JP2014148545A - Rassf1a発現およびヒト癌細胞増殖の蛍光調節剤 - Google Patents

Rassf1a発現およびヒト癌細胞増殖の蛍光調節剤 Download PDF

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Abstract

【課題】RASSF1A発現およびヒト癌細胞増殖の蛍光調節剤の提供。
【解決手段】本発明は、ダンシル−カルバゾール化合物を投与することを含む、被験体の癌の処置のための方法を提供する。一態様において、本発明は、癌の処置を必要とする被験体に、被験体の癌を処置するためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物の治療有効量を投与することを含む、被験体の癌を処置するための方法を提供する。一態様において、本発明は、かかる処置を必要とする被験体に、被験体の癌を処置するためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物の治療有効量を投与することを含む癌を有する被験体の処置のための、ダンシル−カルバゾールKED−4−69の使用を提供する。
【選択図】図1

Description

(関連する出願)
本願は、米国特許法§119(e)に基づき「FLUORESCENT REGULA
TORS OF RASSF!A EXPRESSION AND HUMAN CANCER CELL PROLIFERARION」と題された、2008年8月15日に出願された、米国仮特許出願第61/189,059号の利益を主張する。この仮特許出願の全教示は、参照により、本明細書中に援用される。
(発明の背景)
近年、前立腺癌の発生率は142%増大した。米国癌協会によれば、およそ180,000名の男性が、毎年、前立腺癌と診断される(非特許文献1)。前立腺癌腫は非常に浸潤性であり、米国では、男性の癌による死亡原因の第2位である(非特許文献2)。前立腺癌の初期段階では、前立腺癌細胞の増殖はアンドロゲン依存性であり、外科的方法または薬理学的方法のいずれかの使用によるホルモン除去によって有効に処置され得る(非特許文献3)。しかしながら、ホルモン除去療法では、前立腺腫瘍の一時的な退縮がもたらされるにすぎず、6〜18ヶ月経つと、腫瘍は必ずアンドロゲン非依存性となる(非特許文献4;非特許文献5)。したがって、アンドロゲン遮断は、前立腺癌処置の正解ではない。
Landis,SHら CA Cancer J Clin(1999)49:8−31 Boring,CCら CA Cancer J Clin(1993)43:7−26 Huggins,Cら Arch Surg(1941)43:209−223 Pfeifer GPら Biol Chem(2002)383:907−14 Isaacs,JT Vitam Horm(1994)49:433−502
(発明の概要)
一態様において、本発明は、被験体の癌の処置のための方法、細胞の増殖を抑制する方法、および被験体の1つ以上の細胞が癌細胞であるかどうかを判定する方法を提供する。
一態様において、本発明は、式:
Figure 2014148545
を有するダンシル−カルバゾール化合物を提供する。
一態様において、本発明は、癌の処置を必要とする被験体に、被験体の癌を処置するためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物の治療有効量を投与することを含む、被験体の癌を処置するための方法を提供する。一態様において、本発明は、かかる処置を必要とする被験体に、被験体の癌を処置するためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物の治療有効量を投与することを含む癌を有する被験体の処置のための、ダンシル−カルバゾールKED−4−69の使用を提供する。一態様において、本発明は、かかる処置を必要とする被験体に、被験体の癌を処置するためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物の治療有効量を投与することを含む癌を有する被験体の処置のための医薬の調製における、ダンシル−カルバゾールKED−4−69の使用を提供する。本明細書において提供する方法および使用の一部の実施形態では、該処置により、さらなる癌の増殖が抑制される。本明細書において提供する方法および使用の一部の実施形態では、該処置により、癌の退縮がもたらされる。本明細書において提供する方法および使用の一部の実施形態では、癌は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している癌細胞を含むものである。一部の実施形態では、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を、RASSF1Aのプロモーターのメチル化の増大によって減少させる。一部の実施形態では、該組成物の投与により、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が増大する。一部の実施形態では、癌は前立腺癌である。一部の実施形態では、マハニン類似体またはKED−4−69の類似体を投与する。
一態様において、本発明は、細胞を、細胞の増殖を抑制するための請求項1に記載の化合物を含む組成物と接触させることを含む、細胞の増殖を抑制するための方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである。一部の実施形態では、該細胞は癌細胞である。一部の実施形態では、癌細胞は前立腺癌細胞である。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。一部の実施形態では、該細胞をマハニン類似体またはKED−4−69の類似体と接触させる。
一態様において、本発明は、細胞を、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物と接触させることを含む、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3b活性を低下させることにより低下させる。一部の実施形態では、該メチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3bを細胞質に隔離することにより低下させる。一部の実施形態では、該細胞は癌細胞である。一部の実施形態では、癌細胞は前立腺癌細胞である。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。一部の実施形態では、該細胞をマハニン類似体またはKED−4−69の類似体と接触させる。
一態様において、本発明は、細胞を、細胞においてRASSF1A発現を増大させるためのダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物と接触させることを含む、細胞においてRas−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を増大させるための方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである。一部の実施形態では、該細胞は癌細胞である。一部の実施形態では、癌細胞は前立腺癌細胞である。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。一部の実施形態では、該細胞をマハニン類似体またはKED−4−69の類似体と接触させる。
一態様において、本発明は、細胞を、ダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物と接触させることを含み、該化合物が該細胞内に保持されている場合、該細胞は、RASSF1A発現が減少していると同定される、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している細胞を同定するための方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。一部の実施形態では、該細胞をマハニン類似体またはKED−4−69の類似体と接触させる。
一態様において、本発明は、被験体から1つ以上の細胞を採取すること、該1つ以上の細胞を、ダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む組成物と接触させること、該1つ以上の細胞の蛍光を測定することを含み、該1つ以上の細胞の蛍光によってダンシル−カルバゾールKED−4−69の存在が示された場合、該1つ以上の細胞は癌細胞であると同定される、被験体の1つ以上の細胞が癌細胞であるかどうかを判定する方法を提供する。一部の実施形態では、該1つ以上の細胞の蛍光を対照細胞と比較する。一部の実施形態では、該1つ以上の細胞をマハニン類似体またはKED−4−69の類似体と接触させる。
一態様において、本発明は、ダンシル−カルバゾールKED−4−69と薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物を提供する。一部の実施形態では、医薬組成物は、さらに、1種類以上のさらなる抗癌化合物を含む。
一態様において、本発明は、治療有効量のダンシル−カルバゾールKED−4−69を含む医薬組成物、ならびに該医薬組成物の調製および/または投与のための使用説明書を備えるキットを提供する。一部の実施形態では、キットは、さらに、薬学的に許容され得る担体を含む。一部の実施形態では、キットは、さらに、1種類以上のさらなる抗癌化合物を含む。
一部の態様において、本発明は、個体の癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体の前立腺癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が一部または全部の癌細胞で減少している癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)活性が一部または全部の癌細胞で増大している癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、該処置方法は、ダンシル−カルバゾールKED−4−69の投与を含む。
一部の実施形態では、本発明は、ダンシル−カルバゾールKED−4−69を用いた癌の診断方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)が後成的にサイレンシングされた細胞の同定方法を提供する。一部の実施形態では、該Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)の細胞の同定方法は、細胞をダンシル−カルバゾール(KED−4−69)と接触させることを含む。
また、本発明は、研究用ツールおよび/または研究用試薬としてのダンシル−カルバゾールKED−4−69の使用を包含する。
本出願人らは、ダンシル−カルバゾール化合物KED−4−69を合成し、該化合物がPC3前立腺癌細胞の増殖をインビトロで阻害することを実証した。また、本明細書に記載のように、ダンシル−カルバゾール化合物は、ヒト前立腺癌細胞においてRASSF1Aの発現を誘導する。さらに、本明細書において、ダンシル−カルバゾール化合物での処理により、前立腺癌細胞においてサイクリンD1の転写活性が抑制されることを示す。RASSF1Aの発現は、サイクリンD1の活性の低下と関連している。
本発明の一態様によれば、式:
Figure 2014148545
を有するダンシル−カルバゾール化合物が提供される。
本発明の別の態様によれば、細胞において、後成的にサイレンシングされた遺伝子であるRas−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)の発現を誘導する方法が提供される。該方法は、細胞を、図1Aに示した化合物と接触させることを含む。一部の実施形態では、細胞はヒトの癌細胞である。一部の好ましい実施形態では、癌細胞は前立腺癌細胞である。細胞は、個体内に存在しているものであってもよい。
本発明の別の態様によれば、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)が後成的にサイレンシングされた癌について、個体を処置する方法が提供される。該方法は、個体に治療有効量の図1Aに示した化合物を投与することを含み、個体の癌細胞または前癌細胞においてRASSF1Aの発現を誘導し、それにより、RASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌が該個体に発生する程度を制限する、またはRASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌を該個体において(一部もしくは完全に)逆転させる。RASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌は、前立腺癌、皮膚癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌であり得、または別の癌であってもよい。
本発明の別の態様によれば、人間の前立腺癌の処置方法が提供される。該方法は、人間に、治療有効量の図1Aに示した化合物を投与し、それにより、後成的にサイレンシングされたRASSF1Aの発現を誘導し、前立腺癌が発生する程度を、図1Aに示した化合物の投与なしの場合よりも低くすることを含む。該化合物は、非経口経路、例えば、皮下、筋肉内、眼窩内、包内、脊髄内、胸骨内など、または静脈内経路によって投与され得る。一部の実施形態では、該化合物は、経腸的(強制経口投与などによる経口投与が挙げられる)に投与される。
