JP2014153091A - 絶縁状態検出装置 - Google Patents

絶縁状態検出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2014153091A
JP2014153091A JP2013020797A JP2013020797A JP2014153091A JP 2014153091 A JP2014153091 A JP 2014153091A JP 2013020797 A JP2013020797 A JP 2013020797A JP 2013020797 A JP2013020797 A JP 2013020797A JP 2014153091 A JP2014153091 A JP 2014153091A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
voltage
charging
temperature
capacitor
time length
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2013020797A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6063282B2 (ja
Inventor
Yoshihiro Kawamura
佳浩 河村
Ryosuke Arigaya
亮介 有ヶ谷
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yazaki Corp
Original Assignee
Yazaki Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yazaki Corp filed Critical Yazaki Corp
Priority to JP2013020797A priority Critical patent/JP6063282B2/ja
Publication of JP2014153091A publication Critical patent/JP2014153091A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6063282B2 publication Critical patent/JP6063282B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Measurement Of Resistance Or Impedance (AREA)
  • Testing Of Short-Circuits, Discontinuities, Leakage, Or Incorrect Line Connections (AREA)

Abstract

【課題】検出用コンデンサのDCバイアス電圧特性の影響を減らし高精度で地絡抵抗を計測することを可能とする。
【解決手段】V0計測周期で得られた電圧V0の計測値から定数テーブル(TB2)を用いて補正係数を取得し、次のVc1n計測区間の充電時間長Tc1n、Vc1p計測区間の充電時間長Tc1pを自動的に補正し、検出用コンデンサ(C1)のDCバイアス電圧特性の影響を排除する。更に、サーミスタ(25)を用いて検出用コンデンサの温度を検出し、温度特性を補償するための補正値を定数テーブル(TB1)から取得し、充電時間長(T1)に自動的に反映する。検出用コンデンサとしてセラミックコンデンサ等の特性が変化しやすい部品を採用している場合であっても、高精度で地絡抵抗を計測できる。
【選択図】図3

