JP2013067750A - プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料を提供すること。
【解決手段】少なくとも、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]導電性の粒子を含むプリプレグであって、[A]連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、[B]エポキシ樹脂組成物が180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)を満たすプリプレグである。
【選択図】なし

Description

本発明は、優れた力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料、およびそれに好適に用いられるプリプレグに関するものである。
炭素繊維強化複合材料は、強度、剛性および導電性等に優れていることから有用であり、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開され、その需要は年々増加しつつある。
炭素繊維強化複合材料は、強化繊維である炭素繊維とマトリックス樹脂を必須の構成要素とするプリプレグを成形してなる不均一材料をその一態様としており、その場合、強化繊維の配列方向の物性とそれ以外の方向の物性に大きな差が存在することになる。例えば、落錘衝撃に対する抵抗性で示される耐衝撃性は、炭素繊維強化複合材料の層間の板端剥離強度等で定量される層間剥離強度によって支配されるため、強化繊維の強度を向上させるのみでは、抜本的な改良に結びつかないことが知られている。特に、熱硬化性樹脂をマトリックス樹脂とする炭素繊維強化複合材料は、マトリックス樹脂の低い靭性を反映し、強化繊維の配列方向以外からの応力に対し、破壊され易い性質を持っている。そのため、強化繊維の配列方向以外からの応力に対応することができる炭素繊維強化複合材料物性の改良を目的に、種々の技術が提案されている。
その中の一つに、表面部分に樹脂微粒子を分散させたプリプレグが提案されている。例えば、ナイロン等の熱可塑性樹脂からなる樹脂微粒子を部分表面に分散させたプリプレグを用いて、耐熱性の良好な高靭性複合材料を与える技術が提案されている(特許文献1参照)。また別に、ポリスルホンオリゴマー添加により靭性が改良されたマトリックス樹脂と熱硬化性樹脂からなる樹脂微粒子との組み合わせによって、炭素繊維強化複合材料に高度の靭性を発現させる技術が提案されている(特許文献2参照)。
ところが、これらの技術は、高度な耐衝撃性を与える一方で層間に絶縁層となる樹脂層を生じることになる。そのため、炭素繊維強化複合材料の特徴の一つである導電性のうち、厚み方向の導電性が著しく劣るという欠点があり、炭素繊維強化複合材料において優れた力学特性と導電性とを両立することは困難であった。
そこで、層間の導電性を向上させる方法として、予めマトリックス樹脂に金属粒子やカーボン粒子(特許文献3、4参照)などの導電性粒子を配合させる方法が考えられるが、これらの方法は高度な導電性と力学特性との両立を十分満足できるものではなく、層間の設計が困難であった。
また、硬化時の揮発分が少なく、優れた耐熱性と低温下等の厳しい使用環境での機械特性に優れ、構造材料として好適な炭素繊維強化複合材料を与えるエポキシ樹脂組成物、およびプリプレグ、炭素繊維強化複合材料が提案されている(特許文献5参照)が、この方法では高度な導電性と力学特性との両立を十分満足できるものではなかった。
米国特許第5,028,478号明細書 特開平3−26750号公報 特開2008−231395号公報 特表2010−508416号公報 国際公開第2010/109929号パンフレット
そこで本発明の目的は、優れた耐衝撃性等の力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料、およびそれに好適に用いられるプリプレグを提供することである。
本発明は、上記目的を達成するために次のいずれかの構成を有するものである。
すなわち、少なくとも、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]導電性の粒子を含むプリプレグであって、
[A]連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、
[B]エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)、
を満たすプリプレグである。
ここで、本発明に用いられる[A]連続した炭素繊維とは、少なくとも一方向に10mm以上、好ましくは100mm以上の長さにわたり連続した炭素繊維を意味する。また、本発明に用いられる[B]エポキシ樹脂組成物は、1種もしくは複数種のエポキシ樹脂、および必要に応じ硬化剤、または前記エポキシ樹脂に溶解する熱可塑性樹脂が含まれている組成物を意味する。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[B]エポキシ樹脂組成物が、少なくとも4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂を含有するプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂が下記一般式(1)
Figure 2013067750
(ただし、式中、RとRは、それぞれ炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、アシル基、トリフルオロメチル基およびニトロ基からなる群から選ばれた少なくとも一つを表す。RとRはそれぞれ、複数の場合、同じであっても異なっていてもよい。nは0〜4の整数、mは0〜5の整数である。Xは、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−SO−から選ばれる1つを表す。)で示される構造を有するプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径以上であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子および[C]熱可塑性樹脂の粒子のうち90〜100質量%が、当該プリプレグの厚さ方向において、当該プリプレグの両方の主面それぞれから当該プリプレグの厚さに対して20%の深さまでの範囲内に分布しているプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子および[C]熱可塑性樹脂の粒子のうち90〜100質量%が、当該プリプレグの厚さ方向において、当該プリプレグの片方の主面から当該プリプレグの厚さに対して20%の深さまでの範囲内に分布しているプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子が、カーボン粒子、および、無機材料又は有機材料の核粒子と該核粒子を被覆する導電層とを有する複合粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子がカーボン粒子であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、カーボン粒子の真球度が0.8〜1であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子の質量に対する[C]熱可塑性樹脂の粒子の質量の比が1〜1000であるプリプレグである。
本発明のプリプレグの好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子の平均粒径が100μm未満であるプリプレグである。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、前記プリプレグを2枚以上含み、それらのうち少なくとも2枚のプリプレグが隣接している積層体を加熱および加圧する工程を備える方法により得られる、炭素繊維強化複合材料である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子のうち30%以上の個数が、隣接している2枚の前記プリプレグの間に含まれ、かつ2枚の前記プリプレグを構成する[A]連続した炭素繊維の両方と接触している炭素繊維強化複合材料である。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、少なくとも、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物の硬化物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]導電性の粒子を含む炭素繊維強化複合材料であって、
[A]連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、
[B]エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)、
を満たす炭素繊維強化複合材料である。
本発明の炭素繊維強化複合材料の好ましい態様によれば、[D]導電性の粒子のうち30%以上の個数が、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に含まれ、かつその両方の[A]連続した炭素繊維と接触している炭素繊維強化複合材料である。
本発明では、用いられる炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、用いられるエポキシ樹脂組成物が180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)を満たすことで、それを硬化して得られる炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性、引張特性と導電性とを兼ね備えさせることができる。
さらに、本発明は、用いられるプリプレグないし炭素繊維強化複合材料に含まれる導電性の粒子の30%以上の個数の導電性の粒子が、炭素繊維強化複合材料の炭素繊維からなる層の間でそれぞれの炭素繊維と接触するように構成されることにより、耐衝撃性、引張特性を損なわせることなく、炭素繊維強化複合材料の厚み方向に導電性を付与することができるので、より優れた耐衝撃性、引張特性と導電性を兼ね備えさせることができる。
また、本発明の炭素繊維強化複合材料は、優れた耐衝撃性、引張特性と導電性とを兼ね備えているので、航空機の部材の他、テニスラケットやゴルフシャフトなどのスポーツ用品、自動車のバンパーやドアなどの外板部材、およびシャシーやフロントサイドメンバなど自動車の構造部材、風車の羽根などに好ましく適用することができる。
