JP2014143141A - 保護素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を有する保護素子を提供する。
【解決手段】可溶導体13が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、細孔に含浸され、第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有する。細孔内の第2の金属が溶融した際、多孔質体である第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象によって、可溶導体が速やかに溶断され、溶断後も可溶導体13の元の形状が維持される。
【選択図】図2
【解決手段】可溶導体13が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、細孔に含浸され、第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有する。細孔内の第2の金属が溶融した際、多孔質体である第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象によって、可溶導体が速やかに溶断され、溶断後も可溶導体13の元の形状が維持される。
【選択図】図2
Description
本発明は、電流経路を溶断することにより、電流経路上に接続された回路を保護する保護素子に関する。
従来、電気回路において、過電流に対する保護素子としては、電流ヒューズや漏電ブレーカーといったものが良く知られており、様々な場面で最終的な保護回路の一部として使用されている。近年急速にその応用範囲が拡大しているリチウムイオン二次電池に代表される直流電源においても、充放電時の異常を検知した時の安全回路として組み込まれている。これらの保護素子は、過電流に対する保護として電流ヒューズ、電池の過熱に対する保護素子として温度ヒューズ、回路等の異常など過電圧に対するFETスイッチなどが使用されている。
これらの保護素子と同様に、過電流とその他の信号の2種類の信号による回路遮断が可能なセルフコントロールプロテクター(SCP)も、その活用範囲が広がっている。SCPは、通常のヒューズエレメントの他に、その基板内に抵抗式ヒーターを内蔵し、ヒューズエレメントがヒーターへの通電回路の一部となっている。そのため、ヒーターを動作させた場合にも、ヒューズエレメントによる電流遮断とヒーターへの通電を同時に遮断できる構造となっている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、表面実装素子としてSCPを適用させる場合、リフロープロセスに耐えうるために、少なくとも260℃までの温度で特性の劣化があってはならない。そのため、保護素子を構成する材料の融点は260℃以上でなければならず、しかも、回路の一部となるため十分低い電気抵抗が望まれる。鉛系の材料はこれまで多くの実績もあり使いやすい材料ではあるが、昨今の有害物質規制で規制の対象となっている。高融点半田材料としての鉛は、その規制の適用除外となっているが、いずれは規制対象となることは想像に難くない。
また、鉛系以外の合金でこれらに合致するものとしては、ビスマス系や金系、錫系の合金などが知られている。しかしながら、ビスマス系のものは電気抵抗が高く、金系のものはコスト高、錫系のものは高温で酸化され易いなど実用的なコストと性能を両立するものがないのが現状である。
また、特許文献2には、融点の異なる金属を混合してヒューズエレメントとして使用する例が記載されているが、この方法では、リフロー時に低融点金属が流動してしまい、元の形状を維持することができず、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性が得られない。
本発明は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を有する保護素子を提供する。
本件発明者は、鋭意検討を行った結果、細孔を有する多孔質体からなる高融点金属と、細孔に含浸される低融点金属とを有するヒューズエレメントを用いることによって、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係る保護素子は、発熱体と、電流経路の一部を構成するとともに前記発熱体の熱又は自己発熱により溶断する可溶導体とを備え、前記可溶導体が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、前記第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有することを特徴としている。
