JP2014148136A - 竹の熱処理装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】竹の熱処理装置10は、中空円筒反応容器12と、常圧過熱水蒸気導入機構14と、回動機構16を備える。中空円筒反応容器12は、長さ方向を水平に配置される。
中空円筒反応容器12の内周面に、中空円筒反応容器12の軸心方向に延出する延出部18が設けられる。竹の熱処理装置10は、さらに中空円筒反応容器12の内周面に突起部28aが設けられるとともに、中空円筒反応容器12の軸線上に、内周面に向けて延出し、突起部28aとかみ合うようにして対向して配置される突起部28bを有する中心軸30が設けられる。
【選択図】図1
Description
竹は、豊富に存在するバイオマス資源であり、竹から取り出した竹繊維には、広範な用途がある。
しかし、竹粉(竹繊維)を物理的に製造するためには、上記のように特殊な粉砕装置を必要とし、あるいは処理に多大な手間がかかる。また、繊維方向に長い(アスペクト比の大きい)竹繊維を取り出すことが難しいという問題もある。
しかし、圧力容器を用いることは、高圧のため設備費がかかるばかりでなく、安全性の確保が必要であり、スケールアップも難しいものと考えられる。
竹の熱処理装置10は、中空円筒反応容器12と、常圧過熱水蒸気導入機構14と、回動機構16を備える。
中空円筒反応容器12は、長さ方向を水平に配置される。中空円筒反応容器12の内周面に、中空円筒反応容器12の軸心(中心線)方向に延出する延出部18が設けられる。竹の熱処理装置10は、さらに中空円筒反応容器12の内周面に突起部(第一の突起部)28aが設けられるとともに、中空円筒反応容器12の軸線上に、内周面に向けて延出し、突起部28aとかみ合うようにして対向して配置される突起部(第二の突起部)28bを有する中心軸30が設けられる。なお、図1中、中空円筒反応容器12の内部に設けられる延出部18、突起部28a、28bおよび中心軸30は透視した状態で実線で示す。
中空円筒反応容器12は、常圧過熱水蒸気を導入する導入口20および水蒸気を導出する導出口22を有する。中空円筒反応容器12の一方の端部に竹装入部24が設けられ、および他方の端部に竹抜出部26が設けられる。なお、導入口20と導出口22は中空円筒反応容器12の端部ではなく側面に設けることを排除するものではない。また、導入口20と導出口22の位置は図1のように配置してもよいが、両者を入れ替えて常圧過熱水蒸気と竹を向流接触させることがより好ましい。
中空円筒反応容器12は、必要に応じて裁断されて装入される竹の直径寸法の3倍以上の直径寸法であるあることが好ましく、5倍以上であることがより好ましい。これにより、中空円筒反応容器12の回動によって持ち上げられた竹が落下して他の竹と衝突して破裂・破砕を繰り返し、竹が効率的に破砕される。
延出部18は、形状を限定するものではなく、例えば、板状、棒状、櫛の歯状、網状、もしくはそれらを組み合わせた適宜の形状とすることができる。
延出部18は、中空円筒反応容器12の回動によって竹を持ち上げるリフターとして機能するとともに、持ち上げた竹を落下させることで竹を竹抜き出し部26に向けて移動させる機能を有する。
図2の模型図に示すように、延出部18の延出寸法、すなわち中空円筒反応容器12の内周面から突設される長さ寸法(図2中、Lで示す。)は、10cm以上あることが好ましく、これにより、直径が8〜15cmほどの生育した孟宗竹を確実に持ち上げることができる。
延出部18は、図2に示すように、竹を次々に持ち上げて移動させることができるように、装入する竹の長さ寸法に応じて適切なピッチで適切な数配置する。なお、図1では、竹抜出部26近傍に突起部28a、28bおよび中心軸30が設けられるが、これらは必要に応じて省略してよく、その場合は、竹抜出部26近傍にも延出部18を設ける。
延出部18によってより確実、効率的に持ち上げられた竹が落下することにより、竹がより効率的に破砕される。
なお、延出部18が破砕された竹を竹抜出部26に効率的に送り出すためには、延出部18を中空円筒反応容器の軸線出口方向(竹抜出部26方向)に軸線(水平線)に対して下がるように配置することが好ましく、その角度(図1および図2中、角度θで示す。)は0.5〜60°の範囲にあることが好ましく、1〜45°の範囲にあることがより好ましい。
中空円筒反応容器12の中を移動する竹は、突起部28aと突起部28bの間に入り、破砕される。
第一の変形例に係る竹の熱処理装置10aは、中空円筒反応容器12が水平面に対して軸線を傾けて配置され、竹装入部24が中空円筒反応容器12の高い位置側に設けられ、竹抜出部26が低い位置側に設けられる、いわゆるロータリキルン型である点が、竹の熱処理装置10と大きく異なる。なお、竹抜出部26近傍に設けられる中心軸30および突起部28a、28bが省略され、その代わりに延出部18が配置される。また、水蒸気導入口20が中空円筒反応容器12の竹抜出部26側に設けられ、水蒸気導出口22が竹挿入部24側に設けられる。
第二の変形例に係る竹の熱処理装置10bは、中空円筒反応容器12の本体外周面に加熱部32が設けられる点が竹の熱処理装置10、10aと異なる。
