JP2014152657A - 内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガス燃料を用いる内燃機関の燃料噴射システムにおいて、燃料噴射手段の噴射状態を正確に把握する。
【解決手段】燃料噴射システムは、それぞれ異なる気筒24に対しガス燃料を噴射する複数の第1噴射弁21と、複数の第1噴射弁21にそれぞれ供給されるガス燃料の圧力(噴射圧)を調整するレギュレータ43とを備える。制御部80は、エンジン運転状態に基づいて、第1噴射弁21による燃料噴射を行わせる噴射指令期間を設定し、該設定した噴射指令期間に第1噴射弁21によるガス燃料の噴射を行わせるよう指令する。また、制御部80は、噴射指令後において、圧力センサ48により検出した噴射圧と、噴射指令期間の気筒間での重複状態に関する重複噴射情報とに基づいて、第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
【選択図】図1
【解決手段】燃料噴射システムは、それぞれ異なる気筒24に対しガス燃料を噴射する複数の第1噴射弁21と、複数の第1噴射弁21にそれぞれ供給されるガス燃料の圧力(噴射圧)を調整するレギュレータ43とを備える。制御部80は、エンジン運転状態に基づいて、第1噴射弁21による燃料噴射を行わせる噴射指令期間を設定し、該設定した噴射指令期間に第1噴射弁21によるガス燃料の噴射を行わせるよう指令する。また、制御部80は、噴射指令後において、圧力センサ48により検出した噴射圧と、噴射指令期間の気筒間での重複状態に関する重複噴射情報とに基づいて、第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
【選択図】図1
Description
本発明は、内燃機関の燃料噴射制御装置に関し、詳しくはガス燃料を使用する車載内燃機関の燃料噴射システムに適用される燃料噴射制御装置に関する。
従来、例えば圧縮天然ガス(CNG)等のガス燃料を燃焼させて駆動する内燃機関が実用化されている。こうした内燃機関において、ガス燃料を燃料噴射弁に供給する燃料供給系の構成としては、ガス燃料を高圧状態で貯蔵する燃料タンクと、燃料タンクと燃料噴射弁とを繋ぐ燃料配管の途中に設けられ、燃料タンクから供給されるガス燃料の圧力を減圧調整する圧力調整弁とを備える構成が知られている。
また、多気筒の内燃機関における燃料噴射制御としては、蓄圧式の内燃機関において、蓄圧配管内での燃料圧力の脈動が次の燃料噴射に影響を及ぼすことを考慮して、噴射パルスの立ち上がりから所定期間の燃圧をサンプリングし、そのサンプリングした燃圧の平均値に基づいて燃料噴射弁の燃料噴射期間を補正する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
ところで、ガス燃料は気体状態であり、ガソリンなどの液体燃料と比較すると、同一運転状態において気筒に対して噴射すべき燃料の体積量が大きくなる。そのため、ガス燃料を用いての運転時では、1回の燃料噴射あたりの噴射期間が長くなり、内燃機関の運転状態によっては複数の気筒間で噴射期間が重複することがある。また、1つの気筒のみが噴射期間に設定されている場合と、噴射期間が重複している場合とでは、燃料通路内において燃料噴射に伴う燃料圧力の低下量が相違する。そのため、燃料圧力のサンプリングを行うタイミングによっては、そのサンプリングした燃料圧力に基づいて例えば燃料噴射期間の補正を行った場合に適正な補正ができず、燃料噴射の制御性が低下することが考えられる。また、サンプリングした燃料圧力に基づいて噴射異常判定を実施した場合、誤判定を招くおそれがある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、燃料としてガス燃料を用いる内燃機関の燃料噴射システムにおいて、燃料噴射手段の噴射状態を正確に把握でき、ひいては燃料噴射制御を好適に実施することができる内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することを主たる目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の手段を採用した。
本発明は、複数気筒(24)を有する内燃機関(10)におけるそれぞれ異なる気筒に対しガス燃料を噴射する複数の燃料噴射手段(21)と、前記ガス燃料を供給する燃料通路(41)に設けられ、前記複数の燃料噴射手段にそれぞれ供給される前記ガス燃料の圧力である噴射圧を調整する圧力調整手段(43)とを備え、前記複数の燃料噴射手段が、前記圧力調整手段に対して共通の燃料通路(41、41b)を介して接続される燃料噴射システムに適用される内燃機関の燃料噴射制御装置に関する。請求項1に記載の発明は、前記共通の燃料通路において前記噴射圧を検出する圧力検出手段(48)と、前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記燃料噴射手段による燃料噴射を行わせる噴射指令期間を設定する期間設定手段と、前記期間設定手段により設定した噴射指令期間に前記燃料噴射手段による前記ガス燃料の噴射を行わせるよう指令する噴射指令手段と、前記噴射指令手段による指令後において、前記圧力検出手段により検出した噴射圧と、前記期間設定手段により設定した噴射指令期間の気筒間での重複状態に関する重複噴射情報とに基づいて、前記燃料噴射手段の噴射状態を判定する噴射判定手段と、を備えることを特徴とする。
複数気筒を有する内燃機関において、燃料噴射手段に対するガス燃料の供給は一般に、各気筒に共通の燃料通路を介して行われる。また、いずれかの燃料噴射手段によってガス燃料の噴射が行われると、燃料噴射に伴い燃料通路内の燃料圧力(噴射圧)が低下し、これにより圧力の脈動が生じる。したがって、ガス燃料の噴射指令に対する噴射圧の変移をモニタすることにより、燃料噴射手段による燃料噴射が適正に行われているか否かといった燃料噴射手段の噴射状態を把握することができる。その一方で、ガス燃料の場合、噴射燃料の体積量が大きく、1回の燃料噴射あたりの噴射時間が長くなる結果、内燃機関の運転状態によっては複数の気筒間で噴射指令期間が重複することがある。
