JP2014141656A - プリプレグおよび繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた耐衝撃性と厚み方向の導電性とを兼ね備えた繊維強化複合材料を製造することができるプリプレグを提供すること。
【解決手段】所定の[A]炭素繊維、[B]エポキシ樹脂、[C]アミン化合物、[D]ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂、[E]熱可塑性樹脂を主成分とする粒子、[F]導電性粒子および[G]カーボンブラックを含むプリプレグであり、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み13%に相当する範囲は構成要素[B]〜[G]で構成され、構成要素[E]および[F]それぞれの85質量%以上が、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚みの15%に相当する範囲に存在しており、かつ、構成要素[B]〜[D]および[G]が下記条件(I)を満たすプリプレグ。
条件(I):構成要素[B]中のエポキシ基数と構成要素[C]中の活性水素数の比が1:l(0.7≦l≦1.3)の配合量である構成要素[C]、構成要素[B]100質量部に対してm質量部(5≦m≦40)の配合量の構成要素[D]および構成要素[B]100質量部に対してn質量部(1≦n≦5)の配合量の構成要素[G]を含む、構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなる樹脂組成物の70℃の温度における粘度が10〜500Pa・sとなる、l、m、nが存在すること。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた導電性と耐衝撃性を兼ね備えた繊維強化複合材料を得るために用いるプリプレグ、ならびに該プリプレグを用いた繊維強化複合材料に関するものである。
従来、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂からなる繊維強化複合材料は、軽量でありながら、強度や剛性などの力学特性や耐熱性、また耐食性に優れているため、航空・宇宙、自動車、鉄道車両、船舶、土木建築およびスポーツ用品などの数多くの分野に応用されてきた。特に、高性能が要求される用途では、連続した強化繊維を用いた繊維強化複合材料が用いられ、強化繊維としては比強度、比弾性率に優れた炭素繊維が、そしてマトリックス樹脂としては熱硬化性樹脂、中でも特に炭素繊維との接着性に優れたエポキシ樹脂が多く用いられている。
しかしながら、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂の硬化物は熱可塑性樹脂にくらべて破壊靭性が一般的に低い。それにより繊維強化複合材料の耐衝撃性が低下する問題が生じる。特に航空機用構造部材の場合、組立中の工具落下や運用中の雹の衝撃等に対して優れた耐衝撃性が要求されるため、耐衝撃性の向上は大きな課題であった。
繊維強化複合材料は一般に層構造をとっており、これに衝撃が加わると層間に高い応力がかかり、クラックが発生する。クラック発生を抑制するにはエポキシ樹脂の塑性変形能力を高めることが有効であり、その手段としては塑性変形能力に優れている熱可塑性樹脂を配合することである。
熱可塑性樹脂を配合する方法は、過去に様々な検討がなされてきた。例えば、特許文献1および2に記載があるように、熱硬化性樹脂に熱可塑性樹脂を溶解させて高靭性化した高靭性熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂として用いる方法がある。
また、耐衝撃性向上のための他の手段として、特許文献3または4に記載があるように、クラックの入りやすい層間に熱可塑性樹脂を存在させる手法が知られている。
ところが、このような技術は、繊維強化複合材料に高度な耐衝撃性を与える一方で、層間に絶縁層となる樹脂層を生じることになる。そのため、繊維強化複合材料の特徴の一つである導電性のうち、厚み方向の導電性が著しく低下するという欠点がある。
繊維強化複合材料の厚み方向の導電性を高める方法としては、例えば、特許文献5または6に記載があるように、マトリックス樹脂に金属粒子や、カーボン粒子を配合する方法が考えられるが、これらの文献においては、高度な耐衝撃性と導電性との両立についてなんら触れられておらず、繊維強化複合材料において優れた耐衝撃性と導電性を両立することは困難であった。
近年では、繊維強化複合材料にて優れた耐衝撃性と導電性の両立を目指すべく、鋭意検討がなされている。例えば、特許文献7または8に記載があるように、繊維強化複合材料の層間部分に耐衝撃性を向上する強化材と導電性を向上する導電性粒子を配置する方法等が挙げられる。
しかしながらこれらの手法による導電性の向上効果は十分とまではいえず、更なる向上が必要とされている。そこで導電性の向上を目的として、上記導電性粒子に加えてマトリックス樹脂中にカーボンブラックなどの導電性フィラーを混合することがある。しかし、マトリックス樹脂中での導電性フィラーの分散が不均一であると、炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性や引張強度が低下する。優れた耐衝撃性と導電性を両立するためには、マトリックス樹脂中で導電性フィラーが均一に分散した炭素繊維複合材料が求められる。また、繊維強化複合材料は適用する用途または部位により、目的に応じた炭素繊維の目付と繊維体積含有率などを適宜調整する必要が生じる。そのような場合、耐衝撃性強化材や導電性粒子の大きさを調整しないと目的とする導電性が得られなかったり、適用部材に必要とされる繊維体積含有率から外れ、物性が低下したり、部材質量が増加したりする可能性がある。
以上のように、目的に応じて炭素繊維目付などを変更したとしても、優れた耐衝撃性と導電性を両立する繊維強化複合材料を得る必要がある。
特開昭62−297314号公報 特開昭62−297315号公報 特開平01−104624号公報 特開平02−311538号公報 特開平06−344519号公報 特開平08−034864号公報 特開2008−231395号公報 特表2010−508416号公報
本発明の目的は、適用する部材により炭素繊維の目付が変わっても、優れた厚み方向の導電性と耐衝撃性を兼ね備えた繊維強化複合材料を得ることができるプリプレグを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために次のような手段を採用するものである。すなわち、次の構成要素[A]〜[G]を含むプリプレグであって、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み13%に相当する範囲は構成要素[B]〜[G]で構成され、構成要素[E]および[F]それぞれの85質量%以上が、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚みの15%に相当する範囲に存在しており、かつ、構成要素[B]〜[D]および[G]が下記条件(I)を満たすプリプレグである。
[A]:炭素繊維
[B]:1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂
[C]:芳香族アミン化合物
[D]:ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂
[E]:1次粒子の数平均粒径が5〜50μmである、熱可塑性樹脂を主成分とする粒子
[F]:1次粒子の数平均粒径が次式(1)の範囲である導電性粒子
[(F×0.12)−3]≦Psize≦[(F×0.12)+3]・・・・・・・・・・式(1)
size:構成要素[F]である導電性粒子の1次粒子の数平均粒径(μm)
F:プリプレグ中の構成要素[A]の目付(g/m
[G]:1次粒子の数平均粒径が10〜50nmであり、構成要素[B]中において、1次粒子が複数個結合したストラクチャーの大きさが100〜500nmであるカーボンブラック
条件(I):構成要素[B]中のエポキシ基数と構成要素[C]中の活性水素数の比が1:l(0.7≦l≦1.3)の配合量である構成要素[C]、構成要素[B]100質量部に対してm質量部(5≦m≦40)の配合量の構成要素[D]、および構成要素[B]100質量部に対してn質量部(1≦n≦5)の配合量の構成要素[G]を含む、構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなる樹脂組成物の70℃の温度における粘度が10〜500Pa・sとなる、l、m、nが存在すること。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、構成要素[G]を、構成要素[B]100質量部に対して1〜5質量部含むものであり、別の好ましい態様は、構成要素[F]がカーボン粒子であること、構成要素[B]100質量部に対して0.5〜10質量部含むこと、構成要素[E]の熱可塑性樹脂を主成分とする粒子が、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の配合比率が95:5〜70:30質量%の範囲にある粒子であること、構成要素[E]を構成する熱可塑性樹脂がポリアミドであること、また、構成要素[A]の繊維体積含有率(Vf)が50〜65体積%であることである。
本発明のプリプレグの好ましい製造方法は、構成要素[B]の一部と構成要素[G]を予備混練して構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチを作製し、該マスターバッチを構成要素[B]の残りおよび構成要素[C]〜[F]と混合した後に、構成要素[A]に含浸することであり、別の好ましい製造方法は、該マスターバッチの配合比が、構成要素[B]100質量部に対し構成要素[G]が5〜50質量部であること、該マスターバッチ中において、構成要素[G]の1次粒子が複数個結合したストラクチャーの大きさが100〜500nmであること、該マスターバッチの表面抵抗率が1×10Ω以下であることである。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを加熱硬化させて得られるものであり、好ましい態様によれば、繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗が10Ωcm以下であり、さらに好ましい態様は、衝撃後圧縮強度(CAI)が280MPa以上である。
本発明のプリプレグを積層し、硬化することにより、優れた厚み方向の導電性と耐衝撃性を兼ね備えた繊維強化複合材料を提供することが可能になった。本発明のプリプレグは、種々の炭素繊維目付に対しても優れた厚み方向の導電性と耐衝撃性を兼ね備えているため、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体などのコンピュータ用途等に広く展開でき、適用製品の性能を大きく向上することが可能である。
本発明のプリプレグは、下記構成要素[A]〜[G]を含むものである。
[A]:炭素繊維
[B]:1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂
[C]:芳香族アミン化合物
[D]:ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂
[E]:1次粒子の数平均粒径が5〜50μmである、熱可塑性樹脂を主成分とする粒子
[F]:1次粒子の数平均粒径が次式(1)の範囲である導電性粒子
[(F×0.12)−3]≦Psize≦[(F×0.12)+3]・・・・・・・・・・式(1)
size:構成要素[F]である導電性粒子の1次粒子の数平均粒径(μm)
F:プリプレグ中の構成要素[A]の目付(g/m
[G]:1次粒子の数平均粒径が10〜50nmであり、構成要素[B]中において、1次粒子が複数個結合したストラクチャーの大きさが100〜500nmであるカーボンブラック。
本発明の構成要素[A]である炭素繊維は比強度、比弾性率に優れ、かつ、高い導電性を有していることから、優れた力学物性と高導電性が求められる用途に好ましく用いられる。