加熱部32は、熱源として直火、熱風、スチーム、電熱等の中から適宜選択して用いることができる。
なお、中空円筒反応容器12の内部は通気する常圧過熱水蒸気によって直接加熱されるため、竹が中空円筒反応容器12の内外から効率的に加熱されるが、このときさらに、高周波加熱、およびマイクロ波加熱などの電磁波加熱を併用してもよい。
第三の変形例に係る竹の熱処理装置10cは、導出口22に接続される冷却・凝縮機構34をさらに備える点が竹の熱処理装置10、10a、10cと異なる。冷却・凝縮機構34は、空冷方式であってもよいが、水冷方式であることがより好ましい。
導出口22から抜き出される水蒸気は冷却・凝縮されて、タール分をほとんど含まない竹酢液として回収される。
中空円筒反応容器12を回動機構16によって例えば0.1〜10rpmの回転速度で回動させる。中空円筒反応容器12に導入口20から常圧過熱水蒸気を導入する。
常圧過熱水蒸気の温度が170℃を下回る場合、竹の分解が十分に行われず、処理した竹の乾燥も不十分となるおそれがある。竹の分解をより速やかに行う場合には、常圧過熱水蒸気の温度は190℃以上であることがより好ましい。一方、常圧過熱水蒸気の温度が320℃を上回る場合、セルロースの分解が始まり、リグニンの分解も加速されるため、タール成分が増加し、あるいは、処理後の竹をコンポジット原料として用いる場合、原料としての利用価値が減退するおそれがある。竹繊維のコンポジット原料としての利用価値を最大限に発揮させるには、常圧過熱水蒸気の温度は250℃以下であることがより好ましい。
常圧過熱水蒸気の流量は、例えば0.1〜3.0kg/(h・竹1kg)程度とすることが好ましい。0.1kg/(h・竹1kg)を下回る流量の場合、竹への熱供給が不足し、竹の分解が不十分となる場合がある。また、3.0kg/8h・竹1kg)を超える流量では、分解反応および分解生成物の留出はより速やかに進行するものの、過剰な水蒸気の一部は反応に関与せずに流通するため効率的でない。分解反応の進行と排出水蒸気の冷却凝縮の効率を勘案して、常圧過熱水蒸気を0.2〜1.0kg/(h・竹1kg)の流量で通す態様がより好ましい。
竹は、中空円筒反応容器12の回転と、延出部18、さらには突起部28の作用により破砕される。このとき、170℃以上の温度の水蒸気は、乾燥空気よりも乾燥速度が大きいため、竹は乾燥し、衝撃による破砕が促進される。ちなみに、竹の熱処理装置への常圧過熱水蒸気の導入を停止すると、生竹の破裂、破砕が一切進行しないことを確認している。
中空円筒反応容器12の回動により竹が攪拌されることにより、および竹の破裂、破砕が進行することにより、竹と水蒸気との接触がより均一となるとともに反応表面積が増大し、竹の分解・破砕効率がさらに加速される。図7は、常圧過熱水蒸気の温度210℃で熱処理し、処理開始後一定時間ごと(熱処理前、熱処理開始1分後、3分後、10分後)に竹を中空円筒反応容器12から取り出して容器に移して写真を撮り、回転撹拌による竹の破砕状況の変化を見た図である。
破裂・破砕された竹は、内部の維管束鞘の方向に沿った短冊状、もしくはチップ状に変化し、つづいて行う微粉砕・分級プロセスにより、例えば竹コンポジットとして好ましい原料が得られる。
12 中空円筒反応容器
14 常圧過熱水蒸気導入機構
16 回動機構
16a 駆動源
16b 駆動ギヤ
18 延出部
20 導入口
22 導出口
24 竹装入部
26 竹抜出部
28a、 28b 突起部
30 中心軸
32 加熱部
34 冷却・凝縮機構
Claims (6)
- 軸心方向に延出する延出部が内周面に設けられる中空円筒反応容器と、常圧過熱水蒸気導入機構と、該中空円筒反応容器を回動する回動機構を備え、該中空円筒反応容器に接続される、常圧過熱水蒸気を導入する導入口および水蒸気を導出する導出口を有するとともに、該中空円筒反応容器の一方の端部に設けられる竹装入部および他方の端部に設けられる竹抜出部を有することを特徴とする竹の熱処理装置。
- 前記中空円筒反応容器の内周面に第一の突起部が設けられるとともに、該中空円筒反応容器の軸線上に、内周面に向けて延出し、該第一の突起部と噛み合うようにして対向する第二の突起部を有する中心軸が設けられることを特徴とする請求項1記載の竹の熱処理装置。
- 前記中空円筒反応容器の外周面に加熱部が設けられることを特徴とする請求項1記載の竹の熱処理装置。
- 前記水蒸気導入口が前記中空円筒反応容器の前記竹抜出部側に設けられ、前記水蒸気導出口が竹挿入部側に設けられることを特徴とする請求項1記載の竹の熱処理装置。
- 前記中空円筒反応容器が水平面に対して軸線を傾けて配置され、前記竹装入部が該中空円筒反応容器の高い位置側に設けられ、前記竹抜出部が低い位置側に設けられることを特徴とする請求項1記載の竹の熱処理装置。
- 前記導出口に接続される冷却・凝縮機構をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の竹の熱処理装置。
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