本発明者らは、連続した炭素繊維、エポキシ樹脂組成物、熱可塑性樹脂の粒子、導電性の粒子からなる炭素繊維強化複合材料の導電性メカニズムを追及した結果、連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下であり、エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)を満たすプリプレグを2枚以上積層し、硬化して得られる炭素繊維強化複合材料、さらには、炭素繊維の層間で、30%以上の個数の導電性の粒子がそれぞれの炭素繊維と接触してなる炭素繊維強化複合材料が、優れた耐衝撃性、引張特性と導電性を高いレベルで兼ね備えることを明らかにし、本発明に到達したものである。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、いずれも[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子を含んでいる。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、より高い導電性を発現することから、少なくとも280GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、耐衝撃性との両立の点から高くとも440GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、耐衝撃性の観点からは耐衝撃性に優れ、高い剛性および機械強度を有する炭素繊維強化複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaであり、一方、引張伸度も重要な要素であり1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、高い導電性および耐衝撃性を両立する点から、引張弾性率が少なくとも280GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり 、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。引張弾性率、引張強度および引張伸度は、JIS R7601−1986年に記載されるストランド引張試験により測定することができる。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、次のようにして製造することができる。まず、アクリル系の炭素繊維の場合、炭素繊維の前駆体として、アクリロニトリルが90質量%以上でアクリロニトリルと共重合可能なモノマーが10質量%未満の構成であるポリアクリロニトリル系共重合体からなる前駆体繊維束を使用することが好ましい。上記の共重合可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸またはこれらのメチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、アルカリ金属塩、アンモニウム塩、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸およびこれらのアルカリ金属塩からなるグループから選ばれた少なくとも1種を用いることが可能である。
このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束は、単繊維繊度は1.0〜2.0dtexであることが好ましく、より好ましくは1.1〜1.7dtexであり、さらに好ましくは1.2〜1.5dtexである。単繊維繊度が1.0dtexに満たないと、炭素繊維束の弾性率および強度が高くなりすぎ、また生産性も劣る傾向がある。また、単繊維繊度が2.0dtexを超えると、炭化工程にて斑を生じやすくなり、全体の強度を低下させてしまう可能性がある。このポリアクリロニトリル系前駆体繊維束を、空気などの酸化性雰囲気中にて好適には200℃〜300℃の温度範囲で加熱耐炎化することにより耐炎化繊維を製造する。
次に、次工程の炭化処理前に、耐炎化繊維を窒素などの不活性雰囲気中で好適には300℃〜1000℃の範囲温度内で予備炭化処理を行う。このように、耐炎化繊維を、予備炭化処理を施した後で、窒素などの不活性雰囲気中で最高温度が好ましくは1000〜1400℃、より好ましくは1000〜1300℃、さらに好ましくは1100〜1250℃の温度範囲で炭化することにより、炭素繊維束を製造することができる。炭化温度の最高温度が1400℃を超えると炭素繊維束の弾性率が高くなり過ぎ、1000℃未満であると炭素繊維の結晶サイズが小さくなり、炭素結晶の成長が不十分なため、得られる炭素繊維束の水分率が高くなって、繊維強化複合材料を成形する際に、マトリックス樹脂の硬化が不十分となり、繊維強化複合材料の引張強度が十分発現しない場合がある。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下であり、好ましくは0.11以下、さらに好ましくは0.10以下である。上述のとおり、全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12よりも大きいと、得られる炭素繊維強化複合材料の力学特性と導電性のバランスが取れなくなり、高い衝撃後圧縮強度、引張強度と低い体積固有抵抗を実現し、高度な力学特性と導電性を両立した炭素繊維強化複合材料が得られなくなる。
このような炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800SC−24K−10Eおよび“トレカ(登録商標)”T700SC−24K−50C(以上いずれも東レ(株)製)などが挙げられる。
[A]連続した炭素繊維の形態や配列については、連続した形態のものであればその配列は問わないが、軽量で耐久性がより高い水準にある炭素繊維強化複合材料を得るためには、炭素繊維が、一方向に引き揃えた長繊維、織物、トウおよびロービング等連続繊維の形態であることが好ましい。
また、[A]連続した炭素繊維の形態として、プリフォームを適用することもできる。ここで、プリフォームとは、通常、長繊維の炭素繊維からなる織物基布を積層したもの、またはその織物基布をステッチ糸により縫合一体化したもの、あるいは立体織物や編組物などの繊維構造物を意味する。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、単繊維繊度は0.2〜2.0dtexであることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.8dtexである。0.2dtex未満であると、撚糸時においてガイドローラーとの接触による炭素繊維束の損傷が起こりやすくなることがあり、また樹脂組成物の含浸処理工程においても同様の損傷が起こることがある。2.0dtexを越えると炭素繊維束に樹脂組成物が十分に含浸されないことがあり、結果として耐疲労性が低下することがある。
本発明で用いられる[A]連続した炭素繊維は、一つの繊維束中のフィラメント数が2500〜50000本の範囲であることが好ましい。フィラメント数が2500本を下回ると繊維配列が蛇行しやすく強度低下の原因となりやすい。また、フィラメント数が50000本を上回るとプリプレグ作製時あるいは成形時に樹脂含浸をし難い。フィラメント数は、より好ましくは2800〜25000本の範囲である。
本発明で用いられる[B]エポキシ樹脂組成物は、アミン類、フェノール類、炭素−炭素二重結合を有する化合物を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましく用いられる。具体的には、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂、アミン類を前駆体とするグリシジルアミン型エポキシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノールおよびトリグリシジルアミノクレゾールの各種異性体が挙げられる。テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンは、耐熱性に優れているため航空機構造材としての炭素繊維複合材料用樹脂として好ましい。
本発明においては、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂の4員環以上の環構造を1つ以上有する、とは、シクロヘキサンやベンゼン、ピリジンなど4員環以上の単環構造を1つ以上有するか、フタルイミドやナフタレン、カルバゾールなどの各々4員環以上の環からなる縮合間構造を少なくとも1つ以上有することを示す。
エポキシ樹脂の環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基とは、ベンゼンやフタルイミドなどの環構造にアミン型ならばN原子、エーテル型ならばO原子が結合した構造を有することを示し、アミン型ならば1官能または2官能のエポキシ樹脂、エーテル型ならば1官能のエポキシ樹脂である。
4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂の配合量が少ないと、炭素繊維強化複合材料の強度向上の効果があまりなく、配合量が多すぎると耐熱性を著しく損ねてしまうことがある。従って、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂の配合量は、配合されたエポキシ樹脂総量に対して5〜60質量%であることが好ましい。また、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂において、1官能エポキシ樹脂よりはより強度発現の効果に優れ、2官能エポキシ樹脂より耐熱性に優れる。ゆえに4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂の配合量は、1官能のエポキシ樹脂では、エポキシ樹脂総量に対して10〜40質量%が好ましく、より好ましくは15〜30質量部である。2官能のエポキシ樹脂では配合されたエポキシ樹脂総量に対して25〜60質量%が好ましく、より好ましくは30〜50質量部である。
この1官能のエポキシ樹脂としては、例えば、グリシジルフタルイミド、グリシジル−1,8−ナフタルイミド、グリシジルカルバゾール、グリシジル−3,6−ジブロモカルバゾール、グリシジルインドール、グリシジル−4−アセトキシインドール、グリシジル−3−メチルインドール、グリシジル−3−アセチルインドール、グリシジル−5−メトキシ−2−メチルインドール、o−フェニルフェニルグリシジルエーテル、p−フェニルフェニルグリシジルエーテル、p−(3−メチルフェニル)フェニルグリシジルエーテル、2,6−ジベンジルフェニルグリシジルエーテル 、2−ベンジルフェニルグリシジルエーテル 、2,6−ジフェニルフェニルグリシジルエーテル、4−α−クミルフェニルグリシジルエーテル、o−フェノキシフェニルグリシジルエーテル、p−フェノキシフェニルグリシジルエーテルなどが挙げられる。
また、この2官能のエポキシ樹脂としては、N,N−ジグリシジル−4−フェノキシアニリン、N,N−ジグリシジル−4−(4−メチルフェノキシ)アニリン、N,N−ジグリシジル−4−(4−tert−ブチルフェノキシ)アニリンおよびN,N−ジグリシジル−4−(4‐フェノキシフェノキシ)アニリン等挙げられる。これらの樹脂は、多くの場合、フェノキシアニリン誘導体にエピクロロヒドリンを付加し、アルカリ化合物により環化して得られる。分子量の増加に伴い粘度が増加していくため、取扱い性の点から、N,N−ジグリシジル−4−フェノキシアニリンが特に好ましく用いられる。
フェノキシアニリン誘導体としては、具体的には、4−フェノキシアニリン、4−(4−メチルフェノキシ)アニリン、4−(3−メチルフェノキシ)アニリン、4−(2−メチルフェノキシ)アニリン、4−(4−エチルフェノキシ)アニリン、4−(3−エチルフェノキシ)アニリン、4−(2−エチルフェノキシ)アニリン、4−(4−プロピルフェノキシ)アニリン、4−(4−tert−ブチルフェノキシ)アニリン、4−(4−シクロヘキシルフェノキシ)アニリン、4−(3−シクロヘキシルフェノキシ)アニリン、4−(2−シクロヘキシルフェノキシ)アニリン、4−(4−メトキシフェノキシ)アニリン、4−(3−メトキシフェノキシ)アニリン、4−(2−メトキシフェノキシ)アニリン、4−(3−フェノキシフェノキシ)アニリン、4−(4−フェノキシフェノキシ)アニリン、4−[4−(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[3−(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−[2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]アニリン、4−(2−ナフチルオキシフェノキシ)アニリン、4−(1−ナフチルオキシフェノキシ)アニリン、4−[(1,1′−ビフェニル−4−イル)オキシ]アニリン、4−(4−ニトロフェノキシ)アニリン、4−(3−ニトロフェノキシ)アニリン、4−(2−ニトロフェノキシ)アニリン、3−ニトロ−4−アミノフェニルフェニルエーテル、2−ニトロ−4−(4−ニトロフェノキシ)アニリン、4−(2,4−ジニトロフェノキシ)アニリン、3−ニトロ−4−フェノキシアニリン、4−(2−クロロフェノキシ)アニリン、4−(3−クロロフェノキシ)アニリン、4−(4−クロロフェノキシ)アニリン、4−(2,4−ジクロロフェノキシ)アニリン、3−クロロ−4−(4−クロロフェノキシ)アニリン、および4−(4−クロロ−3−トリルオキシ)アニリンなどが挙げられる。