Description

本発明は、車両に搭載可能な絶縁状態検出装置に関する。
例えば、電気自動車のように、推進用エネルギーとして電力を利用する車両においては、200V程度の高電圧を出力する直流電源装置を搭載する場合がある。このような高電圧の直流電源装置を搭載した車両の場合には、直流電源装置の正負の電源ラインと車体との間が電気的に絶縁された状態で使用される。すなわち、車体は高電圧を出力する電源のアースとして利用しない。
このような車両においては、安全性の確保等のために、高電圧の直流電源出力の配線と車体との間が十分に電気絶縁されていることを検査して確認する必要がある。このような検査を行う場合に用いられる絶縁状態検出装置の従来技術が、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3に開示されている。
この種の絶縁状態検出装置は、フライングキャパシタを用いている。すなわち、スイッチング素子を介して、高電圧の正負の電源ラインと接地電極(車体)との間に一定時間だけ検出用コンデンサ(フライングキャパシタと呼ばれる)を接続する。このフライングキャパシタの充電電圧を監視し、この充電電圧から計算により地絡抵抗、すなわち電源ラインと接地電極との間の絶縁抵抗を算出する。
このような絶縁状態検出装置の検出用コンデンサとしては、例えばフィルムコンデンサやセラミックコンデンサを利用することが考えられる。しかし、フィルムコンデンサは高精度である反面、小型化するのが難しく、耐湿性が低いという特性もある。従って、車載用の絶縁状態検出装置の場合には、大きさが小さいセラミックコンデンサを利用することが想定される。
しかし、セラミックコンデンサを利用する場合には精度の点で課題がある。すなわち、次のような課題がある。
(1)部品毎の静電容量のばらつきが大きい。
(2)DC(直流)バイアス電圧の影響により実際に使用する際の静電容量が変動する。
(3)実際に使用する際の静電容量が温度変化に応じて変動する。
そこで、特許文献1においては、検出用コンデンサとしてセラミックコンデンサを使った場合のDCバイアス特性の影響を除くための技術を開示している。具体的には、地絡抵抗RLが警報閾値RLxのときの各充電電圧と充電時定数を全て同じにする。これにより、警報閾値RLxの近傍ではDCバイアス特性の影響を低減し、測定精度の低下を防止できる。
また、特許文献2においては、電源充電電圧V0と負極側地絡抵抗測定電圧VC1nとの計測タイミングと、電源充電電圧V0と正極側地絡抵抗測定電圧VC1pとの計測タイミングとを同じにしている。その結果、電源の電圧が変動するときでも、その変動の影響を低減できる。
また、特許文献3においては、検出精度を確保しつつ計測時間を短縮する技術を開示している。具体的には、CPUのアナログ入力ポートの前にサンプルホールド回路を接続し、電圧を計測するタイミングを制御することにより検出精度の低下を防止している。
特開2009−281986号公報 特開2009−281987号公報 特開2011−102788号公報
絶縁状態検出装置の検出用コンデンサとしてセラミックコンデンサを利用する場合には、上記(1)、(2)、(3)等の課題があるが、絶縁抵抗の計測という特殊な環境であるため、実際にはこれらの複数の要因が互いに影響し複雑に絡み合って計測精度に悪影響を及ぼす。
例えば、検出用コンデンサの静電容量が変化すると、このコンデンサを充電する時の電圧の上昇カーブや、充電を開始してから完全充電されるまでの所要時間が変化する。従って、このコンデンサを充電する時に各タイミングでこのコンデンサの端子間に印加される直流バイアス電圧にも大きな違いが生じる。この違いが、更にこのコンデンサの静電容量に変動を及ぼすため、これが更なる計測誤差の要因となる。
従って、上記(2)のDCバイアス電圧特性の課題について、影響をなくすことは容易ではない。例えば、特許文献1に開示されている技術を利用することにより、警報閾値RLxの近傍で計測精度を上げることができるが、地絡抵抗値が警報閾値RLxと大きく異なる領域では計測精度の低下は避けられない。また、特許文献2に開示されている技術を利用することにより、V0/VC1n、V0/VC1pの比率に対するDCバイアス電圧特性の影響を減らすことができる。しかし、VC1n、VC1p等の個別の電圧計測値に対するDCバイアス電圧特性の影響を減らすことはできない。
また、例えば温度センサを用いて実際の検出用コンデンサの温度を把握できたとしても、この温度変化を反映して地絡抵抗の計測結果を正しく補正することは簡単ではない。従って、上記(3)の温度特性の影響により地絡抵抗の計測精度が低下する。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、特性が変化しやすいセラミックコンデンサ等の部品を検出用コンデンサとして採用する場合であっても、DCバイアス電圧特性の影響を減らし、高精度で地絡抵抗を計測することが可能な絶縁状態検出装置を提供することにある。
前述した目的を達成するために、本発明に係る絶縁状態検出装置は、下記(1)〜(4)を特徴としている。
(1) 所定の高圧直流電源出力の正極側電源ライン及び負極側電源ラインとそれぞれ接続される正極側入力端子及び負極側入力端子と、接地電極とを有し、フライングキャパシタの充電電圧に基づいて前記正極側電源ライン及び負極側電源ラインと前記接地電極との間の絶縁状態を地絡抵抗として把握する絶縁状態検出装置であって、
前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受けない第1の通電経路を介して充電した時に得られる第1の電圧計測値と、前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受ける第2の通電経路を介して充電した時に得られる第2の電圧計測値とをそれぞれ計測する充電電圧計測部と、
前記充電電圧計測部が計測した前記第1の電圧計測値および前記第2の電圧計測値に基づいて前記地絡抵抗の値を算出する地絡抵抗値算出部と、
前記第2の電圧計測値を計測するための前記フライングキャパシタの充電時間長を可変とし、前記第2の電圧計測値を計測する前に得られた前記第1の電圧計測値を、前記充電時間長に自動的に反映する充電時間長制御部と、
を備えること。
(2) 上記(1)に記載の絶縁状態検出装置であって、
前記充電時間長制御部は、複数の電圧範囲のそれぞれと、前記充電時間長と関連のある係数の情報とを対応付けて保持する定数テーブルを有し、前記充電電圧計測部が検出した前記第1の電圧計測値に基づき、前記定数テーブルを利用して、前記第2の電圧計測値を計測する際の前記充電時間長を自動的に補正すること。
(3) 上記(1)に記載の絶縁状態検出装置であって、
前記フライングキャパシタの近傍における温度を検出する温度検出部と、
前記温度検出部が検出した温度のパラメータを、前記フライングキャパシタの充電時間長に反映する温度補償制御部と、
を更に備えること。
(4) 上記(3)に記載の絶縁状態検出装置であって、
前記温度補償制御部は、複数の温度範囲のそれぞれと、前記フライングキャパシタを充電する時間の長さに相当する係数の情報とを対応付けて保持する温度補償テーブルを有し、前記温度検出部が検出した温度に基づき、前記温度補償テーブルを利用して、前記充電時間長を自動的に補正すること。
上記(1)の構成の絶縁状態検出装置によれば、DCバイアス電圧特性の影響を減らし、高精度で地絡抵抗を計測することが可能になる。すなわち、前記第1の電圧計測値が前記フライングキャパシタに実際に印加される電圧の最大値に相当するので、前記第1の電圧計測値に応じて補償を実施することにより、DCバイアス電圧特性の影響を減らすことができる。また、前記第2の電圧計測値を計測する時の前記フライングキャパシタの充電時間長を制御することにより、DCバイアス電圧特性の補償を行うことができる。
上記(2)の構成の絶縁状態検出装置によれば、前記充電時間長を正しく補正するために必要な係数を簡単な処理だけで取得することができる。従って、短い時間周期で計測を繰り返し実行する場合であっても、直前の計測タイミングで得られた前記第1の電圧計測値の変動の影響を、直後の計測で用いる前記充電時間長に即座に反映することが可能になる。
上記(3)の構成の絶縁状態検出装置によれば、前記フライングキャパシタのDCバイアス電圧特性だけでなく、温度特性の影響も補償することができる。また、DCバイアス電圧特性および温度特性について共通の充電時間長を制御対象として補償制御を行うので、簡単な制御だけで高精度の補償が可能になる。