この点に鑑み、上記構成では、燃料通路内の燃料圧力(噴射圧)の検出値に基づき燃料噴射手段の噴射状態を判定する場合に、噴射指令期間の気筒間での重複状態に関する重複噴射情報を考慮して行う。こうすることにより、噴射圧の検出時における各燃料噴射手段の駆動状態を加味することができ、燃料噴射手段の噴射状態の判定を適正に実施することができる。また、この判定結果を用いることにより、燃料噴射制御を好適に実施することができる。
以下、本発明を具体化した実施形態を、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、ガス燃料である圧縮天然ガス(CNG)と液体燃料であるガソリンとを燃焼用の燃料として使用する、いわゆるバイフューエルタイプの車載多気筒エンジン(多気筒内燃機関)に適用される燃料噴射システムとして具体化するものとしている。本システムの全体概略図を図1に示す。
図1に示すエンジン10は直列3気筒の火花点火式エンジンよりなり、その吸気ポート及び排気ポートには吸気系統11、排気系統12がそれぞれ接続されている。吸気系統11は、吸気マニホールド13と吸気管14とを有している。吸気マニホールド13は、エンジン10の吸気ポートに接続される複数(エンジン10の気筒数分)の分岐管部13aと、その上流側であって吸気管14に接続される集合部13bとを有している。吸気管14には空気量調整手段としてのスロットル弁15が設けられている。このスロットル弁15は、DCモータ等のスロットルアクチュエータ15aにより開度調節される電子制御式のスロットル弁として構成されている。スロットル弁15の開度(スロットル開度)は、スロットルアクチュエータ15aに内蔵されたスロットル開度センサ15bにより検出される。
排気系統12は、排気マニホールド16と排気管17とを有している。排気マニホールド16は、エンジン10の排気ポートに接続される複数(エンジン10の気筒数分)の分岐管部16aと、その下流側であって排気管17に接続される集合部16bとを有している。排気管17には、排気の成分を検出する排気センサ18と、排気を浄化する触媒19とが設けられている。排気センサ18としては、排気中の酸素濃度から空燃比を検出する空燃比センサが設けられている。
エンジン10が有する複数の気筒24において、各気筒には点火プラグ20が設けられている。点火プラグ20には、点火コイル等よりなる点火装置20aを通じて、所望とする点火時期に高電圧が印加される。この高電圧の印加により、各点火プラグ20の対向電極間に火花放電が発生し、気筒24内に導入した燃料が着火され燃焼に供される。
本システムには、エンジン10の各気筒に対して燃料を噴射供給する燃料噴射手段として、ガス燃料(CNG燃料)を噴射する第1噴射弁21と、液体燃料(ガソリン)を噴射する第2噴射弁22とがそれぞれエンジン10の気筒数分ずつ(本実施形態では3つずつ)設けられている。これら各噴射弁21,22は、吸気系統11において吸気マニホールド13の分岐管部13aにそれぞれ燃料を噴射する。
各噴射弁21,22は、電磁駆動部が電気的に駆動されることで弁体が閉位置から開位置にシフトされる開閉タイプの制御弁である。これら噴射弁21,22はオン/オフ式の開弁駆動信号によりそれぞれ開弁駆動され、電磁駆動部への通電時間に応じた量の燃料(ガス燃料、液体燃料)が各噴射弁21,22から噴射される。なお、本実施形態では、第1噴射弁21の先端部に噴射管23が接続されており、第1噴射弁21から噴出されたガス燃料は、噴射管23を介して吸気マニホールド13の分岐管部13aに噴射されるようになっている。
次に、第1噴射弁21に対してガス燃料を供給するガス燃料供給部40について説明する。ガス燃料供給部40において、第1噴射弁21には、各噴射弁21に共通のガス配管41を介してガスタンク42が接続されている。ガス配管41の途中には、第1噴射弁21に供給されるガス燃料の圧力を減圧調整する圧力調整機能を有するレギュレータ43が設けられている。レギュレータ43は機械式の開閉弁を備え、この開閉弁の開閉により、ガスタンク42内に貯蔵された高圧状態(例えば最大20MPa)のガス燃料を、第1噴射弁21の噴射圧である所定の設定圧(例えば0.3±α[MPa])になるように減圧調整するものである。このレギュレータ43によって、レギュレータ43よりも下流側の燃料圧力が調整されることにより、第1噴射弁21の噴射圧が所定の設定圧に調整される。ガス配管41において、レギュレータ43よりも上流側が高圧側通路を形成する高圧配管部41a、下流側が低圧側通路を形成する低圧配管部41bとなっている。なお、低圧配管部41bは、複数の第1噴射弁21とレギュレータ43とを接続する共通の燃料通路に相当する。
ガス配管41等により形成されるガス燃料通路には更に、ガスタンク42の燃料出口の付近に配置されたタンク主止弁44と、そのタンク主止弁44よりも下流側であってレギュレータ43の燃料入口の付近に配置された遮断弁45とが設けられている。これら各弁44,45によって、ガス配管41におけるガス燃料の流通が許容及び遮断される。タンク主止弁44及び遮断弁45はいずれも電磁式の開閉弁であり、非通電時にガス燃料の流通が遮断され、通電時にガス燃料の流通が許容される常閉式となっている。
ガス配管41において、高圧配管部41aには、燃料圧力を検出する圧力センサ46と、燃料温度を検出する温度センサ47とが設けられている。また、低圧配管部41bには、燃料圧力を検出する圧力センサ48と、燃料温度を検出する温度センサ49とが設けられている。なお、遮断弁45と圧力センサ46とはレギュレータ43に一体に設けることが可能であり、本実施形態では、レギュレータ43に一体に遮断弁45と圧力センサ46とを設ける構成を採用することとしている。
また本システムにおいて、第2噴射弁22に液体燃料を供給する液体燃料供給部70は、液体燃料を貯蔵する燃料タンク72を備えており、当該燃料タンク72が、第2噴射弁22に対し、燃料配管71を介して接続されている。燃料配管71には、燃料タンク72内の液体燃料を第2噴射弁22に給送する燃料ポンプ73が設けられている。
制御部80は、CPU81と、ROM82と、RAM83と、バックアップRAM84と、インターフェース85と、双方向バス86とを備えている。CPU81、ROM82、RAM83、バックアップRAM84、及びインターフェース85は、双方向バス86によって互いに接続されている。