炭素繊維としては、具体的にはアクリル系、ピッチ系およびレーヨン系等の炭素繊維が挙げられ、特に引張強度の高いアクリル系の炭素繊維が好ましく用いられる。
かかるアクリル系の炭素繊維は、例えば、次に述べる工程を経て製造することができる。アクリロニトリルを主成分とするモノマーから得られるポリアクリロニトリルを含む紡糸原液を、湿式紡糸法、乾湿式紡糸法、乾式紡糸法、または溶融紡糸法により紡糸する。紡糸後の凝固糸は、製糸工程を経て、プリカーサーとし、続いて耐炎化および炭化などの工程を経て炭素繊維を得ることができる。
炭素繊維の形態としては、有撚糸、解撚糸および無撚糸等を使用することができるが、有撚糸の場合は炭素繊維束を構成するフィラメントの配向が平行ではないため、得られる繊維強化複合材料の力学特性の低下の原因となることから、繊維強化複合材料の成形性と強度特性のバランスが良い解撚糸または無撚糸が好ましく用いられる。
本発明で用いる炭素繊維は、引張弾性率が200〜440GPaの範囲であることが好ましい。炭素繊維の引張弾性率は、炭素繊維を構成する黒鉛構造の結晶度に影響され、結晶度が高いほど弾性率は向上する。また、導電性も結晶度が高いほど高くなる。よって、弾性率がこの範囲より低いと、得られる繊維強化複合材料の剛性が不足し軽量化が不十分となったり、所望する導電性が得られなかったりする場合があり、逆に弾性率がこの範囲より高いと、一般に炭素繊維の強度が低下する傾向がある。より好ましい弾性率は、230〜400GPaの範囲内であり、さらに好ましくは260〜370GPaの範囲内である。ここで、炭素繊維の引張弾性率は、JIS R7601−2006に従い測定された値である。
本発明の構成要素[B]は1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂である。1分子中にグリシジル基が2個未満のエポキシ樹脂の場合、後述する硬化剤と混合した混合物を加熱硬化して得られる硬化物のガラス転移温度が低くなるため好ましくない。かかるエポキシ樹脂としては、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールAジグリシジルエーテルなどの臭素化エポキシ樹脂、ビフェニル骨格を有するエポキシ樹脂、ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン骨格を有するエポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂、N,N,O−トリグリシジル−m−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−p−アミノフェノール、N,N,O−トリグリシジル−4−アミノ−3−メチルフェノール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−2,2’−ジエチル−4,4’−メチレンジアニリン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジンなどのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、レゾルシンジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレートなどを挙げることができる。中でも、航空、宇宙機用途などの場合、高いガラス転移温度や弾性率を有する硬化物が得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂を含むことが好ましい。
これらのエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。任意の温度において流動性を示すエポキシ樹脂と、任意の温度において流動性を示さないエポキシ樹脂を配合することは、得られるプリプレグを熱硬化する時の、マトリックス樹脂の流動性制御に有効である。例えば、熱硬化時において、マトリックス樹脂がゲル化するまでの間に示す流動性が大きいと、強化繊維の配向に乱れを生じたり、マトリックス樹脂が系外に流れ出すことにより、繊維体積含有率が所定の範囲から外れたりすることがあり、その結果、得られる繊維強化複合材料の力学物性が低下する可能性がある。また、任意の温度において様々な粘弾性挙動を示すエポキシ樹脂を複数種組み合わせることは、得られるプリプレグのタック性やドレープ性を適切なものとするためにも有効である。
本発明のプリプレグには、耐熱性や機械物性に対し著しい低下を及ぼさない範囲であれば、構成要素[B]以外のエポキシ化合物、例えば1分子中に1個のエポキシ基しか有していないモノエポキシ化合物や、脂環式エポキシ樹脂などを適宜配合することができる。
本発明の構成要素[C]である芳香族アミン化合物は、構成要素[B]のエポキシ樹脂を加熱硬化するための硬化剤として使用される。かかる芳香族アミン化合物としては、例えば、3,3’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジエチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジイソプロピル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトライソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジイソプロピル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、m−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミンなどが挙げられる。中でも、航空、宇宙機用途などの場合、耐熱性、弾性率に優れ、さらに線膨張係数および吸湿による耐熱性の低下が小さい硬化物が得られる4,4’−ジアミノジフェニルスルホンおよび3,3’−ジアミノジフェニルスルホンが用いることが好ましい。これらの芳香族アミン化合物は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。また、他成分との混合時は粉体、液体いずれの形態でもよく、粉体と液体の芳香族アミン化合物を混合して用いても良い。
本発明において、構成要素[C]である芳香族アミン化合物の配合量は、構成要素[B]を構成する、全エポキシ樹脂のエポキシ基1個に対し、芳香族アミン化合物中の活性水素が0.7〜1.3個の範囲になる量であることが好ましく、より好ましくは0.8〜1.2個になるように配合することである。ここで、活性水素とは有機化合物において窒素、酸素、硫黄と結合していて、反応性の高い水素原子をいう。エポキ
シ基と活性水素の比率が所定の範囲を外れた場合、得られた硬化物の耐熱性や弾性率が低下する可能性がある。
本発明の構成要素[C]である芳香族アミン化合物は、一般的に架橋反応の進行が遅いことが知られている。そこで、本発明の構成要素[C]には反応を促進するため硬化促進剤を配合することができる。かかる硬化促進剤としては、例えば、三級アミン、ルイス酸錯体、オニウム塩、イミダゾール化合物、尿素化合物などが挙げられる。硬化促進剤の配合量は、使用する種類により適宜調整する必要があるが、全エポキシ樹脂100質量部に対し、10質量部以下、好ましくは5質量部以下である。硬化促進剤がかかる範囲以上に配合されていると、過剰な硬化反応がおこり、反応を制御できない暴走反応を引き起こす可能性がある。
本発明の構成要素[D]であるポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂は、得られるプリプレグのタック性の制御、プリプレグを加熱硬化する時のマトリックス樹脂の流動性の制御および得られる繊維強化複合材料の耐熱性や弾性率を損なうことなく靭性を付与するために配合される。かかるポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルエーテルスルホンなどを挙げることができ、これらのポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂は単独で用いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。中でも、ポリエーテルスルホンは得られる繊維強化複合材料の耐熱性や力学物性を低下することなく靭性を付与することができるため好ましく用いることができる。
これらのポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂の末端官能基としては、第1級アミン、第2級アミン、水酸基、カルボキシル基、チオール基、酸無水物やハロゲン基(塩素、臭素)などのものが使用できる。このうち、エポキシ樹脂との反応性が少ないハロゲン基の場合、保存安定性に優れたプリプレグを得ることができ、一方、ハロゲン基を除いた官能基の場合、エポキシ樹脂との反応性を有することからエポキシ樹脂と該熱可塑性樹脂の接着に優れたプリプレグを得ることができる。繊維強化複合材料の力学物性の低下を抑制するためには、ハロゲン基を除いた官能基の方が好ましく、中でも、水酸基はエポキシ樹脂との反応性が比較的低いので保存安定性の低下も抑制できる。
本発明の構成要素[D]であるポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂の配合量は、構成要素[B]100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部の範囲であり、より好ましくは10〜35質量部の範囲、さらに好ましくは15〜30質量部の範囲である。該熱可塑性樹脂の配合量をかかる範囲とすることで、混合物の粘度、しいては得られるプリプレグのタック性と、得られる繊維強化複合材料の力学物性のバランスをとることができる。
本発明の構成要素[E]である熱可塑性樹脂を主成分とする粒子は、本発明で得られる繊維強化複合材料の耐衝撃性を付加するために配合される。一般的に繊維強化複合材料は積層構造をとっており、これに衝撃が加わると層間に高い応力が発生し、剥離損傷が生じる。よって、外部からの衝撃に対する耐衝撃性を向上させる場合は、繊維強化複合材料の構成要素[A]からなる層と層の間に形成される樹脂層(以降、「層間樹脂層」と表すこともある)の靭性を向上すればよい。本発明において、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂に構成要素[D]を配合して靭性を向上しているが、さらに、本発明で得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層を選択的に高靭性化するため、構成要素[E]は配合される。
本発明の構成要素[E]は熱可塑性樹脂を主成分とするものであり、かかる熱可塑性樹脂としてはポリアミドやポリイミドを好ましく用いることができ、中でも、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できる、ポリアミドは最も好ましい。ポリアミドとしてはナイロン12、ナイロン11、ナイロン6やナイロン6/12共重合体などが好適に用いることができる。
本発明の構成要素[E]は前記した熱可塑性樹脂のみで使用することも可能であるが、その場合、しばしば耐溶剤性が問題になることがある。繊維強化複合材料を構造部材や外板として使用する場合、よく表面に塗装が施されたり、航空機用途や自動車用途などの場合、作動油や燃料にさらされたりする場合もあり、こうした薬品に構成要素[E]を構成する熱可塑性樹脂が膨潤劣化して性能が低下する場合がある。
こうした熱可塑性樹脂の耐薬品性を向上する手段として、少量の熱硬化性樹脂を配合する方法がある。この場合、熱硬化性樹脂が形成する三次元網目構造の中に、熱可塑性樹脂の直鎖構造が取り込まれ、相互侵入型網目構造の一つであるセミIPN構造を形成することで飛躍的に耐溶剤性が向上する。
本発明の構成要素[E]は、かかるセミIPN構造を形成していることが好ましく、耐溶剤性と耐衝撃性を発現させるためには、構成要素[E]の熱可塑性樹脂を主成分とする粒子が、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の配合比率(質量%)が95:5〜70:30の範囲、より好ましくは90:10〜80:20の範囲にある粒子であることである。ここで、かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等を挙げることができるが、本発明のマトリックス樹脂の主成分である構成要素[B]と同種のエポキシ樹脂が力学物性の低下なく使用できるため好ましい。
