JP2014154358A - 2次電池型燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】充電効率の向上を図ることができる2次電池型燃料電池システムを提供する。
【解決手段】2次電池型燃料電池システムは、化学反応により燃料ガスを発生し、前記化学反応の逆反応により再生可能な燃料発生部材1と、酸化剤ガスと前記燃料ガスとを用いて発電を行う発電機能及び前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解機能を有する発電・電気分解部と、前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間でガスを循環させるためのガス流路と、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極で発生する酸素を前記発電・電気分解部から排出するための送風機13と、前記送風機の送風量を制御する送風機制御部と、を備える。電気分解が行われているときに、前記送風機制御部が、前記陽極付近の酸素の分圧比に依存する物理量に基づいて、前記陽極付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく前記送風機の送風量を制御する。
【選択図】図1

Description

本発明は、発電動作だけでなく充電動作も行える2次電池型燃料電池システムに関する。
燃料電池は、典型的には、固体ポリマーイオン交換膜を用いた固体高分子電解質膜、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質膜(例えば特許文献1参照)等を、燃料極(アノード)と酸化剤極(カソード)とで両側から挟み込んだものを1つのセル構成としている。そして、燃料極に燃料ガス(例えば水素)を供給する燃料ガス流路と、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば酸素や空気)を供給する酸化剤ガス流路とが設けられ、これらの流路を介して燃料ガス、酸化剤ガスがそれぞれ燃料極、酸化剤極に供給されることにより発電が行われる。
燃料電池は、原理的に取り出せる電力エネルギーの効率が高いため、省エネルギーになるだけでなく、環境に優れた発電方式であり、地球規模でのエネルギーや環境問題解決の切り札として期待されている。
特許第3113340号公報 特開2008−94645号公報 特表平11−501448号公報 国際公開第2012/070487号 特開2003−45466号公報
特許文献2〜4には、燃料電池へ燃料ガスとして供給される水素を、鉄(水素発生部材)と水または水蒸気との化学反応により発生させる方法が開示されている。さらに、特許文献3および特許文献4には、固体酸化物型燃料電池と、酸化反応により水素を発生し、還元反応により再生可能な鉄(水素発生部材)とを組み合わせた2次電池型燃料電池システムが開示されている。
上記2次電池型燃料電池システムでは、システムの発電動作時に燃料電池において下記の(1)式に示す発電反応が起こり、鉄(水素発生部材)において下記の(2)式に示す酸化反応が起こる。
2+1/2O2→H2O …(1)
3Fe+4H2O→Fe34+4H2 …(2)
また、上記2次電池型燃料電池システムでは、システムの充電動作時に燃料電池において下記の(3)式に示す水の電気分解反応が起こり、酸化鉄(酸化された水素発生部材)において下記の(4)式に示す還元反応が起こる。
2O→H2+1/2O2 …(3)
Fe34+4H2→3Fe+4H2O …(4)
ここで、燃料電池の開回路電圧Eは、下記のネルンストの式で表される。
E0は標準起電力であり、Rは気体定数、Tは絶対温度、Fはファラデー定数、PH2は水素の分圧、PH2Оは水蒸気の分圧、PО2は酸素の分圧であり、ΔG0は燃料電池の発電反応(H2+1/2O2→H2O)における標準ギブス自由エネルギーであり、温度が決まれば一意に定まる値である。
システムの発電動作時には、燃料電池の開回路電圧Eから損失により生じる過電圧を引いた電圧が、燃料電池の端子電圧となる。
一方、システムの充電動作時には、燃料電池の開回路電圧Eに損失により生じる過電圧を加えた電圧が、燃料電池の端子電圧となる。
また、システムの充電動作時には、上記の(3)式に示す水の電気分解反応により燃料電池の酸化剤極側で酸素が発生する。このため、酸化剤極側で発生した酸素の排出が十分でなければ、酸化剤極側の酸素分圧比が高まるため、上述したネルンストの式に応じて燃料電池の開回路電圧Eが上昇する。したがって、より高い端子電圧を燃料電池の燃料極−酸化剤極間に供給することが必要となり、充電効率が下がるという課題が生じる。
そこで、システムの充電動作時に酸化剤極側で発生する酸素を排出するための送風機を上記2次電池型燃料電池システムに設け、充電効率の低下を防止することが望ましい。
しかしながら、送風機の駆動にはエネルギーが必要であるため、上記送風機の送風量を大きくしすぎると、却って充電効率が下がるおそれがある。
なお、特許文献5では、燃料電池の開回路電圧を測定し、発電異常やガス漏れを検知していることは開示されているが、特許文献1〜4と同様に酸素を排出するための送風機を設けることは開示されていない。
本発明は、上記の状況に鑑み、充電効率の向上を図ることができる2次電池型燃料電池システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明に係る2次電池型燃料電池システムは、化学反応により燃料ガスを発生し、前記化学反応の逆反応により再生可能な燃料発生部材と、酸化剤ガスと前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスとを用いて発電を行う発電機能及び前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解機能を有する発電・電気分解部と、前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間でガスを循環させるためのガス流路と、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極で発生する酸素を前記発電・電気分解部から排出するための送風機と、前記送風機の送風量を制御する送風機制御部と、を備え、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに、前記送風機制御部が、前記陽極付近の酸素の分圧比に依存する物理量に基づいて、前記陽極付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく前記送風機の送風量を制御する構成とする。