本発明の別の態様によれば、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)活性を抑制または阻害する方法が提供される。該方法は、細胞を図1Aに示した化合物と接触させることを含む。一部の実施形態では、DNMT活性は、DNMT−3b活性を低下させることにより低下させる。一部の実施形態では、細胞は、個体内に存在している。
本発明の別の態様によれば、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)が後成的にサイレンシングされた細胞の同定方法が提供される。該方法は、細胞を図1Aに示した化合物と接触させることを含み、該化合物が該細胞内に保持されている場合、該細胞は、RASSF1Aが後成的サイレントであると同定される。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。
一態様において、本発明は、構造:
Figure 2014148545
を有するダンシル−カルバゾール化合物を提供する。
一態様において、本発明は、細胞を図1Aのダンシル−カルバゾール化合物と接触させることを含む、細胞において、後成的にサイレンシングされた遺伝子であるRas−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)の発現を誘導する方法を提供する。一部の実施形態では、細胞はヒトの癌細胞である。一部の実施形態では、ヒトの癌細胞は前立腺癌細胞である。一部の実施形態では、細胞は個体内に存在している。
一態様において、本発明は、個体に治療有効量の、個体の癌細胞または前癌細胞においてRASSF1Aの発現を誘導する図1Aの化合物を投与することを含み、、それにより、RASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌が該個体に発生する程度を制限する、またはRASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌を該個体において(一部もしくは完全に)逆転させる、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)が後成的にサイレンシングされた癌について、個体を処置する方法を提供する。一部の実施形態では、癌は、前立腺癌、皮膚癌、肺癌、膵臓癌、結腸癌、乳癌、卵巣癌または他のRASSF1Aが後成的にサイレンシングされた癌である。
一態様において、本発明は、人間に治療有効量の図1Aの化合物を投与し、それにより、後成的にサイレンシングされたRASSF1Aの発現を誘導し、前立腺癌が発生する程度を、図1Aの化合物の投与なしの場合よりも低くすることを含む、人間の前立腺癌の処置方法を提供する。一部の実施形態では、図1Aの化合物は、非経口経路、例えば、皮下、筋肉内、眼窩内、包内、脊髄内、胸骨内など、または静脈内経路によって投与される。
一態様において、本発明は、細胞を図1Aの化合物と接触させることを含む、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)活性を抑制または阻害する方法を提供する。一部の実施形態では、細胞におけるDNMT活性は、DNMT−3b活性を低下させることにより低下させる。一部の実施形態では、細胞は個体内に存在している。
一態様において、本発明は、細胞を図1Aの化合物と接触させることを含み、該化合物が該細胞内に保持されている場合、該細胞は、RASSF1Aが後成的サイレントであると同定される、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)が後成的にサイレンシングされた細胞の同定方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。
本発明の各限定には、本発明の種々の実施形態が包含され得る。したがって、任意の1つの要素または要素の組合せを伴う本発明の各限定が、本発明の各態様に含まれ得ることが予測される。本発明は、本出願書類において、以下の説明に記載または図面に図解する要素の構成および配置の詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の様式で実行または実施され得る。また、本明細書で用いる語句用法および用語法は、説明目的のためのものであり、限定とみなされるべきでない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する」、「含有する」、「伴う」およびその変化形の使用は、これらの語の後に続く記載項目およびその均等物ならびにさらなる項目を包含することを意図する。
本発明は、例えば以下の項目を提供する。
(項目1)
構造:
Figure 2014148545

を有するダンシル−カルバゾール化合物。
(項目2)
被験体の癌を処置するための方法であって、
かかる処置を必要とする被験体に、該被験体の癌を処置するための項目1に記載の化合物を含む組成物の治療有効量を投与すること
を含む、方法。
(項目3)
前記処置により、前記癌のさらなる増殖が抑制される、項目2に記載の方法。
(項目4)
前記処置により、前記癌の退縮がもたらされる、項目2に記載の方法。
(項目5)
前記癌が、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している癌細胞を含むものである、項目2〜4いずれか1項に記載の方法。
(項目6)
Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を、RASSF1Aのプロモーターのメチル化の増大によって減少させる、項目5に記載の方法。
(項目7)
前記組成物の投与により、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を増大させる、項目5または項目6に記載の方法。
(項目8)
前記癌が前立腺癌である、項目2〜7いずれか1項に記載の方法。
(項目9)
細胞を、細胞の増殖を抑制するための項目1に記載の化合物を含む組成物と接触させること
を含む、細胞の増殖を抑制するための方法。
(項目10)
前記細胞は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである、項目9に記載の方法。
(項目11)
細胞を、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるための項目1に記載の化合物を含む組成物と接触させること
を含む、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるための方法。
(項目12)
DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3b活性を低下させることにより低下させる、項目11に記載の方法。
(項目13)
DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3bを細胞質に隔離することにより低下させる、項目11に記載の方法。
(項目14)
細胞を、細胞においてRASSF1A発現を増大させるための項目1に記載の化合物を含む組成物と接触させること
を含む、細胞においてRas−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を増大させるための方法。
(項目15)
前記細胞が、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである、項目14に記載の方法。
(項目16)
前記細胞が癌細胞である、項目9〜15いずれか1項に記載の方法。
(項目17)
前記癌細胞が前立腺癌細胞である、項目16に記載の方法。
(項目18)
前記細胞が被験体内に存在している、項目9〜17いずれか1項に記載の方法。
(項目19)
細胞を項目1に記載の化合物を含む組成物と接触させることを含み、該化合物が該細胞内に保持されている場合、該細胞は、RASSF1A発現が減少していると同定される、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している細胞を同定するための方法。
(項目20)
該細胞が被験体内に存在している、項目19に記載の方法。
(項目21)
被験体から1つ以上の細胞を採取すること、
該1つ以上の細胞を、項目1に記載の化合物を含む組成物と接触させること、
該1つ以上の細胞の蛍光を測定すること、
を含み、
該1つ以上の細胞の蛍光によって項目1に記載の化合物の存在が示された場合、該1つ以上の細胞は癌細胞であると同定される、
被験体の1つ以上の細胞が癌細胞であるかどうかを判定する方法。
(項目22)
該1つ以上の細胞の蛍光を対照細胞と比較する、項目21に記載の方法。
(項目23)
項目1に記載の化合物および薬学的に許容され得る担体を含む医薬組成物。
(項目24)
さらに、1種類以上のさらなる抗癌化合物を含む、項目23に記載の医薬組成物。
(項目25)
治療有効量の項目1に記載の化合物を含む医薬組成物、ならびに該医薬組成物の調製および/または投与のための使用説明書を備えるキット。
(項目26)
さらに、薬学的に許容され得る担体を含む、項目25に記載のキット。
(項目27)
さらに、1種類以上のさらなる抗癌化合物を含む、項目25または26に記載のキット。
図面は、単なる例示にすぎず、本明細書において開示した本発明の実施可能性の要件ではない。
図1A〜Bは、本発明のダンシル−カルバゾール(すなわち、KED−4−69、化合物6a)(A)およびマハニン(B)の構造を示す。 図2は、DNA合成の減少が、ダンシル−カルバゾール化合物KED−4−69(すなわち、化合物6a)などのマハニン類似体で処理した化合物において観察されることを示す。PC−3細胞を96ウェルプレート内で平板培養し、5μMの化合物で処理した。24時間後、細胞を、BrdU標識について、Cell Proliferation ELISA BrdUキット(Roche製)を用いてアッセイした;バックグラウンドBrdU取込みレベル(抗BrdU−ペルオキシダーゼ溶液なし)を差し引き、値を対照未処理細胞に対して標準化した。 図3は、マハニン類似体がRASSF1A発現を誘導し、サイクリンD1を下方調節することを示す。3回繰り返した実験の代表的な写真。PC−3細胞を24時間、15μMの化合物6、7、7a、8、9、10または5μMの化合物KED−4−69(化合物6a)のいずれかで処理した後、RNA抽出およびRT−PCR増幅を行なった。 図4A〜Dは、蛍光化合物6aが、PC−3細胞の細胞質のみに見られ、DNMT3bを細胞質内に隔離するようであることを示す。(A)化合物6aの蛍光スペクトル。 図4A〜Dは、蛍光化合物6aが、PC−3細胞の細胞質のみに見られ、DNMT3bを細胞質内に隔離するようであることを示す。(B)PC−3細胞を化合物6aの5μMの溶液で1時間処理した後、固定し、ヨウ化プロピジウムおよびDNMT3b抗体で染色した。各画像の組のフレームは、左から右、上から下に:ヨウ化プロピジウム;クリアな視野;DNAメチルトランスフェラーゼ3b(DNMT3b);化合物6aまたはビヒクル;およびマージである。化合物6aは、多光子レーザーにより725nmで励起し、500〜550nmフィルターを用いてイメージングした。矢印は、DNMT3bが細胞質内のみに存在している代表的な細胞を示す。 図4A〜Dは、蛍光化合物6aが、PC−3細胞の細胞質のみに見られ、DNMT3bを細胞質内に隔離するようであることを示す。(C)細胞を化合物6aの5μMの溶液で6時間処理した後、固定した。各画像の組のフレームは、左から右、上から下に:ヨウ化プロピジウム;クリアな視野;DNAメチルトランスフェラーゼ3b(DNMT3b);化合物6aまたはビヒクル;およびマージである。化合物6aは、多光子レーザーにより725nmで励起し、500〜550nmフィルターを用いてイメージングした。矢印は、DNMT3bが細胞質内のみに存在している代表的な細胞を示す。 図4A〜Dは、蛍光化合物6aが、PC−3細胞の細胞質のみに見られ、DNMT3bを細胞質内に隔離するようであることを示す。(D)細胞をDMSOの5μMの溶液で6時間処理した後、固定した。各画像の組のフレームは、左から右、上から下に:ヨウ化プロピジウム;クリアな視野;DNAメチルトランスフェラーゼ3b(DNMT3b);化合物6aまたはビヒクル;およびマージである。化合物6aは、多光子レーザーにより725nmで励起し、500〜550nmフィルターを用いてイメージングした。矢印は、DNMT3bが細胞質内のみに存在している代表的な細胞を示す。 図5は、化合物6aおよび7aの合成スキームを示す。試薬:(a)KCO、MeCN;(b)酢酸パラジウム、KCO、PEG;(c)PPh、1,3−ジクロロベンゼン;(d)Pd/C(5%wt)、ギ酸アンモニウム、MeOH;(e)塩化ダンシル、TEA、DCM。 図6は、化合物10の合成スキームを示す。試薬:(a)シトラール、ピリジン。 図7は、RASSF1Aを上方調節するマハニン類似体が、DNAメチルトランスフェラーゼ活性の阻害も行なうことを示す。黒色バー:PC−3細胞を72時間、5μMのマハニンもしくは化合物6aまたは15μMの化合物6、7、7a、8もしくは9のいずれかで処理し、次いで、DNMT活性について、DNMT活性キット(Epigentek製)を用いてアッセイした。データは、3回の独立した実験の平均±SEMである。灰色バー:マハニン処理によって再発現されたRASSF1A mRNAの量を100%に標準化したRT−PCRブロットのデンシトメトリー。 図8は、化合物6aでの処置により、ヒト前立腺異種移植片腫瘍の体積が縮小することを示す。雄胸腺欠損Balb/cヌードマウスにPC−3細胞を注射し、得られた腫瘍を1週間培養した後、10mg/kgの化合物6aまたはDMSO対照(1:1のPEG/PBS中)を、1日1回、隔日でIP投与した。データを平均±SEMで示す(n=4)。