本発明で得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層を選択的に高靭性化するためには、本発明の構成要素[E]を層間樹脂層に留めておく必要があり、そのため、本発明の構成要素[E]の数平均粒径は5〜50μmの範囲であると良く、好ましくは7〜40μmの範囲、より好ましくは10〜30μmの範囲である。数平均粒径を5μm以上とすることで、構成要素[E]の粒子が構成要素[A]である炭素繊維の束の中に侵入せず得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層に留まることができ、数平均粒径を50μm以下とすることでプリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みを適正化し、ひいては得られる繊維強化複合材料において、構成要素[A]である炭素繊維の体積含有率を適正化することができる。ここで、数平均粒径は構成要素[E]をレーザー顕微鏡(超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9510:(株)キーエンス製)にて200倍以上に拡大して観察を行い、任意の粒子50個以上の粒子について、その粒子の外接する円の直径を粒径として計測後、平均した値が用いられる。
本発明の構成要素[E]である可塑性樹脂を主成分とする粒子の形状としては、無定形、球状、多孔質、針状、ウイスカー状およびフレーク状でもよいが、球状の場合、マトリックス樹脂の流動特性を低下させないため炭素繊維への含浸性が優れ、かつ、繊維強化複合材料への落錘衝撃時に、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減されるため、かかる衝撃後の繊維強化複合材料に応力がかかった場合において、応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じた層間剥離部分がより少ないことから、高い耐衝撃性を発現する繊維強化複合材料が得られるため好ましい。
本発明の構成要素[E]である可塑性樹脂を主成分とする粒子の配合量は、構成要素[B]100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部の範囲であり、より好ましくは10〜35質量部の範囲、さらに好ましくは15〜30質量部の範囲である。該熱可塑性樹脂の配合量をかかる範囲とすることで、混合物の粘度、しいては得られるプリプレグのタック性と、得られる繊維強化複合材料の力学物性のバランスをとることができる。
本発明の構成要素[F]および[G]は、本発明で得られる繊維強化複合材料の導電性を高めるために配合される。
本発明で得られる繊維強化複合材料は、前記したように層間樹脂層に構成要素[E]を配置することで選択的に高靭性化し、耐衝撃性を向上している。ところが、このような繊維強化複合材料は、その繊維強化複合材料に高度な耐衝撃性を与える一方で層間に絶縁層となる樹脂層を生じるため、得られる繊維強化複合材料の厚み方向の導電性が著しく低下するという欠点がある。
そこで、繊維強化複合材料の層間樹脂層の導電性を高めるため、本発明の構成要素[F]である導電性粒子が配合される。かかる導電性粒子としては、電気的に良好な導体として振る舞う粒子であれば良く、導体のみからなるものに限定されない。好ましくは体積固有抵抗が15Ωcm以下であり、より好ましくは10Ωcmであり、さらに好ましくは5Ωcmである粒子である。体積固有抵抗をかかる範囲とすることで、層間樹脂層に導電経路を形成して導電性を高めることができる。ここで、体積固有抵抗は、4探針電極を有する円筒型セルに試料をセットし、試料に60MPaの圧力を加えた状態で試料の厚さと抵抗値を測定し、測定された値から算出した値である。かかる導電性粒子としては、例えば、金属粒子、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子、カーボン粒子の他、無機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子、有機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子を使用することができる。これらの中でも、高い導電性および安定性を示すことから、カーボン粒子、無機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子、有機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子が好ましく用いられ、特にカーボン粒子は安価に入手できることもあり特に好ましく用いられる。
かかる無機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子の場合、核である無機材料としては、無機酸化物、無機有機複合物および炭素などを挙げることができる。
無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ・アルミナ、シリカ・ジルコニア等、単一の無機酸化物、および2種以上の複合無機酸化物が挙げられる。
無機有機複合物としては、例えば、金属アルコキシドおよび/または金属アルキルアルコキシドを加水分解して得られるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
炭素としては、結晶質炭素、非晶質炭素が好ましく用いられる。非晶質炭素としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)、真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)などが具体的に挙げられる。
かかる有機材料の核が導電性物質で被覆されてなる粒子の場合、核である有機材料としては、不飽和ポ
リエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、および、ジビニルベンゼン樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられ、これら有機材料は単独で用いても良く、複数種を組み合わせて用いても良い。中でも、優れた耐熱性を有するアクリル樹脂やジビニルベンゼン樹脂、および優れた耐衝撃性を有するポリアミド樹脂が好ましく用いられる。
本発明の構成要素[F]である導電性粒子は、本発明で得られる繊維強化複合材料の層間樹脂層の導電性を高めるため、層間樹脂層に局在化する必要がある。また、繊維強化複合材料において、層間樹脂層の上下部に位置する構成要素[A]と構成要素[F]である導電性粒子が接触していないと導電経路が形成されず、導電性向上効果が少なくなる。そのため、本発明の構成要素[F]である導電性粒子は数平均粒径を任意の範囲に調整する必要がある。
しかしながら、一般的に繊維強化複合材料を航空機や自動車などの部材として使用するには、適用部位によりプリプレグ中の構成要素[A]である炭素繊維の目付(単位面積あたりの質量)を目的に応じた目付に調整する必要がある。炭素繊維の目付が変更された場合、得られる繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積含有率を一定にするためには層間樹脂層の厚みが変動するため、本発明の構成要素[F]である導電性粒子の数平均粒径はプリプレグ中の構成要素[A]である炭素繊維の目付に応じて変更する必要がある。よって、本発明では構成要素[F]である導電性粒子の数平均粒径を次式(1)の範囲に調整すると良い。
[(F×0.12)−3]≦Psize≦[(F×0.12)+3]・・・・・・・・・・式(1)
size:構成要素[F]である導電性粒子の1次粒子の数平均粒径(μm)
F:プリプレグ中の構成要素[A]の目付(g/m)。
構成要素[F]の数平均粒径を式(1)の範囲とすることで、プリプレグ中の構成要素[A]である炭素繊維の目付に応じて適切に導電経路を形成することができ、得られる繊維強化複合材料中の炭素繊維の体積含有率を所定の範囲とすることができる。ここで、数平均粒径は構成要素[E]をレーザー顕微鏡(超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9510:(株)キーエンス製)にて200倍以上に拡大して観察を行い、任意の粒子50個以上の粒子について、その粒子の外接する円の直径を粒径として計測後、平均した値が用いられる。
本発明の構成要素[F]である導電性粒子の配合量は、構成要素[B]100質量部に対して0.5〜10質量部の範囲であり、より好ましくは1〜8質量部の範囲であり、さらに好ましくは2〜5質量部の範囲である。導電性粒子の配合量をかかる範囲とすることで得られる繊維強化複合材料の導電性と力学物性のバランスを取ることができる。
本発明で得られる繊維強化複合材料は、前記したように構成要素[F]である導電性粒子を繊維強化複合材料の層間樹脂層に配置することで絶縁層であった層間樹脂層の導電性を改善し、繊維強化複合材料の厚み方向の導電性を向上させる。しかしながら、構成要素[F]の導電性粒子の一部と、層間樹脂層の上下部に位置する炭素繊維束と接触が不十分であったりすると、導電経路が形成されず、導電性向上効果が薄れてしまう可能性がある。また、構成要素[A]からなる束の内部においても、構成要素[A]同士の接触が少ないと導電しにくいため導電性が低下する可能性がある。
そこで、かかる問題を解決するため、本発明の構成要素[G]であるカーボンブラックは配合される。カーボンブラックとは、一般的に一次粒子の状態の数平均粒径が3〜500nmに制御されて製造された炭素主体の微粒子である。かかるカーボンブラックとしては、例えば、ファーネスブラック、中空ファーネスブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどを挙げることができる。
カーボンブラックは、構成要素[B]に分散された場合、通常一次粒子が複数個連結したストラクチャーを形成しており、大きなストラクチャーを形成しやすいカーボンブラックが導電性に優れるとされている。しかしながら、ストラクチャーの大きさが大きすぎると構成要素[A]からなる束の間や、接触不良を起こしている構成要素[A]からなる束と構成要素[F]である導電性粒子の隙間に入り込むことができなくなる。以上の理由により、本発明の構成要素[G]であるカーボンブラックのストラクチャーの大きさは、数平均粒径で100〜500nmの範囲であると良く、好ましくは120〜400nmの範囲であり、より好ましくは130〜300nmの範囲である。カーボンブラックのストラクチャーの大きさをかかる範囲とすることで、構成要素[A]同士および構成要素[A]からなる束と構成要素[F]である導電性粒子が連結して導電経路を形成し、ひいては得られる繊維強化複合材料の厚み方向の導電性を飛躍的に向上することができる。ここで、カーボンブラックのストラクチャーの大きさは、次の方法で得られた値が用いられる。すなわち、構成要素[B]に構成要素[G]を分散させた後、構成要素[C]である硬化剤を配合して、所定の型枠内に注入し、熱風オーブン中で室温から180℃の温度まで1分間に1.5℃ずつ昇温した後、180℃の温度下で2時間保持して2mm厚の樹脂硬化板を得た。得られた硬化板をミクロトームにて薄片加工を行い、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、任意のストラクチャー50個以上について、一番長い箇所の距離を粒径として計測し、平均した値である。