なお、前記発電・電気分解部は、例えば、前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う発電動作と、前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解動作とを切り替える燃料電池を備え、当該燃料電池の酸化剤極が前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極となる構成であってもよく、また、例えば、前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスを用いて発電を行う燃料電池と、前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解器とを別個に備え、当該電気分解器の陽極が前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極となる構成であってもよい。
前記送風機制御部は、例えば、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に供給される電流の値を検出する電流検出回路を有し、前記電流検出回路によって検出された電流の値に基づいて前記送風機の送風量を制御する構成とすればよい。
また、前記送風機制御部は、例えば、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に供給される電流の値を検出する電流検出回路と、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に印加される電圧の値を検出する電圧検出回路と、を有し、前記電圧検出回路によって検出された電圧の値を前記電流検出回路によって検出された電流の値で除した値に基づいて前記送風機の送風量を制御する構成にしてもよい。
また、前記送風機制御部は、例えば、前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極付近の酸素濃度を検出する酸素濃度計を有し、前記酸素濃度計によって検出された酸素濃度に基づいて前記送風機の送風量を制御する構成にしてもよい。
本発明に係る2次電池型燃料電池システムによると、発電・電気分解部が電気分解を行っているときに、発電・電気分解部の陽極付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機の送風量が制御されるので、発電・電気分解部の陽極付近の酸素の分圧比が高くなって充電効率が下がること及び送風機の駆動エネルギーが大きくなって充電効率が下がることを防止することができる。したがって、充電効率の向上を図ることができる。
本発明の第1実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を示す図である。 電流検出回路の構成例を示す回路図である。 第1実施形態に係る送風量制御動作を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を示す図である。 電流検出回路および電圧検出回路の構成例を示す回路図である。 第2実施形態に係る送風量制御動作を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を示す図である。 第3実施形態に係る送風量制御動作を示すフローチャートである。
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。なお、本発明は、後述する実施形態に限られない。
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を図1に示す。本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムは、燃料発生部材1と、燃料電池部2と、燃料発生部材1を加熱するヒーター3と、燃料電池部2を加熱するヒーター4と、燃料発生部材1及びヒーター3を収容する容器5と、燃料電池部2及びヒーター4を収容する容器6と、燃料発生部材1と燃料電池部2の間でガスを循環させるための配管7と、燃料発生部材1と燃料電池部2の間でガスを強制的に循環させるポンプ8と、断熱容器9と、燃料電池部2の空気極2Cに空気を供給するための配管10と、燃料電池部2の空気極2Cから空気を排出するための配管11と、システム全体を制御するシステムコントローラ12と、燃料電池部2が電気分解を行っているときに燃料電池部2の空気極(陽極)2Cで発生する酸素を燃料電池部2の空気極2Cから排出するための送風機13と、電流検出回路14と、を備えている。断熱容器9は、容器5及び6と、配管7、10、及び11それぞれの一部とを収容している。
なお、図が煩雑になることを防ぐため、電力を伝送する電力ラインや制御信号を伝送する制御ラインなどの図示を一部省略している。また、必要に応じて、燃料発生部材1や燃料電池部2の周辺に温度センサ等を設けてもよい。
送風機13としては、例えば、コンプレッサ、ファン、ブロアなどを挙げることができる。送風機13にファンを用いた場合は、一定流の空気を燃料電池部2の空気極2Cに供給することができ、送風機13にダイヤフラム式の送風機を用いた場合は、ダイヤフラムを高速で駆動させることでほぼ一定流の空気を燃料電池部2の空気極2Cに供給することができる。なお、本実施形態では送風機13を配管10上に配置しているが、配管11上に配置してもよい。また、本実施形態では、送風機13は、燃料電池部2が電気分解を行っているときにも駆動し、燃料電池部2の空気極2Cに空気を強制的に送る。
