JP2014153113A - 速度推定装置及びプログラム - Google Patents

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洪二郎 武山
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Abstract

【課題】観測衛星数が少ない環境でも、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定する。
【解決手段】車速データVt wheel、ヨーレイトデータωt、及びGPSデータを時系列に取得し、相対方位算出部22で、ωtに基づいて、時系列の相対方位角θt gyroを算出し、各々を時系列車速蓄積部20、時系列相対方位蓄積部24、及び時系列GPSデータ蓄積部26に保存する。衛星方向速度算出部28で、衛星方向速度Vst iを算出する。自車速度推定部30で、GPSデータに基づいて3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、時刻毎に変化する未知パラメータの時間変化分を、方位角、ピッチ角、及びクロックドリフトの時間変化、並びに車速の大きさで拘束した方程式に、観測値を代入して時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式し、得られたパラメータを用いて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、速度推定装置及びプログラムに係り、特に、GPS(Global Positioning System、全地球測位システム)情報及びINS(Inertial Navigation System、慣性航法システム)情報に基づいて、移動体の3次元速度ベクトルを推定する速度推定装置及びプログラムに関する。
従来、GPS受信機により受信されるドップラー周波数と自車両の車輪速データとを統合し、自車両の速度を推定する技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。非特許文献1に記載の技術では、現在時刻における車輪速データとドップラー周波数のデータとを取得し、車輪速データにより車速を拘束した上で、ドップラー周波数を用いて速度ベクトルを推定している。ドップラー周波数のみを用いて速度推定を行う場合、未知パラメータが4つ存在するため、4つ以上のGPS衛星が観測されることが必要であるのに対して、車輪速データを合わせて用いることで、3つ以上のGPS衛星が観測されれば速度推定が可能となる。
また、旋回角度センサと距離センサとにより検出した自律移動ベクトルを積算して自車位置を検出する自律航法手段と、GPS衛星からの電波を受信して自車位置を検出するGPS航法手段とを備えたナビゲーション装置において、GPS航法手段による車両の進行方向及び速度を示す複数の計測時点におけるGPS移動ベクトルと、自律航法手段による車両の進行方向及び速度を示す複数の対応する計測時点における自律移動ベクトルとの差分を示す複数の差分データの差に基づいて、GPS航法手段により検出されたデータの信頼性を判断する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の装置では、GPS航法手段により検出されたデータの信頼性が低いと判断された場合には、自律航法手段の検出値を用いて位置推定を行っている。
特開2002−323551号公報
しかしながら、上記の非特許文献1に記載の技術では、1時刻分の観測データのみを用いて、「車輪速による車速拘束」という拘束条件のみを利用しているため、利用できるGPS衛星数に制限があり、かつ速度推定を行う際の拘束条件が少ない。このため、観測されたGPS衛星数(以下、観測衛星数という)が少ない環境(3未満)では、速度推定を行うことができない、という問題がある。
また、特許文献1記載の技術では、観測衛星数が4未満の場合では、GPSデータを棄却し、自律航法(INSのみによる軌跡推定)を行うが、自律航法では、進行方位誤差及び進行距離誤差が累積するため、観測衛星数が4未満の場所が長く続いた場合(自律航法が長く続いた場合)には、自車位置の推定結果が大きくずれてしまう可能性がある、という問題がある。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、観測衛星数が少ない環境でも、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定することができる速度推定装置及びプログラムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の速度推定装置は、GPS衛星から送信されたGPSデータを時系列に取得する取得手段と、前記取得手段により時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて立式される各時刻における前記移動体の3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、該方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定する推定手段と、を含んで構成されている。
本発明の速度推定装置によれば、取得手段が、GPS衛星から送信されたGPSデータを時系列に取得する。そして、推定手段が、取得手段により時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて立式される各時刻における移動体の3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束された方程式に基づいて、移動体の3次元速度ベクトルを推定する。
このように、時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて移動体の3次元速度ベクトルを推定する場合に、方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータを、3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束することにより、未知パラメータ数を削減することができ、各時刻における観測衛星数が少ない環境でも未知パラメータ数以上の方程式を立式できる可能性が大きくなり、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定することができる