カーボンブラックのストラクチャーの大きさを制御するためには、カーボンブラックの一次粒子の数平均粒径を制御する必要がある。一次粒子の数平均粒径が小さすぎると凝集力が強くなりすぎて分散性が低下し、ストラクチャーの大きさが大きくなる。逆に一次粒子の数平均粒径が大きすぎると凝集力が低下して、ストラクチャーを形成しなくなる傾向にある。以上のことから、カーボンブラックの一次粒子の数平均粒径は10〜50nmの範囲であると良く、好ましくは15〜40nmの範囲であり、より好ましくは20〜30nmの範囲である。カーボンブラックの一次粒子の数平均粒径をかかる範囲にすることで、前記したストラクチャーの大きさに調整することができる。ここで、カーボンブラックの一次粒子の数平均粒径とは、カーボンブラックを電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察を行い、任意の粒子100個について、その粒子の外接する円の直径を粒径として計測後、平均した値が用いられる。
本発明の構成要素[G]であるカーボンブラックの配合量は構成要素[B]100質量部に対して1〜5質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜4質量部の範囲であり、さらに好ましくは2〜3質量部の範囲である。カーボンブラックの配合量をかかる範囲とすることで得られる繊維強化複合材料の導電性と力学物性のバランスを取ることができる。
本発明のプリプレグは、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、マトリックス樹脂をアセトン、メチルエチルケトンおよびメタノールなどから選ばれる有機溶媒に溶解させて低粘度化し、強化繊維に含浸させるウェット法、あるいは、マトリックス樹脂を、有機溶媒を用いずに加熱により低粘度化し、強化繊維に含浸させるホットメルト法などの方法により、プリプレグを製造することができる。
ウェット法では、強化繊維を、マトリックス樹脂を含む液体に浸漬した後に引き上げ、オーブンなどを用いて有機溶媒を蒸発させてプリプレグを得ることができる。
またホットメルト法では、加熱により低粘度化したマトリックス樹脂を、直接、強化繊維に含浸させる方法、あるいは一旦マトリックス樹脂を離型紙などの上にコーティングした樹脂フィルム付きの離型紙シート(以降、「樹脂フィルム」と表すこともある)をまず作製し、次いで強化繊維の両側あるいは片側から樹脂フィルムを強化繊維側に重ね、加熱加圧することにより強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させる方法などを用いることができる。
本発明のプリプレグの製造方法としては、プリプレグ中に残留する有機溶媒が実質的に皆無となるため、有機溶媒を用いずにマトリックス樹脂を強化繊維に含浸させるホットメルト法が好ましい。
本発明のプリプレグをホットメルト法にて作製する方法としては、具体的には次に示す方法が挙げられるが、いずれの方法でも製造することが可能である。すなわち、1つ目の方法は、本発明の構成要素[B]〜[G]からなる樹脂フィルムを構成要素[A]の両側あるいは片側から加熱加圧することにより、単段階でエポキシ樹脂組成物を含浸させる、いわゆる1段含浸ホットメルト法である。2つ目の方法は、エポキシ樹脂組成物を多段階に分けて、構成要素[A]の両側あるいは片側から加熱加圧することにより含浸させる、多段含浸ホットメルト法である。多段含浸ホットメルト法では、マトリックス樹脂を構成要素[A]に含浸させる回数は制限されないが、回数が増えるなるほど製造コストがかかる。そのため、エポキシ樹脂組成物を2段階に分けて、構成要素[A]の両側あるいは片側から加熱加圧することにより含浸させる、いわゆる2段含浸ホットメルト法が好ましく用いられる。2段含浸ホットメルト法の中でも、まず構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなり、実質的に構成要素[E]および[F]を含まない樹脂フィルム1を、構成要素[A]の両側あるいは片側から含浸させプリプレグ前駆体を得た後、構成要素[B]〜[G]からなり、構成要素[E]および[F]を含む樹脂フィルム2を該プリプレグ前駆体の両側あるいは片側に貼付することでプリプレグを得る方法が好ましく用いられる。
1段含浸ホットメルト法を用いた場合は、本発明の構成要素[B]〜[G]からなる樹脂フィルムを構成要素[A]に含浸させる過程において、構成要素[A]が構成要素[E]および[F]の粒子の侵入を遮断することにより、プリプレグの表面に選択的に構成要素[E]および[F]が配置される。しかしながら、構成要素[E]および[F]の粒子をすべて構成要素[A]で遮断することは困難であり、構成要素[D]の一部は、構成要素[A]からなる層に侵入することがある。
一方、2段含浸ホットメルト法を用いた場合は、まず構成要素[E]および[F]を含まない樹脂フィルム1を構成要素[A]に含浸させ得られたプリプレグ前駆体に、構成要素[E]および[F]を含む樹脂フィルム2を貼付することで、プリプレグ表面に構成要素[E]および[F]の粒子を選択的に配置することができる。そのため、2段含浸ホットメルト法により得られたプリプレグは、後述する方法により測定されるプリプレグの平均厚み15%に相当する範囲に存在する構成要素[E]および[F]の量が多くなる。本発明のプリプレグは、構成要素[E]および[F]の粒子が、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み15%に相当する範囲に選択的に配置されることで、高度な耐衝撃性と導電性を両立する繊維強化複合材料を得ることができる。2段含浸ホットメルト法では、プリプレグ表面により多くの構成要素[E]および[F]の粒子を配置できため、好ましい。
本発明で用いられる構成要素[B]〜[G]からなるマトリックス樹脂(以下、エポキシ樹脂組成物と表す)は、様々な公知の方法で製造することができる。例えば、各成分をニーダーにて混練する方法が挙げられる。また、各成分を二軸の押出機を用いて混練してもよい。
本発明のプリプレグを前記した2段含浸ホットメルト法にて製造する場合、1段目に構成要素[A]に含浸させる構成要素構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなり、実質的に構成要素[E]および[F]を含まない1次樹脂と、構成要素[A]に1次樹脂を含浸したプリプレグ前駆体の両側あるいは片側に貼り付ける構成要素[B]〜[G]からなり、実質的に構成要素[E]および[F]を含む2次樹脂が必要となる。
かかる1次樹脂をニーダーにて製造する場合、例えば、先ず構成要素[B]と[D]を130〜160℃の範囲の温度で加熱混合する。ここで、構成要素[D]の固形物が存在しなくなるまで溶解させることが好ましい。次いで、50℃の温度以下まで冷却した後に構成要素[G]を分散させる。ここで、構成要素[G]であるカーボンブラックは凝集体を形成している場合が多く、一度に全ての成分を混練した場合、分散不良となる場合がある。カーボンブラックが形成するストラクチャーの大きさは、前記したように大きすぎると構成要素[A]からなる束の間や、接触不良を起こしている構成要素[A]からなる束と構成要素[F]である導電性粒子の隙間に入り込むことができなくなるため100〜500nmの範囲であると良く、好ましくは120〜400nmの範囲であり、より好ましくは130〜300nmの範囲である。構成要素[G]であるカーボンブラックをかかる粒径の範囲に調整する方法として、構成要素[B]の一部と構成要素[G]にて、予めマスターバッチを製造して使用することができる。構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの配合比は、構成要素[B]100質量部に対し構成要素[G]が5〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量部の範囲である。カーボンブラックの配合量がこの範囲よりも大きくなると、カーボンブラックの分散性が悪くなる場合がある。また、カーボンブラックの配合量がこの範囲よりも小さくなると十分な量のカーボンブラックを配合することができないため導電性を損なう場合がある。
構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの作製方法は、例として、以下のような混練方法が挙げられる。構成要素[B]の一部と構成要素[G]を混合する工程、及び前記溶融工程で得た混合物をオープンタイプのロールミルにより混練する工程を備えることを特徴とする混練方法である。
このような混練方法において、構成要素[B]の一部と構成要素[G]を混合する工程は、二軸押出し混練機、単軸押出し混練機、及び加熱可能な2軸又は単軸のスクリューフィーダーからなる群から選ばれる手段により行うことが出来る。また、ロールミルとしては、連続式2本ロールミル、連続式3本ロールミル、及びバッチ式ロールミルからなる群から選ばれる1種を用いることが出来る。中でも、混練能力の点から3本ロールミルが好ましい。また、マスターバッチ中での構成要素[G]の分散性を高めるために、マスターバッチを3本ロールミルで複数回混練することが好ましい。
本発明の構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの表面抵抗率は1×10Ω以下であることが好ましく、より好ましくは1×10Ω以下であり、さらに好ましくは5×10Ω以下である。構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの表面抵抗率がこの範囲よりも大きくなると、得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する導電性が悪くなる場合がある。
ここで、構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの表面抵抗率は以下の方法で測定することができる。構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチと4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを、マスターバッチに含まれるエポキシ基1つに対し、4,4’−ジアミノジフェニルスルホンの活性水素が0.35〜0.5になるよう混合し、厚みが75μmとなるようガラス板に塗工した後、熱風オーブンにより180℃の温度下で2時間保持して樹脂硬化板を得る。この樹脂硬化板の表面抵抗率をハイレスターUP MCP−HT450(三菱化学アナリテック社製)を用い、印加電圧1000Vで測定する。あるいは同様にして作製した樹脂硬化板の表面抵抗率をロレスターGP MCP−T600(三菱化学アナリテック社製)を用い、印加電圧10Vで測定する。
得られた1次樹脂は、構成要素[A]に含浸させるため、粘度特性が重要となる。得られた1次樹脂の粘度が低すぎた場合、成形時の樹脂フローが多く発生し、樹脂量が少なくなることから力学物性が低下する場合がある。また、得られた1次樹脂の粘度が高すぎた場合、ホットメルト法におけるエポキシ樹脂組成物のフィルム化工程でかすれを生じたり、強化繊維への含浸工程で未含浸部が発生したりする場合がある。これらの問題を発生させないためには、1次樹脂の粘度特性は次の条件(I)をとる必要がある。すなわち、
条件(I):構成要素[B]中のエポキシ基数と構成要素[C]中の活性水素数の比が1:l(0.7≦l≦1.3)の配合量である構成要素[C]、構成要素[B]100質量部に対してm質量部(5≦m≦40)の配合量の構成要素[D]、および構成要素[B]100質量部に対してn質量部(1≦n≦5)の配合量の構成要素[G]を含む、構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなる樹脂組成物の70℃の温度における粘度が10〜500Pa・sとなる、l、m、nが存在すること、である。
ここで、70℃の温度における粘度は、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で、測定温度範囲40〜140℃を昇温速度1.5℃/分で測定した。
