JP6368751B2 - 銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物及びその製造方法 - Google Patents

銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、誘電体組成物及びその製造方法に係り、より詳しくは、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物及びその製造方法に関する。
近年、無線電話機や移動通信端末のデュプレクサ(Duplexer)、バンドパスフィルタ(Band Pass Filter)、多層回路基板、マイクロ波帯の共振器やフィルタ、コンピュータ用DRAMメモリのような電子部品、及び積層セラミックコンデンサ(MLCC、multilayer ceramic capacitor)の集積化、超小型化に伴い、その中に用いられる誘電体材料もまた、小型や高性能化が求められている。
MLCCの場合、小型で且つ比較的大きな容量を示すことができるという長所から固定コンデンサ市場の75%以上を占めているが、MLCCセラミックコンデンサの静電容量の範囲は未だに低容量領域に限定されている。静電容量は、誘電率が大きいほど、また極板の面積が広いほど、また極板間の距離が狭いほど増加するようになるため、高い誘電率を持つ材料を使用するか、または極板の間の誘電体をより薄型化する必要がある。しかしながら、誘電体を薄型化すれば損失値が増大してしまうことから、ある程度の損失値を持つ範囲内でも優れた誘電率を示し且つ広い範囲の周波数領域で使用可能な材料が要求される。
また、近年、スマートフォンのような電子機器にブルートゥース(登録商標)やDMBなどの種々の付加機能が搭載されていて素子の電力消耗が大きくなっており、それに伴い、より多くの小型の高容量MLCCの使用が必須である。
次世代デバイスに適合した高容量のMLCCを実現するためには、誘電体の容量を決定する内部電極の面積を拡大し且つ電極と誘電体の厚さを低減するのが必須であるが、従来技術によれば誘電体の厚さを減らすのに大きな限界がある。
MLCCの誘電体材料としては、高い誘電定数を有するBaTiO、SrTiO、CaTiO、またはこれらを組み合わせた組成などの酸化チタンが主に使用されている。しかし、このような酸化チタン誘電体物質の場合、球形の粒子で合成されることから、既存の誘電体膜の成膜技術では、薄膜の製作後の熱処理工程の際に基板界面の劣化、組成のずれ、粒界面を多く有するという問題によって非線形的な誘電特性(non−linear electric property、C/C0)を生じさせ且つ高い誘電損失を示す。
また、誘電体層が1〜3μm程度まで薄層化すると、絶縁性や高温負荷時の耐久性が劣化し、信頼性の低下をもたらすことになるため、これらの材料の場合は、高容量化を目標とするナノ厚さレベルのMLCCへの適用には不向きである。
さらには、既存の誘電体材料を合成する固相合成法とMLCC構成単位を作製するスクリーン印刷方式(シートに電極ペーストを印刷して多層に積層し、切断した後に高温焼結を施す工程)を通じて薄膜化や高積層化、小型化を実現するのには限界がある。
したがって、次世代デバイスへの適用が可能な高容量のMLCC実現のためには、ナノ厚さレベルの薄膜でも線形的であり且つ優れた特性を有する誘電体物質の研究・開発だけでなく、ナノサイズの薄膜を作製できる新規な製造法の開発の必要性が台頭している。
韓国公開特許10−2010−0014232号
Journal of the European ceramic society、33(2013)907 Ceramics international、39(2013)S611 Chem.Mater.、11、(1999)1519 Journal of Alloys and Compounds 622(2015)373
そこで、本発明は前記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、誘電率が大きくて誘電損失は低く且つ線形的な誘電特性を有する誘電体組成物を提供することである。本発明の他の目的は、ナノレベルの薄膜でも線形的であり且つ優れた誘電率を有すると共に、絶縁特性を実現できる低温素子の作製に応用可能なナノシート形態の誘電物質を提供することである。
本発明の一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物は、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表され、前記xが0超過且つ1以下であってよい。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物において、前記KがHで置換され、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表されるものであってよい。
本発明の一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法は、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表され、前記xが0超過且つ1以下である物質を、HNO、HCl、HSOのうちの一種以上の溶液で撹拌して、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を獲得する段階を含む。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法において、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物のxが、0超過且つ1.0以下であってよい。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法において、前記一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を乾燥させる段階及び乾燥された誘電体組成物を焼結させる段階をさらに含んでいてよい。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法において、焼結された誘電体組成物をテトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)溶液中で撹拌する段階及び撹拌された溶液を基板に積層してナノシート薄膜を獲得する段階をさらに含んでいてよい。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法において、基板は、Au、Pt、ITO、SRO、Nb−STOのうちの少なくとも一種を含んでいてよい。