また、本発明に係る保護素子の製造方法は、両端が電極に接続され、中央部が発熱体電極に接続されるように、樹脂粒子を含有する第1の金属のペーストを基板上に塗布する塗布工程と、前記第1の金属のペーストが塗布された基板を焼成し、前記樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する焼成工程と、前記多孔質体に第2の金属ペーストを塗布し、加熱により前記多孔質体の細孔に第2の金属を含浸させる含浸工程とを有することを特徴としている。
また、本発明に係る保護素子の製造方法は、両端が電極に接続され、中央部が発熱体電極に接続されるように、樹脂粒子を含有する第1の金属のペーストを基板上に塗布する塗布工程と、前記第1の金属のペーストが塗布された基板を焼成し、前記樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する焼成工程と、前記多孔質体上に第2の金属を積層する積層工程とを有することを特徴としている。
本発明によれば、第2の金属が溶融した際、第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象によって、可溶導体が速やかに溶断され、溶断後も元の形状が維持されるため、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら下記順序にて詳細に説明する。
1. 保護素子
2.保護素子の製造方法
3.実施例
1. 保護素子
2.保護素子の製造方法
3.実施例
<1.保護素子>
本発明の具体例として示す保護素子は、発熱体と、電流経路の一部を構成するとともに発熱体の熱又は自己発熱により溶断する可溶導体とを備え、可溶導体が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、細孔に含浸され、第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有するものである。これにより、細孔の第2の金属が溶融した際、多孔質体である第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象によって、可溶導体が速やかに溶断され、溶断後も可溶導体の元の形状が維持されるため、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を得ることができる。
本発明の具体例として示す保護素子は、発熱体と、電流経路の一部を構成するとともに発熱体の熱又は自己発熱により溶断する可溶導体とを備え、可溶導体が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、細孔に含浸され、第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有するものである。これにより、細孔の第2の金属が溶融した際、多孔質体である第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象によって、可溶導体が速やかに溶断され、溶断後も可溶導体の元の形状が維持されるため、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を得ることができる。
図1は、保護素子の一例を示す平面図であり、図2は、図1のA−A’部の断面図である。図1及び図2に示すように、保護素子10は、絶縁基板11と、絶縁基板11に積層され、絶縁部材15に覆われた発熱体14と、絶縁基板11の両端に形成された電極12(A1),12(A2)と、絶縁部材15上に発熱体14と重畳するように積層された発熱体内部電極16と、両端が電極12(A1),12(A2)に接続され、中央部が発熱体内部電極16に接続された可溶導体13とを備える。発熱体14の両端には、発熱体14に電流を流して発熱させるために電源を接続する発熱体電極18(P1),18(P2)が接続される。