1次樹脂の70℃の温度における粘度を条件(I)の範囲とする方法としては、構成要素[B]に含まれる25℃の温度で流動性を示さない固形状エポキシ樹脂と、構成要素[D]であるポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂の配合量を適正な範囲とすることと、樹脂組成物中の構成要素[G]であるカーボンブラックのストラクチャーの大きさを適正な範囲とすることである。特に、構成要素[D]の配合量および構成要素[G]ストラクチャーの大きさは粘度への影響が大きい。よって、前述したように構成要素[D]の配合量は、構成要素[B]100質量部に対し、好ましくは5〜40質量部の範囲であり、より好ましくは10〜35質量部の範囲、さらに好ましくは15〜30質量部の範囲で配合すること、および構成要素[B]中において、構成要素[G]のストラクチャーの大きさを100〜500nmの範囲であると良く、好ましくは120〜400nmの範囲であり、より好ましくは130〜300nmの範囲とすることである。
また、かかる2次樹脂をニーダーにて製造する場合、1次樹脂の時と同様に、構成要素[B]と[D]を130〜160℃の範囲の温度で加熱混合して、構成要素[D]を溶解させた後、50℃の温度以下まで冷却し、構成要素[B]の一部と構成要素[G]にて、予め作製しておいたマスターバッチ、構成要素[E]および[F]を加えて分散させ、最後に構成要素[C]である芳香族アミン化合物を加えて混練する。かかるマスターバッチの好ましい態様は1次樹脂の時と同様である。
得られた2次樹脂は、プリプレグ前駆体の両側あるいは片側に貼付され、構成要素[A]への含浸はないため、1次樹脂ほど粘度特性は重要ではないが、粘度が低いと得られたプリプレグのタック性が強くなり、また、粘度が高いと逆にタック性が低くなり、プリプレグの取扱い性が低下する。そのため、2次樹脂の粘度特性は次の条件(II)をとることが好ましい。すなわち、
条件(II):構成要素[B]中のエポキシ基数と構成要素[C]中の活性水素数の比が1:l(0.7≦l≦1.3)の配合量である構成要素[C]、構成要素[B]100質量部に対してm質量部(5≦m≦40)の配合量の構成要素[D]、構成要素[B]100質量部に対してx質量部(10≦x≦40)の配合量の構成要素[E]、構成要素[B]100質量部に対してy質量部(0.5≦y≦10)の配合量の構成要素[F]および構成要素[B]100質量部に対してn質量部(1≦n≦5)の配合量の構成要素[G]を含む、構成要素[B]〜[G]からなる樹脂組成物の70℃の温度における粘度が100〜500Pa・sとなる、l、m、n、x、yが存在すること、である。
かかる70℃の温度における粘度は、前述と同様に、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で、測定温度範囲40〜140℃を昇温速度1.5℃/分で測定した値である。
得られた1次および2次樹脂における各成分の配合割合は、未硬化の状態であれば、赤外吸収分析(略称:IR)、水素−核磁気共鳴(略称:H−NMR)、炭素−13核磁気共鳴(略称:13C−NMR)、ガスクロマトグラフ−質量分析(略称:GC−MS)、高速液体クロマトグラフィー(略称:HPLC)などの分析方法を組み合わせることにより同定することができる。例えば、エポキシ樹脂組成物を水、アルコール類、アセトニトリル、ジクロロメタン、トリフルオロ酢酸などの単独あるいは混合溶媒に溶解させた後、不純物を濾過し、上澄み液をHPLCで測定し、かつ、濾別されたものをIRで測定するなどの方法を用いることができる。また、上記方法にて樹脂組成物に配合されている成分を同定することができ、得られた分子量やエポキシ基の数といった情報から、配合されているエポキシ樹脂成分のエポキシ当量を算出することもできる。
本発明のプリプレグは、得られたプリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み13%に相当する範囲は、構成要素[B]〜[G]で構成されている。すなわち、プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み13%に相当する範囲に構成要素[A]を含まない。このような構造のプリプレグとすることで、得られる繊維強化複合材料に層間樹脂層を形成することができる。ここで、プリプレグ表面のマトリックス樹脂層の厚みは、次の方法で評価できる。すなわち、本発明で得られたプリプレグを2枚の平滑な支持板の間にはさんで密着させ、長時間かけて徐々に温度を挙げて硬化させる。この時に重要なのは可能な限り低温でゲル化させることである。ゲル化しないうちに温度を上げるとプリプレグ中の樹脂が流動し、正確なマトリックス樹脂層の厚みを評価できないので、ゲル化した後、さらに時間をかけて徐々に温度をかけてプリプレグを硬化させ、繊維強化複合材料とする。得られた繊維強化複合材料の断面を研磨し、落射照明型光学顕微鏡で倍率200倍以上に拡大して写真を撮る。この断面写真を用い、まずプリプレグの平均厚みを求める。プリプレグの平均厚みは写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所で測り、その平均をとる。次いで、繊維強化複合材料表面に形成されているマトリックス樹脂層の厚みを求める。マトリックス樹脂層の厚みも写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所で測り、その平均をとる。得られたプリプレグの平均厚みとマトリックス樹脂層の平均厚みから比率を算出することができる。
また、本発明のプリプレグは構成要素[E]および[F]それぞれの85質量%以上が、得られたプリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み15%に相当する範囲に存在することが好ましい。すなわち、構成要素[E]および[F]がプリプレグの表面に局在化していることが好ましい。このような構造のプリプレグとすることで、得られる繊維強化複合材料に構成要素[E]および[F]を選択的に配置した層間樹脂層を形成することが可能となり、高度な耐衝撃性と導電性を有する繊維強化複合材料を得ることができる。なお、プリプレグ中の粒子の局在化の程度は次の方法で評価できる。すなわち、上述した方法にて繊維強化複合材料を得た後、断面を研磨し、落射照明型光学顕微鏡で倍率200倍以上に拡大して写真を撮る。この断面写真を用い、まずプリプレグの平均厚みを求める。プリプレグの平均厚みは写真上で任意に選んだ少なくとも5ヶ所で測り、その平均をとる。次に両方の支持板に接していた面からプリプレグの厚みの15%の位置にプリプレグの最表面と平行に線を引く。支持板に接していた面と15%の平行線の間に存在する各粒子の断面積の総和をプリプレグの両面について定量する。また、プリプレグ総厚みに渡って存在する構成要素[E]および[F]それぞれの粒子の断面積の総和についても定量する。プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み15%に相当する範囲に存在する各粒子の断面積の総和とプリプレグ総厚みに渡って存在する粒子の断面積の総和に対する比をプリプレグ表面からプリプレグの平均厚みの15%以内に存在する粒子量とする。粒子断面積の定量はイメージアナライザーによってもよいし、断面写真から所定の領域に存在する粒子部分をすべて切り取りその重量を秤ることによってもよい。粒子の部分的な分布のばらつきの影響を排除するため、この評価は得られた写真の幅全域に渡って行い、かつ、任意に選んだ5ヶ所以上の写真について同様の評価を行い、その平均をとる必要がある。粒子とマトリックス樹脂との見分けがつきにくい時は、一方を選択的に染色して観察する。顕微鏡は光学顕微鏡でも走査型電子顕微鏡でも良く、粒子の大きさや染色方法によって使い分けると良い。なお、本発明においては、上記のように面積比によって計算した比率を、プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み15%に相当する範囲に存在する微粒子の質量比と定義している。
なお、得られた繊維強化複合材料の断面観察を落射照明型光学顕微鏡で倍率200倍以上に拡大して写真を撮り、構成要素[E]および[F]それぞれの粒子について、直径を計測することで、構成要素[E]および[F]それぞれの数平均粒径を得ることができる。具体的には構成要素[E]および[F]それぞれの粒子について任意の粒子100個の粒径を計測後、平均した値を数平均粒径が用いられる。
構成要素[E]および[F]の数平均粒径の好ましい範囲は、前記したそれぞれの好ましい数平均粒径の範囲と同じである。
また、得られた繊維強化複合材料をミクロトームや集束イオンビーム(FIB)装置にて薄片加工を行い、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、構成要素[G]の1次粒子の直径を計測することで、構成要素[G]の数平均粒径を得ることができる。具体的には構成要素[G]の1次粒子50個以上の粒径を計測後、平均した値を数平均粒径として用いることができる。
ここで得られる構成要素[G]の1次粒子の数平均粒径の好ましい範囲は、前述した数平均粒径と同じである。
さらに、本発明のプリプレグは、構成要素[A]である炭素繊維の体積含有率(以下、Vfと表す)が50〜65体積%の範囲であることが好ましく、より好ましくは53〜62体積%の範囲であり、さらに好ましくは55〜60体積%の範囲である。Vfをかかる範囲とすることで得られる繊維強化複合材料の重量が増えるのを防ぎ、かつ、繊維強化複合材料内部に未含浸部分やボイドといった欠陥の発生を抑え力学物性の優れた繊維強化複合材料を得ることができる。ここで、プリプレグのVfは次の方法で求めた値である、すなわち、本発明で得られたプリプレグから100×100mmの試験片を切り出し、マイクロメーターにより厚みを測定して体積を算出する。次いでJIS K7071(1988)に記載のある「単位面積当たりプリプレグ質量、単位面積当たり炭素繊維質量、樹脂質量含有率および繊維質量含有率」の試験方法に従い、単位面積当たり炭素繊維質量を測定し、炭素繊維メーカーから提示されている密度を使用して体積を算出し、試験片の体積で割返すことで算出した値が用いられる。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のプリプレグを硬化させることにより得ることができる。プリプレグを用いて繊維強化複合材料を成形する場合、様々な公知の方法を用いることができる。例えば、得られたプリプレグを所定の大きさに切断し、それを単独で、または所定枚数のプリプレグを積層後、圧力を付与しながら加熱硬化させる方法などを好ましく用いることができる。
プリプレグの積層体に圧力を付与しながら加熱硬化させる方法には、プレス成形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッピングテープ法、および内圧成形法などがあり、使用用途により適宜使い分ける。中でも、航空機、宇宙機用途の場合、優れた性能と安定した品質の繊維強化複合材料が得られることから、しばしばオートクレーブ成形法が適用される。
繊維強化複合材料を成形する温度としては、エポキシ樹脂組成物に含まれる硬化剤の種類により、適宜、調整する必要があり、本発明の場合、硬化剤として構成要素[C]である芳香族アミン化合物を使用していることから、通常、150〜220℃の範囲の温度で成形が行われる。かかる成形温度が低すぎると、十分な速硬化性が得られない場合があり、逆に高すぎると、熱歪みによる反りが発生しやすくなったりする場合がある。
繊維強化複合材料をオートクレーブ成形法で成形する圧力としては、プリプレグの厚みや炭素繊維の体積含有率などにより異なるが、通常、0.1〜1MPaの範囲の圧力である。成形圧力をかかる範囲とすることで、得られる繊維強化複合材料中にボイドの様な欠点がなく、反りなどの寸法変動のない繊維強化複合材料を得ることができる。
本発明で得られる繊維強化複合材料は、構成要素[E]である熱可塑性樹脂を主成分とする粒子、構成要素[F]である導電性粒子および構成要素[G]であるカーボンブラックをそれぞれ前述したように配合されており、高度な耐衝撃性と導電性を有することが特徴である。
かかる耐衝撃性は衝撃後圧縮強度(以下、CAIと表す)にて測定することが可能である、本発明の繊維強化複合材料のCAIはJIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.7Jの衝撃エネルギーを付与した後のCAIが280MPa以上であることが好ましく、より好ましくは300MPa以上であり、さらに好ましくは310MPa以上である。CAIがかかる範囲より低い場合は強度不足である場合があり、特に航空機等の構造部材には用いることが出来なくなる。CAIの上限値については特に制限はなく、数値が高いほど繊維強化複合材料を構造部材として適用した場合の安全性が高まる。