発明の詳細な説明
本発明は、本出願書類において、以下の説明に記載または図面に図解する要素の構成および配置の詳細に限定されない。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の様式で実行または実施され得る。また、本明細書で用いる語句用法および用語法は、説明目的のためのものであり、限定とみなされるべきでない。本明細書における「含む(including)」、「含む(comprising)」、「有する」、「含有する」、「伴う」およびその変化形の使用は、これらの語の後に続く記載物およびその均等物ならびにさらなる物を包含することを意図する。
一態様において、本発明は、被験体の癌を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、該方法は、かかる処置を必要とする被験体に、該被験体の癌を処置するためのカルバゾール化合物を含む組成物の治療有効量を投与することを含む。一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、図1Aのダンシル−カルバゾール化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)である。一部の実施形態では、該処置により、さらなる癌の増殖が抑制される、および/または癌の退縮がもたらされる。一部の実施形態では、癌は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している癌細胞を含むものである。一部の実施形態では、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を、RASSF1Aのプロモーターのメチル化の増大によって減少させる。一部の実施形態では、該組成物の投与により、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が増大する。一部の実施形態では、癌は前立腺癌である。
一部の態様において、本発明は、個体の癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、個体の前立腺癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が一部または全部の癌細胞で抑制されている癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)活性が一部または全部の癌細胞で増大している癌の処置のための方法を提供する。一部の実施形態では、該処置方法は、ダンシル−カルバゾールKED−4−69の投与を含む。
ヒトの腫瘍によく見られる異常は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)遺伝子のプロモーターのメチル化である(van der Weyden,L.ら
Biochem.Biophys.Acta.2007,1776,58−85)。染色体3p21.3上に存在しているため、RASSF1遺伝子座は7種類の異なる転写物をコードしており、RASSF1Aは、正常細胞に見られる2つの主要なアイソフォームのうちの1つである。このようなRasエフェクタータンパク質は、保存されたモチーフRalGDS/AF6 Ras関連ドメインを共有しており、そのRas媒介性の増殖およびアポトーシスに対する効果によって癌抑制因子となっていることが示されている。過剰メチル化(後成的)サイレンシングに起因するRASSF1Aタンパク質発現の減少は、細胞周期制御を破壊し、遺伝的不安定性を誘導し、細胞運動を高め、癌細胞においてアポトーシス抵抗性をもたらす。しかしながら、RASSF1Aの異所性発現により、この腫瘍形成性表現型の逆転が誘導され得る(van der Weyden,L.ら Biochem.Biophys.Acta.2007,1776,58−85;Donninger,H.ら J.of Cell Sci.2007,120,3163−3172)。
ヒト前立腺癌腫の病因は、多くが未確定のままである。しかしながら、種々の癌抑制遺伝子の後成的不活化は、前立腺癌などの種々の癌の発生に枢要な役割を果たしていることが明らかになってきている。かかる癌抑制因子の一例は、Ras−関連ドメインファミリー1(RASSF1)遺伝子である。RASSF1の2つの主要なアイソフォームAおよびCは、染色体3p21.3上のヒトRASSF1遺伝子から生成される(1,2)。RASSF1Aのアミノ末端には、ジアシルグリセロール結合ドメインが存在している。RASSF1Aのカルボキシ末端に、Ras−関連ドメインが含まれている。RASSF1Aの生物学的機能は、多くが不明である。RASSF1Cは、アミノ末端C1ドメインが欠失した小さい方のタンパク質(50個のアミノ酸)である。RASSF1Cは、RAS媒介性の細胞活動に役割を果たしていると考えられている(3)。前立腺癌では、高頻度で、RB1などの古典的癌抑制遺伝子の機能減少がみられない;しかしながら、RASSF1Aプロモーター領域は、原発性前立腺腫瘍の71%でメチル化されている。より侵襲性の前立腺腫瘍(グリーソンのスコア7〜10)のみを考慮すると、RASSF1Aメチル化の発生率はほぼ85%まで増大する(Liら,Biochim.Biophys.Acta,2004,1704:87−102)。対照的に、RASSF1Aプロモーターのメチル化は、前立腺の正常な上皮および間質の一次細胞では見られない(Kuzminら,Cancer Res.2002,62:3498−3502)。
RASSF1Aは、おそらく、これまでヒトの癌で報告されている最も高頻度にメチル化される遺伝子である(4,5)。RASSF1A遺伝子のメチル化は、少なくとも37の腫瘍型で報告されている。例えば、RASSF1Aのメチル化は、小細胞肺癌の80%(2,6)、乳房腫瘍の60%超(2,7,8)、肝臓癌の90%(9〜11)、膵臓腫瘍の63%(12)、非回腸腫瘍の40%(12)、回腸腫瘍の69%(12)、原発性鼻咽腔癌の70%(13)、原発性腎細胞癌腫の91%(14)、62%膀胱腫瘍(15)および前立腺癌の70%超(16〜18)で見られる。
内因性RASSF1A転写物のない癌細胞株におけるRASSF1Aの異所性発現では、インビトロおよびヌードマウスで該細胞の増殖の低下がもたらされ、RASSF1Aの癌抑制遺伝子としての役割を裏付ける(1,2,14,16,19〜21)。RASSF1AおよびNORE1(新規なRasエフェクター1)の両方とアポトーシス促進性キナーゼMSTl(哺乳動物のsterile 20様1)との関連により、アポトーシスの誘導がもたらされることが示されている(22)。他の試験では、RASSF1Aが、微小管を安定化させることができる微小管結合タンパク質であること、およびその過剰発現により、後期促進複合体の成分と相互作用することによって中期の停止が引き起こされることが示された(23〜26)。また、RASSF1Aは、c−Jun−NH2−キナーゼ経路を抑制し、細胞周期の進行の阻止をもたらすことが示された(30)。したがって、RASSF1Aは、細胞周期の調節において役割を果たしている。
RASSF1A KO−マウスは、生存可能であり、生殖能があったが、予想どおり、高齢(18〜20ヶ月)では、自然発生的に腫瘍が形成される傾向にあった(リンパ腫、白血病、肺腺腫、乳房腺癌、直腸パピローマ)(27)。Shivakumarおよび共同研究者らにより、ヒト肺癌細胞(H1299)において、RASSF1Aを外因的に発現させると、サイクリンD1の下方調節と関連しているG1期で細胞周期の停止が誘導されることが示された(28)。また、RASSF1Aは、サイクリンA発現の負のモジュレータであるp120E4Fとも相互作用する(29)。
腫瘍細胞株においてRASSF1A発現が回復すると、その腫瘍形成性が障害され(14,16)、したがって、RASSF1A発現を回復させることにより、癌の予防および処置のための方法が提供される。
本明細書に記載のように、本発明の化合物は、ヒト前立腺癌細胞において、後成的にサイレンシングされた癌抑制遺伝子RASSF1Aの発現を誘導する。また、本発明の化合物は、サイクリンD1を下方調節することが示された。RASSF1A経路を介した本発明の化合物によるサイクリンD1の転写抑制によって、新たな癌処置法を提供する。
サイクリンD1遺伝子の転写は、そのプロモーターのDNA配列が相違することにより、多様な有糸分裂促進性および発癌性のシグナル伝達経路、例えば、Ras、Src、Stat3、Stat5およびErbb2によって誘導される(37)。CREB、AP−1、β−カテニン/Tcf−1などのいくつかの転写因子は、サイクリンD1プロモーターと相互作用することが示されている(35,38)。このようなシグナル伝達経路および転写因子の1種類以上が、RASSF1AによるサイクリンD1の転写調節に関与している可能性が高い。サイクリンD1遺伝子の転写の活性化は、Ras、Raf、マイトジェン活性化型プロテインキナーゼ−キナーゼ(MEK1およびMEK2)、Aktの活性化に依存性であり、細胞外シグナルの持続的活性化によりプロテインキナーゼ(ERK)が調節される(37)。他方において、サイクリンD1の分解は、リン酸化誘発性ユビキチン依存性タンパク質分解によって媒介される(39)。グリコゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK−3β)は、サイクリンD1のThr286に対するリン酸化を触媒し、該タンパク質を核から細胞質に再指向させる(39)。
サイクリンD1の過剰発現は、前立腺癌などの種々の形態の癌に共通する事象である(40〜42)。サイクリンD1の過剰発現により、マウスにおいて器官成長の増強がもたらされる(43)。サイクリンD1で肝細胞を一過性トランスフェクションすると、激しく増殖し、6日以内で肝臓質量が50%より大きく増加する(44)。逆に、サイクリンD1ノックアウトマウスは野生型マウスよりも小さく、p27遺伝子(これは、サイクリンD1/Cdk4/6複合体を阻害する)のホモ接合型欠失を有するマウスは、巨人症および器官サイズの増大を示す(45)。さらに、神経膠腫細胞において、サイクリンD1の発現によって、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMP−2およびMMP−9)の活性および運動が増大することにより浸潤能が調節される(46)。さらに、サイクリンD1の過剰発現は、骨に転移性の前立腺癌と関連している(47)。この所見は、サイクリンD1が、細胞周期の進行における充分に規定された役割に加えて、細胞増殖および転移の調節に重要な役割を果たしていることを示す。
一態様において、本発明は、被験体の癌を処置するための方法を提供する。一態様において、本発明は、細胞を、細胞の増殖を抑制するための図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)を含む組成物と接触させることを含む、細胞の増殖を抑制するための方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである。
一態様において、本発明は、細胞を、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるための図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)を含む組成物と接触させることを含む、細胞においてDNAメチルトランスフェラーゼ活性を低下させるための方法を提供する。一部の実施形態では、DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3b活性を低下させることにより低下させる。一部の実施形態では、DNAメチルトランスフェラーゼ活性を、DNMT−3bを細胞質に隔離することにより低下させる。
一態様において、本発明は、細胞を、細胞においてRASSF1A発現を増大させるための図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)を含む組成物と接触させることを含む、細胞においてRas−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現を増大させるための方法を提供する。一部の実施形態では、該細胞は、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少しているものである。一部の実施形態では、該細胞は、癌細胞、前立腺癌細胞である、および/または被験体内に存在している。