また、前記推定手段は、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報を、前記移動体のピッチ角の時間変化とし、該移動体のピッチ角の時間変化を直線近似または曲線近似することにより拘束することができる。これにより、高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報をセンサ等により直接検出することなく、拘束条件として用いることができる。
また、前記推定手段は、前記曲線近似を2次曲線近似とすることができる。これにより、方程式に含まれる未知パラメータ数の増加を抑えつつ、多様な道路勾配に対して整合性を損なうことなく、ピッチ角の時間変化を近似させた拘束条件を設定することができる。
また、前記取得手段は、前記移動体の高度を検出する高度センサで検出された高度情報を時系列に取得し、前記推定手段は、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報を、前記取得手段により取得された高度情報の時間変化とすることができる。このように、高度センサにより直接検出した高度情報を用いて、高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報による拘束条件を設定することにより、より精度良く3次元速度ベクトルを推定することができる。
また、前記取得手段は、前記移動体のヨーレイト及び前記移動体の速度の大きさの少なくとも一方を時系列に取得し、前記推定手段は、前記方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報と共に、前記取得手段により取得された時系列のヨーレイトに基づいて算出された前記移動体の進行方向の方位角の時間変化、前記取得手段により取得された速度の大きさ、及びクロックドリフトの時間変化の線形化の少なくとも1つにより拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定することができる。このように、他の拘束条件も用いることにより、方程式に含まれる未知パラメータをより削減することができる。
また、本発明の速度推定装置は、前記取得手段により取得された高度情報の精度に基づいて、前記推定手段における該高度情報の使用可否を判定する高度情報使用可否判定手段を含んで構成することができる。
また、本発明の速度推定装置は、前記方位角の時間変化の算出精度に基づいて、前記推定手段における該方位角の時間変化の使用可否を判定する方位角使用可否判定手段を含んで構成することができる。
また、本発明の速度推定装置は、前記取得手段により取得された速度の大きさの精度に基づいて、前記推定手段における該速度の大きさの使用可否を判定する速度使用可否判定手段を含んで構成することができる。
また、本発明の速度推定装置は、前記取得手段により取得されたGPSデータの受信状態、擬似距離の残差、及びドップラー周波数の残差の少なくとも1つに基づいて、前記方程式の立式に用いるGPSデータを選択するGPS選択手段を含んで構成することができる。
また、本発明の速度推定装置は、前記取得手段により取得された複数時刻における複数のGPSデータ各々を送信したGPS衛星の種類数に応じて、前記方程式に含まれる未知パラメータ数を選択する未知パラメータ数選択手段を含んで構成することができる。
このように、高度情報、方位角の時間変化、及び速度の大きさの使用可否を判定したり、受信状態の良いGPSデータを選択したり、GPS衛星の種類数に応じて方程式に含まれる未知パラメータ数を選択したりすることで、より精度良く移動体の3次元速度ベクトルを推定することができる。
また、本実施の形態に係る速度推定プログラムは、コンピュータを、GPS衛星から送信されたGPSデータを時系列に取得する取得手段、及び前記取得手段により時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて立式される各時刻における前記移動体の3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、該方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定する推定手段として機能させるためのプログラムである。
なお、本発明のプログラムを記憶する記憶媒体は、特に限定されず、ハードディスクであってもよいし、ROMであってもよい。また、CD−ROMやDVDディスク、光磁気ディスクやICカードであってもよい。更にまた、該プログラムを、ネットワークに接続されたサーバ等からダウンロードするようにしてもよい。
以上説明したように、本発明の速度推定装置及びプログラムによれば、時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて移動体の3次元速度ベクトルを推定する場合に、方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータを、3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束することにより、未知パラメータ数を削減することができる。これにより、各時刻における観測衛星数が少ない環境でも未知パラメータ数以上の方程式を立式できる可能性が大きくなり、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定することができる、という効果が得られる。
第1の実施の形態に係る速度推定装置を示すブロック図である。 GPSデータに基づく3次元速度ベクトルの推定を説明するための図である。 第1の実施の形態における速度推定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。 第2の実施の形態に係る速度推定装置を示すブロック図である。 第2の実施の形態における速度推定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。 第3の実施の形態に係る速度推定装置を示すブロック図である。 第3の実施の形態における速度推定処理ルーチンの内容を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本実施の形態では、車両に搭載され、自車両の3次元速度ベクトルを推定する速度推定装置に、本発明を適用した場合を例に説明する。