上記(4)の構成の絶縁状態検出装置によれば、前記フライングキャパシタの温度に応じて前記充電時間長を正しく補正するために必要な係数を簡単な処理だけで取得することができる。
本発明の絶縁状態検出装置によれば、特性が変化しやすいセラミックコンデンサ等の部品を検出用コンデンサとして採用する場合であっても、DCバイアス電圧特性の影響を減らし、高精度で地絡抵抗を計測することが可能になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、実施形態の絶縁状態検出装置およびその周辺回路の構成例を示す電気回路図である。 図2は、図1に示した絶縁状態検出装置の主要な制御の内容を示すフローチャートである。 図3は、図1に示した絶縁状態検出装置の動作タイミングの具体例を示すタイムチャートである。 図4は、温度に応じた補償値を保持する定数テーブルの構成例を示す模式図である。 図5は、コンデンサの印加電圧、充電電荷、および温度の関係の具体例を示すグラフである。 図6は、温度変化に対応した補償特性の具体例を示すグラフである。 図7は、DCバイアス電圧補償用定数テーブルの構成例を示す模式図である。 図8は、コンデンサの印加電圧と充電電荷との関係の具体例を示すグラフである。 図9は、基本計測サイクルの動作タイミングを示すタイムチャートである。
本発明の絶縁状態検出装置に関する具体的な実施の形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<全体の構成および動作の概要>
車両に搭載された絶縁状態検出装置10およびその周辺回路の構成を図1に示す。
図1に示した絶縁状態検出装置10は、例えば電気自動車、あるいは駆動源としてエンジンおよび電気モータを備えたハイブリッド自動車のような車両に搭載して使用することができる。車載直流高圧電源50は、例えば200V程度の高電圧の直流電力を出力する。車載直流高圧電源50が出力する電力により、車両の推進力を発生する電気モータを駆動することができる。
車載直流高圧電源50の出力の正極側電源ライン111と接地電極103との間は電気的に絶縁されている。また、負極側電源ライン112と接地電極103との間も電気的に絶縁されている。接地電極103は、車両の車体などのアース部分に相当する。ここで、正極側電源ライン111と接地電極103との間の絶縁状態を地絡抵抗RLpとして表すことができる。また、負極側電源ライン112と接地電極103との間の絶縁状態を地絡抵抗RLnとして表すことができる。
また、コモンモードノイズを低減するために、図1に示すように、正極側電源ライン111と接地電極103との間にYコンデンサ101を接続し、負極側電源ライン112と接地電極103との間にYコンデンサ102を接続してある。
図1に示した絶縁状態検出装置10を車両に搭載することにより、必要に応じていつでも車両の絶縁状態を監視することができる。すなわち、車載直流高圧電源50の出力における地絡抵抗RLp、RLnを検出し絶縁状態を把握するために絶縁状態検出装置10を利用することができる。
従って、図1に示すように、絶縁状態検出装置10の正極側入力端子13及び負極側入力端子14をそれぞれ正極側電源ライン111及び負極側電源ライン112と接続してある。また、絶縁状態検出装置10の接地電極15は、接地電極103と接続してある。
絶縁状態検出装置10の計測結果や警報の情報を出力するために、図1に示すように出力端子21が設けてある。この出力端子21は、例えば車両側の電子制御装置(ECU)と接続することができる。
<絶縁状態検出装置10の構成例>
図1に示すように、絶縁状態検出装置10の回路にはフライングキャパシタとして動作する検出用コンデンサC1が設けてある。この検出用コンデンサC1には、車載用であることを考慮してセラミックコンデンサを採用している。
また、検出用コンデンサC1の充電及び放電を制御するために、その周辺に4つのスイッチング素子S1〜S4が設けてある。これらのスイッチング素子S1〜S4の各々は、例えば光MOSFETのように、絶縁された信号の制御によって接点の開閉(オフ/オン)状態を切替可能なスイッチである。
スイッチング素子S1は、正極側入力端子13と接続され、他端が配線31と接続されている。スイッチング素子S2は、一端が負極側入力端子14と接続され、他端が抵抗器R2を介して配線32と接続されている。
スイッチング素子S3は、一端が配線33と接続され、他端が配線35と接続されている。スイッチング素子S4は、一端が配線32と接続され、他端が抵抗器R4を介して接地電極15と接続されている。
検出用コンデンサC1は、負極側端子が配線32と接続されている。検出用コンデンサC1の正極側端子は、ダイオードD1及び抵抗器R1で構成される直列回路を介して配線31と接続されている。また、検出用コンデンサC1の正極側端子は、ダイオードD3及び抵抗器R3で構成される直列回路を介して配線33と接続され、更にダイオードD2を介して配線33と接続されている。ダイオードD2は配線33から配線34に向かう方向の通電を許可する極性で接続され、ダイオードD3は配線34から配線33に向かう方向の通電を許可する極性で接続されている。
なお、検出用コンデンサC1に蓄積された電荷を放電するために、配線34を図示しない特別なスイッチおよび抵抗器を介して接地しても良い。しかし、抵抗器R3、R4、R5に比較的抵抗値の小さい部品を使用することにより、そのような特別な放電回路は省略できる。
図1に示すように、検出用コンデンサC1の近傍にサーミスタ25が配置されている。このサーミスタ25は、検出用コンデンサC1の温度に応じてその抵抗値が変化するので、この温度に対応してレベルが変化する電気信号を出力することができる。
マイクロコンピュータ(CPU)11は、予め組み込まれたプログラムを実行することにより、絶縁状態検出装置10に必要とされる各種制御を実行する。具体的には、マイクロコンピュータ11は、スイッチング素子S1〜S4を個別に制御して検出用コンデンサC1の充電及び放電を制御する。また、マイクロコンピュータ11は検出用コンデンサC1の充電電圧に相当するアナログレベルを、配線36を介して一方のアナログ入力ポートAD1から入力し、この入力レベルに基づいて計算を行い、地絡抵抗RLp及びRLnを把握する。
配線35と配線36との間には入力回路20が接続されている。この入力回路20は、配線35に現れる信号をマイクロコンピュータ11の処理に適した信号に変換するための信号処理を行う。入力回路20については様々な機能および構成が考えられるが、代表的な入力回路20としてはサンプルホールド回路が想定される。
例えば、配線35と配線36との間にアナログスイッチを接続し、配線36と接地電極15との間に信号レベルを保持するキャパシタ(コンデンサ)を接続する。特定のタイミングでマイクロコンピュータ11が前記アナログスイッチを一時的にオン(導通状態)にすることにより、そのタイミングで入力された信号レベルをサンプリングし、入力回路20内の前記キャパシタで保持することができる。もちろん、このようなサンプルホールド回路の機能は、省略することも可能である。
また、マイクロコンピュータ11のもう一方のアナログ入力ポートAD2は、配線37を介してサーミスタ25の一端と接続されている。従って、マイクロコンピュータ11はアナログ入力ポートAD2の入力レベルを計測することにより、サーミスタ25の検出した検出用コンデンサC1の温度の情報を取得できる。
<地絡抵抗の計測>
<検出用コンデンサ(フライングキャパシタ)C1の充放電の説明>
<切り替えのタイミング>
計測時のスイッチング素子S1〜S4の切り替えタイミングの具体例を図9に示す。すなわち、地絡抵抗RLp及びRLnの計測を実施する際には、図9に示すような基本計測サイクルのスケジュールに従ってマイクロコンピュータ11がスイッチング素子S1〜S4のオンオフを制御し、地絡抵抗の算出に必要な計測値を取得する。
図9に示した基本計測サイクルは、「V0充電」、「計測」、「放電」、「Vc1n充電」、「計測」、「放電」、「V0充電」、「計測」、「放電」、「Vc1p充電」、「計測」、「放電」の各区間の連なりにより構成されている。