燃料発生部材1としては、例えば、金属を母材として、その表面に金属または金属酸化物が添加されており、酸化性ガス(例えば水蒸気)との酸化反応によって燃料ガス(例えば水素)を発生し、還元性ガス(例えば水素)との還元反応により再生可能なものを用いることができる。母材の金属としては例えば、Ni、Fe、Pd、V、Mgやこれらを基材とする合金が挙げられ、特にFeは安価で、加工も容易なので好ましい。また、添加される金属としては、Al、Rd、Pd、Cr、Ni、Cu、Co、V、Moが挙げられ、添加される金属酸化物としてはSiO2、TiO2が挙げられる。ただし、母材となる金属と、添加される金属は同一の材料ではない。なお、本実施形態においては、燃料発生部材1として、Feを主体とする燃料発生部材を用いる。
Feを主体とする燃料発生部材は、例えば、上述した(2)式に示す酸化反応により、酸化性ガスである水蒸気を消費して燃料ガス(還元性ガス)である水素を生成することができる。
上記の(2)式に示す鉄の酸化反応が進むと、鉄から酸化鉄への変化が進んで鉄の残量が減っていくが、上記の(2)式の逆反応すなわち上述した(4)式に示す還元反応により、燃料発生部材1を再生することができる。なお、上記の(2)式に示す鉄の酸化反応及び上記の(4)式の還元反応は600℃未満の低い温度で行うこともできる。
燃料発生部材1においては、その反応性を上げるために単位体積当りの表面積を大きくすることが望ましい。燃料発生部材1の単位体積当りの表面積を増加させる方策としては、例えば、燃料発生部材1の主体を微粒子化し、その微粒子化したものを成型すればよい。微粒子化の方法は例えばボールミル等を用いた粉砕によって粒子を砕く方法が挙げられる。さらに、機械的な手法などにより微粒子にクラックを発生させることで微粒子の表面積をより一層増加させてもよく、酸処理、アルカリ処理、ブラスト加工などによって微粒子の表面を荒らして微粒子の表面積をより一層増加させてもよい。
燃料発生部材1としては、例えば、微粒子をペレット状の粒に形成してこの粒を多数空間内に埋める形態であってもよく、微粒子をガスが通過する程度の空隙を残して固めたものであってもよい。
燃料電池部2は、図1に示す通り、電解質膜2Aの両面に燃料極2Bと酸化剤極である空気極2Cを接合したMEA構造(膜・電極接合体:Membrane Electrode Assembly)である。なお、図1では、MEAを1つだけ設けた構造を図示しているが、MEAを複数設けたり、さらに複数のMEAを積層構造にしたりしてもよい。
電解質膜2Aの材料としては、例えば、イットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用いることができ、また例えば、ナフィオン(デュポン社の商標)、カチオン導電性ポリマー、アニオン導電性ポリマー等の固体高分子電解質を用いることができるが、これらに限定されることなく、水素イオンを通すものや酸素イオンを通すもの、また、水酸化物イオンを通すもの等、燃料電池の電解質としての特性を満たすものであればよい。なお、本実施形態においては、電解質膜2Aとして、酸素イオン又は水酸化物イオンを通す電解質、例えばイットリア安定化ジルコニア(YSZ)を用いた固体酸化物電解質を用いる。
電解質膜2Aは、固体酸化物電解質の場合であれば、電気化学蒸着法(CVD−EVD法;Chemical Vapor Deposition - Electrochemical Vapor Deposition)等を用いて形成することができ、固体高分子電解の場合であれば、塗布法等を用いて形成することができる。
燃料極2B、空気極2Cはそれぞれ、例えば、電解質膜2Aに接する触媒層と、その触媒層に積層された拡散電極とからなる構成にすることができる。触媒層としては、例えば白金黒或いは白金合金をカーボンブラックに担持させたもの等を用いることができる。また、燃料極2Bの拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、Ni−Fe系サーメットやNi−YSZ系サーメット等を用いることができる。また、空気極2Cの拡散電極の材料としては、例えばカーボンペーパ、La−Mn−O系化合物やLa−Co−Ce系化合物等を用いることができる。燃料極2B、空気極2Cはそれぞれ、例えば蒸着法等を用いて形成することができる。
以下の説明では、燃料ガスとして水素を用いた場合について説明する。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの発電時に燃料電池部2はシステムコントローラ12の制御によって外部負荷(不図示)に電気的に接続される。燃料電池部2では、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの発電時に、燃料極2Bにおいて下記の(5)式の反応が起こる。
2+O2-→H2O+2e- …(5)
上記の(5)式の反応によって生成された電子は、外部負荷(不図示)を通って、空気極2Cに到達し、空気極2Cにおいて下記の(6)式の反応が起こる。
1/2O2+2e-→O2- …(6)
そして、上記の(6)式の反応によって生成された酸素イオンは、電解質膜2Aを通って、燃料極2Bに到達する。上記の一連の反応を繰り返すことにより、燃料電池部2が発電動作を行うことになる。また、上記の(5)式から分かるように、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの発電動作時には、燃料極2B側においてH2が消費されH2Oが生成されることになる。
上記の(3)式及び(4)式より、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの発電動作時における燃料電池部2での反応は上述した(1)式の通りになる。
一方、燃料発生部材1は、上記の(2)式に示す酸化反応により、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの発電時に燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2Oを消費してH2を生成する。