CPU81は、本システムにおける各部の動作を制御するためのルーチン(プログラム)を実行する。ROM82には、CPU81が実行するルーチン、及びこのルーチン実行の際に参照されるマップ類(マップの他、テーブルや関係式等を含む)、パラメータ、等の各種データが予め格納されている。RAM83は、CPU81がルーチンを実行する際に、必要に応じてデータを一時的に格納する。バックアップRAM84は、電源が投入された状態においてCPU81の制御下でデータを適宜格納するとともに、この格納されたデータを電源遮断後において保持する。
インターフェース85は、上述した各種センサや、本システムに設けられたその他のセンサ類(クランク角センサ、エアフロメータ、冷却水温センサ、車速センサ等)と電気的に接続されており、これらのセンサからの出力(検出信号)をCPU81に伝達する。また、インターフェース85は、点火装置20a、各噴射弁21,22等の駆動部と電気的に接続されており、CPU81から送出された駆動信号を各駆動部に向けて出力することにより各駆動部の駆動を制御する。
点火装置20aや各噴射弁21,22等の駆動部には、制御部80から駆動信号が入力されるようになっており、その入力した駆動信号に応じて各駆動部が駆動される。具体的には、点火装置20aは、制御部80からの点火信号に応じて高電圧を出力し点火プラグに点火火花を生じさせる。第1噴射弁21は、制御部80からの噴射信号に応じた量のガス燃料を吸気ポートに噴射し、第2噴射弁22は、制御部80からの噴射信号に応じた量の液体燃料を吸気ポートに噴射する。
制御部80は、エンジン運転状態やタンク内の燃料残量、図示しない燃料選択スイッチからの入力信号等に応じて、使用燃料を選択的に切り替えている。具体的には、ガスタンク42内のガス燃料の残存量が所定値を下回った場合又は燃料選択スイッチにより液体燃料の使用が選択されている場合には、液体燃料を優先的に使用し、燃料タンク72内の液体燃料の残存量が所定値を下回った場合又は燃料選択スイッチによりガス燃料の使用が選択されている場合には、ガス燃料を優先的に使用する。
次に、本実施形態の燃料噴射制御について詳しく説明する。本システムにおいて、制御部80は、都度のエンジン運転状態(例えば、エンジン回転速度及びエンジン負荷)に基づいて、1回の燃料噴射あたりの燃料噴射量を算出する。また、その算出した燃料噴射量を、使用燃料に応じた噴射時間に換算する。そして、その換算後の噴射時間に基づく燃料噴射が、使用燃料に対応する噴射弁によって行われるよう各噴射弁21,22に指令する。本実施形態では、噴射終了時期を基準として、各気筒による燃料噴射を行わせる噴射指令期間を設定しており、予め定めた噴射終了時期(例えば排気行程内の所定のクランク位置)から、エンジン運転状態に基づき算出した噴射時間だけ進角側のクランク位置を噴射開始時期として設定するとともに、対応する噴射信号を各噴射弁21,22に出力する。噴射信号としては、噴射開始時期でオフからオンに切り替わり、噴射終了時期でオンからオフに切り替わる信号が出力される。
ガス燃料を用いてのエンジン運転時では、第1噴射弁21によるガス燃料の噴射が行われる都度、低圧配管部41b内の燃料圧力(噴射圧)が低下する。そのため、低圧配管部41b内では、第1噴射弁21による燃料噴射に合わせて圧力の脈動が生じる。この点に着目し、本実施形態では、ガス燃料を用いてエンジン運転を行っている場合に、圧力センサ48により検出した噴射圧に基づいて、第1噴射弁21の噴射状態として、噴射信号の出力に伴い第1噴射弁21によるガス燃料の噴射が正常に行われているか否かを判定することとしている。また、その判定結果に基づいて、第1噴射弁21の異常診断及び噴射量補正を実施する。
ここで、ガス燃料は気体状態であり、ガソリンなどの液体燃料と比較すると、同一運転状態において第1噴射弁21から噴射すべき燃料の体積量が大きくなる。そのため、ガス燃料を用いてのエンジン運転時では1回の燃料噴射あたりの燃料噴射時間が長くなり、エンジン運転状態によっては、複数の気筒間で噴射指令期間が重複することがある。具体的には、例えばエンジン10の低回転・低負荷状態では、第1噴射弁21による1回の燃料噴射あたりの噴射量が少ないため燃料噴射時間が短く、気筒間において噴射指令期間の重複が生じにくい。これに対し、エンジン10の高回転・高負荷状態では、1回の燃料噴射あたりの噴射量が多くなることにより燃料噴射時間が長くなり、気筒間において噴射指令期間が重複しやすい。また、噴射指令期間が互いに重複する期間の長さや、重複する気筒の数についてもエンジン運転状態に応じて異なり、エンジン10が高回転であるほど又は高負荷であるほど、重複する期間の長さや気筒数が増大する傾向にある。一方、かかる点を考慮せずに、圧力センサ48により検出した噴射圧データを用いて第1噴射弁21の噴射状態の判定を行った場合、その噴射圧データの取得時における各気筒の第1噴射弁21の駆動状態を把握していないことに起因して、第1噴射弁21の噴射状態の判定する際に誤判定を招くことが考えられる。
そこで本実施形態では、圧力センサ48により検出した噴射圧に基づいて第1噴射弁21の噴射状態を判定する場合、全気筒分の噴射指令期間における気筒間での重複の有無、重複している期間の長さ、重複している気筒数などといった、噴射指令期間の重複状態に関する情報である重複噴射情報を加味して判定することとしている。より具体的には、エンジン10の1燃焼サイクル内の複数の噴射圧データをサンプリングし、そのサンプリングした複数の噴射圧データを比較することにより第1噴射弁21の噴射状態を判定する。このとき、1燃焼サイクル内において、重複噴射情報が異なる複数のタイミングを噴射圧データのサンプリング時期に設定し、それら各々のサンプリング時期で圧力センサ48により検出した噴射圧を、第1噴射弁21の噴射状態の判定用データとして取得する。そして、その取得した噴射圧データと重複噴射情報とに基づいて、第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
次に、本実施形態の第1噴射弁21の噴射状態の判定処理(噴射状態判定処理)及び当該判定処理に用いる噴射圧データのサンプリングを行うタイミングを設定する処理(サンプリング時期設定処理)について、図2〜図4のタイムチャートを用いて詳しく説明する。なお、図2〜図4は、エンジン運転状態がそれぞれ異なる場合の第1噴射弁21の噴射信号及び噴射圧の波形を示し、図2はエンジン低回転・低負荷状態、図3はエンジン中回転・中負荷状態、図4はエンジン高回転・高負荷状態についてそれぞれ示している。また、図中の噴射圧について、破線は、全気筒の第1噴射弁21から適正量の燃料が噴射される正常時について示しており、実線は、第1気筒の第1噴射弁21で、例えばデポジットやオイル固着等に起因してガス燃料が噴射されない閉異常が生じている場合を示している。また、エンジン10の燃焼順序は、第1気筒(♯1)→第3気筒(♯3)→第2気筒(♯2)となっている。