時刻t1−t2の「V0充電」区間においては、スイッチング素子S1及びS2がオン(接点閉)になり、他のスイッチング素子はオフ(接点開)になる。時刻t2−t3の「計測」区間においては、スイッチング素子S3、S4がオンになり、他のスイッチング素子はオフになる。
時刻t3−t4の「放電」区間においては、スイッチング素子S3、S4がオンになり、他のスイッチング素子はオフになる。時刻t4−t5の「Vc1p充電」区間においては、スイッチング素子S1、S4がオンになり、他のスイッチング素子はオフになる。
時刻t5−t6の「計測」区間は、時刻t2−t3の「計測」区間と同様である。また、時刻t6−t7の「放電」区間は、時刻t3−t4の「放電」区間と同様である。時刻t7−t8の「V0充電」区間は、時刻t1−t2の「V0充電」区間と同様である。続く時刻t8−t9の「計測」区間は、時刻t2−t3の「計測」区間と同様である。また、時刻t9−t10の「放電」区間は、時刻t3−t4の「放電」区間と同様である。
時刻t10−t11の「Vc1p充電」区間においては、スイッチング素子S2、S3がオンになり、他のスイッチング素子はオフになる。時刻t11−t12の「計測」区間は、時刻t2−t3の「計測」区間と同様である。また、時刻t12−t13の「放電」区間は、時刻t3−t4の「放電」区間と同様である。
<計測サイクルの各区間の通電経路及び動作>
「V0充電」区間:
スイッチング素子S1の接点が閉になるので、正極側電源ライン111から正極側入力端子13、スイッチング素子S1、配線31、ダイオードD1、抵抗器R1を通って検出用コンデンサC1の正極側端子に電流が流れる。また、スイッチング素子S2の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の負極側端子から、配線32、抵抗器R2、スイッチング素子S2、負極側入力端子14、負極側電源ライン112へ電流が流れる。従って、この電流により検出用コンデンサC1に電荷が充電される。
「計測」区間:
スイッチング素子S4の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の負極側端子が、抵抗器R4を介して接地電極15と接続される。また、スイッチング素子S3の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の正極側端子が、ダイオードD3、抵抗器R3、スイッチング素子S3、配線35、入力回路20、配線36を介してマイクロコンピュータ11のアナログ入力ポートと接続される。従って、マイクロコンピュータ11は、検出用コンデンサC1の充電電圧に比例したアナログレベルを検出することができる。
「放電」区間:
スイッチング素子S4の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の負極側端子が、抵抗器R4を介して接地電極15と接続される。また、スイッチング素子S3の接点が閉なので、検出用コンデンサC1の正極側端子が、ダイオードD3、抵抗器R3、スイッチング素子S3、抵抗器R5を介して接地電極15と接続される。従って、検出用コンデンサC1に蓄積された電荷は自然に放電する。
「Vc1n充電」区間:
スイッチング素子S1の接点が閉になるので、正極側電源ライン111から正極側入力端子13、スイッチング素子S1、配線31、ダイオードD1、抵抗器R1を通って検出用コンデンサC1の正極側端子に電流が流れる。また、スイッチング素子S4の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の負極側端子から、スイッチング素子S4、抵抗器R4、接地電極15、接地電極103、地絡抵抗RLnを通って負極側電源ライン112に電流が流れる。この電流により、検出用コンデンサC1に電荷が充電される。この時の充電電圧は、地絡抵抗RLnの影響を反映した結果になる。
「Vc1p充電」区間:
スイッチング素子S3の接点が閉になるので、正極側電源ライン111から地絡抵抗RLp、接地電極103、接地電極15、抵抗器R5、スイッチング素子S3、ダイオードD2を通って、検出用コンデンサC1の正極側端子に電流が流れる。また、スイッチング素子S2の接点が閉になるので、検出用コンデンサC1の負極側端子から、配線32、抵抗器R2、スイッチング素子S2、負極側入力端子14、負極側電源ライン112へ電流が流れる。この電流により、検出用コンデンサC1に電荷が充電される。この時の充電電圧は、地絡抵抗RLpの影響を反映した結果になる。
<基本的な地絡抵抗の計測動作>
図1に示した絶縁状態検出装置10の動作に関しては、基本的には以下の関係式が成立する。
(RLp+RLn)/(RLp×RLn)={(Vc1p)+(Vc1n)}/V0
但し、
V0:車載直流高圧電源50の出力電圧に応じた検出用コンデンサC1の充電電圧
Vc1n:負側の地絡抵抗RLnの影響を受けた検出用コンデンサC1の充電電圧
Vc1p:正側の地絡抵抗RLpの影響を受けた検出用コンデンサC1の充電電圧
RLp,RLn:各地絡抵抗の抵抗値
従って、マイクロコンピュータ11は、各状態でアナログ入力ポート(AD1)に入力される信号レベルから各充電電圧「V0」、「Vc1n」、「Vc1p」を把握し、上記関係式に基づいて地絡抵抗RLp、RLnを算出することが可能である。
<検出用コンデンサC1の温度特性の補償の説明>
コンデンサの印加電圧、充電電荷、および温度の関係の具体例を図5に示す。また、温度変化に対応した補償特性の具体例を図6に示す。
セラミックコンデンサを使用する場合には、温度変化に対して例えば図5に示すように特性が変化する。すなわち、充電時間が一定の場合には、コンデンサ自体の温度(一般的には周囲温度と同等)が通常の温度(例えば20℃)よりも高い温度(80℃)になると静電容量が低下して充電電荷が減少する。また、コンデンサ自体の温度が通常の温度よりも低い温度(−30℃)になると静電容量が増大して充電電荷も増大する。
このように温度に応じて特性が変動するセラミックコンデンサを絶縁状態検出装置10の検出用コンデンサC1として使用する場合には、充電電荷、すなわち電圧の計測値が温度の影響により変化するので、地絡抵抗の計測誤差の要因になる。
そこで、絶縁状態検出装置10は図6中に示すように温度補償の制御を行う。すなわち、温度上昇により静電容量が低下した時には検出用コンデンサC1の充電時間の長さを通常よりも短くなるように変化させ、温度低下により静電容量が増大した時には検出用コンデンサC1の充電時間の長さを通常よりも長くなるように変化させる。
このような制御により、図5に示す特性のセラミックコンデンサを検出用コンデンサC1として使用する場合であっても、図6に示す特性F1のように、理想特性F0に近い状態が得られる。つまり、温度に応じて充電時間の長さを変更することにより、温度の影響を補償することができる。また、後述するように検出用コンデンサC1の直流バイアス電圧の違いに応じた別の補償を実施することにより、図6に示す特性F1よりも更に理想特性F0に近い状態を得ることができる。
<検出用コンデンサC1の温度補償に用いる定数テーブルの説明>
温度に応じた補償値を保持する定数テーブルTB1の構成例を図4に示す。図4に示した定数テーブルTB1は、複数の温度範囲のそれぞれに対応付けられた充電時間の長さの定数を保持している。
図4に示した例では、最低の温度範囲(−A℃以下)、・・・、0〜10[℃]、10〜20[℃]、20〜30[℃]、30〜40[℃]、40〜50[℃]、・・・、最高の温度範囲(+B℃以上)のそれぞれに対応付けた充電時間の長さの定数が定数テーブルTB1に保持されている。
また、各温度範囲に対応付けた充電時間の長さの定数は、基準時間長(T0[sec])に対してそれぞれ所定の係数を乗算した結果として定めてある。例えば、0〜10[℃]の温度範囲の定数は基準時間長(T0)の1.2倍であり、30〜40[℃]の温度範囲の定数は基準時間長(T0)の0.9倍である。
つまり、20〜30[℃]の温度範囲を基準の状態に定め、この範囲よりも低い温度では充電時間を基準時間長(T0)よりも長く変更し、高い温度では充電時間を基準よりも短く変更することを意味している。
図1に示した絶縁状態検出装置10においては、図4に示したような構成の定数テーブルTB1が、マイクロコンピュータ11の内部メモリ(ROM又は不揮発性メモリ)に予め保持されている。従って、マイクロコンピュータ11はこの定数テーブルTB1を利用して温度補償のために必要な充電時間長の最適値を簡単に取得できる。