また、図3は、前述した保護素子の回路構成例を示す図である。すなわち、保護素子10は、発熱体引出電極16を介して直列接続された可溶導体13と、可溶導体13の接続点を介して通電して発熱させることによって可溶導体13を溶融する発熱体14とからなる回路構成である。また、保護素子10では、例えば、可溶導体13が充放電電流経路上に直列接続され、発熱体14が電流制御素子27と接続される。保護素子10の2個の電極12のうち、一方は、A1に接続され、他方は、A2に接続される。また、発熱体引出電極16とこれに接続された発熱体電極18は、P1に接続され、他方の発熱体電極18は、P2に接続される。このような回路構成からなる保護素子10は、低背化とともにPbフリー化を実現しつつ、発熱体14の発熱により、電流経路上の可溶導体13を確実に溶断することができる。
次に、保護素子の各構成について説明する。図2に示すように、カバー1は、保護素子10の内部の保護用に用いられ、絶縁性の材料により形成される。たとえば、液晶ポリマー、ガラスエポキシ、セラミックス等、所定の耐熱性を有する絶縁材料を用いることができる。
方形状の絶縁基板11は、たとえば、アルミナ、ガラスセラミックス、ムライト、ジルコニアなどの絶縁性を有する部材によって形成される。その他、ガラスエポキシ基板、フェノール基板等のプリント配線基板に用いられる材料を用いてもよいが、ヒューズ溶断時の温度に留意する必要がある。
発熱体14は、比較的抵抗値が高く、通電すると発熱する導電性を有する部材であって、たとえばW、Mo、Ru等からなる。これらの合金あるいは組成物、化合物の粉状体を樹脂バインダ等と混合して、ペースト状にしたものを絶縁基板11上にスクリーン印刷技術を用いてパターン形成して、焼成する等によって形成する。
発熱体14を覆うように絶縁部材15が配置され、この絶縁部材15を介して発熱体14に対向するように発熱体内部電極16が配置される。発熱体内部電極16の一端は、発熱体電極18に接続される。また、発熱体14の一端は、他方の発熱体電極18に接続される。また、発熱体14の発する熱の温度は、通常のリフロー温度(〜260℃)よりも高い温度(300℃以上)となるように、印加電圧に従い発熱体14の抵抗値を設定することが望ましい。
可溶導体13は、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、細孔に含浸され、第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有し、発熱体の熱又は自己発熱により溶断する。細孔の第2の金属が溶融した際、多孔質体である第1の金属が第2の金属に溶け出す溶食現象は、温度が高いほど、溶融金属との接触面積が大きいほど進行が早い。本実施の形態の構成では、多孔質金属骨格中に溶融金属を含浸させているので、接触面積は十分に大きいため、ある程度の高温を与えれば溶解が進むことになる。このため、可溶導体13は、260℃程度のリフロー温度よりも高い温度領域で全体の溶融が進行する条件を満たすものであれば良い。
多孔質体の厚さ及び細孔の直径は、特に制限されるものではなく、例えばSn:Ag=7:3の比率になるようにAgの細孔中にSnを充填させることができれば良い。充填構造としては、最密充填構造が好ましく、六方最密充填構造、又は立方最密充填構造のどちらでも構わない。このような構成からなる多孔質体によれば、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を得ることができる。
第1の金属は、Ag若しくはCu、又はAg若しくはCuを主成分とする金属からなることが好ましい。また、第2の金属は、Snを主成分とするPbフリーはんだであることが好ましい。なお、溶融錫に対する食われ難さは次の順序となっており、表面実装素子としてリフロープロセスに耐える必要がない場合は、第1の金属として、Ni、Ptなどを用いても構わない。
Au<<<Ag<<Pd<Cu<Ni、Pt、Co<Fe
Au<<<Ag<<Pd<Cu<Ni、Pt、Co<Fe
図4は、Sn−Agの2元系合金状態図である。この図4から分かるように、第1の金属がAgを主成分とする金属であり、第2の金属がSnを主成分とするPbフリーはんだである場合、可溶導体13中のAgは50〜90wt%、より好ましくは60〜80wt%の割合とすることにより、リフロープロセスに耐え、リフロー温度よりも高い温度領域で全体の溶融を進行させることができる。
フラックス17は、可溶導体13上に塗布され、保護素子10の製造時においては、粘性が低くてもよく、ある程度の粘性を有していてもよい。
このような構成からなる保護素子10は、発熱体の熱又は自己発熱により可溶導体13の細孔内の第2の金属が溶融を開始して、溶融した第2の金属が多孔質体を構成する第1の金属と接触し、溶食現象を生じて、第1の金属が浸食され、溶食部の多孔質体が破壊された結果、各電極間が遮断状態となる。