一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法において、上述した製造方法に従って製造された誘電体組成物をマイクロ波誘電体またはDRAMキャパシタに適用する段階をさらに含んでいてよい。
一実施例によれば、出発粒子を球形ではないシート形態で作製する場合、粒界面を最大限に低減可能であるだけでなく、結晶質のシートを利用する場合、熱処理工程を不要とすることで基板と誘電物質間の劣化の問題を解決することができる。
高誘電率材料は積層セラミックキャパシタ、マイクロ波誘電体、トランジスタ用ゲートなどの種々の電子機器に利用されており、実施例に従って製造された誘電体素子は薄型であって従来の材料を代替可能であり、且つ高い誘電率と良好な絶縁特性を同時に実現することから波及的な経済的効果を期待することができる。
本発明に係るKSr2(1−x)Ag2xNb10のX線回折分析特性を示す図である。 一実施例に係るKSr2(1−x)Ag2xNb10の走査電子顕微鏡写真である。 KSr2(1−x)Ag2xNb10の誘電特性を測定した結果を示す図である。 RAMAN分析結果を示す図である。 HSr2(1−x)Ag2xNb10の誘電特性を測定した結果を示す図である。 第2実施例により得られたコロイドのAFM写真である。
本明細書で用いた用語は単に特定の実施例を説明するために用いられたものであって、本発明を限定しようとする意図ではない。単数の表現は、文脈上明らかに単数を意味しない限り、複数の表現を含む。本明細書において、「含む」または「有する」などの用語は、説示された特徴、数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせが存在することを示すためのものであって、一つまたはそれ以上の他の特徴や数字、段階、動作、構成要素、部分品、またはそれらの組み合わせなどの存在または付加の可能性をあらかじめ排除するものではないと理解されるべきである。
特に拘らない限り、技術的・科学的な用語を含めてここで用いられるすべての用語は、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者によって一般に理解できるのと同じ意味である。一般に用いられる辞典に定義済みの用語は、関連技術の文脈上持つ意味と一致する意味を有すると解釈されるべきであり、本明細書において明らかに定義していない限り、理想的か過度に形式的な意味として解釈されるものではない。図面に示された同じ図面符号は同じ部材を示す。なお、実施形態を説明するにあたって、関連する公知機能あるいは構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に曖昧にし得ると判断される場合、それについての詳細な説明は省略する。また、図面における各構成要素の大きさは説明のために誇張されることがあり、実際に適用される大きさを意味するものではない。
以下、図面を参照して本発明の実施例について詳述する。
本発明の一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物は、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表されるものであってよい。式中、前記xが0超過且つ1以下である。
例えば、純度99%以上のKCO、SrCO、AgCO及びNbを用い、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10(ここで、0<x≦1.0)を満たす組成比に応じて秤量した後、エタノールを溶媒としてジルコニアボールを混ぜ込んでボールミル工程にて湿式混合し、しかる後、100℃のオーブンで乾燥してから 組成に応じて 1100 -1200℃で仮焼して、前記一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体物質を獲得することができる。
一実施例に係る、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10(説明の便宜のために本明細書ではKSANOと称する)で表される誘電体物質において、K(カリウム)はH(水素)で置換されていてよい。その結果、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10(説明の便宜のために本明細書ではHSANOと称する)で表される誘電体組成物が獲得できる。式中、前記xが0超過且つ1以下、または0超過且つ0.2以下であってよいが、本発明がこれに制限されるものではない。