<検出用コンデンサC1のDCバイアス電圧特性の補償の説明>
コンデンサの印加電圧と充電電圧との関係の具体例を図8に示す。また、図1に示した絶縁状態検出装置の動作タイミングの具体例を図3に示す。
検出用コンデンサC1がセラミックコンデンサの場合には、このコンデンサの充電電荷による電圧は、例えば図8に示す特性F2のように、印加電圧の違いに応じて変化する。但し、この特性F2は検出用コンデンサC1自身のDCバイアス特性の影響を含んでおり、DCバイアス特性の影響がない場合は図8の特性F3のようになる。
すなわち、もしも検出用コンデンサC1の静電容量がDCバイアス電圧とは無関係に一定(標準値)であれば、理想的な特性F3になる。しかし、実際にはDCバイアス電圧の違いに応じて静電容量が変動するので、実際の特性F2は理想的な特性F3からずれた状態になる。しかも、このずれ量は、図8に示すように印加電圧の大小に応じて大きく変動する。
地絡抵抗を計測する場合には、検出用コンデンサC1の静電容量が一定であることを前提として計算を実施するので、理想的な特性F3に対する特性F2のずれが地絡抵抗の計測誤差に繋がる。しかも、ずれ量が図8に示すように印加電圧に応じて変動するので、DCバイアス特性の影響を排除するのは容易ではない。
実際には、地絡抵抗の算出に必要な電圧V0、Vc1n、Vc1pを計測するために前述の基本計測サイクルのスケジュールを実行する際に、検出用コンデンサC1の充放電により、その端子間電圧の絶対値が図3に示す|Vc|の波形のように変化する。すなわち、抵抗器R1、R2等の抵抗および検出用コンデンサC1の静電容量による時定数の関係から、検出用コンデンサC1の端子間の電圧は指数関数に従って、電圧|Vc|のように徐々に上昇し、完全に充電された状態で飽和し一定になる。
つまり、検出用コンデンサC1の静電容量が変化すれば、充電時の|Vc|の上昇カーブも変動し電圧の計測値に影響を及ぼす。また、検出用コンデンサC1を充電する過程で、図3に示す上昇カーブのように検出用コンデンサC1の端子間の電圧が変化するので、検出用コンデンサC1のDCバイアス特性の影響も各時点でそれぞれ変化する。更に、正極側電源ライン111および負極側電源ライン112から絶縁状態検出装置10に印加される高電圧の変動に伴ってDCバイアス特性の影響が変化する。
そこで、検出用コンデンサC1のDCバイアス特性の影響を減らすために、図3に示すような制御を実施する。すなわち、Vc1n計測区間で検出用コンデンサC1を充電する際の充電時間長Tc1nを可変とし、その直前のT0計測区間の充電時間長T1とV0計測値とに基づいて充電時間長Tc1nを自動的に調整する。また、Vc1p計測区間で検出用コンデンサC1を充電する際の充電時間長Tc1pを可変とし、その直前のT0計測区間の充電時間長T1とV0計測値とに基づいて充電時間長Tc1pを自動的に調整する。充電時間長Tc1n、Tc1pの調整量については、DCバイアス特性の影響による図8の特性F2−F3間のずれを補償できるように決定する。実際には、後述するDCバイアス電圧補償用の定数テーブルTB2を利用して調整量を決定する。
例えば、T0計測区間の充電時間長T1が一定であると仮定すると、正極側電源ライン111および負極側電源ライン112から絶縁状態検出装置10に印加される高電圧の変動分や、検出用コンデンサC1のDCバイアス特性の影響がV0計測値に反映される。従って、Vc1n計測区間の充電時間長Tc1nをV0計測値に従って補正すれば、前記高電圧の変動分やDCバイアス特性の影響による特性のずれを排除した結果をVc1n計測値として得ることが可能になる。同様に、Vc1p計測区間の充電時間長Tc1pをV0計測値に従って補正すれば、前記高電圧の変動分やDCバイアス特性の影響による特性のずれを排除した結果をVc1p計測値として得ることが可能になる。
なお、T0計測区間の実際の充電時間長T1は、検出用コンデンサC1の温度による特性の変動分を補正するために、図3に示すように温度に応じて自動的に調整される。
<検出用コンデンサC1のDCバイアス電圧補償に用いる定数テーブルの説明>
DCバイアス電圧補償用定数テーブルの構成例を図7に示す。
図7に示す定数テーブルTB2においては、検出用コンデンサC1の電圧計測値の複数の範囲のそれぞれに対応付けられた補正係数の情報が保持されている。すなわち、検出用コンデンサC1のV0計測値の所定の基準値A[V]を基準として、「A−100±25[V]」、「A−50±25[V]」、「A±25[V]」、「A+50±25[V]」、「A+100±25[V]」等の各々の範囲について、充電時間長の補正係数が保持されている。
図7の定数テーブルTB2においては、例えば、検出用コンデンサC1のV0計測値の「A−50±25[V]」の範囲に対しては、充電時間長T1を「T1×1.1[sec]」に補正するための補正係数(1.1)が割り当てられている。また、検出用コンデンサC1のV0計測値の「A+100±25[V]」の範囲に対しては、充電時間長T1を「T1×0.8[sec]」に補正するための補正係数(0.8)が割り当てられている。
図7の定数テーブルTB2における基準値A[V]は、例えば図8に示した特性F2、F3が一致する電圧に相当する。従って、「A±25[V]」の電圧範囲では、充電時間長を補正する必要がなく、補正係数として「1」が割り当ててある。また、V0計測値の「A−50±25[V]」の範囲では、図8のように特性F2が特性F3に対してマイナス側にずれるので、Vc1n、Vc1pの電圧を増やす方向に調整するために、「1」よりも大きい補正係数を割り当ててある。また、V0計測値の「A+100±25[V]」の範囲では、図8のように特性F2が特性F3に対してプラス側にずれるので、Vc1n、Vc1pの電圧を減らす方向に調整するために、「1」よりも小さい補正係数を割り当ててある。
なお、この定数テーブルTB2は、マイクロコンピュータ11の内部メモリ(ROM又は不揮発性メモリ)上に予め保持されている。従って、マイクロコンピュータ11は、Vc1n、Vc1pの電圧計測時の検出用コンデンサC1の直流バイアス電圧の影響を排除するための最適な補正係数を定数テーブルTB2から瞬時に取得できる。従って、Vc1n計測区間を実行する際に、直前のV0計測区間で得られたV0計測値を直ちに充電時間長Tc1nに反映することができる。また、Vc1p計測区間を実行する際に、直前のV0計測区間で得られたV0計測値を直ちに充電時間長Tc1pに反映することができる。
<絶縁状態検出装置10における制御動作>
<マイクロコンピュータ11の処理の内容>
図1に示した絶縁状態検出装置10の主要な制御の内容を図2に示す。すなわち、マイクロコンピュータ11が図2の処理を実行する。また、図1に示した絶縁状態検出装置の動作タイミングの具体例を図3に示す。
図2に示した制御の内容について以下に説明する。
マイクロコンピュータ11は絶縁状態検出装置10の電源がオンになるとステップS11で所定の初期化を実行した後、S12の処理に進む。
ステップS12では、マイクロコンピュータ11はサーミスタ25から出力される信号のアナログレベルを配線37を介してアナログ入力ポートAD2から入力し、デジタル情報に変換する。これにより、検出用コンデンサC1の近傍における温度の情報を把握できる。
ステップS13では、マイクロコンピュータ11は、温度計測値に応じた検出用コンデンサC1の充電時間の補正係数を図4に示した定数テーブルTB1から取得し、充電時間長T1を決定する。例えば、温度が35[℃]の場合には定数テーブルTB1から補正係数として(0.9)の値を取得し、充電時間長T1を(T0×0.9)に決定する。なお、基準時間長T0は定数である。
ステップS14では、マイクロコンピュータ11は基本計測サイクルのスケジュールを実行し、V0、Vc1n、Vc1pの各計測値を取得する。つまり、図9に示すようにスイッチング素子S1〜S4を制御して、図3に示す「V0計測区間」、「Vc1n計測区間」、「Vc1p計測区間」で、V0、Vc1n、Vc1pの各電圧値をそれぞれ計測して取得する。
この場合、検出用コンデンサC1の端子間に現れる電圧の絶対値は、例えば図3に示す|Vc|のような波形になる。「V0計測区間」で検出用コンデンサC1の充電を開始してから電圧を計測するタイミングまでの時間長(T1)が、ステップS13で決定された充電時間長T1に相当する。