また、保護素子10が表面実装により回路に組み込まれた場合、リフロー炉による260℃程度の加熱を受ける。この時には第2の金属は溶融するが、第1の金属の融点は十分に高いので溶融しない。例えば、Agの融点は960℃である。溶融した第2の金属は、多孔質体の中に留まっている状態で自由に流動可能な状態ではなく、リフロープロセスが終了すれば再び固化する。このように、多孔質体により溶融金属を留めておくことにより、第2の金属の融点以上のリフロー温度に曝されても、第2の金属が流出したり、凝集したりするのを防ぐことができる。
したがって、前述の保護素子20によれば、リフロープロセスでは溶融せず、発熱体の熱又は過電流による自己発熱が生じた場合にはヒューズ動作をすることができる鉛フリーの表面実装素子を実現することができる。
<2.保護素子の製造方法>
次に、図5〜図9を参照して前述した保護素子の製造方法について説明する。前述のような高融点金属からなる多孔質体の作成方法は多くの方法が提案実施されているが、本実施の形態では、気孔を形成するための樹脂粒子を良導体ペーストと混合し、乾燥、焼成する方法を用いる。
次に、図5〜図9を参照して前述した保護素子の製造方法について説明する。前述のような高融点金属からなる多孔質体の作成方法は多くの方法が提案実施されているが、本実施の形態では、気孔を形成するための樹脂粒子を良導体ペーストと混合し、乾燥、焼成する方法を用いる。
[調整工程]
先ず、樹脂粒子を良導体である第1の金属ペーストに混合、分散させ、気孔形成用ペーストを調整する(図5)。樹脂粒子としては、焼成時に分解しやすいものが適しており、PMMA(PMMA:Polymenthyl Methacrylate)等の(メタ)アクリル樹脂粒子を用いることができる。また、樹脂粒子の平均粒径は、定格等によって異なるが、10〜30μmであることが好ましい。また、第1の金属ペーストは、銅や銀などが好ましく使用される。特に、銀ペーストは、高温でも酸化されにくい用途に最適である。
先ず、樹脂粒子を良導体である第1の金属ペーストに混合、分散させ、気孔形成用ペーストを調整する(図5)。樹脂粒子としては、焼成時に分解しやすいものが適しており、PMMA(PMMA:Polymenthyl Methacrylate)等の(メタ)アクリル樹脂粒子を用いることができる。また、樹脂粒子の平均粒径は、定格等によって異なるが、10〜30μmであることが好ましい。また、第1の金属ペーストは、銅や銀などが好ましく使用される。特に、銀ペーストは、高温でも酸化されにくい用途に最適である。
第1の金属ペーストと樹脂粒子とは、所望の固形分体積比となるように混合して、ペースト化される。体積比としては、85%以上であることが望ましい。ただし、単一粒子径の球による完全な最密充填率は74%であり、完全な最密充填である必要はない。
[塗布工程]
塗布工程では、図6に示すように、スクリーンメッシュ板などを利用して、例えば両端に電極が形成され、中央部に発熱体電極が形成されたデバイス基板上に気孔形成用ペーストを塗布する。デバイス基板は、次の工程での高温焼成に耐えられるように、アルミナセラミック等が用いられる。印刷された気孔形成用ペーストは、乾燥過程を経て樹脂粒子が最密充填構造に並んだ状態となる。
塗布工程では、図6に示すように、スクリーンメッシュ板などを利用して、例えば両端に電極が形成され、中央部に発熱体電極が形成されたデバイス基板上に気孔形成用ペーストを塗布する。デバイス基板は、次の工程での高温焼成に耐えられるように、アルミナセラミック等が用いられる。印刷された気孔形成用ペーストは、乾燥過程を経て樹脂粒子が最密充填構造に並んだ状態となる。
また、塗布工程では、デバイス基板上にカーボンブラックを塗布した後、その上に気孔形成用ペーストを塗布することが好ましい。デバイス基板の下地と多孔質体の第1の金属の結合が強すぎると、溶断が不十分となり、溶断後の絶縁抵抗に問題が生じる場合があるため、気孔形成用ペーストが印刷される下地面にカーボンブラックを塗布し、乾燥させる。カーボンブラックは、400〜550℃程度で分解されるため、多孔質体が形成された後、焼成される前に分解して消失する。これにより、下地と多孔質体の第1の金属との間に隙間が形成されるため、溶断性が改善され、かつ溶断後の絶縁抵抗が改善される。
[焼成工程]