上記の(2)式に示す鉄の酸化反応が進むと、鉄から酸化鉄への変化が進んで鉄残量が減っていくが、上記の(4)式に示す還元反応により、燃料発生部材1を再生することができ、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムを充電することができる。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電時に燃料電池部2はシステムコントローラ12の制御によって電流検出回路14を介して外部電源100に接続される。燃料電池部2では、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電時に、上記の(1)式の逆反応である上述した(3)式に示す電気分解反応が起こり、燃料極2B側においてH2Oが消費されH2が生成され、燃料発生部材1では、上記の(4)式に示す還元反応が起こり、燃料電池部2の燃料極2B側で生成されたH2が消費されH2Oが生成される。
ここで、電流検出回路14の構成例を図2Aに示し、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作時において実施されるシステムコントローラ12および電流検出回路14による送風機13の送風量制御動作を図2Bに示す。なお、図2Aにおいて、直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路は燃料電池部2の等価回路の一例である。
電流検出回路14は、直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路(燃料電池部2)を流れる電流を検出する抵抗R2と、抵抗R3〜R6及びオペアンプA1からなる差動増幅器とによって構成される。抵抗R2は、直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路(燃料電池部2)に直列接続される。抵抗R2の一端は抵抗R5を介してオペアンプA1の非反転入力端子に接続される。抵抗R2の他端は抵抗R3を介してオペアンプA1の反転入力端子に接続される。オペアンプA1の反転入力端子は抵抗R4を介してオペアンプA1の出力端子に接続される。オペアンプA1の非反転入力端子は抵抗R6を介してグランド電位に接続される。抵抗R3と抵抗R5の抵抗値が同一であり、抵抗R4と抵抗R6の抵抗値が同一である場合、差動増幅器の増幅率は、抵抗R6の抵抗値を抵抗R5の抵抗値で除した値となる。燃料電池部2を流れる電流に比例する抵抗R2の両端電圧が差動増幅器によって増幅されてシステムコントローラ12のAポートに供給される。
次に、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作時において実施される送風機13の送風量制御動作について図2Bを参照して説明する。
システムコントローラ12の制御によって本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が開始されると、外部電源100と燃料電池部2とが電流検出回路14を介して電気的に接続されるので、外部電源100から燃料電池部2への電圧印加が開始される(ステップS1)。
ステップS1に続くステップS2において、システムコントローラ12は、電流検出回路14からAポートに供給される信号を読み取り、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値を検知する。
ステップS2に続くステップS3において、システムコントローラ12は、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第1の所定値より大きいか否かを確認する。なお、ステップS3で用いる第1の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。
外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第1の所定値より大きければ、システムコントローラ12は、ステップS4に進んで、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第2の所定値より小さいか否かを確認する。なお、ステップS4で用いる第2の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。第2の所定値は第1の所定値より大きい値である。
一方、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第1の所定値より大きくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が大きくなり所定の範囲を超えていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量増加させ(ステップS5)、その後ステップS2に戻る。
ステップS4における確認の結果、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第2の所定値より小さければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まっていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を変化させずにステップS2に戻る。
一方、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第2の所定値より小さくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が小さくなり所定の範囲に達していないと推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量減少させ(ステップS6)、その後ステップS2に戻る。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が行われている期間中、上述した図2Bに示す送風機13の送風量制御動作が実施される。なお、システムコントローラ12は、例えば、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の総量や燃料発生部材1の重量変化等から燃料発生部材1の酸化状態を検出し、その検出結果に基づいて充電動作の停止タイミングを決定することができる。この場合、充電動作の停止タイミングで割り込み処理を行い、図2Bに示す制御動作を終了するようにすればよい。