本発明においては、4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有する下記一般式(1)
Figure 2013067750
(ただし式中、RとRは、それぞれ炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、アシル基、トリフルオロメチル基およびニトロ基からなる群から選ばれた少なくとも一つを表す。)で示されるエポキシ樹脂を配合したエポキシ樹脂組成物が、このエポキシ樹脂組成物を含む炭素繊維強化複合材料の引張特性が高くなることから好ましく用いられる。
また、エポキシ樹脂として、フェノールを前駆体とするグリシジルエーテル型エポキシ樹脂も好ましく用いられる。このようなエポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂が挙げられる。
液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂およびレゾルシノール型エポキシ樹脂は、低粘度であるために、他のエポキシ樹脂と組み合わせて使うことが好ましい。
また、室温(25℃程度)で固形のビスフェノールA型エポキシ樹脂は、室温(25℃程度)で液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂に比較し、硬化樹脂において、架橋密度の低い構造を与えるため、その硬化樹脂は耐熱性については、より低いものとなるが、靭性については、より高いものとなるため、グリシジルアミン型エポキシ樹脂や液状のビスフェノールA型エポキシ樹脂やビスフェノールF型エポキシ樹脂と組み合わせて好ましく用いられる。
ナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂は、低吸水率かつ高耐熱性の硬化樹脂を与える。また、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂およびジフェニルフルオレン型エポキシ樹脂も、低吸水率の硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。
ウレタン変性エポキシ樹脂およびイソシアネート変性エポキシ樹脂は、破壊靱性と伸度の高い硬化樹脂を与えるため好適に用いられる。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂は、耐熱性が高く吸水率が小さいため、耐熱耐水性の高い硬化樹脂を与える。これらのフェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いることによって、耐熱耐水性を高めつつプリプレグのタック性とドレープ性を調節することができる。
これらエポキシ樹脂は、単独で用いてもよいし適宜配合して用いてもよい。少なくとも2官能のエポキシ樹脂および3官能以上のエポキシ樹脂を配合して用いると、樹脂の流動性と硬化後の耐熱性を兼ね備えるものとすることができるので好ましい。特に、グリシジルアミン型エポキシとグリシジルエーテル型エポキシの組み合わせは、耐熱性および耐水性とプロセス性の両立を可能にする。また、少なくとも室温で液状のエポキシ樹脂と室温で固形状のエポキシ樹脂とを配合することは、プリプレグのタック性とドレープ性を適切なものとするために有効である。
エポキシ樹脂の硬化剤としては、エポキシ基と反応し得る活性基を有する化合物であればこれを用いることができる。硬化剤としては、アミノ基、酸無水物基およびアジド基を有する化合物が適している。硬化剤としては、より具体的には、例えば、ジシアンジアミド、ジアミノジフェニルメタンやジアミノジフェニルスルホンの各種異性体、アミノ安息香酸エステル類、各種酸無水物、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物、イミダゾール誘導体、脂肪族アミン、テトラメチルグアニジン、チオ尿素付加アミン、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無水物、カルボン酸ヒドラジド、カルボン酸アミド、ポリメルカプタンおよび三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のようなルイス酸錯体などが挙げられる。これらの硬化剤は、単独で使用しても併用してもよい。
芳香族ジアミンを硬化剤として用いることにより、耐熱性の良好な硬化樹脂が得られる。特に、ジアミノジフェニルスルホンの各種異性体は、耐熱性の良好な硬化樹脂を得るため最も適している。芳香族ジアミンを硬化剤の添加量は、化学量論的に当量となるように添加することが好ましいが、場合によって、例えば、当量比0.7〜0.8付近を用いることにより高弾性率の硬化樹脂が得られる。
また、ジシアンジアミドと、尿素化合物、例えば、3,4−ジクロロフェニル−1,1−ジメチルウレアとの組合せ、あるいはイミダゾール類を硬化剤として用いることにより、比較的低温で硬化しながら高い耐熱耐水性が得られる。酸無水物を用いて硬化することは、アミン化合物硬化に比べ吸水率の低い硬化樹脂を与える。その他、これらの硬化剤を潜在化したもの、例えば、マイクロカプセル化したものを用いることにより、プリプレグの保存安定性が良くなり、特にタック性やドレープ性が室温放置しても変化しにくい。
また、これらエポキシ樹脂と硬化剤、あるいはそれらの一部を予備反応させた物を組成物中に配合することもできる。この方法は、粘度調節や保存安定性向上に有効である場合がある。
上記エポキシ樹脂組成物に、熱可塑性樹脂を溶解して用いることも好適である。このような熱可塑性樹脂としては、一般に、主鎖に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結合、チオエーテル結合、スルホン結合およびカルボニル結合から選ばれた結合を有する熱可塑性樹脂であることが好ましいが、部分的に架橋構造を有していても差し支えない。また、結晶性を有していても非晶性であってもよい。特に、ポリアミド、ポリカーボナート、ポリアセタール、ポリフェニレンオキシド、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フェニルトリメチルインダン構造を有するポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアラミド、ポリエーテルニトリルおよびポリベンズイミダゾールからなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂が、エポキシ樹脂組成物に、溶解していることが好適である。
本発明においては、[B]エポキシ樹脂組成物が180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であることを必須とする。
さらに本発明においては、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)を100≦G’(30℃)/G’(R)、好ましくは105≦G’(30℃)/G’(R)、より好ましくは110≦G’(30℃)/G’(R)である。かかるG’(30℃)/G’(R)が100より小さくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な引張特性を得ることができなくなるためである。
本発明において、[B]エポキシ樹脂組成物が180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgは後述するように示差走査熱量測定法(DSC)により測定される値であり、これが150℃以上であることが必要である。好ましくは160℃以上、より好ましくは165℃以上である。このTgが150℃より低くなると得られる炭素繊維強化複合材料において、耐衝撃性等の強度特性、耐熱性が低下することがある。
また、本発明においてG’(R)は、後述するように動的粘弾性解析(DMA)において、Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部の剛性率として測定される値であり、G’(30℃)は、30℃の温度におけるガラス状平坦部剛性率として測定される値である。
本発明は、[C]熱可塑性樹脂の粒子が必須成分として用いられるため、得られる炭素繊維強化複合材料に優れた耐衝撃性を実現させることができる。本発明で用いられる[C]熱可塑性樹脂の粒子の素材としては、エポキシ樹脂に溶解して用いる熱可塑性樹脂として先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様の種類であり、かつ粒子状の形態のものを用いることができる。なかでも、優れた靭性のため耐衝撃性を大きく向上できるポリアミドは最も好ましい。ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン11やナイロン6/12共重合体は、[B]エポキシ樹脂組成物との接着強度が特に良好であることから、落錘衝撃時の炭素繊維強化複合材料の層間剥離強度が高く、耐衝撃性の向上効果が高いため好ましい。[C]熱可塑性樹脂の粒子として、さらにエポキシ樹脂を混合し作製した粒子を用いた場合、マトリックス樹脂であるエポキシ樹脂との接着性が向上し炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性が向上することからさらに好ましい。
[C]熱可塑性樹脂の粒子の形状としては、球状でも非球状でも多孔質でも針状でもウイスカー状でも、またはフレーク状でもよいが、球状の方が、エポキシ樹脂の流動特性を低下させないため、[A]連続した炭素繊維への含浸性が優れることや、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において、応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じ層間剥離部分がより少なく、高い耐衝撃性を発現する炭素繊維強化複合材料が得られることから好ましい。
本発明で用いられる[D]導電性の粒子は、電気的に良好な導体として振る舞う粒子であれば良く、導体のみからなるものに限定されない。好ましくは体積固有抵抗が10〜10−9Ωcmであり、より好ましくは1〜10−9Ωcmであり、さらに好ましくは10−1〜10−9Ωcmである粒子である。体積固有抵抗が高すぎると、炭素繊維強化複合材料において十分な導電性が得られない場合がある。[D]導電性の粒子は、例えば、カーボン粒子、金属粒子、ポリアセチレン粒子、ポリアニリン粒子、ポリピロール粒子、ポリチオフェン粒子、ポリイソチアナフテン粒子、ポリエチレンジオキシチオフェン粒子等の導電性ポリマー粒子の他、無機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる粒子、有機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる粒子を使用することができる。これらの中でも、高い導電性および安定性を示すことから、カーボン粒子、無機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる粒子、有機材料の核または芯が導電性の物質で被覆されてなる粒子が好ましく用いられ、この中でもさらにカーボン粒子が、長期安定性が高いことから特に好ましく用いられる。
