JP2014145702A - 燃料デポジット単体試験装置 - Google Patents

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【課題】燃料を流しながら加熱して実際の燃料が酸化劣化を起こす環境条件を再現し得る燃料デポジット単体試験装置を安価なコストで実現する。
【解決手段】複数本の起立保持された試験管1と、該各試験管1の中間部を被包して加熱する加熱炉2と、該加熱炉2より下方で前記各試験管1の途中に空気4を混入するエアポンプ3(空気混入装置)と、前記各試験管1の下端部に燃料6を供給し且つ前記各試験管1の上端部から燃料6を回収して循環する燃料循環装置5とを備えて燃料デポジット単体試験装置を構成する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料デポジット単体試験装置に関するものである。
エンジンに用いられる燃料は、高温環境下で系内をゆっくりとした速度で流れるうちに酸化劣化してデポジットを生成し、その過度の堆積が自動車のエミッションやドライバビリティに悪影響を及ぼすことが知られており、デポジットの生成を抑制する有効な手段の開発が求められている。
特に近年においては、燃料の多様化が進んでおり、次世代バイオ燃料などの更なる新規燃料の出現も予測されているので、それらの燃料についてデポジットの生成メカニズムを明らかにするための試験の必要性が高まってきている。
現状、このようなデポジットの生成メカニズムについて調べる試験を行うにあたっては、殆どエンジンそのものに近い試験装置を用いて運転状態を模擬しながらデポジットの生成状況を観察したり、或いは、ビーカーなどの容器に燃料を入れてエンジンでの高温環境に対応する温度に加熱しながらデポジットの生成状況を観察したりすることが行われている。
尚、デポジットの生成メカニズムを調べる先行技術文献として既に提案されているものは特に見当たらなかったが、重油がエンジン障害の原因となる煤を発生するかどうかを調べる試験技術(特許文献1)、軽油の熱安定性及び煤の発生量を調べる試験技術(特許文献2)については下記の通りである。
特開2004−271476号公報 特開2000−230920号公報
しかしながら、殆どエンジンそのものに近い試験装置を用いて運転状態を模擬しながらデポジットの生成状況を観察する場合には、試験装置の費用が高くついてコストの高騰を招くという問題があり、また、ビーカーなどの容器に燃料を入れてエンジンでの高温環境に対応する温度に加熱しながらデポジットの生成状況を観察する場合には、燃料を流しながら行う試験形態が採れないため、実際の燃料が酸化劣化を起こす環境条件を再現することが難しいという問題があった。
本発明は上述の実情に鑑みてなしたもので、燃料を流しながら加熱して実際の燃料が酸化劣化を起こす環境条件を再現し得る燃料デポジット単体試験装置を安価なコストで実現することを目的とする。
本発明は、複数本の起立保持された試験管と、該各試験管の中間部を被包して加熱する加熱炉と、該加熱炉より下方で前記各試験管の途中に空気を混入する空気混入装置と、前記各試験管の下端部に燃料を供給し且つ前記各試験管の上端部から燃料を回収して循環する燃料循環装置とを備えたことを特徴とする燃料デポジット単体試験装置、に係るものである。
而して、各試験管に対し燃料循環装置により燃料を循環すると共に、空気混入装置により各試験管の途中に空気を混入し、加熱炉により各試験管の中間部を加熱すると、燃料循環装置から各試験管の下端部に供給された燃料が、空気混入装置からの空気と共に前記各試験管を立ち上る間に加熱炉により加熱され、各試験管内に実際の燃料が酸化劣化を起こす環境条件が再現されるので、各試験管にてデポジットの生成状況を観察することが可能となる。
ここで、燃料が高温環境下でゆっくりと流れながら酸化劣化してデポジットを生成する様子を実際に観察できるか否かは、各試験管内でデポジット生成の化学反応がうまく起こるかどうかにかかっており、全ての試験管で必ずデポジットの生成が観察できるとは限らないが、複数本の試験管を用いて同時に試験を実施する形式を採っているので、何れかの試験管でデポジットの生成を観察できる可能性が高く、試験効率が良いというメリットがある。
尚、複数本の試験管、加熱炉、空気混入装置、燃料循環装置といった構成要素は、何れも安価な費用で揃えることができるものであり、殆どエンジンそのものに近い試験装置を用いるような場合と比較してコストの大幅な削減化が図られることになる。
更に、本発明においては、各試験管の上端部からの燃料をまとめて回収する燃料回収タンクと、該燃料回収タンクに回収した燃料を送り出す燃料送給手段と、該燃料送給手段により送り出された燃料を各試験管の下端部に分配する燃料分配管とにより前記燃料循環装置が構成されていることが好ましい。