図2Bに示す送風機13の送風量制御動作によると、燃料電池部2が電気分解を行っているときに、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機13の送風量が制御される。これにより、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が高くなって充電効率が下がること及び送風機13の駆動エネルギーが大きくなって充電効率が下がることを防止することができる。したがって、充電効率の向上を図ることができる。
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を図3に示す。なお、図3において図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムは、第1実施形態に係る2次電池型燃料電池システムに電圧検出回路15を追加した構成である。
ここで、電流検出回路14および電圧検出回路15の構成例を図4Aに示し、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作時において実施されるシステムコントローラ12、電流検出回路14、および電圧検出回路15による送風機13の送風量制御動作を図4Bに示す。なお、図4Aにおいて図2Aと同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
電圧検出回路15は、非反転入力端子が直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路のグランド電位に接続されていない側の端部に接続され、反転入力端子及び出力端子がともにシステムコントローラ12のBポートに接続されるオペアンプA2からなるボルテージフォロア回路である。電圧検出回路15は、インピーダンス変換を行うことで、直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路のグランド電位に接続されていない側のインピーダンスに影響を及ぼすことなく、直流電源D1と抵抗R1からなる直列回路のグランド電位に接続されていない側の電圧の値を検出し、検出結果をシステムコントローラ12のBポートに出力する。
次に、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作時において実施される送風機13の送風量制御動作について図4Bを参照して説明する。
システムコントローラ12の制御によって本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が開始されると、外部電源100と燃料電池部2とが電流検出回路14および電圧検出回路15を介して電気的に接続されるので、外部電源100から燃料電池部2への電圧印加が開始される(ステップS11)。
ステップS11に続くステップS12において、システムコントローラ12は、電流検出回路14からAポートに供給される信号を読み取り、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値を検知するとともに、電圧検出回路15からBポートに供給される信号を読み取り、燃料電池部2の燃料極2B−空気極2C間に印加される電圧の値を検知する。
ステップS12に続くステップS13において、システムコントローラ12は、外部電源100から燃料電池部2に印加される電圧の値を外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値で除した値(以下、インピーダンス値と称す)が第3の所定値より大きいか否かを確認する。なお、ステップS13で用いる第3の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。
インピーダンス値が第3の所定値より小さければ、システムコントローラ12は、ステップS14に進んで、インピーダンス値が第4の所定値より大きいか否かを確認する。なお、ステップS14で用いる第4の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。第4の所定値は第3の所定値より小さい値である。
一方、インピーダンス値が第3の所定値より小さくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が大きくなり所定の範囲を超えていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量増加させ(ステップS15)、その後ステップS12に戻る。
ステップS14における確認の結果、インピーダンス値が第4の所定値より大きければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まっていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を変化させずにステップS12に戻る。
一方、インピーダンス値が第4の所定値より大きくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が小さくなり所定の範囲に達していないと推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量減少させ(ステップS16)、その後ステップS12に戻る。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が行われている期間中、上述した図4Bに示す送風機13の送風量制御動作が実施される。なお、システムコントローラ12は、例えば、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の総量や燃料発生部材1の重量変化等から燃料発生部材1の酸化状態を検出し、その検出結果に基づいて充電動作の停止タイミングを決定することができる。この場合、充電動作の停止タイミングで割り込み処理を行い、図4Bに示す制御動作を終了するようにすればよい。