ここでいう、体積固有抵抗とは、サンプルを、4探針電極を有する円筒型セルにセットし、試料に60MPaの圧力を加えた状態で試料の厚さと抵抗値を測定し、その値から算出した体積固有抵抗とする。
カーボン粒子は、例えば、熱硬化性樹脂の粒子、熱可塑性樹脂の粒子を焼成することで得ることができる。焼成温度は、好ましくは600℃から3000℃、より好ましくは800℃から3000℃、さらに好ましくは2000℃から3000℃である。2000℃以上の温度で焼成すると、導電性に優れたカーボン粒子が得られる。熱硬化性樹脂の粒子としては、例えば、フェノール樹脂の粒子、エポキシ樹脂の粒子、ベンゾオキサジンの粒子が用いられる。熱可塑性樹脂の粒子としては、例えば、ポリアクリロニトリルの粒子、ポリエーテルイミドの粒子、ポリアミドイミドの粒子、ポリフェニレンスルフィドの粒子、ポリアミドの粒子、ポリイミドの粒子、ポリエーテルケトンの粒子、ポリエーテルスルホンの粒子が用いられる。この中でも、得られるカーボン粒子が高い導電性を得ることからフェノール樹脂の粒子が特に好ましく用いられる。
カーボン粒子としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)、真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)などが具体的に挙げられる。さらに、カーボン粒子の真球度が0.8〜1.0である場合、衝撃時に応力が集中せず、耐衝撃性が高いことから好ましい。
無機材料の核または芯、または有機材料の核または芯に被覆して導電性の粒子とする際に用いられる導電性の物質は、電気的に良好な導体である物質が含有されていれば良く、例えば、白金、金、銀、銅、ニッケル、チタン、コバルト、パラジウム、錫、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム等の金属、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリイソチアナフテン、ポリエチレンジオキシチオフェン等の導電性ポリマー、チェネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、中空カーボンファイバー等の炭素を使用することができる。これらの中でも、高い導電性を示すことから金属、炭素が特に好ましく用いられる。
導電性の物質として金属を用いる場合、何れの金属でも良いが、好ましくは標準電極電位が−2.0〜2.0Vであり、より好ましくは−1.8〜1.8Vである。標準電極電位が低すぎても、不安定であり安全上好ましくない場合があり、高すぎても加工性、生産性が低下する場合がある。ここで、標準電極電位とは、金属をその金属イオンを含む溶液中に浸した際の電極電位と、標準水素電極(1気圧で水素ガスと接触している1規定のHCl溶液に浸した白金よりなる電極)電位との差で表される。例えばTi:−1.74V、Ni:−0.26V、Cu:0.34V、Ag:0.80V、Au:1.52Vである。
上記金属を用いる場合、メッキして使用される金属であることが好ましい。好ましい金属としては、炭素繊維との電位差による金属の腐食を防止できることから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタン、コバルト、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム等が用いられ、これらの中でも、体積固有抵抗が10〜10−9Ωcmという高い導電性および安定性を示すことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、またはチタンが特に好ましく用いられる。なお、これら金属は単独で用いられても良いし、これら金属を主成分とする合金として用いられても良い。
上記の金属を用いて金属メッキを施す方法としては、湿式メッキと乾式メッキが好ましく用いられる。湿式メッキとしては、無電解メッキ、置換メッキおよび電気メッキ等の方法を採用することができるが、なかでも不導体にもメッキを施すことが可能であることから、無電解メッキによる方法が好ましく用いられる。乾式メッキとしては、真空蒸着、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)、光CVD、イオンプレーティング、スパッタリング等の方法を採用することができるが、低温においても優れた密着性が得られることからスパッタリングによる方法が好ましく用いられる。
また、金属メッキは、単一の金属の被膜であっても複数の金属からなる複数層の被膜であってもよい。金属メッキをする場合は、最表面を金、ニッケル、銅、またはチタンからなる層とするメッキ被膜が形成されてなることが好ましい。最表面を上記の金属とすることにより、接続抵抗値の低減化や表面の安定化を図ることができる。例えば、金層を形成する際は、無電解ニッケルメッキによりニッケル層を形成し、その後、置換金メッキにより金層を形成する方法が好ましく用いられる。
また、導電性層を構成する導電性の物質として金属微粒子を用いることも好ましい。この場合、金属微粒子として使用される金属は、炭素繊維との電位差による腐食を防ぐことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタン、コバルト、亜鉛、鉄、クロム、アルミニウム、またはこれらを主成分とする合金、若しくは酸化錫、酸化インジウム、酸化インジウム・錫(ITO)等が好ましく用いられる。これらの中でも、高い導電性および安定性を示すことから、白金、金、銀、銅、錫、ニッケル、チタンまたはこれらを主成分とする合金が特に好ましく用いられる。なお、ここで、微粒子とは、[D]導電性の粒子の平均粒径よりも小さい(通常、0.1倍以下であることを言う)平均粒径を有する粒子のことをいう。
上記の金属微粒子で核または芯を被覆する方法として、メカノケミカルボンディング方法が好ましく用いられる。メカノケミカルボンディングとは、複数の異なる素材粒子を、機械的エネルギーを加えて、メカノケミカル的に分子レベルで結合させ、その界面で強固なナノ結合を創成し、複合微粒子を創出する方法であり、本発明では、無機材料や有機材料の核または芯に金属微粒子を結合させ、かかる核または芯を金属微粒子で被覆する。
無機材料や有機材料(熱可塑性樹脂を含む)の核に金属微粒子を被覆する場合、この金属微粒子の粒径は、好ましくは核の平均粒径の1/1000〜1/10倍であり、より好ましくは1/500〜1/100倍のものである。粒径があまりに小さい金属微粒子を製造することは困難な場合があり、逆に金属微粒子の粒径が大きすぎると被覆ムラが発生する場合がある。さらに、無機材料や有機材料の芯に金属微粒子を被覆する場合、この金属微粒子の粒径は、好ましくは芯の平均粒径の1/1000〜1/10倍であり、より好ましくは1/500〜1/100倍のものである。粒径があまりに小さい金属微粒子を製造することは困難な場合があり、逆に金属微粒子の粒径が大きすぎると被覆ムラが発生する場合がある。
また、導電性の物質として炭素を用いる場合、結晶質炭素、非晶質炭素が好ましく用いられ、チャネルブラック、サーマルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのカーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレン、グラフェン、中空カーボンファイバー等が好ましく用いられる。なかでも、中空カーボンファイバーが好ましく用いられ、その外形は、好ましくは0.1〜1000nmであり、より好ましくは1〜100nmのものである。中空カーボンファイバーの外径が小さすぎても、大きすぎても、そのような中空カーボンファイバーを製造することが困難であることが多い。
上記の中空カーボンファイバーは、表面にグラファイト層を形成したものでもよい。その際、構成するグラファイト層の総数は、好ましくは1〜100層であり、より好ましくは1〜10層であり、さらに好ましくは、1〜4層であり、特に好ましいものは、1〜2層のものである。
非晶質炭素としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)、真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)などが具体的に挙げられる。
特に、有機材料として熱可塑性樹脂を用い、熱可塑性樹脂の核または芯が前記導電性の物質で被覆されてなる粒子を採用すれば、得られる炭素繊維強化複合材料においてさらに優れた耐衝撃性を実現できるため好ましい。
導電性物質で被覆されてなるタイプの[D]導電性の粒子において、導電性の粒子は、核または芯である無機材料や有機材料と導電性の物質からなる導電性層とから構成され、必要に応じてその核または芯と導電性層の間に後述するような接着層を設けてもよい。
導電性の物質が被覆されてなるタイプの[D]導電性の粒子において、核または芯として用いる無機材料としては、無機酸化物、無機有機複合物、および炭素などを挙げることができる。
無機酸化物としては、例えば、シリカ、アルミナ、ジルコニア、チタニア、シリカ・アルミナ、シリカ・ジルコニア等、単一の無機酸化物、および2種以上の複合無機酸化物が挙げられる。
無機有機複合物としては、例えば、金属アルコキシドおよび/または金属アルキルアルコキシドを加水分解して得られるポリオルガノシロキサン等が挙げられる。
また炭素としては、結晶質炭素、非晶質炭素が好ましく用いられる。非晶質炭素としては、例えば、“ベルパール(登録商標)”C−600、C−800、C−2000(エア・ウォーター(株)製)、“NICABEADS(登録商標)”ICB、PC、MC(日本カーボン(株)製)、グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)、高純度人造黒鉛SGシリーズ、SGBシリーズ、SNシリーズ(SECカーボン(株)製)、真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)などが具体的に挙げられる。
導電性の物質で被覆されてなるタイプの[D]導電性の粒子において、核または芯として有機材料を用いる場合、核または芯として用いる有機材料としては、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂およびポリイミド樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、アミノ樹脂、アクリル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、および、ジビニルベンゼン樹脂等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。また、ここで挙げた材料を2種類以上複合して用いても良い。なかでも、優れた耐熱性を有するアクリル樹脂やジビニルベンゼン樹脂、および優れた耐衝撃性を有するポリアミド樹脂が好ましく用いられる。
熱可塑性樹脂の核または芯が導電性の物質で被覆された[D]導電性の粒子の場合、[C]熱可塑性樹脂の粒子を加えずとも、炭素繊維強化複合材料に高い耐衝撃性と導電性とを発現することができるので、これと[C]熱可塑性樹脂の粒子を併用することで、さらに高い耐衝撃性と導電性とを発現することができる。