かかる導電性は次の方法で測定することができる。すなわち、本発明で得られた一方向プリプレグを炭素繊維の長手方向を0°として、[+45°/0°/−45°/90°]を基本として2回繰り返したものを対称に積層し、オートクレーブにて加熱、加圧して得られた繊維強化複合材のパネルから縦50mm×横50mmの寸法で切り出し、両表面の樹脂層を研磨により完全に除去した後、両面に導電性ペーストを塗布してサンプル片を作製する。得られたサンプル片を、アドバンテスト(株)製R6581デジタルマルチメーターを用いて、四端子法で積層方向の抵抗を測定して求めた体積固有抵抗を厚み方向の導電性とする方法である。尚、導電性ペーストとしては、例えば“ドータイト(登録商標)”D−550、FN−101、D−500、D−362、XA−9015、FE−107、XC−12、XC−32、SH−3A、XA−436、FA−545、XA−824、FC−403R、XC−223、FA−501、FA−333、FA−353N、XA−602N、XA−472、FC−415、XB−101G、SN−8800G、XB−114、XB−107、XB−110、FH−889、FEL−190、FEL−615、FEC−198、FEA−685、XB−101G(藤倉化成(株)製);N−2057、N−2057A(昭栄化学工業(株)製);CA−6178、CA−6178B、CA−6178T、CA−2500E、CA−BE04(大研化学工業(株)製);SP、SD、ST、SF、SL、SI、NPS−J、NPS、NPS−J−HTB、NPS−HTB、NPG−J(ハリマ化成(株)製);“MDot(登録商標)”−SLP、“CUX(登録商標)”−Rシリーズ(三ツ星ベルト(株)製)などを用いることができる。本発明の繊維強化複合材料の厚み方向の導電性の指標である体積固有抵抗は10Ωcm以下であることが好ましく、より好ましくは7Ωcm以下であり、さらに好ましくは5Ωcm以下である。体積固有抵抗をかかる範囲以下とすることで、繊維強化複合材料を部材として用いた場合に落雷や静電気散逸などの電気的ダメージを抑制することができ、特に航空機用途の場合、落雷への対策として部材表面に設けられている金属メッシュなどを減らすことができることから軽量化にも効果がある。ここで、繊維強化複合材料の厚み方向とは、その製造に用いられる本発明のプリプレグが積層される方向を意味する。
本発明のプリプレグから得られる繊維強化複合材料は、強度、剛性、耐衝撃性および導電性等に優れていることから航空機の胴体、主翼、尾翼およびフロアビーム等の一次構造部材やフラップ、エルロン、カウル、フェアリングおよび内装材等の二次構造部材、ロケットモーターケースおよび人工衛星構造材といった、航空・宇宙用途や自動車、船舶および鉄道車両等の移動体の構造材、建築材、風車の羽根、ICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途など幅広い用途に好適に用いることができる。
以下、実施例によって、本発明のプリプレグおよび炭素繊維複合材料について、さらに具体的に説明する。なお、組成比の単位「部」は、特に注釈のない限り質量部を意味する。また、各種特性(物性)の測定は、特に注釈のない限り温度23℃、相対湿度50%の環境下で行った。
<実施例で用いられた材料>
(1)構成要素[A]:炭素繊維
・“トレカ(登録商標)” T800S−24K−10E(繊維数24000本、繊度:1,033tex、引張弾性率:294GPa、密度1.8g/cm、東レ(株)製)。
(2)構成要素[B]:1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂
・“アラルダイト(登録商標)”MY721(成分:テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ハンツマン・ジャパン製)
・“アラルダイト(登録商標)”GY282(成分:ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ハンツマン・ジャパン製)
・GAN(成分:N,N−ジグリシジルアニリン、日本化薬工業(株)製)。
(3)構成要素[C]:芳香族アミン化合物
・“セイカキュア(登録商標)”S(4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、セイカ(株)製)。
(4)構成要素[D]:ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂
・“VIRANTAGE(商標登録)”VW−10700RFP(成分;末端水酸基ポリエーテルスルホン、ソルベイ・スペシャリティ・ポリマーズ製)。
(5)構成要素[E]:熱可塑性樹脂を主成分とする粒子
・ナイロン12粒子SP−10(成分:ナイロン12、数平均粒径:10μm、形状:球状、東レ(株)製)
・下記の製造方法で得られたエポキシ改質ナイロン粒子A(数平均粒径:13μm)
透明ポリアミド(“グリルアミド(登録商標)”TR55、エムスケミー・ジャパン(株)製)90部、エポキシ樹脂(“jER(登録商標)”828、三菱化学(株)社製)7.5部および硬化剤(“トーマイド(登録商標)”#296、(株)ティーアンドケイ東華製)2.5部を、クロロホルム300部とメタノール100部の混合溶媒中に添加して均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用い、撹拌している3000部のn−ヘキサンの液面に向かって霧状に吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、球状のエポキシ改質ナイロン粒子Aを得た。得られたエポキシ改質ナイロン粒子Aをプレス成形して樹脂板とした後、ASTM D 5045−96に従い、コンパクトテンション法によるGIc値を測定した結果、4420J/mであった。
なお、各材料の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(1)構成要素[E]および[F]それぞれ単独での粒径測定」に従って測定したものである。
また、組成物中の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(7)プリプレグ中の構成要素[E]および[F]それぞれ単独の粒径測定」に従って測定することができる。
(6)構成要素[F]:導電性粒子
・フェノール樹脂の粒子(マリリンHFタイプ、群栄化学工業(株)製)を2000℃で焼成し、分級した導電性粒子B(成分:カーボン、数平均粒径:33μm)
・“グラッシーカーボン(登録商標)”(成分:カーボン、数平均粒径:26μm、東海カーボン(株)製)
・フェノール樹脂の粒子(マリリンHFタイプ、群栄化学工業(株)製)を2000℃で焼成し、分級した導電性粒子C(成分:カーボン、数平均粒径:23μm)
・“ミクロパール(登録商標)”AU215(成分:ジビニルベンゼンポリマー粒子にニッケルをメッキし、さらにその上に金をメッキした粒子、数平均粒径:16μm、積水化学(株)製)
・フェノール樹脂の粒子(マリリンHFタイプ、群栄化学工業(株)製)を2000℃で焼成し、分級した導電性粒子D(成分:カーボン、数平均粒径:16μm)。
なお、各材料の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(1)構成要素[E]および[F]それぞれ単独での粒径測定」に従って測定したものである。
また、組成物中の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(7)プリプレグ中の構成要素[E]および[F]それぞれ単独の粒径測定」に従って測定することができる。
(7)構成要素[G]:カーボンブラック
・“Printex(登録商標)”L(成分:ファーネスブラック、1次粒子の数平均粒径23nm、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)
・“ENSACO(登録商標)”250G(成分:中空ファーネスブラック、1次粒子の数平均粒径25nm、ティムカル・グラファイト・アンド・カーボン社製)
・“三菱(登録商標)”導電性カーボンブラック#3230B(成分:ファーネスブラック、1次粒子の数平均粒径23nm、三菱化学(株)製)
・“Special Black(登録商標)”550(成分:ファーネスブラック、1次粒子の数平均粒径25nm、オリオン・エンジニアドカーボンズ社製)。
なお、各材料の1次粒子の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(2)構成要素[G]の1次粒子の粒径測定」に従って測定したものである。
また、組成物中の数平均粒径は、後述する各種評価方法の「(8)プリプレグ中の構成要素[G]の1次粒子の平均粒径の測定」に従って測定することができる。
<各種評価方法>
(1)構成要素[E]および[F]それぞれ単独の粒径測定
構成要素[E]および[F]それぞれについて、レーザー顕微鏡(超深度カラー3D形状測定顕微鏡VK−9510:(株)キーエンス製)にて200倍以上に拡大して観察を行い、任意の粒子60個の粒子について、その粒子の外接する円の直径を粒径として計測後、平均した値を構成要素[E]および[F]それぞれの数平均粒径とした。
(2)構成要素[G]の1次粒子の粒径測定
構成要素[G]であるカーボンブラックを電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)にて観察を行い、任意の粒子60個について、その粒子の外接する円の直径を粒径として計測後、平均した値を構成要素[G]の1次粒子の数平均粒径とした。
(3)構成要素[B]中の構成要素[G]であるカーボンブラックストラクチャーサイズの測定
各実施例および比較例で得られた構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなるエポキシ樹脂組成物(1次樹脂)を型枠内に注入し、熱風オーブン中で室温から180℃の温度まで1分間に1.5℃ずつ昇温した後、180℃の温度下で2時間保持して2mm厚の樹脂硬化板を作製した。得られた硬化板をミクロトームにて薄片加工を行い、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、任意の粒子60個について、一番長い箇所の距離を粒径として計測後、平均した値を構成要素[B]中の構成要素[G]であるカーボンブラックストラクチャーサイズとした。
(4)エポキシ樹脂組成物の粘度測定
各実施例および比較例で得られた構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなるエポキシ樹脂組成物(1次樹脂)の粘度は、動的粘弾性装置ARES−2KFRTN1−FCO−STD(ティー・エイ・インスツルメント社製)を用い、上下部測定冶具に直径40mmの平板のパラレルプレートを用い、上部と下部の冶具間距離が1mmとなるように該エポキシ樹脂組成物をセット後、ねじりモード(測定周波数:0.5Hz)で、測定温度範囲40〜150℃を昇温速度1.5℃/分で測定した。
(5)プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの13%に相当する範囲の構成要素の評価
各実施例および比較例で得られたプリプレグを、2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に150℃迄温度を上昇させてゲル化および硬化させて板状の硬化物を作製した。硬化後、密着面と垂直な方向(厚み方向)に切断し、断面を研磨後、落射照明型光学顕微鏡で200倍以上に拡大し、プリプレグの上下面が視野内に納まるようにして写真撮影した。断面写真の横方向の5ヵ所でポリ四フッ化エチレン樹脂板間の間隔を測定し、その平均値をプリプレグの平均厚みとした。
また、この写真より、プリプレグの表面からプリプレグの平均厚みの13%に相当する範囲において、構成要素[A]である炭素繊維の有無を確認した。
(6)プリプレグの平均厚みの15%の深さの範囲に存在する構成要素[E]および[F]である各粒子の存在率評価