一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を獲得するために、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体物質を固相合成して 組成に応じて 1100-1200℃で仮焼し、陽イオン置換工程を通じてKイオンをHイオンで置換して線形的誘電特性を示すHSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を獲得することができる。具体的に、KSANO粉末を7MのHNO、HCl、HSOなどの酸溶液中で3〜4日間撹拌することによって、KSANO粉末のKイオンをHイオンで置換することができる。置換が終わった溶液を遠心分離機を利用してDI Waterで数回洗浄した後、80℃で24時間乾燥して、HSANOを得ることができる。
KSANOとHSANO組成物は、100kgf/cmの圧力で径12mm、高さ0.5〜1mmのペレットに成形した後、電気炉を利用して 組成に応じて 1150 -1300℃の空気雰囲気下で焼結(sintering)させることができる。
前記したようなHSANOは、HイオンがSr2(1−x)Ag2xNb10層間に挿入されて層状構造を有している。HSr2(1−x)Ag2xNb10試片をテトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)溶液中で数日(例えば、1〜5日)間撹拌すればSr2(1−x)Ag2xNb10層間に存在しているHイオンをTBAイオンが安定化させ、バルク試片をコロイド化することができる。これにより、Sr2(1−x)Ag2xNb10単結晶シートを1枚ずつ剥離することができる。
このようにして得られたナノシートをもってラングミュア・ブロジェット法(Langmuir−Blodgett、以下、LB法)を用いてナノ単層薄膜またはナノシートが積層された多層薄膜を形成することができる。例えば、LB膜作製装置(LB trough)の水面上に剥離されたナノシートを分散する。その後、規則的なナノ構造の単層膜が形成されるようにバリアを利用して圧縮し、Au、Pt、ITO、SROなどの金属または酸化物電極が蒸着された適切な基板を水平または垂直下降させて単層膜を転移させることでナノシートが積層された薄膜を形成することができる。
本発明の一実施例に係る銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法は、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表される物質を、HNO、HCl、HSOのうちの1種以上の溶液で撹拌して、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を獲得する段階を含んでいてよい。一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表される物質におけるxは、0超過且つ1以下であってよく、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物におけるxもまた、0超過且つ1以下であってよい。なお、他の好ましい実施例における前記xは、0超過且つ0.2以下であってもよい。
また、一例において、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法は、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を乾燥させる段階及び乾燥された誘電体組成物を焼結させる段階をさらに含んでいてよい。乾燥させる段階は、100℃で行ってよいが、必ずしもこれによって本発明が制限されるものではない。また、焼結させる段階は、1150-1250℃の空気雰囲気下で行ってよいが、必ずしもこれによって本発明が制限されるものではない。
銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法は、焼結された誘電体組成物をテトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)溶液中で撹拌する段階及び撹拌された溶液を基板に積層してナノシート薄膜を獲得する段階をさらに含んでいてよい。ここで、基板は、Au、Pt、ITO、SRO、Nb−STOのうちの少なくとも一種を含んでいてよいが、必ずしもこれらによって本発明が制限されるものではない。
また、このようにして製造された誘電体組成物は、マイクロ波誘電体またはDRAMキャパシタなどに広く適用することができる。
以下、例示的な実施例について説明する。下記の実施例は、発明の一特徴を調べるために実行されたものであって、後述する数値及び段階によって本発明が制限されるものではない。
第1実施例
実施例に従って製造された誘電体組成物は、KSrNb10で表される主成分に対してSrサイトをAgで置換して得られたKSr2(1−x)Ag2xNb10(KSANO)で表される誘電体物質、及びSr2(1−x)Ag2xNb10層間に一層ずつ存在しているKイオン層を酸溶液を用いてHイオンで置換して得られたHSr2(1−x)Ag2xNb10(HSANO)で表される誘電体物質である。KSANO及びHSANOにおけるxは、0超過且つ1未満であってよい。
同実施例において、当該誘電体組成物を製造するために、純度99%以上のKCO、SrCO、AgCO及び/またはNbを用意する。次いで、一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10を満たす組成比に応じて各物質を秤量した後、エタノールを溶媒としてジルコニアボールを混ぜ込んでボールミル工程にて24時間湿式混合する。しかる後、100℃のオーブンでエタノールを全て乾燥してから乾式粉砕し、該粉砕された物質を1200℃で10時間仮焼して、KSr2(1−x)Ag2xNb10を得ることができる。
実験において、Ag置換量が1.0以上である場合は、1200℃の仮焼温度で材料のメルティン(melting)現象が現れることから、x=1.0である場合、仮焼温度は1100℃と設定された。