また、「Vc1n計測区間」の充電時間長Tc1nおよび「Vc1p計測区間」の充電時間長Tc1pは、それぞれ充電時間長T1を基準として決定される。従って、実際に各電圧(V0、Vc1n、Vc1p)を計測するタイミングは、検出用コンデンサC1の温度に応じて自動的に調整される。
また、マイクロコンピュータ11は、ステップS14で基本計測サイクルのスケジュールを実行する時には、同時に図2に示す各ステップS21〜S26の処理も並行して実行する。S21〜S26の処理については後で説明する。
ステップS15では、マイクロコンピュータ11は、S14で取得した各電圧(V0、Vc1n、Vc1p)の計測値と所定の計算式とに基づいて地絡抵抗の抵抗値RLを算出する。
ステップS16では、マイクロコンピュータ11はS15で取得した地絡抵抗の抵抗値RLを事前に定めた地絡抵抗警報値(下限値)RLrefと比較する。「RL<RLref」の条件を満たす場合はS17に進み、条件を満たさない場合はS18に進む。
ステップS17では、マイクロコンピュータ11は絶縁状態検出装置10が検出した地絡抵抗の抵抗値RLが地絡抵抗警報値RLref未満なので、地絡抵抗の警報を出力端子21に出力する。
ステップS18では、マイクロコンピュータ11はS15で取得した地絡抵抗の抵抗値RLを表す情報を出力端子21に出力する。
次に、図2に示す各ステップS21〜S26について説明する。
ステップS21では、マイクロコンピュータ11は、図3に示す各「V0計測区間」で最新の電圧V0の計測が完了したタイミングか否かを識別する。すなわち、電圧V0の計測が完了したタイミングになると、S21からS22の処理に進む。
ステップS22では、マイクロコンピュータ11は、直前に取得した最新のV0計測値に基づき、図7に示す定数テーブルTB2からDCバイアス電圧補償用の補正係数を取得し、充電時間長T2を決定する。
ステップS23では、マイクロコンピュータ11は、図3に示す「Vc1n計測区間」に該当するタイミングか否かを識別する。すなわち、「Vc1n計測区間」を実行する時に次のS24の処理に進む。
ステップS24では、マイクロコンピュータ11は、S22の処理により直前に決定した最新の充電時間長T2を当区間の充電時間長Tc1nに決定する。
ステップS25では、マイクロコンピュータ11は、図3に示す「Vc1p計測区間」に該当するタイミングか否かを識別する。すなわち、「Vc1p計測区間」を実行する時に次のS26の処理に進む。
ステップS26では、マイクロコンピュータ11は、S22の処理により直前に決定した最新の充電時間長T2を当区間の充電時間長Tc1pに決定する。
従って、図2に示した処理をマイクロコンピュータ11が実行することにより、図3に示すような動作が実現する。すなわち、図3に示す「Vc1n計測区間」を実行する時の検出用コンデンサC1の充電時間長Tc1nは、直前の「V0計測区間」で得られたV0計測値と、定数テーブルTB2とに基づいて取得できる補正係数を利用して自動的に調整される。また、図3に示す「Vc1p計測区間」を実行する時の検出用コンデンサC1の充電時間長Tc1pは、直前の「V0計測区間」で得られたV0計測値と、定数テーブルTB2とに基づいて取得できる補正係数を利用して自動的に調整される。
図8に示すように、検出用コンデンサC1のDCバイアス特性の影響は、印加電圧の大小に応じて変動する。この印加電圧の大きさを「V0計測区間」のV0計測値として検出している。このV0計測値と定数テーブルTB2とに基づいて適切な補正係数を取得し、充電時間長Tc1n、Tc1pを調整することにより、DCバイアス特性の影響を排除することができる。また、「Vc1n計測区間」、「Vc1p計測区間」の直前に検出されたV0計測値を利用して補正係数を取得するので、リアルタイムで充電時間長Tc1n、Tc1pを調整することができる。従って、車載直流高圧電源50から出力される高電圧が変動する場合であっても、現在の電圧(V0)に基づいて適切な補正を実施でき、地絡抵抗の計測精度が向上する。
なお、図2には示されていないが、各ステップS14〜S26を実行している途中で、一定の時間を経過する毎にステップS12、S13を再び実行することもできる。これにより、温度の経時変化の影響も補償できる。
図2に示したような制御を実施することにより、次のような利点が得られる。
(1)検出用コンデンサC1としてセラミックコンデンサを採用した場合であっても、地絡抵抗の検出精度の向上が期待できる。
(2)適切な補正を実施することにより、相対値だけでなく絶対値としての電圧の検出精度も向上できる。従って、地絡抵抗を高精度で検出できる。
(3)検出用コンデンサC1の充電時間長(T1、Tc1n、Tc1p)を自動調整するので、充電電荷が少なめになる条件下で電荷量を増やすように補正することができる。これにより、より低電圧域、高抵抗域での計測が可能になる。故障判定用の閾値等を引き上げてノイズマージンを向上させることが可能になる。また、充電電荷が多めになる条件下で電荷量を減らすように補正することができる。これにより、抵抗器R3、R4、R5により構成される分圧回路の分圧比を引き上げ、A/D変換入力のダイナミックレンジをより有効に活用可能になる。
なお、図1に示した絶縁状態検出装置10の詳細な回路構成については、例えば特許文献3に開示されているように、様々な変形が考えられる。細部の回路構成については必要に応じて変更すれば良い。
<補足説明>
(1) 図1に示した絶縁状態検出装置(10)は、所定の車載高圧直流電源(50)出力の正極側電源ライン(111)及び負極側電源ライン(112)とそれぞれ接続される正極側入力端子(13)及び負極側入力端子(14)と、接地電極(15)とを有し、フライングキャパシタ(C1)の充電電圧に基づいて前記正極側電源ライン及び負極側電源ラインと前記接地電極との間の絶縁状態を地絡抵抗として把握する。また、前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受けない第1の通電経路(V0計測区間の通電経路)を介して充電した時に得られる第1の電圧計測値(V0)と、前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受ける第2の通電経路(Vc1n計測区間又はVc1p計測区間の通電経路)を介して充電した時に得られる第2の電圧計測値(Vc1n、Vc1p)とをそれぞれ計測する充電電圧計測部(S14)と、前記充電電圧計測部が計測した前記第1の電圧計測値および前記第2の電圧計測値に基づいて前記地絡抵抗の値を算出する地絡抵抗値算出部(S15)と、前記第2の電圧計測値を計測するための前記フライングキャパシタの充電時間長(Tc1n、Tc1p)を可変とし、前記第2の電圧計測値を計測する前に得られた前記第1の電圧計測値(V0)を、前記充電時間長に自動的に反映する充電時間長制御部(S21〜S26)とを備えている。
(2) また、前記充電時間長制御部は、図7に示すように複数の電圧範囲のそれぞれと、前記充電時間長と関連のある係数の情報とを対応付けて保持する定数テーブル(TB2)を有し、前記充電電圧計測部が検出した前記第1の電圧計測値に基づき、前記定数テーブルを利用して、前記第2の電圧計測値を計測する際の前記充電時間長を自動的に補正する(S22)。
(3) また、前記フライングキャパシタの近傍における温度を検出する温度検出部(25)と、前記温度検出部が検出した温度のパラメータを、前記フライングキャパシタの充電時間長に反映する温度補償制御部(S12、S13)とを更に備えている。
(4) また、前記温度補償制御部は、複数の温度範囲のそれぞれと、前記フライングキャパシタを充電する時間の長さに相当する係数の情報とを対応付けて保持する温度補償テーブル(TB1)を有し、前記温度検出部が検出した温度に基づき、前記温度補償テーブルを利用して、前記充電時間長を自動的に補正する(S13)。
10 絶縁状態検出装置
11 マイクロコンピュータ
13 正極側入力端子
14 負極側入力端子
15 接地電極
20 入力回路
21 出力端子
25 サーミスタ
31〜37 配線
50 車載直流高圧電源
101,102 Yコンデンサ
103 接地電極
111 正極側電源ライン
112 負極側電源ライン
C1 検出用コンデンサ(フライングキャパシタ)
D1,D2,D3 ダイオード
R1,R2,R3,R4,R5 抵抗器
RLp,RLn 地絡抵抗
S1,S2,S3,S4 スイッチング素子
SWx 操作スイッチ
TB1 定数テーブル(温度補償用)
TB2 定数テーブル(DCバイアス電圧補償用)