エンジン10の低回転・低負荷状態では、1回の燃料噴射あたりの噴射量が少なく、図2に示すように、気筒間での噴射指令期間の重複が生じない。この場合には、1燃焼サイクル内(第2気筒の噴射終了時期に挟まれる期間t10〜t17)において、重複噴射情報が異なる期間T11〜T16内のそれぞれに、噴射圧データのサンプリング時期を所定個ずつ設定する。具体的には、第1気筒(♯1)の噴射信号のみがオンとなっている期間T12、第3気筒(♯3)の噴射信号のみがオンとなっている期間T14、第2気筒(♯2)の噴射信号のみがオンとなっている期間T16、及び全ての気筒の噴射信号がオフとなっている期間T11,T13,T15の各期間内の所定タイミングt11〜t16をサンプリング時期に設定する。各期間T11〜T16内にサンプリング時期を設定する際には、圧力安定状態で検出した噴射圧データをサンプリングするべく、各期間内の中間のタイミングに設定するようにする。
サンプリング時期の設定が終了すると、次いで、その設定したサンプリング時期での噴射圧データに基づいて、第1噴射弁21の噴射状態を判定する。噴射状態の判定は気筒ごとに行う。例えば、今回の噴射状態の判定対象を第1気筒とする場合、1燃焼サイクル内のうち、判定対象の気筒(♯1)の噴射指令期間T12(第3サンプル期間に相当)の噴射圧データPiと、当該気筒(♯1)が噴射指令期間に設定されていない非指令期間(第4サンプル期間に相当)の噴射圧データPoとを取得する。このとき、噴射指令期間が気筒間で重複していない場合(図2の場合)には、非指令期間の噴射圧データとして、全ての気筒の噴射信号がオフとなっている期間T11,T13,T15のうちの少なくともいずれかの噴射圧データを取得する。そして、それら取得した噴射圧データを比較することにより、第1気筒に設けられた第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
具体的には、第1気筒の噴射指令期間T12の噴射圧データPi(♯1)と、全ての気筒の噴射信号がオフとなっている期間(例えば期間T11)の噴射圧データPo(♯1)とを取得する。このとき、第1噴射弁21が正常に駆動する場合であれば、第1気筒の噴射信号のオン期間T12では、その噴射信号に伴い燃料噴射が行われることによって噴射圧が低下する。これにより、破線で示すように、Pi(♯1)がPo(♯1)よりも小さくなる。これに対し、第1気筒において第1噴射弁21の閉異常が発生している場合には、第1気筒の噴射信号のオン期間において噴射圧が低下せず、実線に示すように、Pi(♯1)とPo(♯1)とが略同じ値を示す。この点を考慮し、本システムでは、取得した噴射圧データPo,Piの差分によって第1噴射弁21の噴射状態を判定している。具体的には、噴射指令期間が重複しないエンジン運転状態では、(Po−Pi)が所定値以下であることが検出されることにより、第1噴射弁21の噴射状態に何らかの異常が生じていることを把握できる。
エンジン10の中回転・中負荷状態では、1回の燃料噴射あたりの噴射量が多くなることにより、図3に示すように、噴射指令期間の一部が気筒間で重複する。ただし、エンジン中回転・中負荷状態であれば、1つの気筒の噴射指令期間と別の気筒の噴射指令期間とが重複する期間(重複指令期間)はさほど長くなく、各噴射指令期間の開始期間及び終了期間の一部に限られる。つまり、1つの気筒の噴射信号のみがオンされている期間(単独指令期間)の方が重複指令期間よりも長くなる。例えば、図3では、単独指令期間に相当する期間T21の方が、重複指令期間に相当する期間T21よりも長くなる。この場合には、1燃焼サイクル(t20〜t24)内において重複噴射情報が互いに異なる期間T21〜T26のうち、単独指令期間T21,T23,T25のそれぞれの期間内に、噴射圧のサンプリング時期を所定個ずつ設定する。具体的には、第1気筒(♯1)の噴射信号のみがオンとなっている期間T21、第3気筒(♯3)の噴射信号のみがオンとなっている期間T23、及び第2気筒(♯2)の噴射信号のみがオンとなっている期間T25のそれぞれの期間内における所定タイミングt21〜t23をサンプリング時期に設定する。
第1噴射弁21の噴射状態の判定については、図2の場合と同様に気筒ごとに行う。例えば、今回の噴射状態の判定対象の気筒を第1気筒とする場合、1燃焼サイクル内のうち、判定対象の気筒(♯1)の噴射指令期間T21(第1サンプル期間に相当)の噴射圧データPiと、当該気筒(♯1)が噴射指令期間に設定されておらず、かつ噴射指令期間に設定されている気筒数が噴射指令期間T21と同じである期間T23,T25(第2サンプル期間に相当)の噴射圧データPoとを取得する。なお、噴射圧データPoについては、期間T23,T25のいずれかでもよい。そして、それらの噴射圧データを比較することにより、第1気筒における第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
具体的には、第1気筒の噴射信号が単独でオンになっている期間T21の噴射圧データPi(♯1)と、他の気筒の噴射信号が単独でオンとなっている期間(例えばT23)の噴射圧データPo(♯1)とを取得する。このとき、第1噴射弁21が正常であれば、第1気筒の噴射信号のオン期間での噴射圧は、他の気筒の噴射信号のオン期間での噴射圧と同様の値を示し、破線で示すように、Pi(♯1)とPo(♯1)とが略同じ値を示す。これに対し、第1気筒において第1噴射弁21の閉異常が発生している場合には、第1気筒の噴射信号のオン期間において噴射圧が低下せず、実線に示すように、Pi(♯1)がPo(♯1)よりも大きい値を示す。よって、この場合には、PoとPiとの差分(Pi−Po)が所定値よりも大きいことが検出されることにより、第1噴射弁21の噴射状態に何らかの異常が生じていることを把握できる。
また、エンジン10の高回転・高負荷状態では、1回の燃料噴射あたりの噴射量が更に多くなり、図4に示すように気筒間で噴射指令期間が重複したり、あるいは全気筒の噴射指令期間が同時に重複したりすることがある。