合成されたKSr2(1−x)Ag2xNb10(x=0〜1.0)粉末を7MのHNO溶液中で4日間マグネチック撹拌機を利用して撹拌することで、KイオンをHイオンで置換する。ここで、Kイオンは、HNO溶液の以外にもHCl、HSOなどの多様な酸を用いて置換を行うことができる。
置換が終わった溶液は、遠心分離機を利用してDI Waterで数回洗浄する。洗浄する間、PHメータを利用して溶液のPH濃度が中性に近づいたかを確認し、中性に近づいたときに洗浄を中断する。しかる後、50℃で24時間乾燥すればHSr2(1−x)Ag2xNb10を得ることができる。
実施例において得られたKSr2(1−x)Ag2xNb10とHSr2(1−x)Ag2xNb10誘電体組成物を、100kgf/cmの圧力で径12mm、高さ0.5〜1mmのペレットに成形した後、1300℃の空気雰囲気下で焼結(sintering)した。ここで、x=0.5である場合は焼結温度を1250℃に、x=0.7である場合は焼結温度を1200℃に、x=1.0である場合は焼結温度を1100℃にそれぞれ調節した。
焼結されたペレット形態のセラミック誘電体を測定するために、両端面に導電性ペーストを塗布してベーキング処理を施した。このようにして用意された焼結試片を、Agilent Technologies社製のImpedance Analyzerで測定した。図1は、本発明に係るKSr2(1−x)Ag2xNb10のX線回折分析特性を示す図である。図1のグラフで横軸は2 theta、縦軸は回折ピークの強度を示している。
図1を参照すると、Agの置換量が増加して0.2に達した場合は、AgイオンがSrサイトを置換するのではなく、他の構造の二次相を形成し始めることが確認でき、過量のAgが置換されて0.5以上に増加した場合、AgとSrとのイオン半径の差のため層状構造が次第に消えることを(002)ピークの消失から確認することができる。
図2は、一実施例に係るKSr2(1−x)Ag2xNb10の走査電子顕微鏡写真である。図2を参照すると、X線回折分析と同様に、Ag置換量の低い組成では誘電体組成物が層状構造を有していることが確認でき、板状の粒子を形成したことが示されている。しかし、Ag置換量が増加するにつれ、板状粒子が減っていき、Agを含む誘電体物質の特性である棒状の粒子量が増加することが確認でき、これはX線回折分析と符合する。
図3は、KSr2(1−x)Ag2xNb10の誘電特性を測定した結果を示す図である。図3(a)は、誘電定数値の変化を示し、図3(b)は誘電損失の変化を示す。Agの置換量が0.5に達するまでは誘電定数値が増加することが確認でき、0.7では誘電定数値が若干減少したことが確認できる。また、誘電率及び誘電損失を測定した結果、x=0.5であるとき、1KHzで1710の誘電定数と0.045の低い誘電損失を示し、1MHzで1640の誘電定数と0.026の低い誘電損失を示し、モル分率x=0.7であるとき、1KHzで1580の誘電定数と0.007の低い誘電損失を示し、1MHzで1570の誘電定数と0.003の低い誘電損失を示したことから、Agの置換量を0.5〜0.7の範囲に調節するのが効率的である。
このような誘電特性を示す理由をRAMAN分析によっても確認することができる。図4は、RAMAN分析結果を示す図である。図4(a)は、ラマンシフト(RAMAN shift)100から200までを示し、図4(b)は、200から800までを示す。
図4を参照すると、KSr2(1−x)Ag2xNb10誘電体組成物においてAgの置換量が増加するほど、ソフト・モードバイブレーション(soft−mode vibration)が減少し、より小さい値でピークが移動することが確認できる。これは、セラミック材料の格子(lattice)内分極(polarizability)が増加することを示し、増加した分極が組成の誘電特性を増加させる役割をしたということがわかる。また、X線回折分析に一致してAgの置換量が増加するほど、層状構造に起因するNbOピークが低くなることが確認され、x=0.5である場合からは層状構造が破壊されることが確認される。
図5は、HSr2(1−x)Ag2xNb10の誘電特性を測定した結果を示す図である。図5(a)は誘電定数値の変化を示し、図5(b)は誘電損失の変化を示す。HSr2(1−x)Ag2xNb10誘電体組成物の場合、Agの置換量が0.5になるまでは誘電率が増加することが確認できる。x=0.5であるとき、1KHzで1570の誘電定数と0.004の低い誘電損失を示し、1MHzで1550の誘電定数と0.002の低い誘電損失を示す。したがって、マイクロ波誘電体などのバルク材料として使用する場合、x=0.5で最も優れた特性を示す材料を得ることができる。
しかし、酸置換をしてHSr2(1−x)Ag2xNb10を得、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)処理を施してナノシートを得ることができる組成の範囲(x)は、略層状構造を保持している0〜0.2の範囲が好ましい。
したがって、実施例に係る誘電体組成物は、マイクロ波誘電体、次世代DRAMキャパシタなどのような機能性誘電物質として有効に用いることができる。また、KSr2(1−x)Ag2xNb10セラミックの場合はx=0.5〜0.7で、HSr2(1−x)Ag2xNb10セラミックの場合はx=0.5でバルクセラミック材料として最も有利に適用できる。さらに、KSr2(1−x)Ag2xNb10セラミックまたはHSr2(1−x)Ag2xNb10セラミックは、ナノシートに適用でき、x=0〜0.2で構造や性質を操作すること(Artificiality)がより有利になることがある。
第2実施例
実施例1において得られたHSr2(1−x)Ag2xNb10(ここで、モル分率xは0<x≦0.2の範囲)誘電体組成物を用い、H:TBA=1:1の比でテトラブチルアンモニウム水酸化物を添加して室温で7〜14日間撹拌反応させ、組成式Sr2(1−x)Ag2xNb10で表されるペロブスカイトナノシートが分散された不透明のコロイド溶液を作製した。図6は、第2実施例に従って得られたコロイドのAFM写真である。図6においてモル分率x=0.1である。