各実施例および比較例で得られたプリプレグを、前記(5)の手法によりプリプレグの平均厚みを測定した。このプリプレグ硬化物の写真に、プリプレグ硬化物の両表面から、プリプレグの平均厚みの15%の深さの位置に、プリプレグの表面と平行な線を2本引き、プリプレグの表面と該平行線の間に存在する構成要素[E]および[F]の各粒子について合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する全粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から15%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算した。ここで、各粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を切り抜き、その重量から換算して求めた。
(7)プリプレグ中の構成要素[E]および[F]それぞれ単独の粒径測定
各実施例および比較例で得られたプリプレグを、前記(5)の手法にて硬化したプリプレグの断面を落射照明型光学顕微鏡で200倍以上に拡大し、数カ所について写真撮影した。次いで、得られた断面写真から構成要素[E]および[F]それぞれの粒子について60個の粒径を計測後、平均した値を構成要素[E]および[F]それぞれの数平均粒径とした。
(8)プリプレグ中の構成要素[G]の1次粒子の平均粒径の測定
実施例および比較例で得られたプリプレグを、前記(5)の手法にて硬化したプリプレグを集束イオンビーム(FIB)装置にて薄片加工を行い、透過型電子顕微鏡(TEM)にて観察し、任意の粒子60個の粒径を計測後、平均した値を数平均粒径とした。
(9)プリプレグ中の炭素繊維の体積含有率(Vf)測定
先ず、JIS K7071(1988)に記載のある「単位面積当たりプリプレグ質量、単位面積当たり炭素繊維質量、樹脂質量含有率および繊維質量含有率」の試験方法に従い、単位面積当たり炭素繊維質量を測定する。具体的には各実施例および比較例で得られたプリプレグから100×100mmの試験片を切り出し、任意の5点の厚みを測定して平均値を平均厚みとし、体積を計算する。次いで、23℃の温度において、試験片をビーカーに入れて約200mlのメチルエチルケトン(MEK)を入れ、15分間超音波照射を行い攪拌する。予め質量を測定したガラスフィルタを用いて上澄み液をろ過した後、構成要素[A]である炭素繊維が残っているビーカーにMEKを入れ、前記操作を3回繰り返し行う。3回目の操作終了後、炭素繊維もガラスフィルタに移し、吸引濾過する。ろ過後、炭素繊維をガラスフィルタごと、105℃の温度で90分間、乾燥機中で乾燥し、デシケーター中で45分間以上冷却した後、炭素繊維が入ったままのガラスフィルタの質量を測定し、予め測定していたガラスフィルタの質量を差し引いた値を炭素繊維の質量とする。炭素繊維メーカーから提示されている炭素繊維の密度を使用し、測定で得られた炭素繊維質量から体積を算出する。得られた炭素繊維の体積を、初めに算出した試験片の体積で割返すことでVfを算出した。測定は3回行い、平均値をプリプレグのVf(体積%)とした。
(10)繊維強化複合材料の導電性測定方法
各実施例および比較例で得られたプリプレグに含まれる炭素繊維の長手方向を0°とし、[+45°/0°/−45°/90°]を基本として2回繰り返したものを対称に積層し、合計16plyの疑似等方予備積層体とする。得られた予備積層体をオートクレーブにセットし、0.6MPaの圧力で、室温から180℃の温度まで1分間に1.7℃ずつ昇温し、180℃の温度下で2時間かけて硬化して繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から、縦40mm×横40mmのサンプルを切り出し、両表面の樹脂層を研磨除去後、両面に導電性ペーストN−2057(昭栄化学工業(株)製)を、バーコーターを用いて約70μmの厚さで塗布し、180℃の温度に調整した熱風オーブン中にて、30分かけて硬化させ、導電性評価用のサンプル得た。得られたサンプルの厚さ方向の抵抗を、アドバンテスト(株)製R6581デジタルマルチメーターを用いて四端子法により測定した。測定は6回行い、平均値を繊維複合材料の体積固有抵抗(Ωcm)とした。
(11)繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度(CAI)測定方法
各実施例および比較例で得られたプリプレグに含まれる炭素繊維の長手方向を0°とし、[+45°/0°/−45°/90°]を基本として3回繰り返したものを対称に積層し、合計24plyの疑似等方予備積層体とする。得られた予備積層体をオートクレーブにセットし、0.6MPaの圧力で、室温から180℃の温度まで1分間に1.7℃ずつ昇温し、180℃の温度下で2時間かけて硬化して繊維強化複合材料を得た。得られた繊維強化複合材料から、縦150mm×横100mmの矩形試験片を切り出し、試験片の中心にJIS K 7089(1996)に従って試験片の厚さ1mmあたり6.7Jの落錘衝撃を与えた後、JIS K 7089(1996)に従い残存圧縮強度を測定した。測定は6回行い、平均値を衝撃後圧縮強度(CAI)(MPa)とした。
<実施例1>
次の手法にて、プリプレグを作製した。
(カーボンブラックマスターバッチの調合)
構成要素[B]に該当するエポキシ樹脂である“アラルダイト(登録商標)”GY282を80部に対し、構成要素[G]に該当するカーボンブラックである“Printex(登録商標)”Lを20部加えて軽く攪拌した後、3本ロールに6回通してカーボンブラックを分散させてカーボンブラックマスターバッチとした。該操作は室温環境下にて行った。
(1次樹脂の調合)
混練装置中に、表1−1に記載の構成要素[B](内、前記したカーボンブラックマスターバッチに含まれる分を除く)および構成要素[D]を投入し、160℃の温度まで昇温させ、160℃の温度で1時間加熱混練を行い、構成要素[D]成分を溶解させた。次いで60〜80℃の温度以下まで冷却して、予め準備したカーボンブラックマスターバッチ8部(内、カーボンブラック成分が1.6部)を加えて1時間攪拌した。
次いで、混錬を続けたまま55〜65℃の温度まで降温させ、表1−1に記載の構成要素[C]を加えて30分間撹拌し、エポキシ樹脂組成物の1次樹脂を得た。
得られた樹脂組成物について、前記した各種評価方法の「(3)構成要素[B]中の構成要素[G]であるカーボンブラックストラクチャーサイズの測定」に従い、構成要素[B]中の構成要素[G]であるカーボンブラックストラクチャーサイズを測定したところ180nmであった。
また、前記した各種評価方法の「(4)エポキシ樹脂組成物の粘度測定」に従って、粘度測定を行った結果、70℃の温度における粘度が31Pa・sであり、本発明の条件(I)を満たすものであった。
(2次樹脂の調合)
混練装置中に、表1−1に記載の構成要素[B](内、前記したカーボンブラックマスターバッチに含まれる分を除く)および構成要素[D]を投入し、160℃の温度まで昇温させ、160℃の温度で1時間加熱混練を行い、構成要素[D]成分を溶解させた。次いで60〜80℃の温度以下まで冷却して、予め準備したカーボンブラックマスターバッチ8部(内、カーボンブラック成分が1.6部)を加えて1時間攪拌した。次いで、表1−1に記載の構成要素[E]を加えて30分間攪拌した後、表1−1に記載の構成要素[F]を加えて30分間攪拌した。混錬を続けたまま55〜65℃の温度まで降温させ、表1−1に記載している構成要素[C]を加えて30分間撹拌し、エポキシ樹脂組成物の2次樹脂を得た。
(プリプレグの作製)
前記にて得られた1次樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、樹脂目付が36.5g/mの樹脂フィルム1を2枚作製した。同様に前記にて得られた2次樹脂を離型紙上に塗布して、樹脂目付が29g/mの樹脂フィルム2を2枚作製した。
次に、繊維目付が268g/mのシート状となるように一方向に配列させた構成要素[A]である炭素繊維に、得られた樹脂フィルム1を2枚、炭素繊維の両面から重ね、温度130℃、最大圧力1MPaの条件で加熱加圧してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、プリプレグ前駆体を得た。
得られたプリプレグ前駆体に、樹脂フィルム2を2枚プリプレグ前駆体の両面から重ね、温度130℃、最大圧力1MPaの条件で加熱加圧してプリプレグを得た。
得られたプリプレグを前記した各種評価方法の「(9)プリプレグ中の炭素繊維の体積含有率(Vf)測定」に従い、Vfを測定した結果、57体積%であり、構造用部材に適したものであった。
得られたプリプレグ中に占める構成要素[B]〜[G]の構成は次の通りである。
・構成要素[B];
“アラルダイト(登録商標)”MY721:55部、
“アラルダイト(登録商標)”GY282:10部、
GAN:35部、
・構成要素[C];
“セイカキュア(登録商標)”:42部、
・構成要素[D];
“VIRANTAGE(商標登録)”VW−10700RFP:20部、
・構成要素[E];
ナイロン12粒子SP−10:27部、
・構成要素[F];
導電性粒子B:1.7部、
・構成要素[G];
“Printex(登録商標)”L:1.6部
なお、構成要素[C]の配合量は、構成要素[B]に含まれるエポキシ基1つに対し、構成要素[C]に含まれる活性水素が0.9となる量である。
(プリプレグ特性の評価)
得られたプリプレグについて、プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの13%に相当する範囲の構成要素の評価を前記した各種評価方法の「(5)プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの13%に相当する範囲の構成要素の評価」に従い行った結果、構成要素[A]を含まなかった。また、プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの15%の深さの範囲に存在する構成要素[E]および[F]である各粒子の存在率を前記した各種評価方法の「(6)プリプレグの平均厚みの15%の深さの範囲に存在する構成要素[E]および[F]である各粒子の存在率評価に従い行った結果、構成要素[E]は構成要素[E]の全量に対し、95質量%であり、構成要素[F]は構成要素[F]の全量に対し、99質量%であった。
(繊維強化複合材料特性の評価)
得られたプリプレグを用い、前記した各種評価方法の「(10)繊維強化複合材料の導電性測定方法」および「(11)繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度(CAI)測定方法」に従い、繊維強化複合材料を作製して得られたパネルの厚み方向に対する導電性およびCAI測定を行った結果、厚み方向に対する体積固有抵抗値は6.7Ωcmと低く、CAIは315MPaと高い値であった。
<実施例2〜38>
表1−1〜1−9に示すように組成を変更した以外は実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物である1次樹脂、2次樹脂を作製し、2段含浸ホットメルト法にてプリプレグを得た後、繊維強化複合材料を作製して各種測定を行った。
また、実施例10、11、23、24および29は構成要素[A]の目付を194g/mに、実施例12、13、25、26および30は構成要素[A]の目付を134g/mに変更した。
各種測定の結果は表1−1〜1−9に示す通りであり、実施例2〜38のように材料や配合比を所定の範囲内で変動させても樹脂特性、プリプレグ特性に問題はなく、優れた導電性と耐衝撃性を有する繊維強化複合材料が得られた。
また、実施例10−13、23−26、29、30のように構成要素[A]の目付を変動させても、得られた繊維強化複合材料は優れた導電性を示した。
実施例37、38のように、混練時間を制御して構成要素[B]中における構成要素[G]のストラクチャーサイズを変えても、得られた繊維強化複合材料は優れた導電性と耐衝撃性を示した。
<比較例1〜11>
表2−1〜2−3に示すように組成を変更した以外は実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物である1次樹脂、2次樹脂を作製し、2段含浸ホットメルト法にてプリプレグを得た後、繊維強化複合材料を作製して各種測定を行った。