図1に示すように、第1の実施の形態に係る速度推定装置10は、自車両の速度の大きさを検出する車速センサ12と、自車両のヨーレイトを検出するヨーレイトセンサ14と、GPS衛星から送信されるGPSデータを受信するGPS装置16と、自車両の3次元速度ベクトルを推定するコンピュータ18とを備えている。
車速センサ12は、車輪速から出力された車速データを検出する。なお、車速センサ12としては、レーザレーダ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ等、GPS装置16以外であれば、車輪速を検出するセンサ以外を用いてもよい。
ヨーレイトセンサ14は、ジャイロセンサなどを用いることができ、自車両のヨーレイトデータを検出する。なお、ヨーレイトセンサ14としては、レーザレーダ、移動ステレオなど、GPS装置16以外であれば、ジャイロセンサ以外のセンサを用いてもよい。
GPS装置16は、測位及び速度推定に必要となる擬似距離、ドップラー周波数、衛星番号、衛星位置、衛星速度等を含むGPSデータを、GPS衛星から受信する。
コンピュータ18は、CPU、後述する速度推定処理ルーチンを実現するためのプログラムを記憶したROM、データを一時的に記憶するRAM、及びHDD等の記憶装置で構成されている。このコンピュータ18を以下で説明する速度推定処理ルーチンに従って機能ブロックで表すと、図1に示すように、時系列に取得された車速データを蓄積する時系列車速蓄積部20と、時系列に取得されたヨーレイトデータから相対方位角を算出する相対方位算出部22と、時系列に算出された相対方位角を蓄積する時系列相対方位蓄積部24と、時系列に取得されたGPSデータを蓄積する時系列GPSデータ蓄積部26と、GPSデータを用いて自車両からGPS衛星方向への3次元速度ベクトルを算出する衛星方向速度算出部28と、未知パラメータの時間変化分を拘束した方程式に基づいて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する自車速度推定部30と、を含んだ構成で表すことができる。
時系列車速蓄積部20には、車速センサ12で検出された車速データが時系列に保存される。データ保存のトリガは、一定時間経過時でもよいし、一定距離走行時でもよい。なお、時刻tに車速センサ12で検出された車速データをVt wheelとする。
相対方位算出部22は、自車両の進行方向のある時点における方位角に対する時刻tの相対方位角θt gyroを、ヨーレイトセンサ14で検出されたヨーレイトデータを用いて、下記(1)式により算出する。なお、Δtはタイムステップを示し、ωtは時刻tに検出されたヨーレイトデータを示す。
Figure 2014153113
時系列相対方位蓄積部24には、相対方位算出部22で算出された相対方位角θt gyroが時系列に保存される。データ保存のトリガは、時系列車速蓄積部20と同じタイミングとする。
時系列GPSデータ蓄積部26には、GPS装置16で取得されたGPSデータが時系列に保存される。データ保存のトリガは、時系列車速蓄積部20と同じタイミングとする。
衛星方向速度算出部28は、時系列GPSデータ蓄積部26に蓄積されたGPSデータに含まれるドップラー周波数を用いて、自車両からGPS衛星方向の3次元速度ベクトル(衛星方向速度)を算出する。
ここで、図2に、ドップラー周波数を用いた3次元速度ベクトル算出の概要を示す。ドップラー周波数を用いた速度推定では、観測された各GPS衛星のドップラー周波数に基づき、各GPS衛星方向への速度成分をそれぞれ算出し、各々を合成することで自車両の3次元速度ベクトルを求める。そのための各GPS衛星方向への速度成分は下記(2)式により算出される。
Figure 2014153113
ここで、Vst iは自車両からGPS衛星i方向への速度ベクトルの大きさ、Vxst i、Vyst i、Vzst iはGPS衛星iの各速度成分、Dt iはドップラー周波数、f1はGPSデータの搬送波の周波数、Cは光速、rt iは自車両とGPS衛星i間の擬似距離、Gxt i、Gyt i、Gzt iは自車両からGPS衛星iへの視線ベクトル、Xt si、Yt si、Zt siは衛星位置、Xt v、Yt v、Zt vは自車両位置を示す。添え字tは時刻tのデータであることを表し、添え字iはi番目のGPS衛星のデータであることを表す。自車両位置は、擬似距離を用いた一般的な測位方法またはその他の測位方法を用いて算出した値を用いることができる。
(2)式に示す自車両から各GPS衛星方向への速度ベクトルの大きさと、最終的に推定する自車両の3次元速度ベクトルとの関係式を下記(4)式に示す。なお、(Vxt,Vyt,Vzt)は最終的に推定する自車両の3次元速度ベクトル、及びCbvtはGPS装置16の時計誤差の時間変化(クロックドリフト)である。
Figure 2014153113
(4)式に示す連立方程式に、GPSデータから算出したVst i、Gxt i、Gyt i及びGzt iを代入して解くことにより、自車両の3次元速度ベクトルを推定することができる。衛星方向速度算出部28では、このVst i、Gxt i、Gyt i及びGzt iを算出する。衛星方向速度Vst iは、ドップラー周波数から求められる各GPS衛星に対する自車両の相対速度、GPSデータに含まれる衛星位置の時系列データから求められる各GPS衛星の速度ベクトル、及び各GPS衛星の衛星位置と自車両位置とから求められる衛星方向に基づいて算出することができる。Gxt i、Gyt i及びGzt iは、(3)式により算出することができる。
自車速度推定部30は、後述する拘束条件で拘束された速度推定のための方程式に基づいて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する。速度推定に用いる各観測値の時系列データの範囲は、現時刻からの経過時間や走行距離などに基づき決定する。以下では、速度推定に使用する時系列データの内、最古のデータの時刻をt=0(初期時刻)として扱う。
ここで、本実施の形態の原理について説明する。
(4)式の連立方程式を解くにあたり、解を得るための条件は、通常「未知パラメータ数=立式数」である、(4)式では、Vxt、Vyt、Vzt、及びCbvtの4つが未知パラメータであるため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「未知パラメータ数=時刻数×4」となる。これに対して、「立式数=時刻数×各時刻での観測衛星数」であるため、各時刻での観測衛星数が平均4つ以上ない場合には、速度推定結果が得られないことになる。特に、都市部のように建物の遮蔽により観測衛星数が少ない環境では、上記条件を満たすのは困難である。