このようにすれば、燃料回収タンクから燃料送給手段により送り出された燃料が燃料分配管を介し各試験管に分配されるようになっているので、一つの燃料送給手段だけで複数本の試験管に対し燃料を供給することが可能となり、また、各試験管から回収した燃料を燃料回収タンクにまとめて回収するようにしているので、加熱炉における配置位置の違いにより加熱の具合が相違して各試験管の相互で燃料の温度にバラツキが生じていたとしても、該燃料の温度のバラツキを均すことが可能となる。
更に、本発明においては、チューブを回転ローラで一定方向に扱くことにより前記チューブ内に液体の流れを生じさせるようにしたペリスタルティックポンプにより燃料送給手段が構成されていることが好ましく、このようにすれば、無段階の流速調整が可能となり、試験管にてデポジットの生成状況を観察するのに適したゆっくりとした流速で燃料を循環させることが可能となる。
上記した本発明の燃料デポジット単体試験装置によれば、下記の如き種々の優れた効果を奏し得る。
(I)本発明の請求項1に記載の発明によれば、燃料を流しながら加熱して実際の燃料が酸化劣化を起こす環境条件を再現し得る燃料デポジット単体試験装置を安価なコストで実現することができ、しかも、複数本の試験管を用いて同時に試験を実施することができることから試験効率の向上を図ることもできる。
(II)本発明の請求項2に記載の発明によれば、一つの燃料送給手段だけで複数本の試験管に対し燃料を供給することができてコストの更なる削減化を図ることができ、しかも、各試験管から回収した燃料を燃料回収タンクにまとめて回収することで温度のバラツキを均すこともできる。
(III)本発明の請求項3に記載の発明によれば、無段階の流速調整を可能として、試験管にてデポジットの生成状況を観察するのに適したゆっくりとした流速で燃料を循環させることができる。
本発明を実施する形態の一例を示す概略図である。 図1のペリスタルティックポンプの原理を説明する概略図である。
以下本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明を実施する形態の一例を示すもので、図中1は複数本の起立保持された試験管、2は該各試験管1の中間部を被包して加熱する加熱炉、3は該加熱炉2より下方で前記各試験管1の途中に空気4を混入するエアポンプ(空気混入装置)、5は前記各試験管1の下端部に燃料6を供給し且つ前記各試験管1の上端部から燃料6を回収して循環する燃料循環装置を夫々示しており、ここに図示している例では、前記燃料循環装置5が、各試験管1の上端部からの燃料6をまとめて回収する燃料回収タンク7と、該燃料回収タンク7に回収した燃料6を送り出すペリスタルティックポンプ8(燃料送給手段)と、該ペリスタルティックポンプ8により送り出された燃料6を各試験管1の下端部に分配する燃料分配管9とにより構成されている。
より具体的に述べると、各試験管1は、保持具10により下方部分を保持され且つ筒形の加熱炉2の内部を通されて該加熱炉2の上方に突き出しており、その上端部を下方向きに屈曲させて燃料6を滴下させるようにしてあり、その滴下された燃料6は、前記加熱炉2の上部に固定された燃料受け11により受けられ、前記各試験管1の上端部よりも低い位置に配設された燃料回収タンク7に向け配管12を通し自重で流下するようにしてある。
この際、加熱炉2で加熱されて高温状態にある燃料6は、試験管1の上端部から滴下する際に大気への放熱により大幅に温度低下し、配管12への熱負担が少なくなるようになっており、また、デポジットの生成に用いられないまま余剰した空気4は、試験管1の上端部が大気開放されていることで系外へ排出されるようになっている。
更に、各試験管1の下端部近傍には枝管13が分岐形成され、該枝管13に対しエアポンプ3が接続されて空気4が供給され、該空気4が燃料6に混入されて一緒に試験管1内を立ち上るようにしてある。
一方、各試験管1の上端部から燃料受け11及び配管12を介して燃料回収タンク7に回収された燃料6は、前記燃料回収タンク7の底部から抜き出されて前記ペリスタルティックポンプ8により上方の燃料分配管9に向け配管14を介して送給されるようになっており、該燃料分配管9に櫛歯状に突設された複数本の分岐管15に振り分けられて配管16を介し各試験管1の下端部へと送り出されるようになっている。
ここで、前記各配管16は、燃料分配管9の分岐管15よりも相対的に細くなるように形成されており、燃料分配管9の長手方向の一端側から送り込まれる燃料6が偏りなく各配管16に分配されるようにしてある。
尚、図2に原理を概略的に示す通り、前記ペリスタルティックポンプ8は、チューブ18を回転ローラ17で一定方向に扱くことにより前記チューブ18内に液体(燃料6)の流れを生じさせるようにしたものであり、無段階の流速調整が可能な蠕動式のポンプとして以前より知られているものである。