本明細書において、本発明の化合物は、RASSF1A発現の回復を促進させ、それにより癌の治療方法としての機能を果たし得る事象となるDNMT活性の抑制を行なうことが示された。プロモーターの過剰メチル化は、さまざまなヒトの癌でのRASSF1A遺伝子サイレンシングの主な原因であることが示されている(2,4〜18)。細胞内でのDNAのメチル化は、DNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)によって行なわれる。細胞には、酵素的に活性な3種類のDNMTバリアント(DNMT−1、−3aおよび−3b)が含まれており、これらのうち、DNMT−3bは唯一、核に加えて細胞質にも見られる(Majumder,S.ら J.of Biol.Chem.2002,277,16048−16058)。本発明の化合物は、蛍光化合物6aの局在によって示されるように、DNMT−3bに結合することによってメチル化を抑制している可能性が非常に高い。PC−3細胞をこの化合物と接触させると、蛍光画像により、該化合物がPC−3細胞の細胞質のみに存在していることが示される。この所見は、化合物6aがDNMT−3bと相互作用することを示す。したがって、ダンシル−カルバゾール化合物は、アイソフォーム特異的作用様式を有する。本発明のダンシル−カルバゾール化合物のアイソフォーム特異的作用のため、ヌクレオシドDNMTインヒビターと関連している細胞傷害性が、おそらく回避される(Lyko,F.ら J.Natl.Cancer Inst.2005,97,1498−1506)。
本出願人らは、いくつかのマハニン類似体(図5参照)を合成し、これらの化合物が、PC3前立腺癌細胞の増殖を阻害することを実証した(例えば、図2参照)。また、本明細書に記載のように、これらのマハニン類似体は、ヒト前立腺癌細胞においてRASSF1Aの発現を誘導するとともに、DNMT活性を抑制する(例えば、図7参照)。さらに、本明細書において、マハニン類似体での処理により、前立腺癌細胞においてサイクリンD1の転写活性も抑制されることを示す(例えば、図2参照)。RASSF1Aの発現は、前立腺癌細胞において、サイクリンD1のメッセージおよびタンパク質レベルの減少ならびにG0/G1細胞周期の停止と関連している。すなわち、RASSF1AとサイクリンD1間では発現に逆の関係が存在する。RASSF1Aは、サイクリンD1の転写を、そのプロモーター活性を阻害することにより抑制し、RASSF1A siRNAを添加すると、この阻害が抑制される。
本発明の化合物は、本明細書においてマハニン類似体とも称するが、これは、同じカルバゾール構造を主体としているためである。天然産物であるマハニンは、アンドロゲン非依存性ヒト前立腺癌細胞の強力な増殖インヒビターである(例えば、PCT/US2007/02241(これは、引用によりその全体が本明細書に組み込まれる)参照)。マハニン処理PC−3細胞では、サイクリンD1 mRNAのレベルの減少に加えて、RASSF1A mRNAのレベルの増大が観察された。これは、RASSF1A発現の増大によってサイクリンD1が下方調節され、細胞増殖の阻害がもたらされるという以前の所見と整合する(Shivakumar,L.ら Mol.Cell.Biol.2002,22,4309−4318)。また、本出願人らは、以前に、前立腺癌細胞において、マハニンがAktを不活性化させることを示した(33)。活性化型のAktは、リン酸化によってGSK−3βを不活性化させる。したがって、RASSF1AによるサイクリンD1の転写抑制に加え、ダンシル−カルバゾール化合物がAktを不活性化させ、これによっても、最終的に、GSK−3βが不活性化されてサイクリンD1が分解され得るということが考えられ得る。
マハニンの抗増殖活性は、PC−3細胞において、そのDNAメチルトランスフェラーゼ(DNMT)活性の阻害と関連している。RASSF1Aプロモーター領域は、原発性前立腺腫瘍の71%でメチル化されているが、より侵襲性の腫瘍(グリーソンのスコア7〜10のもの;Liu,L.ら Oncogene.2002,21,6835−6840)のみを考慮した場合では83%まで増大する。おそらく、マハニンによるDNMT活性の阻害によって、RASSF1A遺伝子の過剰メチル化、続いてサイレンシングが抑制される。RASSF1Aおよび他の過剰メチル化遺伝子のかかる後成的調節は、これまでに、前立腺癌などのさまざまな細胞株で観察されている(Brueckner,B.ら Cancer Res.2005,65,6305−6311;Li,L.ら Biochem.Biophys.Acta.2004,1704,87−102;Beaulieu,N.ら J.Biol.Chem.2002,31,28−176−28181)。
マハニンと同様、本明細書において開示した化合物は、前立腺癌細胞での実験によって証明されたように、癌細胞の増殖を抑制する能力を有する。本明細書において開示した化合物の一例である化合物6aは、マハニンと比較した場合、前立腺癌細胞の増殖阻害において、5倍高い活性を有する(表1参照)。化合物6aは、マハニンよりも低い用量でヒト前立腺細胞の増殖を阻害することに加え、マハニンよりも細胞傷害性が低い。本発明の化合物は、該タンパク質の抑制因子タンパク質であるRASSF1Aを上方調節し、サイクリンD1を下方調節し、DNMT活性を抑制するものであり、化合物6aが最も強い効果を示す。
一態様において、本発明は、細胞を、蛍光マハニン類似体を含む組成物と接触させることを含み、該化合物が該細胞内に保持されている場合、該細胞は、RASSF1A発現が減少していると同定される、Ras−関連ドメインファミリー1A(RASSF1A)発現が減少している細胞を同定するための方法を提供する。一部の実施形態では、蛍光マハニン類似体は、図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)である。一部の実施形態では、該細胞は被験体内に存在している。
一態様において、本発明は、被験体から1つ以上の細胞を採取すること、該1つ以上の細胞を、蛍光マハニン類似体を含む組成物と接触させること、該1つ以上の細胞の蛍光を測定することを含み、該1つ以上の細胞の蛍光によって蛍光マハニン類似体の存在が示された場合、該1つ以上の細胞は癌細胞であると同定される、被験体の1つ以上の細胞が癌細胞であるかどうかを判定する方法を提供する。一部の実施形態では、蛍光マハニン類似体は、図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)である。一部の実施形態では、該蛍光を対照細胞と比較する。対照細胞は、野生型の対照細胞(すなわち、蛍光マハニン類似体を保持していることが予測されない陰性対照)、またはRASSF1A発現が減少している癌細胞(すなわち、蛍光マハニン類似体の存在を示す蛍光をもたらす陽性対照)のどちらであってもよい。
本出願人ら(authors)は、マハニン類似体がDNMT3bに結合することができ、DNMT3bを細胞質内に隔離することができることを示した。したがって、蛍光マハニン類似体(化合物6aなど)により、細胞内でのDNMT3bの動きをモニタリングする方法が可能になる。また、蛍光マハニン類似体により、DNMT(DNMT3bで示される)がRASFF1のメチル化の重要な因子である細胞の同定が可能になる。したがって、本発明の蛍光マハニン類似体により、RASSF1が下方調節されている細胞(前立腺癌細胞など)の同定が可能になる。したがって、本発明の蛍光マハニン類似体は、細胞の「癌」状態のインビトロおよびインビボでの判定のための診断ツールを提供する(例えば、細胞でRASSF1が下方調節されている場合、該細胞は、おそらく癌細胞である)。また、本発明の蛍光マハニン類似体は、RASSF1および/またはDNMT3bの活性ならびにDNMT3bの局在を調べることが重要であるさまざまなアッセイ、例えば、創薬などにおいて有用である。
本明細書に記載の実施形態の任意の1つ以上において、該方法は、カルバゾール化合物を含む組成物を、被験体に投与すること、または細胞と接触させることを含む。一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、ヘテロアリール基を含むカルバゾール化合物である。一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、ダンシル−カルバゾールである。一部の実施形態では、ダンシル−カルバゾール化合物は、下記の構造:
Figure 2014148545
を有する。上記のダンシル−カルバゾール化合物は、本明細書において、「KED−4−69」、「化合物6a」、「図1Aの化合物」または「図1Aに示した化合物」とも称する。
カルバゾール化合物は、当該技術分野で知られており、5員の含窒素環のいずれの側にも縮合された2つの6員のベンゼン環からなる三環式構造を含む芳香族複素環式有機化合物と定義される。一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、マハニン(図1B)、化合物6a(図1A)化合物6、化合物7、化合物7a、化合物8、化合物9または化合物10である(図5および図6参照)。本明細書に開示する化合物は、マハニン類似体または本発明の化合物とも称する。
一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、アリール基置換基を含むカルバゾール化合物である。一部の実施形態では、該化合物は、少なくとも1つのベンジル基置換基を含み、該ベンジル基はフェニル環を含む。一部の場合において、該フェニル環は、任意選択で、少なくとも1つのOH、NH、NHR、OCH、またはアルキル基で置換されていてもよく、Rは、H、アルキル、C=O、またはS=Oである。一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は化合物6aである(図5参照)。
一部の実施形態では、該カルバゾール化合物は、ヘテロアリール基置換基を含むカルバゾール化合物である。ヘテロアリール基は、アリール基に結合された非炭素分子(ヘテロ基)を含む。一部の実施形態では、ヘテロ基は、SO、SO、CO、NHまたはPOである。一部の実施形態では、そのアリール基は、1つ以上のフェニル環を含む。一部の実施形態では、該アリール基は、少なくとも1つのOH、NH、NR、NHR、OCH、OCHR、OCH、OCR、C=O、またはS=Oで置換されており、R、RおよびRはアルキル基である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基はダンシル基である。一部の実施形態では、ヘテロアリール基は蛍光基である。一部の実施形態では、ダンシル−カルバゾール化合物は図1Aの化合物(すなわち、KED−4−69または化合物6a)である。
一部の実施形態では、本明細書に記載の化合物は、「任意選択で置換されている」ものであってもよい、すなわち、該化合物は置換されても非置換であってもよい。「置換」または「〜で置換されている」が、かかる置換が、置換原子および置換基の許容される価数に従うものとするという含意を含むこと、ならびに該置換は、安定な化合物をもたらすものであること(例えば、転位、環化、脱離などによる変換を自発的に起こさない、など)は理解されよう。
本明細書で用いる場合、用語「置換されている」は、許容されるあらゆる有機化合物置換基を包含することを想定する。広い一態様において、許容される置換基は、非環式および環式、分枝および非分枝、炭素環式および複素環式、芳香族および非芳香族の有機化合物置換基を包含する。許容される置換基は、1つ以上であってもよく、適切な有機化合物に対して同じであっても異なっていてもよい。本発明の解釈上、窒素などのヘテロ原子は、水素置換基および/またはヘテロ原子の価数を満足する本明細書に記載の許容される任意の有機化合物置換基を有するものであり得る。本発明を、なんら、該許容される有機化合物置換基に限定することを意図しない。
また、本発明は、KED−4−69類似体を包含する。KED−4−69類似体は、KED−4−69の化学修飾異形である。一部の実施形態では、KED−4−69類似体は、1つ以上のKED−4−69活性(本明細書に記載)、例えば、抗癌活性を有する。該1つ以上の活性は、好ましくは、KED−4−69類似体に有意な量で、例えば、それぞれ、KED−4−69の活性の10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%より多くで存在する。より好ましくは、該1つ以上の活性は、好ましくは、KED−4−69類似体に、KED−4−69の活性の100%、110%、120%、130%、140%、150%、160%、170%、180%、190%、200%、またはそれ以上より多くで存在する。KED−4−69類似体は、KED−4−69の活性の全てを有しないものであってもよい。しかしながら、KED−4−69のいずれの活性も有意な量で有しない非活性KED−4−69類似体は、本発明の方法には有用でない。
また、本発明は、KED−4−69、KED−4−69類似体および本明細書において開示したその他のマハニン類似体のプロドラッグを包含する。KED−4−69、KED−4−69類似体およびマハニン類似体のプロドラッグは、KED−4−69、KED−4−69類似体およびマハニン類似体の非修飾異形と比べて、安定性および/または取り扱い性が改善されたものであり得るKED−4−69、KED−4−69類似体およびマハニン類似体の修飾異形である。KED−4−69、KED−4−69類似体およびマハニン類似体のプロドラッグは、インビボで代謝されると、それぞれ、KED−4−69、KED−4−69類似体およびマハニン類似体をもたらす。
KED−4−69、KED−4−69の類似体、マハニン類似体およびKED−4−69のプロドラッグ、KED−4−69の類似体のプロドラッグおよびマハニン類似体のプロドラッグは、本明細書において、本発明の化合物とも称する。
本発明で、KED−4−69、KED−4−69の類似体もしくはマハニン類似体の投与方法、または細胞をKED−4−69、KED−4−69の類似体もしくはマハニン類似体と接触させる方法に言及している場合はいつでも、本発明において、KED−4−69のプロドラッグ、KED−4−69の類似体のプロドラッグもしくはマハニン類似体のプロドラッグの投与または該プロドラッグと細胞を接触させることも包含していることを認識されたい。
また、本発明は、KED−4−69のプロドラッグ、KED−4−69類似体のプロドラッグおよびマハニン類似体のプロドラッグの投与も包含する。用語「プロドラッグ」は、本明細書で用いる場合、生物学的系に投与されると、自発的な化学反応(1つもしくは複数)、酵素触媒型化学反応(1つもしくは複数)および/または代謝による化学反応(1つもしくは複数)、あるいはこれらの反応の2つ以上の組合せの結果、生物学的に活性な化合物(すなわち、KED−4−69、KED−4−69類似体またはマハニン類似体)を生成させる任意の化合物をいう。標準的なプロドラッグは、その薬物と関連している官能基(例えば、HO−、HS−、HOOC−、RN−)に結合され、インビボで開裂される基を用いて形成される。標準的なプロドラッグとしては、限定されないが、該基がアルキル、アリール、アラルキル、アシルオキシアルキル、アルコキシカルボニルオキシアルキルであるカルボン酸エステル、ならびに該結合された基がアシル基、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、ホスフェートまたはスルフェートである、ヒドロキシル、チオールおよびアミンのエステルが挙げられる。実例として挙げた該基は例示であって、排他的でなく、当業者であれば、他の既知のさまざまなプロドラッグを調製することができよう。プロドラッグは、なんらかの形態の化学変換を受けて、生物学的に活性である化合物または生物学的に活性な化合物の前駆体である化合物を生成させ得るものである。一部の場合において、プロドラッグは生物学的に活性であるが、通常、その薬物自体よりは活性が低く、経口バイオアベイラビリティ、薬力学的半減期などを改善することによって薬物の有効性または安全性を改善する機能を果たす。化合物のプロドラッグ形態は、例えば、バイオアベイラビリティを改善するため、被験体による許容性を改善するため(不快な特性(苦味もしくは胃腸に対する刺激など)をマスキングもしくは低下させることなどにより)、可溶性を改変するため(静脈内使用のためなど)、長期もしくは持続的放出もしくは送達をもたらすため、製剤化のし易さを改善するため、または化合物の部位特異的送達をもたらすために利用され得る。プロドラッグは、例えば、The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action,by Richard B.Silverman,Academic Press,San Diego,1992.第8章:“Prodrugs and Drug Delivery Systems”pp.352−401;Design of Prodrugs, H.Bundgaard編,Elsevier Science,Amsterdam,1985;Design of Biopharmaceutical Properties through Prodrugs and Analogs,E.B.Roche編,American Pharmaceutical Association,Washington,1977;およびDrug Delivery Systems,R.L.Juliano編,Oxford Univ.Press,Oxford,1980に記載されている。
本発明の化合物は有効量で投与される。有効量は、医学的に望ましい結果がもたらされるのに充分な該化合物の投薬量である。有効量は、処置対象の具体的な病状または疾患の発症を遅延させる、進行を阻害する、または発症もしくは進行を完全に停止させるのに必要な量を意味する。例えば癌の処置では、有効量は、一般に、例えば、癌細胞の複製を阻害する、癌細胞負荷を低減させる、または癌の1つ以上の徴候もしくは症状を低減させるのに必要な量である。被験体に投与する場合、有効量は、もちろん、処置対象の具体的な癌;癌の重症度;個々の患者のパラメータ(例えば、年齢、体調、体格および体重)、併用処置、処置頻度、ならびに投与様式に依存する。このような要素は当業者に充分わかり、常套的な範囲内の実験手法によって対処され得る。一部の実施形態では、妥当な医学的判断に従って最も安全性の高い用量を使用することが好ましい。
一態様において、本発明は、被験体の癌の処置のための方法を提供する。「被験体」は、本明細書で用いる場合、ヒトまたは他の脊椎動物である哺乳動物であり、限定されないが、マウス、ラット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、または非ヒト霊長類が挙げられる。用語「被験体」および「個体」は、本明細書で用いる場合、互換的に用いていることがあり得る。一部の実施形態では、被験体は人間である。
「処置を必要とする被験体」は、本明細書で用いる場合、処置を必要とする状態であると同定された被験体を意味する。例えば、癌の処置を必要とする被験体は、癌を有する、または癌が発生するリスクがあると同定された被験体である。被験体は、医療従事者によって、および/または1種類以上の診断アッセイを行なうことにより処置を必要とする状態であると診断され得る。例えば、癌の処置を必要とする被験体は、医療従事者によって、癌または癌のリスクがあると診断された被験体であり得る。被験体が癌を有するかどうか、または癌が発生するリスクがあるかどうかを評価するための診断アッセイは当該技術分野で知られている。
本明細書で用いる場合、「癌を処置すること」としては、限定されないが、癌の発生を予防または低減させること、癌の症状を低減させること、確立された癌の増殖を抑制または阻害すること、既に存在している癌の転移および/または浸潤を抑制すること、癌の退縮を促進または誘導すること、癌性細胞の増殖を阻害または抑制すること、血管新生を低減させること、あるいはアポトーシス性癌細胞の量を増加させることが挙げられる。一部の実施形態では、本発明の化合物は、癌が発生するリスクがある被験体に、癌の発生リスクを低下させる目的で投与される。
一部の実施形態では、本発明は、特定の癌を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、前立腺癌を処置するための方法を提供する。一部の実施形態では、本発明は、RASSF1A発現が減少している癌細胞を含む癌を処置するための方法を提供する。この癌は、RASSF1A発現が減少している細胞のみからなるものであってもよく、該癌に、RASSF1A発現が減少している細胞の亜集団が含まれていてもよい。用語「RASSF1A発現が減少している」は、本明細書で用いる場合、野生型(すなわち、非癌)細胞と比較した場合、RASSF1A発現のレベルが減少している細胞をいう。RASSF1A発現のレベルまたは活性化状態を検出することができるアッセイは当該技術分野で知られており、ウエスタンブロットおよびタンパク質アレイ解析が挙げられる。野生型と比較したときのレベル減少としては、RASSF1Aが、野生型と比較したとき、1%以下、5%以下、10%以下、20%以下、50%以下、100%以下であることが挙げられる。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、治療有効量で使用され得る。用語「治療有効量」または「有効量」は、互換的に用いていることがあり得、所望の治療効果(例えば、腫瘍の縮小、細胞増殖の阻害または抑制)を実現させるために必要または充分な量をいう。有効量は、典型的には、約0.001mg/kg〜約1000mg/kg、約0.01mg/kg〜約750mg/kg、約0.1mg/kg〜約500mg/kg、約1.0mg/kg〜約250mg/kg、約10.0mg/kg〜約150mg/kgを、1日に1回以上の用量の投与で、1日または数日間(投与過程の様式および上記の要素に応じて)と種々である。他の好適な用量範囲としては、1mg〜10000mg/日、100mg〜10000mg/日、500mg〜10000mg/日、および500mg〜1000mg/日が挙げられる。一部の特定の実施形態において、該量は、10,000mg未満/日(1日あたり750mg〜9000mgの範囲)である。
また、本発明の主題は、(1)少なくとも、本明細書において提示した化合物、および(2)適切な(薬学的に有用な)担体を含む組成物(医薬組成物または製剤など)である。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の投薬量レベルは、具体的な患者、組成物、および投与様式で所望の治療応答が達成される有効な活性化合物量が得られるように変更され得る。選択される投薬量レベルは、具体的な化合物の活性、投与経路、処置対象の病状の重症度、処置対象の患者の体調、これまでの病歴に依存する。しかしながら、該化合物の用量を、所望の治療効果の達成に必要とされるレベルより低いレベルで開始し、所望の効果が達成されるまで投薬量を漸増させることは、当業者の技能の範囲である。
一部の実施形態では、KED−4−69を、他の治療用薬剤と併せて投与してもよい。KED−4−69および他の治療用薬剤は、同時に投与しても、逐次投与してもよい。該他の治療用薬剤を同時に投与する場合、同じ製剤で投与しても別々の製剤で投与してもよいが、同時に投与する。該他の治療用薬剤は、該他の治療用薬剤とKED−4−69の投与が時間的に離れている場合、互いに、およびKED−4−69と逐次投与される。これらの化合物の投与の時間的隔離は、数分程度であってもよく、より長くてもよい。
一部の実施形態では、該他の治療用薬剤は抗癌化合物である。本明細書で用いる場合、「抗癌化合物」は、癌を処置する目的で被験体に投与される薬剤をいう。抗癌化合物としては、限定されないが、抗増殖性化合物、抗新生物形成化合物、抗癌増強性補助薬剤、および放射性薬剤が挙げられる。当業者は、さまざまな抗癌剤を熟知しているか、または医学分野において癌を処置するために使用される薬剤を、常套的な技術にて見い出すことができよう。
一部の実施形態では、本発明の化合物は、抗癌治療とともに投与される。抗癌治療としては、限定されないが、抗癌化合物、放射線および外科処置の施与が挙げられる。
本発明の化合物および医薬組成物は被験体に、任意の適当な経路によって投与され得る。例えば、組成物は、経口(例えば、舌下)、直腸経由、非経口、大槽内、膣内、腹腔内、局所的および経皮(散剤、軟膏もしくは滴剤などによる)、頬内、または経鼻投与され得る。用語「非経口」投与は、本明細書で用いる場合、胃腸管を経由するもの以外の投与様式をいい、静脈内、筋肉内、腹腔内、胸骨内、乳房内、眼内、眼球後、肺内、髄腔内、皮下および関節内注射および注入が挙げられる。また、外科的埋入、例えば、本発明の組成物を体内(例えば、脳内、腹腔内、脾膜下、脳、または角膜内など)に包埋することなども想定される。
また、本発明の化合物はリポソームの形態で投与され得る。当該技術分野で知られているように、リポソームは、一般的に、リン脂質または他の脂質物質から得られる。リポソームは、水性媒体中に分散させた単層または多層状の含水液晶によって形成されている。リポソームを形成することができる任意の無毒性で生理学的に許容され得る代謝可能な脂質が使用され得る。リポソーム形態の本発明の組成物には、本発明の化合物に加えて、安定剤、保存料、賦形剤などが含有され得る。好ましい脂質は、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)(天然および合成どちらも)である。リポソームの形成方法は、当該技術分野で知られている。例えば、Prescott編,Methods in Cell Biology,第XIV巻,Academic Press,New York,N.Y.(1976),p.33(以下参照)を参照のこと。
本発明の化合物の局所投与のための投薬形態としては、本明細書に記載のような散剤、スプレー剤、軟膏、および吸入剤が挙げられる。活性化合物は、滅菌条件下で、薬学的に許容され得る担体および任意の必要な保存料、緩衝剤、または噴射剤(必要であれば)と混合される。眼科用製剤、眼用軟膏、散剤および液剤もまた、本発明の範囲に含まれることが想定される。
非経口注射のための本発明の医薬組成物は、薬学的に許容され得る滅菌された水性または非水性の液剤、分散液、懸濁剤または乳剤、ならびに使用直前に滅菌注射用液剤または分散剤に再構成するための滅菌散剤を構成する。適当な水性および非水性の担体、希釈剤、溶媒またはビヒクルの例としては、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、およびその適当な混合物、植物油(オリーブ油など)、ならびに注射用有機エステル(オレイン酸エチルなど)が挙げられる。適切な流動性は、例えば、コーティング材料(レシチンなど)の使用、分散液の場合は必要とされる粒径の維持、および界面活性剤の使用によって維持され得る。
また、組成物には、保存料、湿潤剤、乳化剤および分散剤などの佐剤が含有され得る。微生物の作用の抑制は、種々の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸などを含めることによって確保され得る。また、例えば、糖類、塩化ナトリウムなどの等張剤を含めることが望ましい場合があり得る。注射用医薬形態の長期吸収は、吸収を遅延させる薬剤(モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンなど)を含めることによってもたらされ得る。
一部の場合において、薬物の効果を長期化させるため、皮下または筋肉内注射からの薬物の吸収を遅滞させることが望ましい。この結果は、水溶性が不充分な結晶性または非晶質物質の液状懸濁剤の使用によって達成され得る。そのため、薬物の吸収速度は、結晶の大きさおよび結晶性形態に依存し得る溶解速度に依存する。あるいはまた、非経口投与された薬物形態(from)の吸収遅延は、薬物を油性ビヒクルに溶解または懸濁させることにより達成される。