ここで、噴射指令期間の重複状態はエンジン10の運転状態に応じて異なり、エンジン高回転ほど又は高負荷ほど、噴射指令期間が重複する期間が長くなり、また重複する気筒の数が多くなる。そのため、エンジン高回転・高負荷状態では、1つ気筒の噴射信号のみがオンされている単独指令期間よりも、複数の気筒の噴射信号がオンされている重複指令期間の方が長くなる。例えば、図4では、重複指令期間に相当する期間T32の方が、単独指令期間に相当する期間T31よりも長くなる。また、第1噴射弁21の駆動状態が一定に保たれている期間が長いほど、噴射圧の安定した状態が保持され、圧力安定状態での噴射圧のサンプリングが可能となる。したがって、本システムでは、重複指令期間の方が単独指令期間よりも長い場合には、1燃焼サイクル(t30〜t34)において、重複噴射情報が互いに異なる期間T31〜T36のうち、重複指令期間T32,T34,T36のそれぞれの期間内に、噴射圧のサンプリング時期を所定個ずつ設定する。具体的には、第1気筒(♯1)及び第3気筒(♯3)の噴射信号がオンとなっている期間T32、第3気筒(♯3)及び第2気筒(♯2)の噴射信号がオンとなっている期間T34、並びに第2気筒(♯2)及び第1気筒(♯1)の噴射信号がオンとなっている期間T36のそれぞれの期間内の所定タイミングt31〜t33をサンプリング時期に設定する。
第1噴射弁21の噴射状態の判定は気筒ごとに行う。例えば、今回の噴射状態の判定対象を第1気筒とする場合、1燃焼サイクル内のうち、判定対象となっている気筒(♯1)の噴射指令期間T32,T36(第1サンプル期間に相当)の噴射圧データPiと、当該気筒(♯1)が噴射指令期間に設定されておらず、かつ噴射指令期間に設定されている気筒数が噴射指令期間T32,36と同じである期間T34(第2サンプル期間に相当)の噴射圧データPoとを取得する。そして、それら取得した噴射圧データを比較することにより、第1気筒における第1噴射弁21の噴射状態を判定する。
具体的には、まず、重複指令期間T32,T34,T36のそれぞれの期間でサンプリングした噴射圧データ(本実施形態では合計3つの噴射圧データ)を取得する。このとき、第1噴射弁21が正常である場合、期間T32,34,36では噴射圧が略同じとなり、破線で示すように、Pi(♯1)とPo(♯1)とが略同じ値を示す。このとき、期間T32,34,36では2つの気筒で燃料噴射が行われることにより、単独指令期間での噴射圧よりも更に低圧となる。これに対し、第1気筒において、第1噴射弁21の閉異常が発生している場合には、第1気筒の噴射信号のオン期間である期間T32,T36において2気筒分の燃圧低下が生じない。そのため、実線に示すように、Pi(♯11)及びPi(♯12)がPo(♯1)よりも大きい値を示す。よって、重複指令期間が長い場合には、PoとPiとの差分(Pi−Po)が所定値よりも大きいことが検出されることにより、第1噴射弁21の噴射状態に何らかの異常が生じていることを把握できる。
次に、本実施形態の燃料噴射制御について、図5〜図7のフローチャートを用いて説明する。まずは、図5のメインルーチンについて説明する。本処理は、ガス燃料を用いてのエンジン運転時に、制御部80のCPU81により所定周期で繰り返し実行される。
図5において、ステップS101では、エンジン運転状態に関するデータを取得する。ここでは、クランク角センサの検出値に基づき算出したエンジン回転速度、エアフロメータの検出値に基づき算出した吸入空気量(エンジン負荷)等を取得する。続くステップS102では、取得したエンジン運転状態に関するデータを用いて噴射指令期間を設定する(期間設定手段)。具体的には、エンジン回転速度及びエンジン負荷に基づいて、第1噴射弁21による1回の燃料噴射あたりの燃料噴射量を算出するとともに、その算出した燃料量の燃料噴射を行うための噴射指令期間を設定する(期間設定手段)。また、設定した噴射指令期間にガス燃料の噴射を行わせるよう第1噴射弁21に指令する(噴射指令手段)。なお、設定した噴射指令期間に基づく第1噴射弁21の駆動は、図示しない別ルーチンによりCPU81によって実行される。
ステップS103では、第1噴射弁21の噴射状態を判定するための所定の実行条件が成立しているか否かを判定する。所定の実行条件としては、レギュレータ43、遮断弁45及びタンク主止弁44が正常に駆動すること、並びにエンジン運転状態が所定の高回転・高負荷状態でないこと、を少なくとも含む。ここで、レギュレータ43、遮断弁45及びタンク主止弁44が正常に駆動することは、図示しない動作確認処理による確認結果を読み込み、その結果に基づいて判定する。また、「所定の高回転・高負荷状態」とは、噴射指令期間が重複する気筒数が所定数以上となるエンジン運転状態であり、本実施形態では、全気筒(3気筒)で噴射指令期間の重複が生じるエンジン運転状態を示している。噴射指令期間が重複する気筒数が多いほど、異常が生じている気筒を特定することが難しくなる。したがって、本実施形態では、重複気筒が所定数以上となるエンジン運転状態では、噴射圧データに基づく噴射状態の判定を禁止することとしている。その他、所定の実行条件としては、エンジン運転状態が定常状態であること、噴射状態判定処理の前回の実施から所定時間が経過したこと等を含んでいてもよい。
所定の実行条件が成立している場合には、ステップS104へ進み、図6に示す噴射圧サンプリング処理を実行する。また、噴射圧サンプリング処理の実行後、ステップS105へ進み、図7に示す噴射状態判定処理を実行する。
以下、噴射圧サンプリング処理及び噴射状態判定処理について詳しく説明する。まずは噴射圧サンプリング処理について図6を用いて説明する。図6において、ステップS201では、今現在のエンジン運転状態に対応する噴射指令期間に基づいて、全ての気筒の噴射信号がオフになる期間(全気筒オフ期間)が存在しており、かつその全気筒オフ期間の長さが所定クランク角θ1以上であるか否かを判定する。全気筒オフ期間が所定クランク角θ1以上確保されている場合、ステップS202へ進み、噴射重複フラグF1をオフにする。また、エンジン10の1燃焼サイクル内において、1つの気筒の噴射信号のみがオンされている単独指令期間及び全気筒オフ期間のそれぞれの期間内に、噴射圧のサンプリング時期を所定の数ずつ設定する。例えば3気筒エンジンであれば、第1気筒(♯1)、第2気筒(♯2)及び第3気筒(♯3)のそれぞれに対応する3つの単独指令期間内と、単独指令期間に隣接する合計3つの全気筒オフ期間内とに、サンプリング時期をそれぞれ1つずつ設定することにより合計6つのサンプリング時期を設定する。