図4Bに示す送風機13の送風量制御動作によると、燃料電池部2が電気分解を行っているときに、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機13の送風量が制御される。これにより、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が高くなって充電効率が下がること及び送風機13の駆動エネルギーが大きくなって充電効率が下がることを防止することができる。したがって、充電効率の向上を図ることができる。
また、第1実施形態では、燃料電池部2の燃料極2B−空気極2C間に印加される電圧が常に一定であるという仮定の下に、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機13の送風量が制御されている。したがって、第1実施形態では、上記の仮定が崩れた場合、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第1の所定値より大きく第2の所定値より小さくなっていても、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲外になるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、燃料電池部2の燃料極2B−空気極2C間に印加される電圧が一定でない場合でも、インピーダンス値を第3の所定値より小さく第4の所定値より大きくすることで、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比を所定の範囲内に収めることができる。
<第3実施形態>
本発明の第3実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの概略構成を図5に示す。なお、図5において図1と同一の部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムは、第1実施形態に係る2次電池型燃料電池システムから電流検出回路14を取り除き、酸素濃度計16を追加した構成である。
酸素濃度計16は、空気極2C付近に配置され、空気極2C付近の酸素濃度を検出する。酸素濃度計16は、いずれの方式のものでもよいが、耐熱性が高いジルコニア式酸素濃度計が好ましい。
次に、本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作時において実施される送風機13の送風量制御動作について図6を参照して説明する。
システムコントローラ12の制御によって本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が開始されると、外部電源100と燃料電池部2とが電気的に接続されるので、外部電源100から燃料電池部2への電圧印加が開始される(ステップS21)。
ステップS21に続くステップS22において、システムコントローラ12は、酸素濃度計16の出力信号を読み取り、空気極2C付近の酸素濃度を検知する。
ステップS22に続くステップS23において、システムコントローラ12は、空気極2C付近の酸素濃度が第5の所定値より大きいか否かを確認する。なお、ステップS23で用いる第5の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。
空気極2C付近の酸素濃度が第5の所定値より小さければ、システムコントローラ12は、ステップS24に進んで、空気極2C付近の酸素濃度が第6の所定値より大きいか否かを確認する。なお、ステップS24で用いる第6の所定値の設定値はシステムコントローラ12の内蔵メモリに格納すればよい。第6の所定値は第5の所定値より小さい値である。
一方、空気極2C付近の酸素濃度が第5の所定値より小さくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が大きくなり所定の範囲を超えていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量増加させ(ステップS25)、その後ステップS22に戻る。
ステップS24における確認の結果、空気極2C付近の酸素濃度が第6の所定値より大きければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まっていると推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を変化させずにステップS22に戻る。
一方、空気極2C付近の酸素濃度が第6の所定値より大きくなければ、空気極2C付近の酸素の分圧比が小さくなり所定の範囲に達していないと推定できるので、システムコントローラ12は、送風機13の送風量を所定量減少させ(ステップS26)、その後ステップS22に戻る。
本実施形態に係る2次電池型燃料電池システムの充電動作が行われている期間中、上述した図6に示す送風機13の送風量制御動作が実施される。なお、システムコントローラ12は、例えば、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の総量や燃料発生部材1の重量変化等から燃料発生部材1の酸化状態を検出し、その検出結果に基づいて充電動作の停止タイミングを決定することができる。この場合、充電動作の停止タイミングで割り込み処理を行い、図6に示す制御動作を終了するようにすればよい。
図6に示す送風機13の送風量制御動作によると、燃料電池部2が電気分解を行っているときに、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機13の送風量が制御される。これにより、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が高くなって充電効率が下がること及び送風機13の駆動エネルギーが大きくなって充電効率が下がることを防止することができる。したがって、充電効率の向上を図ることができる。