Claims (4)

  1. 所定の高圧直流電源出力の正極側電源ライン及び負極側電源ラインとそれぞれ接続される正極側入力端子及び負極側入力端子と、接地電極とを有し、フライングキャパシタの充電電圧に基づいて前記正極側電源ライン及び負極側電源ラインと前記接地電極との間の絶縁状態を地絡抵抗として把握する絶縁状態検出装置であって、
    前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受けない第1の通電経路を介して充電した時に得られる第1の電圧計測値と、前記フライングキャパシタを前記地絡抵抗の影響を受ける第2の通電経路を介して充電した時に得られる第2の電圧計測値とをそれぞれ計測する充電電圧計測部と、
    前記充電電圧計測部が計測した前記第1の電圧計測値および前記第2の電圧計測値に基づいて前記地絡抵抗の値を算出する地絡抵抗値算出部と、
    前記第2の電圧計測値を計測するための前記フライングキャパシタの充電時間長を可変とし、前記第2の電圧計測値を計測する前に得られた前記第1の電圧計測値を、前記充電時間長に自動的に反映する充電時間長制御部と、
    を備えることを特徴とする絶縁状態検出装置。
  2. 前記充電時間長制御部は、複数の電圧範囲のそれぞれと、前記充電時間長と関連のある係数の情報とを対応付けて保持する定数テーブルを有し、前記充電電圧計測部が検出した前記第1の電圧計測値に基づき、前記定数テーブルを利用して、前記第2の電圧計測値を計測する際の前記充電時間長を自動的に補正する
    ことを特徴とする請求項1に記載の絶縁状態検出装置。
  3. 前記フライングキャパシタの近傍における温度を検出する温度検出部と、
    前記温度検出部が検出した温度のパラメータを、前記フライングキャパシタの充電時間長に反映する温度補償制御部と、
    を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の絶縁状態検出装置。
  4. 前記温度補償制御部は、複数の温度範囲のそれぞれと、前記フライングキャパシタを充電する時間の長さに相当する係数の情報とを対応付けて保持する温度補償テーブルを有し、前記温度検出部が検出した温度に基づき、前記温度補償テーブルを利用して、前記充電時間長を自動的に補正する
    ことを特徴とする請求項3に記載の絶縁状態検出装置。
JP2013020797A 2013-02-05 2013-02-05 絶縁状態検出装置 Expired - Fee Related JP6063282B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013020797A JP6063282B2 (ja) 2013-02-05 2013-02-05 絶縁状態検出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013020797A JP6063282B2 (ja) 2013-02-05 2013-02-05 絶縁状態検出装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014153091A true JP2014153091A (ja) 2014-08-25
JP6063282B2 JP6063282B2 (ja) 2017-01-18