注射用デポー形態は、生分解性ポリマー(例えば、ポリラクチド−ポリグリコリド)中で薬物のマイクロカプセル封入マトリックスを形成することにより作製される。ポリマーに対する薬物の比率および使用される具体的なポリマーの性質に応じて、薬物放出速度は制御され得る。他の生分解性ポリマーの例としては、ポリ(オルトエステル)およびポリ(無水物)が挙げられる。また、デポー注射用製剤は、薬物を、身体組織と適合性であるリポソームまたはマイクロエマルジョン内に封鎖することにより調製される。
注射用製剤は、例えば、細菌−もしくはウイルス−保持フィルターに通して濾過すること、または滅菌固形組成物の形態の滅菌剤(これは、使用直前に、滅菌水もしくは他の滅菌注射用媒体に溶解もしくは分散させ得る)を組み込むことによって滅菌され得る。
本発明は、本発明の医薬組成物の経口投与のための方法を提供する。経口固形投薬形態は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,1990(Mack Publishing Co.Easton Pa.18042)の第89章に一般的に記載されている。経口投与のための固形投薬形態としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、トローチ剤またはロゼンジ剤、カシェ剤、ペレット剤、および顆粒剤が挙げられる。また、リポソームまたはプロテイノイド封入も、本発明の組成物の製剤化に使用され得る(例えば、米国特許第4,925,673号に報告されたプロテイノイドミクロスフェアとして)。リポソーム封入体としては、種々のポリマーを用いて誘導体化されるリポソームが挙げられ得る(例えば、米国特許第5,013,556号)。一般に、製剤は、本発明の化合物と、生物学的に活性な物質を胃内では分解を保護し、腸内では放出を可能にする不活性成分とを含むものである。
かかる固形投薬形態において、活性化合物は、少なくとも(a least)1種類の不活性な薬学的に許容され得る賦形剤もしくは担体と混合されるか、または該賦形剤もしくは担体を含むように化学的に修飾される。賦形剤または担体は、好ましくは、(a)タンパク質分解の阻害、および(b)胃または腸からの血流への取込みを可能にするものである。より好ましい実施形態では、賦形剤または担体は、該化合物の取込み、該化合物の全体的な安定性および/または体内での該化合物の循環時間を増大させるものである。賦形剤および担体としては、例えば、クエン酸ナトリウムもしくはリン酸二カルシウムおよび/または(a)充填剤もしくは増量剤(デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、セルロース、改質デキストラン、マンニトールなど)、およびケイ酸、ならびに無機塩(三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウムおよび塩化ナトリウムなど)、および市販の希釈剤(FAST−FLO(登録商標)、EMDEX(登録商標)、STA−RX 1500(登録商標)、EMCOMPRESS(登録商標)およびAVICEL(登録商標)など)、(b)結合剤(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピル(propyhn)エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ガム(例えば、アルギネート、アカシア)、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、およびスクロースなど)、(c)保湿剤(グリセロールなど)、(d)崩壊剤(寒天−寒天、炭酸カルシウム、イモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、ある種のケイ酸塩、炭酸ナトリウム、デンプン(デンプン系の市販の崩壊剤を含む)、EXPLOTAB(登録商標)、デンプングリコール酸ナトリウム、AMBERLITE(登録商標)、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ウルトラミロペクチン(ultramylopectin)、ゼラチン、オレンジピール、カルボキシメチルセルロース、天然海綿、ベントナイト、不溶性カチオン交換樹脂、および粉末ガム(寒天、カラヤまたはトラガカントなど)など);(e)溶解遅延剤(パラフィンなど)、(f)吸収促進剤(第4級アンモニウム化合物ならびに脂肪酸(例えば、オレイン酸、リノール酸およびリノレン酸)など)(g)湿潤剤(例えば、セチルアルコールおよびグリセロールモノステアレート、アニオン性デタージェント界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、およびジオクチルスルホン酸ナトリウム)、カチオン性デタージェント(塩化ベンザルコニウムまたは塩化ベンゼトニウムなど)、非イオン性デタージェント、例えば、ラウロマクロゴール400、ポリオキシ40ステアレート、ポリオキシエチレン水添ヒマシ油10、50および60、グリセロールモノステアレート、ポリソルベート40、60、65および80、スクロース脂肪酸エステル、メチルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースなど);(h)吸収剤(カオリンおよびベントナイトクレイなど)、(i)滑沢剤(タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固形ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、液状パラフィン、植物油、ワックス、CARBOWAX(登録商標)4000、CARBOWAX(登録商標)6000、ラウリル硫酸マグネシウム、およびその混合物など);(j)製剤化の際に薬物の流動特性を改善し、圧縮中の再配列を補助する流動促進剤(デンプン、タルク、焼成シリカ、および水和型アルミノケイ酸塩が挙げられる)が挙げられる。カプセル剤、錠剤および丸剤の場合、投薬形態には、緩衝剤も含まれ得る。
また、同様の型の固形組成物も、軟質および硬質充填ゼラチンカプセル剤における充填剤として、例えば、ラクトースまたは乳糖ならびに高分子量ポリエチレングリコールなどの賦形剤を用いて使用され得る。
固形投薬形態である錠剤、糖衣丸、カプセル剤、丸剤、および顆粒剤は、医薬製剤化技術分野でよく知られたコーティングおよび殻(腸溶性コーティングなど、および他のコーティング)を用いて調製され得る。これらには、任意選択で乳濁剤が含有され得、また、活性成分(1種類または複数種)のみを、または優先的に、腸管の一部に、任意選択で遅延様式で放出する組成のものであってもよい。例示的な物質としては、pH感受性の可溶性を有するポリマー(EUDRAGIT(登録商標)として入手可能な物質など)が挙げられる。使用され得る包埋組成物の例としては、ポリマー系物質およびワックスが挙げられる。
また、活性化合物は、適切な場合は、1種類以上の上記の賦形剤とともに、マイクロカプセル封入された形態であってもよい。
経口投与のための液状投薬形態としては、薬学的に許容され得る乳剤、液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が挙げられる。活性化合物に加えて、液状投薬形態には、当該技術分野で一般的に使用されている不活性希釈剤、例えば、水または他の溶媒、可溶化剤および乳化剤など、例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ジメチルホルムアミド、油類(特に、綿実油、ラッカセイ油、コーン油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフルフリル(flirfuryl)アルコール、ポリエチレングリコール、ソルビタンの脂肪酸エステルなど、ならびにその混合物が含有され得る。
不活性希釈剤の他に、経口組成物にはまた、湿潤剤、乳化剤および懸濁化剤、甘味剤、着色剤、フレーバー剤、ならびに香味剤などの佐剤を含めてもよい。経口組成物は、食用製品(飲料など)に製剤化されたもの、および食用製品を含むものであり得る。また、経口組成物は強制経口投与によって投与されるものであり得る。
懸濁剤には、活性化合物に加えて、懸濁化剤、例えば、エトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトールおよびソルビタンエステル、微晶質セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天−寒天、トラガカントなど、ならびにその混合物が含有され得る。
また、本明細書において、本発明の化合物の肺内送達が想定される。該化合物は、吸入の際に哺乳動物の肺に送達され、それにより、肺上皮内層を横断して血流へと促される。Adjeiら,Pharmaceutical Research 7:565−569(1990);Adjeiら,International Journal of Pharmaceutics 63:135−144(1990)(酢酸ロイプロリド);Braquetら,Journal of Cardiovascular Pharmacology 13(増補版5):s.143−146(1989)(エンドセリン−1);Hubbardら,Annals of Internal Medicine 3:206−212(1989)(α1−抗トリプシン);Smithら,J.Clin.Invest.84:1145−1146(1989)(α1−プロテアーゼ);Osweinら,“Aerosolization of Proteins,”Proceedings of Symposium on Respiratory Drug Delivery II,Keystone,Colorado,March,1990(組換えヒト成長ホルモン);Debsら,The Journal of Immunology 140:3482−3488(1988)(インターフェロン−γおよび腫瘍壊死因子α)ならびにPlatzら,米国特許第5,284,656号(顆粒球コロニー刺激因子)を参照のこと。
本発明の実施における使用には、治療用製剤の肺内送達用に設計された広範な機械的デバイスが想定され、限定されないが、ネブライザー、定量吸入器、および散剤吸入器が挙げられ、これらはすべて当業者に熟知されている。
本発明の実施に適した具体的な市販のデバイスの一例は、ULTRAVENT(登録商標)ネブライザー(Mallinckrodt,Inc.(St.Louis,MO)製);ACORN II(登録商標)ネブライザー(Marquest Medical Products(Englewood,CO.)製);VENTOL(登録商標)定量吸入器(Glaxo Inc.(Research Triangle Park,N.C.)製);およびSPINHALER(登録商標)散剤吸入器(Fisons Corp.(Bedford,MA)製)である。
かかるデバイスはすべて、本発明の化合物の分散に適した製剤の使用が必要とされる。典型的には、各製剤は、使用されるデバイスの型に特異的であり、治療に有用な希釈剤、佐剤、および/または担体に加えて、適切な噴射剤物質の使用を伴うものであってもよい。
該組成物は、好ましくは、10μm未満、最も好ましくは、0.5〜5μm(肺遠位への送達に最も有効)の平均粒径を有する微粒状形態に調製される。
担体としては、トレハロース、マンニトール、キシリトール、スクロース、ラクトース、およびソルビトールなどの炭水化物が挙げられる。製剤における使用のための他の成分としては、脂質(DPPC、DOPE、DSPCおよびDOPCなど)、天然または合成界面活性剤、ポリエチレングリコール(該インヒビター自体の誘導体化における使用とは別でさえ)、デキストラン(シクロデキストランなど)、胆汁酸塩、ならびに他の関連向上剤、セルロースおよびセルロース誘導体、ならびにアミノ酸が挙げられ得る。
また、リポソーム、マイクロカプセルもしくはミクロスフェア、封入体複合体、または他の型の担体の使用も想定される。
ネブライザー(ジェット式または超音波式のいずれか)での使用に適した製剤は、典型的には、水に、約0.1〜25mgの生物学的に活性なタンパク質/mL溶液の濃度で溶解させた本発明の化合物を含む。また、該製剤に、緩衝剤および単糖を含めてもよい(例えば、タンパク質の安定化および浸透圧の調節のため)。また、ネブライザー用製剤には、エーロゾル形成時の液剤の噴霧化によって引き起こされるインヒビター組成物の表面誘導型凝集を低減または抑制するための界面活性剤も含有され得る。
定量吸入器デバイスでの使用のための製剤は、一般的に、界面活性剤の補助を伴って噴射剤中に懸濁させたインヒビター化合物を含有する微細化散剤を含む。噴射剤は、この目的に使用される任意の慣用的な物質、例えば、クロロフルオロカーボン、ヒドロクロロフルオロカーボン、ヒドロフルオロカーボンなど、もしくは炭化水素、例えば、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタノール、および1,1,1,2−テトラフルオロエタンなど、またはその組合せであり得る。好適な界面活性剤としては、ソルビタントリオレエートおよび大豆レシチンが挙げられる。また、オレイン酸も界面活性剤として有用であり得る。
散剤吸入器デバイスからの分配のための製剤は、該インヒビターを含有する微細化乾燥散剤を含み、また、増量剤(ラクトース、ソルビトール、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはキシリトールなど)を、デバイスからの散剤の分散を容易にする量(例えば、製剤の50〜90重量%)で含めてもよい。