本発明で用いられる[D]導電性の粒子の核または芯の素材として用いる熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂に混合、溶解して用いる熱可塑性樹脂として先に例示した各種の熱可塑性樹脂と同様のものを用いることができる。なかでも、歪みエネルギー開放率(G1c)が1500〜50000J/mの熱可塑性樹脂を核または芯の素材として用いることが好ましい。より好ましくは、3000〜40000J/m、さらに好ましくは、4000〜30000J/mである。歪みエネルギー開放率(G1c)が小さすぎると、炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性が不十分な場合があり、大きすぎると、炭素繊維強化複合材料の剛性が低下する場合がある。かかる熱可塑性樹脂が、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド等が好ましく用いられ、ポリアミドが特に好ましい。ポリアミドの中でも、ナイロン12、ナイロン11やナイロン6/12共重合体が好ましく用いられる。G1cの評価は[D]導電性の粒子の核または芯の素材である熱可塑性樹脂を成形した樹脂板を用い、ASTM D 5045−96に定められたコンパクトテンション法またはダブルテンション法により行う。
導電性の物質で被覆されてなるタイプの[D]導電性の粒子において、核または芯と導電性層の間に接着剤層は存在してもしなくとも良いが、核または芯と導電性層が剥離しやすい場合は存在させても良い。この場合の接着剤層の主成分としては、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル樹脂、ポリアミド、ポリビニルアセタール、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、レゾルシノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、天然ゴム、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、ウレタンゴム、SBR、再生ゴム、ブチルゴム、水性ビニルウレタン、α−オレフィン、シアノアクリレート、変成アクリル樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ−フェノール、ブチラール−フェノール、ニトリル−フェノールなどが好ましく、中でも酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル−アクリル樹脂、酢酸ビニル−塩化ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル樹脂およびエポキシ樹脂等が挙げられる。
導電性の物質で被覆されてなるタイプ[D]導電性の粒子において、導電性物質で被覆されてなる導電性の粒子は、[核または芯の体積]/[導電性層の体積]で表される体積比が、好ましくは0.1〜500、より好ましくは1〜300、さらに好ましくは5〜100であるものを用いるのが良い。かかる体積比が0.1に満たないと得られる炭素繊維強化複合材料の重量が増加するだけでなく、樹脂調合中に均一に分散できない場合があり、逆に500を超えると得られる炭素繊維強化複合材料において十分な導電性が得られない場合がある。
本発明で用いられる[D]導電性の粒子の核または芯が導電性の物質で被覆された導電性の粒子の比重は大きくとも3.2であることが好ましい。導電性の粒子の比重が3.2を超えると得られる炭素繊維強化複合材料の重量が増加するだけでなく、樹脂調合中に均一に分散できない場合がある。かかる観点から、導電性の粒子の比重は、好ましくは、0.8〜2.2である。導電性の粒子の比重が0.8に満たないと、樹脂調合中に均一に分散できない場合がある。
[D]導電性の粒子の形状は、球状でも非球状でも多孔質でも針状でもウイスカー状でも、またはフレーク状でもよいが、球状の方が、熱硬化性樹脂の流動特性を低下させないため炭素繊維への含浸性が優れる。また、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離がより低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じた層間剥離部分がより少なくなることや、積層層内の炭素繊維との接触確率が高く、導電パスを形成し易いことから、高い耐衝撃性と導電性とを発現する炭素繊維強化複合材料が得られる点で好ましい。
本発明においては、[[C]熱可塑性樹脂の粒子の配合量(質量部)]/[[D]導電性の粒子の配合量(質量部)]で表される質量比が1〜1000であることが好ましく、より好ましくは10〜500、さらに好ましくは10〜100である。かかる質量比が1よりも小さくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な耐衝撃性を得ることができないことがあり、かかる質量比が1000よりも大きくなると、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な導電性が得られなくなることがある。
本発明においては、[D]導電性の粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径と同じかもしくは大きく、その平均粒径は100μm未満であることが好ましい。[D]導電性の粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径よりも小さい場合、炭素繊維強化複合材料において、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に配された、絶縁性である[B]エポキシ樹脂組成物を有してなる層間に[D]導電性の粒子に埋もれてしまい、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に含まれた[D]導電性の粒子とそれらの[A]連続した炭素繊維の導電パスが形成されにくく、十分な導電性向上効果をもたらさないことがある。さらに、[D]導電性の粒子の平均粒径が100μm未満である場合に、炭素繊維強化複合材料において、[D]導電性の粒子が、隣接している[A]連続した炭素繊維と接触しやすくなるため好ましい。
本発明は、かかる[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子とともに、[A]連続した炭素繊維として、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下の炭素繊維、および[B]エポキシ樹脂組成物として、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)のエポキシ樹脂組成物を用いるので、炭素繊維強化複合材料において、高い衝撃後圧縮強度、引張強度と低い体積固有抵抗を実現し、高度な力学特性と導電性を両立できる。
ここで、平均粒径の測定法を、対象が粒子の場合について説明する。
粒子の平均粒径については、例えば、走査型電子顕微鏡などの顕微鏡にて粒子を1000倍以上に拡大し写真撮影し、無作為に粒子を選び、その粒子の外接する円の直径を粒径とし、その粒径の平均値(n=50)として求めることができる。また、導電性の物質で被覆されてなる導電性の粒子の[核の体積]/[導電性層の体積]で表される体積比を求める際は、まず導電性の粒子の核の平均粒径を前記手法にて測定する、あるいは導電性の粒子の平均粒径を前記手法にて測定する。その後、導電性の物質で被覆されてなる導電性の粒子の断面を走査型顕微鏡にて1万倍に拡大し写真撮影し、導電性層の厚さを測定(n=10)し、その平均値を計算する。かかる測定は、上記無作為に選んだ導電性粒子(n=50)について実施する。導電性の粒子の核の平均粒径と導電性層の厚さの平均値の2倍を足し合わせることで導電性の粒子の平均粒径とする、あるいは導電性の粒子の平均粒径と導電性層の厚さの平均値の2倍を引くことで導電性の粒子の核の平均粒径とする。そして、導電性の粒子の核の平均粒径と導電性の粒子の平均粒径を用いて、[核の体積]/[導電性層の体積]で表される体積比を計算することができる。
[D]導電性の粒子が[B]エポキシ樹脂組成物と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子の総和に対して、0.01〜50質量%であることが、得られる炭素繊維強化複合材料において優れた導電性を示すため好ましい。より好ましくは、0.05〜10質量%であり、さらに好ましくは0.1〜5質量%である。[D]導電性の粒子が[B]エポキシ樹脂組成物と[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子の総和に対して、0.01質量%よりも少ない場合、得られる炭素繊維強化複合材料において導電パスが形成されにくく十分な導電性向上効果をもたらさないことがあり、50質量%を越える場合、得られる炭素繊維強化複合材料において十分な耐衝撃性を得られないことがある。
本発明において、用いられるプリプレグないし炭素繊維強化複合材料に含まれる、[D]導電性の粒子の粒径の変動係数が20%以下であることが好ましく、より好ましくは15%以下、さらに好ましくは10%以下である。[D]導電性の粒子の粒径の変動係数が20%を越える場合は、炭素繊維強化複合材料の[A]連続した炭素繊維の層間において導電性の粒子がそれぞれの炭素繊維と接触する確率が低下するため、得られる炭素繊維強化複合材料の導電性が向上しない可能性がある。
[D]導電性の粒子の粒径の変動係数は、上記で挙げた平均粒径の測定から標準偏差を算出し、そこから変動係数を(標準偏差/平均粒径)×100(%)で算出することができる。標準偏差は、例えば「新版 品質管理のための統計的方法入門 日科技連出版社」の44ページ等を参考に算出することができる。なお、本発明に用いられるプリプレグから[D]導電性の粒子の粒径の平均粒径を求める手段として、プリプレグから導電性の粒子を抽出した後、コールターカウンターを用いる手段を採用することができ、また、炭素繊維強化複合材料から[D]導電性の粒子の粒径の平均粒径を求める手段として、走査型電子顕微鏡、透過型電子顕微鏡やレーザー顕微鏡を採用することができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料用樹脂組成物を得るに際し、[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子からなるマスターバッチを使用することも好ましい。すなわち、混合方法によっては、[D]導電性の粒子の凝集物が存在することにより本来の力学特性、導電性が発揮されない場合があるのに対し、マスターバッチとすることで樹脂組成物中への粗大な凝集物の混入を抑制し樹脂組成物中への分散性が向上する。分散性が向上することで、本発明の炭素繊維強化複合材料の導電性、力学特性が安定しばらつきが減少される。また、エポキシ樹脂組成物量の質量比が少なすぎると、導電性の粒子の分散性が悪くなる場合があり、逆に、この範囲よりもエポキシ樹脂組成物の質量比が大きくなるとマスターバッチ法を用いる有用性が低くなる場合がある。
マスターバッチの適用法としては、例えば次のような手順が、例として挙げられる。まず、攪拌機により[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子を混練し、[D]導電性の粒子を分散させてマスターバッチを作製し、設計したマトリックス樹脂組成物の質量比となるように、残りの[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、硬化剤などの配合物に、作製したマスターバッチを添加することで、目的の炭素繊維複合材料用エポキシ樹脂組成物が得られる。
本発明のプリプレグのマトリックスとなる樹脂組成物を得るには、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子と硬化剤以外の構成要素を150℃程度で均一に加熱混練し、硬化反応が進みにくい温度まで冷却した後に[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子および硬化剤を加えて混練することが好ましいが、各成分の配合方法は特にこの方法に限定されるものではない。