続くステップS206では、設定したサンプリング時期で圧力センサ48により検出した噴射圧を取得し、これをRAM83に格納する(サンプル取得手段)。このとき、噴射圧の検出値と、その検出した時の重複噴射情報、具体的には、そのサンプリング時期での各気筒の噴射信号のオン/オフに関する情報とを対応付けて、例えば噴射判定用テーブルとしてデータを格納しておく。
一方、ステップS201で否定判定された場合、すなわち噴射指令期間が気筒間で重複するか、又は気筒間で噴射指令期間は重複しないが全気筒オフ期間が所定クランク角θ1よりも短い場合には、ステップS203へ進む。ステップS203では、噴射指令期間の重複が所定クランク角θ2以下であるか否かを判定する。当該重複が所定クランク角θ2以下であれば、ステップS204へ進み、噴射重複フラグF1をオンにするとともに、単独指令期間内にサンプリング時期を設定する。例えば3気筒エンジンであれば、エンジン10の1燃焼サイクル内における各気筒に対応する3つの単独指令期間内にそれぞれ所定の数ずつ(本実施形態では1つずつ)設定することにより合計3つのサンプリング時期を設定する。その後、ステップS206へ進み、設定したそれぞれのサンプリング時期での噴射圧データを取得・格納する。
噴射指令期間が重複する期間が所定クランク角θ2よりも大きければ、ステップS205へ進み、重複指令期間内にサンプリング時期を設定する。例えば3気筒エンジンであれば、エンジン10の1燃焼サイクル内の3つの重複指令期間内にそれぞれ所定の数ずつ(本実施形態では1つずつ)設定することにより合計3つのサンプリング時期を設定する。その後、ステップS206へ進み、設定したそれぞれのサンプリング時期での噴射圧データを取得・格納する。
図6の噴射圧サンプリング処理が終了すると、そのサンプリングした噴射圧データを用いて図7の噴射状態判定処理を実行する。図7において、ステップS300では、今回サンプリングした噴射圧データに基づく噴射状態判定が未実施の気筒の中から1つを選択し、これを今回の判定対象の気筒に設定する。続くステップS301では、図6の噴射圧サンプリング処理で作成した噴射判定用テーブルの中から、判定対象の気筒(第n気筒)の噴射指令期間(第1サンプル期間又は第3サンプル期間)でサンプリングした噴射圧データPi(♯n)と、判定対象の気筒が噴射指令期間に設定されていない期間(第2サンプル期間又は第4サンプル期間)でサンプリングした噴射圧データPo(♯n)とを読み出す。
ステップS302では、噴射重複フラグF1がオフであるか否かを判定する(重複判定手段)。F1=オフであればステップS303へ進み、読み出した噴射圧データPi(♯n),Po(♯n)の比較結果に基づいて、第1噴射弁21の噴射状態の判定(仮判定)を実施する。具体的には、噴射圧データPi(♯n)とPo(♯n)との差分を求め、(Po−Pi)>所定値TH1の関係を満たす場合には、ステップS305へ進み、仮判定回数Nを更新する。仮判定回数Nは気筒番号ごとに設定されており、ここでは、判定対象の気筒に対応する仮判定回数N(♯n)を1だけインクリメントする。その後、ステップS306へ進み、今回サンプリングした噴射圧データを用いての噴射状態判定が全ての気筒で完了したか否かを判定する。そして、噴射状態判定を実施していない気筒があれば、その気筒を対象にしてステップS300〜S305の処理を実施する。一方、F1=オフの場合にPo−Pi≦TH1であれば、ステップS305の処理を行わず、そのままステップS306へ進む。
また、噴射重複フラグF1がオンである場合には、ステップS304へ進み、(Pi−Po)>TH2の関係を満たす場合には、ステップS305へ進み、仮判定回数N(♯n)を更新し、ステップS306の処理を実行する。また、F1=オンの場合に(Pi−Po)≦TH2であれば、ステップS305の処理を行わず、そのままステップS306へ進む。そして、全気筒について噴射状態の判定が終了すると、本処理を終了する。
図5の説明に戻り、ステップS105の噴射状態判定処理が終了すると、ステップS106へ進み、仮判定回数Nが所定値以上(例えば3回以上)の気筒があるか否かを判定する。このとき、全気筒において仮判定回数N(♯n)が所定値未満であれば、そのまま本処理を終了する。一方、仮判定回数N(♯n)が所定値以上の気筒があれば、ステップS107へ進み、その気筒の第1噴射弁21について噴射状態の異常ありとの仮判定をする。
続くステップS108では、噴射圧データPi,Poの乖離量が所定値TH3以下であるか否かを判定する。この所定値TH3は、Poに対するPiのずれ量として許容される数値範囲の上限値であり、TH1,TH2よりも小さい値に設定されている。乖離量が所定値TH3以下であれば、ステップS109へ進み、PiとPoとの乖離量に基づいて、第1噴射弁21の噴射指令期間を補正する噴射補正量を算出する(噴射補正手段)。例えば、PiとPoとの乖離量を噴射補正量に設定したり、その乖離量の所定割合を噴射補正量に設定したりする。あるいは、仮異常判定するまでに得られた乖離量の平均値を噴射補正量に設定してもよい。また、噴射補正量は気筒ごとに設定することが望ましい。
一方、噴射圧データPi,Poの乖離量が所定値TH3よりも大きければ、ステップS110へ進み、仮判定回数N(♯n)が所定値以上の気筒について第1噴射弁21の閉異常ありと判定する(異常診断手段)。また、第1噴射弁21の異常発生の旨をドライバに通知するとともに、その異常に関する情報(例えば異常内容や気筒番号等)をバックアップRAM84に格納する。
以上詳述した本実施形態によれば、次の優れた効果が得られる。
圧力センサ48により検出される噴射圧と重複噴射情報とに基づいて、第1噴射弁21の噴射状態を判定する構成とした。第1噴射弁21による燃料噴射を行った場合、燃料噴射に伴い燃料通路(低圧配管部41b)内の燃料圧力が低下することから、噴射指令に対する噴射圧の変移をモニタすることにより、第1噴射弁21による燃料噴射が適正に行われているか否かを把握することができる。その一方で、ガス燃料の場合、噴射燃料の体積量が大きく、1回の燃料噴射あたりの燃料噴射時間が長くなる結果、エンジン運転状態によっては複数の気筒間で噴射指令期間が重複することがある。その点、本構成によれば、噴射圧の検出時における各噴射弁21の駆動状態を加味することから、第1噴射弁21の噴射状態の判定を適正に実施することができる。また、得られた判定結果を用いることにより、第1噴射弁21の噴射指令期間の補正や異常診断を精度良く実施することができる。