なお、比較例1および2では、構成要素[G]であるカーボンブラックを配合しないため、カーボンブラックマスターバッチは作製せず、カーボンブラックストラクチャーの粒度分布測定も行わなかった。
また、比較例3および4は、実施例31と同じカーボンブラックマスターバッチを用いた。
さらに、比較例6〜7は実施例10〜13と同様に構成要素[A]の目付を194g/mおよび134g/mに変更した。
実施例1と比較例1を比べると、比較例1は繊維強化複合材料の厚み方向の導電性に寄与する構成要素[F]および[G]が配合されていないため、得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が高いことが分かる。
比較例2および3は構成要素[F]および[G]のどちらか1つしか配合していないため、比較例1に比べて、得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が小さくなっているが不十分であり、実施例2および5と対比させると構成要素[F]および[G]をいずれも配合することで導電性が向上していることが分かる。
比較例4は構成要素[E]が未配合であるため、実施例3と比べて、得られた繊維強化複合材料のCAIが低いことが分かる。
比較例5〜7は構成要素[F]の粒径が本発明で規定している範囲から外れた材料を使用しているため、例えば、実施例3、11、13と対比させると導電性に劣っていることが分かる。
比較例10および11は構成要素[G]であるカーボンブラックの構成要素[B]中でのストラクチャーサイズが本発明で規定した範囲を外れているため、ストラクチャーサイズが小さい場合は得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が高く、ストラクチャーサイズが大きい場合は1次樹脂の粘度が高くなり、構成要素[A]への含浸性が悪くなるため、得られる繊維強化複合材料のCAIが低くなることが分かる。
<比較例12>
表2−3に示すように、比較例5と同様の1次樹脂を用い、次の1段含浸ホットメルト法にてプリプレグを作製した。
(プリプレグの作製)
比較例5で得られた1次樹脂を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して、樹脂目付が65.5g/mの樹脂フィルム1を2枚作製した。
次に、繊維目付が268g/mのシート状となるように一方向に配列させた構成要素[A]である炭素繊維に、得られた樹脂フィルム1を2枚、炭素繊維の両面から重ね、温度130℃、最大圧力1MPaの条件で加熱加圧してエポキシ樹脂組成物を含浸させ、Vfが52体積%のプリプレグを得た。
(プリプレグ特性の評価)
得られたプリプレグについて、実施例1と同様に評価した結果、プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの13%に相当する範囲に構成要素[A]を含んでいた。また、プリプレグ表面からプリプレグ平均厚みの15%の深さの範囲に存在する構成要素[E]および[F]は未配合のため0質量%であった。
(繊維強化複合材料特性の評価)
比較例1と同様に繊維強化複合材料を作製して得られたパネルの厚み方向に対する導電性およびCAI測定を行った結果、厚み方向に対する体積固有抵抗値は1300Ωcmと高く、CAIは152MPaと低かった。
<比較例13〜23>
表2−4〜2−6に示すように組成を変更した以外は実施例14と同様にエポキシ樹脂組成物である1次樹脂、2次樹脂を作製し、2段含浸ホットメルト法にてプリプレグを得た後、繊維強化複合材料を作製して各種測定を行った。
なお、比較例13および14では、構成要素[G]であるカーボンブラックを配合しないため、カーボンブラックマスターバッチは作製せず、カーボンブラックストラクチャーの粒度分布測定も行わなかった。
また、比較例15および16は、実施例31と同じカーボンブラックマスターバッチを用いた。
さらに、比較例18、19は実施例23〜26、29、30と同様に構成要素[A]の目付を194g/mおよび134g/mに変更した。
実施例14と比較例13を比べると、比較例13は繊維強化複合材料の厚み方向の導電性に寄与する構成要素[F]および[G]が配合されていないため、得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が高いことが分かる。
比較例14および15は構成要素[F]および[G]のどちらか1つしか配合していないため、比較例13に比べて、得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が小さくなっているが不十分であり、実施例15および17と対比させると構成要素[F]および[G]をいずれも配合することで導電性が向上していることが分かる。
比較例16は構成要素[E]が未配合であるため、実施例16と比べて、得られた繊維強化複合材料のCAIが低いことが分かる。
比較例17〜19は構成要素[F]の粒径が本発明で規定している範囲から外れた材料を使用しているため、例えば、実施例16、24、26と対比させると導電性に劣っていることが分かる。
比較例20および21は構成要素[G]であるカーボンブラックの構成要素[B]中でのストラクチャーサイズが本発明で規定した範囲を外れているため、ストラクチャーサイズが小さい場合は得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が高く、ストラクチャーサイズが大きい場合は1次樹脂の粘度が高くなり、構成要素[A]への含浸性が悪くなるため、得られる繊維強化複合材料のCAIが低くなることが分かる。
比較例22は構成要素[G]であるカーボンブラックの配合量が本発明で規定している範囲よりも多いため、カーボンブラックの分散性が低下し、構成要素[B]中でのストラクチャーサイズが大きくなり、得られる複合材料のCAIが低くなる。
比較例23は構成要素[G]であるカーボンブラックの配合量が本発明で規定している範囲よりも少ないため、繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗値が高くなる。
<比較例24>
表2−6に示すように、比較例5と同様の1次樹脂を用い、比較例12と同様の1段含浸ホットメルト法にてプリプレグを作製した。
比較例1と同様に繊維強化複合材料を作製して得られたパネルの厚み方向に対する導電性およびCAI測定を行った結果、厚み方向に対する体積固有抵抗値は1300Ωcmと高く、CAIは152MPaと低かった。
<比較例25>
表2−7に示すように組成を変更した以外は実施例1と同様にエポキシ樹脂組成物である1次樹脂、2次樹脂を作製し、2段含浸ホットメルト法にてプリプレグを得た後、繊維強化複合材料を作製して各種測定を行った。
比較例25は、実施例1−21に比べてCAIは低下し、体積固有抵抗も大きくなっている。これは、構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチの配合比において構成要素[G]の比率が高くなると、構成要素[G]を構成要素[B]中で分散させることが難しくなり、マスターバッチの粘度は増加し、また、構成要素[G]のストラクチャーサイズも大きくなった。その結果、構成要素[A]への含浸性が悪くなるため、得られる繊維強化複合材料のCAI、導電性が低くなったと考えられる。
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Claims (13)

  1. 下記構成要素[A]〜[G]を含むプリプレグであって、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚み13%に相当する範囲は構成要素[B]〜[G]で構成され、構成要素[E]および[F]それぞれの85質量%以上が、該プリプレグの表面から該プリプレグの平均厚みの15%に相当する範囲に存在しており、かつ、構成要素[B]〜[D]および[G]が下記条件(I)を満たすプリプレグ。
    [A]:炭素繊維
    [B]:1分子中に2個以上のグリシジル基を有するエポキシ樹脂
    [C]:芳香族アミン化合物
    [D]:ポリアリールエーテル骨格で構成される熱可塑性樹脂
    [E]:1次粒子の数平均粒径が5〜50μmである、熱可塑性樹脂を主成分とする粒子
    [F]:1次粒子の数平均粒径が次式(1)の範囲である導電性粒子
    [(F×0.12)−3]≦Psize≦[(F×0.12)+3]・・・・・・・・・・式(1)
    size:構成要素[F]である導電性粒子の1次粒子の数平均粒径(μm)
    F:プリプレグ中の構成要素[A]の目付(g/m
    [G]:1次粒子の数平均粒径が10〜50nmであり、構成要素[B]中において、1次粒子が複数個結合したストラクチャーの大きさが100〜500nmであるカーボンブラック
    条件(I):構成要素[B]中のエポキシ基数と構成要素[C]中の活性水素数の比が1:l(0.7≦l≦1.3)の配合量である構成要素[C]、構成要素[B]100質量部に対してm質量部(5≦m≦40)の配合量の構成要素[D]、および構成要素[B]100質量部に対してn質量部(1≦n≦5)の配合量の構成要素[G]を含む、構成要素[B]、[C]、[D]および[G]からなる樹脂組成物の70℃の温度における粘度が10〜500Pa・sとなる、l、m、nが存在すること
  2. 構成要素[G]を、構成要素[B]100質量部に対して1〜5質量部含む、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 構成要素[F]がカーボン粒子である、請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. 構成要素[F]を、構成要素[B]100質量部に対して0.5〜10質量部含む、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. 構成要素[E]の熱可塑性樹脂を主成分とする粒子が、熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂の配合比率(質量%)が95:5〜70:30の範囲にある粒子である、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. 構成要素[E]を構成する熱可塑性樹脂がポリアミドである、請求項1〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 構成要素[A]の繊維体積含有率(Vf)が50〜65体積%である、請求項1〜6のいずれかに記載のプリプレグ。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグを製造する方法であって、構成要素[B]の一部と構成要素[G]を予備混練して構成要素[B]の一部と構成要素[G]からなるマスターバッチを作製し、該マスターバッチを構成要素[B]の残りおよび構成要素[C]〜[F]と混合した後に、構成要素[A]に含浸することを特徴とする、プリプレグの製造方法。
  9. マスターバッチの配合比が、構成要素[B]100質量部に対し構成要素[G]が5〜50質量部である、請求項8に記載のプリプレグの製造方法。
  10. マスターバッチ中において、構成要素[G]の1次粒子が複数個結合したストラクチャーの大きさが100〜500nmである、請求項8または9に記載のプリプレグの製造方法。
  11. マスターバッチの表面抵抗率が1×10Ω以下である、請求項8〜10のいずれかに記載のプリプレグの製造方法。
  12. 請求項1〜7のいずれかに記載のプリプレグまたは請求項8〜11のいずれかに記載のプリプレグの製造方法により製造されたプリプレグを加熱硬化させて得られる繊維強化複合材料の厚み方向に対する体積固有抵抗が10Ωcm以下である、繊維強化複合材料。
  13. 衝撃後圧縮強度(CAI)が280MPa以上である、請求項12に記載の繊維強化複合材料。
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