本発明において、[D]導電性の粒子は、[B]エポキシ樹脂組成物との接着性が低いものもあるが、これらに表面処理を施したものを用いれば、[B]エポキシ樹脂組成物との強い接着を実現することができ、耐衝撃性のさらなる向上が可能となる。かかる観点から、カップリング処理、酸化処理、オゾン処理、プラズマ処理、コロナ処理、およびブラスト処理からなる群から選ばれた少なくとも一種の処理を施したものを適用することが好ましい。なかでも[B]エポキシ樹脂組成物中のエポキシ樹脂と化学結合、水素結合を形成しうるカップリング処理、酸化処理、プラズマ処理による表面処理を施したものは、[B]エポキシ樹脂組成物との強い接着が実現できることからより好ましく用いられる。
また、上記表面処理に当たっては、表面処理時間の短縮や[D]導電性の粒子の分散を助けるため、加熱および超音波を用いながら表面処理を行うことができる。加熱温度は、高くとも200℃、好ましくは30〜120℃がよい。すなわち温度が高すぎると臭気が強くなり環境が悪化したり、運転コストが高くなったりする場合がある。
本発明に用いられるプリプレグは、粒子に富む層、すなわち、その断面を観察したときに、前記した粒子([C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子)が局在して存在している状態が明瞭に確認しうる層(以下、粒子層と略記することがある。)が、プリプレグの表面付近部分に形成されている構造であることが好ましい。
このように、粒子が表面側に偏在している構造をとることにより、プリプレグを積層し、[B]エポキシ樹脂組成物を硬化させて炭素繊維強化複合材料とした場合、プリプレグ層、すなわち炭素繊維強化複合材料層の間で樹脂層が形成され易く、それにより、炭素繊維強化複合材料の層相互の接着性や密着性が高められ、得られる炭素繊維強化複合材料に高度の耐衝撃性が発現されるようになる。
このような観点から、前記の粒子層は、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から、表面を起点として、プリプレグの両方の主面それぞれから、またはプリプレグの片方の主面から当該プリプレグの厚さ方向に好ましくは20%の深さ、より好ましくは10%の深さの範囲内に存在していると良い。2枚以上のプリプレグを積層するに際し、プリプレグの粒子層を片面のみに存在させる場合には、粒子層が存在する面が同じ方向に向くようにプリプレグを積層すると良い。他方、粒子層をプリプレグの片面のみに存在させた場合、プリプレグに表裏ができるため、積層に際して注意が必要となる。すなわち、粒子のある層間とない層間が存在するようにプリプレグを配置すると、衝撃に対して弱い炭素繊維強化複合材料となる可能性があるため、表裏の区別をなくし、積層を容易にするため、粒子層はプリプレグの表裏両面に存在する方が良い。
さらに、前記の粒子層内に存在する[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子の存在割合は、プリプレグ中、[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子の全量100質量%に対して、好ましくは90〜100質量%であり、より好ましくは95〜100質量%である。
この粒子の存在率は、例えば、下記の方法で評価することができる。すなわち、プリプレグを2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板の間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に硬化温度まで温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状のプリプレグ硬化物を作製する。このプリプレグ硬化物の両面に、プリプレグ硬化物の表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引く。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する粒子の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算する。ここで、粒子の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求める。樹脂中に分散する粒子の写真撮影後の判別が困難な場合は、粒子を染色する手段も採用できる。
また、本発明において[D]導電性の粒子の量は、プリプレグに対して20質量%以下の範囲であることが好ましい。プリプレグに対して20質量%を超えると、粒子と樹脂との混合が困難になる上、プリプレグのタックとドレープ性が低下することがある。すなわち、ベース樹脂であるエポキシ樹脂の特性を維持しつつ、粒子による耐衝撃性を付与するには、導電性の粒子の量は、プリプレグに対して20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。プリプレグのハンドリングを一層優れたものにするためには、[D]導電性の粒子の量は、10質量%以下であることが好ましい。その粒子量は、高い耐衝撃性、引張特性と導電性を得るために、プリプレグに対し1質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは2質量%以上である。
本発明のプリプレグは、特開平1−26651号公報、特開昭63−170427号公報または特開昭63−170428号公報に開示されているような方法を応用して製造することができる。具体的には、本発明のプリプレグは、[A]連続した炭素繊維とマトリックス樹脂である[B]エポキシ樹脂組成物からなる一次プリプレグの表面に、[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子をそのまま塗布する方法、マトリックス樹脂である[B]エポキシ樹脂組成物中にこれらの[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子を均一に混合した混合物を調整し、この混合物を[A]連続した炭素繊維に含浸させる過程において強化繊維で[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子の侵入を遮断せしめてプリプレグの表面部分に粒子を局在化させる方法、または予め[B]エポキシ樹脂組成物を[A]連続した炭素繊維に含浸させて一次プリプレグを作製しておき、一次プリプレグ表面に、これらの粒子を高濃度で含有する[B]エポキシ樹脂組成物のフィルムを貼付する方法等で製造することができる。[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子が、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に均一に存在することで、耐衝撃性、引張特性と導電性とを兼ね備えた炭素繊維複合材料用のプリプレグが得られる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述した本発明のプリプレグを2枚以上含み、それらのうち少なくとも2枚の前記プリプレグが隣接している積層体を加圧および加熱して、[B]エポキシ樹脂組成物を硬化させる方法を一例として、製造することができる。[C]熱可塑性樹脂の粒子と[D]導電性の粒子とを組み合わせて用いることにより、炭素繊維強化複合材料への落錘衝撃(または局所的な衝撃)時、局所的な衝撃により生じる層間剥離が低減されるため、かかる衝撃後の炭素繊維強化複合材料に応力がかかった場合において応力集中による破壊の起点となる前記局所的な衝撃に起因して生じた層間剥離部分が少ない。さらに、用いられる[B]エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)を満たすため、その硬化物を有してなる炭素繊維強化複合材料は、耐衝撃性と引張特性が両立し、また[D]導電性の粒子を、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に形成された層間に添加していることから、積層層内の炭素繊維と導電性の粒子が接触し、導電パスを形成し易いことから、高い耐衝撃性、引張特性と導電性とを発現する炭素繊維強化複合材料が得られる。そこに、[A]連続した炭素繊維として、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下の炭素繊維が用いられるため、高い衝撃後圧縮強度、引張強度と低い体積固有抵抗を実現し、高度な力学特性と導電性を両立することができる。
本発明の炭素繊維強化複合材料は、隣接している[A]連続した炭素繊維の層間で、30%以上の個数の[D]導電性の粒子が、それぞれの[A]炭素繊維と接触していることが好ましい。炭素繊維強化複合材料の前記層間で[D]導電性の粒子がそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していない場合、あるいは、炭素繊維強化複合材料の前記層間で30%よりも低い個数の[D]導電性の粒子しか、それぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していない場合は、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に含まれた[D]導電性の粒子とそれらの[A]連続した炭素繊維の導電パスを形成するのが難しいため、炭素繊維強化複合材料の導電性が十分向上しない可能性がある。すなわち、炭素繊維強化複合材料の前記層間のサイズと導電性の粒子のサイズにおいて、[導電性の粒子のサイズ]/[炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間のサイズ]の値が好ましくは0.5〜2、より好ましくは0.7〜1.6、さらに好ましくは0.8〜1.2であると良い。また、[A]連続した炭素繊維の層間で、それぞれの[A]連続した炭素繊維と接触している[D]導電性の粒子の個数の割合は、導電パスを形成する観点で、好ましくは30%以上、より好ましくは50%以上、さらに好ましくは70%以上である。
さらに、プリプレグを用いずに、本発明に用いられる[B]エポキシ樹脂組成物を、直接[A]連続した炭素繊維に含浸させた後、加熱硬化する方法、例えばハンド・レイアップ法、フィラメント・ワインディング法、プルトルージョン法、レジン・インジェクション・モールディング法、レジン・トランスファー・モールディング法などの成形法によっても炭素繊維強化複合材料を作製することができる。そして本発明では、これらの成形法を用いて成形された炭素繊維強化複合材料の層間とは、前述のとおり[A]連続した炭素繊維の層と[A]連続した炭素繊維の層の間に形成される層のことを意味するものとする。この場合も、[A]連続した炭素繊維の層間に存在する[D]導電性の粒子は、粒径の変動係数が20%以下であることが好ましく、30%以上の個数の[D]導電性の粒子が炭素繊維強化複合材料の[A]連続した炭素繊維の層間でそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接触していることも好ましい。
