JP2014152268A - 塗料、及び塗装物品 - Google Patents
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Abstract
【解決課題】本発明の塗料は、亜鉛を含む塗膜又はめっき膜に塗装する塗料であって、アルミニウムと、珪酸ナトリウムと、珪酸リチウムと、シラン化合物と、界面活性剤と、水とを含有してなる。珪酸ナトリウムの有効成分の前記珪酸リチウムの有効成分に対する質量比率は50/50以上88/12以下であるのが好ましい。
【選択図】なし
Description
塗料としては、亜鉛及びアルミニウム等を金属顔料として含む塗料が挙げられる。亜鉛及びアルミニウムは鉄よりもイオン化傾向が大きいため、鉄より先に溶出し、鉄の腐食を抑制する作用(犠牲防食作用)が得られる。
特許文献2には、アルキルシリケート、沸点108℃のイソブチルアルコールを含むアルコール、水、及び塩酸を有する溶液を反応させてアルキルシリケート加水分解初期縮合物を調製した後、亜鉛末を配合して防食塗料を得、該防食塗料を鋼材の表面にプライマーとして塗装する防食塗装方法の発明が開示されている。
特許文献3には、部分加水分解縮合されたアルキルシリケート、亜鉛末、及び増粘剤を含む防錆性付与下塗材の発明が開示されている。
特許文献4には、大気圧で略100℃を超える沸点を有する高沸点有機液体、粒状金属、増粘剤、シラン結合剤を含む水希釈型被覆組成物の発明が開示されている。すなわち、アルキルシリケート系亜鉛末塗料に、シラン結合剤を加水分解する水を配合することが開示されている。
特許文献6には、亜鉛とアルミニウムとの合金からなり、メカニカルプレーティングに用いられる金属粉末の発明が開示されている。亜鉛にアルミニウムを合金化することにより防錆性が向上するが、塗膜の密着性は亜鉛単独の場合より悪くなる。この発明によれば、合金中の亜鉛の含有量を略50質量%以上に設定することで、良好な防錆性及び塗膜の密着性を併せ持つことを可能にしている。
特許文献7には、特許文献5及び6の発明と同様に、亜鉛を50質量%以上含む、亜鉛と非亜鉛金属との合金からなり、特許文献5の発明と同様にフレーク状をなす金属粉末を液体媒体と共に用いることで、良好な防錆性を有する塗料の発明が開示されている。
また、異種金属の部品と組み合わされて使用され、複雑な形状をなす、例えばボルト、ナット、ワッシャー等を含む製品の表面においては塗膜が均一に形成される必要があり、そのため、塗料中に均一に金属が分散されている必要がある。
さらに、特許文献9の発明においては、珪酸ナトリウムを含む塗料の耐水性は向上しているが、防錆性が不十分であるという問題があった。
すなわち、第1発明に係る塗料は、亜鉛を含む塗膜又はめっき膜に塗装する塗料であって、アルミニウムと、珪酸ナトリウムと、珪酸リチウムと、シラン化合物と、界面活性剤と、水とを含有してなることを特徴とする。
ここで、珪酸ナトリウムの有効成分、珪酸リチウムの有効成分とは、それぞれの加熱残分をいう。
ここで、鉄系母材を含む被塗物とは、鉄系母材にめっき又は塗装等を施してあるものも含む。
また、本発明の塗料はシラン化合物と界面活性剤とを含むので、シラン化合物が界面活性剤により水と馴染んで加水分解されやすくなり、アルミニウムが、加水分解により生じたシラノール基と結合して塗料中で良好に分散して安定化し、塗料が焼き付け時に硬化しやすくなるとともに、被塗物に均一に塗膜が形成され得る。
本発明に係る塗料(以下、上塗り塗料という)は、被塗物の亜鉛を含む塗膜又はめっき膜に塗装する塗料であって、アルミニウムと、珪酸ナトリウムと、珪酸リチウムと、シラン化合物と、界面活性剤と、水とを含有してなる。
本発明に係る上塗り塗料は、アルミニウム以外に、亜鉛、マグネシウム等の金属を含むことができる。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
このシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
この効果の発現及び塗料の貯蔵安定性の観点から、シラン化合物のアルミニウム(有効成分:アルミニウムがアルミニウムペースト(アルミペースト)に調製されている場合、該アルミニウムペースト中のアルミニウムの含有量)に対する質量比率は、好ましくは0.3以上3以下、より好ましくは0.4以上2以下である。
このシラン化合物は、分子中にエポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、メルカプト基、及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性ケイ素基とを有するシランカップリング剤と異なり、pHが高い溶液中においても上述の効果が奏され得る。
b=1,2,〜
R=Cn H2n+1
n=1,2,〜
RO−(CH2CH2 O)n −H ・・・(2)
n=1,2,〜
R=Cm H2m+1
m=1,2,〜
b=1,2,〜
c=1,2,〜
R=Cn H2n+1
n=1,2,〜
n=1,2,〜
界面活性剤の種類及び組み合わせを決定する際にHLBが考慮されるが、後述するように界面活性剤の種類及び組み合わせにより好適なHLBの範囲は異なるので、界面活性剤の種類及び組み合わせに対応したHLBを有する界面活性剤を選択する。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びメチルエチルセルロースのエーテル類、これら物質の混合物が挙げられる。
本発明の塗装物品は、被塗物に上述の上塗り塗料を用いて形成された第1塗膜を有する。被塗物は特に限定されるものではなく、セラミック製等の被塗物であってもよいが、鋼材等の鉄系材料からなる鉄系母材を含む被塗物に好適に塗装され得る。鉄系材料は、合金又は金属間混合物等の形態であってもよい。
鉄系母材を含む被塗物として、チェーン、歯車、減速機及び直動シリンダーの本体又はケース等、鉄系材料を用いる製品全般が挙げられる。チェーンとしては、2本のピンにより連結される一対の外プレートと、2つのブシュにより連結される一対の内プレートとを、前記ブシュに前記ピンを遊嵌した状態で交互に連結してなるものが挙げられる。また、本発明の塗料は、水に曝されることがある、自動車用のボルト、ナット、ワッシャ、ピン、ねじ等にも好適に塗装され得る。
そして、被塗物の表面の処理として、ショット(小さい鋼球)を高圧の空気で該表面に向かって噴出させ、該表面に当ててその表面を仕上げるショットブラスト処理を行うことにしてもよい。
本発明の下塗り塗料は、亜鉛粉末、又は亜鉛及びアルミニウムを含む粉末状の合金を有する。本発明の下塗り塗料は、さらにアルミニウム粉末を含むことにしてもよい。
金属の粉末はフレーク状であるのが好ましい。フレーク状にすることにより、比表面積が大きくなり、粉末同士の接触が密になり、金属自体の能動的な防食性に加えて、フレーク形状に基づく保護バリア効果(受動的防食性)も得られ、合金の含有量を減じることができ、塗膜に割れが発生するのを抑制することができる。
下塗り塗料が合金を含む場合、合金は、亜鉛、アルミニウム以外に、マグネシウム、錫、コバルト、及びマンガン等を含むことができる。例えば3金属の合金として、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金等を用いることができる。
防錆性、被塗物に対する密着性、及びコストの観点から、合金中に亜鉛を好ましくは50質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは85質量%以上含有する。
合金は合金ペースト中に略90〜95質量%含有されるのが好ましい。
そして、合金が亜鉛−アルミニウム合金である場合、合金ペースト中に、略85〜90質量%の亜鉛、及び略3〜8質量%のアルミニウムを含み、残部がペースト液体であるのがより好ましい。
この効果が有効に奏されるという観点から、界面活性剤の合金に対する質量比は0.01以上0.05以下であるのが好ましく、0.1以上0.25以下であるのがより好ましい。界面活性剤の種類及び組み合わせを決定する際にHLBが考慮されるが、後述するように界面活性剤の種類及び組み合わせにより好適なHLBの範囲は異なるので、界面活性剤の種類及び組み合わせに対応したHLBを有する界面活性剤を選択する。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
塗膜の良好な付着性の発現及び塗料の貯蔵安定性の観点から、シランカップリング剤の合金に対する質量比は、好ましくは0.01以上1.0以下、より好ましくは0.25以上0.8以下、さらに好ましくは0.3以上0.7以下である。
加水分解性ケイ素基としては特に限定されないが、取扱い性の観点から、アルコキシシリル基が好ましく、反応性の観点から、メトキシシリル基、エトキシシリル基が特に好ましい。
そして、シランカップリング剤の官能基を含まないアルキル基、フェニル基、又は水素原子の一部若しくは全部をハロゲン原子で置換したハロアルキル基等を有する。
このシラン化合物としては、例えばメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
このシラン化合物は加水分解してシラノール基が生じやすく、シラノール基は合金と結合するので、合金が塗料中で安定化すると考えられる。塗膜形成時に、シラノール基は被塗物とも結合するので、塗膜の付着性も向上する。
この効果の発現及び塗料の貯蔵安定性の観点から、シラン化合物の合金に対する質量比は、好ましくは0.01以上0.9以下、より好ましくは0.02以上0.15以下である。
増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、及びメチルエチルセルロースのエーテル類、これら物質の混合物が挙げられる。
また、本発明の下塗り塗料は合金を含むタイプでは、窒化ホウ素、シリカにカルシウム及びマグネシウムのうちの少なくとも1種をイオン交換により結合させてなるイオン交換シリカ、鱗片状シリカ、水性ジルコニアゾル、及び導電性顔料の少なくとも1種を含有することにしてもよい。導電性顔料としては、基材としてルチル型又はアナターゼ型の酸化チタン用い、この基材の表面にアンチモンを含む酸化スズを有する被覆層を形成してなるものが挙げられる。
本発明の下塗り塗料は、浸漬ドレン(ディップドレン)及び浸漬回転(ディップスピン)等の浸漬処理、はけ塗り、噴霧等によって被塗物に塗装することができる。
本発明の上塗り塗料も同様にして、前記下塗り塗料により得られた塗膜等の、亜鉛を含む塗膜上、又は亜鉛を含むめっき膜上に塗装することができる。
塗料の加熱硬化は、高温空気オーブン硬化により行われ得るが、赤外線ベーキング及び誘導硬化を採用することもできる。加熱硬化は、略280℃〜370℃の範囲で行われ得る。硬化時間は、略10分〜45分であるのが好ましい。
本発明の上塗り塗料は、略100℃〜200℃で、10〜60分間、焼き付けるのが好ましい。
本発明の塗料は、被塗物に複数回塗装することにしてもよい。
良好な耐食性の発現及びコストの観点から、塗着量が5mg/dm2 〜400mg/dm2 、塗膜の合計膜厚が1μm〜30μmとなるように塗装するのが好ましい。そして、被塗物に第2塗膜と第1塗膜とを形成させる場合、両塗膜の合計の膜厚が5〜30μm、塗着量が50〜400mgであるのが好ましい。
また、本発明の上塗り塗料はシラン化合物と界面活性剤とを含むので、シラン化合物が界面活性剤により水と馴染んで加水分解されやすくなり、加水分解により生じたシラノール基がアルミニウムと結合し、アルミニウムが塗料中で安定化している。
合金を塗料中に良好に分散させるために添加する界面活性剤の検討を行った。
検討した界面活性剤は以下の通りである。
前記式(1)のポリオキシエチレンアルキルアミン
商品名「ゾンテスAL−5」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「アミート105」(花王株式会社製)
商品名「アミート102」(花王株式会社製)
商品名「マーポンACF−12」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンACF−9」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンB−9W」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンACF−7」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「マーポンB−5」(松本油脂製薬株式会社製)
商品名「エマルゲン106」(花王株式会社製)
商品名「エマルゲン102KG」(花王株式会社製)
商品名「エマルゲンA−60」(花王株式会社製)
商品名「エマルゲンA−90」(花王株式会社製)
商品名「NIKKOL TS−106V」(日光ケミカルズ株式会社製)
商品名「ニューコール25」(日本乳化剤株式会社製)
商品名「マーポンS−20A」(松本油脂製薬株式会社製)
前記表1の配合(質量部で示す)に従って、水、界面活性剤(前記「ゾンテスAL−5」)、Zn−Al合金ペースト(エカルト(Eckart)社製「STAPA 4 ZnAl7」)を室温で1時間、撹拌混合して、配合例1の組成物を得た。「STAPA 4 ZnAl7」の成分は、Zn:85質量%、Al:7質量%、ミネラルスピリット:8質量%である。
[配合例2〜10]
配合は前記表1の配合に従い、配合例1と同様にして配合例2〜10の組成物を得た。[配合例11]
界面活性剤を添加しなかったこと以外は、配合例1と同様にして、配合例11の組成物を得た。
配合は前記表2の配合に従い、配合例1と同様にして配合例12〜16の組成物を得た。
配合は前記表3の配合に従い、界面活性剤を2又は3種用い、配合例1と同様にして配合例17〜26の組成物を得た。なお、配合例17〜26においては、水、界面活性剤、合金、水の順に配合しており、水を2回に亘って配合している。
組成物調製後のZn−Al合金の組成物中の分散性を以下のように評価した。
A・・・非常に良い
B・・・良い
C・・・悪い
D・・・非常に悪い(合金が水を弾く)
この評価結果を前記表1〜3に示す。
式(2)のポリオキシエチレンアルキルエーテルの場合、同一のHLB13.3を示す「マーポンACF−9」は分散性の評価がC、「マーポンB−9W」は評価がBである。HLB12.1の「マーポンACF−7」も評価がBであり、HLB10.9,10.5の「マーポンB−5」,「エマルゲン106」はいずれも評価がAであり、HLB6.3の「エマルゲン102KG」は評価がCである。従って、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの場合、HLB10〜13が好ましく、HLB10〜11がより好ましいことが推察される。
界面活性剤を添加していない配合例11の場合、合金の分散性は非常に悪い。
表3より、式(3)の2つの界面活性剤、及び式(4)の2つの界面活性剤を混合しても分散性は向上せず、式(4)及び(5)の界面活性剤を混合してHLB12〜15にした場合に評価がBになり、さらに式(2)の界面活性剤も混合してHLB9.9、13.3にした場合、評価がAになることが確認された。同一のHLBでも、Zn−Al合金ペーストの量が2倍である配合例25は配合例26より分散性が少し悪くなっている。
分散性の評価がB以上である界面活性剤を用いて塗料を調製した場合、いずれの塗料においても、合金は良好に分散すると考えられる。
また、同様の傾向は、上塗り塗料の界面活性剤においても示されると考えられる。上塗り塗料において、「ゾンテスAL−5」、及び「マーポンACF−7」の分散性が良好であることが確認されている。
[配合例I]
下記の表4の配合(質量部で示す)に従い、水、界面活性剤(1)(前記「NIKKOL TS−106V」)、界面活性剤(2)(前記「マーポンS−20A」)、界面活性剤(3)(前記「ニューコール25」)、湿潤分散剤(日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース20000」、)、Zn−Al合金ペースト(1)(前記「STAPA 4 ZnAl7」)、シランカップリング剤(JNC株式会社製「S510」、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、酢酸、水、増粘剤(ビックケミー・ジャパン株式会社製「BYK―425」、ウレタン系増粘剤(レオロジーコントロール剤))を4時間、混合撹拌することによって、配合例Iの下塗り塗料を得た。
前記表4の配合に従い、配合例Iと同様にして、配合例II〜VIの下塗り塗料を得た。なお、配合例IV〜VIにおいては、Zn−Al合金ペースト(1)に代えて、Zn−Al合金ペースト(2)(エカルト社製「STAPA 4 ZnAl3」)を用いた。「STAPA 4 ZnAl3」の成分は、Zn:89質量%、Al:2.5質量%、ミネラルスピリット:8.5質量%である。
(1)珪酸ナトリウムと珪酸リチウムの配合比の検討
下記の表5の配合に従って、珪酸ナトリウムと珪酸リチウムとを配合した塗料を調製し、耐湿性を評価した。
試験条件 試験槽内温度:50℃、相対湿度:90%以上、試験時間:15時間
○・・・残分75%以上
×・・・残分75%未満
表5より、珪酸ナトリウムと珪酸リチウムとの質量比率が40/60〜88/12の場合、良好な耐湿性が得られることが分かる。
[実施例1]
下記表6の配合(質量部で示す)に従って、アルミペースト(旭化成ケミカルズ株式会社製「FW610」、有効成分(アルミニウムの含有量)60%)、界面活性剤(前記「ゾンテスAL−5」)、マイカ顔料(メルク株式会社製「Iriotec8800」)、n−ヘキシルトリメトキシシラン、水、珪酸ナトリウム(富士化学株式会社製「珪酸ソーダ2号」、有効成分51%)、及び珪酸リチウム(日本化学工業株式会社製「珪酸リチウム45」、有効成分23%)を混合撹拌することによって、実施例1の上塗り塗料を得た。
PWC=(アルミニウムペーストの有効成分+マイカ顔料)/(アルミニウムペーストの有効成分+マイカ顔料+珪酸ナトリウムの有効成分+珪酸リチウムの有効成分)×100
[1]SiO2 :27.7〜29.4(%)
[2]Na2 O:11.5〜12.5(%)
[3]モル比([1]/[2]):2.4〜2.5
[1]SiO2 :20〜22(%)
[2]Li2 O:2.2〜2.5(%)
[3]モル比([1]/[2]):4.2〜4.8
上記表6の配合に従い、実施例1と同様にして、実施例2〜13の上塗り塗料を得た。
下記表7に示すように、アルミニウムペースト、界面活性剤、n−ヘキシルトリメトキシシラン、マイカ顔料、及び珪酸リチウムを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例1の上塗り塗料を得た。
上記表7に示すように、アルミニウムペースト、界面活性剤、n−ヘキシルトリメトキシシラン、マイカ顔料、及び珪酸ナトリウムを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例2の上塗り塗料を得た。
[比較例3]
上記表7に示すように、界面活性剤、n−ヘキシルトリメトキシシラン、及びマイカ顔料を配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較例3の上塗り塗料を得た。
○:塗料中でガスの発生なし
×:塗料中でガスの発生
表6及び表7より、界面活性剤及びn−ヘキシルトリメトキシシランを含まない比較例3の塗料の場合、アルミニウムが塗料中で安定せず、水と反応してガスが生じたことが分かる。すなわち、アルミニウムの水系塗料中での安定化に、界面活性剤及びn−ヘキシルトリメトキシシランが必要であることが分かる。
[実施例21]
ボルト(M10:鋼製)の表面に脱脂処理及びショットブラスト処理を施した後、配合例Iの下塗り塗料を用いてディップスピン法により表面を被覆し、120℃で15分間、硬化前乾燥をした後、330℃で25分間、硬化させて、塗膜を形成した。再度、同一の下塗り塗料を用いて塗装を行った。すなわち、2回塗りを行い、第2塗膜を形成した。
次に、実施例1の上塗り塗料を用いてディップスピン法により第2塗膜の表面を被覆し、180℃で40分間、硬化させて、第1塗膜を形成し、実施例21の耐食表面処理ボルトを作製した。合計膜厚は30μm、塗着量は400mg/dm2 であった。塗料の構成を下記の表8に示す。
上記表8の構成に従い、上塗り塗料を実施例2〜10の上塗り塗料に代えたこと以外は実施例21と同様にして実施例22〜30の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表9の構成に従い、下塗り塗料を配合例IIの下塗り塗料に代えたこと以外は実施例21と同様にして実施例31〜40の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表10の塗料の構成に従い、下塗り塗料を配合例III の下塗り塗料に代えたこと以外は実施例41と同様にして実施例41〜50の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表11の塗料の構成に従い、下塗り塗料を配合例IVの下塗り塗料に代えたこと以外は実施例21と同様にして実施例51〜60の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表12の塗料の構成に従い、下塗り塗料を配合例Vの下塗り塗料に代えたこと以外は実施例21と同様にして実施例61〜70の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表13の塗料の構成に従い、下塗り塗料を配合例VIの下塗り塗料に代えたこと以外は実施例21と同様にして実施例71〜80の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表14の塗料の構成に従い、実施例21と同様にして実施例81〜89の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表15の塗料の構成に従い、実施例21と同様にして実施例90〜98の耐食表面処理ボルトを作製した。
下記表16の塗料の構成に従い、下塗り塗料は配合例I〜VIの塗料を用いて第2塗膜を形成し、上塗り塗料による第1塗膜は形成しなかったこと以外は、実施例21と同様にして比較例11〜16の表面処理ボルトを作製した。
上記表16の塗料の構成に従い、下塗り塗料は配合例I〜VIの塗料を用いて第2塗膜を形成し、比較例1の上塗り塗料を用いて第1塗膜を形成したこと以外は、実施例21と同様にして比較例17〜22の表面処理ボルトを作製した。
下記表17の塗料の構成に従い、下塗り塗料は配合例I〜VIの塗料を用いて第2塗膜を形成し、比較例2の上塗り塗料を用いて第1塗膜を形成したこと以外は、実施例21と同様にして比較例23〜28の表面処理ボルトを作製した。
上述の実施例の耐食表面処理ボルト及び比較例の表面処理ボルトにつき、「JIS−K5600−7−1」に準拠して塩水噴霧試験を行い、以下のように評価した。その結果を上記表8〜15に示す。
◎:塩水噴霧試験1500時間経過時で赤錆なし
○:塩水噴霧試験1000時間経過時で赤錆なし、1500時間経過で僅かに赤錆発生
○- :塩水噴霧試験1000時間経過時で僅かに赤錆発生
×:塩水噴霧試験1000時間経過時で赤錆発生
××:塩水噴霧試験1000時間経過時で第1塗膜が溶解して無くなり、赤錆が発生
×××:第1塗膜を形成できない
[実施例99]
下記表18に示すように、ボルトの表面に、衝撃亜鉛めっきにより亜鉛−鉄合金下地被膜を形成した後、実施例3の上塗り塗料を用いてディップスピン法により亜鉛−鉄合金下地被膜の表面を被覆し、180℃で40分間、硬化させて塗膜を形成した。再度、同一の上塗り塗料を用いて塗装を行った。すなわち、2回塗りを行って第1塗膜を形成し、実施例99の耐食表面処理ボルトを作製した。
実施例4の上塗り塗料を用いたこと以外は、実施例99と同様にして実施例100の耐食表面処理ボルトを作製した。
第1塗膜を形成しなかったこと以外は実施例99と同様にして比較例29の表面処理ボルトを作製した。
上述の実施例の耐食表面処理ボルト及び比較例の表面処理ボルトにつき、「JIS−K5600−7−1」に準拠して塩水噴霧試験を行い、以下のように評価した。その結果を上記表18に示す。
○:塩水噴霧試験1000時間経過時で赤錆なし
×:塩水噴霧試験100時間未満で赤錆発生
表8〜17により、第1塗膜を形成しない比較例11〜16の表面処理ボルトの場合、塩水噴霧試験1000時間経過後、赤錆の発生を確認したのに対し、実施例の場合、1000時間で赤錆が発生せず、耐食性が向上していることが分かる。
また、アルミニウムペースト及びマイカ顔料を含まず、珪酸ナトリウムのみを含む比較例1の上塗り塗料を用いた比較例17〜22の表面処理ボルトの場合、塩水噴霧試験1000時間で第1塗膜が溶解してなくなり、赤錆が発生した。すなわち、上塗り塗料が珪酸リチウムを含まない場合、耐水性が悪く、第1塗膜を維持できないことが分かる。
そして、アルミニウムペースト及びマイカ顔料を含まず、珪酸リチウムのみを含む比較例2の上塗り塗料を用いた比較例23〜28の表面処理ボルトの場合、第1塗膜を形成することができず、第1塗膜による耐食性の向上を図ることができない。
実施例4、6、8、10、13の上塗り塗料を用いた耐食表面処理ボルトの実施例を比較することにより、珪酸ナトリウムと珪酸リチウムとの質量比率の下限は、60/40であるのがより好ましく、72/28であるのがさらに好ましいことが分かる。そして、74/26〜86/14であるのが最も好ましいことが分かる。
Claims (9)
- 亜鉛を含む塗膜又はめっき膜に塗装する塗料であって、
アルミニウムと、
珪酸ナトリウムと、
珪酸リチウムと、
シラン化合物と、
界面活性剤と、
水と
を含有してなることを特徴とする塗料。 - 前記珪酸ナトリウムの有効成分の前記珪酸リチウムの有効成分に対する質量比率は50/50以上88/12以下であることを特徴とする請求項1に記載の塗料。
- 前記シラン化合物は、分子中に、アルキル基、フェニル基、又は水素原子の一部若しくは全部をハロゲン原子で置換したハロアルキル基と、加水分解性ケイ素基とを有することを特徴とする請求項1又は2に記載の塗料。
- 前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンジスチレン化フェニルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、及びアルキルエーテルホスフェート塩からなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の塗料。
- マイカ顔料をさらに含むことを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の塗料。
- 鉄系母材を含む被塗物に、請求項1から5までのいずれか1項に記載の塗料を用いて形成された第1塗膜を有することを特徴とする塗装物品。
- 前記鉄系母材の表面と前記第1塗膜との間に、衝撃亜鉛めっきして形成された亜鉛−鉄合金下地被膜を有することを特徴とする請求項6に記載の塗装物品。
- 前記鉄系母材の表面上、若しくは前記亜鉛−鉄合金下地被膜上に、亜鉛粉末、又は亜鉛及びアルミニウムを含む粉末状の合金を有する下塗り塗料を用いて形成された第2塗膜を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の塗装物品。
- 前記下塗り塗料は、
分子中にエポキシ基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、及びビニル基からなる群より選ばれる少なくとも1個の官能基と加水分解性ケイ素基とを有するシランカップリング剤、及び/又は
分子中に、加水分解性ケイ素基を有し、シランカップリング剤を除くシラン化合物と、
界面活性剤と
を含むことを特徴とする請求項8に記載の塗装物品。
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