そこで、本実施の形態では、以下の拘束条件を取り入れることで、未知パラメータ数を削減し、観測衛星数が少ない環境でも速度推定の解が得られる可能性を向上させる。第1の実施の形態で用いる拘束条件は、下記に示す拘束条件1〜4である。
Figure 2014153113
拘束条件1は、推定する3次元速度ベクトルの各成分の大きさを、時系列車速蓄積部20に蓄積された時系列の車速データVt wheelで拘束したものである。また、拘束条件1内のθtは自車両の時系列の方位角、及びφtは自車両の時系列のピッチ角である。
拘束条件2は、拘束条件1内の時間変化分である時系列の方位角θtを時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位角θt gyroで拘束したものである。拘束条件2内のθ0は初期時刻における自車両の進行方向の方位角である。
拘束条件3は、拘束条件1内の時間変化分である時系列のピッチ角φtを2次曲線で近似したものである。拘束条件3内のφ0は初期時刻におけるピッチ角、αは1次項の係数、及びβは2次項の係数である。これは、短い区間の道路勾配、すなわちピッチ角の時間変化は、概ね2次曲線で近似できるとの仮定の下での拘束条件である。なお、道路勾配の近似は2次近似に限定されず、0次近似や1次近似でもよいし、3次以上で近似してもよい。ただし、次数が低い場合には道路勾配の近似精度が低くなり、次数が高い場合には3次元速度ベクトルを推定する際の方程式に含まれる未知パラメータ数が多くなるため、双方のバランスの取れた適切な次数を設定すればよい。なお、2次近似とした場合には、未知パラメータ数の増加を抑えつつ、多様な道路勾配に対して整合性を損なわない近似となるため、第1の実施の形態における拘束条件3として用いるのに好適である。
拘束条件4は、クロックドリフトの時間変化は緩やかであるため、短時間内における変化は線形であると仮定するものである。拘束条件4内のCbv0は初期時刻におけるクロックドリフト、及びAはクロックドリフトの時間変化の傾きを示す。
上記拘束条件1〜4を、(4)式に取り入れた結果、下記(5)式が得られる。
Figure 2014153113
(5)式において、未知パラメータは、θ0、φ0、α、β、Cbv0、及びAであり、これらの未知パラメータを求めることで、自車両の3次元速度ベクトルを推定することができる。(5)式では、拘束条件1〜4を導入することにより、未知パラメータ数を6つまで削減したため、「立式数=時刻数×各時刻の観測衛星数」が6以上であれば、速度推定結果を得ることができる。例えば、3時刻(t0,t1,t2)の観測衛星数がそれぞれ2であったとしても、観測されたGPS衛星からのGPSデータを用いて、速度推定結果を算出可能である。
従って、自車速度推定部30は、上記の本実施の形態の原理に従って、時間変化分を拘束した(5)式を用いて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する。具体的には、時系列車速蓄積部20に蓄積された時系列の車速データVt wheel、時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位θt gyro、並びに衛星方向速度算出部28で算出された衛星方向速度Vst i及びGxt i、Gyt i、Gzt iを(5)式に代入して、時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式する。これらの方程式を解いて未知パラメータθ0、φ0、α、β、Cbv0、及びAを求める。そして、求めたパラメータθ0及び時系列の相対方位角θt gyroを拘束条件2に代入して時系列の方位角θtを求める。また、求めたパラメータφ0、α、及びβを拘束条件3に代入して時系列のピッチ角φtを求める。求めた時系列の方位角θt及び時系列のピッチ角φt、並びに時系列の車速データVt wheelを拘束条件1に代入して、自車両の3次元速度ベクトルを算出する。
次に、第1の実施の形態に係る速度推定装置10の作用について説明する。
各時刻tにおいて、車速センサ12により車速データVt wheelを検出し、ヨーレイトセンサ14によりヨーレイトデータωtを検出し、GPS装置16によりGPSデータを受信しているときに、コンピュータ18において、図3に示す速度推定処理ルーチンが実行される。
ステップ100で、観測値として、車速センサ12により検出された車速データVt wheel、ヨーレイトセンサ14により検出されたヨーレイトデータωt、及びGPS装置16により受信したGPSデータを時系列に取得する。そして、車速データVt wheelを時系列車速蓄積部20に保存すると共に、GPSデータを時系列GPSデータ蓄積部26に保存する。
次に、ステップ102で、上記ステップ100で取得した時系列のヨーレイトデータωtに基づいて、(1)式により、時系列の相対方位角θt gyroを算出する。そして、算出した時系列の相対方位角θt gyroを時系列相対方位蓄積部24に保存する。
次に、ステップ104で、上記ステップ100で保存された時系列のGPSデータに基づいて、(2)式により、衛星方向速度Vst iを算出する。また、(3)式により、Gxt i、Gyt i及びGzt iを算出する。
次に、ステップ106で、上記ステップ100で、時系列車速蓄積部20に蓄積された時系列の車速データVt wheel、及び上記ステップ102で、時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位θt gyro、並びに上記ステップ104で算出された衛星方向速度Vst i及びGxt i、Gyt i、Gzt iを、拘束条件1〜4に基づいて時間変化分を拘束した(5)式に代入して、時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式する。