このようにして得られた炭素繊維強化複合材料は、厚さ方向の導電パスに優れることから、280MPa以上の衝撃後圧縮強度と530MPa以上の引張強度を維持しつつも、1.0×10Ωcm以下の体積固有抵抗が実現される。かかる炭素繊維強化複合材料は、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物の配合割合、[C]熱可塑性樹脂の粒子、[D]導電性の粒子の平均粒径、[D]導電性の粒子の変動係数などを適宜調整することにより、[D]導電性の粒子と接触する[A]連続した炭素繊維の層間における[D]導電性の粒子の構成、配置を制御することができ、衝撃後圧縮強度、引張強度と体積固有抵抗を、それぞれ好ましくは、280MPa以上、530MPa以上、1.0×10Ωcm以下、それぞれより好ましくは、285MPa以上、540MPa以上、5.0×10Ωcm以下に設計することができる。なお、炭素繊維の層間に靱性の高い熱可塑性樹脂の粒子を使用した場合、層間の靱性、ならびに炭素繊維強化複合材料の耐衝撃性、引張特性と導電性のバランスを考慮し、これらの特性の最適化(例えば、衝撃後圧縮強度、引張強度、体積固有抵抗を、それぞれ415MPa以下、700MPa以下、1.7×10―3Ωcm以上とする設計をする等)を図っても良い。
かかる本発明の炭素繊維強化複合材料は、上述の特徴を備えることから、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途に好ましく用いられる。
以下、実施例によって、本発明のプリプレグ、炭素繊維強化複合材料について、より具体的に説明する。実施例で用いた[A]連続した炭素繊維、樹脂原料([B][C][D]など)、プリプレグおよび炭素繊維強化複合材料の作製方法、衝撃後圧縮強度の測定方法、引張強度の測定方法、炭素繊維強化複合材料の導電性測定、[A]連続した炭素繊維の層間の[D]導電性の粒子と、それぞれの[A]連続した炭素繊維との接触の判定方法を、次に示す。実施例のプリプレグの作製環境および評価は、特に断りのない限り、温度25℃±2℃、相対湿度50%の雰囲気で行ったものである。また、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
<[A]連続した炭素繊維>
・炭素繊維A(アクリロニトリル99モル%とイタコン酸1モル%からなる共重合体を紡糸し、焼成し、総フィラメント数24、000本、総繊度800テックス、比重1.8、ストランド引張強度6.2GPa、ストランド引張弾性率300GPaの炭素繊維を得た。次いで、その炭素繊維を、濃度0.05モル/lの硫酸水溶液を電解質として、電気量を炭素繊維1g当たり8クーロンで電解表面処理した。この電解表面処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の温度の加熱空気中で乾燥し、原料となる炭素繊維を得た。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.10であった。これを炭素繊維Aとした。そして、“jER(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)をアセトンに混合し、均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このアセトン溶液を用い、浸漬法により表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で180秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して0.5質量部となるように調整した。)
・炭素繊維B(アクリロニトリル99モル%とイタコン酸1モル%からなる共重合体を紡糸し、焼成し、総フィラメント数24、000本、総繊度800テックス、比重1.8、ストランド引張強度6.2GPa、ストランド引張弾性率300GPaの炭素繊維を得た。次いで、その炭素繊維を、濃度0.1モル/lの炭酸水素アンモニウム水溶液を電解液として、電気量を炭素繊維1g当たり70クーロンで電解表面処理した。この電解表面処理を施された炭素繊維を続いて水洗し、150℃の温度の加熱空気中で乾燥し、原料となる炭素繊維を得た。このときの表面酸素濃度O/Cは、0.14であった。これを炭素繊維Bとした。そして、“jER(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)をアセトンに混合し、均一に溶解した約1質量%のアセトン溶液を得た。このアセトン溶液を用い、浸漬法により表面処理された炭素繊維に塗布した後、210℃の温度で180秒間熱処理をして、サイジング剤塗布炭素繊維を得た。サイジング剤の付着量は、表面処理された炭素繊維100質量部に対して0.5質量部となるように調整した。)。
<エポキシ樹脂([B]の構成要素)>
・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、“jER(登録商標)”825(ジャパンエポキシレジン(株)製)。
・ビスフェノールF型エポキシ樹脂、EPICLON830(DIC(株))。
・テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ELM434(住友化学(株)製)。
・N−グリシジルフタルイミド、“デナコール(登録商標)”Ex−731(ナガセケムテックス(株)製)。
・N,N−ジグリシジルアニリン、GAN(日本化薬(株)製)。
・N,N−ジグリシジルトルイジン、GOT(日本化薬(株)製)。
・N,N−ジグリシジル−4−フェノキシアニリン、(東レファインケミカル(株)製)。
<硬化剤([B]の構成要素)>
・4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、“セイカキュア(登録商標)”(和歌山精化(株)製)。
・3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−DAS(三井化学ファイン(株)製)。
<熱可塑性樹脂([B]の構成要素)>
・末端に水酸基を有するポリエーテルスルホン“スミカエクセル(登録商標)”PES5003P(住友化学(株)製)。
<[C]熱可塑性樹脂の粒子>
・ナイロン12粒子SP−10(東レ(株)製、形状:真球)
・下記の製造方法で得られたエポキシ変性ナイロン粒子A
透明ポリアミド(商品名“グリルアミド(登録商標)”−TR55、エムザベルケ社製)90質量部、エポキシ樹脂(商品名“jER(登録商標)”828、ジャパンエポキシレジン(株)製)7.5質量部および硬化剤(商品名“トーマイド(登録商標)”#296、富士化成工業(株)社製)2.5質量部を、クロロホルム300質量部とメタノール100質量部の混合溶媒中に添加して、均一溶液を得た。次に、得られた均一溶液を塗装用のスプレーガンを用いて霧状にして、良く撹拌して3000質量部のn−ヘキサンの液面に向かって吹き付けて溶質を析出させた。析出した固体を濾別し、n−ヘキサンで良く洗浄した後に、100℃の温度で24時間の真空乾燥を行い、エポキシ変性ナイロン粒子Aを得た。(平均粒径:12.5μm)。
<[D]導電性の粒子>
・“ミクロパール(登録商標)”CU215(積水化学工業(株)製)(平均粒径:15.5μm、変動係数:4.1%)(特許文献5(特開2009−074075号公報)の実施例13に記載の導電性粒子と同一の導電性粒子)。
・“ミクロパール(登録商標)”AU215(積水化学工業(株)製)(平均粒径:15.5μm、変動係数:4.1%)(特許文献3(特開2008−232395号公報)の実施例1に記載の導電性粒子と同一の導電性粒子)
・“NICABEADS(登録商標)”ICB−2020(日本カーボン(株)製)(平均粒径:26.69μm、変動係数:9.24%)
上記の粒子は分級を繰り返し、粒径の変動係数を10%以下にしてから使用した。
・グラッシーカーボン(東海カーボン(株)製)(平均粒径:25.57μm、変動係数:9.56%)
上記の粒子は分級を繰り返し、粒径の変動係数を10%以下にしてから使用した。
・真球状カーボン(群栄化学工業(株)製)(平均粒径:26.27μm、変動係数:9.31%)
上記の粒子は分級を繰り返し、粒径の変動係数を10%以下にしてから使用した。
・フェノール樹脂の粒子(マリリン HF−050、群栄化学工業(株)製)を2000℃で焼成し、分級を繰り返して得られたカーボン粒子A(平均粒径:25.02μm、変動係数:9.87%)
・フェノール樹脂の粒子(“ベルパール(登録商標)”R−800、エア・ウォーター(株)製)を2000℃で焼成し、分級を繰り返して得られたカーボン粒子B(平均粒径:24.37μm、変動係数:9.12%)
・フェノール樹脂の粒子(“ベルパール(登録商標)”S−870、エア・ウォーター(株)製)を2000℃で焼成し、分級を繰り返して得られたカーボン粒子C(平均粒径:26.12μm、変動係数:9.35%)
(1)[B]エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度Tg測定
[B]エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間加熱して得られた硬化物を測定サンプルとし、示差走査熱量測定法(DSC)によって、速度10℃/分で昇温してDSCカーブを得た。次に、このDSCカーブについて、ベースラインの接線と吸熱中のラインの接線との交点の温度と吸熱の終点温度を求め、その2点の中点をTgとした。ここでは、測定装置として、TAインスツルメンツ社製、Q2000を用いた。
(2)[B]エポキシ樹脂組成物の硬化物のゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)の測定とG’(30℃)/G’(R)の算出
[B]エポキシ樹脂組成物を180℃で2時間加熱して得られた硬化物を測定サンプル(厚さ2mm、幅10mm)とし、動的粘弾性解析(DMA)によって、昇温速度を5℃/分、ねじり振動周波数0.5Hz、歪み量0.1%の条件下、昇温してDMAにより評価した。この評価方法において、Tgからゴム状平坦領域部に至る領域で樹脂のねじり剛性Gを測定し、ガラス転移によりねじり剛性Gが緩和された後に現れる、ゴム状平坦部のねじり剛性GをG’(R)とする。また、30℃におけるガラス状平坦部のねじり剛性GをG’(30℃)とし、G’(30℃)/G’(R)を算出した。
(3)プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子([C][D])の存在率
プリプレグを、2枚の表面の平滑なポリ四フッ化エチレン樹脂板間に挟持して密着させ、7日間かけて徐々に150℃迄温度を上昇させてゲル化、硬化させて板状の樹脂硬化物を作製した。硬化後、密着面と垂直な方向から切断し、その断面を研磨後、光学顕微鏡で200倍以上に拡大しプリプレグの上下面が視野内に納まるようにして写真撮影した。同様な操作により、断面写真の横方向の5ヵ所でポリ四フッ化エチレン樹脂板間の間隔を測定し、その平均値(n=5)をプリプレグの厚さとした。
プリプレグの両面について、プリプレグの表面から、厚さの20%深さ位置にプリプレグの表面と平行な線を2本引いた。次に、プリプレグの表面と上記線との間に存在する粒子([C][D])の合計面積と、プリプレグの厚みに渡って存在する粒子の合計面積を求め、プリプレグの厚さ100%に対して、プリプレグの表面から20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率を計算した。粒子([C][D])の合計面積は、断面写真から粒子部分を刳り抜き、その質量から換算して求めた。[B]エポキシ樹脂組成物中に分散する粒子([C][D])の写真撮影後の判別が困難な場合は、粒子([C][D])を染色する手段を用いた。
(4)炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度測定
一方向プリプレグを、[+45°/0°/−45°/90°]3S構成で、擬似等方的に24プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦150mm×横100mm(厚み4.5mm)のサンプルを切り出し、SACMA SRM 2R−94に従い、サンプルの中心部に6.7J/mmの落錘衝撃を与え、衝撃後圧縮強度を求めた。