エンジン10の1燃焼サイクル内において、重複噴射情報が異なる複数のタイミングをサンプリング時期に設定し、その時期での噴射圧を噴射状態判定用のサンプルとして取得するとともに、取得した複数のサンプルを1燃焼サイクル内で比較することにより第1噴射弁21の噴射状態を判定する構成とした。噴射圧の検出値と予め定めた閾値との比較によって第1噴射弁21の噴射状態の判定を行う場合、個体差や経時的変化等によって、設定されている閾値と噴射圧の適正値との関係にずれが生じることが考えられる。その点、上記構成では、1燃焼サイクル内での噴射圧の比較によって噴射状態を判定することから、個体差や経時的変化の影響を少なくでき、判定精度を高めることができる。
エンジン運転状態に応じて1燃焼サイクル内の噴射期間の長さが異なり、その長さに応じて、噴射指令期間の気筒間での重複の有無、重複する長さ、重複する気筒数が相違する。この点を考慮し、エンジン運転状態に応じて、より具体的には噴射指令期間の長さに応じて、噴射圧のサンプリング時期を変更する構成とした。この構成によれば、エンジン運転状態にかかわらず、第1噴射弁21の噴射状態判定を精度良く実施することができる。
噴射指令期間が気筒間で重複しているか否かの判定結果に応じてサンプリング時期を設定する構成とした。噴射指令期間が重複していない場合には、1燃焼サイクル内に、1つの気筒の噴射信号のみがオンされている単独指令期間と、全気筒で噴射信号がオフされている全気筒オフ期間とが存在する。また、全気筒オフ期間での噴射圧データによれば、第1噴射弁21による噴射が実施されていない場合の噴射圧を実測により求めることができる。したがって、これを判定値として用い、単独指令期間での噴射圧データと比較することにより、第1噴射弁21の噴射状態の判定を精度良く実施することができる。一方、噴射指令期間が重複しており、全気筒オフ期間が存在しない場合には、全気筒が無噴射状態である時の噴射圧を実測では把握することができない。かかる場合には、噴射指令期間(単独指令期間、重複指令期間)で検出した噴射圧を複数で比較することにより、第1噴射弁21の噴射状態を判定することができる。
噴射指令期間が重複する場合、その重複期間の長さに応じてサンプリング時期を設定する構成とした。具体的には、重複噴射期間の長さが所定クランク角θ2以下である場合には単独指令期間にサンプリング時期を設定し、一方、重複噴射期間の長さが所定クランク角θ2よりも大きい場合には重複指令期間にサンプリング時期を設定する構成とした。第1噴射弁21の駆動状態が一定に保たれている期間が長いほど、噴射圧の安定した状態が長く保持され、その安定した状態での噴射圧のサンプリングが可能となる。この点に鑑み、上記構成とすることにより、第1噴射弁21の噴射状態の判定をより精度良く実施することができる。
エンジン運転状態が所定の高回転・高負荷状態であり、噴射指令期間が所定の気筒数以上で重複するおそれがある場合には、圧力センサ48により検出した噴射圧に基づく判定処理を禁止する構成とした。噴射指令期間が重複する気筒数が多いほど、異常が生じている気筒を特定しにくくなり、判定精度も低下する可能性がある。したがって、上記構成とすることにより、噴射状態の誤判定を回避することができる。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されてもよい。
・上記実施形態では、エンジン10の1燃焼サイクル内において、重複噴射情報が異なる複数のタイミングをサンプリング時期に設定し、そのサンプリング時期で検出した噴射圧を1燃焼サイクル内で比較することにより第1噴射弁21の噴射状態を判定する構成とした。これを変更し、本実施形態では、圧力センサ48により検出した噴射圧と重複噴射情報とに基づいて第1噴射弁21の噴射状態を判定する構成として、所定の判定タイミングで圧力センサ48により検出した噴射圧と、その判定タイミングでの重複噴射情報に基づき設定した圧力判定値とを比較することにより、第1噴射弁21の噴射状態を判定する構成とする。
具体的には、噴射指令期間が重複する気筒数(重複噴射情報に相当)と圧力判定値との関係を予め定めてマップ等として記憶しておく。このとき、噴射指令期間が重複する気筒数が多いほど、圧力判定値を低圧側に設定しておく。制御部80のCPU81は、エンジン運転状態に基づき設定した噴射指令期間から、判定タイミングにおいて噴射指令期間が重複する気筒数を求めるとともに、その気筒数に対応する圧力判定値を読み出す。そして、判定タイミングで検出した噴射圧と圧力判定値とを比較することにより、第1噴射弁21の噴射状態を判定する。このとき、噴射圧の検出値と圧力判定値との差分が所定値よりも大きい場合に、第1噴射弁21の異常ありと判定するか、又は噴射量補正を実施する。
・上記実施形態では、エンジン10の1燃焼サイクル内での噴射圧を比較することにより第1噴射弁21の噴射状態を判定したが、エンジン運転状態が同じ期間内における異なる燃焼サイクル間の噴射圧データを比較することにより第1噴射弁21の噴射状態を判定してもよい。
・噴射圧サンプリング処理において、重複噴射情報が同じ期間内でサンプリングする噴射圧の数は1つに限らず、複数にすることもできる。この場合、重複噴射情報が同じ期間内でサンプリングした複数の噴射圧の平均値を求め、その平均値を用いて噴射状態の判定を行ってもよい。
・上記実施形態では、3気筒エンジンに適用する場合について説明したが、多気筒エンジンであればよく、例えば4気筒エンジンや6気筒エンジン等に適用してもよい。
・上記実施形態では、ガス燃料(CNG燃料)と液体燃料(ガソリン燃料)とを燃焼用の燃料として使用するバイフューエルエンジンに本発明を具体化する場合について説明したが、燃焼用の燃料としてガス燃料のみを使用するガスエンジンに本発明を具体化してもよい。あるいは、ガス燃料と液体燃料とを同時に使用するエンジンに本発明を具体化してもよい。
・上記実施形態ではガス燃料をCNG燃料としたが、標準状態で気体状態の他のガス燃料を用いることもでき、例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、水素、ジメチルエーテルなどを主成分とする燃料を用いる構成としてもよい。また、液体燃料についてもガソリン燃料に限定しない。例えば燃焼用の燃料として軽油を用いるディーゼルエンジンに、ガス燃料の供給系を搭載したシステムに本発明を適用してもよい。