得られたナノシートコロイド溶液を超純水が満たされたLB膜作製装置に分散させる。分散溶液を展開後、水面の安定及び下層液の温度が一定になるまで30分間安定化時間をもつ。しかる後、Au、Pt、ITO、SRO、Nb−STOなどの用意した基板を利用して垂直または水平下降させ、バリアは両側で表面圧力を保持できるほどの0.5mm/secの速度で圧縮して基板表面に単層膜を転移させる。このような方法を数回繰り返すことで所望の層数を有するペロブスカイトナノシート薄膜が作製でき、作製された薄膜はUV処理を施して有機ポリマーが除去できる。
結果として、本発明に係るKSANO及びHSANO誘電体組成物は、高い誘電定数を保持しながらも低い誘電損失を示す。特に、KSr2(1−x)Ag2xNb10で表される組成式の場合、モル分率x=0.5であるとき、1KHzで1710の誘電定数と0.045の低い誘電損失を示し、1MHzで1640の誘電定数と0.026の低い誘電損失を示し、また、モル分率x=0.7であるとき、1KHzで1580の誘電定数と0.007の低い誘電損失を示し、1MHzで1570の誘電定数と0.003の低い誘電損失を示した。
イオンをHイオンで置換した場合は、モル分率x=0.5であるとき、1KHzで1570の誘電定数と0.004の低い誘電損失を示し、1MHzで1550の誘電定数と0.002の低い誘電損失を示し。したがって、マイクロ波誘電体などのバルク材料として使用する場合、x=0.5で最も優れた特性を示す材料を得ることができる。
しかし、酸置換をしてHSr2(1−x)Ag2xNb10を得、テトラブチルアンモニウム水酸化物(TBAOH)処理を施してナノシートを得ることができる組成の範囲(x)は、略層状構造を保持している0〜0.2の範囲が好ましい。
KSANO及びHSANO誘電体物質は広い範囲で優れた誘電特性を示すことから、積層セラミックキャパシタ、マイクロ波誘電体、次世代TFTの誘電膜などに使用され得る。また、HSr2(1−x)Ag2xNb10(ここで、モル分率xは0<x≦0.2の範囲)を用い、HイオンをTBAイオンで陽イオン置換すればSr2(1−x)Ag2xNb10ナノシートを得ることができ、電気泳動法及びLB法を用いて単層膜または多層膜を作製することができた。このようにして作製されたSr2(1−x)Ag2xNb10薄膜は、ナノレベルで優れた誘電特性を持ち、今後、次世代デバイスに適用可能なナノレベルのMLCCに機能性誘電薄膜として応用され得る。
以上、本発明を図面に図示された実施例を参考にして説明してきたが、これらの実施例は例示的なものに過ぎず、当該分野における通常の知識を有する者であればこれより種々な変形及び実施例の変形が可能であるという点が理解できるであろう。なお、このような変形は本発明の技術的保護範囲内にあると見なされるべきである。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲の技術的思想によって決められるべきである。

Claims (8)

  1. 一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表され、前記xが0超過0.1以下または0.5以上0.7以下であることを特徴とする、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物。
  2. 般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表され、前記xが0.5であることを特徴とする、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物。
  3. 一般式KSr2(1−x)Ag2xNb10で表され、前記xが0.5以上0.7以下である物質を、HNO、HCl、HSOのうちの一種以上の溶液中で撹拌して、一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を獲得する段階を含む、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
  4. 一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物のxが、0.5であることを特徴とする、請求項3に記載の銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
  5. 前記一般式HSr2(1−x)Ag2xNb10で表される誘電体組成物を乾燥させる段階;及び
    乾燥された誘電体組成物を焼結させる段階、をさらに含むことを特徴とする、請求項3又は4に記載の銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
  6. 焼結された誘電体組成物をテトラブチルアンモニウム水酸化物溶液中で撹拌する段階;及び
    撹拌された溶液を基板に積層してナノシート薄膜を取得する段階、をさらに含むことを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
  7. 前記基板は、Au、Pt、ITO、SRO、Nb−STOのうちの少なくとも一種を含むことを特徴とする、請求項3〜6のいずれか一項に記載の銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
  8. 請求項3乃至7のいずれか一項に記載の製造方法により製造された誘電体組成物をマイクロ波誘電体またはDRAMキャパシタに適用する段階をさらに含むことを特徴とする、銀置換ニオブ酸ストロンチウム誘電体組成物の製造方法。
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