次に、ステップ108で、上記ステップ106で立式した方程式を解いて、未知パラメータθ0、φ0、α、β、Cbv0、及びAを求める。そして、求めたパラメータθ0及び時系列の相対方位角θt gyroを拘束条件2に代入して時系列の方位角θtを求める。また、求めたパラメータφ0、α、及びβを拘束条件3に代入して時系列のピッチ角φtを求める。求めた時系列の方位角θt及び時系列のピッチ角φt、並びに時系列の車速データVt wheelを拘束条件1に代入して、自車両の3次元速度ベクトルを算出し、速度推定処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第1の実施の形態に係る速度推定装置によれば、複数時刻におけるGPSデータを用いて自車両の3次元速度ベクトルを推定する場合に、速度推定のための方程式における未知パラメータの時間変化分を拘束することにより、未知パラメータ数を削減する。この際、高さ方向の速度に関係する値として、時系列のピッチ角を、道路勾配を2次曲線で拘束した拘束条件を用いる。これにより、各時刻における観測衛星数が少ない環境でも、未知パラメータ数以上の方程式を立式できる可能性が大きくなり、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定することができる。
なお、第1の実施の形態では、時系列のピッチ角の拘束条件と共に、車速データ、時系列の方位角、及びクロックバイアスの時間変化による拘束条件の全てを用いる場合について説明したが、これに限定されない。時系列のピッチ角の拘束条件のみを用いてもよいし、時系列のピッチ角の拘束条件と、車速データ、時系列の相対方位角、及びクロックバイアスの時間変化による拘束条件の少なくとも1つの拘束条件とを組み合わせて用いてもよい。
拘束条件として、時系列のピッチ角のみを用いた場合には、(5)式において、Vt wheel、θt(θt=θ0+θt gyroの拘束がないため、(5)式の「θ0+θt gyro」を「θt」に置き換え)、Cbvt(Cbvt=Cbv0+Atの拘束がないため、(5)式の「Cbv0−At」を「Cbvt」に置き換え)、φ0、α、及びβが未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×3+3」となる。全ての拘束条件を適用した場合に比べると未知パラメータ数は多くなるが、時間変化する未知パラメータ数を削減することができるため、時刻数を多くとった場合には、未知パラメータ数を削減することができる。
また、拘束条件として、時系列のピッチ角とクロックドリフトの時間変化とを用いた場合には、(5)式において、Vt wheel、θt(θt=θ0+θt gyroの拘束がないため、(5)式の「θ0+θt gyro」を「θt」に置き換え)、Cbv0、A、φ0、α、及びβが未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×2+5」となり、上記と同様に、時間変化する未知パラメータ数を削減することができる。
また、拘束条件として、時系列のピッチ角と時系列の方位角とを用いた場合には、(5)式において、Vt wheel、θ0、Cbv0、A、φ0、α、及びβが未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×1+6」となり、上記と同様に、時間変化する未知パラメータ数を削減することができる。
次に、第2の実施の形態について説明する。なお、第2の実施の形態に係る速度推定装置において、第1の実施の形態に係る速度推定装置10と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図4に示すように、第2の実施の形態に係る速度推定装置210は、車速センサ12と、ヨーレイトセンサ14と、気圧センサ15と、GPS装置16と、コンピュータ218とを備えている。
気圧センサ15は、気圧の変化に基づいて、自車両の高度情報を検出する。なお、気圧センサ15に替えて、自車両の高度情報を検出することができるセンサを用いてもよい。
また、コンピュータ218を以下で説明する速度推定処理ルーチンに従って機能ブロックで表すと、図4に示すように、時系列車速蓄積部20と、相対方位算出部22と、時系列相対方位蓄積部24と、時系列GPSデータ蓄積部26と、衛星方向速度算出部28と、時系列に取得された高度情報を蓄積する時系列高度情報蓄積部31と、自車速度推定部230と、を含んだ構成で表すことができる。
時系列高度情報蓄積部31には、気圧センサ15で検出された高度情報が時系列に保存される。データ保存のトリガは、時系列車速蓄積部20と同じタイミングとする。なお、時刻tに気圧センサ15で検出された高度情報をht baroとする。
自車速度推定部230は、第1の実施の形態における自車速度推定部30と同様に、未知パラメータの時間変化分が拘束された速度推定のための方程式に基づいて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する。自車速度推定部230では、下記の拘束条件5〜7を用いる。
Figure 2014153113
拘束条件5は、推定する3次元速度ベクトルの進行方向及び車両幅方向の各成分の大きさを、時系列車速蓄積部20に蓄積された時系列の車速データVt wheelで拘束し、かつ時系列の方位角θtを時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位角θt gyroで拘束したものである。
拘束条件6は、推定する3次元速度ベクトルの高さ方向の成分を、時系列高度情報蓄積部31に蓄積された時系列の高度情報ht boroで拘束したものである。拘束条件6内のΔtは気圧センサ15の出力周期である。
拘束条件7は、第1の実施の形態における拘束条件3と同様で、クロックドリフトの短時間内における変化は線形であると仮定した拘束条件である。
上記拘束条件5〜7を、(4)式に取り入れた結果、下記(6)式が得られる。
Figure 2014153113
(6)式において、未知パラメータは、θ0、Cbv0、及びAであり、これらの未知パラメータを求めることで、自車両の3次元速度ベクトルを推定することができる。(6)式では、拘束条件5〜7を導入することにより、未知パラメータ数を3つまで削減したため、「立式数=時刻数×各時刻の観測衛星数」が3以上であれば、速度推定結果を得ることができる。例えば、3時刻(t0,t1,t2)の観測衛星数がそれぞれ1であったとしても、観測されたGPS衛星からのGPSデータを用いて、速度推定結果を算出可能である。
