部920の通気溝922に流れる。そして、通気溝922から放出孔923へ空気が流れる際に、空気が膜板910を振動させることで、膜板910から放出孔923及びホーン部950を介して音波が発せられる。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
図2は、参考例に係る発音判定装置100の構成を示す概略ブロック図である。
発音判定装置100は、マハラノビス・タグチ法(MT法)により発音装置900の良否を判定する装置であって、録音部101、パラメタ抽出部102、優良空間記憶部103、優良空間記録部104、優良距離算出部105(距離算出部)、発音判定部106、指針提示部107、前回指針記憶部108、前回距離記憶部109、I/F部110(インタフェース)を備える。
パラメタ抽出部102は、録音部101が録音した音の波形に基づいて複数のパラメタを抽出する。パラメタとしては、例えば、音圧の時刻歴波形の微分特性(変化量)、音圧の時刻歴波形の積分特性(存在量)、減衰量、周波数特性が挙げられる。
優良空間記録部104は、手本となる複数の発音装置900(優良な発音装置900)が発する音波からパラメタ抽出部102が抽出したパラメタを、優良な発音装置900の単位空間として優良空間記憶部103に記録する。
発音判定部106は、優良距離算出部105が算出したマハラノビス距離が所定の閾値以下である場合に、発音装置900が優良であると判定し、マハラノビス距離が所定の閾値を超える場合に、発音装置900が不良であると判定する。
前回指針記憶部108は、指針提示部107が前回提示した調整方法を記憶する。
前回距離記憶部109は、優良距離算出部105が前回算出したマハラノビス距離を記憶する。
図3は、I/F部110が表示する画面例を示す図である。
I/F部110は、ディスプレイに図3に示すような画面を表示させる。
表示画面には、単位空間の記録処理モードに遷移するための「単位空間ボタン」、良否判定モードに遷移するための「良否判定ボタン」、録音を開始するための「録音開始ボタン」が設けられる。「録音開始ボタン」の押下(クリック)により発音装置900が発する音を録音すると、表示画面には録音した音波の時刻歴波形、及び当該音波から抽出されたパラメタ(図3の例では変化量と存在量)が表示される。また、良否判定が実行されると、当該良否の判定結果を示す表示(図3ではOK/NGのラベルの明滅)が表示され、判定結果がNGである場合は、さらに調整の方針として調整方法と調整加減とが提示される。
また、表示画面には、判定結果がOKである場合に、当該発音装置900の調整が完了したことを発音判定装置100に通知するための「設定完了ボタン」が設けられる。さらに、表示画面には、判定結果がNGであっても検査員が判定対象となる発音装置900が優良であると判定した場合に当該発音装置900を優良なものとして学習させるための「結果OK判定ボタン」が設けられる。
ここで、判定に用いる閾値は、単位空間を構成するパラメタの束それぞれのマハラノビス距離のうち最大のものより大きい値を用いることが好ましい。なお、単位空間を構成する複数のパラメタの束のマハラノビス距離の平均値は1となる。
図4は、参考例に係る発音判定装置100が優良な発音装置900の単位空間を生成する処理を示すフローチャートである。
利用者が、I/F部110によって表示された画面において「単位空間ボタン」及び「録音開始ボタン」を押下した後に、優良な発音装置900に一定の圧力で空気を供給することで発音装置900を発音させると、録音部101は、発音装置900から発せられた音を録音する(ステップS1)。なお、ステップS1において録音部101に録音させる音波を発する優良な発音装置900は、熟練の検査員や発音装置900の需要者が選定することが好ましい。次に、パラメタ抽出部102は、録音部101が録音した音の波形に基づいて複数のパラメタを抽出する(ステップS2)。本参考例では、パラメタ抽出部102は、音圧の時刻歴波形の変化量、存在量、減衰量、周波数特性を抽出する。
図5は、音波の時刻歴波形の変化量及び存在量の算出方法を示す図である。
録音部101が、図5(A)に示す時刻歴波形を取得した場合、パラメタ抽出部102は、波形の振幅を所定の間隔でサンプリングする標本線を定義する。そして、パラメタ抽出部102は標本線毎に、当該標本線と交差する点の個数を時刻歴波形の変化量として算出する。例えば、図5(A)に示す第1の標本線は、時刻歴波形と2か所で交差している。したがって、第1の標本線における変化量は2となる。同様に、図5(A)に示す第2の標本線は、時刻歴波形と4か所で交差している。したがって、第2の標本線における変化量は4となる。
なお、時刻歴波形は、複数の時刻でサンプリングした振幅値の集合によって表される。そのため、パラメタ抽出部102は、隣接する2つの音波の標本が、それぞれ標本線が示す振幅未満の値と当該標本線が示す振幅以上の値を示す組み合わせの個数を、変化量として算出することができる。
また、パラメタ抽出部102は標本線毎に、当該標本線が示す振幅以上の値をとる標本の個数を時刻歴波形の存在量として算出する。
図6は、参考例に係る発音判定装置100が発音装置900の良否を判定する処理を示すフローチャートである。
発音判定装置100の優良空間記憶部103に、単位空間を構成し得る充分な数のパラメタの束が記録されると、利用者は、I/F部110によって表示された画面において「良否判定ボタン」及び「録音開始ボタン」を押下し、検査対象となる発音装置900に一定の圧力で空気を供給することで発音装置900を発音させる。これにより録音部101は、発音装置900から発せられた音を録音する(ステップS11)。次に、パラメタ抽出部102は、録音部101が録音した音の波形に基づいて複数のパラメタを抽出する(ステップS12)。なお、パラメタの抽出方法は、上述したステップS2におけるパラメタ抽出方法と同様である。このとき、I/F部110は、当該パラメタを画面に表示させる。
優良距離算出部105は、まず優良空間から単位空間を構成するパラメタの束の集合体を取得し、パラメタ毎の平均値及び標準偏差を、以下に示す式(1)、式(2)によって求める。
参考例では、調整方法として膜板910を曲げるか伸ばすかの何れかの方法を提示する場合について説明した。しかし、発音装置900の調整方法は1つの方法に限られない。例えば、膜板910を曲げるか伸ばすかの調整方法以外にも、蓋ねじ940を締めるか緩めるかの調整方法が挙げられる。そこで、第1の実施形態では、複数種類の調整方法がある場合に、適切な調整方法を提示する発音判定装置100について説明する。
第1の実施形態による発音判定装置100は、参考例に示す構成に加え、更に不良空間記憶部111、不良空間記録部112、不良距離算出部113、指針決定部114を備える。他方、第1の実施形態による発音判定装置100は、前回指針記憶部108を備えない。
不良空間記憶部111は、不良距離算出部113によるマハラノビス距離の算出に用いる単位空間を記憶する。
不良空間記録部112は、調整が必要な複数の発音装置900が発する音波からパラメタ抽出部102が抽出したパラメタを優良な発音装置900の単位空間として、調整方法毎に優良空間記憶部103に記録する。
不良距離算出部113は、良否判定対象の発音装置900が発する音波からパラメタ抽出部102が抽出したパラメタと不良空間記憶部111が記憶する調整方法毎の単位空間とを用いて、良否判定対象の発音装置900の調整方法毎のマハラノビス距離を算出する。
指針決定部114は、不良距離算出部113が算出した調整方法毎のマハラノビス距離のうち、最も小さいマハラノビス距離に係る調整方法を、調整指針に決定する。
図8は、本発明の第1の実施形態による発音判定装置100が発音装置900の良否を判定する処理を示すフローチャートである。なお、参考例と同一の処理を行うステップは、同一の符号を用いて説明する。
例えば、本実施形態では、発音装置900に一定の圧力で空気を供給することで発音装置900を発音させ、その音波を用いて発音装置900の良否を判定する場合について説明したが、これに限られず、例えば高圧と低圧の2種類の圧力で発音装置900に空気を供給し、それぞれの良否判定結果に基づいて発音装置900の良否を判定するようにしても良い。
Claims (6)
- 発音装置が発する音波から複数のパラメタを抽出するパラメタ抽出部と、
優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する優良距離算出部と、
前記優良距離算出部が算出したマハラノビス距離が所定の閾値以下である場合に、前記発音装置が優良であると判定する発音判定部と、
前記発音装置の調整方法毎に、当該調整方法による調整が必要な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する不良距離算出部と、
前記発音判定部が、前記発音装置が優良であると判定しなかった場合に、前記不良距離算出部が算出したマハラノビス距離のうち最も小さいものに関連付けられた調整方法を、前記発音装置の調整の指針として提示する指針提示部と
を備えることを特徴とする発音判定装置。 - 前記パラメタ抽出部は、前記発音装置が発する音波から少なくとも音圧の時刻歴波形の微分特性及び積分特性を抽出することを特徴とする請求項1に記載の発音判定装置。
- 前記パラメタ抽出部は、前記発音装置が発する音波から少なくとも当該音波の減衰量及び周波数特性を抽出することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の発音判定装置。
- 前記指針提示部は、同一の発音装置の良否判定を複数回実行した場合、当該発音装置の調整前に前記優良距離算出部が算出したマハラノビス距離と当該発音装置の調整後に前記優良距離算出部が算出したマハラノビス距離とを、当該発音装置の調整の指針として提示する
ことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の発音判定装置。 - 発音装置が発する音波から複数のパラメタを抽出するステップと、
抽出した前記パラメタを用いて、優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を算出するステップと、
優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された前記単位空間における前記マハラノビス距離が所定の閾値以下である場合に、前記発音装置が優良であると判定するステップと、
前記発音装置の調整方法毎に、当該調整方法による調整が必要な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、抽出した前記パラメタを用いて算出するステップと、
優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された前記単位空間における前記マハラノビス距離が前記閾値より大きい場合に、調整が必要な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記マハラノビス距離のうち最も小さいものに関連付けられた調整方法を、前記発音装置の調整の指針として提示するステップと
を有することを特徴とする発音判定方法。 - コンピュータを、
発音装置が発する音波から複数のパラメタを抽出するパラメタ抽出部、
優良な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する優良距離算出部、
前記優良距離算出部が算出したマハラノビス距離が所定の閾値以下である場合に、前記発音装置が優良であると判定する発音判定部、
前記発音装置の調整方法毎に、当該調整方法による調整が必要な発音装置が発する音波に基づいて生成された単位空間における前記発音装置の音波のマハラノビス距離を、前記パラメタ抽出部が抽出したパラメタを用いて算出する不良距離算出部、
前記発音判定部が、前記発音装置が優良であると判定しなかった場合に、前記不良距離算出部が算出したマハラノビス距離のうち最も小さいものに関連付けられた調整方法を、前記発音装置の調整の指針として提示する指針提示部
として機能させるためのプログラム。
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