10…エンジン、21…第1噴射弁(燃料噴射手段)、22…第2噴射弁、24…気筒、40…ガス燃料供給部、41…ガス配管、41b…低圧配管部、42…ガスタンク、43…レギュレータ(圧力調整手段)、48…圧力センサ(圧力検出手段)、4…レギュレータ、80…制御部(期間設定手段、噴射指令手段、噴射判定手段、サンプリング設定手段、サンプル取得手段、異常診断手段、噴射補正手段)。
Claims (10)
- 複数気筒(24)を有する内燃機関(10)におけるそれぞれ異なる気筒に対しガス燃料を噴射する複数の燃料噴射手段(21)と、前記ガス燃料を供給する燃料通路(41)に設けられ、前記複数の燃料噴射手段にそれぞれ供給される前記ガス燃料の圧力である噴射圧を調整する圧力調整手段(43)とを備え、前記複数の燃料噴射手段が、前記圧力調整手段に対して共通の燃料通路(41、41b)を介して接続される燃料噴射システムに適用され、
前記共通の燃料通路において前記噴射圧を検出する圧力検出手段(48)と、
前記内燃機関の運転状態に基づいて、前記燃料噴射手段による燃料噴射を行わせる噴射指令期間を設定する期間設定手段と、
前記期間設定手段により設定した噴射指令期間に前記燃料噴射手段による前記ガス燃料の噴射を行わせるよう指令する噴射指令手段と、
前記噴射指令手段による指令後において、前記圧力検出手段により検出した噴射圧と、前記期間設定手段により設定した噴射指令期間の気筒間での重複状態に関する重複噴射情報とに基づいて、前記燃料噴射手段の噴射状態を判定する噴射判定手段と、
を備えることを特徴とする内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記内燃機関の1燃焼サイクル内において、前記重複噴射情報が異なる複数のタイミングを、前記圧力検出手段により検出される前記噴射圧のサンプリング時期に設定するサンプリング設定手段と、
前記サンプリング設定手段により設定した各々のサンプリング時期で前記圧力検出手段により検出した前記噴射圧を取得するサンプル取得手段と、を備え、
前記噴射判定手段は、前記サンプル取得手段により取得した噴射圧と、前記重複噴射情報とに基づいて前記噴射状態を判定する請求項1に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記サンプリング設定手段は、前記内燃機関の運転状態に応じて前記サンプリング時期を変更する請求項2に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記期間設定手段により設定した噴射指令期間が気筒間で重複しているか否かを判定する重複判定手段を備え、
前記サンプリング設定手段は、前記重複判定手段による判定結果に応じて前記サンプリング時期を設定する請求項2又は3に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記サンプリング設定手段は、前記重複判定手段により前記噴射指令期間が気筒間で重複していると判定された場合に、その重複している期間の長さに応じて前記サンプリング時期を設定する請求項4に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記サンプリング設定手段は、前記重複判定手段により前記噴射指令期間が気筒間で重複していると判定された場合に、前記内燃機関の1燃焼サイクル内において、前記噴射判定手段による判定対象の気筒が前記噴射指令期間に設定されており、かつ前記噴射指令期間に設定されている気筒の数が所定数である第1サンプル期間内と、該判定対象の気筒が前記噴射指令期間に設定されておらず、かつ前記噴射指令期間に設定されている気筒数が前記第1サンプル期間と同じである第2サンプル期間内と、に前記サンプリング時期をそれぞれ設定し、
前記噴射判定手段は、前記第1サンプル期間でサンプリングした噴射圧と、前記第2サンプル期間でサンプリングした噴射圧との比較結果に基づいて、前記判定対象の気筒について前記噴射状態を判定する請求項4又は5に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記サンプリング設定手段は、前記重複判定手段により前記噴射指令期間が気筒間で重複していないと判定された場合に、前記内燃機関の1燃焼サイクル内において、前記噴射判定手段による判定対象の気筒が前記噴射指令期間に設定されている第3サンプル期間内と、全ての気筒が前記噴射指令期間に設定されていない第4サンプル期間内と、に前記サンプリング時期をそれぞれ設定し、
前記噴射判定手段は、前記第3サンプル期間でサンプリングした噴射圧と、前記第4サンプル期間でサンプリングした噴射圧との比較結果に基づいて、前記判定対象の気筒について前記噴射状態を判定する請求項4乃至6のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。 - 前記期間設定手段により設定した噴射指令期間が所定の気筒数以上で重複する場合に、前記噴射判定手段による前記噴射状態の判定を禁止する請求項1乃至7のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射判定手段による判定結果に基づいて、前記燃料噴射手段の噴射異常の診断を実施する異常診断手段を備える請求項1乃至8のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
- 前記噴射判定手段による判定結果に基づいて、前記期間設定手段により設定した噴射指令期間を補正する噴射補正手段を備える請求項1乃至9のいずれか一項に記載の内燃機関の燃料噴射制御装置。
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JP2019190367A (ja) * | 2018-04-25 | 2019-10-31 | 三菱電機株式会社 | インジェクタ制御装置 |
-
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- 2013-02-06 JP JP2013021510A patent/JP2014152657A/ja active Pending
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