而して、各試験管1に対し燃料循環装置5により燃料6を循環すると共に、エアポンプ3により各試験管1の途中に空気4を混入し、加熱炉2により各試験管1の中間部を加熱すると、燃料循環装置5から各試験管1の下端部に供給された燃料6が、エアポンプ3からの空気4と共に前記各試験管1を立ち上る間に加熱炉2により加熱され、各試験管1内に実際の燃料6が酸化劣化を起こす環境条件が再現されるので、各試験管1にてデポジットの生成状況を観察することが可能となる。
ここで、燃料6が高温環境下でゆっくりと流れながら酸化劣化してデポジットを生成する様子を実際に観察できるか否かは、各試験管1内でデポジット生成の化学反応がうまく起こるかどうかにかかっており、全ての試験管1で必ずデポジットの生成が観察できるとは限らないが、複数本の試験管1を用いて同時に試験を実施する形式を採っているので、何れかの試験管1でデポジットの生成を観察できる可能性が高く、試験効率が良いというメリットがある。
尚、複数本の試験管1、加熱炉2、エアポンプ3、燃料循環装置5といった構成要素は、何れも安価な費用で揃えることができるものであり、特に本形態例の場合には、燃料回収タンク7からペリスタルティックポンプ8により送り出された燃料6が燃料分配管9を介し各試験管1に分配されるようになっているので、一つのペリスタルティックポンプ8だけで複数本の試験管1に対し燃料6を供給することができ、殆どエンジンそのものに近い試験装置を用いるような場合と比較してコストの大幅な削減化が図られることになる。
また、各試験管1から回収した燃料6を燃料回収タンク7にまとめて回収するようにしているので、加熱炉2における配置位置の違いにより加熱の具合が相違して各試験管1の相互で燃料6の温度にバラツキが生じていたとしても、該燃料6の温度のバラツキを均すことが可能となる。
更に、本形態例においては、燃料循環装置5の燃料送給手段としてペリスタルティックポンプ8を採用しているので、無段階の流速調整が可能となり、試験管1にてデポジットの生成状況を観察するのに適したゆっくりとした流速で燃料6を循環させることが可能となる。
従って、上記形態例によれば、燃料6を流しながら加熱して実際の燃料6が酸化劣化を起こす環境条件を再現し得る燃料デポジット単体試験装置を安価なコストで実現することができ、しかも、複数本の試験管1を用いて同時に試験を実施することができることから試験効率の向上を図ることもできる。
また、特に本形態例においては、一つのペリスタルティックポンプ8だけで複数本の試験管1に対し燃料6を供給することができてコストの更なる削減化を図ることができ、しかも、各試験管1から回収した燃料6を燃料回収タンク7にまとめて回収することで温度のバラツキを均すこともできる。
更に、燃料循環装置5の燃料送給手段としてペリスタルティックポンプ8を採用しているので、無段階の流速調整を可能として、試験管1にてデポジットの生成状況を観察するのに適したゆっくりとした流速で燃料6を循環させることができる。
尚、本発明の燃料デポジット単体試験装置は、上述の形態例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
1 試験管
2 加熱炉
3 エアポンプ(空気混入装置)
4 空気
5 燃料循環装置
6 燃料
7 燃料回収タンク
8 ペリスタルティックポンプ(燃料送給手段)
9 燃料分配管
17 回転ローラ
18 チューブ

Claims (3)

  1. 複数本の起立保持された試験管と、該各試験管の中間部を被包して加熱する加熱炉と、該加熱炉より下方で前記各試験管の途中に空気を混入する空気混入装置と、前記各試験管の下端部に燃料を供給し且つ前記各試験管の上端部から燃料を回収して循環する燃料循環装置とを備えたことを特徴とする燃料デポジット単体試験装置。
  2. 各試験管の上端部からの燃料をまとめて回収する燃料回収タンクと、該燃料回収タンクに回収した燃料を送り出す燃料送給手段と、該燃料送給手段により送り出された燃料を各試験管の下端部に分配する燃料分配管とにより前記燃料循環装置が構成されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料デポジット単体試験装置。
  3. チューブを回転ローラで一定方向に扱くことにより前記チューブ内に液体の流れを生じさせるようにしたペリスタルティックポンプにより燃料送給手段が構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料デポジット単体試験装置。
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