また、本発明の化合物および組成物の経鼻送達も想定される。経鼻送達により、鼻への治療用製剤の投与後、肺内に該製剤を堆積させる必要なく、該化合物または組成物が血流に直接進むことが可能になる。経鼻送達のための製剤としては、デキストランまたはシクロデキストランを伴うものが挙げられる。また、他の粘膜通過輸送による送達も想定される。
経直腸または経膣投与のための組成物は、好ましくは坐剤であり、これは、本発明の化合物を、適当な非刺激性賦形剤または担体(ココアバター、ポリエチレングリコール、または坐剤用ワックスなど)と混合することにより調製され得、該担体は、室温では固形であるが、体温では液状となり、したがって、直腸または膣腔内で融解して活性化合物を放出させるものである。
細胞および/または核の膜を通過する化合物送達を助長するためには、比較的疎水性が高い組成物が好ましい。化合物は、疎水性を増大させる様式で修飾され得るか、または疎水性の増大をもたらす疎水性の担体または溶液中にカプセル封入され得る。
一態様において、本発明は、1種類以上の本発明の化合物を含む医薬組成物と、該医薬組成物の投与のための使用説明書を備えるキットを提供する。本発明の一部の態様では、キットは、医薬調製用バイアル、医薬調製用希釈剤のバイアル、および本発明の化合物を含むものであり得る。希釈剤のバイアルには、本発明の化合物の濃縮液または凍結乾燥粉末であり得るものを希釈するための生理食塩水などの希釈剤が内包される。一部の実施形態では、使用説明書は、特定量の希釈剤を特定量の濃縮医薬調製物と混合し、それにより、最終の注射または注入用製剤を調製するための使用説明を含む。一部の実施形態では、使用説明書は、シリンジまたは他の投与デバイスにおける使用のための使用説明を含む。一部の実施形態では、使用説明書は、患者を有効量の本発明の化合物で処置するための使用説明を含む。また、調製物を内包する容器には、該容器がボトル、隔壁を有するバイアル、隔壁を有するアンプル、注入バッグなどのいずれであれ、該調製物がオートクレーブ処理または別の方法での滅菌処理がなされると色が変化する慣用的なマークなどの印が含まれていてもよいことは理解されよう。
本発明を、以下の実施例によってさらに説明するが、実施例は、なんら、さらなる限定を意図するものであると解釈されるべきでない。本出願の至る箇所で引用したすべての参考文献(例えば、資料参考文献、発行特許、公開特許出願、および同時係属中の特許出願)の全内容は、引用により明示的に、特に、本明細書において上記に言及した教示のために本明細書に組み込まれる。
実施例
材料および方法1:化学
試薬および溶媒はすべて、市販の供給元から購入し、受領した状態のまま使用した。融点は、電熱式融点装置上の開口毛細管内で測定した。較正はしない。Hおよび13C NMRスペクトルは、22.5℃でCDClまたはDMSO−d中の溶液状態の化合物に対し、Varian 400Mz分光計(Palo Alto,CA)で測定した。質量スペクトルは、Finnegan LcQ Classic(Thermo,Waltham,MA)で取得した。元素分析は、Atlantic Microlabs(Norcross,GA)によって行ない、ミクロ解析データは、特に記載のない限り、計算値±0.4%以内とした。
1−(ベンジルオキシ)−4−ヨード−2−メチルベンゼン(図5:化合物3)。50mLのDMF中で、4−ヨード−2−メチルフェノール(5.00g,21.4mmol)と無水炭酸カリウム(14.8g,106.8mmol)を合わせた。10分間攪拌後、臭化ベンジル(7.61mL,64.1mmol)を添加した。混合物を90℃まで加熱し、終了するまで(TLCによる)(1〜2時間)攪拌した。冷却したら、反応液をセライトプラグに通して濾過し、酢酸エチルで洗浄した。DMFの大部分を圧力下で除去した後、水を添加し(50mL)、水層を2×50mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を3×50mLの飽和塩化リチウム水溶液で洗浄し、次いで、硫酸マグネシウム上で乾燥させた。溶媒を除去し、得られた残渣をエタノールとヘキサン中で再結晶させ、保護型アルコールを、光沢のあるオフホワイト色結晶(4.92g,71%)として得た。
Figure 2014148545
;mp 58℃。
4’−(ベンジルオキシ)−4−メトキシ−3’−メチル−2−ニトロビフェニル(図5:化合物5)。真空下、PEG 4600(70.9g,15.4mmol)を120℃まで24時間加熱した。窒素雰囲気に切り替え、化合物3(5.00g,15.4mmol)、4−ブロモ−3−ニトロアニソール(7.16g,30.8mmol)、無水炭酸カリウム(4.26g,30.8mmol)および酢酸パラジウム(0.17g,0.77mmol)を添加し、反応液を120℃でさらに48時間攪拌した。この混合物を冷却すると、褐色固形物が生じ、これを乳鉢と乳棒を用いて粉砕し、ソックスレー抽出装置を用いてエーテルで抽出した。溶媒を除去し、得られた黄色残渣をカラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を明黄色結晶(2.16g,40%)として得た。
Figure 2014148545
;mp 119℃。
2−(ベンジルオキシ)−7−メトキシ−1−メチル−9H−カルバゾール(図5:化合物6)および2−(ベンジルオキシ)−7−メトキシ−3−メチル−9H−カルバゾール(図5:化合物7)。化合物5(0.50g,1.4mmol)を、2mLの1,3−ジクロロ(choloro)ベンゼン(1,3−DCB)に溶解させた。この溶液に窒素をパージし、窒素雰囲気下に置いた。これに、トリフェニルホスフィン(0.94g,3.6mmol)を添加し、反応液を48時間還流した。1,3−DCBを真空除去し、残渣をクロロホルムに再溶解させ、シリカゲルに含浸させた。カラムクロマトグラフィーによる精製によって、両環化生成物:(化合物6)を黄色がかった固形物(0.22g)として
Figure 2014148545
;mp 167〜168℃。(C2119NO)C,H,N.C:計算値79.47;実測値77.98;および化合物7を淡黄褐色固形物(0.20g)として、全収率92%で得た。
Figure 2014148545
;mp 250〜251℃。(C2119NO)C,H,N.C:計算値79.47;実測値78.60。
7−メトキシ−1−メチル−9H−カルバゾール−2−オール(図5:化合物8)。5mLのメタノールに、化合物6(0.051g,0.16mmol)を溶解させた。この溶液に窒素をパージし、窒素雰囲気下に置いた。ギ酸アンモニウム(0.10g,1.6mmol)を、一匙のパラジウム担持活性炭(5重量%)とともに添加した。混合物を3時間攪拌後、これをセライトプラグに通して濾過し、メタノールおよび酢酸エチルで洗浄した。溶媒を真空除去し、得られた残渣を20mLの酢酸エチルに再溶解させ、3×20mLの水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィーにより、生成物を黄色がかった黄褐色固形物(0.038g,100%)として得た。
Figure 2014148545
;mp 200〜202℃(分解)。(C1413NO)C,H,N.C:計算値73.99;実測値73.43。
7−メトキシ−3−メチル−9H−カルバゾール−2−オール(図5:化合物9)。化合物7(0.11g,0.35mmol)を使用し、上記の手順に従った。カラムクロマトグラフィーにより、生成物をオフホワイト色のチョーク様固形物(0.082g,100%)として得た。
Figure 2014148545
;mp 238−240℃(分解)。(C1413NO)C,H,N.C:計算値73.99;実測値73.45。
7−メトキシ−1−メチル−9H−カルバゾール−2−イル5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホネート(図5:化合物6a)。化合物8(0.15g,0.66mmol)をDCMに溶解させ、次いで、TEA(0.18mL,1.3mmol)を添加し、反応液を1時間攪拌した。塩化ダンシル(0.18g,0.66mmol)を添加し、3時間後、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルに含浸させた。カラムクロマトグラフィーにより、ダンシル化生成物を綿毛状の黄色固形物(0.30g,99%)として得た。
Figure 2014148545
;mp 174℃。Anal.(C2624S)C,H,N。
7−メトキシ−3−メチル−9H−カルバゾール−2−イル5−(ジメチルアミノ)ナフタレン−1−スルホネート(図5:化合物7a)。化合物9(0.020g,0.90mmol)を使用し、上記の手順に従った。カラムクロマトグラフィーにより、ダンシル化生成物を黄色固形物(0.032g,79%)として得た。
Figure 2014148545

;mp 242℃。
メチル保護型メチル−ダウンマハニン(図5:化合物10)。1mLのピリジン中で、化合物8(0.061g,0.26mmol)と、シトラール(0.09mL,0.53mmol)とを合わせた。反応液を一晩還流させ、次いで溶媒を真空除去した。得られた残渣をDCMに再溶解させ、3×10mLの水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥させ、カラムクロマトグラフィーによって精製し、生成物を黄色固形物(0.0040g,4%)として得た。
Figure 2014148545
;mp℃。
材料および方法2:生物学
細胞株および細胞増殖アッセイ。ヒト前立腺癌細胞株PC−3を、American Type Cell Culture Collection(Manassas,VA)から入手した。フェノールレッド(Invitrogen,Carlsbad,CA)を含まず、10%ウシ胎仔血清、2mMグルタミン、100U/mLのペニシリンGナトリウム、および100μg/mLの硫酸ストレプトマイシン(Sigma,St.Louis,MO)を含むIMEM中で、5%COの存在下、37℃で細胞を増殖させた。この細胞増殖実験では、PC−3細胞を6ウェルプレート内に3連で播種し、初期密度を2×10細胞/ウェルとした。播種の24時間後、付着細胞をビヒクル(DMSO)または1、5、15、30および60μMの化合物で処理した。さらに24時間後、細胞を1×PBSで洗浄し、トリプシン処理し、完全増殖培地中に再懸濁させた。この細胞懸濁液にトリパンブルー(0.4%)を添加し、生細胞と死細胞を、ともに血球計を用いて計数した。
BrdU標識。BrdU実験では、PC−3細胞を96ウェルプレート内に2×10細胞/ウェルの密度で播種し、5μMの化合物で24時間処理し、Cell Proliferation ELISA BrdU(化学発光)(Roche Diagnostics,IN)キットを製造業者のプロトコルに従って使用し、BrdUをアッセイした。簡単には、10μLの100μMのBrdU標識溶液を培養細胞に添加し、37℃で1時間インキュベートし、標識溶液を除去し、キットに備えられたFixDenat溶液を30分間添加し、室温でインキュベートした。次いで、細胞を、ペルオキシダーゼにコンジュゲートさせた抗BrdU(1:1500)とともに60分間インキュベートした。最後に、プレートを洗浄し、各ウェルに100μLの基質溶液を添加し、光の放射を、マイクロプレート照度計(Harta Instruments,Inc.,Gaithersburg,MD)を用いて測定した。
逆転写酵素−ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)。15μMの化合物6、7、7a、8、9、10または5μMのKED−4−69(化合物6a)のいずれかとともに24時間インキュベートしたPC−3細胞から、RNAを、TRIzol溶液(Invitrogen,Carlsbad,CA)を用いて抽出し、目的の遺伝子を、500ngの全RNAを用いて増幅させ、Superscript IIキット(Invitrogen)をランダムヘキサマーとともに用いてcDNAに逆転写した。ヒト特異的プライマーを、Primer Questプログラムを用いて設計し、Integrated DNA
Technologies,Inc.(Coralville,IA)から購入した。その配列および生成物のバンドサイズは:サイクリンD1フォワードプライマー
Figure 2014148545
(配列番号:1)、
サイクリンD1リバースプライマー
Figure 2014148545
(配列番号:2)(475bp)
およびGAPDHフォワードプライマー:
Figure 2014148545
(配列番号:3)、
GAPDHリバースプライマー:
Figure 2014148545
(配列番号:4)(598bp)である。PCRは94℃で開始し、2分間の後、94℃で1分間、アニーリング温度で1分間、72℃で1分間を28サイクル、および72℃で5分間の最終伸長とした。サイクリンD1およびGAPDHのアニーリング温度は60℃とした。RASSF1Aに対するプライマーおよびPCR条件は、Rongら(Oncogene.2004,23,8216−8230)に記載のとおりに使用する。増幅後、PCR産物を、1.5%アガロースゲル上で分離し、臭化エチジウム蛍光によって、Fuji LAS−1000 Imagerを用いて可視化した。画像を取得し、Adobe Photoshopに取り込んだ。バンド強度を、ImageJソフトウェア(NIH,Bethesda,MD)を用いることによって定量した。
DNAメチルトランスフェラーゼ活性のアッセイ。PC−3細胞を完全増殖培地中に平板培養し、2μMのマハニンもしくは化合物6a、または15μMの化合物6、7、7a、8、9、10のいずれかで3日間処理し、次いで収集した。核抽出物は、製造業者のプロトコル(核抽出キット,Epigentek)に従って調製した。DNMT活性を、EpiQuik DNAメチルトランスフェラーゼ活性アッセイキット(Epigentek)を用いて測定した。結果は、DMSO対照(100%とする)と比較したときのDNMT活性の割合で表示した。