Family

ID=51575111

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013020797A Expired - Fee Related JP6063282B2 (ja) 2013-02-05 2013-02-05 絶縁状態検出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6063282B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016161358A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 富士通テン株式会社 劣化検出装置および劣化検出方法
JP2018096731A (ja) * 2016-12-09 2018-06-21 矢崎総業株式会社 差電圧測定装置
CN111337850A (zh) * 2018-12-18 2020-06-26 矢崎总业株式会社 接地故障检测装置

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004170137A (ja) * 2002-11-18 2004-06-17 Yazaki Corp 非接地電源の絶縁検出装置
JP2009281986A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Yazaki Corp 絶縁計測装置
JP2009281987A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Yazaki Corp 絶縁計測方法及び絶縁計測装置

Patent Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004170137A (ja) * 2002-11-18 2004-06-17 Yazaki Corp 非接地電源の絶縁検出装置
JP2009281986A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Yazaki Corp 絶縁計測装置
JP2009281987A (ja) * 2008-05-26 2009-12-03 Yazaki Corp 絶縁計測方法及び絶縁計測装置

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016161358A (ja) * 2015-02-27 2016-09-05 富士通テン株式会社 劣化検出装置および劣化検出方法
JP2018096731A (ja) * 2016-12-09 2018-06-21 矢崎総業株式会社 差電圧測定装置
CN111337850A (zh) * 2018-12-18 2020-06-26 矢崎总业株式会社 接地故障检测装置
CN111337850B (zh) * 2018-12-18 2022-05-13 矢崎总业株式会社 接地故障检测装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP6063282B2 (ja) 2017-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6267866B2 (ja) 絶縁状態検出装置
US8373424B2 (en) Apparatus for detecting fault of flying capacitor of insulated condition detecting unit
US9000772B2 (en) Insulated condition detector with fault detection and location
JP4465725B2 (ja) 液体用濃度測定装置
US9874595B2 (en) Insulation detecting device
JP5698590B2 (ja) 絶縁状態検出ユニットの故障検出装置
JP5613408B2 (ja) 絶縁計測装置
JP5406614B2 (ja) 絶縁状態検出装置
US8159230B2 (en) Insulation measurement method and insulation measurement apparatus
JP5848415B2 (ja) 負温度係数サーミスタを利用した温度測定装置
JP6518430B2 (ja) 絶縁状態検出装置
US20140197841A1 (en) Voltage monitoring apparatus
US9077357B2 (en) Semiconductor device and electronic control device
US9601927B2 (en) Electronic control device
US10444293B2 (en) Battery voltage measurement circuit
JP6063282B2 (ja) 絶縁状態検出装置
JP2006177838A (ja) 静電容量式近接センサ及びその出力較正方法
JP2008064700A (ja) 電気二重層キャパシタの内部抵抗測定装置
JP6195547B2 (ja) 漏電検出装置
JP2013057593A (ja) 電池電圧監視装置
JP6020038B2 (ja) 蓄電モジュールの監視装置
JP4765742B2 (ja) 排気ガスセンサの信号処理装置
JP5158067B2 (ja) 液体用濃度測定装置
JP2007085902A (ja) 電圧測定方法および電圧測定装置

Legal Events

Date Code Title Description
RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20150122

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160119

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20161102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20161122

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20161216

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6063282

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees