JP2014152064A - チタン酸バリウム粉末の製造方法 - Google Patents

チタン酸バリウム粉末の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】工業的に有利な方法で、微細なチタン酸バリウム粉末を製造し得る方法を提供すること。
【解決手段】本発明のチタン酸バリウム粉末の製造方法は、BET比表面積が0.2〜1.5m2/gで、かつ{(タップ密度−かさ密度)/タップ密度}×100で示される圧縮度が1.5〜35%であり、Ba(OH)2・xH2O(式中、xは0≦x≦1である。)で表される水酸化バリウム粉末を、酸化チタン粉末の分散したスラリーに添加して、水熱反応させることを特徴とする。平均粒子径が0.5〜7.0μmである前記水酸化バリウムを使用することが好適である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水熱合成法によるチタン酸バリウム粉末の製造方法に関する。
近年の電子デバイスの急速な小型化や高性能化に伴い、これを構成する素子や、それらの出発原料の微細化が求められている。例えば、積層セラミックコンデンサに使用されている誘電体の原料となるチタン酸バリウム(BaTiO3)微粒子の粒子径は100nm以下である必要性が生じている。微細化技術はデバイス・機器の小型軽量化ばかりでなく、新材料や高機能材料の創成、更には生産方式まで一変させる可能性を有する。
従来から知られているチタン酸バリウムの合成法の一つとして、水熱合成法が挙げられる。水熱合成法は、水熱条件下で反応を行うため、低温で目的物質を得ることができる。また、溶液中からの析出によって目的物質を得るので、該目的物質は高い結晶性を有し、更に高純度品を得やすいというメリットがある。
水熱合成法によって得られるチタン酸バリウムは、水熱反応の条件に応じて微細化が可能である。例えば、特許文献1には、酸化チタンスラリーに無水水酸化バリウムを加えて、オートクレーブ中で200℃、15MPaの条件で水熱合成を行った結果、一次粒子径が約20nmのチタン酸バリウム系粉末が得られることが記載されている。特許文献2には、50〜200℃の含水チタニアスラリーへ、水酸化バリウム等の二価陽イオンの水酸化物を導入することによって、二価陽イオンチタン酸塩粉末が得られることが記載されている。これらの文献においては、水熱反応の条件のうち、反応温度や時間を最適化することによって、所望するチタン酸バリウムを得ている。
その一方で、特許文献3には、平均粒子径が10nm以下の酸化チタン粒子が分散した酸化チタンゾルに、水酸化バリウム無水物や水酸化バリウム八水和物等の水溶性バリウム塩を混合した後、水熱反応させることによって、微細でかつ結晶性の良好なチタン酸バリウム粉末が得られることが記載されている。また、特許文献4には、水酸化バリウムと0.1ミクロン以下の粒径を有するチタニアとを、水などのプロトン性溶媒中で反応させることによって、微細なチタン酸バリウム粉末が得られることが記載されている。このように、これらの文献においては、酸化チタンの粒子径に着目することで、チタン酸バリウムの微細化を図っている。
このように、これまでのチタン酸バリウムの製造方法においては、原料となるチタン源の微細化を図ることによって、生成物の微細化が図られていた。しかし、バリウム源の微細化については検討が困難であった。その理由は、バリウム源として主に使用されている水酸化バリウムは、通常、八水塩として上市されているところ、この結晶水の存在が、原料のモル比調整を困難にさせていることに起因して、微細化する必要性以前の問題があったからである。また、無水水酸化バリウムの使用を考えた場合、吸湿性の問題や水熱合成の反応温度における水酸化バリウムの良好な溶解性を考慮すると、水酸化バリウムを粉末として合成反応に使用するよりも、水溶液として使用した方が、手間がかからないといったことも背景にあった(特許文献5参照)。
特開2008−71513号公報 特開昭63−74915号公報 特開2006−27971号公報 特開昭62−297214号公報 特開2003−252623号公報
バリウム源として水酸化バリウムを使用する場合、これを水溶液の状態で反応に供すると、粉末の状態で反応に供した場合に比べ、より大きな反応容器が必要となるため、設備面でコストがかかる問題があった。また、水酸化バリウムの溶解には加熱が伴うので手間がかかる他、水酸化バリウムは分散性が悪いことから、攪拌を十分に行う必要があるため、ランニングコストが増大する問題もあった。
そこで、本発明者らは前記実情に鑑み鋭意検討した結果、チタン源の微細化と同様に、微細で良好な反応性を達成することのできる特性を持った水酸化バリウムを使用することで、前記問題を解決できることを見出し、その結果、微細なチタン酸バリウム粉末を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、BET比表面積が0.2〜1.5m2/gで、かつ{(タップ密度−かさ密度)/タップ密度}×100で示される圧縮度が1.5〜35%であり、下記一般式(1):
Ba(OH)2・xH2O (1)
(式中、xは0≦x≦1である。)
で表される水酸化バリウム粉末を、酸化チタン粉末の分散したスラリーに添加して、水熱反応させることを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法を提供するものである。
本発明によれば、工業的に有利な方法で、微細なチタン酸バリウム粉末を製造することができる。本発明により得られたチタン酸バリウム粉末は、特に、積層セラミックコンデンサ、圧電体、オプトエレクトロニクス材、誘電体、半導体、センサー等の電子部品用機能性セラミックスの原料として有用である。
図1は、製造例1で得られた水酸化バリウムの走査型電子顕微鏡像である。 図2は、製造例1で得られた水酸化バリウムのXRDチャートである。 図3は、製造例2で得られた水酸化バリウムの走査型電子顕微鏡像である。 図4は、製造例2で得られた水酸化バリウムのXRDチャートである。 図5は、実施例1で得られたチタン酸バリウムの走査型電子顕微鏡像である。 図6は、実施例1で得られたチタン酸バリウムのXRDチャートである。 図7は、実施例2で得られたチタン酸バリウムの走査型電子顕微鏡像である。 図8は、実施例2で得られたチタン酸バリウムのXRDチャートである。
以下、本発明を好ましい実施形態に基づき説明する。本発明のチタン酸バリウム粉末の製造方法は、BET比表面積が0.2〜1.5m2/gで、かつ{(タップ密度−かさ密度)/タップ密度}×100で示される圧縮度が1.5〜35%であり、Ba(OH)2・xH2O(式中、xは0≦x≦1である。)で表される水酸化バリウム粉末を、チタン源の粉末の分散したスラリーに添加して水熱反応させることを特徴の一つとする。
本発明においては、バリウム源として水酸化バリウムを使用する。この水酸化バリウムは、下記一般式(1):
Ba(OH)2・xH2O (1)
(式中、xは0≦x≦1である。)
で表されるものである。特にxが1未満であると、この水酸化バリウムは完全な無水物に近づき、水への溶解性や分散性が良好になる。この観点から、xは0に近ければ近いほど好ましく、0であること、すなわち水酸化バリウムは、無水水酸化バリウムであることが最も好ましい。
前記一般式(1)中のxは、アルカリ土類金属水酸化物の結晶水数から理論乾燥減量(質量%)を求め、理論乾燥減量(質量%)に対する結晶水数をプロットして得られた近似曲線から得られる数式から測定することができる。すなわち、水和物の存在の可能性がある0.5、1、2、3、4、5、6、7及び8水塩に基づき、下記式(a)で示される結晶水数と理論乾燥減量との関係の近似曲線を予め求めておき、実測された乾燥減量と近似曲線から結晶水数を決定する。
x=0.0022W2+0.073W (a)
(式中、xは結晶水数を表し、Wは理論乾燥減量(質量%)を表す。)
本発明において使用する水酸化バリウムは、特定範囲のBET比表面積及び圧縮度を有する点に特徴の一つを有する。かかるBET比表面積及び圧縮度を有する水酸化バリウムは、常温において水に溶け易く、かつ分散し易いものであることが、本発明者らの検討の結果判明した。具体的には、本発明で使用する水酸化バリウム粉末は、BET比表面積が大きく、圧縮度が低く凝集し難い性質を有しているので、水への溶解が容易なものとなり、その結果、酸化チタン粉末との反応性に富むものになったと推察される。
本発明において使用する水酸化バリウムは、BET比表面積が0.2〜1.5m2/gであり、好ましくは0.4〜1.2m2/gである。この範囲のBET比表面積を有する水酸化バリウムは、水などの液相や粉体などの固相との接触において、接点が好適に保てるため、易溶性及び易反応性につながる。BET比表面積はBET法によって求められる。測定装置としては、例えば島津製作所製のフローソーブII2300を用いることができる。前記の範囲のBET比表面積を達成するためには、例えば後述する態様A又は態様Bの製造方法を実施すれば良い。
本発明において使用する水酸化バリウムは、圧縮度が1.5〜35%である。この範囲の圧縮度を有する水酸化バリウムは、水などの液相との接触において、分散性を好適に保つことができる。水酸化バリウムの流動性を高めてハンドリングを高める観点から、この圧縮度は1.5〜30%であることが好ましく、1.5〜25%であることが更に好ましく、この範囲の圧縮度を達成するためには、例えば後述する態様A又は態様Bの製造方法を実施すれば良い。
圧縮度は、{(タップ密度−かさ密度)/タップ密度}×100で表される。この圧縮度は粉体の流動性の尺度となるものであり、その値が小さいほど流動性が良く、架橋し難い特性を有することを表す。圧縮度の下限値は0%であり、上限値は100%である。圧縮度の定義に用いられる「かさ密度」とは、自然落下によって粉末を一定容器に充填したときの単位体積当たりの質量であり、JIS K 5101−12−1:2004に準拠して測定することができる。具体的には「かさ密度」は、例えば、かさ比重測定器(蔵持科学器械製作所製)を用いて測定することができる。「タップ密度」とは、自然落下させた粉末を一定容器に充填した後、容器にタップによる衝撃を加え、試料の体積変化がなくなったときの単位体積当たりの質量であり、JIS K 5101−12−2:2004に準拠して測定することができる。具体的には「タップ密度」は、例えば、DUAL AUTOTAP(ユアサアイオニクス社製)を用いて測定することができる。
圧縮度の具体的な測定方法は、以下のとおりである。かさ比重測定器の受容器(容量30mL)に試料を、ふるいを通して受容器から溢れるまで受ける。過剰分をへらですり切り、受容器に溜まった試料の重量を測定してかさ密度(g/mL)を算出する。次いで、自動T.D測定装置(ユアサイオニクス(株)製、DUAL AUTOTAP)を用い、試料の入ったメスシリンダーに対してタッピングを行う。測定は、ASTMに準拠し、タッピング回数は1250回×2ステップ、タッピング高さは3mm、タッピングペースは260回/分に調整する。タッピング後の試料面の目盛りを読み取り、メスシリンダーの質量を測定してタップ密度(g/mL)を算出する。このようにして求められたかさ密度及びタップ密度から圧縮度を算出する。
本発明において使用する水酸化バリウムは、前記したBET比表面積及び圧縮度を有することに加えて、特定範囲の平均粒子径及び安息角を有することが好ましい。具体的には、本発明において使用する水酸化バリウムは、一次粒子の平均粒子径が0.5〜7.0μmであることが好ましく、1.0〜3.5μmであることが更に好ましい。この平均粒子径は、D=6/(ρ×S)から求められる。式中、Dは平均粒子径(μm)を表し、ρは真密度(g/cm3)を表し、SはBET比表面積(m2/g)を表す。“6”は粒子形状を球状又は立方体としたときの係数である。真密度ρは、4.40〜4.55g/cm3であることが好ましく、4.45〜4.50g/cm3であることが更に好ましい。この真密度は、アキュピックII1340(島津製作所製)を用いて求められる。本発明において使用する水酸化バリウムが、上述した範囲の平均粒子径を有する非常に微小な粒子である場合には、水などの液相に対する溶解性及び分散性に優れた特性が発現する。前記の範囲の平均粒子径を達成するためには、例えば後述する態様A又は態様Bの製造方法を実施すれば良い。
本発明において使用する水酸化バリウムは、安息角が50度以下であることが好ましく、25〜50度であることが更に好ましい。この安息角は、水酸化バリウムの流動性を高めてハンドリングを高める観点から、25〜45度であることが更に好ましい。この安息角を有する水酸化バリウムは、流動性が高いことから、水などの液相に対する溶解性及び分散性を好適に保つことができる。安息角とは、水酸化バリウムの粉末を静かに平面状に落下させて円錐状に堆積させ、この円錐の母線と水平面とのなす角を表し、その値が小さいほど粉体の流動性が高いことを意味する。安息角は、例えばパウダテスタ(ホソカワミクロン社製)を用いて測定することができる。前記の範囲の安息角を達成するためには、例えば後述する態様A又は態様Bの製造方法を実施すれば良い。
本発明において使用する水酸化バリウムの他の特性としては、高純度であることが挙げられる。具体的には、本発明において使用する水酸化バリウムは、95質量%以上、特に97質量%以上、とりわけ98質量%以上の純度を有することが好ましい。更に、本発明において使用する水酸化バリウムの他の特性として、炭酸ストロンチウム、炭酸バリウム等のアルカリ土類金属炭酸塩や、酸化ストロンチウム、酸化バリウム等のアルカリ土類金属酸化物といった不純物の含有量が少ないことも挙げられる。具体的には、これらの不純物の含有量は、好ましくは2質量%以下であり、更に好ましくは1.5質量%以下であり、一層好ましくは1.3質量%以下であり、最も好ましくは1.1質量%以下である。このような純度を達成するためには、例えば後述する態様A又は態様Bの製造方法を実施すれば良い。
水酸化バリウムの純度は、その粉末を、炭酸ガスを含まない水に溶解後、フェノールフタレインを指示薬として用い、HClで滴定して求められる。また、水酸化バリウムに含まれる不純物である炭酸バリウムの量は、ブロモフェノールブルーを指示薬として用い、純度を測定した試料をHClで滴定して求められる(JIS K 1417に準拠)。
上述した各種の物性値を有する水酸化バリウム粉末は、例えば、以下の態様A又は態様Bの方法によって好適に製造される。
〔態様A〕
下記一般式(2):
Ba(OH)2・yH2O (2)
(式中、yは3≦y≦8である。)
で表される水酸化バリウム水和物(I)を、減圧下に温度70℃以上110℃以下で加熱して下記一般式(3):
Ba(OH)2・zH2O (3)
(式中、zは1<z<3である。)
で表される水酸化バリウム水和物(II)を得る第一工程、及び
前記水酸化バリウム水和物(II)を、減圧下に温度110℃超300℃以下で加熱して、下記一般式(1):
Ba(OH)2・xH2O (1)
(式中、xは0≦x≦1である。)
で表される水酸化バリウムを得る第二工程を含む方法。
〔態様B〕
下記一般式(4):
Ba(OH)2・nH2O (4)
(式中、nは1<n≦8である。)
で表される水酸化バリウム水和物(III)を、減圧下に温度100〜150℃で振動させながら加熱して下記一般式(1):
Ba(OH)2・xH2O (1)
(式中、xは0≦x≦1である。)
で表される水酸化バリウムを得る工程を含む方法。
方法Aの第一工程においては、下記一般式(2):
Ba(OH)2・yH2O (2)
(式中、yは3≦y≦8である。)
で表される水酸化バリウム水和物(I)を準備する。水酸化バリウム水和物(I)としては、市販品など特に制限なく用いることができる。また、水酸化バリウム水和物(I)の粒子の形状及びサイズ等に特に制限はないが、前述した特徴を有する水酸化バリウム粉末を首尾良く得るためには、粉体状のものを用いることが好ましい。
態様Aの方法における第一工程では、水酸化バリウム水和物(I)を、温度70℃以上110℃以下、特に75℃以上100℃以下で加熱することが好ましい。加熱雰囲気は、一般に大気とすることができる。加熱時間は5〜30時間であることが好ましく、10〜25時間であることが更に好ましい。効果的に水酸化バリウム水和物(I)中の結晶水を除去するために、加熱を減圧下で行うことが好ましい。具体的には、ゲージ圧で−0.07MPa以下、特に−0.110〜−0.08MPaの減圧下で加熱を実施することが好ましい。これらの条件範囲で加熱を実施することによって、酸化物等の副生成物を抑制でき、かつ水酸化バリウムどうしの融着が起こりづらい条件下に結晶水を除去することができる。
加熱中は、水酸化バリウム水和物(I)を、5〜100mmの厚さで静置させておくことが好ましい。この厚さで静置させることで、水酸化バリウムどうしの融着が起こりづらくなり、結晶水を一層容易に除去することができる。このような静置加熱は、箱型棚式乾燥機を使用することで実施することができる。
以上の操作によって、下記一般式(3):
Ba(OH)2・zH2O (3)
(式中、zは1<z<3である。)
で表される水酸化バリウム水和物(II)を得ることができる。この場合、水酸化バリウム水和物(I)から得られるすべての水酸化バリウム水和物が1超3未満の結晶水を有していることが最も好ましいが、3以上の結晶水を有する水和物や1以下の結晶水を有する水和物が、水酸化バリウム水和物(II)に少量含まれていても良い。水酸化バリウム水和物(II)に含まれる結晶水の数zは、先に述べた結晶水の数xの測定方法と同様の方法で測定される。
次いで第二工程を行う。第二工程においては、前記水酸化バリウム水和物(II)を、減圧下に温度110℃超300℃以下で好ましくは5〜30時間にわたり加熱して、目的とする水酸化バリウム粉末を得る。第二工程は、第一工程からの引き続きで行うことができる。例えば第一工程の加熱温度を引き続き上昇させて第二工程を行うことができる。この方法に代えて、第一工程の終了後、反応系を一旦室温まで冷却した後に、第二工程の加熱温度まで加熱しても良い。
態様Aの方法によって得られる水酸化バリウムは、前述したBET比表面積及び圧縮度を有することを特徴とするが、このような水酸化バリウムを得るためには、水酸化バリウム水和物(II)は粉体状であることが好ましい。粉体状であることで、効率的に水和物を除去することができる。水酸化バリウム水和物(II)は、粉体状であれば、その粒子形状やサイズ等に特に制限はない。
態様Aの方法の第二工程においては、水酸化バリウム水和物(II)は、温度110℃超300℃以下、特に115℃以上260℃以下、とりわけ115℃以上250℃以下で加熱することが好ましい。加熱温度が300℃を超えると、水酸化バリウム水和物(II)が分解され、酸化バリウムが生じてしまい易い。100℃以下であると水酸化バリウム水和物(II)中の結晶水が十分に除去されず、上述した特徴を有する水酸化バリウムを得ることができない。加熱雰囲気は、一般に大気とすることができる。
第二工程における加熱時間は5〜30時間であることが好ましく、10〜25時間であることが更に好ましい。この範囲の加熱時間を採用することで、製造コストの増大を抑制することができ、また熱履歴による水酸化バリウムの変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。また、水酸化バリウム水和物(II)中の結晶水を十分に除去することができ、上述した特徴を有する水酸化バリウムを容易に得ることができる。
水酸化バリウム水和物(II)中での副生成物の抑制や、結晶水の効率的な除去を勘案すると、第二工程を減圧下で実施することが好ましい。詳細には、ゲージ圧で−0.07MPa以下、特に−0.110〜−0.08MPaの減圧下で第二工程を行うことが好ましい。この条件範囲で加熱を実施することによって、酸化物等の副生成物を抑制でき、かつ水酸化バリウムどうしの融着が起こりづらい条件下に結晶水を除去することができる。第二工程での減圧の条件と、第一工程での減圧の条件とは、それぞれ独立であり、同一でもよく、あるいは異なっていても良い。
加熱中は、水酸化バリウム水和物(II)を、5〜100mmの厚さで静置させておくことが好ましい。この厚さで静置させることで、水酸化バリウムどうしの融着が起こりづらくなり、結晶水を一層容易に除去することができる。このような静置加熱は、箱型棚式乾燥機を使用することで実施することができる。
以上の態様Aの方法によって、目的とする水酸化バリウム粉末を首尾良く得ることができる。
次いで、態様Bの方法について説明する。方法Bにおいては、下記一般式(4):
Ba(OH)2・nH2O (4)
(式中、nは1<n≦8である。)
で表される水酸化バリウム水和物(III)を、減圧下に温度100〜150℃で好ましくは5〜48時間にわたり振動させながら加熱して、目的とする水酸化バリウム粉末を得る。
態様Bの方法に係る水酸化バリウム水和物(III)は、先に述べた態様Aの方法と同様に、市販品など特に制限なく用いることができる。また、該水酸化バリウム水和物(III)の粒子の形状及びサイズ等に特に制限はないが、前述した特徴を有する水酸化バリウム粉末を首尾良く得るためには、粉体状のものを用いることが好ましい。
上述した水酸化バリウム水和物(III)は、温度が好ましくは100〜150℃、更に好ましくは115〜140℃で、振動を加えながら加熱する。加熱温度が150℃を超えると、水酸化バリウムどうしが融着する、反応器壁面に水酸化バリウムが付着する、酸化物等の不純物が副生するといった生産効率低下の原因となる場合がある。加熱温度が100℃未満であると、水酸化バリウム水和物中の結晶水が十分に除去されない場合がある。加熱時間は、好ましくは5〜48時間、更に好ましくは10〜30時間、一層好ましくは10〜25時間である。この範囲の加熱時間を採用することで、製造コストの増大を抑制することができ、また熱履歴による水酸化バリウム粉末の変性が抑制され、品質に及ぼす影響を小さくできる。また、水酸化バリウム水和物(III)中の結晶水を十分に除去することができる。加熱雰囲気は、一般に大気とすることができる。
態様Bの方法においては、水酸化バリウム水和物(III)を振動させながら加熱する。この振動とは、水酸化バリウム水和物(III)が常に動いている状態を意味する。したがって水酸化バリウム水和物(III)には、加熱中、継続して振動が加えられる。尤も、振動を加える装置の種類等に起因して、不可避的に振動が一時的に加えられない状態が生じることは許容される。振動を加えつつ加熱を行うには、例えば振動式乾燥機、回転式乾燥機、流動乾燥機等を使用すれば良い。この場合、水酸化バリウム水和物(III)を所定の容器に入れて振動を加えることが好ましい。
水酸化バリウム水和物(III)に加える振動の程度は、振動数が好ましくは750〜1500cpm、更に好ましくは900〜1350cpmであり、振動幅が好ましくは1〜5mm、更に好ましくは 2〜4mmである。この範囲の条件を採用することで、効率的な結晶水の除去が可能となるので好ましい。振動を加えつつ加熱を行うことで、粒子の融解が生じにくくなり、その結果、微粒の水酸化バリウムが生成し易くなる。
水酸化バリウム水和物(III)中の副生成物の抑制や、結晶水を効率的に除去することを勘案すると、態様Bの方法における加熱は減圧下で実施することが好ましい。詳細には、ゲージ圧で−0.07MPa以下、特に−0.110〜−0.08MPaの減圧下で加熱を行うことが好ましい。この条件範囲で加熱を実施することによって、酸化物等の副生成物を抑制でき、かつ水酸化バリウムどうしの融着が起こりづらい条件下に結晶水を除去することができる。
振動を加えつつの水酸化バリウム水和物(III)の加熱は、結晶水の除去、生産効率及び製造コスト等を勘案して、水酸化バリウム水和物(III)の容器への充填率を10〜95体積%、特に30〜85体積%とすることが好ましい。この範囲の充填率とすることで、水酸化バリウム水和物(III)が好適に振動することができるので、水酸化バリウムどうしが融着せず、効率的に結晶水を除去することができる。
以上の態様Bの方法によっても、目的とする水酸化バリウムを首尾良く得ることができる。
これまでの説明は、本発明において使用する水酸化バリウム粉末に関するものであったところ、本発明において使用するもう一方の物質であるチタン源として使用する酸化チタン粉末は、アナターゼ型のものでもよく、あるいはルチル型のものでもよい。アナターゼ型とルチル型との混合体でもよい。酸化チタン粉末は、一次粒子の平均粒子径が5〜25nm、特に10〜20nmであることが好ましい。この範囲の酸化チタン粉末を使用することで、得られるチタン酸バリウム粉末の平均粒子径を、容易に所望のものとすることができる。前記の範囲の平均粒子径を有する酸化チタン粉末としては、例えば市販品を用いることができる。そのような市販品としては、例えば昭和電工株式会社製のスーパータイタニア(登録商標)F−6(商品名)などが挙げられる。酸化チタン粉末の平均粒子径の測定は、水酸化バリウム粉末の平均粒子径の測定と同様に行うことができる。
本発明においては、まず、酸化チタン粉末を水に分散させて水性スラリーとしておく。酸化チタン粉末と水との混合は、質量比で、酸化チタンに対して水を好ましくは3〜6倍、更に好ましくは3.5〜5倍とする。水の量を3倍以上にすることで、スラリーの流動性を十分に高くすることができ、水酸化バリウム粉末との反応性を容易に高めることができる。一方、水の量が6倍以下であれば、チタン酸バリウムの結晶を析出させやすくなる。
反応に使用する水は、水道水、イオン交換水、純水、工業用水等、反応に影響を及ぼさなければいずれを使用しても良い。得られるチタン酸バリウムの品質、及び製造コスト等を勘案すると、イオン交換水を使用することが好ましい。
酸化チタン粉末が含まれている前記スラリーにおいては、酸化チタン粉末の分散性を高めるために、分散剤を含有させても良い。分散剤としては、当該技術分野においてこれまで用いられているものと同様のものを特に制限なく用いることができる。例えば、ポリカルボン酸塩系のSNディスパーサント5468(サンノプコ社製)、アリルエーテルコポリマー系のマリアリムAKM−0531(日本油脂社製)等を用いることができる。
前記スラリーは、これを攪拌しながら、好ましくは60〜95℃、更に好ましくは65〜75℃まで加熱する。この温度まで加熱した後、スラリーに水酸化バリウム粉末を、粉末の状態のまま添加する。ところで水酸化バリウムは、これを水に添加すると発熱反応を起こし、それによってスラリーの温度が上昇する。このため、スラリーを必要以上に加熱する手間が省けることから、製造コストの削減に繋がる。
本発明は、酸化チタン粉末のスラリーに、結晶水の少ない水酸化バリウム粉末を添加することを特徴の一つとしているところ、該水酸化バリウムの代わりに、水酸化バリウム八水塩等の水酸化バリウム水和物を使用した場合には、以下に述べるデメリットが考えられる。すなわち、結晶水の量を考慮せずに水酸化バリウム水和物を使用すると、スラリー中の水の量が増えてしまうことから、得られるチタン酸バリウムの粒子径が影響を受けると考えられる。また、水酸化バリウム水和物と水との反応は吸熱反応なので、スラリー温度を十分に高める必要があるため、製造コストの増大に繋がると考えられる。
前記スラリー中への水酸化バリウムの添加量は、チタン原子とバリウム原子のモル比として、チタン原子1mol当たり0.98〜1.02mol、特に0.995〜1.005molのバリウム原子となるようにすることが好ましい。この範囲の添加量とすることで、最も反応性に優れ、所望の粒子径を有するチタン酸バリウムを得ることができる。
水酸化バリウム添加後のスラリーは、水酸化バリウムの溶解に起因する発熱で温度が上昇する。水酸化バリウムの添加量にもよるが、水酸化バリウム添加後のスラリーの温度は好ましくは80〜100℃、更に好ましくは85〜95℃となる。この温度を保持するために、スラリーを加熱しておくことが好ましい。この温度において水熱反応を行う。水熱反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下に行うことができ、あるいはオートクレーブ中で、自生圧力下に行うこともできる。この水熱反応は、生成するチタン酸バリウムの結晶の質を高める観点から、更にオートクレーブ中にて好ましくは100〜200℃、更に好ましくは120〜170℃で加熱させてもよい。
反応によって生成したチタン酸バリウムの結晶を首尾良く析出させるために、水酸化バリウムの添加後、好ましくは0.5〜30時間、更に好ましくは2〜20時間にわたって前記の温度を保持してチタン酸バリウムの結晶を熟成させることが好ましい。なお、この水熱反応においては、場合によっては反応の進行に伴いスラリーの粘度が高くなることがあるが、そのような場合には、反応や攪拌に影響を及ぼさない程度に水を添加してもよい。
水熱反応によって得られたチタン酸バリウムは常誘電体である立方晶系のものである。用途により立方晶系のままで使用することも可能だが、この立方晶系のチタン酸バリウムを、乾燥後に焼成することで強誘電体である正方晶系とすることができる。一般的に焼成することでチタン酸バリウムの平均粒子径は大きくなるため、常誘電体でも微細な粒子が必要である場合には焼成を省略することも可能である。一方で、立方晶系のチタン酸バリウムを焼成する場合には、チタン酸バリウムの結晶軸比c/aが、好ましくは1.005以上、更に好ましくは1.008以上であると、強誘電特性を示す正方晶の割合が高くなるため好適である。このような結晶軸比c/aを達成するために、焼成は、600〜1000℃、更に700〜900℃、特に750〜850℃で行うことが好ましい。また、この焼成は、0.5〜20時間、更に1〜10時間で行うことが好ましい。この範囲で焼成を行うと、チタン酸バリウムにおける正方晶の割合を所望のものとすることができ、また所望する平均粒子径のチタン酸バリウム粉末を容易に得ることができる。
焼成の雰囲気は特に制限されず、大気中、減圧下、酸素又は不活性ガス雰囲気中のいずれであってもよい。焼成は所望により何度行ってもよい。あるいは、粉体特性を均一にする目的で、一度焼成したチタン酸バリウム粉末を粉砕し、次いで再焼成を行ってもよい。
焼成後、適宜冷却し、必要に応じて粉砕して、目的とするチタン酸バリウム粉末を得ることができる。なお、必要に応じて行われる粉砕は、焼成して得られるチタン酸バリウム粉末がもろく結合したブロック状のものである場合に適宜行うが、チタン酸バリウム粉末の粒子自体は下記特定の平均粒子径及びBET比表面積を有する。
すなわち、本発明の製造方法により得られたチタン酸バリウム粉末は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察から求めた平均粒子径が好ましくは15〜90nm、更に好ましくは20〜80nmであり、BET比表面積が好ましくは10m2/g以上、更に好ましくは11〜45m2/gである。また、本発明の製造方法により得られたチタン酸バリウム粉末は、粒径のバラツキが少ないものである。
本発明の製造方法により得られたチタン酸バリウム粉末は、例えば、積層セラミックコンデンサの原料として好適に用いられる。この場合、チタン酸バリウム粉末を、従来公知の添加剤、有機系バインダ、可塑剤、分散剤等の配合剤と共に適当な溶媒中に混合分散させてスラリー化し、そのスラリーを用いてシート成形を行うことにより、積層セラミックコンデンサの製造に用いられるセラミックシートを得る。該セラミックシートから積層セラミックコンデンサを作製するには、まず、該セラミックシートの一面に内部電極形成用導電ペーストを印刷し、これを乾燥した後、複数枚の前記セラミックシートを積層し、厚み方向に圧着することにより積層体とする。次に、この積層体を加熱処理して脱バインダ処理を行い、焼成して焼成体を得る。更に、該燒成体にNiペースト、Agペースト、ニッケル合金ペースト、銅ペースト又は銅合金ペースト等の導電性ペーストを塗布して焼き付ければ積層コンデンサを得ることができる。
積層セラミックコンデンサの原料以外に、本発明の製造方法により得られたチタン酸バリウム粉末を、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂に配合して、樹脂シート、樹脂フィルム、接着剤等とすると、プリント配線板や多層プリント配線板等の材料、内部電極と誘電体層との収縮差を抑制するための共材、電極セラミック回路基板、ガラスセラミックス回路基板及び回路周辺材料とすることができる。共材として用いる場合には、チタン酸バリウムの焼成を行わず、立方晶系のままで用いることが好ましい。
また、本発明の方法により得られたチタン酸バリウム粉末は、排ガス除去、化学合成等の反応時に使用される触媒、帯電防止やクリーニング効果を付与する印刷トナーの表面改質材の技術分野にも好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例の説明に先立ち、水酸化バリウム粉末の製造例について説明する。
[製造例1]
本製造例では、上述した方法Aに従い水酸化バリウム粉末を製造した。
(第一工程)
水酸化バリウム八水和物(和光純薬社製)の粉末を、30mmの厚さとなるように角型状の容器内に入れた。これを静置式真空乾燥機(ヤマト科学(株)製、角型真空定温乾燥機DP63P)に入れ、−0.095MPa(ゲージ圧)の減圧下に温度78℃で21時間加熱することで乾燥した。得られた乾燥粉末における結晶水の数zを測定したところ、z=2.98であった。
(第二工程)
第一工程の加熱温度を引き続き120℃まで上昇させ第二工程を行った。第一工程において得られた乾燥粉末を、−0.095MPa(ゲージ圧)の減圧下に20時間加熱することで乾燥して、目的とする水酸化バリウム粉末を得た。得られた水酸化バリウム粉末における結晶水の数xを測定したところ、その値は以下の表1に示すとおりであった。また、この水酸化バリウム粉末の真密度、BET比表面積、圧縮度、安息角、平均粒子径、純度及び炭酸バリウム含有量を、上述の方法で測定した。それらの結果を以下の表1に示す。また、得られた水酸化バリウム粉末の走査型電子顕微鏡像及びXRDチャートを図1及び図2に示す。図2に示すXRDチャートから、得られた水酸化バリウム粉末は、無水物と同様の回折ピークを有することが確認された。
[製造例2]
本実施例では、上述した態様Bに従い水酸化バリウム粉末を製造した。水酸化バリウム八水和物(和光純薬社製)粉末を、充填率80%となるように円筒状の容器に入れた。振動式乾燥機を用い、−0.095MPa(ゲージ圧)の減圧下に温度120℃で20時間加熱することで乾燥した。加熱中は、振動を継続して加えておいた。加えた振動の程度は、振動数を1000cpmとし、振動幅を3.4mmとした。このようにして得られた水酸化バリウム粉末について、実施例1と同様の測定を行った。その結果を以下の表1に示す。また、得られた水酸化バリウム粉末の走査型電子顕微鏡像及びXRDチャートを図3及び図4に示す。図4に示すXRDチャートから、得られた水酸化バリウム粉末は、無水物と同様の回折ピークを有することが確認された。
[製造例3(比較)]
(第一工程)
製造例1と同じ方法で行った。
(第二工程)
第一工程の加熱温度を引き続き90℃まで上昇させ第二工程を行った。第一工程において得られた乾燥粉末を、−0.095MPa(ゲージ圧)の減圧下に20時間加熱することで乾燥した。しかし、目的とする水酸化バリウム粉末は得られず、水酸化バリウム水和物の結晶が得られた。
[実施例1]
平均粒子径15nmの酸化チタン粉末(昭和電工株式会社製、スーパータイタニア(登録商標)F−6、ルチル化率10%以下)12.8g及び分散剤(サンノプコ社製、SNディスパーサント5468)0.12gをイオン交換水60mlに入れて攪拌して酸化チタンスラリーとした。このスラリーを加熱して70℃となったところで、製造例1で得られた水酸化バリウム粉末26.3gを粉末の状態で添加した。更にイオン交換水10mlを加えてスラリーの粘度を調整した後、スラリーの温度が90℃となったところで3時間保持し、析出した結晶を熟成させた。この反応は、窒素雰囲気下で行った。
熟成後、生成物を真空乾燥器で乾燥した。得られた生成物をX線回折分析したところ、立方晶のチタン酸バリウムであることが確認された。このチタン酸バリウムの平均粒子径を、上述の方法に従いSEMによって測定したところ、30nmという微粒のものであった。このチタン酸バリウムのSEM像及びXRDチャートを図5及び図6に示す。
[実施例2]
実施例1により得られたチタン酸バリウムを、大気雰囲気下に800℃で2時間にわたり焼成した。得られた焼成物をX線回折分析したところ、結晶軸比c/aが1.005である正方晶の割合の高いのチタン酸バリウムであることが確認された。このチタン酸バリウムの平均粒子径を、実施例1と同様の方法で測定したところ、63nmという微粒のものであった。このチタン酸バリウムのSEM像及びXRDチャートを図7及び図8に示す。
[実施例3]
実施例1において用いた製造例1の水酸化バリウムに代えて、製造例2の水酸化バリウムを用いた。これ以外は実施例1と同様にして立方晶のチタン酸バリウムを得た後、実施例2と同様の方法で、結晶軸比c/aが1.006である正方晶の割合の高いチタン酸バリウム得た。得られたチタン酸バリウムの平均粒子径を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を以下の表2に示す。
[比較例1]
実施例1と同じ酸化チタンスラリーを用意した。このスラリーを加熱して70℃となったところで、水酸化バリウム八水和物(和光純薬社製)48.43gを添加したところ、該水酸化バリウム八水和物の分散性が悪く、攪拌に手間を要した。また、該スラリーの温度は55℃に低下した。その後、加熱してスラリーの温度が90℃となったところで3時間保持し、析出した結晶を熟成させた。この反応は、窒素雰囲気下で行った。熟成後、生成物を真空乾燥器で乾燥した。得られた生成物をX線回折分析したところ、立方晶のチタン酸バリウムであることが確認された。このチタン酸バリウムの平均粒子径を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表2に示す。
[比較例2]
実施例3と同じ酸化チタンスラリーを用意した。このスラリーを加熱して70℃となったところで、製造例3(比較)で得られた水酸化バリウム水和物の結晶34.54gを添加したところ、結晶であるため分散性、溶解性が悪く、均一に分散させることが困難であった。また、該スラリーの温度は55℃に低下した。その後、加熱してスラリーの温度が90℃となったところで3時間保持し、析出した結晶を熟成させた。この反応は、窒素雰囲気下で行った。熟成後、生成物を真空乾燥器で乾燥した。得られた生成物をX線回折分析したところ、立方晶のチタン酸バリウムであることが確認された。このチタン酸バリウムの平均粒子径を、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表2に示す。
表1及び表2に示す結果から明らかなとおり、実施例で得られたチタン酸バリウム粉末は、粒子径が小さい微粒のものであることが判る。

Claims (8)

  1. BET比表面積が0.2〜1.5m2/gで、かつ{(タップ密度−かさ密度)/タップ密度}×100で示される圧縮度が1.5〜35%であり、下記一般式(1):
    Ba(OH)2・xH2O (1)
    (式中、xは0≦x≦1である。)
    で表される水酸化バリウム粉末を、酸化チタン粉末の分散したスラリーに添加して、水熱反応させることを特徴とするチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  2. 平均粒子径が0.5〜7.0μmである前記水酸化バリウム粉末を使用する請求項1に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  3. 安息角が50度以下である前記水酸化バリウム粉末を使用する請求項1又は2に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  4. 酸化チタン粉末の平均粒子径が5〜25nmである請求項1ないし3のいずれか一項に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  5. 60〜95℃の前記スラリーに、前記水酸化バリウム粉末を添加する請求項1ないし4のいずれか一項に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  6. 水熱反応を80〜100℃で行う請求項1ないし5のいずれか一項に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  7. 下記一般式(2):
    Ba(OH)2・yH2O (2)
    (式中、yは3≦y≦8である。)
    で表される水酸化バリウム水和物(I)を、減圧下に温度70℃以上110℃以下で加熱して下記一般式(3):
    Ba(OH)2・zH2O (3)
    (式中、zは1<z<3である。)
    で表される水酸化バリウム水和物(II)を得る第一工程、及び
    前記水酸化バリウム水和物(II)を、減圧下に温度110℃超300℃以下で加熱して、前記一般式(1)で表される水酸化バリウムを得る、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
  8. 下記一般式(4):
    Ba(OH)2・nH2O (4)
    (式中、nは1<n≦8である。)
    で表される水酸化バリウム水和物(III)を、減圧下に温度100〜150℃で振動させながら加熱して前記一般式(1)で表される水酸化バリウムを得る、請求項1ないし6のいずれか一項に記載のチタン酸バリウム粉末の製造方法。
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