自車速度推定部230は、具体的には、時系列車速蓄積部20に蓄積された車速データVt wheel、時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位θt gyro、時系列高度情報蓄積部31に蓄積された高度情報ht baro、既知の気圧センサ15の出力周期Δt、並びに衛星方向速度算出部28で算出された衛星方向速度Vst i及びGxt i、Gyt i、Gzt iを(6)式に代入して、時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式する。これらの方程式を解いて未知パラメータθ0、Cbv0、及びAを求める。そして、求めたパラメータθ0、時系列の車速データVt wheel、及び時系列の相対方位角θt gyroを拘束条件1に代入して、自車両の3次元速度ベクトルの成分Vxt及びVytを算出する。また、時系列の高度情報ht baro及び既知の気圧センサ15の出力周期Δtを拘束条件2に代入して、自車両の3次元速度ベクトルの成分Vztを算出する。
次に、第2の実施の形態に係る速度推定装置210の作用について説明する。
各時刻tにおいて、車速センサ12により車速データVt wheelを検出し、ヨーレイトセンサ14によりヨーレイトデータωtを検出し、気圧センサ15により高度情報ht baroを検出し、GPS装置16によりGPSデータを受信しているときに、コンピュータ218において、図5に示す速度推定処理ルーチンが実行される。なお、第1の実施の形態における速度推定処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
ステップ200で、観測値として、車速センサ12により検出された車速データVt wheel、ヨーレイトセンサ14により検出されたヨーレイトデータωt、気圧センサ15により検出された高度情報ht baro、及びGPS装置16により受信したGPSデータを時系列に取得する。そして、車速データVt wheelを時系列車速蓄積部20に保存し、高度情報ht baroを時系列高度情報蓄積部31に保存し、GPSデータを時系列GPSデータ蓄積部26に保存する。
次に、ステップ102で、時系列の相対方位θt gyroを算出し、次に、ステップ104で、衛星方向速度st i、並びに(4)式のGxt i、Gyt i及びGzt iを算出する。
次に、ステップ202で、上記ステップ200で、時系列車速蓄積部20に蓄積された車速データVt wheel、時系列高度情報蓄積部31に蓄積された高度情報ht baro、及び上記ステップ102で、時系列相対方位蓄積部24に蓄積された相対方位θt gyro、並びに上記ステップ104で算出された衛星方向速度Vst i及びGxt i、Gyt i、Gzt iを、拘束条件5〜7に基づいて時間変化分を拘束した(6)式に代入して、時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式する。
次に、ステップ108で、上記ステップ202で立式した方程式を解いて、自車両の3次元速度ベクトルを算出し、速度推定処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第2の実施の形態に係る速度推定装置によれば、推定する速度ベクトルの高さ方向の成分を、気圧センサにより検出された高度情報に基づいて拘束することにより、各時刻における観測衛星数が少ない環境でも、未知パラメータ数以上の方程式を立式できる可能性が大きくなり、移動体の高さ方向の速度成分も含む3次元速度ベクトルを、安定して精度良く推定することができる。
なお、第2の実施の形態では、高度情報に基づく高さ方向の速度成分の拘束条件と共に、車速データ、時系列の方位角、及びクロックバイアスの時間変化による拘束条件の全てを用いる場合について説明したが、これに限定されない。高度情報に基づく高さ方向の速度成分の拘束条件のみを用いてもよいし、高度情報に基づく高さ方向の速度成分の拘束条件と、車速データ、時系列の方位角、及びクロックバイアスの時間変化による拘束条件の少なくとも1つの拘束条件とを組み合わせて用いてもよい。
拘束条件として、高度情報に基づく高さ方向の速度成分のみを用いた場合には、(6)式において、Vt wheel、θt(θt=θ0+θt gyroの拘束がないため、(6)式の「θ0+θt gyro」を「θt」に置き換え)、及びCbvt(Cbvt=Cbv0+Atの拘束がないため、(6)式の「Cbv0−At」を「Cbvt」に置き換え)が未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×3」となり、未知パラメータ数を削減することができる。
また、拘束条件として、高度情報に基づく高さ方向の速度成分とクロックドリフトの時間変化とを用いた場合には、(6)式において、Vt wheel、θt(θt=θ0+θt gyroの拘束がないため、(6)式の「θ0+θt gyro」を「θt」に置き換え)、Cbv0、及びAが未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×2+2」となり、上記と同様に、未知パラメータ数を削減することができる。
また、拘束条件として、高度情報に基づく高さ方向の速度成分と時系列の方位角とを用いた場合には、(6)式において、Vt wheel、θ0、Cbv0、及びAが未知パラメータとなる。そのため、時系列データの全時刻における未知パラメータ数は、「時刻数×1+3」となり、上記と同様に、未知パラメータ数を削減することができる。
次に、第3の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態に係る速度推定装置において、第1の実施の形態に係る速度推定装置10と同一の構成については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
図6に示すように、第3の実施の形態に係る速度推定装置310は、車速センサ12と、ヨーレイトセンサ14と、GPS装置16と、コンピュータ318とを備えている。このコンピュータ318を以下で説明する速度推定処理ルーチンに従って機能ブロックで表すと、図6に示すように、車速センサ12で検出された車速データの使用可否を判定する車速使用可否判定部32と、観測されたGPS衛星から受信状態の良いGPS衛星を選択する衛星選択部36と、時系列車速蓄積部20と、相対方位算出部22と、相対方位算出部22で算出された相対方位の使用可否を判定する相対方位使用可否判定部34と、時系列相対方位蓄積部24と、時系列GPSデータ蓄積部26と、衛星方向速度算出部28と、観測されたGPS衛星の種類数に応じて方程式に含まれる未知パラメータ数を選択する未知パラメータ数選択部38と、未知パラメータの時間変化分を拘束し、かつ未知パラメータ数が選択された方程式に基づいて、自車両の3次元速度ベクトルを推定する自車速度推定部330と、を含んだ構成で表すことができる。