焼成工程では、気孔形成用ペーストが塗布された基板を焼成し、樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する(図7)。焼成の最高温度は、第1の金属ペーストの融点に基づいて決定され、その最高温度では、例えば樹脂粒子が最密充填構造に並んだ隙間に第1の金属ペーストが浸透する形で焼成される。このような温度を印加された気孔形成用ペーストは、樹脂粒子部分が空洞となり、第1の金属からなる多孔質体が得られる。
焼成工程では、気孔形成用ペーストが塗布された基板を焼成し、樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する(図7)。焼成の最高温度は、第1の金属ペーストの融点に基づいて決定され、その最高温度では、例えば樹脂粒子が最密充填構造に並んだ隙間に第1の金属ペーストが浸透する形で焼成される。このような温度を印加された気孔形成用ペーストは、樹脂粒子部分が空洞となり、第1の金属からなる多孔質体が得られる。
[含浸工程]
含浸工程では、多孔質体に第2の金属ペーストを塗布し、加熱により多孔質体の細孔に第2の金属を含浸させる(図8)。第2の金属を隙間なく含浸させるため、減圧環境下で加熱することが好ましい。加熱温度は、第2の金属の溶融温度以上である。第1の金属の多孔質体は、気孔部分が連続している「開気孔」と呼ばれる形態であり、第2の金属は、毛細管力によって多孔質体の細孔に浸透していく。これにより、図9に示すように、第1の金属の多孔質体の細孔に第2の金属を含浸がされた可溶導体を備える保護素子を得ることができる。
含浸工程では、多孔質体に第2の金属ペーストを塗布し、加熱により多孔質体の細孔に第2の金属を含浸させる(図8)。第2の金属を隙間なく含浸させるため、減圧環境下で加熱することが好ましい。加熱温度は、第2の金属の溶融温度以上である。第1の金属の多孔質体は、気孔部分が連続している「開気孔」と呼ばれる形態であり、第2の金属は、毛細管力によって多孔質体の細孔に浸透していく。これにより、図9に示すように、第1の金属の多孔質体の細孔に第2の金属を含浸がされた可溶導体を備える保護素子を得ることができる。
このような保護素子の製造方法によれば、鉛フリーのヒューズ溶断エレメントを印刷、焼成工程で作成することができ、比較的低プロセスコストで実現することができる。また、印刷によりヒューズエレメントを作成するため、別体でヒューズエレメントを作成するよりも平面形状の自由度が高くなり、特性設計等が容易となる。また、ヒューズエレメントの形成と電気接続が同時に可能なため、工程を削減することができる。また、カーボンブラックを下地に導入することにより、印刷工程によるヒューズ作成の優位性を保ったまま、溶断性の改善と絶縁抵抗の改善を実現することができる。
また、前述した保護素子の構成に限らず、図10に示すように、第2の金属23が、多孔質体からなる第1の金属22上に積層されていても良い。このような可溶導体は、発熱体の熱又は自己発熱により第2の金属が溶融し、毛細管力によって多孔質体の細孔に浸透し、溶食現象を生じて、第1の金属が浸食され、溶食部の多孔質体が破壊された結果、各電極間が遮断状態となる。
また、図10に示す保護素子を表面実装素子として用いる場合、リフロー炉による加熱を受ける。この時、第2の金属は溶融するが、第1の金属の融点は溶融しないため、溶融した第2の金属が、多孔質体の細孔に浸透し、多孔質体の中に留まっている状態となり、リフロープロセスが終了すると固化する。このように、リフロー炉による加熱を利用して、第2の金属を多孔質体の細孔に含浸させても良い。
また、図10に示す保護素子は、両端が電極に接続され、中央部が発熱体電極に接続されるように、樹脂粒子を含有する第1の金属のペーストを基板上に塗布し、第1の金属のペーストが塗布された基板を焼成し、樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成し、多孔質体上に第2の金属を積層することにより製造することができる。
<3.実施例>
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。本実施例では、15Aの定格電流となるようにAgからなる多孔質体にSnを含浸させたヒューズエレメントを作製した。そして、このヒューズエレメントを備える保護素子を作製し、発熱体の熱によるヒーター溶断、及び自己発熱による電流溶断の動作を確認した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