多光子レーザーイメージング。スライドをフィブロネクチン/コルタクチン溶液とともに30分間インキュベートした後、PC−3細胞をスライド上で平板培養し、一晩インキュベートした。次いで、細胞を化合物6aの5μM溶液またはDMSO対照で処理し、1〜6時間インキュベートした後、PBSで洗浄した。スライドを4%ホルムアルデヒド溶液で固定し、PBSで洗浄し、次いで、ヨウ化プロピジウム(核局在)およびDNMT3aまたはDNMT3bで処理した。化合物を多光子レーザーにより725nmで励起し、500〜550nmのフィルターを用いてイメージングした。
動物。Balb/cマウスおよび胸腺欠損Balb/cヌードマウスを米国立癌研究所(NCI)から購入した。動物を、上面にマイクロアイソレータを有するケージ1つあたり4〜6匹で収容し、食物(Furinaマウス飼料)と水を随意に摂取させた。光サイクルは自動で調節し(12時間の明/暗サイクル)、温度は23±1℃に維持した。動物はすべて、実験操作前に、この環境に1週間馴化させた。動物試験はすべて、米国立衛生研究所で採用されているガイドラインに従って、ジョージタウン大学の動物実験委員会により承認された。
異種移植片の細胞培養。PC−3細胞株(ATCC,Manassas,VA)は、L−グルタミン(Mediatech Inc.,Herdon,VA)を有し、5%ウシ胎仔血清(FBS)、2.5mM L−グルタミンを含有するRPMI−1640中で、37℃および5%COで培養した。
異種移植片試験。雄胸腺欠損Balb/cヌードマウス(18−22g)に、3×106(0.3mL)のヒト前立腺癌細胞(PC−3)を注射した。ヒト前立腺癌細胞は、マウスの右腋窩領域の皮下組織内に注射した。注射の1週間後、マウスを無作為に、1群あたり4匹のマウスの2つの群に分けた。化合物6aのストック溶液を、1mgの化合物を1μlのDMSOに溶解させることにより得た。このストックを、1:1の比率のポリエチレングリコール400(PEG)(Hampton)とPBSに添加した。試験濃度は、PEG/PBSで希釈することにより得た。腫瘍を有するマウスに、10mg/kgの6aまたはビヒクル対照のいずれかの腹腔内注射(IP)を隔日で4週間与えた。同時に、各マウスの腫瘍サイズをカリパスによって測定し、式:長さ×幅×高さ/2によって計算した。
統計解析。データはすべて、少なくとも3回の独立した実験により取得し、統計解析は、Prism 3 GraphPadソフトウェア(La Jolla,CA)を用いて行なった(conduce)。値は平均±SEMで示した。有意性レベルは、一元配置分散解析(ANOVA)、続いて(followed be)ダネットポスト試験を用いて計算し、割当信頼区間は95%とした。p値<0.05を有意とみなした。
実施例1:RASSF1Aインヒビターの合成
新たなRASSF1Aインヒビターを求め、合成のチャレンジと一般的でないカルバゾール構造のため、カルバゾール骨格の修飾(modifications off)を第一焦点として選択した。合成的には、本発明者らは、ビアリール系の環化によるカルバゾール部分の形成を想定した。それぞれ官能基化した化合物3および4の変形体のクロスカップリングの、多くの典型的なカップリング反応(ネギシ、スズキ、クマダ)(不成功に終わる)を試みた後(図5)、Wang,L.らの基質特異的反応が、本発明者らのアリールハライド系に適用可能であることがわかった(化合物5;Wang,L.ら J.Org.Chem.2006,71,1284−1287)。次いで、得られたビアリール5を、Freeman,A.W.らの手順にて環化し、おそらく2つの位置異性体である化合物6と7を得た(Freemanら J.Org.Chem.2005,70,5014−5019)。本発明者らは、溶媒とトリフェニルホスフィン(PPh)当量を変えることにより、化合物6と7が異なる比率で得られることを見い出した。1,3−ジクロロベンゼン(DCB)および2.5当量のPPhの使用により、立体障害性が高い方の化合物6が過剰に得られた(60:40)が、1,2−DCBと3〜5当量のPPhでは、立体障害性が低い方の化合物7がわずかに過剰に得られた(45:55)。化合物6と7のベンジル基のパラジウム担持炭素媒介型脱保護により、アルコール化合物8と9を得、これをダンシル保護して蛍光類似体の化合物6aおよび7aを得た。化合物8をシトラールで環化することにより、ラセミ化合物であるマハニン類似体の化合物10を得た(図6)。化合物10では、マハニン中に存在する遊離アルコールがメチル保護され、メチル基と環状エーテル部分の相対位置がマハニンのものと入れ替わっている。
実施例2:マハニン前駆体および類似体はヒト前立腺細胞の増殖を阻害する
化合物6〜10を、増殖阻害について、PC−3ヒト前立腺癌細胞において既報の方法を用いてスクリーニングした(表1;Sinhaら The Prostate.2006,66,1257−1265)。化合物6ならびにその誘導体である化合物6aおよび8は、化合物7および7aと比べ、メチル基の位置しか異ならないにもかかわらず(1位と3位)、阻害の著しい改善を示す。これは、マハニンのメチル部分が3位であるため、予期しないことであった。GI50値が化合物6系列(化合物6、6a、8)のものと近く、2位に脱保護型ヒドロキシル基を有する化合物9では、2位の立体的嵩高さを低減させれば、3位のメチルによってもたらされるどのような障害も、一部解消され得ることが示唆される。実際、マハニンの構造を調べると、エーテル環の拘束によって、2位の見かけ上の嵩高さの充分な低減がもたらされ得、3位のメチルが適度になっている。また、化合物6系列で比較的低い値がもし示された場合、エーテル環系によって、1位にメチル基に相当するものが配置され、これも、マハニンの低μMの活性を補助している可能性がある。さらに、化合物10の構造を同じ基準に基づいて解析すると、1位のメチルは依然として、化合物7および7aよりも良好な活性をもたらすが、3位のエーテル環の二重結合炭素とともに2位の嵩高さ(bulk off)により、マハニンと比べて増殖阻害が低いことが説明され得る。
総合すると、評価した化合物のうち、化合物6aのみが、マハニンよりも大きな阻害効果をもたらした。また、マハニンは、高用量(5μMより上)で細胞傷害性であることが観察されたが、化合物6aは、純粋に細胞増殖抑制性であり、24時間後、30μMまでの濃度で、時間点ゼロの初期細胞数を維持していることが示された(データ表示せず)。したがって、化合物6aは、高用量で細胞において毒性がない。
表1.ヒト前立腺癌の処理細胞におけるマハニンおよび合成化合物のGI50
Figure 2014148545
PC3細胞において50%増殖阻害に必要とされる濃度。細胞は3連でウェルに平板培養し、種々の濃度(0、1、5、15、30、60μM)の各化合物に曝露した。24時間の処理後、生存細胞(トリパンブルー色素排除アッセイによって評価)を、血球計を用いて計数した。値は、3つの独立した観察結果の平均±SEMである。
実施例3:活性化合物はDNA合成能の減少を示す
マハニンで処理した細胞内でのDNA合成レベルを、化合物6〜10で処理したものと比較して評価するため、24時間の処理後、培養細胞を、標準的な手順に従って5−ブロモ−2−デオキシ−ウリジン(BrdU)で処理した(図2)。3つの合成化合物:化合物6、6aおよび9のみが、マハニンと同等にDNA合成能の減少を引き起こした。DNA合成能は細胞増殖と関連しているため、化合物6および6aで処理した細胞が、5μMの化合物7または7aで処理したものよりも少ない増殖を示すことは、後者の2つの化合物の方が阻害濃度値が高いことを考慮すると、驚くべきことではなかった。しかしながら、化合物で処理した細胞でDNA合成能に変化がないことは、該細胞がなお再生性であることを示すため、化合物9と同等または低い阻害濃度を有する化合物8および10の増殖阻害は、増殖に対する効果(あれば)とは別のものであると思われることは注目に値する。
実施例4:RASSF1Aの上方調節およびサイクリンD1の下方調節
RASSF1AのmRNAレベルがそのタンパク質発現レベルと相関していることが報告されている(Rongら Oncogene,2004,23:8216−8230)。RASSF1AおよびサイクリンD1の発現に対する該合成化合物の効果を調べるため、処理細胞におけるそれぞれのmRNAのレベルを、対照と比較して解析した(図3)。化合物6と6aは、マハニンと同一のプロフィール:RASSF1Aの有意な増大とともに対応するサイクリンD1の減少を示した。この同じ増大/減少は化合物8と9でも観察されたが、程度は低かった。サイクリンD1の過剰発現は、さまざまな腫瘍(例えば、前立腺癌)における腫瘍形成性および増殖と関連しているため、この下方調節により癌処置法が提供される(Chen,Y.ら Oncogene.1998,16,1913−1920;Musgrove,E.A.ら Proc.Nati.Acad.Sci.USA.1994,91,8022−8026)。化合物7、7aおよび10は、対照との発現レベルの変化を示さない。
実施例5:合成化合物はDNAメチルトランスフェラーゼ活性を阻害する
処理済および未処理の前立腺癌細胞におけるDNMT活性レベルを、Epigentek製のDNMTアッセイキットを用いて測定した。DNMT活性の有意な阻害が、マハニンならびに化合物6および6aで観察され、化合物6aで最も強力な阻害が引き起こされた(図7,黒色バー)。また、化合物8と9でも、わずかなDNMT活性の減少を伴った。このようなDNMT活性の低下は、上記のRASSF1A誘導パターンと相関している(図7,灰色バー)。このデータは、DNMTの阻害により、RASSF1Aプロモーター領域の過剰メチル化が抑制され、その結果、RASSF1Aが回復されることを示唆する。
実施例6:蛍光類似体により、細胞内送達が確認され、細胞内局在が示される
化合物6a内に存在するダンシル部分は、370nmで励起すると、552nmで蛍光が見られる(図4A)。PC−3細胞を化合物6aで処理した後、多光子レーザーを用いて化合物を励起し、細胞内部からの放射を共焦点顕微鏡検査によって観察した(図4B〜D)。細胞の核のヨウ化プロピジウム染色により、化合物6aが細胞の細胞質内に存在するが、核内には存在しないことが明らかである(図4B,C)。化合物6aとDNMTとの相互作用が最終的なRASSF1Aの上方調節に重要な要素であるという仮説をさらに確認するため、細胞試料を、核と細胞質間でDNMT3aおよびDNMT3bをシャトリングさせることがわかっているDNMTアイソフォームに対する抗体で染色した(Kimら,EMBO J,2002,21:4183−4195;Majumberら,JBC,2002,277:16048−16058)。興味深いことに、DNMT3bは対照細胞の細胞質と核の両方に存在するが(図4D)、処理細胞の集団では、1時間後、DNMT3bは細胞質内のみにみられた(図4B,矢印)。6時間までは、この効果は非常に顕著であり、処理細胞の大部分はDNMT3bを細胞質のみに有する(図4C)。DNMT3aでは対応する効果は見られず(データ表示せず)、核への到達の完全な阻害であることは考えにくい。したがって、DNMT3bの細胞質内隔離が化合物6aの作用様式であることが示唆される。
実施例7:インビボ試験により、化合物6aで処理したマウスにおいて、大きな治療指数およびヒト前立腺異種移植片腫瘍の有意な体積縮小が示される
急性経口毒性のアップダウン手順を用いると、化合物6aでは、野生型Balb/cマウスにおいて、550mg/kgの用量まで毒性は観察されなかった(Acute Oral Toxicity(AOT)Up−And−Down−Procedure;http://www.epa.gov/oppfeadl/harmonization)。この場合、10mg/kgの出発有効性用量で、>55という充分な治療指数が示された。ヒト前立腺腫瘍異種移植片を有する胸腺欠損Balb/cヌードマウスに、腹腔内注射によって10mg/kgの化合物6aを、1日1回、隔日で25日間投与した。対照マウスにはビヒクル単独を投与した。化合物6aでは対照と比べ、25日間で腫瘍体積がほぼ40%縮小した(図8)。この結果により、ヒト前立腺腫瘍体積を低減させるための化合物6aの使用が実証される。
参考文献
Figure 2014148545
Figure 2014148545
Figure 2014148545
Figure 2014148545
Figure 2014148545
Figure 2014148545
均等物
上述の詳細事項は、当業者が本発明を実施することが可能であるために充分であると考えられる。提供した実施例は、本発明の一態様の単なる例示を意図し、他の機能的に同等の実施形態は本発明の範囲に含まれるため、本発明は該実施例の範囲に限定されない。本明細書において図示および記載したものに加え、本発明の種々の変形例が、前述の記載から当業者に自明となり、添付の特許請求の範囲に含まれる。本発明の利点および目的は、必ずしも、本発明の各実施形態に包含されているとは限らない。
Figure 2014148545
Figure 2014148545

Claims (1)

  1. 本願明細書に記載された発明。
JP2014105150A 2008-08-15 2014-05-21 Rassf1a発現およびヒト癌細胞増殖の蛍光調節剤 Pending JP2014148545A (ja)

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