車速使用可否判定部32は、車速センサ12で検出された車速データの信頼性判定を行い、車速データが使用可能か否かを判定する。例えば、車速データを車輪速から検出した場合には、低速時には車輪速分解能力が低下することにより、車速データの精度が劣化するため、一定値以下の車速データは使用不可と判定する。また、カーブ時には、タイヤのスリップによって車速データの誤差が増加するため、ヨーレイトデータが一定値以上のときに検出された車速データは使用不可と判定する。
相対方位使用可否判定部34は、相対方位算出部22で算出された相対方位の信頼性判定を行い、相対方位が使用可能か否かを判定する。例えば、カーブ時には、タイヤのスリップによって車両の進行方向と車両の向きとの間にずれが生じるため、ヨーレイトデータが一定値以上の時の相対方位は使用不可と判定する。
衛星選択部36は、受信したGPSデータの中で、受信状態が良いGPS衛星からのGPSデータを選択する。都心部では、建物によりGPS信号の反射(マルチパス)などが起こり、擬似距離やドップラー周波数の精度が劣化する場合があるため、例えば、GPSデータの受信時のSN比や、擬似距離またはドップラー周波数の残差が大きい場合には、そのGPSデータは誤りであると判定して、排除する。
未知パラメータ数選択部38は、自車速度推定部330で用いる方程式に含まれる未知パラメータ数を選択する。通常、未知パラメータ数を増やすことで、より高精度な速度推定を行うことが可能となるが、観測されたGPS衛星の種類数が未知パラメータ数を下回る場合、解は不安定性を増し、正確な速度推定結果が得られない場合がある。そこで、未知パラメータ数選択部38は、時系列GPSデータ蓄積部26に保存された時系列のGPSデータにおいて、全時刻で観測されたGPS衛星の種類数に応じて、自車速度推定部330で用いる未知パラメータ数を選択する。GPS衛星の種類数は、全時刻におけるGPS衛星の衛星番号から重複を排除してカウントすることにより求めることができる。例えば、観測されたGPS衛星の種類数を「4」、「5」、「6以上」のように場合分けを行い、各場合の未知パラメータ数を、それぞれ「4」、「5」、「6」のように選択することができる。
自車速度推定部330は、第1の実施の形態と同様の拘束条件1〜4に従い、未知パラメータ数選択部38で選択された未知パラメータ数に応じて拘束条件3を設定した上で方程式を立式し、自車両の3次元速度ベクトルを推定する。例えば、選択されたパラメータ数が「4」の場合には、拘束条件3を下記(7)式に示すように設定する。また、選択されたパラメータ数が「5」の場合には、拘束条件3を下記(8)式に示すように設定する。また、選択されたパラメータ数が「6」の場合には、拘束条件3を下記(9)式に示すように設定する。
Figure 2014153113
(7)式は、拘束条件3において、ピッチ角の時間変化(道路勾配)を0次近似した場合の拘束条件である。この拘束条件を用いて(5)式により方程式を立式した場合、未知パラメータは、θ0、φ0、Cbv0、及びAの4つとなる。(8)式は、拘束条件3において、ピッチ角の時間変化を1次近似した場合の拘束条件である。この拘束条件を用いて(5)式により方程式を立式した場合、未知パラメータは、θ0、φ0、α、Cbv0、及びAの5つとなる。(9)式は、拘束条件3において、ピッチ角の時間変化を2次近似した場合の拘束条件である。この拘束条件を用いて(5)式により方程式を立式した場合は、第1の実施の形態の場合と同様の方程式が立式され、未知パラメータは、θ0、φ0、α、β、Cbv0、及びAの6つとなる。
次に、第3の実施の形態に係る速度推定装置210の作用について説明する。
各時刻tにおいて、車速センサ12により車速データVt wheelを検出し、ヨーレイトセンサ14によりヨーレイトデータωtを検出し、GPS装置16によりGPSデータを受信しているときに、コンピュータ318において、図7に示す速度推定処理ルーチンが実行される。なお、第1の実施の形態における速度推定処理ルーチンと同一の処理については、同一符号を付して詳細な説明を省略する。
ステップ100で、各観測値を時系列に取得し、次に、ステップ300で、上記ステップ100で取得した各時刻tにおける車速データVt wheelの使用可否を判定する。使用可と判定された車速データVt wheelは時系列車速蓄積部20に保存し、使用不可と判定された車速データVt wheelは排除する。
次に、ステップ302で、上記ステップ100で取得した各時刻tにおける各GPS衛星からのGPSデータの中で、GPSデータの受信時のSN比や、擬似距離またはドップラー周波数の残差に基づいて、受信状態が良いGPSデータを選択する。受信状態が良いと判定されたGPSデータは時系列GPSデータ蓄積部26に保存し、受信状態が悪いと判定されたGPSデータは排除する。
次に、ステップ102で、時系列の相対方位角θt gyroを算出する。次に、ステップ304で、上記ステップ102で算出した各時刻tにおける相対方位角θt gyroの使用可否を判定する。使用可と判定された相対方位角θt gyroは時系列相対方位蓄積部24に蓄積し、使用不可と判定された相対方位角θt gyroは排除する。
次に、ステップ104で、衛星方向速度st i、並びに(4)式のGxt i、Gyt i及びGzt iを算出する。
次に、ステップ306で、時系列データの全時刻における観測されたGPS衛星の種類数を求めて、GPS衛星の種類数に応じて、後段のステップ308で立式する方程式に含まれる未知パラメータ数を選択する。
次に、ステップ308で、上記ステップ306で選択された未知パラメータ数に応じた方程式に、上記ステップ300で保存された時系列の車速データVt wheel、上記ステップ102で算出された時系列の相対方位θt gyro、及び上記ステップ104で算出したVst i、Gxt i、Gyt i、Gzt iを代入して、時刻数×各時刻の観測衛星数分の方程式を立式する。この際、上記ステップ300または302で、使用不可と判定された車速データVt wheelまたはヨーレイトデータωtが存在する時刻tについては、方程式は立式されない。
次に、ステップ108で、上記ステップ308で立式した方程式を解いて、自車両の3次元速度ベクトルを算出し、速度推定処理ルーチンを終了する。