以下、本発明の具体的な実施例について説明する。本実施例では、15Aの定格電流となるようにAgからなる多孔質体にSnを含浸させたヒューズエレメントを作製した。そして、このヒューズエレメントを備える保護素子を作製し、発熱体の熱によるヒーター溶断、及び自己発熱による電流溶断の動作を確認した。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
[調整工程]
平均粒径が29.3μm、CV値が9%のアクリル樹脂(PMMA:Polymenthyl Methacrylate)粒子を、気孔率が約74%になるようにAgペーストに混合、分散させ、気孔形成用ペーストを得た。
平均粒径が29.3μm、CV値が9%のアクリル樹脂(PMMA:Polymenthyl Methacrylate)粒子を、気孔率が約74%になるようにAgペーストに混合、分散させ、気孔形成用ペーストを得た。
[塗布工程]
先ず、図1に示す保護素子において、多孔質体を形成する下地面の絶縁部材15上にカーボンブラックを塗布した。次に、両端が電極12(A1),12(A2)に接続され、中央部が発熱体内部電極16に接続されるように気孔形成用ペーストを約120μmのWet膜厚で塗布し、80℃−10min、120℃−10min、150℃−10minの条件で乾燥させた。乾燥減量は、14.7%であった。
先ず、図1に示す保護素子において、多孔質体を形成する下地面の絶縁部材15上にカーボンブラックを塗布した。次に、両端が電極12(A1),12(A2)に接続され、中央部が発熱体内部電極16に接続されるように気孔形成用ペーストを約120μmのWet膜厚で塗布し、80℃−10min、120℃−10min、150℃−10minの条件で乾燥させた。乾燥減量は、14.7%であった。
[焼成工程]
次に、マッフル炉(F0410)を用いて、気孔形成用ペーストを焼成した。図11は、焼成温度のプロファイルの一例を示すグラフである。
次に、マッフル炉(F0410)を用いて、気孔形成用ペーストを焼成した。図11は、焼成温度のプロファイルの一例を示すグラフである。
先ず、温度を約200℃まで上昇させて乾燥させた後、温度を約400℃まで徐々に上昇させて脱脂し、気孔形成用ペースト内のアクリル樹脂粒子(気孔形成用樹脂)を気化させて消去した。図12は、アクリル樹脂粒子(気孔形成用樹脂)のTG−DTA測定の結果を示すグラフである。加熱によりTG(Thermogravimetry)の重量が減少し、約400℃で重量の減少が止まり、分解が終了しているのが分かる。また、加熱により吸発熱反応が起こっていることが分かる。すなわち、気孔形成用ペースト内のアクリル樹脂粒子がガスとして抜け、細孔が形成されていることが分かった。脱脂後、温度を約850℃まで上昇させ、カーボンブラックを気化させて消去した。これにより、厚さが100μm程度及び細孔サイズが15〜20μm程度のAg多孔質体を得ることができた。
[含浸工程]
次に、Ag多孔質体に鉛フリーはんだ(Sn−3.0Ag−0.5Cu、M705、千住金属社製)を約100μmのWet膜厚で印刷塗布し、約230℃のプレート加熱により鉛フリーはんだをAg多孔質体の細孔に含浸させた。これにより、Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸された可溶導体を備える保護素子を得た。
次に、Ag多孔質体に鉛フリーはんだ(Sn−3.0Ag−0.5Cu、M705、千住金属社製)を約100μmのWet膜厚で印刷塗布し、約230℃のプレート加熱により鉛フリーはんだをAg多孔質体の細孔に含浸させた。これにより、Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸された可溶導体を備える保護素子を得た。
[多孔質体の表面観察]
前述した焼成工程後及び含浸工程後の可溶導体の表面を、光学顕微鏡により観察した。図13は、焼成により作製したAg多孔質体の表面の写真である。アクリル樹脂が気化し、消去された細孔により下地が透けて見えるのが分かる。また、図14は、鉛フリーはんだを細孔に含浸させたAg多孔質体の表面の写真である。鉛フリーはんだが細孔に浸透し、Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸された可溶導体が得られているのが分かる。
前述した焼成工程後及び含浸工程後の可溶導体の表面を、光学顕微鏡により観察した。図13は、焼成により作製したAg多孔質体の表面の写真である。アクリル樹脂が気化し、消去された細孔により下地が透けて見えるのが分かる。また、図14は、鉛フリーはんだを細孔に含浸させたAg多孔質体の表面の写真である。鉛フリーはんだが細孔に浸透し、Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸された可溶導体が得られているのが分かる。