また、第1実施形態では、燃料電池部2の燃料極2B−空気極2C間に印加される電圧が常に一定であるという仮定の下に、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく送風機13の送風量が制御されている。したがって、第1実施形態では、上記の仮定が崩れた場合、外部電源100から燃料電池部2に供給される電流の値が第1の所定値より大きく第2の所定値より小さくなっていても、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比が所定の範囲外になるおそれがある。
これに対して、本実施形態では、燃料電池部2の燃料極2B−空気極2C間に印加される電圧が一定でない場合でも、空気極2C付近の酸素濃度を第5の所定値より小さく第6の所定値より大きくすることで、空気極(陽極)2C付近の酸素の分圧比を所定の範囲内に収めることができる。
<その他>
上述した実施形態においては、燃料電池部2の電解質膜2Aとして固体酸化物電解質を用いて、発電の際に燃料極2B側で水を発生させるようにする。この構成によれば、燃料発生部材1が設けられた側で水を発生するため、装置の簡素化や小型化に有利である。一方、特開2009−99491号公報に開示された燃料電池のように、燃料電池部2の電解質膜2Aとして水素イオンを通す固体高分子電解質を用いることも可能である。但し、この場合には、発電の際に燃料電池部2の酸化剤極2C側で水が発生されることになるため、この水を燃料発生部1に伝搬する流路を設ければよい。また、上述した実施形態では、1つの燃料電池部2が発電も水の電気分解も行っているが、燃料電池(例えば発電専用の固体酸化物燃料電池)と水の電気分解器(例えば水の電気分解専用の固体酸化物燃料電池)が燃料発生部材1に対してガス流路上並列に接続される構成にしてもよい。
また、上述した実施形態では、燃料発生部材1と燃料電池部2とを別々の容器に収容したが、同一の容器に収容しても構わない。
また、上述した実施形態では、燃料電池部2の燃料ガスを水素にしているが、一酸化炭素や炭化水素など水素以外の還元性ガスを燃料電池部2の燃料ガスとして用いても構わない。
また、上述した実施形態では、酸化剤ガスに空気を用いているが、空気以外の酸化剤ガスを用いても構わない。
また、上述した実施形態に係る2次電池型燃料電池システムが、通常充電モードと急速充電モード(通常充電モードよりも外部電源100から燃料電池部2に供給する電流量を増加させ、燃料発生部材1の還元速度を大きくするモード)とを備える場合、急速充電モードが選択されているときには通常充電モードが選択されているときよりも第1〜第6の所定値の各設定を大きくすればよい。
また、上述した実施形態では、空気極2C付近の酸素の分圧比に依存する物理量と所定値との大小関係によって、送風機13の送風量が制御されたが、例えば、空気極2C付近の酸素の分圧比に依存する物理量と送風機13の送風量の設定値との関係を示す計算式を用いて、送風機13の送風量が制御されてもよく、空気極2C付近の酸素の分圧比に依存する物理量を所定量毎に区分し、各区分と送風機13の送風量の設定値との関係を示す計算式またはデータテーブルを用いて、送風機13の送風量が制御されてもよい。
1 燃料発生部材
2 燃料電池部
2A 電解質膜
2B 燃料極
2C 空気極
3、4 ヒーター
5、6 容器
7、10、11 配管
8 ポンプ
9 断熱容器
12 システムコントローラ
13 送風機
14 電流検出回路
15 電圧検出回路
16 酸素濃度計
100 外部電源
A1、A2 オペアンプ
D1 直流電源
R1〜R6 抵抗

Claims (4)

  1. 化学反応により燃料ガスを発生し、前記化学反応の逆反応により再生可能な燃料発生部材と、
    酸化剤ガスと前記燃料発生部材から供給される前記燃料ガスとを用いて発電を行う発電機能及び前記燃料発生部材の再生時に前記燃料発生部材から供給される前記逆反応の生成物を電気分解する電気分解機能を有する発電・電気分解部と、
    前記燃料発生部材と前記発電・電気分解部との間でガスを循環させるためのガス流路と、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極で発生する酸素を前記発電・電気分解部から排出するための送風機と、
    前記送風機の送風量を制御する送風機制御部と、を備え、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに、前記送風機制御部が、前記陽極付近の酸素の分圧比に依存する物理量に基づいて、前記陽極付近の酸素の分圧比が所定の範囲内に収まるべく前記送風機の送風量を制御することを特徴とする2次電池型燃料電池システム。
  2. 前記送風機制御部は、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に供給される電流の値を検出する電流検出回路を有し、
    前記電流検出回路によって検出された電流の値に基づいて前記送風機の送風量を制御することを特徴とする請求項1に記載の2次電池型燃料電池システム。
  3. 前記送風機制御部は、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に供給される電流の値を検出する電流検出回路と、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部に印加される電圧の値を検出する電圧検出回路と、を有し、
    前記電圧検出回路によって検出された電圧の値を前記電流検出回路によって検出された電流の値で除した値に基づいて前記送風機の送風量を制御することを特徴とする請求項1に記載の2次電池型燃料電池システム。
  4. 前記送風機制御部は、
    前記発電・電気分解部が電気分解を行っているときに前記発電・電気分解部の陽極付近の酸素濃度を検出する酸素濃度計を有し、
    前記酸素濃度計によって検出された酸素濃度に基づいて前記送風機の送風量を制御することを特徴とする請求項1に記載の2次電池型燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2017183158A1 (ja) * 2016-04-21 2019-02-28 住友電気工業株式会社 コンテナ型電池

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