以上説明したように、第3の実施の形態に係る速度推定装置によれば、車速データや相対方位の使用可否を判定したり、受信状態の良いGPSデータを選択したり、観測されたGPS衛星の種類数に応じて方程式に含まれる未知パラメータ数を選択したりすることで、より3次元速度ベクトルの推定精度が向上する。
なお、第3の実施の形態では、第1の実施の形態に係る速度推定装置に、車速使用可否判定部、相対方位使用可否判定部、衛星選択部、及び未知パラメータ数選択部を加えた構成について説明したが、第2の実施の形態に係る速度推定装置に、車速使用可否判定部、相対方位使用可否判定部、衛星選択部、及び未知パラメータ数選択部を加えた構成としてもよい。また、第2の実施の形態に、気圧センサで検出された高度情報の信頼性判定を行い、高度情報が使用可能か否かを判定する高度情報使用可否判定部を設けてもよい。高度情報使用可否判定部は、例えば、前回検出された高度情報と今回検出された高度情報との差が車輪速から得られる自車の移動距離以上の場合には、その高度情報は使用不可と判定することができる。
また、上記の各実施の形態では、車両に搭載される速度推定装置について説明したが、本発明の速度推定装置が搭載される移動体は車両に限定されない。例えば、速度推定装置をロボットに搭載してもよいし、歩行者が携帯できるように速度推定装置をポータブル端末として構成するようにしてもよい。
10、210、310 速度推定装置
12 車速センサ
14 ヨーレイトセンサ
15 気圧センサ
16 GPS装置
18、218、318 コンピュータ
20 時系列車速蓄積部
22 相対方位算出部
24 時系列相対方位蓄積部
26 時系列GPSデータ蓄積部
28 衛星方向速度算出部
30、230、330 自車速度推定部
31 時系列高度情報蓄積部
32 車速使用可否判定部
34 相対方位使用可否判定部
36 衛星選択部
38 未知パラメータ数選択部

Claims (11)

  1. GPS衛星から送信されたGPSデータを時系列に取得する取得手段と、
    前記取得手段により時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて立式される各時刻における前記移動体の3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、該方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定する推定手段と、
    を含む速度推定装置。
  2. 前記推定手段は、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報を、前記移動体のピッチ角の時間変化とし、該移動体のピッチ角の時間変化を直線近似または曲線近似することにより拘束する請求項1記載の速度推定装置。
  3. 前記推定手段は、前記曲線近似を2次曲線近似とした請求項2記載の速度推定装置。
  4. 前記取得手段は、前記移動体の高度を検出する高度センサで検出された高度情報を時系列に取得し、
    前記推定手段は、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報を、前記取得手段により取得された高度情報の時間変化とした
    請求項1記載の速度推定装置。
  5. 前記取得手段により取得された高度情報の精度に基づいて、前記推定手段における該高度情報の使用可否を判定する高度情報使用可否判定手段を含む請求項4記載の速度推定装置。
  6. 前記取得手段は、前記移動体のヨーレイト及び前記移動体の速度の大きさの少なくとも一方を時系列に取得し、
    前記推定手段は、前記方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報と共に、前記取得手段により取得された時系列のヨーレイトに基づいて算出された前記移動体の進行方向の方位角の時間変化、前記取得手段により取得された速度の大きさ、及びクロックドリフトの時間変化の線形化の少なくとも1つにより拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定する
    請求項1〜請求項5のいずれか1項記載の速度推定装置。
  7. 前記方位角の時間変化の算出精度に基づいて、前記推定手段における該方位角の時間変化の使用可否を判定する方位角使用可否判定手段を含む請求項6記載の速度推定装置。
  8. 前記取得手段により取得された速度の大きさの精度に基づいて、前記推定手段における該速度の大きさの使用可否を判定する速度使用可否判定手段を含む請求項6または請求項7記載の速度推定装置。
  9. 前記取得手段により取得されたGPSデータの受信状態、擬似距離の残差、及びドップラー周波数の残差の少なくとも1つに基づいて、前記方程式の立式に用いるGPSデータを選択するGPS選択手段を含む請求項1〜請求項8のいずれか1項記載の速度推定装置。
  10. 前記取得手段により取得された複数時刻における複数のGPSデータ各々を送信したGPS衛星の種類数に応じて、前記方程式に含まれる未知パラメータ数を選択する未知パラメータ数選択手段を含む請求項1〜請求項9のいずれか1項記載の速度推定装置。
  11. コンピュータを、
    GPS衛星から送信されたGPSデータを時系列に取得する取得手段、及び
    前記取得手段により時系列に取得された複数のGPSデータに基づいて立式される各時刻における前記移動体の3次元速度ベクトルを推定するための方程式であって、該方程式に含まれる時刻毎に変化する未知パラメータが、前記3次元速度ベクトルの高さ方向の速度成分に関連する時間変化する情報により拘束された方程式に基づいて、前記移動体の3次元速度ベクトルを推定する推定手段
    として機能させるための速度推定プログラム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2015104757A1 (ja) * 2014-01-08 2015-07-16 株式会社デンソー 速度推定装置
JP2016156809A (ja) * 2015-02-09 2016-09-01 株式会社リコー 相対方位角の計算方法と装置、ならびに相対位置特定方法
JP2016206149A (ja) * 2015-04-28 2016-12-08 株式会社豊田中央研究所 勾配推定装置及びプログラム

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