[保護素子の動作確認]
Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸されたヒューズエレメントを備える保護素子の自己発熱による電流溶断及び発熱体の熱によるヒーター溶断の動作を確認した。
Ag多孔質体に鉛フリーはんだが含浸されたヒューズエレメントを備える保護素子の自己発熱による電流溶断及び発熱体の熱によるヒーター溶断の動作を確認した。
図15は、電流溶断後のヒューズエレメントの写真である。電流値を40Aとしたところ、4.38secで溶断した。この電流溶断後のヒューズエレメントの写真より、Ag多孔質体にSnが含浸されたヒューズエレメントは、溶断後も多孔質体の骨格により形状が維持され、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を有することが分かる。
また、図16は、ヒーター溶断後のヒューズエレメントの写真である。ヒーターを20Wで動作させた。このヒーター溶断後のヒューズエレメントの写真より、鉛フリーはんだが、その濡れ性(表面張力)によって2つの電極のそれぞれに引き寄せられ、優れた溶断性及び溶断後の優れた絶縁性を有することが分かる。
以上の実施例により、高融点金属骨格により溶融した低融点金属の流出や移動を防ぐことができるため、リフロー時に優れた耐熱性を実現することができた。また、過電流又は外部信号による熱によりエレメントを溶断する際、骨格となる高融点金属を、低融点金属が溶解させることにより遮断することができるため、ヒューズとしての溶断性を鉛フリー材料にて実現することができた。
1 カバー、10 保護素子、11 絶縁基板、11a,11b 積層基板、12(A1),12(A2) 電極、13 可溶導体、14 発熱体、15 絶縁部材、16 発熱体内部電極、17 フラックス、18(P1),18(P2) 発熱体電極、21 ペースト、22 多孔質体(第1の金属)、23 第2の金属
Claims (8)
- 発熱体と、電流経路の一部を構成するとともに前記発熱体の熱又は自己発熱により溶断する可溶導体とを備え、
前記可溶導体が、細孔を有する多孔質体からなる第1の金属と、前記第1の金属よりも融点が低い第2の金属とを有する保護素子。 - 前記第2の金属が、前記多孔質体の細孔に含浸されてなる請求項1記載の保護素子。
- 前記第2の金属が、前記多孔質体上に積層されてなる請求項1記載の保護素子。
- 前記第1の金属が、Ag又はCuを主成分とする金属からなり、
前記第2の金属が、Pbフリーはんだである請求項1乃至3のいずれか1項に記載の保護素子。 - 両端が電極に接続され、中央部が発熱体電極に接続されるように、樹脂粒子を含有する第1の金属のペーストを基板上に塗布する塗布工程と、
前記第1の金属のペーストが塗布された基板を焼成し、前記樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する焼成工程と、
前記多孔質体に第2の金属ペーストを塗布し、加熱により前記多孔質体の細孔に第2の金属を含浸させる含浸工程と
を有する保護素子の製造方法。 - 前記塗布工程では、基板上にカーボンブラックを塗布した後、その上に第1の金属のペーストを塗布する請求項5に記載の保護素子の製造方法。
- 前記第1の金属が、Ag又はCuを主成分とする金属からなり、
前記第2の金属が、Pbフリーはんだである請求項5又は6に記載の保護素子の製造方法。 - 両端が電極に接続され、中央部が発熱体電極に接続されるように、樹脂粒子を含有する第1の金属のペーストを基板上に塗布する塗布工程と、
前記第1の金属のペーストが塗布された基板を焼成し、前記樹脂粒子を気化させ、第1の金属からなる多孔質体を形成する焼成工程と、
前記多孔質体上に第2の金属を積層する積層工程と
を有する保護素子の製造方法。
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WO2019103211A1 (ko) * | 2017-11-27 | 2019-05-31 | (주)알엔투테크놀로지 | 무연 세라믹 칩 퓨즈 및 그 제조방법 |
-
2013
- 2013-01-25 JP JP2013012055A patent/JP2014143141A/ja active Pending
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