(5)炭素繊維強化複合材料の引張強度測定(有孔引張強度)
一方向プリプレグを、[+45°/0°/−45°/90°]構成で、擬似等方的に8プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦300mm×横32mm(厚み1.5mm)のサンプルを切り出し、中央部にドリルを用いて直径6.35mmの穴をあけた。標線間距離180mmにてサンプルを挟み込み、23℃環境下でASTM D3039に準拠して0°方向の引張強度を求めた
(6)炭素繊維強化複合材料の導電性測定
一方向プリプレグを、それぞれ[+45°/0°/−45°/90°]2S構成で、擬似等方的に16プライ積層し、オートクレーブにて、180℃の温度で2時間、0.59MPaの圧力下、昇温速度1.5℃/分で成形して25個の積層体を作製した。これらの各積層体から、縦50mm×横50mm(厚み3mm)のサンプルを切り出し、両面に導電性ペースト“ドータイト(登録商標)”D−550(藤倉化成(株)製)を塗布したサンプルを作製した。これらのサンプルを、アドバンテスト(株)製R6581デジタルマルチメーターを用いて、四端子法で積層方向の抵抗を測定し、体積固有抵抗を求めた。
(7)[A]連続した炭素繊維の層間の[D]導電性の粒子と、それぞれの[A]連続した炭素繊維との接触の判定
(6)で作製した炭素繊維強化複合材料を、[A]連続した炭素繊維の層と[A]連続した炭素繊維の層の層間が観察できるよう積層方向とは垂直に切断し、その断面を研磨後、レーザー顕微鏡(KEYENCE VK−9510)で200倍以上に拡大し[A]連続した炭素繊維の層と[A]連続した炭素繊維の層が2層以上視野内に納まるようにして写真撮影した。同様の操作から導電性の粒子が存在する100箇所を任意に選択した。[D]導電性の粒子は、平均粒径よりも小さい粒径の断面で切断される確率が高いため、[D]導電性の粒子を平均粒径のサイズとみなし、そのサイズの導電性の粒子がそれぞれの[A]連続した炭素繊維と接する、あるいは、交差するとき、それらは接触しているとして接触の有無を判定した。判定基準として、[D]導電性の粒子100個の内、[D]導電性の粒子が層間の上面の[A]連続した炭素繊維と下面の[A]連続した炭素繊維の両方で接している数が、30個以上(30%以上)の場合は○、29個以下(3%以上30%未満)の場合は×とした。
(実施例1)
混練装置で、70質量部のELM434と30質量部のEx−731に、20質量部のPES5003Pを配合して、熱可塑性樹脂(PES5003P)をエポキシ樹脂中に溶解した。その後、硬化剤である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを40質量部混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を180℃で2時間加熱して得られた硬化物について、(1)エポキシ樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度Tg測定と(2)エポキシ樹脂組成物の硬化物のゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)の測定とG’(30℃)/G’(R)の算出を記載のとおりに実施してエポキシ樹脂組成物の硬化物を得て、ガラス転移温度TgとG’(30℃)/G’(R)を測定した。結果を表1に示す。
また、混練装置で、70質量部のELM434と30質量部のEx−731に、20質量部のPES5003Pを配合して、熱可塑性樹脂(PES5003P)をエポキシ樹脂中に溶解した。その後、20質量部のエポキシ変性ナイロン粒子Aと2質量部の“ミクロパール”CU215を混練し、さらに硬化剤である4,4’−ジアミノジフェニルスルホンを40質量部混練して、エポキシ樹脂組成物を作製した。
調製したエポキシ樹脂組成物を、ナイフコーターを用いて離型紙上に塗布して52g/mの樹脂フィルムを、2枚作製した。次に、シート状に一方向に配列させた炭素繊維Aに、上記で作製した樹脂フィルム2枚を炭素繊維の両面から重ね、加熱加圧により樹脂を含浸させ、炭素繊維Aの目付が190g/mで、マトリックス樹脂の質量分率が35.4%の一方向プリプレグを作製した。
得られたプリプレグを用い、上記の(3)プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率、(4)炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度測定、(5)炭素繊維強化複合材料の引張強度測定(有孔引張強度)、(6)炭素繊維強化複合材料の導電性測定と(7)[A]連続した炭素繊維の層間の[D]導電性の粒子と、それぞれの[A]連続した炭素繊維との接触の判定に記載のとおりに実施して炭素繊維強化複合材料を得て、衝撃後圧縮強度、引張強度と体積固有抵抗を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2〜32、比較例1〜15)
炭素繊維、エポキシ樹脂組成、熱可塑性樹脂の粒子、導電性の粒子の種類や配合量を表1〜5に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物とプリプレグを作製した。作製したエポキシ樹脂組成物を用いて、ガラス転移温度TgとG’(30℃)/G’(R)を測定した。また、作製した一方向プリプレグを用いて、プリプレグの厚み20%の深さの範囲に存在する粒子の存在率、炭素繊維強化複合材料の衝撃後圧縮強度、引張強度および導電性、炭素繊維の層間の導電性の粒子を測定し、それぞれの炭素繊維との接触の判定を行った。得られた結果を表1〜5にまとめて示す。
Figure 2013067750
Figure 2013067750
Figure 2013067750
Figure 2013067750
Figure 2013067750
実施例1〜32と比較例1〜15との対比により、本発明の炭素繊維強化複合材料は、エポキシ樹脂組成物が180℃で2時間加熱して得られた硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)を満たすエポキシ樹脂組成物であること、さらに、連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下であることから、特に30%以上の個数の導電性の粒子が炭素繊維強化複合材料の炭素繊維の層間でそれぞれの炭素繊維と接触している場合に、導電パスに優れ、高い衝撃後圧縮強度、引張強度と低い体積固有抵抗を実現し、高度な力学特性と導電性を両立していることが分かる。
本発明によれば、優れた力学特性と導電性を兼ね備えた炭素繊維強化複合材料が得られるため、航空機構造部材、風車の羽根、自動車外板およびICトレイやノートパソコンの筐体(ハウジング)などのコンピュータ用途等に広く展開でき、有用である。

Claims (15)

  1. 少なくとも、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]導電性の粒子を含むプリプレグであって、
    [A]連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、
    [B]エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)、
    を満たすプリプレグ。
  2. [B]エポキシ樹脂組成物が、少なくとも4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂を含有する、請求項1に記載のプリプレグ。
  3. 4員環以上の環構造を1つ以上有し、かつ、環構造に直結したアミン型グリシジル基またはエーテル型グリシジル基を1つ有するエポキシ樹脂が下記一般式(1)
    Figure 2013067750
    (ただし、式中、RとRは、それぞれ炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基、炭素数6〜10の芳香族炭化水素基、ハロゲン原子、アシル基、トリフルオロメチル基およびニトロ基からなる群から選ばれた少なくとも一つを表す。RとRはそれぞれ、複数の場合、同じであっても異なっていてもよい。nは0〜4の整数、mは0〜5の整数である。Xは、−O−、−S−、−CO−、−C(=O)O−、−SO−から選ばれる1つを表す。)で示される構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載のプリプレグ。
  4. [D]導電性の粒子の平均粒径が[C]熱可塑性樹脂の粒子の平均粒径以上である、請求項1〜3のいずれかに記載のプリプレグ。
  5. [D]導電性の粒子および[C]熱可塑性樹脂の粒子のうち90〜100質量%が、当該プリプレグの厚さ方向において、当該プリプレグの両方の主面それぞれから当該プリプレグの厚さに対して20%の深さまでの範囲内に分布している、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  6. [D]導電性の粒子および[C]熱可塑性樹脂の粒子のうち90〜100質量%が、当該プリプレグの厚さ方向において、当該プリプレグの片方の主面から当該プリプレグの厚さに対して20%の深さまでの範囲内に分布している、請求項1〜4のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. [D]導電性の粒子が、カーボン粒子、および、無機材料又は有機材料の核粒子と該核粒子を被覆する導電層とを有する複合粒子からなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプリプレグ。
  8. [D]導電性の粒子がカーボン粒子である、請求項7に記載のプリプレグ。
  9. カーボン粒子の真球度が0.8〜1である、請求項8に記載のプリプレグ。
  10. [D]導電性の粒子の質量に対する[C]熱可塑性樹脂の粒子の質量の比が1〜1000である、請求項1〜9のいずれかに記載のプリプレグ。
  11. [D]導電性の粒子の平均粒径が100μm未満である、請求項1〜10のいずれかに記載のプリプレグ。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のプリプレグを2枚以上含み、それらのうち少なくとも2枚の前記プリプレグが隣接している積層体を加熱および加圧する工程を備える方法により得られる、炭素繊維強化複合材料。
  13. [D]導電性の粒子のうち30%以上の個数が、隣接している2枚の前記プリプレグの間に含まれ、かつ2枚の前記プリプレグを構成する[A]連続した炭素繊維の両方と接触している、請求項12に記載の炭素繊維強化複合材料。
  14. 少なくとも、[A]連続した炭素繊維、[B]エポキシ樹脂組成物の硬化物、[C]熱可塑性樹脂の粒子、および[D]導電性の粒子を含む炭素繊維強化複合材料であって、
    [A]連続した炭素繊維が、X線光電子分光法で測定した全炭素原子と全酸素原子との原子数比[O/C]が0.12以下、
    [B]エポキシ樹脂組成物が、180℃で2時間加熱せしめて得られる硬化物のガラス転移温度Tgが150℃以上であり、かつ、前記Tg以上の温度領域におけるゴム状平坦部剛性率G’(R)と30℃でのガラス状平坦部剛性率G’(30℃)が100≦G’(30℃)/G’(R)、
    を満たす炭素繊維強化複合材料。
  15. [D]導電性の粒子のうち30%以上の個数が、隣接している[A]連続した炭素繊維の間に含まれ、かつその両方の[A]連続した炭素繊維と接触している、請求項14に記載の炭素繊維強化複合材料。
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